説明

コネクタおよび収容ラック

【課題】取付対象物からコネクタを取り外すことなく、コンタクトの交換作業を簡便に達成し、省スペース化を実現するコネクタおよび収容ラックを提供すること。
【解決手段】取付対象物51に固定されるハウジング20と、コンタクト30とを備え、ハウジング20は、取付ベース部21と、取付ベース部21より正面側に配置される嵌合部22と、嵌合部22の底部22bに形成された貫通孔23と、貫通孔23に連通するとともにハウジング20の側面側で外部に開口する配置空間24とを有し、コンタクト30は、第1部分31と、第1部分31に連なる第2部分32とを一体に有し、貫通孔23および配置空間24は、コンタクト30をハウジング20の側面から配置空間24を通してハウジング20内に挿入することで、コンタクト30をハウジング20内の所定位置に配置させることが可能な大きさで形成されているコネクタ10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタおよび収容ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図9に示すように、保護筐体150に固定され、保護筐体150に収容される物体170に固定されたプラグ側コネクタ160に嵌合するソケット側コネクタ110が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この従来のソケット側コネクタ110は、図10に示すように、ハウジング120と、ハウジング120により保持されるソケット型電気コンタクト130と、ハウジング120に対して固定されソケット型電気コンタクト130の抜け出しを防止するネジ式の保持部材180とを備えている。
【0004】
そして、図10に示すように、ソケット型電気コンタクト130は、ソケット型電気コンタクト130のソケット部133を配置したハウジング120の正面側とは反対側のハウジング120の背面側からハウジング120内に挿入され、ソケット型電気コンタクト130に形成された基部134とハウジング120に形成された段差部126との間の係合、および、ハウジング120に対する保持部材180の固定により、ハウジング120に対して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−276991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、一般に、ソケット側コネクタ110のようなコネクタでは、ソケット側コネクタ110に対して接続対象物(プラグ側コネクタ160)を挿入する関係上、ソケット部133側(ハウジング120の正面側)には作業スペースが必然的に確保されるものの、ソケット部133側とは反対側(ハウジング120の背面側)には作業スペースを確保するのが難しい場合がある。
【0007】
そして、ソケット側コネクタ110のように、ソケット型電気コンタクト130をハウジング120の背面側から取り付ける構造を採用した場合、ソケット型電気コンタクト130に損傷等が生じた際に、ソケット側コネクタ110を取付対象物(保護筐体150)に取り付けた状態では、ハウジング120からソケット型電気コンタクト130のみを交換することが難しく、保護筐体150の構成等によっては、ソケット側コネクタ110自体を取付対象物(保護筐体150)から一旦取り外し、ソケット型電気コンタクト130を交換する必要があるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、取付対象物からコネクタを取り外すことなく、コンタクトの交換作業を簡便に達成し、装置の省スペース化を実現するコネクタおよび収容ラックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコネクタは、取付対象物に固定されるハウジングと、前記ハウジングにより保持されるコンタクトとを備え、前記ハウジングは、前記取付対象物に固定される取付ベース部と、前記取付ベース部より正面側に配置され、接続対象物を収容する収容空間を規定する収容枠部および底部を有する嵌合部と、前記嵌合部の前記底部に形成された貫通孔と、前記貫通孔の背面側の端部から前記ハウジングの側面側に向けて形成され前記貫通孔に連通するとともに前記ハウジングの側面側で外部に開口する配置空間とを有し、前記コンタクトは、一部が前記貫通孔内に配置されるとともに一部が前記収容空間内に配置される第1部分と、前記第1部分に連なり前記配置空間内に少なくとも一部が配置される第2部分とを一体に有し、前記貫通孔および前記配置空間は、前記第1部分を先頭にして前記コンタクトを前記ハウジングの側面から前記配置空間を通して前記ハウジング内に挿入することで、前記コンタクトを前記ハウジング内の所定位置に配置させることが可能な大きさで形成されていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0010】
