コネクタ及びこれを配置したアンテナ、並びにこのアンテナを備えた車両用窓ガラス
【課題】高周波数帯の電気信号の伝送においても伝送路の伝送ロスを抑え、車両用窓ガラス等の基板への実装において信頼性、耐久性のあるコネクタの提供。
【解決手段】基板上のガラスアンテナに装着するホルダ部10と、前記ホルダ部10に着脱自在に嵌合し、同軸ケーブルに接続するピックアップ部とを備えるコネクタであって、前記コネクタの特性インピーダンスは、前記ピックアップ部に接続する同軸ケーブルと略等しく、前記ホルダ部10は、所定の幅の給電用端子2と、前記給電用端子2の両側を所定の間隔をもって囲むように配置した接地用端子3とを備え、前記ピックアップ部は、前記同軸ケーブルの芯線と前記給電用端子2とを接続する芯線固定部(かしめ部)と、前記同軸ケーブルの外周線と前記接地用端子3とを接続する接地用導体とを備えることを特徴とするコネクタ。
【解決手段】基板上のガラスアンテナに装着するホルダ部10と、前記ホルダ部10に着脱自在に嵌合し、同軸ケーブルに接続するピックアップ部とを備えるコネクタであって、前記コネクタの特性インピーダンスは、前記ピックアップ部に接続する同軸ケーブルと略等しく、前記ホルダ部10は、所定の幅の給電用端子2と、前記給電用端子2の両側を所定の間隔をもって囲むように配置した接地用端子3とを備え、前記ピックアップ部は、前記同軸ケーブルの芯線と前記給電用端子2とを接続する芯線固定部(かしめ部)と、前記同軸ケーブルの外周線と前記接地用端子3とを接続する接地用導体とを備えることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及びこれを配置したアンテナ、並びにこのアンテナを備えた車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用に搭載されているアンテナとして、窓ガラス等に設置した所謂ガラスアンテナが知られている。ガラスアンテナは、窓ガラスのような誘電体の基板面に線条の導体などが配置されて構成されており、同軸ケーブルのような伝送路によって、アンテナで受信された電波信号がテレビ等の受信機器に伝送される。このアンテナと同軸ケーブルとを接続するコネクタは、種々知られている。
【0003】
ガラス基板の表面に形成されたガラスアンテナから、同軸ケーブルへの接続のためのコネクタの実装例を図10に示す。このコネクタは、ホルダ部とピックアップ部が着脱自在に嵌合された状態になっており、ホルダ部が基板上のガラスアンテナにハンダ付けされて接続されており、ホルダ部に嵌め込まれたピックアップ部が同軸ケーブルと接続されている。このコネクタについて、図8〜10を参照にして簡単に説明する。図8は、このコネクタのホルダ部の6面図である。
【0004】
このコネクタのホルダ部15は、図8に示すように、直方体の2面が開口した形状の絶縁ケース14の底部の両側に端子を配置されている。図8においては、底面図の右側が接地用端子13、左側が給電用端子12である。給電用端子12は、絶縁ケース14の内部に向かって立ち上がっている接続ピン12aを有し、この接続ピン12aは、図2A,2Bに示すようなピックアップ部21の嵌合端子25を介して、同軸ケーブル23の芯線23aと接続され、信号を同軸ケーブル23側に伝送する(ピックアップ部21の構造については、図2A,2Bに示したものと同様である。)。接地用端子13は、絶縁ケース14の両側面内側に沿って立ち上がっている2つの接続部13aを有する。接続部13aは、ピックアップ部21の接地用導体24を介して同軸ケーブル23の外周線23cと連結する。絶縁ケース14の長手方向両端部には、それぞれの端子の基板上のガラスアンテナとの接続部12b,13bが突設されており、基板上のガラスアンテナとのハンダ付けが容易になっている。給電用端子12及び接地用端子13は、絶縁ケース14の外側面を挟むようにして立ち上がっている2つずつの固定部12c,13cによって、それぞれ絶縁ケース14に固定されている。
【0005】
図9は、このコネクタをガラス基板上のガラスアンテナに取り付けた状態の説明図である。ガラス基板5上のガラスアンテナの放射素子8の給電部と、コネクタ11の給電用端子12における装着部12bとがハンダ付けされており、接地極6は接地用端子13の装着部13bとハンダ付けされている。なお、ガラスアンテナの形状、配置を表すLD,pd,s0,g0などは、それぞれのガラスアンテナの受信特性によって決定される。図10には、このコネクタを実際にガラス基板上のガラスアンテナに接続した状態の斜視図を示す。
【0006】
このようなコネクタは、例えば、非特許文献1に市販品として開示されている。また、特許文献1には、上述のようなガラスアンテナ用コネクタに、回路基板を内蔵させた回路基板内蔵コネクタが開示されている。特許文献2,3には、アンテナを設置した基板面に装着するホルダ部を、両面テープで貼着して固定し、このホルダ部に着脱自在で、給電端子の弾性力を利用してアンテナとの接続を可能にしたピックアップ部を備えた、簡単に固定及び着脱できるコネクタが開示されている。
【0007】
一方、特許文献4には、コネクタ部の信号伝送路における特性インピーダンスの急激な変化を抑制するため、同軸ケーブルの伝送路導体(芯線)と接続された中心導体を、アンテナを配置した基板面に対して傾斜して接続されるようにしたコネクタ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2008−035479号公報
【特許文献2】特開2004−031068号公報
【特許文献3】特開2005−110200号公報
【特許文献4】特開2002−305062号公報
【非特許文献1】ヒロセ電機株式会社カタログ、139−142頁(GT19シリーズガラスアンテナ用コネクタ)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
基板上に配置したガラスアンテナ(単にアンテナということがある。)と、同軸ケーブル等の伝送路とを接続する、非特許文献1、特許文献1〜3に開示されているようなコネクタは、高周波帯、特に極超短波帯(UHF帯)およびマイクロ波帯(SHF帯)などの周波数帯において、ガラス面に設置されたアンテナ(導体)とコネクタとの接合部で生じるインピーダンスの不整合による伝送ロスについては注意が払われていない。この為、アンテナから同軸ケーブルを通して受信機器まで伝送される信号の伝送ロスが大きく、受信機に正確な信号を伝送ができないことがある。特に、周波数がギガヘルツ領域の高周波帯に対応するアンテナの給電部では、使用される波長に対して基板面に設置したアンテナとコネクタとの接合部の形状が無視できない影響を及ぼし、アンテナの重要な構成要素である給電部の形状(寸法)が変形したと同様になり、信号の伝送特性に大きく影響を与えてしまうことがある。
【0009】
