説明

コネクタ及びこれを備えた電子機器

【目的】 本発明は、防水性を有するコネクタ及びこれを備えた電子機器を提供する。
【構成】 コネクタは、貫通孔111と、貫通孔111の周縁部112bとを有するケース100と、ケース100の貫通孔111に挿入された先端部211と、先端部211に連接された後端部212とを有するボディ本体210を備えたボディ200と、ボディ本体210に保持された中間部330と、ケース100の貫通孔111内に挿入された接点部310と、中間部330を挟んで接点部310の反対側に位置するテール部320とを有するコンタクト300と、ボディ本体210の後端部212とケース100の周縁部112bとを接合する絶縁樹脂製の環状接合部500とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及びこれを備えた電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタとしては、スマートフォン等の携帯端末に備えられているものがある。前記コネクタにはシリコン樹脂製のキャップが嵌合している。これにより、前記コネクタから携帯端末内部に水が侵入するのを防止している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−250629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、キャップがコネクタに嵌合してない状態で、携帯端末が誤って水に晒されると、水がコネクタから携帯端末内部に侵入してしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、防水性を有するコネクタ及びこれを備えた電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のコネクタは、貫通孔と、前記貫通孔の周縁部とを有するケースと、前記ケースの貫通孔に挿入された先端部と、前記先端部に連接された後端部とを有するボディ本体を備えたボディと、前記ボディ本体に保持された中間部と、前記ケースの貫通孔内に挿入された接点部と、前記中間部を挟んで前記接点部の反対側に位置するテール部とを有するコンタクトと、前記ボディ本体の後端部と前記ケースの貫通孔の周縁部とを接合する絶縁樹脂製の環状接合部とを具備している。
【0007】
このような発明の態様による場合、環状接合部が、ボディ本体の後端部とケースの貫通孔の周縁部とを接合しているので、ボディとケースとの間から水が侵入するのを防止することができる。しかも、環状接合部は、アウトサート成形等により作成可能な絶縁樹脂製であるので、低コストで前記コネクタの防水性及び防塵性を実現することができる。
【0008】
前記ボディは、前記ボディ本体の後端部上に設けられており且つ前記ケースの貫通孔の周縁部に当接した当接部を更に有した構成とすることが可能である。前記当接部は、前記環状接合部に埋設されている。このような発明の態様による場合、当接部が環状接合部に埋設されているので、環状接合部によるボディ本体の後端部とケースの貫通孔の周縁部との接合強度を向上させることができる。
【0009】
前記コネクタは、前記ケースの貫通孔に嵌合しており且つ前記コンタクトの接点部を囲う導電性を有する筒状のシールドケースを更に具備した構成とすることが可能である。前記ボディ本体の先端部は前記シールドケースに嵌合している。前記環状接合部が、前記ボディ本体の後端部と前記ケースの貫通孔の周縁部と前記シールドケースとを接合している。
【0010】
このような発明の態様による場合、環状接合部が、ボディ本体の後端部とケースの貫通孔の周縁部とシールドケースとを接合しているので、ボディとシールドケースとの間及びケースとシールドケースとの間から水が侵入するのを防止することができる。しかも、シールドケースによりコンタクトの接点部が囲われているので、前記コネクタのEMI(Electro-Magnetic Interference)特性等を向上させることができる。
【0011】
前記シールドケースは、前記ケースの貫通孔に嵌合した筒部と、前記筒部に連接され、前記ケースの貫通孔の周縁部に係合しており且つ前記環状接合部に埋設された係合部とを有する構成とすることが可能である。
【0012】
このような発明の態様による場合、シールドケースの係合部がケースの貫通孔の周縁部に係合しているので、前記コネクタの組み立て時にシールドケースのケースに対する位置決めを簡単に行うことができる。しかも、係合部は環状接合部に埋設されているので、環状接合部によるシールドケースとボディ本体の後端部とケースの貫通孔の周縁部との接合強度を向上させることができる。
【0013】
前記係合部は、前記筒部側に折り返された構成とすることが可能である。前記係合部は前記ケースの貫通孔の周縁部に当接する先端を有している。
【0014】
このような発明の態様による場合、係合部の先端を、ケースの貫通孔の周縁部に当接させるだけで、前記コネクタの組み立て時にシールドケースのケースに対する位置決めを簡単に行うことができる。
【0015】
前記シールドケースは、前記ケースの貫通孔に嵌合した筒部と、前記筒部に連接されており且つ前記環状接合部を貫通した接続部とを有する構成とすることが可能である。
【0016】
このような発明の態様による場合、接続部が環状接合部を貫通している。すなわち、接続部は環状接合部に部分的に埋設されているので、環状接合部によるシールドケースとボディ本体の後端部とケースの貫通孔の周縁部との接合強度を更に向上させることができる。
【0017】
前記接続部は、略U字状又は蛇行湾曲状に湾曲しており且つ前記環状接合部に埋設された湾曲部を有する構成とすることが可能である。
【0018】
このような発明の態様による場合、略U字状又は蛇行湾曲状の湾曲部が環状接合部に埋設されているので、湾曲部の環状接合部に対する沿面距離(接触面積)を増大させることができる。湾曲部と環状接合部の樹脂との間に沿って微小な隙間があったとしても、前記沿面距離が増大したことにより、前記隙間が長くなるので、当該隙間からの水及び/又は塵埃の侵入を抑止することができる。よって、前記コネクタの防水性及び防塵性を更に向上させることができる。
【0019】
前記接続部は、前記筒部に連接されており且つ前記環状接合部に埋設された基端部と、前記環状接合部から突出した先端部とを更に有する構成とすることが可能である。前記湾曲部は、前記基端部と前記先端部とに懸架された構成とすることが可能である。
【0020】
このような発明の態様による場合、略U字状又は蛇行湾曲状の湾曲部が、前記基端部と前記先端部とに懸架されている。このため、基端部及び湾曲部と、環状接合部の樹脂との間に沿って微小な隙間があったとしても、当該隙間の一部が湾曲部に沿って略U字状又は蛇行湾曲状に湾曲する。すなわち、前記隙間が基端部、湾曲部及び先端部に沿って一直線状に形成されないので、当該隙間からの水及び/又は塵埃の侵入を抑止することができる。よって、前記コネクタの防水性及び防塵性を更に向上させることができる。
【0021】
前記湾曲部は、互いに対向する第1、第2対向部と、前記第1、第2対向部の少なくとも一方に設けられており且つ前記第1、第2対向部の他方に当接し、当該第1、第2対向部間に間隙を生じさせる突起とを有する構成とすることが可能である。前記環状接合部の樹脂が、前記間隙に充填された構成とすることが可能である。
【0022】
このような発明の態様による場合、突起が前記第1、第2対向部の他方に当接することにより、第1、第2対向部間に間隙が生じている。前記間隙に環状接合部の樹脂が充填されているので、湾曲部の環状接合部に対する沿面距離(接触面積)を更に増大させることができる。よって、前記コネクタの防水性及び防塵性を更に向上させることができる。
【0023】
前記シールドケースは、前記ケースの貫通孔に嵌合した筒部と、前記筒部に連接されており且つ前記環状接合部に埋設された固定部とを有する構成とすることが可能である。
【0024】
このような発明の態様による場合、固定部は環状接合部に埋設されているので、環状接合部によるシールドケースとボディ本体の後端部とケースの貫通孔の周縁部との接合強度を向上させることができる。
【0025】
複数の前記当接部が、前記ボディ本体の後端部の外周面上に周方向に間隙を有して設けられた構成とすることが可能である。このような発明の態様の場合、ボディ本体の後端部の外周面上に周方向に間隙を有して設けられた複数の当接部が環状接合部に埋設されるので、環状接合部によるシールドケースとボディ本体の後端部とケースの貫通孔の周縁部との接合強度を向上させることができる。
【0026】
複数の前記当接部が、前記ボディ本体の後端部の外周面上に周方向に間隙を有して設けられた構成とすることが可能である。前記固定部は隣り合う前記当接部の間に嵌合する構成とすることが可能である。このような発明の態様の場合、ボディ本体の後端部の外周面上に周方向に間隙を有して設けられた複数の当接部が、環状接合部に埋設されるので、環状接合部によるシールドケースとボディ本体の後端部とケースの貫通孔の周縁部との接合強度を向上させることができる。しかも、シールドケースの固定部が隣り合う前記当接部の間に嵌合しているので、前記コネクタの組み立て時にシールドケースをボディに簡単に取り付けることができる。
