説明

コネクタ付きモジュール、コネクタ及びコネクタ用のアタッチメント

【課題】既存のコネクタにも適用でき、安価に誤嵌合防止パターンを実現できるコネクタ及びコネクタ用のアタッチメントを提供する。
【解決手段】相手側コネクタ20と嵌合するコネクタ10用のアタッチメント40であって、軸方向に貫通するコネクタ収容空間を有する筒状の本体部を有し、本体部の軸方向両端面に、相手側コネクタ20との嵌合を規制する嵌合規制部が設けられていることを特徴とするアタッチメント40が提供される。また、このアタッチメント40が取り付けられたコネクタ10と、このコネクタ10を用いたコネクタ付きモジュール1が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ同士の誤嵌合を防止できるコネクタ付きモジュール、コネクタ及びコネクタ用のアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタ同士の誤嵌合を防止するコネクタとして、特許文献1に記載のコネクタが知られている。このコネクタは、パネル側に固定された接続対象物に嵌合するコネクタであって、ハウジングと、パネルに阻止されて接続対象物への嵌合を規制するための嵌合規制部材と、ハウジングの外面に設けられ嵌合規制部材を着脱可能に支持する複数の支持部とを有している。嵌合規制部材を支持部に着脱することによって嵌合規制部材だけを交換したり、嵌合規制部材の位置を変えたりすることによって、このコネクタは誤嵌合を防止する組合せを提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−214024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載のコネクタでは、ハウジングが嵌合規制部材を支持する支持部を備える必要があるので、既存のコネクタにこの誤嵌合防止技術を適用することができない。したがって、コネクタ同士の誤嵌合を防止するには、既存のコネクタに代えて、誤嵌合を防止するための嵌合規制部材を着脱可能とするための構成を有するハウジングを備えたコネクタを別途用意する必要があるので費用が嵩むという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、コネクタの構造を変更する必要が無く、安価に誤嵌合を防止できるコネクタ付きモジュール、コネクタ及びコネクタ用のアタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明によれば、以下が提供される。
(1) 相手側コネクタと嵌合するコネクタ用のアタッチメントであって、
前記コネクタが接続される軸方向に貫通するコネクタ収容空間を有する筒状の本体部を有し、
前記本体部の前記軸方向の両端面に、前記相手側コネクタとの嵌合を規制する嵌合規制部が設けられていることを特徴とする。
(2) 前記アタッチメントを上下左右にそれぞれ反転させた時に、前記嵌合規制部が互いに異なる位置に配置されるように前記嵌合規制部が設けられていることを特徴とする(1)のアタッチメント。
(3) (1)または(2)のアタッチメントが外周面に取り付けられたコネクタ。
(4) パネルを有するコネクタ付きモジュールであって、
前記パネルには(3)のコネクタが接続された複数の前記相手側コネクタが設けられ、
前記パネルには前記嵌合規制部に規制されずに前記コネクタと嵌合する嵌合部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るコネクタ用のアタッチメントによれば、軸方向に延びるコネクタ収容空間を有する筒状の本体部の軸方向両端面に、相手側コネクタとの嵌合を規制する嵌合規制部が設けられている。したがって、既存のコネクタの形状を変更することなく本発明のアタッチメントを既存のコネクタに取り付けることで、安価に誤嵌合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係るコネクタ付きモジュールを示す斜視図である。
【図2】図1に示すプラグ側コネクタを示す拡大斜視図である。
【図3】図1に示すアタッチメントを示す拡大斜視図である。
【図4】アタッチメントを取り付けたプラグ側コネクタの正面図である。
【図5】本発明の変形例に係るアタッチメントの斜視図である。