地上波デジタルテレビ放送、欧州連合地域のデジタルテレビ放送、デジタルラジオ放送やGPSなどに用いられる電波信号は、極超短波帯(UHF帯)の高周波数帯を利用している場合が多い。この為、このような高周波数帯の受信アンテナからの信号の伝送路においては、同軸ケーブルとコネクタのインピーダンスのマッチング、特に接続するアンテナやその基板の形状や性質を配慮したコネクタの設計が必要である。
【0010】
特許文献4に開示されているコネクタ装置においては、伝送路におけるインピーダンスを考慮して、アンテナの給電部とコネクタの給電用端子の接続角度を規定しているが、コプレーナウェイブガイド線路が形成されているアンテナの給電部に、コネクタの給電端子を所定角度で接続する必要があり、接続の精度や信頼性、特にガラスアンテナに用いる場合には耐久性の確保が問題となる場合がある。
【0011】
一方、一般的なプリント基板などに実装される同軸ケーブル接続用のコネクタは、各種知られているが、これらは、車両用窓ガラスのように振動や外部応力のかかる可能性のある基板への実装を考慮しておらず、コネクタの嵌合性やその保持力、特に実装したコネクタ部分への外部応力に対して十分な耐性を有するとは言えない。
【0012】
本発明においては、上述の問題点をふまえ、高周波数帯の電気信号の伝送においても伝送路の伝送ロスを抑え、車両用窓ガラス等の基板への実装において信頼性、耐久性のあるコネクタの提供を目的としている。また、このコネクタを設置したアンテナ、及びこのアンテナを備えた車両用窓ガラスの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のコネクタは、基板上のガラスアンテナに装着するホルダ部と、前記ホルダ部に着脱自在に嵌合し、同軸ケーブルに接続するピックアップ部とを備えるコネクタであって、前記ホルダ部は、所定の幅の給電用端子と、前記給電用端子の両側を所定の間隔をもって囲むように配置した接地用端子とを備え、前記ピックアップ部は、前記同軸ケーブルの芯線と連結され、かつ前記ホルダ部に装着された際に前記給電用端子と接続される芯線用導体と、前記同軸ケーブルの外周線と連結され、かつ前記ホルダ部に装着された際に前記接地用端子と接続される接地用導体とを備え、前記ホルダ部に前記ピックアップ部が装着された際の前記コネクタの特性インピーダンスは、前記同軸ケーブルと略等しい。
【0014】
テレビ等に使用されている同軸ケーブルのインピーダンスは、50〜75Ω程度のものが多く、このコネクタは使用する同軸ケーブルを想定してそのインピーダンスを設計されている。また、具体的な本発明のコネクタの設計において、給電用端子の幅及びその両側を挟む接地用端子との間隔は、装着する基板やガラスアンテナの形状、性質等を考慮して設計されている。例えば、ガラスアンテナに形成されているコプレーナウェイブガイド線路の機能に影響を与えないように、給電用端子の幅及び給電用端子と接地用端子の間隔を設定する。
【0015】
本発明のコネクタは、超短波帯(VHF帯)、極超短波帯(UHF帯)、マイクロ波帯(SHF帯)等の高周波用、特にギガヘルツ周波数帯の受信用ガラスアンテナからの信号伝送に適する面実装型のコネクタである。基板の表面に形成された伝送線路、例えばガラス板上に設けられたガラスアンテナの給電線路に接続が容易で、コネクタ及びこれに接続された同軸ケーブルを含む伝送路の信号伝送ロスが少ない面実装型のコネクタである。また、基板への装着が容易なように、ホルダ部とピックアップ部を着脱自在に嵌合できる構造にしている。
【0016】
好ましい本発明のコネクタは、前記コネクタの前記給電用端子と前記接地用端子とが、コプレーナウェイブガイド線路を構成している。
【0017】
給電用端子とその両側に所定の間隔をもって配置した接地用端子が、ガラスアンテナと接続された際に、コプレーナウェイブガイド線路を構成しており、その特性インピーダンスが同軸ケーブルとほぼ等しければ、高周波の電波信号に対しても給電用端子がアンテナの作用を示すことが少なく、ほぼ伝送路としての機能のみを発揮するので、アンテナ側から受ける信号を同軸ケーブルとともに効率よく受信機器に伝送することができる。さらに、ガラスアンテナとの接続部において、アンテナのコプレーナウェイブガイド線路部分の役割を担うこともできる。
【0018】
好ましい本発明のコネクタは、前記接地用端子が前記ホルダ部のガラスアンテナへの装着面の長手方向両端に突設された装着部を有し、前記給電用端子が前記ホルダ部のガラスアンテナへの装着面の短手方向に突設された装着部を有している。
【0019】
コネクタを基板上のガラスアンテナに実装する際に、通常は、給電用端子と接地用端子のハンダ付けによっている。給電用端子及び接地用端子の一部が、コネクタの装着面から突設されていれば、ハンダ付けが容易であり、また確実なハンダ付けができる。さらに、コネクタの長手方向両端にハンダ付け部を有し、これと直交する短手方向に突設した端子のハンダ付け部も有することにより、このコネクタの基板面への固定は、強固で信頼性のあるものとなる。
【0020】
本発明のアンテナは、誘電体基板上に線条の放射素子とその給電部と接地極とを配置したアンテナ部を有し、上述の本発明のいずれかのコネクタを備え、このコネクタの給電用端子と前記放射素子が接続され、このコネクタの接地用端子と前記接地極が接続されている。
【0021】
本発明のアンテナは、接地極と一つの放射素子とを有する所謂モノポールアンテナであり、このアンテナで高周波帯域の電波を受信する際に、コネクタ及び同軸ケーブルの伝送路において伝送ロスが起こりにくい設計が可能である。すなわち、本発明のアンテナは、アンテナ部での特性インピーダンスを所望の値に設計可能なアンテナであり、同軸ケーブル及びコネクタ部での特性インピーダンスを、アンテナ部の特性インピーダンスに容易に合わせることができる。
【0022】
好ましい本発明のアンテナは、前記放射素子の一部と前記接地極とが、コプレーナウェイブガイド線路を形成している。コプレーナウェイブガイド線路は、アンテナの特性インピーダンスを所望の値とすることができるので、この部分にアンテナのコプレーナウェイブガイド線路を破壊しないようにコネクタを接続すれば、アンテナの受信部の長さや形状が変化せず、アンテナ部の特性インピーダンスも変化しないので、アンテナから所定の高周波電波を受信し、コネクタ及び同軸ケーブルの伝送路から、伝送ロスなく受信装置に信号を伝送することができる。
【0023】