【0027】
前記ケースの貫通孔の周縁部及び当接部の一方には凸部が設けられ、他方には前記凸部が嵌合した凹部が設けられている。このような発明の態様による場合、凸部が凹部に嵌合することにより、前記コネクタの組み立て時にボディをケースに簡単に取り付けることができる。
【0028】
前記コンタクトの中間部は、インサート成形により前記ボディ本体に埋め込まれていることが好ましい。このような発明の態様による場合、コンタクトの中間部が、インサート成形によりボディ本体に埋め込まれているので、コネクタの防水性及び防塵性が向上する。
【0029】
前記コネクタは、前記ケース及び環状接合部を少なくとも部分的に覆う導電性を有するシールドカバーを更に備えた構成とすることが可能である。このような発明の態様による場合、シールドカバーによりケース及び環状接合部が少なくとも部分的に覆われているので、前記コネクタのEMI特性等が更に向上する。
【0030】
前記コネクタは、前記ケース、ボディ及び環状接合部の少なくとも一つがポリアミド系樹脂で構成されていることが好ましい。このような発明の態様による場合、ポリアミド系樹脂は、他の樹脂材料に対する密着性及び金属に対する密着性が良好であるので、前記コネクタの防水性及び防塵性を向上させることができる。しかも、ポリアミド系樹脂は靱性も他の樹脂材料に比べて優れているため、前記コネクタのこじり強度が向上する。
【0031】
上述したコネクタと、前記ケースに外嵌したリング状のパッキンを更に備えた構成とすることが可能である。このような発明の態様による場合、ケースに外嵌したリング状のパッキンを、前記コネクタと、当該コネクタが内蔵される電子機器の筐体との間に介在させることが可能になる。よって、前記コネクタと前記電子機器の筐体の間からの浸水又は塵や埃が入り込むのを防止することができる。
【0032】
本発明の電子機器は、上述した何れかの態様のコネクタを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】図1Aは本発明の実施例1に係るコネクタの正面、平面及び右側面を表した斜視図である。
【図1B】図1Bは前記コネクタの背面、平面及び左側面を表した斜視図である。
【図1C】図1Cは前記コネクタの正面、底面及び右側面を表した斜視図である。
【図1D】図1Dは前記コネクタの背面、底面及び左側面を表した斜視図である。
【図2A】図2Aは前記コネクタの背面、平面及び左側面を表した斜視図であって、シールドカバーを除去し且つ環状接合部を透過させた状態を示す図である。
【図2B】図2Bは前記コネクタの背面、底面及び右側面を表した斜視図であって、シールドカバーを除去し且つ環状接合部を透過させた状態を示す図である。
【図3A】図3Aは前記コネクタの図1A中の3A−3A断面図であって、パッキンを除去した状態の図である。
【図3B】図3Bは前記コネクタの図1A中の3B−3B断面図であって、パッキンを除去した状態の図である。
【図3C】図3Cは前記コネクタの図1A中の3C−3C断面図であって、パッキンを除去した状態の図である。
【図3D】図3Dは前記コネクタの図1A中の3D−3D断面図であって、パッキンを除去した状態の図である。
【図4A】図4Aは前記コネクタの正面、平面及び右側面を表した分解斜視図である。
【図4B】図4Bは前記コネクタの正面、底面及び左側面を表した分解斜視図である。
【図5A】図5Aは本発明の実施例2に係るコネクタの正面、平面及び右側面を表した斜視図である。
【図5B】図5Bは前記コネクタの背面、平面及び左側面を表した斜視図である。
【図5C】図5Cは前記コネクタの正面、底面及び右側面を表した斜視図である。
【図5D】図5Dは前記コネクタの背面、底面及び左側面を表した斜視図である。
【図6A】図6Aは前記コネクタの背面、平面及び左側面を表した斜視図であって、シールドカバーを除去し且つ環状接合部を透過させた状態を示す図である。
【図6B】図6Bは前記コネクタの背面、底面及び右側面を表した斜視図であって、シールドカバーを除去し且つ環状接合部を透過させた状態を示す図である。
【図7A】図7Aは前記コネクタの図5A中の7A−7A断面図であって、パッキンを除去した状態の図である。
【図7B】図7Bは前記コネクタの図5A中の7B−7B断面図であって、パッキンを除去した状態の図である。
【図7C】図7Cは前記コネクタの図5A中の7C−7C断面図であって、パッキンを除去した状態の図である。
【図7D】図7Dは前記コネクタの図5A中の7D−7D断面図であって、パッキンを除去した状態の図である。
【図8A】図8Aは前記コネクタの正面、平面及び右側面を表した分解斜視図である。
【図8B】図8Bは前記コネクタの正面、底面及び左側面を表した分解斜視図である。
【図9A】図9Aは本発明の実施例3に係るコネクタの正面、平面及び右側面を表した斜視図である。
【図9B】図9Bは前記コネクタの背面、底面及び左側面を表した斜視図である。
【図10A】図10Aは前記コネクタの背面、平面及び左側面を表した斜視図であって、シールドカバー及びパッキンを除去し且つ環状接合部を透過させた状態を示す図である。
【図10B】図10Bは前記コネクタの背面、底面及び右側面を表した斜視図であって、シールドカバー及びパッキンを除去し且つ環状接合部を透過させた状態を示す図である。
【図11A】図11Aは前記コネクタの図9A中の11A−11A断面図であって、パッキンを除去した状態の図である。
【図11B】図11Bは前記コネクタの図9A中の11B−11B断面図であって、パッキンを除去した状態の図である。
【図11C】図11Cは前記コネクタの図9A中の11C−11C断面図であって、パッキンを除去した状態の図である。
【図11D】図11Dは前記コネクタの図9A中の11D−11D断面図であって、パッキンを除去した状態の図である。
【図12A】図12Aは前記コネクタの正面、平面及び右側面を表した分解斜視図である。
【図12B】図12Bは前記コネクタの正面、底面及び左側面を表した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施例1〜3について説明する。
【実施例1】
【0035】
まず、本発明の実施例1に係るコネクタについて図1A〜図4Bを参照しつつ説明する。図1A〜図2Bに示すコネクタは、ケース100と、ボディ200と、複数のコンタクト300と、シールドケース400と、環状接合部500と、パッキン600と、シールドカバー700とを備えている。以下、前記コネクタの各構成要素について詳しく説明する。図4A及び図4B中において、前記コネクタの幅方向をX、前後方向をY、上下方向をZとして示している。Y方向はX方向に直交しており、Z方向はX、Y方向に直交している。
【0036】
ケース100は、図2A、図2B、図4A及び図4Bに示すように、ポリアミド系樹脂等の絶縁樹脂製の筒である。ケース100は、筒状のケース本体110と、ケース本体110に外嵌するように設けられた角環状のフレーム120とを有している。ケース本体110には、当該ケース本体110をY方向に貫通する貫通孔111が設けられている。図1A〜図4Bに示す112aは、ケース本体110の前側(Y方向の一方側)の貫通孔111の周縁部であり、112bは後側(Y方向の他方側)の貫通孔111の周縁部である。なお、周縁部112bが特許請求の範囲のケースの貫通孔の周縁部に相当している。
【0037】
ケース本体110には、図1A〜図2Bに示すように、パッキン600が外嵌している。このパッキン600は、ケース本体110と上記コネクタが搭載される電子機器の図示しない筐体との間に介在可能となっている。パッキン600が、ケース本体110と筐体との間に介在することにより、両者間からの水や埃等の侵入するのを防止することができる。
【0038】
ケース本体110のX方向の両端面には、図2A及び図2Bに示すように、矩形状の一対の係止凹部113が設けられている。ケース本体110の下端部のX方向の両端部には、Y方向に延びた一対の係止溝114が設けられている。ケース本体110内の天井面には、図3B及び図3Cに示すように、Y方向に延びた一対の溝115と、一対の凹部116とが設けられている。凹部116は溝115に連通しており且つ後側に開放されている。
【0039】
シールドケース400は、図4A及び図4Bに示すように、導電性を有する金属板で構成されている。シールドケース400は、筒部410と、一対の係合部420と、固定部430と、一対の接続部440とを有している。筒部410の外形はケース本体110の
貫通孔111の内形に対応した形状となっている。筒部410は、ケース本体110の貫通孔111に嵌合している。
【0040】
