説明

コネクタおよび電子機器

【課題】プラグの挿抜に応じて止水機能を得ることにある。
【解決手段】プラグ(6)を挿抜させるプラグ挿抜部(12)を備えたコネクタ筐体(8)の前記プラグ挿抜部に可動パッキン(10)が摺動可能に設置されている。可動パッキン(10)は、前記プラグ挿抜部に摺動可能に設置され、前記プラグの挿抜に追従して前記プラグ挿抜部内を移動し、前記プラグ挿抜部から前記プラグの離脱により前記プラグ挿抜部の挿抜口(14)を閉塞する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル端末などの電子機器にイヤホンなどの外部機器との接続に用いられるコネクタおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル端末などの電子機器では、ヘッドホンなどの外部機器の接続にコネクタが用いられている。このようなコネクタのプラグ挿抜部への浸水や異物の侵入を防止するには防水タイプのコネクタが用いられている。
【0003】
防水性に優れるコネクタとして、特許文献1には中空ホルダの内部にスライド自在に装着されたピンの周囲を防水する防水リングを備えるコネクタが記載されている。
【0004】
コネクタ構造に関し、特許文献2にはプラグ側またはコネクタ側にある複数の接点端子を分離させるリング状の弾性シール部材を備えることが開示されている。
【0005】
また、コネクタの防水構造に関し、特許文献3には筐体の開口部と受け側コネクタとの間に第1の防水部、筐体の開口部の外側に設けられるプラグ側コネクタとの防水を図る第2の防水部を備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−296882号公報
【特許文献2】特開2009−59580号公報
【特許文献3】特開2010−86672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、コネクタには図24の(A)に示すように、受け側コネクタであるジャック300のプラグ挿抜部302に複数の接点端子304を備えるとともに、プラグ306を挿抜させる挿抜口308が開口されている。このため、ジャック300は、筐体部310を止水構造としても、プラグ挿抜部302は挿抜口308で外気に開放され、浸水やごみの侵入を阻止することができない。そして、図24の(B)に示すように、プラグ306を装着しても、挿抜口308は密封されないので、プラグ挿抜部302への浸水やごみの侵入を阻止することができない。
【0008】
また、防水構造を備えるコネクタであっても、また、プラグの挿抜口を開閉する蓋を備えたコネクタであっても、プラグの挿抜範囲は止水されておらず、水に触れると、コネクタ内に水滴が残留する場合がある。残留水の除去のために機器を振るなど、機器に過度な振動や衝撃を与えることは好ましくない。また、コネクタ内の残留水の除去は難く、残留水の放置はさびの原因や漏出しなどの課題がある。
【0009】
コネクタへの浸水やゴミなどの異物の侵入、堆積を防止するには、コネクタのプラグ挿抜口をキャップで塞ぐことが行われるが、係る構成は、コストの増加やユーザに開閉の手間がある。また、このようなキャップの設置や、その開閉機構が他の部品の実装スペースに影響し、または、閉じなければ止水できないばかりか、キャップを止める固定爪にへたりを生じ閉状態で固定できない場合には、止水機能が損なわれるという課題がある。
【0010】
そこで、本開示のコネクタおよび電子機器の目的は、上記課題に鑑み、プラグの挿抜に応じて止水機能を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本開示のコネクタまたは電子機器は、プラグを挿抜させるプラグ挿抜部を備えたコネクタ筐体の前記プラグ挿抜部に可動パッキンが摺動可能に設置されている。可動パッキンは、前記プラグ挿抜部に摺動可能に設置され、前記プラグの挿抜に追従して前記プラグ挿抜部内を移動し、前記プラグ挿抜部から前記プラグの離脱により前記プラグ挿抜部の挿抜口を閉塞する。
【発明の効果】
【0012】