本発明の車両用窓ガラスには、ガラス基板上に上記の本発明のアンテナが配置されている。車両に搭載されたテレビ等の受信機器や通信機器は、アンテナを必要とするものが多いが、最近は、窓ガラスに設置したアンテナが多い。このようなアンテナとして、上記の本発明のガラスアンテナは好適である。車両用のアンテナは、振動や物理的な応力に対する耐性が特に必要であり、又、比較的長期間の耐久性も要求される。本発明の車両用窓ガラスは、このような要求に好適に応えることができる。さらに、車両用の受信機器等は、受信電波の電波状態のよくない場所でも使用されるため、本発明の車両用窓ガラスは、アンテナ、コネクタ、同軸ケーブルを結合した伝送路において、優れた伝送性能を発揮できるので、良質な信号を受信機に伝送できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、高周波数帯の電気信号の伝送においても伝送路の伝送ロスを抑え、車両用窓ガラス等の基板への実装において信頼性、耐久性のあるコネクタを提供できる。また、このコネクタを備えたアンテナ、及びこのアンテナを設置した車両用窓ガラスを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を、図を参照にしながら、具体的な実施形態により説明する。なお、本発明は、これらの実施形態や実施例に限定されるものではなく、これらの実施形態や実施例を、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
【0026】
(実施形態1)
本発明のコネクタは、ホルダ部とピックアップ部とが着脱自在に嵌合できるように構成されている。本発明の実施形態1のコネクタのホルダ部を図1の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図(裏面図))を示す。また、図2Aには、本発明のコネクタのピックアップ部の6面図を、図2Bには、図2Aの平面図(d)の切断線A−A'における断面図を示す。図1〜2Bを参照にして、この実施形態のコネクタについて説明する。
【0027】
このコネクタのホルダ部10は、図1に示すように、略中空直方体の2面が開口した形状の絶縁ケース4の底部に2つの端子を配置している。図8に示した従来のコネクタのホルダ部においては、底面の両端に接地用端子13と給電用端子12を備えていた。しかし、この実施形態のコネクタのホルダ部10においては、底面の中央部付近に給電用端子2を備え、給電端子2の両側に給電用端子2から所定の間隔で隔離して配置した接地用端子3を備えている。
【0028】
図1の底面図(e)に示す給電用端子2の幅a、及び給電用端子2とその両側の接地用端子3との間隔bは、このコネクタにより接続されたアンテナから同軸ケーブルに電波信号を伝送したときに、信号の伝送ロスが少なくなるように設計されている。すなわち、同軸ケーブルと接続されたコネクタを所定のアンテナと接続したときに、アンテナとコネクタとの接続部となる給電用端子2及び接地用端子3は、受信しようとしている電波に対してコプレーナウェイブガイド線路構造を有している。このようにすることで、給電用端子2のコプレーナウェイブガイド線路構造部分が受信電波信号に対して、所定の特性インピーダンスを示し、同軸ケーブルにコネクタを接続した伝送路の特性インピーダンスを、アンテナの特性インピーダンスと同じとすることができる。なお、この給電用端子2の幅a、及び給電用端子2と接地用端子3との間隔bは、コネクタを接続しようとしているアンテナの形状や、基板の誘電率などにより設定される値であり、追って説明するが、接続するアンテナの条件を勘案して設計される。
【0029】
給電用端子2は、絶縁ケース4の内部に向かって立ち上がっている接続ピン2aを有し、この接続ピン2aは、図2Aに示したピックアップ部21の嵌合端子25を介して、同軸ケーブル23の芯線23aと接続され、給電用端子2に入力された信号を同軸ケーブル23側に伝送する。
【0030】
接地用端子3は、絶縁ケース4の短手方向両側面の内側に沿って立ち上がっている2つの接続部3aを有する。接続部3aは、図2Aに示すピックアップ部21側の接地用導体24の接続部24a、固定部(かしめ部)24bを介して、同軸ケーブル23の外周線23bと接続される。なお、ホルダ部10側の接続部3aは、図1(b)に示すように絶縁ケース4の内側に膨らんでおり、その弾性力により、ピックアップ部21側の接地用導体24の側面の接続部24aを押圧しながら接続して、電気的導通の確実性を確保するとともに、ピックアップ部21をホルダ部に嵌合した際の保持の機能も有している。
【0031】
図1に示すように、絶縁ケース4の裏面(長方形の短手)方向には、給電用端子2と基板上のガラスアンテナとの接続部2bが突設されており、側面(長手)方向両端部には、接地用端子3と基板上のガラスアンテナとの接続部3b,3bが突設されており、基板上のガラスアンテナの放射素子の給電部及び接地極とのハンダ付けが容易になっている。さらにホルダ部10の底面の長手方向両端をハンダ付けすることにより、基板への接着強度、耐久性が確保される。
【0032】
図1に示すように、接地用端子3は、絶縁ケース4の正面及び裏面(短手方向)を挟むようにして立ち上がっている固定部3c,3dによって、それぞれ絶縁ケース4に固定されている。なお、給電用端子2の両側の接地用端子3は、互いに導通されていることが好ましいが、離間していても、それぞれアンテナの接地極に接続された時点で導通されることになるため、問題ない。
【0033】
図2Aは、この実施形態のコネクタのピックアップ部の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図)であり、図2Bは、図2Aの平面図におけるA−A'線に沿った垂直断面の断面図である。図2A、2Bを参照にして、この実施形態のコネクタのピックアップ部21を説明する。ピックアップ部21は、中空の略直方体の絶縁ケース22、絶縁ケース22の内部にあって、ホルダ部10の接続部3aと接続する接続部24aと、絶縁ケース22の内部に導入した同軸ケーブル23の外周線23bをかしめて導通する固定部(かしめ部)24bとを有する接地用導体24、及び同軸ケーブル23の芯線23aとホルダ部10の接続ピン2aと嵌合して、接続ピン2aからの信号を芯線23aに伝送する嵌合端子25を備えている。
【0034】
嵌合端子25は、嵌合端子固定絶縁ケース26の内部に固定され、さらに嵌合端子固定絶縁ケース26は接地用導体24に内包されるように内部に固定されており、ホルダ部10の接続部2aと嵌合する嵌合部25aと芯線固定部(かしめ部)25bを有している。芯線固定部(かしめ部)25bと同軸ケーブルの芯線23aとはかしめて導通されている。そして、嵌合端子25、嵌合端子固定絶縁ケース26を含む接地用導体24は絶縁ケース22に内包されるように内部に固定される。
【0035】
(実施形態2)
図3には、本発明の実施形態2のコネクタのホルダ部10'の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図)を示した。図3のコネクタと実施形態1のコネクタとの相違部分について説明する。このコネクタにおいては、ホルダ部10'の接地端子3が一枚の金属板から形成されており、接地端子3の両端部3b,3bが接続されている。そして、絶縁ケース4の底面が欠落しており、底面の代わりに底部固定バー4a,4bが配置されている。給電端子2は、底部固定バー4bにより絶縁ケース4に固定されており、絶縁ケース4の底部から裏面(短手)方向に付きだしてはいない。給電端子2が絶縁ケース4の底部から付きだしていないと、アンテナの放射素子とのハンダ付けが困難になるが、接地端子の両端の接着部3b,3bをガラスアンテナにハンダ付けしておけば、金属製の給電端子2の弾性力を利用してアンテナの放射素子との導通は確保できる。このコネクタのその他の部分は、実施形態1のコネクタとほぼ同じであるので、その他の部分については、実施形態1のコネクタの説明を参照すればよい。