また、前記コンタクトの前記第1部分は、前記貫通孔の縁部により、前記接続対象物を挿入する挿入方向及び前記挿入方向に直交する方向への移動を規制されてもよい。
【0011】
また、前記コンタクトの前記第1部分および前記第2部分は、平板状に形成されていてもよい。
【0012】
また、前記コンタクトの前記第2部分は、前記接続対象物を挿入する挿入方向に見た場合に、前記収容枠部より外側に位置する部分を有していてもよい。
【0013】
また、前記コンタクトの前記第2部分は、前記収容枠部より外側に位置する上部および下部に、前記挿入方向に沿って貫通形成されたボルト孔を有していてもよい。
【0014】
また、前記取付ベース部は、前記接続対象物を挿入する挿入方向に沿って貫通形成されたボルト孔を有し、前記取付ベース部の前記ボルト孔は、前記挿入方向に見た場合に前記収容枠部より外側に形成されていてもよい。
【0015】
また、前記コンタクトの前記第2部分の前記ボルト孔と、前記取付ベース部の前記ボルト孔の少なくとも一部は、前記挿入方向に重なっていてもよい。
【0016】
また、前記貫通孔の縁部に対して前記コンタクトの前記第1部分を押し当てるスペーサ部材を更に備え、前記嵌合部の前記底部には、前記スペーサ部材を正面側から着脱可能に保持するスペーサ保持部が形成されていてもよい。
【0017】
また、前記嵌合部の前記収容枠部の内側壁には、前記接続対象物の挿入をガイドするガイド部が形成されていてもよい。
【0018】
また、前記嵌合部には、前記接続対象物を挿入する挿入方向に対向する前記取付ベース部の一部と協働して前記コンタクトの前記第2部分の前記挿入方向における移動を規制する移動規制部が形成されていてもよい。
【0019】
また、前記取付ベース部には、前記ハウジングに前記コンタクトを着脱する際に前記コンタクトの前記第2部分をガイドするガイド部が形成されていてもよい。
【0020】
また、前記コネクタは、信号用コンタクトを更に備えていてもよい。
【0021】
また、本発明のコネクタを備えた収容ラックは、前記コネクタと、前記コネクタが取り付けられる収容ラックとを備えていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0022】
また、前記コネクタが、複数設けられ、前記複数のコネクタが、前記収容ラックの取付パネルに対してマトリクス状に取り付けられ、2つの前記コネクタの前記コンタクト間を接続するブスバーを更に備えていてもよい。
【0023】
また、前記取付パネルに取り付けられた複数のコネクタが、前記ブスバーにより直列に接続されていてもよい。
【0024】
また、前記コネクタは、電線に結線された信号用コンタクトを更に備え、前記複数のコネクタが、前記電線により直列に接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、ハウジングの側面側からコンタクトを挿抜することが可能であるようにコネクタを構成することにより、接続対象物との嵌合部が配置されたハウジングの正面側からコンタクトの挿抜作業を行うことが可能であるため、作業スペースを確保しやすく、コネクタを取付対象物に取り付けた状態でコンタクトの交換作業を簡便に達成でき、また、取付対象物の背面側に作業スペースを確保する必要がなく、装置の省スペース化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例であるコネクタの使用態様図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】コネクタと電池側コネクタと電池側ブスバーとを示す斜視図である。
【図4】コネクタを示す斜視図である。
【図5】コネクタを分解して示す斜視図である。
【図6】コネクタと取付パネルとを断面視してコンタクトの挿入脱着方法を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施例におけるコネクタ配置およびブスバーによるコネクタ間の接続態様を示す説明図である。