筒部410は、天板411と、底板412と、一対の側板413とを有している。天板411は、図3B及び図3Cに示すように、一対の切り上げ片411aと、一対の当て止め部411bとを有している。各切り上げ片411aは、天板411の一部をカットし、上側(Z方向の一方側)に湾曲させたものである。切り上げ片411aがケース本体110の溝115に挿入されている。各当て止め部411bは、天板411の切り上げ片411aの後方部分を下側(Z方向の他方側)に突設させた突起である。
【0041】
各係合部420は、図3Aに示すように、筒部410の側板413の後端に連接され、外側且つ前方に折り返された略U字状の片部材である。係合部420は、先端421を有する。係合部420は、先端421がケース本体110の周縁部112bに当接することにより、当該周縁部112bに係合している。固定部430は、図4A及び図4Bに示すように、筒部410の天板411の後端に連接され、Y方向に延びた矩形状の板である。各接続部440は、筒部410の底板412の後端に連接され、Y方向に延びたアームである。接続部440は、基端部441と、先端部442とを有している。接続部440は、先端部442の下面の高さ位置が、コンタクト300の後述するテール部320の下面の高さ位置と同じになるように、湾曲している。
【0042】
ボディ200は、図4A及び図4Bに示すように、ポリアミド系樹脂等の絶縁樹脂で構成されている。ボディ200は、ボディ本体210と、一対の当接部221と、一対の当接部222と、当接部223と、背面板230と、舌部240とを有している。
【0043】
ボディ本体210は、シールドケース400の筒部410の内形に対応した外形を有するブロックである。ボディ本体210は、先端部211と、先端部211に連接された後端部212とを有している。先端部211が筒部410に嵌合している。先端部211の先端面の上側部分には、一対の凹部211aが設けられている。シールドケース400の当て止め部411bが凹部211aに挿入され、当該凹部211aの奥側面に当接している。これにより、ボディ本体210が所定以上、筒部410内に挿入されないように規制している。また、先端部211には平板状の舌部240が突設されている。舌部240は、図3Aに示すように、筒部410内に配置されている。舌部240の下面には、Y方向に延びた複数の収容溝241が形成されている。
【0044】
後端部212の外周面には、一対の当接部221、一対の当接部222及び当接部223が周方向に間隔をあけて配設されている。当接部221、当接部222及び当接部223はケース100の周縁部112b及びシールドケース400の筒部410の後端面に当接している。当接部221には凸部221aが設けられている。凸部221aは、図3B及び図3Cに示すように、ケース本体110の一対の凹部116に嵌合している。一対の当接部221の間には間隙S1が形成されている。一対の当接部221と一対の当接部222との間には間隙S2が形成されている。一対の当接部222と当接部223との間には間隙S3が形成されている。間隙S1にはシールドケース400の固定部430が挿入され、固定部430が当接部221間に嵌合している。間隙S2には、係合部420が挿入されている。間隙S3には接続部440が挿通されている。間隙S3内には、接続部440の基端部441が配置されている。背面板230はボディ本体210の後端部212に連接された板である。この背面板230と、当接部221、222との間には、図2B、図3B及び図3Cに示すように、隙間が生じている。背面板230の下端部の中央部には切欠き231が設けられている。この切欠き231にも接続部440が挿通されている。
【0045】
各コンタクト300は導電性を有する金属板で構成されている。コンタクト300は、図3Dに示すように、接点部310と、テール部320と、中間部330とを有している。中間部330は略L字状の板であって、インサート成形によりボディ200のボディ本体210及び背面板230内に埋め込まれ、当該ボディ本体210及び背面板230に保持されている。中間部330のY方向の他端部(後端部)は、背面板230から下方に突出し切欠き231内に配置されている。接点部310は、中間部330のY方向の一端(前端)に連接され且つY方向に延びた板であって、舌部240の収容溝241に挿入されている。接点部310は、シールドケース400の筒部410に囲まれている。このため、前記コネクタのEMI(Electro-Magnetic Interference)特性等を向上させることが
できる。テール部320は中間部330のY方向の他端(後端)に連接され、当該中間部330の他端部に対して略直角に折り曲げられた板であって、Y方向に延びている。このようにテール部320は、Y方向において中間部330を挟んで接点部310の反対側に位置している。
【0046】
環状接合部500は、図2A、図2B、図4A及び図4Bに示すように、アウトサート成形により作成されたポリアミド系樹脂等の絶縁樹脂製の角環状体であって、ケース100の周縁部112bとシールドケース400の筒部410の後端面とボディ200のボディ本体210の後端部212の外周面とを接合している。環状接合部500は、ボディ200の後端部212を覆っている。環状接合部500内には、一対の当接部221、一対の当接部222、当接部223、背面板230、係合部420、固定部430及び接続部440の基端部441が埋め込まれている。換言すると、環状接合部500の樹脂は、間隙S1〜S3及び背面板230と当接部221、222との間の隙間に充填され、一対の当接部221、一対の当接部222、当接部223、背面板230、係合部420、固定部430及び接続部440の基端部441を覆っている。但し、背面板230の後端面は環状接合部500から外部に露出している。接続部440の先端部442は、環状接合部500から突出している。すなわち、接続部440は、環状接合部500を貫通している。なお、図4A及び図4Bに示した環状接合部500の内部形状は、ボディ本体210の後端部212上に位置する一対の当接部221、一対の当接部222、当接部223、背面板230、一対の係合部420、固定部430、一対の接続部440の基端部441、間隙S1〜S3及び背面板230と当接部221、222との間の隙間の形状に対応した凸凹である。
【0047】
シールドカバー700は、図4A及び図4Bに示すように、下向き略U字状の導電性を有する金属板である。シールドカバー700は、略U字状のカバー本体710と、一対の第1、第2係止片720、730と、4つの接続片740とを有している。カバー本体710は、天板と、この天板のX方向の両端に連接され且つ当該天板に対して直角に折り曲げられた一対の側板とを有している。このカバー本体710がケース100のケース本体110の後端部及び環状接合部500に被せられている。この状態で、カバー本体710がコンタクト300の中間部330を覆っている。第1係止片720はカバー本体710の側板の一部を内側に切り上げた片部材である。第1係止片720は、ケース本体110の係止凹部113に係止されている。第2係止片730は、カバー本体710の側板の下端の中央部に連接され且つ当該側板に対して内側に直角に折り曲げられた片部材である。第2係止片730はケース本体110の係止溝114に係止されている。接続片740は、カバー本体710の側板の下端の両端部に連接され且つ当該側板に対して外側に直角に折り曲げられた片部材である。接続片740の下面の高さ位置は、コンタクト300のテール部320の下面の高さ位置と同じに設定されている。
【0048】
以下、上述した構成のコネクタの製造方法について説明する。まず、金属板がプレス成形されることにより作成されたコンタクト300を用意する。その後、コンタクト300を図示しない金型に入れて絶縁樹脂を流し込み、インサート成形を行う。前記絶縁樹脂がボディ200として成形される。このとき、コンタクト300の中間部330がボディ200のボディ本体210及び背面板230内に各々埋め込まれ、保持される。接点部310はボディ200の舌部240の収容溝241に各々挿入される。テール部320は、ボディ200の背面板230の下端部の後方に配置される。
【0049】
その後、金属板がプレス成形されることにより作成されたシールドケース400を用意する。その後、ボディ200の舌部240及びボディ本体210の先端部211をシールドケース400の筒部410に挿入する。すると、ボディ200の先端部211がシールドケース400の筒部410に嵌合し、舌部240及びコンタクト300の接点部310が筒部410内に配置される。このとき、ボディ200の当接部221、222、223がシールドケース400の筒部410の後端面に当接する。シールドケース400の当て止め部411bがボディ200の凹部211aに挿入され、当該凹部211aの奥側面に当接する。シールドケース400の固定部430が一対の当接部221の間に嵌合する。シールドケース400の一対の係合部420が、一対の当接部221と一対の当接部222との間の間隙S2に挿入される。シールドケース400の接続部440が、一対の当接部222と当接部223との間の間隙S3を貫通し、接続部440の基端部441が間隙S3内に位置する。