本開示のコネクタまたは電子機器によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0013】
(1) プラグを挿抜するプラグ挿抜部からプラグを離脱させた際に、プラグ挿抜部の挿抜口側に移動した可動パッキンにより挿抜口が閉じられるので、コネクタ内への異物の侵入や浸水を防止できる。
【0014】
(2) コネクタにプラグが装着されていた際に、プラグ挿抜部に異物の侵入や浸水が生じても、プラグに追従して移動する可動パッキンにより異物や浸水をプラグ挿抜部外に排出できる。
【0015】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係るコネクタの一例を示す図である。
【図2】可動パッキンによる止水構造の一例を示す図である。
【図3】プラグの着脱前後を示す図である。
【図4】プラグによる可動パッキンの摺動を示す図である。
【図5】プラグによる可動パッキンの摺動を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る携帯端末装置の一例を示す図である。
【図7】携帯端末装置のコネクタ部分を分解して示す分解斜視図である。
【図8】携帯端末装置のコネクタの底面部の端子配置を示す図である。
【図9】ケースに固定されたコネクタを前面側から見て示す図である。
【図10】図9のX−X線断面を示す断面図である。
【図11】図9のXI−XI線断面を示す断面図である。
【図12】図11のXIIA−XIIA線断面、XIIB−XIIB線断面およびXIIC−XIIC線断面を示す断面図である。
【図13】図11のXIIIA −XIIIA 線断面、XIIIB −XIIIB 線断面およびXIIIC −XIIIC 線断面を示す断面図である。
【図14】コネクタの各部材を示す分解斜視図である。
【図15】プラグ挿抜部内の可動パッキンを示す断面図である。
【図16】可動パッキンの接点端子の一例を示す斜視図である。
【図17】プラグの挿抜を示す図である。
【図18】プラグおよびジャック間の接点端子の接続前後を示す図である。
【図19】可動パッキン側の接点端子とジャック側の接点端子の導通状態を示す断面図である。
【図20】プラグの挿抜を示す図である。
【図21】第3の実施の形態に係るコネクタによるステレオヘッドホン接続を示す図である。
【図22】コネクタによるヘッドセット接続を示す図である。
【図23】第4の実施の形態に係る止水構造の一例を示す図である。
【図24】従来のコネクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1の実施の形態〕
【0018】
図1は第1の実施の形態に係るコネクタを示している。図1に示す構成は一例であり、係る構成に本発明が限定されるものではない。
【0019】
図1に示すコネクタ2は受け側コネクタとしてジャック4と、挿抜側コネクタとしてプラグ6のいずれか一方または双方を備えている。ジャック4にはコネクタ筐体8と可動パッキン10とが備えられている。
【0020】
コネクタ筐体8は絶縁材料で形成され、プラグ6を挿抜させるプラグ挿抜部12を備えている。このプラグ挿抜部12は可動パッキン10を摺動可能に支持するシリンダであり、摺動可能に装着された可動パッキン10の摺動範囲を規制している。したがって、プラグ6を挿抜させる挿抜口14には始端側ストッパ16、プラグ挿抜部12の終端側には終端側ストッパ18がコネクタ筐体8によって形成されている。
【0021】
プラグ6との電気的な着脱を行うため、プラグ挿抜部12には接点端子20、22、24、26が形成されている。また、可動パッキン10には接点端子26と着脱される接点端子28が形成されている。
【0022】
プラグ6は、絶縁支持部30の端部に基端導体部としてのシェル32を備え、このシェル32から先端方向に複数の接点端子34、36、38、40が絶縁部42を介在させて配置されている。先端部にある接点端子40には可動パッキン10と着脱させる可動パッキン着脱部44が形成されている。
【0023】