【図8】コネクタ配置およびブスバーによるコネクタ間の接続態様の比較例を示す説明図である。
【図9】従来のソケット側コネクタの使用態様図である。
【図10】従来のソケット側コネクタを示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施例であるコネクタを図面に基づいて説明する。
【0028】
なお、以下の説明では、コネクタに対して電池側コネクタ(接続対象物)を挿入する方向を第1方向(挿入方向)X、ハウジングに対するコンタクトの挿抜方向(および、ハウジングに対する一対のコンタクトの並列配置方向)を第2方向Y、第1方向Xおよび第2方向Yに直交する方向を第3方向Zとして規定する。なお、以下に示す実施例では、第1方向Xに対して第2方向Yが直交するものとして説明するが、第2方向Yが第1方向Xに直交しないものとして構成してもよい。また、以下に示す実施例では、収容ラックに対してコネクタを取り付けた状態で、第2方向Yが水平方向に一致し、第3方向Zが鉛直方向に一致しているが、実施態様はこれに限定されない。
【実施例】
【0029】
本実施例のコネクタ10は、電源供給用コネクタであり、図1乃至図3に示すように、収容ラック50の取付パネル(取付対象物)51に取り付けられ、電池ユニット70を収容ラック50に対して挿入した際に、電池ユニット70に取り付けられた電池側コネクタ60に嵌合するものである。
【0030】
各コネクタ10は、図4や図5に示すように、収容ラック50の取付パネル51に背面側を固定されるハウジング20と、ハウジング20により保持される一対のコンタクト30と、ハウジング20に取り付けられ信号用コンタクト(図示しない)を保持する信号用ハウジング40と、ハウジング20に取り付けられるナット41と、ハウジング20に取り付けられるガスケット42と、ハウジング20に取り付けられるスペーサ部材43と、図2に示すように、ハウジング20を取付パネル51に固定する第1のボルト44と、ハウジング20およびコンタクト30およびブスバー54を取付パネル51に固定する第2のボルト45とを備えている。
【0031】
ハウジング20は、図4乃至図6に示すように、収容ラック50に固定される取付ベース部21と、取付ベース部21より正面側に配置される嵌合部22と、第1方向Xに沿って嵌通形成され信号用ハウジング40を保持する信号用ハウジング保持部25とを有している。
【0032】
取付ベース部21は、図4や図5に示すように、第1方向Xに見た場合に、収容枠部22a(嵌合部22)の外側に位置する部分を有し、当該部分に、第1のボルト44を嵌通させる第1のボルト孔21aと、第2のボルト45を嵌通させる第2のボルト孔21bと、ハウジング20に対するコンタクト30の着脱時にコンタクト30の第2部分32をガイドするガイド部21cとを有している。
【0033】
嵌合部22は、図4に示すように、収容枠部22aおよび底部22bと、収容枠部22aおよび底部22bにより規定されハウジング20の正面側に開口し、電池側コネクタ60を正面側から挿入させて収容する収容空間22cと、底部22bに形成されスペーサ部材43を保持するスペーサ保持部22dと、収容枠部22aの内側壁に形成され電池側コネクタ60をガイドするガイド部22eと、第1方向Xに対向する取付ベース部21の一部分と協働してコンタクト30の第2部分32の第1方向Xにおける移動を規制する移動規制部22fとを有している。
【0034】
ハウジング20は、図6に示すように、第1方向Xに沿って嵌合部22の底部22bに貫通形成された貫通孔23と、取付ベース部21と嵌合部22との間に形成され、貫通孔23の背面側の端部からハウジング20の側面側に向けて形成され貫通孔23に連通するとともにハウジング20の側面側で外部に開口する配置空間24とを更に有している。
【0035】
貫通孔23および配置空間24は、第1部分31を先頭にしてコンタクト30をハウジング20の側面から配置空間24を通してハウジング20内に挿入することで、コンタクト30をハウジング20内の所定位置に配置させることが可能な大きさ、位置、形状を有している。
【0036】
コンタクト30は、電源供給用のコンタクトであり、コネクタ10と電池側コネクタ60との嵌合時に、電池側コネクタ60の電池側コンタクト(図示しない)に電気的に接続されるものである。コンタクト30は、図4に示すように、ハウジング20に対して、第2方向Yに並列して2つずつ配置されている。収容ラック50に対して複数取り付けられたコネクタ10の各コンタクト30は、図1や図7に示すように、接続部材としてのブスバー54により相互に接続されており、結果として、各コネクタ10は、ブスバー54により直列に接続されている。