【0036】
(実施形態3)
実施形態3は、上述の実施形態1のコネクタを備えた本発明のガラスアンテナである。図4にこのアンテナの配置説明図を、図5にガラス基板5上に装着した実施形態3のアンテナの斜視図を示す。このアンテナは、図4に示すように、誘電体であるガラス基板5上に接地極6と線状の放射素子7とが配置され、放射素子7の一部は、接地極6とコプレーナウェイブガイド線路を構成している。コプレーナウェイブガイド線路(Coplanar Waveguide線路:以下CPW線路という。)とは、誘電体基板上に配置された一定幅の中央導体(この場合、放射素子7の長さLtの部分)が、外側導体(この場合、接地極6のうち中央導体を挟む部分)により所定の間隔で両側から挟まれた伝送線路であり、外側導体を接地導体としておけば、中央導体は特定の特性インピーダンスを有する伝送路とすることができる。なお、中央導体と外側導体の間隔Wは、誘電体基板の誘電率や厚さ、中央導体の幅s、中央導体及び外側導体の導電率、などにより決定される。CPW線路は、図4における放射素子7のLtで示される範囲に形成され、放射素子7の幅s、両側の接地極6との間隔Wで構成される伝送線路である。そして、特性インピーダンスが所定の値、例えば50Ωとなるように、中央導体の幅sと外側導体の距離wとの比が、ガラス基板5の厚さ及び比誘電率、中央導体や接地導体の導電率に基づいて設定される。このCPW線路の形成については、文献(例えば書名:MicrostripLines and Slotlines 出版社:Artech House著者:K.C.Gupta他)に詳述されているように周知事項である。
【0037】
コネクタ1は、給電用端子2の接地用端子3に挟まれた部分が放射素子7の中央導体部分と重なるようにガラス基板5上に配置される。このとき、給電用端子2の幅(図1におけるa)は中央導体の幅s以下である。また、給電用端子2を挟む接地用端子3の間の間隔(図1におけるa+2b)は、中央導体を挟む外側導体間の間隔(s+2W)以上である。すなわち、コネクタ1の給電用端子2とこれを挟む接地用端子3との間隔(図1におけるb)は、中央導体とこれを挟む外側導体との間隔(W)と同じか、広くなっている。このようにして、中央導体と給電用端子2、及び外側導体と接地用端子3を接続したときに、この部分が幅sの中央導体と間隔Wをおいて配置された外側導体のCPW線路としての構造が保たれるようになっている。
【0038】
なお、コネクタ1の給電用端子2とこれを挟む接地用端子3との間隔が、このアンテナに適したCPW線路を形成している場合(図1におけるa=s,b=Wとなっている場合)、ガラス板5上の中央導体の幅及び中央導体と外側導体との間隔は、CPW線路を構成していなくてもよい場合がある。すなわち、中央導体と給電用端子2、及び外側導体と接地用端子3を接続したときに、コネクタ1側の給電用端子2と接地用端子3が、CPW線路としての中央導体の幅sとCPW線路としての外側導体の間隔Wを形成するので、ガラス基板5上の中央導体は幅s以下でもよく、外側導体と給電用端子2との間隔がW以上であってもよい。これらの態様を纏めて言えば、中央導体と給電用端子2、及び外側導体と接地用端子3を接続したときに、中央導体と給電用端子2の接続部を一体の中央導体と見なし、外側導体と接地用端子3の接続部を一体の外側導体と見なすことができ、これらに対して中央導体の幅s、中央導体と外側導体の間隔Wを、所望の特性インピーダンスを示す値とすればよい。
【0039】
図4に示すアンテナの場合、放射素子7のCPW線路を形成していない部分、すなわち、長さLeの部分が電波信号の受信部に相当する。コネクタ1をガラス基板5上に配置するときは、コネクタ1の接地用端子3の両端部の装着部3bを接地極6にハンダ付けし、給電用端子2の装着部2bを放射素子7の受信部にハンダ付けする。これにより、コネクタ1のガラス基板5上への確実な固定と、放射素子7と給電用端子2及び接地極6と接地用端子3の確実な接続が実現できる。なお、コネクタ1をガラス基板5上に接続した後のアンテナは、放射素子7と給電用端子2及び接地極6と接地用端子3の一部が、一体となってCPW線路を形成しているので、コネクタ1のCPW線路形成部と、放射素子7と接地極6によるCPW線路形成部とを厳密に合わせて配置する必要はなく、放射素子7の長手方向にずれてコネクタ1を配置してもよい。これにより、放射素子7の信号受信部の長さLeを調整することができる場合がある。
【0040】
このように、ガラス基板5上の給電用端子2の接合部は、CPW線路の形態を有しており、コネクタ1の接続ピン2a及び嵌合端子25の距離は短いので、給電用端子2の接合部のCPW線路の特性インピーダンスと、同軸ケーブルの特性インピーダンス(通常高周波伝送路においては50Ω程度)とを、ほぼ同じ値とすることで、アンテナから受信機までの伝送路の伝送損失を低減できる。
【0041】
なお、上述のガラス基板5は、接地極6の一部Ltで示される範囲でCPW線路を構成し、CPW線路の中央導体を延長してモノポールアンテナとしたものであるが、放射素子の形状はこれに限定されず、放射素子7の長さLeの部分の幅は、Ltで示される範囲のCPW線路を構成する中央導体の幅sに比べて広くても良く、幅sから徐々に広くすることで、広帯域のアンテナとすることができる。さらには、扇状に広がっていても良く、複数本に分岐して、所望の周波数帯を受信できるアンテナパターン形成し、広帯域または多周波共用のアンテナとすることができる。そして、CPW線路部分の長さLtも伝送損失を考慮の上適宜選択できる。
【0042】
(実施形態4)
本発明に係るアンテナが実装されるガラス基板は、車両用のフロントガラス、ドアガラス、サイド窓ガラス及び後部窓ガラス等どのような車両用窓ガラスであってもよく、更には建築用の窓ガラスであってもよく、特に限定されない。図4のような構成とした場合、放射素子7と接地極6の少なくとも一部を隠蔽膜上に形成させることで、車外視において放射素子7の細い直線部分のみを見ることになり、デザイン上好ましい。
【0043】
一般に、車両用窓ガラス等に設置されたガラスアンテナにおいては、ガラス基板5上の導体(接地極6及び放射素子7)は、銀ペースト等の導電性金属を含有するペーストをガラス板の車内側表面にプリントし、焼付けて形成される。しかし、この形成方法に限定されず、銅等の導電性物質からなる、線状体又は箔状体を、ガラス基板上に形成してもよく、さらにはガラス基板上にこれらの導体を接着剤等により形成してもよい。
【0044】
ガラス基板5上の導体は銀導体によるものに係わらず、導体層を合成樹脂製フィルムの内部又はその表面に設け、導体層付き合成樹脂製フィルムをガラス板上に形成してもよい。さらに、導体が形成されたフレキシブル回路基板をガラス基板に形成してよい。