【図6】図5に示すアタッチメントを取り付けたプラグ側コネクタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るコネクタ付きモジュールの実施形態の例を、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係るコネクタ付きモジュール1を示す斜視図である。本実施形態に係るコネクタ付きモジュール1は、プラグ側コネクタ(コネクタ)10と、プラグ側コネクタ10が接続されるレセプタクル側コネクタ(相手側コネクタ)20と、レセプタクル側コネクタ20を支持するパネル30とを有する。また、プラグ側コネクタ10にはアタッチメント40,40が取り付けられている。
【0011】
図2は図1に示すコネクタ付きモジュール1のプラグ側コネクタ10を拡大して示す斜視図である。図2に示すようにプラグ側コネクタ10は、光ケーブル13から延びる2本の光ファイバ11a,11bと、光ファイバ11a,11bを収容する円筒状のフェルールと、フェルールが挿入されて固定されている断面略矩形状のハウジング12と、ハウジング12から接続相手であるレセプタクル側コネクタ20側に突出する挿入部13とを有する。
【0012】
プラグ側コネクタ10の挿入部13の上面には周囲よりも内側に凹んだ凹部14が設けられている。ハウジング12から挿入部13側に延びる係止爪15が凹部14内に対応する位置に形成され、係止爪15は凹部14内で弾性変形可能である。また、係止爪15のハウジング12側の基部には解除操作部16が設けられている。正面視で、プラグ側コネクタ10は略矩形であり、係止爪15及び解除操作部16はそれぞれ挿入部13及びハウジング12から上部に向かって部分的に突出した形状である。
【0013】
レセプタクル側コネクタ20には、プラグ側コネクタ10の挿入部13を挿入可能な図示せぬ空間が形成されており、挿入部13が挿入されることで、プラグ側コネクタ10とレセプタクル側コネクタ20とが接続される。また、パネル30のプラグ側コネクタ10と接続される側の面は後述する嵌合孔31,32を除いて平坦な面である。
【0014】
プラグ側コネクタ10とレセプタクル側コネクタ20とが接続されると、プラグ側コネクタ10の係止爪15がレセプタクル側コネクタ20に設けられた係止用孔21に係止されてプラグ側コネクタ10のレセプタクル側コネクタ20からの脱落を防止する。また、解除操作部16を押し下げて係止爪15を係止用孔21から離脱させてプラグ側コネクタ10を引き抜くと、プラグ側コネクタ10をレセプタクル側コネクタ20から取り外すことができる。
【0015】
以上のようなプラグ側コネクタ10とレセプタクル側コネクタ20との誤嵌合を防止するために、図3に示すアタッチメント40がプラグ側コネクタ10に着脱自在に取り付けられる。
【0016】
図3は図1に示すアタッチメント40を拡大して示す斜視図である。図3に示すように、アタッチメント40は、プラグ側コネクタ10の接続方向である軸方向に貫通するコネクタ収容空間42が内部に形成された角筒状の本体部41により構成されている。また、本体部41の軸方向両端の上下面に切欠43が形成されている。また、アタッチメント40の本体部40の軸方向の一端面(図中のA側の面)には第1突起(嵌合規制部)44aが、軸方向の反対側端面(図中のB側の面)には第2突起(嵌合規制部)44bがそれぞれ1つずつ設けられている。なお、本実施形態では第1突起44aと第2突起44bは同軸上に形成された同一形状の突起である。
【0017】
コネクタ収容空間42はプラグ側コネクタ10のハウジング12と略同じ大きさに形成され、このコネクタ収容空間42にプラグ側コネクタ10が圧入されることによりアタッチメント40がプラグ側コネクタ10に脱落しないように取り付けられている。なお、アタッチメント40の切欠43はプラグ側コネクタ10に取り付けられた状態でプラグ側コネクタ10の係止爪15及び解除操作部16に対応する位置に設けられており、係止爪15及び解除操作部16が切欠43から外部に露出している。
【0018】
アタッチメント40には切欠43が軸方向両端の上下面に形成されているので、アタッチメント40の向きを異ならせてプラグ側コネクタ10に取り付けることができる。このとき、プラグ側コネクタ10に対する第1突起44aあるいは第2突起44bの位置を異ならせることで、誤嵌合を防止する4種類の組合せを実現することができる。図4(a)〜図4(d)を用いて具体的に説明する。
【0019】
図4はアタッチメント40が取り付けられたプラグ側コネクタ10をレセプタクル側コネクタ20に接続する側から見た正面図である。図4(a)は、第1突起44aが挿入部13より上側に位置する状態で、第1突起44aと挿入部13とが軸方向で同じ側となるようにアタッチメント40をプラグ側コネクタ10に取り付けた状態の正面図である。図4(a)に示す状態では、プラグ側コネクタ10の正面視で第1突起44aを挿入部13の左上に位置させることができる。