【0037】
コンタクト30は、非弾性の導電性金属(タフピッチ銅、純度99%程度の銅)から形成され、それぞれ同一形状を有している。本実施例では、コンタクト30は、純銅の導電率を100%とすると50%以上の導電率を有する。コンタクト30は、金属板を所定形状に打抜き加工した後に所定箇所に曲げ加工を施すことにより形成され、平面上に展開した場合に重複する部分の無い形状を有している。
【0038】
コンタクト30は、図4や図5に示すように、平板状に形成された第2部分32と、第2部分32の長手方向の中央において第2部分32に対して垂直に立設した平板状の第1部分31とを有している。
【0039】
コンタクト30の第1部分31は、図4や図6に示すように、第1方向Xに沿って延在し、コンタクト30をハウジング20に対して組み付けた状態で、一部が貫通孔23内に配置されるとともに、一部が収容空間22c内に配置されている。収容空間22c内に位置する第1部分31は、電池側コネクタ60の電池側コンタクト(図示しない)に接触する接触部として機能する。
【0040】
コンタクト30の第2部分32は、図4や図6に示すように、コンタクト30をハウジング20に対して組み付けた状態で、一部が配置空間24内に配置されている。第2部分32は、第1方向Xに見た場合に、収容枠部22a(嵌合部22)より外側に第3方向Zの両側に向けて突出する部分を有し、当該部分に、第2のボルト45を嵌挿させるボルト孔32aを有している。ボルト孔32aは、図4に示すように、第3方向Zにおける第2部分32の両端にそれぞれ形成され、コンタクト30をハウジング20に対して組み付けた状態で、取付ベース部21に形成された第2のボルト孔21bに第1方向Xに重なる位置に形成されている。本実施例では、このボルト孔32aの周辺部分が、ブスバー54との接続部として機能する。
【0041】
信号用ハウジング40は、ハウジング20に形成された信号用ハウジング保持部25に対して、ハウジング20の背面側から挿入され、信号用ハウジング40に形成された取付バネ部40aにより、ハウジング20に対して係止されている。信号用ハウジング40は、図4に示すように、一部がハウジング20の収容空間22c内に位置している。なお、図2に示す符号55は、各コネクタ10の信号用コンタクト(図示しない)間を接続する信号線(電線)である。
【0042】
スペーサ部材43は、外周面に溝を有するスプリングピンとして構成され、図4や図5に示すように、ハウジング20のスペーサ保持部22dに対してハウジング20の正面側から着脱可能に取り付けられ、貫通孔23の縁部に対してコンタクト30の第1部分31を第2方向Yに向けて押し当てており、これにより、貫通孔23と第1部分31との間のガタつきが防止される。
【0043】
第1のボルト44は、図2に示すように、ハウジング20に形成された第1のボルト孔21aと、取付パネル51に形成されたボルト孔(図示しない)とに対して、ハウジング20の正面側から嵌通され、ハウジング20を取付パネル51に固定する。
【0044】
第2のボルト45は、図2に示すように、ハウジング20に形成された第2のボルト孔21bと、コンタクト30の第2部分32に形成されたボルト孔32aと、ブスバー54に形成されたボルト孔(図示しない)と、取付パネル51に形成されたボルト孔(図示しない)とに対して、ハウジング20の正面側から嵌挿され、ハウジング20およびコンタクト30およびブスバー54を取付パネル51に固定する。
【0045】
収容ラック50は、図1や図2に示すように、複数のコネクタ10が取り付けられる取付パネル51と、電池ユニット70を収容する複数の電池ユニット収容部53を区画するフレーム52とを有している。電池ユニット70は、収容ラック50に対する挿入時に、収容ラック50のフレーム52によりガイドされ、収容ラック50に対する収容時には、収容ラック50のフレーム52により支持される。
【0046】
電池側コネクタ60は、電池ユニット70のケーシング71に取り付けられ、電池ユニット70を収容ラック50に挿入した際に、収容ラック50に取り付けられたコネクタ10に嵌合し、電池ユニット70に内蔵されバッテリ(2次電池)72に接続された電池側ブスバー73と、コンタクト30との間を電気的に接続するものである。電池側コネクタ60は、図3に示すように、少なくとも第2方向Yに移動可能な状態でケーシング71に取り付けられる第1の電池側ハウジング61と、第1の電池側ハウジング61に対して相対的に第2方向Yにスライド可能に取り付けられた第2の電池側ハウジング62と、第1の電池側ハウジング61および第2の電池側ハウジング62により構成されたコンタクト収容部(図示しない)に収容される電源供給用の電池側コンタクト(図示しない)とを備えている。