【0045】
また、ガラス基板5の面上に隠蔽膜を形成し、この隠蔽膜の上に放射素子7と接地極6の一部分又は全体を設けてもよい。隠蔽膜は黒色セラミックス膜等のセラミックスが挙げられる。このガラス基板5を車両に適応し窓ガラスとした場合、窓ガラスの車外側から見ると、隠蔽膜により隠蔽膜上に設けられ導体の部分が車外から見えなくなり、デザインの優れた窓ガラスとなる。なお、ガラスアンテナは、必ずしもガラス基板上に設置されなくても、透明プラスチック基板のようにガラスに類似する基板上に設置される物でもよい。
【実施例】
【0046】
(実施例)
<コネクタ1の製作>
図1に示すホルダ部及び図2A,2Bに示すピックアップ部からなるコネクタ1を作製した。但し、給電用端子2の接続ピン2aは、円柱状ではなく、給電用端子2の接着部2bをそのまま90度屈曲させて立ち上げた四角柱状のピンとした。
【0047】
このコネクタ1の図1における給電用端子2の幅aは、2mm、給電用端子2と接地用端子3の間隔bは2mmとした。ピックアップ部21は、図2A,2Bに示すピックアップ部とほぼ同じ市販のコネクタのピックアップ部を利用した。
【0048】
<アンテナの製作>
作製したコネクタ1のピックアップ部21に、図2A,2Bに示すように、特性インピーダンス50Ωの同軸ケーブルを接続し、図4に示すように、ガラス基板上に設置したガラスアンテナの放射素子7の給電部及び接地極6に、このコネクタ1の給電用端子2と接地端子3をハンダ付けで固定した。ガラス基板上に設置したこのコネクタ1を備えたアンテナの斜視図を、図5に示した。
【0049】
ガラス基板5は、厚さ3.5mmであり、横300mm×縦150mmの銅箔により接地極6を形成し、図4に示すように、接地極6の一辺の中央部にCPW線路構造と約1.5GHzで共振する1/4波長モノポールのアンテナエレメントを形成した。図4に示す各部の寸法は、
s:3mm
W:1mm
Le:28.5mm
Lt:5mm
d:7mm
とした。
【0050】
図4において、破線で示す位置に作製したコネクタ1をガラス基板5に設置し、ハンダ付けにより実装した。実装後の図5の状態で、アンテナ性能指標の一つであるリターンロスの測定を行った。図6に示すリターンロスの測定結果から、1.55GHzにおいてリターンロスは−16dB(電圧定在波比1.38)となり、モノポールアンテナによる十分な共振が観察され、コネクタ部分における伝送損失が生じていないことが判る。
【0051】
なお、厚さ3.5mmのガラス板、ガラスの比誘電率は7、放射素子7及び接地極6の導体厚10μmにおいて放射素子7の中心導体の幅sを3mm、中心導体と接地極6との間隙wが1mmのとき、CPW線路の特性インピーダンスは55Ωであった。この場合、特性インピーダンスが50Ωとなるように、ガラス厚さ、導体厚を考慮して、導体幅s、接地極6との距離wが決定されることが好ましいが、本実施例では実装性、ハンダ付け作業性を考慮して、ほぼ50Ωに近い55Ωとした。
【0052】
使用される同軸ケーブルおよびコネクタの特性インピーダンスが75Ωである場合に、同様に特性インピーダンスが75Ωとなるように、ガラス厚さ、放射素子7の幅と、実装性、ハンダ付け作業性を考慮して、放射素子7の幅s、接地極6との距離wを決定し、上述の値から変更することも可能である。
【0053】
なお、接地極6の形状はコネクタの電気特性評価において本実施例のとおりとしたが、車両用窓ガラス板において使用される場合には、その形状や使用される周波数により、特性を考慮しながら適宜変更が可能であり、メッシュ状に変更することも可能である。また、本実施例による接地用端子3の装着部3bは、従来例と同様なハンダ付け面積を有するので外部力に対しての耐力もあり、また同軸ケーブル23の配線方向も従来と同じであるので、特に車両用窓ガラス板におけるガラスアンテナに対するコネクタとして好適に利用できる。
【0054】
(比較例)
図10の斜視図に示すコネクタ(ホルダ部は図8に示し、ピックアップ部は図2A,2Bに示す構造をしている。)を、図9に示すように、実施例と同様のガラス板5(厚さ3.5mm、ガラスの比誘電率7)上に、銅箔により横300mm×縦150mmの接地極6と、対応する放射素子8とを有するガラスアンテナを形成した。放射素子8は、図9に示すように、接地極6から距離g0だけ離して、給電部を接地極6側にし、受信部を接地極6から遠ざかるようにして放射素子8を配置した。この放射素子8と接地極6の組合せは、モノポールアンテナとなっている。
図9に示す各部の寸法は、
s0:3mm
pd:10mm
LD:28.5mm
g0:13mm
とした。
【0055】
図9の破線で示す位置には、図10に示すコネクタのホルダ部15をハンダ付けにより実装した。なお、ホルダ部の給電用端子12の装着部12bは放射素子8の給電部と、接地用端子13の装着部13bは接地極6と、接続する。ホルダ部15には同軸ケーブル23を連結したピックアップ部21が接続され、ガラスアンテナで受信した高周波信号が同軸ケーブル23に伝送される。この伝送路に対して、実施例と同様のリターンロスの測定を行った。図7に示す測定の結果から解るように、ギガヘルツ周波数帯領域においては、リターンロスは全般的に平坦で、十分な共振周波数領域が観察されず、アンテナとしての性能を発揮できないと評価される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のコネクタは、日本、韓国、中国、ブラジル、米国、欧州等の地上波デジタルテレビ放送(470〜862MHz)、UHF帯のアナログテレビ放送及びデジタルテレビ放送、デジタルラジオ放送(170〜230MHz)を受信する自動車用ガラスアンテナ用コネクタに利用される。その他、日本のFM放送帯(76〜90MHz)、米国のFM放送帯(88〜108MHz)、VHF帯のアナログテレビ放送(90〜108MHz、170〜222MHz)を受信する自動車用ガラスアンテナ用コネクタにも利用可能である。また、携帯電話用の800MHz帯(810〜960MHz)、1.5GHz帯(1.429〜1.501GHz)、1.9GHz帯(1.850〜1.990GHz)、およびGPS(Global Positioning System、1575.42MHz)、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System、2.5GHz)、ETC通信(Electronic Toll Collection System:ノンストップ自動料金収受システム、5.8GHz帯)、専用狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication、915MHz帯、5.8GHz帯)、自動車用キーレスエントリィシステム(300〜450MHz)、SDARS(Satellite Digital Audio Radio Service、2.3GHz帯、2.6GHz帯)等放送および通信のガラスアンテナ用コネクタとして利用できる。よって、超短波帯(VHF帯、30MHz〜300MHz)、極超短波帯(UHF帯、300MHz〜3GHz)、マイクロ波帯(SHF帯、3GHz〜30GHz)の放送、通信に好適な面実装型のコネクタ装置として利用可能である。特に、ガラス基板等の絶縁基板との固定が容易で、且つ強固であるので、振動に強く、耐久性があるので、車両用の窓ガラスに装着するガラスアンテナとして適している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のコネクタのホルダ部の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図)