【0020】
図4(a)の状態を基準に、アタッチメント40を上下に反転させて(換言すれば、コネクタの軸方向を回転中心として180°回転させて)プラグ側コネクタ10に取り付けることにより、図4(b)に示すように正面視で第1突起44aを挿入部13の右下に位置させることができる。
【0021】
また、図4(a)の状態を基準に、アタッチメント40を左右に反転させて(換言すれば、図4(a)の鉛直方向を回転中心として180°回転させて)、第2突起44bと挿入部13とが軸方向で同じ側となる状態でアタッチメント40をプラグ側コネクタ10に取り付けると、図4(c)に示すように第2突起44bを挿入部13の右上に位置させることができる。
【0022】
更に、図4(c)に示した状態からアタッチメント40を上下に反転させてプラグ側コネクタ10に取り付けることにより、図4(d)に示すように第2突起44bを挿入部13の左下に位置させることができる。なお、図3,4に示したA,Bは、第1突起44aと第2突起44bとの識別を容易にするためにアタッチメント40の軸方向両端面に印刷したり刻印を施したりしてもよい。
【0023】
レセプタクル側コネクタ20を支持するパネル30には、嵌合孔(嵌合部)31,32がそれぞれ所定の誤嵌合を防止できる位置に設けられている。例えば、図1の左側のレセプタクル側コネクタ20には、挿入部13が挿入される空間の右上に嵌合孔31が設けられており、図4(a)に示すように挿入部13の左上に第1突起44aが位置するようにアタッチメント40が取り付けられたプラグ側コネクタ10のみが嵌合できる。また、図1の右側のレセプタクル側コネクタ20には、挿入部13が挿入される空間の左上に嵌合孔32が設けられており、図4(c)に示すように挿入部13の右上に第2突起44bが位置するようにアタッチメント40が取り付けられたプラグ側コネクタ10のみが嵌合できる。
【0024】
なお、誤った組合せでプラグ側コネクタ10とレセプタクル側コネクタ20とを接続しようとしても、アタッチメント40に形成された誤嵌合を規制する第1突起44aあるいは第2突起44bによって接続が阻止される。例えば、レセプタクル側コネクタ20の正面視で挿入部13が挿入される空間の右上に嵌合孔31が設けられた図1のレセプタクル側コネクタ20に、図4(b)に示すように挿入部13の右下に第1突起44aが位置するようにアタッチメント40が取り付けられたプラグ側コネクタ10を接続しようとしても、第1突起44aがパネル30の平坦な面と干渉して、プラグ側コネクタ10とレセプタクル側コネクタ20との嵌合が規制されて誤嵌合を防止できる。
【0025】
以上のように、本実施形態に係るコネクタ付きモジュール1によれば、コネクタ自身には嵌合規制部が設けられていないコネクタに、アタッチメント40を取り付けることで容易に誤嵌合を防止する機能を持たせることができる。したがって、ハウジングに誤嵌合防止機能を持たせた特別な形状のコネクタを用いることなく、既存のコネクタに安価で誤嵌合を防止できるコネクタ付きモジュール1を実現できる。
【0026】
更に、本実施形態に係るアタッチメント40を上下左右に180°回転させた時に、プラグ側コネクタ10の向きに対して第1突起44aおよび第2突起44bが異なる位置に位置するように第1突起44a及び第2突起44bが形成されている。したがって、アタッチメント40をプラグ側コネクタ10に対して取り付ける向きを異ならせるだけで、誤嵌合を防止する複数の組合せを実現できる。すなわち、誤嵌合を防止するために、プラグ側コネクタ10やアタッチメント40そのものを別の部材に取り替えたり、複数種類のアタッチメント40を用意したりする必要がないので、安価に誤嵌合を防止する複数の組合せを実現できる。
【0027】
なお、嵌合規制部としては、上述の第1突起44aおよび第2突起44bの例に限られない。例えば、図5のように、アタッチメント50の軸方向の一端面(図中Aの側の面)に一対の第1突起54a、他端面(図中Bの側の面)の第1突起54aと軸が一致しない位置に一対の第2突起54bを設けてもよい。なお、図5に示す例では一対の第1突起54aの間隔が一対の第2突起54bの間隔よりも狭く設定されている。
【0028】
アタッチメント50をプラグ側コネクタ10に取り付けた場合も図6(a)〜図6(d)に示すように4種類の誤嵌合防止パターンを実現することができる。即ち、第1突起54aが挿入部13より上側に位置する状態で挿入部13と第1突起13が同じ側となるようにアタッチメント50をプラグ側コネクタ10に取り付ければ、図6(a)に示すように、挿入部13の上側に間隔の狭い一対の第1突起54aを位置させることができる。