接点端子40には同径の第1および第2の径大部46、48を備えるとともに、径小部50を備えている。該径小部50から径大部48に向かって緩やかに傾斜して径大化する錐状部52を備えている。また、最先端部側には先端錐状部54が備えられている。
【0024】
図2はコネクタ筐体8の一部と可動パッキン10を示している。可動パッキン10は、絶縁性弾性体で形成されたパッキン本体部58を備えている。このパッキン本体部58はコネクタ筐体8のプラグ挿抜部12の内径より小径の小径部60を備えるとともに、プラグ挿抜部12の内径より大径のシール部62を備えている。このシール部62はプラグ挿抜部12の止水部である。このシール部62はプラグ挿抜部12の内径と同心環状であり、プラグ挿抜部12に密着して摺動可能である。
【0025】
このパッキン本体部58には既述の可動パッキン着脱部44に装着させるプラグ着脱部64が形成されている。このプラグ着脱部64の内壁部にはプラグ6の接点端子40と接続される接点端子28が形成されている。この接点端子28は、プラグ着脱部64の内面に設置された導体であり、パッキン本体部58に剛性を付与する補強部材を構成するとともにパッキン本体部58の後方に突出し、コネクタ筐体8側にある既述の接点端子26と電気的に開閉可能である。
【0026】
このコネクタ2の着脱ないし電気的な接続関係について図3、図4および図5を参照する。図3はプラグ6の着脱を示し、図4はプラグ6とジャック4との接続前後を示し、図5はプラグ6とジャック4との離脱前後を示している。
【0027】
プラグ6の装着前には図3の(A)に示すように、ジャック4のプラグ挿抜部12の挿抜口14側に可動パッキン10が待機状態にあり、挿抜口14を閉鎖している。この挿抜口14からプラグ6の可動パッキン着脱部44の先端側を図3の(B)に示すように、可動パッキン10のプラグ着脱部64に挿入する。この状態からプラグ6をプラグ挿抜部12に挿入すると、図4の(A)に示すように、プラグ6に追従して可動パッキン10がプラグ挿抜部12を移動し、図4の(B)に示すように、終端部に到達させることができる。可動パッキン10はプラグ挿抜部12の終端側ストッパ18に当たると、その移動が阻止される。これにより、プラグ挿抜部12の終端部にプラグ6が到達したことが分かる。そして、図4の(B)に示すように、接点端子20−接点端子34、接点端子22−接点端子36、接点端子24−接点端子38、接点端子26−接点端子28−接点端子40が導通状態となる。
【0028】
この導通状態にあるプラグ6を引き出す場合には、図5の(A)に示すように、プラグ6と一体化している可動パッキン10がプラグ6に追従してプラグ挿抜部12の挿抜口14側に移動する。この状態からプラグ6を引き抜くと、図5の(B)に示すように、可動パッキン10が始端側ストッパ16に当たってプラグ挿抜部12からの離脱が阻止され、プラグ6のみがプラグ挿抜部12から離脱する。そして、可動パッキン10はプラグ挿抜部12の挿抜口14を塞ぎ、プラグ挿抜部12へのごみの侵入や浸水を阻止する。
【0029】
〔第2の実施の形態〕
【0030】
図6および図7は第2の実施の形態に係る携帯端末装置を示している。図6および図7に示す構成は一例であり、係る構成に本発明が限定されるものではない。図6において図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0031】
図6に示す携帯端末装置66は本発明の電子機器の一例である。この携帯端末装置66には既述のコネクタ2を備え、このコネクタ2はジャック4とプラグ6とを備えている。プラグ6にはイヤホンやヘッドセットなどの電子機器が接続され、この電子機器がジャック4との着脱によって接続またはその接続解除を行うことができる。
【0032】
携帯端末装置66には図7に示すように、筐体として前面ケース68と背面ケース70とが備えられている。前面ケース68に配置された回路基板72には、ジャック4と接続するための接続部74、76、78、80が取り付けられている。各接続部74、76、78、80は、導体金属の弾性を利用した弾性接点を構成している。
【0033】