【0050】
その後、図示しない金型に絶縁樹脂を流し込み、射出成形されたケース100を用意する。このケース100のケース本体110には、パッキン600が外嵌している。その後、シールドケース400の筒部410をケース100の貫通孔111に嵌合させる。すると、ボディ200の当接部221、222、223がケース100の周縁部112bに当接し、シールドケース400の係合部420がケース100の周縁部112bに当接する。これと共に、ボディ200の凸部221aがケース100の凹部116に嵌合する。このとき、ボディ200の舌部240、コンタクト300の接点部310及びボディ本体210の先端部211がケース100の貫通孔111内に配置される。
【0051】
その後、上述の通り組み合わされたケース100、ボディ200、コンタクト300及びシールドケース400を、図示しない金型内に入れ、ボディ本体210の後端部212の外周面の周りに絶縁樹脂を流し込み、アウトサート成形を行う。これにより、前記絶縁樹脂がボディ本体210の後端部212の外周面上に環状接合部500として成形される。このとき、環状接合部500が、ボディ本体210の後端部212の外周面を、ケース100の周縁部112b及びシールドケース400の筒部410の後端面に接合させる。これと共に、環状接合部500内に、一対の当接部221、一対の当接部222、当接部223、背面板230、一対の係合部420、固定部430及び一対の接続部440の基端部441が埋設(内蔵)される。
【0052】
その後、金属板がプレス成形されることにより作成されたシールドカバー700を用意する。その後、シールドカバー700の一対の第2係止片730をケース100の一対の係止溝114に挿入する。すると、シールドカバー700の第1係止片720がケース100の係止凹部113に係止される。これにより、シールドカバー700のカバー本体710がケース本体110の後端部及び環状接合部500に被せられる。
【0053】
以下、上述の通り組み立てられたコネクタを上記電子機器の基板に実装する手順について詳しく説明する。まず、前記コネクタを基板上に載置する。このとき、コンタクト300のテール部320を基板の信号電極に各々接触させる。シールドケース400の接続部440を基板のグランド電極に各々接触させる。シールドカバー700の接続片740を基板の別のグランド電極に各々接触させる。その後、コンタクト300のテール部320を基板の信号電極に各々半田接続させる。シールドケース400の接続部440を基板のグランド電極に各々半田接続させる。シールドカバー700の接続片740を基板の別のグランド電極に各々半田接続させる。
【0054】
以下、上記コネクタにプラグを接続する手順について詳しく説明する。前記プラグを前記コネクタの筒部410内に挿入する。すると、前記プラグのコンタクトが前記コネクタのコンタクト300の接点部310に接触する。これにより、前記プラグと前記コネクタとが電気的に接続される。
【0055】
以上のようなコネクタによる場合、環状接合部500が、ボディ本体210の後端部212をケース100の貫通孔111の周縁部112b及びシールドケース400の筒部410の後端面に接合しているので、ボディ200とケース100との間、ボディ200とシールドケース400の筒部410との間及びケース100とシールドケース400の筒部410との間から水が侵入する及び塵埃が侵入するのを防止することができる。しかも、環状接合部500は、ボディ本体210の後端部212周りにアウトサート成形により形成されているので、低コストで前記コネクタの防水性及び防塵性を実現することができる。
【0056】
更に、環状接合部500内には、一対の当接部221、一対の当接部222、当接部223、背面板230、一対の係合部420、固定部430及び一対の接続部440の基端部441が埋設されている。よって、環状接合部500によるボディ本体210の後端部212とシールドケース400の筒部410とケース100の周縁部112bとの接合強度を向上させることができる。また、シールドケース400の筒部410をケース100の貫通孔111内に嵌合させる際に、ボディ200の当接部221、222、223がケース100の周縁部112bに当接し、シールドケース400の係合部420がケース100の周縁部112bに当接すると共に、ボディ200の凸部221aがケース100の凹部116に嵌合する。よって、ボディ200及びシールドケース400のケース100に対する位置決めを簡単に行うことができる。
【0057】
また、ケース100、ボディ200及び環状接合部500の少なくとも一つがポリアミド系樹脂で構成されている場合、ポリアミド系樹脂は、他の樹脂材料に対する密着性及び金属に対する密着性が良好であるので、前記コネクタの防水性及び防塵性を向上させることができる。しかも、ポリアミド系樹脂は靱性も他の樹脂材料に比べて優れているため、前記コネクタのこじり強度が向上する。
【実施例2】
【0058】
次に、本発明の実施例2に係るコネクタについて図5A〜図8Bを参照しつつ説明する。図5A〜図6Bに示すコネクタは、基板の凹部又は孔に嵌合した状態で当該基板に接続されるミッドマウントタイプである点で、実施例1のコネクタと相違している。具体的には、前記コネクタは、ミッドマウントタイプに適応させるために、ケース100’の形状、ボディ200’の形状、コンタクト300’の形状、シールドケース400’の形状、環状接合部500’の形状及びシールドカバー700’の形状が実施例1のコネクタと相違する以外、実施例1のコネクタと同じ構成である。以下、その相違点についてのみ詳しく説明し、実施例1と重複する説明については省略する。なお、前述の通り、本コネクタのケース、ボディ、コンタクト、シールドケース、環状接合部及びシールドカバーについては、’を付して実施例1のコネクタのケース、ボディ、コンタクト、シールドケース、環状接合部及びシールドカバーと区別する。
【0059】
ケース100’は、係止凹部113’がケース本体110’のX方向の両端面ではなく、ケース本体110’の上面に設けられている点で、ケース100と相違している。それ以外については、ケース100’は、ケース100と同じ構成である。図5A〜図8Bにおいて、120’はフレームである。111’は貫通孔である。112a’、112b’は貫通孔の周縁部である。114’は係止溝である。115’は溝である。116’は凹部である。
【0060】
シールドケース400’は導電性を有する金属板で構成されている。シールドケース400’は、図8A及び図8Bに示すように、筒部410’と、係合部420’と、一対の固定部430’と、一対の接続部440’とを有している。筒部410’は、天板411’の後端部の中央部に一つの当て止め部411b’が設けられている点で、筒部410と相違している。それ以外については、筒部410’は筒部410と同様の構成である。
【0061】
係合部420’は、筒部410’の天板411’の後端の中央部に連接され、上側且つ前方に折り返された略U字状の片部材である。係合部420’は、図7Dに示すように、ボディ200’の一対の当接部221’の間の間隙S1’に挿入されている。係合部420’は、先端421’がケース本体110’の周縁部112b’に当接することにより、当該周縁部112b’に係合している。一対の固定部430’は、筒部410’の底板412’の後端に連接され、Y方向に延びた矩形状の板である。固定部430’は、一対の当接部222’と当接部223’との間の間隙S3’に挿入され、当接部222’と当接部223’との間に嵌合している。一対の接続部440’は、筒部410’の一対の側板413’の後端に連接され、Y方向に延びたアームである。接続部440’は、基端部441’と、先端部442’とを有している。接続部440’は、一対の当接部221’と一対の当接部222’との間の間隙S2’に挿通されている。接続部440’の基端部441’は間隙S2’内に配置されている。基端部441’が環状接合部500’に埋設され、先端部442’が環状接合部500’から突出している。すなわち、接続部440’は、環状接合部500’を貫通している。接続部440’は、先端部442’の下面の高さ位置が、コンタクト300’のテール部320’の下面の高さ位置と同じに設定されている。
【0062】
ボディ200’は、次の2点でボディ200と相違している。それ以外については、ボディ200’はボディ200と同じ構成である。第1点は、ボディ本体210’の先端部211’の上側中央部に凹部211a’が設けられていることである。実施例1と同様に、当て止め部411b’が凹部211a’に挿入され、当該凹部211a’の奥側面に当接している。第2点は、背面板230’の一対の切欠き231’が当該背面板230’のX方向の両端部に設けられていることである。切欠き231’が背面板230’の前記両端部の間隙S2’に対応する位置に設けられている。間隙S2’及び切欠き231’に接続部440’が挿通されている。なお、図5A〜図8Bにおいて、240’が舌部、241’が収容溝である。