【0029】
図6(a)の状態を基準に、アタッチメント50を上下に180°回転させてプラグ側コネクタ10に取り付けることにより、図6(b)に示すように正面視で第1突起54aを挿入部13より下側に位置させることができる。
【0030】
また、図6(a)の状態を基準に、アタッチメント50を左右に180°回転させて、第2突起54bと挿入部13とが同じ側となる状態でアタッチメント40をプラグ側コネクタ10に取り付けると、図6(c)に示すように間隔の広い一対の第2突起54bを挿入部13より上側に位置させることができる。
【0031】
更に、図6(c)に示した状態からアタッチメント50を上下に180°回転させてプラグ側コネクタ10に取り付けることにより、図6(d)に示すように第2突起54bを挿入部13より下側に位置させることができる。
【0032】
図6(a)〜図6(d)に示すようにアタッチメント50が取り付けられたプラグ側コネクタ10に対応するようにパネル30に嵌合孔を設けることにより、4種類の誤嵌合防止組合せを備えたコネクタ付きモジュール1を実現することができる。
【0033】
また、図4に示すアタッチメント40と図6に示すアタッチメント50とを適宜組み合わせて用いれば、8種類の誤嵌合を防止できる組合せを有するコネクタ付きモジュール1を実現することができる。
【0034】
なお、上述の実施の形態ではアタッチメント40,50はプラグ側コネクタ10を圧入することにより取り付けたが、これに限られない。例えば、アタッチメントをゴム等により弾性変形可能な材質で形成し、アタッチメントの軸方向に横断するスリットを設け、スリットからプラグ側コネクタ10を装着させてもよい。また、アタッチメントを2分割体に形成してプラグ側コネクタ10を挟んだ状態でアタッチメントを一体化するようにプラグ側コネクタ10に取り付けてもよい。
【0035】
また、上述の実施形態ではアタッチメント40,50はプラグ側コネクタ10に取り付けたが、レセプタクル側コネクタ20に取り付けても良い。さらに、嵌合規制部を突起として説明したが、アタッチメント40,50に嵌合規制部として凹部を形成し、パネル30に突起を形成してもよい。
【0036】
また、上述の実施形態では、2本の光ファイバ11a,11bを備えたプラグ側コネクタ10を例に挙げて説明したが、光ファイバの本数は限定されない。また、光ファイバでなくメタル線等の信号線であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 コネクタ付きモジュール
10 プラグ側コネクタ(コネクタ)
20 レセプタクル側コネクタ(相手側コネクタ)
30 パネル
40,50 アタッチメント
41 本体部
42 コネクタ収容空間
44a,54a 第1突起(嵌合規制部)
44b,54b 第2突起(嵌合規制部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタと嵌合するコネクタ用のアタッチメントであって、
前記コネクタが接続される軸方向に貫通するコネクタ収容空間を有する筒状の本体部を有し、
前記本体部の前記軸方向の両端面に、前記相手側コネクタとの嵌合を規制する嵌合規制部が設けられていることを特徴とする。
【請求項2】
前記アタッチメントを上下左右にそれぞれ反転させた時に、前記嵌合規制部が互いに異なる位置に配置されるように前記嵌合規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアタッチメント。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアタッチメントが外周面に取り付けられたコネクタ。
【請求項4】
パネルを有するコネクタ付きモジュールであって、
前記パネルには請求項3のコネクタが接続された複数の前記相手側コネクタが設けられ、
前記パネルには前記嵌合規制部に規制されずに前記コネクタと嵌合する嵌合部が設けられていることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−249102(P2011−249102A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120172(P2010−120172)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】