ジャック4には一例として直方体形状のコネクタ筐体8が備えられている。このコネクタ筐体8の両側面部には固定部材としてブラケット82が形成されている。各ブラケット82には固定ねじ84を貫通させる貫通孔86が形成されている。背面ケース70には固定ねじ84を固定するねじ孔88が形成されている。コネクタ筐体8は背面ケース70の天井面に配置され、ブラケット82の貫通孔86を貫通させた固定ねじ84をねじ孔88に取り付け、背面ケース70にコネクタ筐体8が固定される。背面ケース70に固定されたコネクタ筐体8の挿抜口14は背面ケース70の側面に設けた開口部90から露出させる。開口部90は、挿抜口14と同心円状に形成され、挿抜口14に対するプラグ6の挿抜に用いられる。
【0034】
図8はコネクタ4の底面を示している。コネクタ筐体8の底面には、長方形状の位置決め部材92が形成されている。この位置決め部材92の周囲にはジャック4の接続部94、96、98、100が配置されている。これら接続部94、96、98、100は対応する既述の接続部74、76、78、80と導通し、回路基板72に搭載されている音声回路などの回路部と接続されている。
【0035】
図9はコネクタ4の正面を示している。コネクタ筐体8の正面に形成されている挿抜口14の周囲部には止水部材であるパッキンの一例としてOリング102が設置されている。このOリング102はコネクタ筐体8に挿抜口14と同心円状に形成された凹部106にはめ込まれて設置されている。このOリング102は小径の透孔104を備えている。これにより、透孔104からプラグ挿抜部12に装着されたプラグ6のシェル32(図1)はOリング102と密着し、プラグ挿抜部12への浸水やごみの侵入を防止する。
【0036】
図9において、X−X線部分で切断すると、図10に示すように、コネクタ筐体8のプラグ挿抜部12が短径方向に切断される。XI−XI線部分で切断すると、図11に示すように、コネクタ筐体8のプラグ挿抜部12が長径方向に切断される。プラグ挿抜部12は断面長円形のシリンダを構成し、このプラグ挿抜部12には可動パッキン10が摺動可能に取り付けられている。
【0037】
図10および図11に示すように、プラグ挿抜部12には接点端子20、22、24、26が形成され、可動パッキン10には接点端子28が形成されている。これら接点端子20、22、24、26および28は弾性を有するとともに導電性の高い金属または同等の材料で形成されている。
【0038】
図12および図13は図11に示すコネクタ筐体8に支持した各部断面(図11のXIIA−XIIA線断面、XIIB−XIIB線断面、XIIC−XIIC線断面、XIIIA −XIIIA 線断面、XIIIB −XIIIB 線断面およびXIIIC −XIIIC 線断面)を示している。
【0039】
始端側ストッパ16の前側に設置されているOリング102には図12の(A)に示すように、プラグ6の接点端子34、36、38、40が挿通可能な透孔104が備えられている。始端側ストッパ16の円形の挿抜口14の前方には、図12の(B)に示すように、可動パッキン10のプラグ着脱部64の着脱口108が挿抜口14と同心円上に配置されている。長円形のシリンダを構成するプラグ挿抜部12に装着されている可動パッキン10は、図12の(C)に示すように、プラグ挿抜部12と相似形の断面長円形である。この可動パッキン10の前部には接点端子28のフランジ部110が配置され、このフランジ部110はプラグ挿抜部12と相似形であるとともに、プラグ挿抜部12の開口断面より小さく形成されている。このフランジ部110の短径部側には切欠部112が形成されている。各切欠部112は、プラグ挿抜部12の内壁と可動パッキン10の周面との間に空間を形成している。可動パッキン10の摺動によりシール部62でプラグ挿抜部12から掻き出される水分やごみなどが各切欠部112からプラグ挿抜部12の外部に排出させることができる。
【0040】
プラグ挿抜部12の内壁には図13の(A)および(B)に示すように、可動パッキン10のシール部62が密着しており、プラグ挿抜部12が可動パッキン10によって閉塞されている。そして、図13の(C)に示すように、プラグ挿抜部12は長円形の内壁面を備えており、同様に長円形である可動パッキン10は周面方向の回転が阻止されている。この回転阻止により、摺動時の可動パッキン10のぶれを防止することができる。