【0063】
コンタクト300’は導電性を有する金属板で構成されている。コンタクト300’は、図7Dに示すように、テール部320’及び中間部330’の形状が、コンタクト300のテール部320及び中間部330と相違している。それ以外については、コンタクト300’はコンタクト300と同じ構成である。中間部330’は、中央部が略U字状に湾曲した板であって、ボディ200’のボディ本体210’及び背面板230’内にインサート成形により埋め込まれ、当該ボディ本体210’及び背面板230’に保持されている。テール部320’は中間部330’のY方向の他端(後端)に連接され且つY方向に延びた直線状の板であって、背面板230’からY方向の他方側(後方側)に突出している。
【0064】
環状接合部500’は、上記実施例1と同様にアウトサート成形により形成されたポリアミド系樹脂等の絶縁樹脂製の角環状体である。環状接合部500’は、内部形状がボディ本体210’の後端部212’上に位置する一対の当接部221’、一対の当接部222’、当接部223’、背面板230’、係合部420’、一対の固定部430’、一対の接続部440’の基端部441’、間隙S1’〜S3’及び後述する隙間の形状に対応した凸凹形状となっている点で、環状接合部500と相違している。前記隙間は、背面板230’とボディ本体210’の後端部212’上の突起(当接部221’、222’、223’)との間の隙間である。環状接合部500’内には、一対の当接部221’、一対の当接部222’、当接部223’、背面板230’、係合部420’、一対の固定部430’及び一対の接続部440’の基端部441’が埋め込まれている。それ以外については、環状接合部500’は環状接合部500と同じ構成である。
【0065】
シールドカバー700’は、図8A及び図8Bに示すように、下向き略U字状の導電性を有する金属板である。シールドカバー700’は、略U字状のカバー本体710’と、第1係止片720’と、一対の第2係止片730’と、一対の接続片741’、742’とを有している。カバー本体710’は、天板と、この天板のX方向の両端に連接され且つ当該天板に対して直角に折り曲げられた一対の側板とを有している。このカバー本体710’がケース100’のケース本体110’の後端部及び環状接合部500’に被せられている。第1係止片720’はカバー本体710’の天板の一部を内側に切り上げた片部材である。第1係止片720’は、ケース本体110’の係止凹部113’に係止されている。第2係止片730’は、カバー本体710の側板の下端に連接され且つ当該側板に対して内側に直角に折り曲げられた片部材である。第2係止片730’はケース本体110’の係止溝114’に係止されている。接続片742は、カバー本体710’の側板の後端部をカットし、当該後端部を略L字状に折り曲げた片部材である。接続片741’は、カバー本体710’の側板の前端部の一部を外側に切り上げた片部材である。
【0066】
上述した構成のコネクタは実施例1と同様に組み立てられる。以下、前記コネクタを電子機器の基板に実装する手順について詳しく説明する。まず、前記コネクタを基板の凹部又は孔内に配置する。すると、コンタクト300’のテール部320’が基板の凹部又は孔の縁部の信号電極に各々接触する。シールドケース400’の接続部440’が基板の前記縁部のグランド電極に各々接触する。シールドカバー700’の接続片741’が基板の縁部の別のグランド電極に各々接触する。シールドカバー700’の接続片742’が基板の縁部のスルーホール又は係止孔に各々挿入される。その後、コンタクト300’のテール部320’を基板の信号電極に各々半田接続させる。シールドケース400’の接続部440’を基板のグランド電極に各々半田接続させる。シールドカバー700’の接続片741’を基板の別のグランド電極に各々半田接続させる。シールドカバー700’の接続片742’を基板のスルーホールに各々半田接続させる。なお、シールドカバー700’の接続片742’が基板の係止孔に各々挿入されている場合には、接続を要しない。
【0067】
以下、上記コネクタにプラグを接続する手順について詳しく説明する。前記プラグを前記コネクタの筒部410’内に挿入する。すると、前記プラグのコンタクトが前記コネクタのコンタクト300’の接点部310’に接触する。これにより、前記プラグと前記コネクタとが電気的に接続される。
【0068】
以上のようなコネクタによる場合、環状接合部500’が、ボディ本体210’の後端部212’をケース100’の貫通孔111’の周縁部112b’及びシールドケース400’の筒部410’の後端面に接合しているので、ボディ200’とケース100’との間、ボディ200’とシールドケース400’の筒部410’との間及びケース100’とシールドケース400’の筒部410’との間から水が侵入する及び塵埃が侵入するのを防止することができる。しかも、環状接合部500’は、ボディ本体210’の後端部212’周りにアウトサート成形により形成されているので、低コストで前記コネクタの防水性及び防塵性を実現することができる。
【0069】
更に、環状接合部500’内には、一対の当接部221’、一対の当接部222’、当接部223’、背面板230’、係合部420’、一対の固定部430’及び一対の接続部440’の基端部441’が埋設(内蔵)されている。よって、環状接合部500’によるボディ本体210’の後端部212’とシールドケース400’の筒部410’とケース100’の周縁部112b’との接合強度を向上させることができる。また、シールドケース400’の筒部410’をケース100’の貫通孔111’内に嵌合させる際に、ボディ200’の当接部221’、222’、223’がケース100’の周縁部112b’に当接し、シールドケース400’の係合部420’がケース100’の周縁部112b’に当接すると共に、ボディ200’の凸部221a’がケース100’の凹部116’に嵌合する。よって、ボディ200’及びシールドケース400’のケース100’に対する位置決めを簡単に行うことができる。
【0070】
また、ケース100’、ボディ200’及び環状接合部500’の少なくとも一つがポリアミド系樹脂で構成されている場合、ポリアミド系樹脂は、他の樹脂材料に対する密着性及び金属に対する密着性が良好であるので、前記コネクタの防水性及び防塵性を向上させることができる。しかも、ポリアミド系樹脂は靱性も他の樹脂材料に比べて優れているため、前記コネクタのこじり強度が向上する。
【0071】
また、コンタクト300’の中間部330’の中央部が略U字状に湾曲している。この中間部330’がボディ200’のボディ本体210’及び背面板230’内に埋め込まれているので、中間部330’の環状接合部500’に対する沿面距離(接触面積)を増大させることができる。よって、中間部330’と、環状接合部500’の樹脂との間に沿って微小な隙間があったとしても、沿面距離に沿って前記隙間が長くなる。しかも、前記隙間の一部が中間部330’に沿って湾曲し、前記隙間が一直線状に形成されない。よって、前記隙間から水や塵埃が侵入するのを抑止することができるので、前記コネクタの防水性及び防塵性を向上させることができる。
【実施例3】
【0072】
次に、本発明の実施例3に係るコネクタについて図9A〜図12Bを参照しつつ説明する。図9A及び図9Bに示すコネクタは、ケース100’’の形状、ボディ200’’の形状、シールドケース400’’の形状及び環状接合部500’’の形状が実施例2のコネクタと相違する以外、実施例2のコネクタと略同じ構成である。以下、その相違点についてのみ詳しく説明し、実施例2と重複する説明については省略する。なお、前述の通り、本コネクタのケース、ボディ、シールドケース及び環状接合部については、’’を付して実施例2のコネクタのケース、ボディ、シールドケース及び環状接合部と区別する。
【0073】
ケース100’’は、図12A及び図12Bに示すように、ケース本体110’’の後端部に接続凸部117’’が設けられている点で、ケース100’と相違している。それ以外については、ケース100’’は、ケース100’と略同じ構成である。接続凸部117’’は、ケース本体110’’の後端部以外の部分よりも外形が小さい筒である。貫通孔111’’は、ケース本体110’’(接続凸部117’’を含む。)をY方向に貫通している。接続凸部117’’の貫通孔111’’の周縁部が、貫通孔111’’の後側の周縁部112b’となっている。フレーム120’’は、ケース本体110’’の前端部に外嵌するように設けられている。図9A〜図12Bにおいて、112a’’は貫通孔の周縁部である、113’’は係止凹部、114’’は係止溝、115’’は溝、116’’は凹部である。本実施例3では、溝115’’及び凹部116’’は、一つの矩形状の長溝を構成している。
【0074】