【図2A】本発明のコネクタのピックアップ部の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図)
【図2B】図2Aの平面図(d)のA−A'断面における断面図
【図3】本発明の別の形態のコネクタのホルダ部の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図)
【図4】本発明のコネクタを備えたアンテナの配置図
【図5】本発明のコネクタのアンテナへの設置例の斜視図
【図6】同軸ケーブルに本発明のコネクタを接続した伝送路のギガヘルツ帯周波数に対するリターンロスを表すグラフ
【図7】同軸ケーブルに従来のコネクタを接続した伝送路のギガヘルツ帯周波数に対するリターンロスを表すグラフ
【図8】従来のコネクタのホルダ部の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図)
【図9】従来コネクタのアンテナへの配置図
【図10】従来のコネクタのアンテナへの設置例の斜視図
【符号の説明】
【0058】
1:コネクタ
2:給電用端子
2a:接続ピン
2b:装着部
3:接地用端子
3a:接続部
3b:装着部
3c,3d:固定部
4:絶縁ケース
4a,4b:底部固定バー
5:ガラス基板
6:接地極
7:放射素子
8:放射素子
10,10':ホルダ部
11:コネクタ
12:給電用端子
12a:接続ピン
12b:装着部
12c:固定部
13:接地用端子
13a:接続部
13b:装着部
13c:固定部
14:絶縁ケース
15:ホルダ部
21:ピックアップ部
22:絶縁ケース
23:同軸ケーブル
23a:芯線
23b:外周線
23c:絶縁層
23d:絶縁層
24:接地用導体
24a:接続部
24b:固定部(かしめ部)
25:嵌合端子
25a:嵌合部
25b:芯線固定部(かしめ部)
26:嵌合端子固定絶縁ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及びこれを配置したアンテナ、並びにこのアンテナを備えた車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用に搭載されているアンテナとして、窓ガラス等に設置した所謂ガラスアンテナが知られている。ガラスアンテナは、窓ガラスのような誘電体の基板面に線条の導体などが配置されて構成されており、同軸ケーブルのような伝送路によって、アンテナで受信された電波信号がテレビ等の受信機器に伝送される。このアンテナと同軸ケーブルとを接続するコネクタは、種々知られている。
【0003】
ガラス基板の表面に形成されたガラスアンテナから、同軸ケーブルへの接続のためのコネクタの実装例を図10に示す。このコネクタは、ホルダ部とピックアップ部が着脱自在に嵌合された状態になっており、ホルダ部が基板上のガラスアンテナにハンダ付けされて接続されており、ホルダ部に嵌め込まれたピックアップ部が同軸ケーブルと接続されている。このコネクタについて、図8〜10を参照にして簡単に説明する。図8は、このコネクタのホルダ部の6面図である。
【0004】
このコネクタのホルダ部15は、図8に示すように、直方体の2面が開口した形状の絶縁ケース14の底部の両側に端子を配置されている。図8においては、底面図の右側が接地用端子13、左側が給電用端子12である。給電用端子12は、絶縁ケース14の内部に向かって立ち上がっている接続ピン12aを有し、この接続ピン12aは、図2A,2Bに示すようなピックアップ部21の嵌合端子25を介して、同軸ケーブル23の芯線23aと接続され、信号を同軸ケーブル23側に伝送する(ピックアップ部21の構造については、図2A,2Bに示したものと同様である。)。接地用端子13は、絶縁ケース14の両側面内側に沿って立ち上がっている2つの接続部13aを有する。接続部13aは、ピックアップ部21の接地用導体24を介して同軸ケーブル23の外周線23cと連結する。絶縁ケース14の長手方向両端部には、それぞれの端子の基板上のガラスアンテナとの接続部12b,13bが突設されており、基板上のガラスアンテナとのハンダ付けが容易になっている。給電用端子12及び接地用端子13は、絶縁ケース14の外側面を挟むようにして立ち上がっている2つずつの固定部12c,13cによって、それぞれ絶縁ケース14に固定されている。
【0005】
図9は、このコネクタをガラス基板上のガラスアンテナに取り付けた状態の説明図である。ガラス基板5上のガラスアンテナの放射素子8の給電部と、コネクタ11の給電用端子12における装着部12bとがハンダ付けされており、接地極6は接地用端子13の装着部13bとハンダ付けされている。なお、ガラスアンテナの形状、配置を表すLD,pd,s0,g0などは、それぞれのガラスアンテナの受信特性によって決定される。図10には、このコネクタを実際にガラス基板上のガラスアンテナに接続した状態の斜視図を示す。
【0006】
このようなコネクタは、例えば、非特許文献1に市販品として開示されている。また、特許文献1には、上述のようなガラスアンテナ用コネクタに、回路基板を内蔵させた回路基板内蔵コネクタが開示されている。特許文献2,3には、アンテナを設置した基板面に装着するホルダ部を、両面テープで貼着して固定し、このホルダ部に着脱自在で、給電端子の弾性力を利用してアンテナとの接続を可能にしたピックアップ部を備えた、簡単に固定及び着脱できるコネクタが開示されている。
【0007】
一方、特許文献4には、コネクタ部の信号伝送路における特性インピーダンスの急激な変化を抑制するため、同軸ケーブルの伝送路導体(芯線)と接続された中心導体を、アンテナを配置した基板面に対して傾斜して接続されるようにしたコネクタ装置が開示されている。
【特許文献1】特開2008−035479号公報
【特許文献2】特開2004−031068号公報
【特許文献3】特開2005−110200号公報
【特許文献4】特開2002−305062号公報
【非特許文献1】ヒロセ電機株式会社カタログ、139−142頁(GT19シリーズガラスアンテナ用コネクタ)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
