説明

コネクタの接続状態判定装置

【課題】通電ケーブルの結線時にコネクタが確実にロックしたことを検知するコネクタの接続状態判定装置を提供する。
【解決手段】加速度センサ1を備え作業者の指先に着装する指サックと、加速度センサ1により通電ケーブルのコネクタ嵌合時の加速度信号を転送する発信機3と、発信機3から加速度信号を受信する受信機4と、受信機4で受信した加速度信号を予め記憶された周波数、音圧レベル、時間、距離の適切な接続のマスタデータと比較解析してコネクタ接続状態の適否を判定する高速フーリエ変換器5とから構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタの接続状態判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通電ケーブルを雌雄(ソケット側・プラグ側)のコネクタ12で接続結線するには図4で示すように、コネクタ12が嵌合する時の爪による「カッチン音」により作業者が認識して作業を行っている。
【0003】
作業中には外音があり、前記「カッチン音」が外音に妨げられて聞きとれない場合があり、接続不適切のハーフロック状態となることがある。コネクタ12がハーフロック状態となると通電機能が正常に作動しない等の不具合が発生する。
【特許文献1】特開2004−125711公報
【特許文献2】特開2006−73213公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、通電ケーブルの結線時にコネクタが確実にロックしたことを検知するコネクタの接続状態判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、この目的を達成するために、請求項1に記載の通り、加速度センサを備え作業者の指先に着装する指サックと、前記加速度センサにより通電ケーブルのコネクタ嵌合時の加速度信号を転送する発信機と、この発信機から前記加速度信号を受信する受信機と、この受信機で受信した前記加速度信号を予め記憶された周波数、音圧レベル、時間、距離の適切な接続のマスタデータと比較解析してコネクタ接続状態の適否を判定する高速フーリエ変換器(FFT)とから構成したことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2に記載の通り、前記高速フーリエ変換器(FFT)はコネクタ接続状態の不適切を判定したとき警報器に出力して警告音を吹鳴するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業者によるコネクタの嵌合による通電ケーブルの結線作業で高速フーリエ変換器(FFT)にてコネクタ接続状態の適否を判定するため、外音に妨げられることなくコネクタが確実にロックしたことを検知することができ、コネクタの接続状態不適切な場合は警報器により警告音を吹鳴することによりハーフロック状態による不具合を防止することができ、生産機械等への通電異常による加工品質不良の低減や手直し工数の低減が図れるという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。図1において、1は加速度センサであり、3は前記加速度センサ1により通電ケーブルのコネクタ嵌合時の加速度信号を転送する発信機である。
【0009】
前記加速度センサ1は作業者の親指等に着装する指サックに固定し、その上から作業用の手袋をはめる。また、前記発信機3は作業者の胸ポケット等に収納し、加速度センサ1から発信機3まではコードで繋ぐ。
【0010】
さらに、前記発信機3から前記加速度信号を受信する受信機4と、この受信機4で受信した前記加速度信号を予め記憶された周波数、音圧レベル、時間、距離の適切な接続のマスタデータと比較解析してコネクタ接続状態の適否を判定する高速フーリエ変換器5(FFT)とから構成 されている。
【0011】
本発明装置によるコネクタ接続状態の適否を判定処理を図2のフローで説明する。コネクタによる結線作業開始のステップ6でyesの場合はデータ収集のステップ7に進み、noの場合は結線作業開始のステップ6に戻る。
【0012】
前記データ収集のステップ7から線作業終了のステップ8に進み、yesの場合は高速フーリエ変換器5(FFT)によりデータ解析のステップ9に進み、noの場合はデータ収集のステップ7に戻り再び線作業終了のステップ8に進む。
【0013】
前記データ解析のステップ9では加速度センサ1により通電ケーブルのコネクタ嵌合時の加速度信号を高速フーリエ変換器5(FFT)で予め記憶された周波数、音圧レベル、時間、距離の適切な接続の基準データと比較解析してコネクタ接続状態の適否を判定し、ステップ10で適切な嵌合yesと判定の場合は判定処理が終了し、嵌合不適切のnoの場合はステップ11で警報を出力し警報器により警告音を吹鳴して作業者に報知する。
【0014】
コネクタの嵌合時の高速フーリエ変換器5(FFT)よる解析データについて図3で説明する。図3のAはコネクタ嵌合が不適切のハーフロック状態の解析データであり、この場合は直ちに警報を出力し警報器により警告音を吹鳴する。図3のBはコネクタが適切に嵌合しているロック状態の解析データである。つまり、加速度センサ1により取得が可能な周波数、音圧レベル、時間、距離の組み合わせについて、コネクタの適正な嵌合時のマスタデータと比較解析してコネクタ接続状態の適否を判定処理するのである。
【0015】
そこで、コネクタには各種類があり、この各種類のコネクタに対応する手段としては、各種類のコネクタ毎に適正な嵌合時のマスタデータを保持する。
【0016】
また、誤作動防止については、生産指示情報とリンクさせ、あるべきマスタデータと同じ信号が来ない時をNGとする。これにより、誤作動しても安全なように警報を出すことになる。
【0017】
このように本発明装置では、作業者によるコネクタの嵌合の作業時にコネクタが確実にロックしたことが検知され、ロックされなかった場合には警報器により警告音を吹鳴することにより外音に妨げられることなくハーフロック状態による不具合を防止することができる利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明装置の構成図
【図2】本発明装置による処理フローチャート
【図3】コネクタ嵌合時の解析データ
【図4】従来のコネクタ嵌合時の適否を判定の説明図
【符号の説明】
【0019】
1 加速度センサ1
2 手袋
3 発信機
4 受信機
5 高速フーリエ変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサを備え作業者の指先に着装する指サックと、前記加速度センサにより通電ケーブルのコネクタ嵌合時の加速度信号を転送する発信機と、この発信機から前記加速度信号を受信する受信機と、この受信機で受信した前記加速度信号を予め記憶された周波数、音圧レベル、時間、距離の適切な接続のマスタデータと比較解析してコネクタ接続状態の適否を判定する高速フーリエ変換器とから構成したことを特徴とするコネクタの接続状態判定装置。
【請求項2】
高速フーリエ変換器はコネクタ接続状態の不適切を判定したとき警報器に出力して警告音を吹鳴するようにした請求項1に記載のコネクタの接続状態判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−226506(P2008−226506A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59339(P2007−59339)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】