シールドケース400’’は、図12A及び図12Bに示すように、一対の接続部440’’の形状が一対の接続部440’の形状と相違する以外、シールドケース400’略同じ構成である。なお、図9A〜図12B中の410’’は筒部、411’’は筒部の天板、412’’は筒部の底板、413’’は筒部の側板、411a’’は切り上げ片、411b’’は当て止め部、420’’は係合部、421’’は係合部の先端、430’’は固定部である。
【0075】
各接続部440’’は、図10A、図10B、図12A及び図12Bに示すように、基端部441’’と、先端部442’’と、湾曲部443’’とを有している。基端部441’’は、筒部410’’の側板413’’の後端に連接された板である。湾曲部443’’は、基端部441’’と先端部442’’とに懸架され且つ基端部441’’と先端部442’’とが一直線状に位置しないように湾曲した略U字状の板である。湾曲部443’’は、互いに対向する第1、第2対向部443a’’、443b’’と、第1、第2対向部443a’’、443b’’の間に設けられた略U字状の折り曲げ部443c’’とを有している(図11A及び図11C参照)。第1対向部443a’’は、折り曲げ部443c’’の一端と基端部441’’との間に設けられ且つZ方向に延びた板である。第1対向部443a’’は、基端部441’’に対して略直角に折り曲げられている。第2対向部443b’’は折り曲げ部443c’’の他端から第1対向部443a’’に沿ってZ方向に延びた板である。第1対向部443a’’には、第2対向部443b’’側に凸の突起443a1’’が設けられている(図11C参照)。突起443a1’’が第2対向部443b’’に当接することにより、第1、第2対向部443a’’、443b’’の間に間隙S4’’が生じている。先端部442’’は、第2対向部443b’’に連接され、Y方向に延びた板である。先端部442’’は、第2対向部443b’’に対して略直角である。先端部442’’は、基端部441’’に対してX方向に変位し且つY方向において当該基端部441’’と一直線状に位置しないように配置されている。先端部442’’の下面の高さ位置は、コンタクト300’のテール部320’の下面の高さ位置と同じに設定されている。
【0076】
ボディ200’’は、図12A及び図12Bに示すように、次の2点でボディ200’と相違している以外、ボディ200’と略同じ構成である。第1点は、当接部221’’の外側の端部が切り欠かれていることである。当接部221’’の間の間隙S1’’には、図11Dに示すように、シールドケース400’’の係合部420’’が挿入されている。当接部221’’にも、当接部221’と同様に、凸部221a’’が設けられている。この凸部221a’’がケース100’’の凹部116’’に嵌合している(図11B参照)。
【0077】
第2点は、背面板230’’のX方向の両端部に設けられた一対の切欠き231’’が、上側(Z方向の一方側)に開放された形状となっていることである。この切欠き231’’と、当接部221’’の上述した切欠きと、ボディ本体210’’の後端部212’’X方向の両端部の外側空間が、接続部440’’の基端部441’’及び湾曲部443’’を収容するための収容空間となる。なお、図9A〜図12Bにおいて、211’’は、ボディ本体の先端部、222’’、223’’が当接部、240’’が舌部、241’’が収容溝である。S3’’は、一対の当接部222’’と当接部223’’との間の間隙である。
【0078】
環状接合部500’’は、図10A、図10B、図12A及び図12Bに示すように、上記実施例2と同様にアウトサート成形により形成されたポリアミド系樹脂等の絶縁樹脂製の有底の角環状体である。環状接合部500’’は、次の2点が、環状接合部500’と相違している以外、環状接合部500’と略同じ構成である。
【0079】
第1点は、環状接合部500’’内に、ケース100’’の接続凸部117’’、ボディ200’’の一対の当接部221’’、一対の当接部222’’、当接部223’’、背面板230’’、シールドケース400’’の係合部420’’、固定部430’’、接続部440’’の基端部441’’及び接続部440’’の湾曲部443’’が埋め込まれている点で相違している。このため、環状接合部500’’の内部形状は、ボディ本体210’’の後端部212’’上に位置する一対の当接部221’’、一対の当接部222’’、当接部223’’、背面板230’’、係合部420’’、一対の固定部430’’、一対の接続部440’’の基端部441’’、湾曲部443’’、間隙S1’’、間隙S3’’、間隙S4’’及び後述する隙間の形状に対応した凸凹形状となっている。前記隙間は、背面板230’’とボディ本体210’’の後端部212’’上の突起(当接部221’’、222’’、223’’)との間の隙間である。なお、間隙S1’’、間隙S3’’、間隙S4’’及び前記隙間には、環状接合部500’’の樹脂が充填されている。
【0080】
第2点は、環状接合部500’’内に、背面板230’’の後端面が埋め込まれていることである。換言すると、環状接合部500’’は、背面板230’’の後端面を覆っている。環状接合部500’’の下端部のX方向の両端部には、Y方向に延び且つ係止溝114’’に連続する一対の係止溝510’’が設けられている。シールドカバー700’の第2係止片730’が係止溝114’’、510’’に係止されている。
【0081】
以下、上述した構成のコネクタの製造方法について説明する。まず、金属板がプレス成形されることにより作成されたコンタクト300’を用意する。その後、コンタクト300’を図示しない金型に入れて絶縁樹脂を流し込み、インサート成形を行う。前記絶縁樹脂がボディ200’’として成形される。このとき、コンタクト300’の中間部330’がボディ200’’のボディ本体210’’及び背面板230’’内に各々埋め込まれ、保持される(図11D参照)。接点部310’はボディ200’’の舌部240’’の収容溝241’’に各々挿入される。テール部320’’は、ボディ200’’の背面板230’’から突出する。
【0082】
その後、金属板がプレス成形されることにより作成されたシールドケース400’’を用意する。その後、ボディ200’’の舌部240’’及びボディ本体210’’の先端部211’’をシールドケース400’’の筒部410’’に挿入する。すると、ボディ200’’の先端部211’’がシールドケース400’’の筒部410’’に嵌合し、舌部240’’及びコンタクト300’の接点部310’が筒部410’’内に配置される。このとき、ボディ200’’の当接部221’’、222’’、223’’がシールドケース400’’の筒部410’’の後端面に当接する。シールドケース400’’の当て止め部411b’’がボディ200’’の凹部211a’’に挿入され、当該凹部211a’’の奥側面に当接する(図11D参照)。シールドケース400’’の固定部430’’が一対の当接部221’’の間の間隙S3’’に挿入され、当接部222’’と当接部223’’との間に嵌合する(図10B参照)。シールドケース400’’の係合部420’’が、一対の当接部221’’の間の間隙S1’’に挿入される(図10A参照)。シールドケース400’’の接続部440’’の基端部441’’及び湾曲部443’’がボディ200’’の収容空間に挿入される。接続部440’’の先端部442’’は、ボディ200’’の収容空間から後側に突出する。
【0083】
その後、図示しない金型に絶縁樹脂を流し込み、射出成形されたケース100’’を用意する。このケース100’’のケース本体110’’には、パッキン600’が外嵌している。その後、シールドケース400’’の筒部410’’をケース100’’の貫通孔111’’に嵌合させる。すると、図10A及び図10Bに示すように、ボディ200’’の当接部221’’、222’’、223’’がケース100’’の周縁部112b’’に当接し、シールドケース400’’の係合部420’’がケース100’’の周縁部112b’’に当接する。これと共に、ボディ200’’の凸部221a’’がケース100’’の凹部116’’に嵌合する。このとき、ボディ200’’の舌部240’’、コンタクト300’’の接点部310’’及びボディ本体210’’の先端部211’’がケース100’’の貫通孔111’’内に配置される。
【0084】
その後、上述の通り組み合わされたケース100’’、ボディ200’’、コンタクト300’’及びシールドケース400’’を、図示しない金型内に入れ、ボディ本体210’’の後端部212’’の外周面の周り及び背面板230’’の後端面の後側に絶縁樹脂を流し込み、アウトサート成形を行う。前記絶縁樹脂がボディ本体210’’の後端部212’’の外周面及び背面板230’’の後端面を覆う環状接合部500’’として成形される。これにより、環状接合部500’’が、ボディ本体210’’の後端部212’’の外周面を、ケース100’’の接続凸部117’’、周縁部112b’’及びシールドケース400’’の筒部410’’の後端面に接合させる。これと共に、環状接合部500’’内に、接続凸部117’’、一対の当接部221’’、一対の当接部222’’、当接部223’’、背面板230’’、シールドケース400’’の係合部420’’、固定部430’’、接続部440’’の基端部441’’及び接続部440’’の湾曲部443’’が埋め込まれる。コンタクト300’のテール部320’及び接続部440’’の先端部442’’が、環状接合部500’’から後方に突出する。