【0047】
つぎに、コンタクト30の交換方法について、以下に説明する。
【0048】
ここで、本実施例のように電源供給用として用いられるコネクタ10では、大電流を流すことによる発熱等に起因してコンタクト30に損傷が生じ、コンタクト30の途中交換を必要とする場合があり、本実施例におけるコネクタ10では、以下の手順により、コンタクト30の交換を行う。
【0049】
まず、第1のボルト44を取り外すことなくハウジング20と取付パネル51とを固定したままの状態で、ハウジング20およびコンタクト30およびブスバー54を取付パネル51に固定する第2のボルト45を、ハウジング20の正面側から取り外す(第1の手順)。
【0050】
次に、ハウジング20からスペーサ部材43を、ハウジング20の正面側から取り外す(第2の手順)。なお、第1の手順と第2の手順の順番は、上記の逆でもよい。
【0051】
ここで、第1の手順および第2の手順の後の状態では、コンタクト30は、第1部分31を、貫通孔23の縁部により第2方向Yおよび第3方向Zに移動規制され、第2部分32を、取付ベース部21および移動規制部22fにより第1方向Xに移動規制され、結果としてハウジング20により遊嵌状に保持され、ハウジング20から脱落することはない。
【0052】
次に、図6に示すように、ハウジング20に対してコンタクト30を第2方向Yの外側に向けてスライドさせることにより、貫通孔23からコンタクト30の第1部分31を抜き出すと同時に配置空間24からコンタクト30の第2部分32を抜き出し、ハウジング20の側面で外部に開口する配置空間24からコンタクト30を取り外す(第3の手順)。
【0053】
次に、新たなコンタクト30を、第1部分31を先頭にして配置空間24からハウジング20内に挿入することで、コンタクト30をハウジング20内の所定位置に配置する(第4の手順)。
【0054】
ここで、第4の手順の後の状態では、コンタクト30は、第1部分31を、貫通孔23の縁部により第2方向Yおよび第3方向Zに移動規制され、第2部分32を、取付ベース部21および移動規制部22fにより第1方向Xに移動規制され、結果としてハウジング20により遊嵌状に保持され、ハウジング20から脱落することはない。
【0055】
次に、第2のボルト45を用いて、ハウジング20およびコンタクト30およびブスバー54を取付パネル51に固定する(第5の手順)。
【0056】
最後に、スペーサ部材43をハウジング20に形成されたスペーサ保持部22dに取り付ける(第6の手順)。なお、第5の手順と第6の手順の順番は、上記の逆でもよい。
【0057】
つぎに、本実施例における収容ラック50に対するコネクタ10の配置態様、および、ブスバー54によるコネクタ10間の接続態様について、本実施例の実施態様を示す図7、および、比較例の実施態様を示す図8に基づいて、以下に説明する。
【0058】
まず、本実施例では、図7に示すように、第1方向Xに見た場合に、電池ユニット収容部53が、3行×4列(第2方向Y×第3方向Z)のマトリクス状に区画され、また、これに伴い、各コネクタ10が、取付パネル51に対して3行×4列(第2方向Y×第3方向Z)のマトリクス状に取り付けられている(条件1)。なお、具体的な行数および列数は、上記に限定されない。
【0059】
また、本実施例では、電池ユニット70と電池ユニット収容部53との組み合わせが限定されないことを目的に、すなわち、どの電池ユニット70をどの電池ユニット収容部53に収容してもよいように、全ての電池ユニット収容部53、および、全てのコネクタ10、および、全ての電池ユニット70は、同一に構成されている(条件2)。
【0060】
また、本実施例では、前述したように、各コネクタ10が、ブスバー54により直列に接続されている(条件3)。
【0061】
そして、上記の条件1〜条件3を満たしつつ、ブスバー54を用いて各コネクタ10を直列に接続する場合、図7(または図8)に示すように、上方に位置するコネクタ10の右側(または左側)のコンタクト30と、下方に位置するコネクタ10の左側(または右側)のコンタクト30とを、ブスバー54により斜めに接続することにより、第3方向Zに並列した複数のコネクタ10を接続し、また、第2方向Yに沿って配置されるブスバー54により、第2方向Yに隣接するコネクタ10を接続することになる。