基板上に配置したガラスアンテナ(単にアンテナということがある。)と、同軸ケーブル等の伝送路とを接続する、非特許文献1、特許文献1〜3に開示されているようなコネクタは、高周波帯、特に極超短波帯(UHF帯)およびマイクロ波帯(SHF帯)などの周波数帯において、ガラス面に設置されたアンテナ(導体)とコネクタとの接合部で生じるインピーダンスの不整合による伝送ロスについては注意が払われていない。この為、アンテナから同軸ケーブルを通して受信機器まで伝送される信号の伝送ロスが大きく、受信機に正確な信号を伝送ができないことがある。特に、周波数がギガヘルツ領域の高周波帯に対応するアンテナの給電部では、使用される波長に対して基板面に設置したアンテナとコネクタとの接合部の形状が無視できない影響を及ぼし、アンテナの重要な構成要素である給電部の形状(寸法)が変形したと同様になり、信号の伝送特性に大きく影響を与えてしまうことがある。
【0009】
地上波デジタルテレビ放送、欧州連合地域のデジタルテレビ放送、デジタルラジオ放送やGPSなどに用いられる電波信号は、極超短波帯(UHF帯)の高周波数帯を利用している場合が多い。この為、このような高周波数帯の受信アンテナからの信号の伝送路においては、同軸ケーブルとコネクタのインピーダンスのマッチング、特に接続するアンテナやその基板の形状や性質を配慮したコネクタの設計が必要である。
【0010】
特許文献4に開示されているコネクタ装置においては、伝送路におけるインピーダンスを考慮して、アンテナの給電部とコネクタの給電用端子の接続角度を規定しているが、コプレーナウェイブガイド線路が形成されているアンテナの給電部に、コネクタの給電端子を所定角度で接続する必要があり、接続の精度や信頼性、特にガラスアンテナに用いる場合には耐久性の確保が問題となる場合がある。
【0011】
一方、一般的なプリント基板などに実装される同軸ケーブル接続用のコネクタは、各種知られているが、これらは、車両用窓ガラスのように振動や外部応力のかかる可能性のある基板への実装を考慮しておらず、コネクタの嵌合性やその保持力、特に実装したコネクタ部分への外部応力に対して十分な耐性を有するとは言えない。
【0012】
本発明においては、上述の問題点をふまえ、高周波数帯の電気信号の伝送においても伝送路の伝送ロスを抑え、車両用窓ガラス等の基板への実装において信頼性、耐久性のあるコネクタの提供を目的としている。また、このコネクタを設置したアンテナ、及びこのアンテナを備えた車両用窓ガラスの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のコネクタは、基板上のガラスアンテナに装着するホルダ部と、前記ホルダ部に着脱自在に嵌合し、同軸ケーブルに接続するピックアップ部とを備えるコネクタであって、前記ホルダ部は、所定の幅の給電用端子と、前記給電用端子の両側を所定の間隔をもって囲むように配置した接地用端子とを備え、前記ピックアップ部は、前記同軸ケーブルの芯線と連結され、かつ前記ホルダ部に装着された際に前記給電用端子と接続される芯線用導体と、前記同軸ケーブルの外周線と連結され、かつ前記ホルダ部に装着された際に前記接地用端子と接続される接地用導体とを備え、前記ホルダ部に前記ピックアップ部が装着された際の前記コネクタの特性インピーダンスは、前記同軸ケーブルと略等しい。
【0014】
テレビ等に使用されている同軸ケーブルのインピーダンスは、50〜75Ω程度のものが多く、このコネクタは使用する同軸ケーブルを想定してそのインピーダンスを設計されている。また、具体的な本発明のコネクタの設計において、給電用端子の幅及びその両側を挟む接地用端子との間隔は、装着する基板やガラスアンテナの形状、性質等を考慮して設計されている。例えば、ガラスアンテナに形成されているコプレーナウェイブガイド線路の機能に影響を与えないように、給電用端子の幅及び給電用端子と接地用端子の間隔を設定する。
【0015】
本発明のコネクタは、超短波帯(VHF帯)、極超短波帯(UHF帯)、マイクロ波帯(SHF帯)等の高周波用、特にギガヘルツ周波数帯の受信用ガラスアンテナからの信号伝送に適する面実装型のコネクタである。基板の表面に形成された伝送線路、例えばガラス板上に設けられたガラスアンテナの給電線路に接続が容易で、コネクタ及びこれに接続された同軸ケーブルを含む伝送路の信号伝送ロスが少ない面実装型のコネクタである。また、基板への装着が容易なように、ホルダ部とピックアップ部を着脱自在に嵌合できる構造にしている。
【0016】
好ましい本発明のコネクタは、前記コネクタの前記給電用端子と前記接地用端子とが、コプレーナウェイブガイド線路を構成している。
【0017】
給電用端子とその両側に所定の間隔をもって配置した接地用端子が、ガラスアンテナと接続された際に、コプレーナウェイブガイド線路を構成しており、その特性インピーダンスが同軸ケーブルとほぼ等しければ、高周波の電波信号に対しても給電用端子がアンテナの作用を示すことが少なく、ほぼ伝送路としての機能のみを発揮するので、アンテナ側から受ける信号を同軸ケーブルとともに効率よく受信機器に伝送することができる。さらに、ガラスアンテナとの接続部において、アンテナのコプレーナウェイブガイド線路部分の役割を担うこともできる。
【0018】
好ましい本発明のコネクタは、前記接地用端子が前記ホルダ部のガラスアンテナへの装着面の長手方向両端に突設された装着部を有し、前記給電用端子が前記ホルダ部のガラスアンテナへの装着面の短手方向に突設された装着部を有している。
【0019】
コネクタを基板上のガラスアンテナに実装する際に、通常は、給電用端子と接地用端子のハンダ付けによっている。給電用端子及び接地用端子の一部が、コネクタの装着面から突設されていれば、ハンダ付けが容易であり、また確実なハンダ付けができる。さらに、コネクタの長手方向両端にハンダ付け部を有し、これと直交する短手方向に突設した端子のハンダ付け部も有することにより、このコネクタの基板面への固定は、強固で信頼性のあるものとなる。
【0020】
本発明のアンテナは、誘電体基板上に線条の放射素子とその給電部と接地極とを配置したアンテナ部を有し、上述の本発明のいずれかのコネクタを備え、このコネクタの給電用端子と前記放射素子が接続され、このコネクタの接地用端子と前記接地極が接続されている。
【0021】
本発明のアンテナは、接地極と一つの放射素子とを有する所謂モノポールアンテナであり、このアンテナで高周波帯域の電波を受信する際に、コネクタ及び同軸ケーブルの伝送路において伝送ロスが起こりにくい設計が可能である。すなわち、本発明のアンテナは、アンテナ部での特性インピーダンスを所望の値に設計可能なアンテナであり、同軸ケーブル及びコネクタ部での特性インピーダンスを、アンテナ部の特性インピーダンスに容易に合わせることができる。
【0022】
好ましい本発明のアンテナは、前記放射素子の一部と前記接地極とが、コプレーナウェイブガイド線路を形成している。コプレーナウェイブガイド線路は、アンテナの特性インピーダンスを所望の値とすることができるので、この部分にアンテナのコプレーナウェイブガイド線路を破壊しないようにコネクタを接続すれば、アンテナの受信部の長さや形状が変化せず、アンテナ部の特性インピーダンスも変化しないので、アンテナから所定の高周波電波を受信し、コネクタ及び同軸ケーブルの伝送路から、伝送ロスなく受信装置に信号を伝送することができる。