【0085】
その後、金属板がプレス成形されることにより作成されたシールドカバー700’を用意する。その後、シールドカバー700’の一対の第2係止片730’をケース100’’の一対の係止溝114’’及び環状接合部500’’の一対の係止溝510’’に挿入する。すると、シールドカバー700’の第1係止片720’がケース100’’の係止凹部113’’に係止される。これにより、シールドカバー700’のカバー本体710’がケース本体110’’のフレーム120’’より後側部分及び環状接合部500’’に被せられる。なお、上述の通り組み立てられたコネクタは、実施例2と同様に、上記電子機器の基板に実装される。
【0086】
以下、上記コネクタにプラグを接続する手順について詳しく説明する。前記プラグを前記コネクタの筒部410’’内に挿入する。すると、前記プラグのコンタクトが前記コネクタのコンタクト300’の接点部310’に接触する。これにより、前記プラグと前記コネクタとが電気的に接続される。
【0087】
以上のようなコネクタによる場合、実施例2と同様の効果を得ることができる。しかも、湾曲部443’’が、基端部441’’と先端部442’’とに懸架され且つ基端部441’’と先端部442’’とが一直線状に位置しないように略U字状に湾曲している。このため、基端部441’’及び湾曲部443’’と、環状接合部500’’の樹脂との間に沿って微小な隙間があったとしても、当該隙間の一部が湾曲部443’’に沿って略U字状に湾曲する。すなわち、前記隙間が一直線状に形成されないので、当該隙間から水や塵埃が侵入するのを抑止することができる。また、環状接合部500’’内には、シールドケース400’’の略U字状の湾曲部443’’が埋め込まれている。湾曲部443’’の第1、第2対向部443a’’、443b’’の間の間隙S4’’には、環状接合部500’’の樹脂が充填されている。よって、接続部440’’の湾曲部443’’の環状接合部500’’に対する沿面距離(接触面積)を増大させることができる。すなわち、沿面距離に沿って前記隙間が長くなるので、この点でも前記隙間から水や塵埃が侵入するのを抑止することができる。更に、環状接合部500’’が、ケース100’’の接続凸部117’’を覆っている。以上のことから、前記コネクタの防水性及び防塵性を向上させることができる。
【0088】
なお、上述したコネクタは、上記実施例1〜3に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0089】
上記実施例1〜3では、ケースは、筒状のケース本体と、ケース本体に外嵌するように設けられた角環状のフレームとを有しているとした。しかし、ケースは、貫通孔と前記貫通孔の周縁部とを有する筒状で限り任意に設計変更することが可能である。また、上記実施例3では、ケース100’’は、ケース本体110’’の後端部に接続凸部117’’が設けられているとした。しかし、接続凸部は、実施例1及び2の如く省略することができる。また、実施例1及び2のケースに接続凸部を設けることも可能である。この場合も、接続凸部は、実施例3と同様に環状接合部により覆われる。
【0090】
上記実施例1〜3では、ボディは、先端部及び後端部を有するボディ本体と、複数の当接部と、背面板と、舌部とを有しているとした。しかし、ボディは、ボディ本体を備えており、前記ボディ本体がケースの貫通孔に挿入された先端部と、前記先端部に連接された後端部とを有する限り任意に設計変更することが可能である。よって、当接部、背面板及び/又は舌部は省略可能である。また、一つの当接部がボディ本体の後端部に設けられた構成とすることが可能である。また、上記実施例1〜3では、当接部に設けられた凸部が、ケースに設けられた凹部に嵌合するとした。しかし、前記凸部及び凹部は省略することが可能である。また、ケースに設けられた凸部が当接部に設けられた凹部に嵌合する構成とすることも可能である。
【0091】
上記実施例1〜3では、コネクタはシールドケースを備えているとした。しかし、シールドケースは省略可能である。この場合、ボディ本体の先端部は、ケースの貫通孔に挿入される限り任意に設計することが可能である。また、前記挿入の一例として、ボディ本体の先端部をケースの貫通孔に嵌合させることが可能である。また、上記実施例1〜3では、シールドケースは、筒部と、係合部と、固定部と、接続部とを有しているとした。しかし、シールドケースは、ケースの貫通孔に嵌合しており且つ前記コンタクトの接点部を囲う導電性を有する筒状である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、シールドケースは、絶縁樹脂製の筒の内面又は外面に導電性を有する金属を蒸着させた構成とすることが可能である。また、係合部、固定部及び/又は接続部は省略することが可能である。
【0092】
上記実施例1〜3では、係合部及び固定部は、ボディの隣り合う当接部の間の間隙に挿入され且つ環状接合部に埋め込まれているとした。しかし、係合部及び/又は固定部は、接続部は、シールドケースの筒部に連接され且つ環状接合部に埋設され得るものである限り任意に設計変更することが可能である。
【0093】
また、上記実施例1〜3では、係合部は略U字状の片部材であり且つ先端がケースの貫通孔の周縁部に当接(係合)しているとした。しかし、係合部は、ケースの貫通孔の周縁部に係合され得るものである限り任意に設計変更することが可能である。例えば、筒部側に折り返された係合部の先端が、ケースの貫通孔の周縁部に設けられた係合凹部又は係合孔に嵌合する構成とすることが可能である。また、係合部を略L字状として、ケースの貫通孔の周縁部に当接、又は、係合凹部又は係合孔に嵌合させることが可能である。
【0094】
上記実施例1及び2では、接続部は、基端部がボディの隣り合う当接部の間の間隙に挿入され且つボディに埋め込まれているとした。上記実施例3では、接続部は、基端部及び湾曲部がボディの収容空間に配置され且つボディに埋め込まれているとした。しかし、接続部は、シールドケースの筒部に連接され且つ環状接合部を貫通し得るものである限り任意に設計変更することが可能である。
【0095】
上記実施例3では、接続部の湾曲部は、基端部と先端部との間に懸架されており且つ基端部と先端部とが一直線状に位置しないように湾曲した略U字状の板であるとした。しかし、湾曲部は、略U字状又は蛇行湾曲状に湾曲しており環状接合部に埋設され得るものである限り任意に設計変更することが可能である。例えば、略U字状又は蛇行湾曲状の湾曲部が筒部に連接された構成とすることが可能である。この場合、基端部は省略される。また、実施例1の接続部440が、略U字状又は蛇行湾曲状の湾曲部を有する構成とすることが可能である。実施例1の筒部410に略U字状又は蛇行湾曲状の湾曲部が連接された構成とすることも可能である。また、湾曲部は、基端部と先端部とが一直線状に位置するように略U字状又は蛇行湾曲状に湾曲した構成とすることも可能である。この場合であっても、先端部と基端部との間に略U字状又は蛇行湾曲状の湾曲部が設けられているので、基端部及び湾曲部と環状接合部の樹脂との間に沿って生じる微小な隙間は湾曲部に沿って略U字状又は蛇行湾曲状に湾曲する。また、略U字状又は蛇行湾曲状の湾曲部が環状接合部に埋め込まれることにより、当該湾曲部の環状接合部に対する沿面距離が増大する。この沿面距離に沿って前記隙間が長くなる。よって、前記隙間から水や塵埃が侵入するのを抑止することができる。なお、接続部の先端部は、少なくとも一部が環状接合部から突出する限り任意に設計変更することが可能である。
【0096】
また、上記実施例3では、第1対向部443a’’の突起443a1’’が、第2対向部443b’’に当接することにより、第1、第2対向部443a’’、443b’’の間に間隙S4’’が生じているとした。しかし、突起は省略することが可能である。また、突起は、第1、第2対向部の少なくとも一方に設けられており且つ前記第1、第2対向部の他方に当接し、当該第1、第2対向部間に間隙を生じさせるものである限り任意に設計変更することが可能である。例えば、突起が第2対向部に設けられ、第1対向部に当接する構成とすることが可能である。第1対向部の突起が、第2対向部に当接すると共に、第2対向部の突起が、第1対向部に当接する構成とすることが可能である。なお、湾曲部が蛇行湾曲状である場合又は湾曲部が筒部に直接設けられる場合であっても、当該湾曲部は、第1、第2対向部と、第1、第2対向部の少なくとも一方に設けられており且つ前記第1、第2対向部の他方に当接し、当該第1、第2対向部間に間隙を生じさせる突起とを有する構成とすることが可能である。
【0097】