【0062】
ここで、第3方向Zにおける各電池ユニット収容部53の寸法M、および、第2方向Yにおける各電池ユニット収容部53の寸法Lは、電池ユニット70の第2方向Yの寸法および第3方向Zの寸法に応じて決定される。そのため、比較例の図8に示すように、ブスバー54との接続部(本実施例ではコンタクト30に形成されたボルト孔32aの周辺部分)を各コンタクト30に1箇所ずつ設けた場合、第3方向Zにコネクタ10を接続するブスバー54(54A)の寸法と、第2方向Yにコネクタ10を接続するブスバー54(54B)の寸法関係を調整するのが難しく、2種類の寸法のブスバーを必要とすることになる。
【0063】
そこで、本実施例では、図7に示すように、各コンタクト30に接続部を2箇所ずつ設け、当該2箇所の接続部を第3方向Zに並列させることにより、第3方向Zにコネクタ10を接続するブスバー54(54A)の必要寸法を調節し、第3方向Zにコネクタ10を接続するブスバー54(54A)の寸法と、第2方向Yにコネクタ10を接続するブスバー54(54B)の寸法を同一にしている。
【0064】
本発明では、ハウジング20の側面側からコンタクト30を挿抜することが可能であるようにコネクタ10を構成することにより、電池側コネクタ(接続対象物)60との嵌合部22が配置されたハウジング20の正面側からコンタクト30の挿抜作業を行うことが可能であるため、作業スペースを確保しやすく、コネクタ10を取付パネル(取付対象物)51に取り付けた状態でコンタクト30の交換作業を簡便に達成でき、また、取付パネル(取付対象物)51の背面側に作業スペースを確保する必要がなく、装置の省スペース化を実現できる。
【0065】
なお、上述した実施例では、コンタクトが、電源供給用コンタクトであるものとして説明したが、信号コンタクトとして用いてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 ・・・ コネクタ
20 ・・・ ハウジング
21 ・・・ 取付ベース部
21a ・・・ 第1のボルト孔
21b ・・・ 第2のボルト孔
21c ・・・ ガイド部
22 ・・・ 嵌合部
22a ・・・ 収容枠部
22b ・・・ 底部
22c ・・・ 収容空間
22d ・・・ スペーサ保持部
22e ・・・ ガイド部
22f ・・・ 移動規制部
23 ・・・ 貫通孔
24 ・・・ 配置空間
25 ・・・ 信号用ハウジング保持部
30 ・・・ コンタクト
31 ・・・ 第1部分
32 ・・・ 第2部分
32a ・・・ ボルト孔
40 ・・・ 信号用ハウジング
40a ・・・ 取付バネ部
41 ・・・ ナット
42 ・・・ ガスケット
43 ・・・ スペーサ部材
44 ・・・ 第1のボルト
45 ・・・ 第2のボルト
50 ・・・ 収容ラック
51 ・・・ 取付パネル(取付対象物)
52 ・・・ フレーム
53 ・・・ 電池ユニット収容部
54 ・・・ ブスバー
55 ・・・ 信号線(電線)
60 ・・・ 電池側コネクタ(接続対象物)
61 ・・・ 第1の電池側ハウジング
62 ・・・ 第2の電池側ハウジング
70 ・・・ 電池ユニット
71 ・・・ ケーシング
72 ・・・ バッテリ
73 ・・・ 電池側ブスバー
X ・・・ 第1方向(挿入方向)
Y ・・・ 第2方向
Z ・・・ 第3方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物に固定されるハウジングと、前記ハウジングにより保持されるコンタクトとを備え、
前記ハウジングは、前記取付対象物に固定される取付ベース部と、前記取付ベース部より正面側に配置され、接続対象物を収容する収容空間を規定する収容枠部および底部を有する嵌合部と、前記嵌合部の前記底部に形成された貫通孔と、前記貫通孔の背面側の端部から前記ハウジングの側面側に向けて形成され前記貫通孔に連通するとともに前記ハウジングの側面側で外部に開口する配置空間とを有し、
前記コンタクトは、一部が前記貫通孔内に配置されるとともに一部が前記収容空間内に配置される第1部分と、前記第1部分に連なり前記配置空間内に少なくとも一部が配置される第2部分とを一体に有し、