【0041】
このようにジャック4には図14に示すように、コネクタ筐体8、可動パッキン10、接点端子20、22、24、26、28およびOリング102が備えられている。
【0042】
コネクタ筐体8のプラグ挿抜部12は可動パッキン10を摺動可能に設置して挿抜口14を塞いでいる。また、コネクタ筐体8は、各接点端子20、22、24、26、28を絶縁して支持し且つ固定する部材である。このコネクタ筐体8は一例として第1および第2の筐体部114、116を備え、各筐体部114、116は、合成樹脂などの絶縁材料で形成されている。この場合、各筐体部114、116は接合によってコネクタ筐体8に一体化される。接点端子20、22、24、26、28は筐体部114、116のインサート成形によって固定すればよい。
【0043】
筐体部114のプラグ挿抜部12の側面部には、接点端子20および接点端子24を設置する溝部118、接点端子22を設置する溝部120が形成され、プラグ挿抜部12の後部には接点端子26を配置する溝部122が形成されている。また、筐体部114のプラグ挿抜部12の側面には、接点端子20を突出させる窓部124、接点端子22を突出させる窓部126、接点端子24を突出させる窓部128、接点端子26を突出させる窓部130が形成されている。この窓部130の周囲部には可動パッキン10を停止させる終端側ストッパ18が形成されている。
【0044】
接点端子20は単一の導電性の良い弾性を備えた金属板で成形されている。この接点端子20には平坦面に形成された既述の接続部94が形成され、この接続部94には筐体部114を貫通する支柱部132が形成されている。この支柱部132には進退可能なアーム部134が形成され、このアーム部134の先端側を屈曲させて接点部136が形成されている。この接点部136がプラグ挿抜部12に対し可動パッキン10の進退方向と交差方向に進退可能に窓部124から突出する。
【0045】
接点端子22は接点端子20と同様の金属板で成形されている。この接点端子22には平坦面に形成された既述の接続部96が形成され、この接続部96には筐体部114を貫通する支柱部138が形成されている。この支柱部138には進退可能なアーム部140が形成され、このアーム部140の先端側を屈曲させて接点部142が形成されている。この接点部142がプラグ挿抜部12に対し可動パッキン10の進退方向と交差方向に進退可能に窓部126から突出する。
【0046】
接点端子24は接点端子20と同様の金属板で成形されている。この接点端子24には平坦面に形成された既述の接続部98が形成され、この接続部98には筐体部114を貫通する支柱部144が形成されている。この支柱部144には進退可能なアーム部146が形成され、このアーム部146の先端側を屈曲させて接点部148が形成されている。この接点部148がプラグ挿抜部12に対し可動パッキン10の進退方向と交差方向に進退可能に窓部128から突出する。
【0047】
接点端子26は接点端子20と同様の金属板で成形されている。この接点端子26には平坦面に形成された既述の接続部100が形成され、この接続部100には筐体部114を貫通する支柱部150が形成されている。この支柱部150には頂部側を屈曲させて接点部152が形成されている。この接点部152がプラグ挿抜部12に対し可動パッキン10の進退方向と交差方向に進退可能に窓部130から突出する。
【0048】
また、プラグ挿抜部12に設置された可動パッキン10は図15の(A)に示すように、接点端子28とともにパッキン本体部58を備えている。接点端子28は導電性を備え弾性を持つ金属板で形成されている。パッキン本体部58は絶縁性を備えるとともに、弾性を備えた合成樹脂の成形体である。可動パッキン10には長径方向に接点端子28およびパッキン本体部58により、始端側ストッパ16に当たって可動パッキン10の移動を阻止するストッパ部59が形成されている。