上記実施例1〜3では、環状接合部は、ケースの貫通孔の周縁部とシールドケースの筒部の後端面とボディのボディ本体の後端部の外周面とを接合しているとした。しかし、環状接合部は、ボディ本体の後端部とケースの貫通孔の周縁部とを接合する絶縁樹脂製の環状体である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、上述の通りシールドケースが省略される場合には、環状接合部は、ボディ本体の後端部とケースの貫通孔の周縁部とを接合する絶縁樹脂製の環状体とすることが可能である。
【0098】
上記実施例1〜3では、コンタクトの中間部がボディのボディ本体及び背面板に埋め込まれているとした。しかし、コンタクトの中間部はボディのボディ本体に保持されている限り任意に設計変更することが可能である。例えば、コンタクトの中間部がボディ本体のみにインサート成形により埋め込まれた構成とすることが可能である。また、コンタクトの中間部がボディ本体部の圧入孔に圧入される構成とすることが可能である。この場合、コンタクトの中間部とボディ本体部の圧入孔との間を接着剤等で封止し、コネクタの防水性及び防塵性を向上させても良い。また、上記実施例1〜3では、コンタクトの接点部は、ボディの舌部の収容溝に挿入されているとした。しかし、接点部は、ケースの貫通孔内に配置され得るものである限り任意に設計変更することが可能である。また、コンタクトのテール部は、中間部を挟んで接点部の反対側に位置するものである限り任意に設計変更することが可能である。
【0099】
上記実施例1〜3では、コネクタは、シールドカバーを備えているとした。しかし、シールドカバーは省略することが可能である。また、シールドカバーは、ケース及び環状接合部を少なくとも部分的に覆い且つ導電性を有するものである限り任意に設計変更することが可能である。例えば、シールドカバーは、絶縁樹脂に導電金属を蒸着させた構成とすることが可能である。
【0100】
上記実施例1〜3では、パッキンがケース本体に外嵌しているとした。しかし、パッキンは省略することが可能である。
【0101】
なお、上記実施例1〜3では、コネクタの各部を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。
【符号の説明】
【0102】
100,100’,100’’・・・・ケース
110,110’,110’’・・・ケース本体
111,111’,111’’・・貫通孔
112b,112b’,112b’’・周縁部
120,120’,12’’・・・フレーム
200,200’,200’’・・・・ボディ
210,210’,210’’・・・ボディ本体
211,211’,211’’・・先端部
212,212’,212’’・・後端部
221,221’,221’’・・・当接部
222,222’,222’’・・・当接部
223,223’,223’’・・・当接部
230,230’,230’’・・・背面板
240,240’,240’’・・・舌部
300,300’ ・・・・・・・・コンタクト
310,310’・・・・・・・・接点部
320,320’ ・・・・・・・・テール部
330,330’ ・・・・・・・・中間部
400,400’,400’’・・・・シールドケース
410,410’,410’’・・・筒部
420,420’,420’’・・・係合部
430,430’,430’’・・・固定部
440,440’,440’’・・・接続部
441,441’,441’’・・基端部
442,442’,442’’・・先端部
443’’ ・・・・・・・・・湾曲部
443a’’ ・・・・・・・第1対向部
443a1’’ ・・・・・突起
443b’’ ・・・・・・・第2対向部
443c’’ ・・・・・・・折り曲げ部
500,500’,500’’・・・・環状接合部
600,600’・・・・・・・・・パッキン
700,700’・・・・・・・・・シールドカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔と、前記貫通孔の周縁部とを有するケースと、
前記ケースの貫通孔に挿入された先端部と、前記先端部に連接された後端部とを有するボディ本体を備えたボディと、
前記ボディ本体に保持された中間部と、前記ケースの貫通孔内に挿入された接点部と、前記中間部を挟んで前記接点部の反対側に位置するテール部とを有するコンタクトと、
前記ボディ本体の後端部と前記ケースの貫通孔の周縁部とを接合する絶縁樹脂製の環状接合部とを具備するコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタにおいて、
前記ボディは、前記ボディ本体の後端部上に設けられており且つ前記ケースの貫通孔の周縁部に当接した当接部を更に有しており、
前記当接部は、前記環状接合部に埋設されているコネクタ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のコネクタにおいて、
前記ケースの貫通孔に嵌合しており且つ前記コンタクトの接点部を囲う導電性を有する筒状のシールドケースを更に具備しており、
前記ボディ本体の先端部は前記シールドケースに嵌合しており、
前記環状接合部が、前記ボディ本体の後端部と前記ケースの貫通孔の周縁部と前記シールドケースとを接合しているコネクタ。
【請求項4】
請求項3記載のコネクタにおいて、
前記シールドケースは、前記ケースの貫通孔に嵌合した筒部と、
前記筒部に連接され、前記ケースの貫通孔の周縁部に係合しており且つ前記環状接合部に埋設された係合部とを有しているコネクタ。
【請求項5】
請求項4記載のコネクタにおいて、
前記係合部は、前記筒部側に折り返されており且つ前記ケースの貫通孔の周縁部に当接する先端を有しているコネクタ。
【請求項6】
請求項3記載のコネクタにおいて、
前記シールドケースは、前記ケースの貫通孔に嵌合した筒部と、
前記筒部に連接されており且つ前記環状接合部を貫通した接続部とを有しているコネクタ。
【請求項7】
請求項6記載のコネクタにおいて、
前記接続部は、略U字状又は蛇行湾曲状に湾曲しており且つ前記環状接合部に埋設された湾曲部を有しているコネクタ。
【請求項8】
請求項7記載のコネクタにおいて、
前記接続部は、前記筒部に連接されており且つ前記環状接合部に埋設された基端部と、
前記環状接合部から突出した先端部とを更に有しており、
前記湾曲部は、前記基端部と前記先端部とに懸架されているコネクタ。
【請求項9】
請求項7又は8記載のコネクタにおいて、
前記湾曲部は、互いに対向する第1、第2対向部と、
前記第1、第2対向部の少なくとも一方に設けられており且つ前記第1、第2対向部の他方に当接し、当該第1、第2対向部間に間隙を生じさせる突起とを有しており、
前記環状接合部の樹脂は、前記間隙に充填されているコネクタ。
【請求項10】
請求項3記載のコネクタにおいて、
前記シールドケースは、前記ケースの貫通孔に嵌合した筒部と、
前記筒部に連接されており且つ前記環状接合部に埋設された固定部とを有しているコネクタ。
【請求項11】
請求項2記載のコネクタにおいて、
複数の前記当接部が、前記ボディ本体の外周面上に周方向に間隙を有して設けられているコネクタ。
【請求項12】
請求項2記載のコネクタにおいて、
複数の前記当接部が、前記ボディ本体の外周面上に周方向に間隙を有して設けられており、
前記シールドケースは、前記ケースの貫通孔に嵌合した筒部と、
前記筒部に連接され、隣り合う前記当接部の間に嵌合し且つ前記環状接合部に埋設された固定部とを有しているコネクタ。
【請求項13】
請求項2、11又は12記載のコネクタにおいて、
前記ケースの貫通孔の周縁部及び当接部の一方には凸部が設けられ、他方には前記凸部が嵌合した凹部が設けられているコネクタ。
【請求項14】
請求項1〜13の何れかに記載のコネクタにおいて、
前記コンタクトの中間部は、インサート成形により前記ボディ本体に埋め込まれているコネクタ。
【請求項15】
請求項1〜14の何れかに記載のコネクタにおいて、
前記ケース及び環状接合部を部分的に覆う導電性を有するシールドカバーを更に具備しているコネクタ。
【請求項16】
請求項1〜15の何れかに記載のコネクタにおいて、
前記ケース、ボディ及び環状接合部の少なくとも一つがポリアミド系樹脂で構成されているコネクタ。
【請求項17】
請求項1〜16の何れかに記載のコネクタにおいて、
前記ケースに外嵌したリング状のパッキンを更に具備しているコネクタ。
【請求項18】
請求項1〜17の何れかに記載のコネクタを備えた電子機器。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【公開番号】特開2013−77540(P2013−77540A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−4883(P2012−4883)
【出願日】平成24年1月13日(2012.1.13)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】