前記貫通孔および前記配置空間は、前記第1部分を先頭にして前記コンタクトを前記ハウジングの側面から前記配置空間を通して前記ハウジング内に挿入することで、前記コンタクトを前記ハウジング内の所定位置に配置させることが可能な大きさで形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記コンタクトの前記第1部分は、前記貫通孔の縁部により、前記接続対象物を挿入する挿入方向及び前記挿入方向に直交する方向への移動を規制されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コンタクトの前記第1部分および前記第2部分は、平板状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記コンタクトの前記第2部分は、前記接続対象物を挿入する挿入方向に見た場合に、前記収容枠部より外側に位置する部分を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記コンタクトの前記第2部分は、前記収容枠部より外側に位置する上部および下部に、前記挿入方向に沿って貫通形成されたボルト孔を有していることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記取付ベース部は、前記接続対象物を挿入する挿入方向に沿って貫通形成されたボルト孔を有し、
前記取付ベース部の前記ボルト孔は、前記挿入方向に見た場合に前記収容枠部より外側に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記取付ベース部は、前記挿入方向に沿って貫通形成されたボルト孔を有し、
前記取付ベース部の前記ボルト孔は、前記挿入方向に見た場合に前記収容枠部より外側に形成され、
前記コンタクトの前記第2部分の前記ボルト孔と、前記取付ベース部の前記ボルト孔の少なくとも一部は、前記挿入方向に重なっていることを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記貫通孔の縁部に対して前記コンタクトの前記第1部分を押し当てるスペーサ部材を更に備え、
前記嵌合部の前記底部には、前記スペーサ部材を正面側から着脱可能に保持するスペーサ保持部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記嵌合部の前記収容枠部の内側壁には、前記接続対象物の挿入をガイドするガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記嵌合部には、前記接続対象物を挿入する挿入方向に対向する前記取付ベース部の一部と協働して前記コンタクトの前記第2部分の前記挿入方向における移動を規制する移動規制部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記取付ベース部には、前記ハウジングに前記コンタクトを着脱する際に前記コンタクトの前記第2部分をガイドするガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項12】
信号用コンタクトを更に備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のコネクタと、前記コネクタが取り付けられる収容ラックとを備えていることを特徴とするコネクタを備えた収容ラック。
【請求項14】
前記コネクタが、複数設けられ、
前記複数のコネクタが、前記収容ラックの取付パネルに対してマトリクス状に取り付けられ、
2つの前記コネクタの前記コンタクト間を接続するブスバーを更に備えていることを特徴とする請求項13に記載のコネクタを備えた収容ラック。
【請求項15】
前記取付パネルに取り付けられた複数のコネクタが、前記ブスバーにより直列に接続されていることを特徴とする請求項14に記載の収容ラック。
【請求項16】
前記コネクタは、電線に結線された信号用コンタクトを更に備え、
前記複数のコネクタが、前記電線により直列に接続されていることを特徴とする請求項13乃至請求項15のいずれか1項に記載の収容ラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−25938(P2013−25938A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158002(P2011−158002)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【特許番号】特許第5112544号(P5112544)
【特許公報発行日】平成25年1月9日(2013.1.9)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】