【0049】
パッキン本体部58の周囲部に形成されているシール部62はプラグ挿抜部12の内部に圧縮状態で設置されている。このシール部62は、図15の(B)に示すように、パッキン本体部58の周囲部に断面半円状の突壁部を構成している。つまり、このシール部62は、プラグ挿抜部12の内壁面に圧縮状態で密着し、パッキン本体部58とともにプラグ挿抜部12の止水部材を構成している。この場合、プラグ挿抜部12の長径幅をWL1、パッキン本体部58側のシール部62の長径幅をWL2とすると、これらの大小関係はWL2>WL1であり、WL2−WL1=ΔWLが圧縮幅である。この場合、プラグ挿抜部12の短径幅をWS1、パッキン本体部58側のシール部62の短径幅をWS2とすると、これらの大小関係はWS2>WS1であり、WS2−WS1=ΔWS×2が圧縮幅となる。
【0050】
この可動パッキン10に設置されている接点端子28は、図16の(A)に示すように、着脱口108から後方に向かって径大となる円錐台状の接点本体154が備えられている。この接点本体154の前部側には切欠部112を両側に備えたフランジ部110が形成されている。この接点本体154の後部側には接点部156が形成されている。
【0051】
この接点端子28とプラグ6の可動パッキン着脱部44との着脱を容易にするため、図16の(B)に示すように、フランジ部110および接点本体154にスリット158を形成している。このようなスリット158が、接点端子28およびパッキン本体部58が挿抜するプラグ6によって拡開し、プラグ6との着脱を容易化できる。
【0052】
このコネクタ2の着脱および電気的な接続関係について図17、図18、図19および図20を参照する。
【0053】
プラグ6をジャック4に装着する場合、図17の(A)に示すように、ジャック4のプラグ挿抜部12の挿抜口14側に可動パッキン10が待機状態にあるので、可動パッキン10で挿抜口14が閉鎖されている。
【0054】
このように待機状態にある可動パッキン10の着脱口108に挿抜口14からプラグ6の可動パッキン着脱部44を合せ、図17の(B)に示すように、可動パッキン10のプラグ着脱部64に挿入する。この状態からプラグ6をプラグ挿抜部12に挿入し、図18の(A)に示すように、プラグ6を押し込む。このプラグ6の移動に追従して可動パッキン10がプラグ挿抜部12を移動する。
【0055】
可動パッキン10がプラグ挿抜部12の終端側ストッパ18に当たって停止すると、プラグ6に加えられた力が終端側ストッパ18で停止している可動パッキン10に加わる。この結果、プラグ6の可動パッキン着脱部44が可動パッキン10のプラグ着脱部64に挿入され、図18の(B)に示すように、プラグ6と可動パッキン10とが合体する。
【0056】
これにより、プラグ挿抜部12の終端部にプラグ6が到達したことが分かる。そして、図18の(B)に示すように、接点端子20−接点端子34、接点端子22−接点端子36、接点端子24−接点端子38が導通状態となるとともに、図19に示すように、接点端子26−接点端子28−接点端子40が導通状態となる。
【0057】
この導通状態にあるプラグ6を引き出す場合には、図20の(A)に示すように、プラグ6と一体化している可動パッキン10がプラグ6に追従してプラグ挿抜部12の挿抜口14側に移動する。この状態からプラグ6を引き抜くと、図20の(B)に示すように、可動パッキン10が始端側ストッパ16に当たってプラグ挿抜部12からの離脱が阻止され、プラグ6のみがプラグ挿抜部12から離脱する。そして、可動パッキン10は待機状態となり、プラグ挿抜部12の挿抜口14を塞ぎ、プラグ挿抜部12へのごみの侵入や浸水を阻止することができる。
【0058】
〔第2の実施の形態の作用効果〕
【0059】
(1) プラグ6の挿抜に追従してプラグ挿抜部12を移動する可動パッキン10は止水機能を有し、プラグ不使用時はプラグ挿抜部12の挿抜口14を可動パッキン10によって閉鎖することができる。これにより、プラグ挿抜部12への浸水や異物の混入を阻止することができる。プラグ使用時にプラグ挿抜部12への浸水や侵入した異物は、プラグ6の抜去時にプラグ挿抜部12から掻き出し、挿抜口14からOリング102の透孔104より外部に排出できる。
【0060】
(2) 可動パッキン10を備えたジャック構造を従来のコネクタジャックと比較した場合、ジャック4内に可動パッキン10を追加し、プラグの挿抜に追従して可動パッキン10を移動させる構造である。このため、プラグ装着の際、可動パッキン10はプラグ6の先端によってプラグ挿抜部12に押し込まれ、プラグ抜去の際、可動パッキン10はプラグ6に追従して移動し、プラグ6から離脱する。このため、可動パッキン10はプラグ6の挿抜の邪魔になることはない。つまり、プラグ6を挿入する過程で可動パッキン10はプラグ6に固定され、プラグ6を引き抜く際、可動パッキン10が追従して挿抜口14まで移動するが、始端側ストッパ16により可動パッキン10はプラグ挿抜部12に待機することになり、プラグ6のみが挿抜口14から抜ける。
【0061】
(3) プラグ6から離脱した可動パッキン10は前端が始端側ストッパ16に当たってプラグ挿抜部12を閉鎖し、プラグ挿抜部12への浸水や異物の侵入を防止する。このようなコネクタ2では、防水、防塵の機能を高めることができる。しかも、従来のキャップ構造に比べ、プラグ6の挿抜と別個の開閉動作を必要とせず、他の実装スペースへの影響やキャップの爪嵌合不具合も生じないという利点もある。
【0062】
(4) プラグ6をプラグ挿抜部12の終端側まで挿入すると、プラグ6のシェル32がプラグ挿抜部12の挿抜口14の前側にあるOリング102に密着させることができる。この結果、Oリング102とプラグ6の装着とにより、プラグ挿抜部12が閉鎖され、プラグ挿抜部12への浸水や異物の侵入を防止でき、プラグ使用時にも防水、防塵の機能が得られる。
【0063】
〔第3の実施の形態〕
【0064】
図21および図22は第3の実施の形態に係るステレオヘッドホンやヘッドセットの接続形態を示している。図21および図22において図6と同一部分には同一符号を付してある。
【0065】
図21に示すように、プラグ6にはステレオヘッドホン160が接続され、ステレオヘッドホン160には左チャネル側イヤホン160L、右チャネル側イヤホン160Rが備えられている。このプラグ6をジャック4に装着すると、左チャネル側イヤホン160Lにはプラグ6を通して左チャネルの出力増幅器162Lに接続され、左信号SLが出力される。右チャネル側イヤホン160Rにはプラグ6を通して右チャネルの出力増幅器162Rに接続され、右信号SRが出力される。これにより、左右音声が左チャネル側イヤホン160L、右チャネル側イヤホン160Rにより再生される。
【0066】
また、図22に示すように、プラグ6にはヘッドセット164が接続され、このヘッドセット164にはマイクロフォン166が備えられているとともに、既述の左チャネル側イヤホン160L、右チャネル側イヤホン160Rが備えられている。このプラグ6をジャック4に装着すると、マイクロフォン166はプラグ6を通して増幅器168に接続され、音声が電気信号に変換されて増幅器168で増幅され、音声信号Siとして携帯端末装置66に入力される。
【0067】
ステレオヘッドホン160側の構成については図21と同様であるので、同一符号を付し、その説明を割愛する。
【0068】
〔第4の実施の形態〕
【0069】
図23は第4の実施の形態に係るコネクタを示している。図23において図6と同一部分には同一符号を付してある。
【0070】
第2の実施の形態ではコネクタ筐体8の挿抜口14の前側にOリング102(図10)を設置しているが、第4の実施の形態では図23の(A)に示すように、プラグ6のシェル32側に止水部材であるパッキンの一例としてOリング170を設置している。この実施の形態ではコネクタ筐体8の挿抜口14の周囲部にOリング170が嵌まり込む凹部172が形成されている。
【0071】
このような構成では、図23の(B)に示すように、挿抜口14にプラグ6を差し込み、終端部に到達させると、プラグ6側のOリング170がコネクタ筐体8の凹部172に嵌まり込み、挿抜口14が挿入されたプラグ6およびOリング170によって閉鎖される。この結果、プラグ挿抜部12へのごみの侵入や浸水を阻止することができる。
【0072】
〔他の実施の形態〕
【0073】
(1) 上記実施の形態では携帯端末装置66を例示しているが、コネクタ2によって接続する機器であれば携帯端末装置に限定されるものではなく、各種の電子機器に用いることができる。
【0074】
(2) 上記実施の形態ではコネクタ2によって接続される電子機器としてヘッドホンやヘッドセットを例示したが、外部スピーカなどの各種の電子機器に適用できる。
【0075】
(3) 上記実施の形態では、プラグ6と可動パッキン10とを嵌合させることにより、可動パッキン10をプラグ6に追従する構造を示したが、これに限定されない。プラグ6と可動パッキン10の着脱は、機械的な嵌合のほか、圧入や摩擦力による係合、吸盤のように空気圧による吸着、磁力による吸着であってもよい。
【0076】
(4) 可動パッキン10は、樹脂やラバーなどの弾性材料と金属の一体成形品のほか、両者をねじなど固定手段によって一体化したものでもよい。
【0077】
(5) 上記実施例では3.5Φのプラグおよびジャックを例示したが、これより小径または大径のプラグおよびジャックであってもよい。
【0078】
(6) 始端側ストッパ16には、機械的な係合のほか、軽い外圧を用いてもよいし、接点板金やパッキン自身のバネ性を利用してもよい。
【0079】
以上説明したように、コネクタおよび電子機器の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0080】
2 コネクタ
4 ジャック
6 プラグ
8 コネクタ筐体
10 可動パッキン
12 プラグ挿抜部
14 挿抜口
16 始端側ストッパ
18 終端側ストッパ
20、22、24、26、28、34、36、38、40 接点端子
44 可動パッキン着脱部
58 パッキン本体部
62 シール部
64 プラグ着脱部
66 携帯端末装置
68 前面ケース
70 背面ケース
74、76、78、80、94、96、98、100 接続部
102 Oリング
104 透孔
106 凹部
108 着脱口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグを挿抜させるプラグ挿抜部を備えたコネクタ筐体と、
前記プラグ挿抜部に摺動可能に設置され、前記プラグの挿抜に追従して前記プラグ挿抜部内を移動し、前記プラグ挿抜部から前記プラグの離脱により前記プラグ挿抜部の挿抜口を閉塞する可動パッキンと、
を備えることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記可動パッキンは、前記プラグと着脱する着脱部を備えることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記プラグ挿抜部側または前記プラグ側のいずれか一方または双方にパッキンを備え、前記プラグ挿抜部に前記プラグが装着された際に前記プラグおよび前記パッキンにより前記挿抜口を閉塞することを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
プラグが着脱可能な電子機器であって、
前記プラグを挿抜させるプラグ挿抜部を備えたコネクタ筐体と、
前記プラグ挿抜部に摺動可能に設置され、前記プラグの挿抜に追従して前記プラグ挿抜部内を移動し、前記プラグ挿抜部から前記プラグの離脱により前記プラグ挿抜部の挿抜口を閉塞する可動パッキンと、
を備えることを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−41799(P2013−41799A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179952(P2011−179952)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(310022372)富士通モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】