【0023】
本発明の車両用窓ガラスには、ガラス基板上に上記の本発明のアンテナが配置されている。車両に搭載されたテレビ等の受信機器や通信機器は、アンテナを必要とするものが多いが、最近は、窓ガラスに設置したアンテナが多い。このようなアンテナとして、上記の本発明のガラスアンテナは好適である。車両用のアンテナは、振動や物理的な応力に対する耐性が特に必要であり、又、比較的長期間の耐久性も要求される。本発明の車両用窓ガラスは、このような要求に好適に応えることができる。さらに、車両用の受信機器等は、受信電波の電波状態のよくない場所でも使用されるため、本発明の車両用窓ガラスは、アンテナ、コネクタ、同軸ケーブルを結合した伝送路において、優れた伝送性能を発揮できるので、良質な信号を受信機に伝送できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、高周波数帯の電気信号の伝送においても伝送路の伝送ロスを抑え、車両用窓ガラス等の基板への実装において信頼性、耐久性のあるコネクタを提供できる。また、このコネクタを備えたアンテナ、及びこのアンテナを設置した車両用窓ガラスを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を、図を参照にしながら、具体的な実施形態により説明する。なお、本発明は、これらの実施形態や実施例に限定されるものではなく、これらの実施形態や実施例を、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
【0026】
(実施形態1)
本発明のコネクタは、ホルダ部とピックアップ部とが着脱自在に嵌合できるように構成されている。本発明の実施形態1のコネクタのホルダ部を図1の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図(裏面図))を示す。また、図2Aには、本発明のコネクタのピックアップ部の6面図を、図2Bには、図2Aの平面図(d)の切断線A−A'における断面図を示す。図1〜2Bを参照にして、この実施形態のコネクタについて説明する。
【0027】
このコネクタのホルダ部10は、図1に示すように、略中空直方体の2面が開口した形状の絶縁ケース4の底部に2つの端子を配置している。図8に示した従来のコネクタのホルダ部においては、底面の両端に接地用端子13と給電用端子12を備えていた。しかし、この実施形態のコネクタのホルダ部10においては、底面の中央部付近に給電用端子2を備え、給電端子2の両側に給電用端子2から所定の間隔で隔離して配置した接地用端子3を備えている。
【0028】
図1の底面図(e)に示す給電用端子2の幅a、及び給電用端子2とその両側の接地用端子3との間隔bは、このコネクタにより接続されたアンテナから同軸ケーブルに電波信号を伝送したときに、信号の伝送ロスが少なくなるように設計されている。すなわち、同軸ケーブルと接続されたコネクタを所定のアンテナと接続したときに、アンテナとコネクタとの接続部となる給電用端子2及び接地用端子3は、受信しようとしている電波に対してコプレーナウェイブガイド線路構造を有している。このようにすることで、給電用端子2のコプレーナウェイブガイド線路構造部分が受信電波信号に対して、所定の特性インピーダンスを示し、同軸ケーブルにコネクタを接続した伝送路の特性インピーダンスを、アンテナの特性インピーダンスと同じとすることができる。なお、この給電用端子2の幅a、及び給電用端子2と接地用端子3との間隔bは、コネクタを接続しようとしているアンテナの形状や、基板の誘電率などにより設定される値であり、追って説明するが、接続するアンテナの条件を勘案して設計される。
【0029】
給電用端子2は、絶縁ケース4の内部に向かって立ち上がっている接続ピン2aを有し、この接続ピン2aは、図2Aに示したピックアップ部21の嵌合端子25を介して、同軸ケーブル23の芯線23aと接続され、給電用端子2に入力された信号を同軸ケーブル23側に伝送する。
【0030】
接地用端子3は、絶縁ケース4の短手方向両側面の内側に沿って立ち上がっている2つの接続部3aを有する。接続部3aは、図2Aに示すピックアップ部21側の接地用導体24の接続部24a、固定部(かしめ部)24bを介して、同軸ケーブル23の外周線23bと接続される。なお、ホルダ部10側の接続部3aは、図1(b)に示すように絶縁ケース4の内側に膨らんでおり、その弾性力により、ピックアップ部21側の接地用導体24の側面の接続部24aを押圧しながら接続して、電気的導通の確実性を確保するとともに、ピックアップ部21をホルダ部に嵌合した際の保持の機能も有している。
【0031】
図1に示すように、絶縁ケース4の裏面(長方形の短手)方向には、給電用端子2と基板上のガラスアンテナとの接続部2bが突設されており、側面(長手)方向両端部には、接地用端子3と基板上のガラスアンテナとの接続部3b,3bが突設されており、基板上のガラスアンテナの放射素子の給電部及び接地極とのハンダ付けが容易になっている。さらにホルダ部10の底面の長手方向両端をハンダ付けすることにより、基板への接着強度、耐久性が確保される。
【0032】
図1に示すように、接地用端子3は、絶縁ケース4の正面及び裏面(短手方向)を挟むようにして立ち上がっている固定部3c,3dによって、それぞれ絶縁ケース4に固定されている。なお、給電用端子2の両側の接地用端子3は、互いに導通されていることが好ましいが、離間していても、それぞれアンテナの接地極に接続された時点で導通されることになるため、問題ない。
【0033】
図2Aは、この実施形態のコネクタのピックアップ部の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図)であり、図2Bは、図2Aの平面図におけるA−A'線に沿った垂直断面の断面図である。図2A、2Bを参照にして、この実施形態のコネクタのピックアップ部21を説明する。ピックアップ部21は、中空の略直方体の絶縁ケース22、絶縁ケース22の内部にあって、ホルダ部10の接続部3aと接続する接続部24aと、絶縁ケース22の内部に導入した同軸ケーブル23の外周線23bをかしめて導通する固定部(かしめ部)24bとを有する接地用導体24、及び同軸ケーブル23の芯線23aとホルダ部10の接続ピン2aと嵌合して、接続ピン2aからの信号を芯線23aに伝送する嵌合端子25を備えている。
【0034】
嵌合端子25は、嵌合端子固定絶縁ケース26の内部に固定され、さらに嵌合端子固定絶縁ケース26は接地用導体24に内包されるように内部に固定されており、ホルダ部10の接続部2aと嵌合する嵌合部25aと芯線固定部(かしめ部)25bを有している。芯線固定部(かしめ部)25bと同軸ケーブルの芯線23aとはかしめて導通されている。そして、嵌合端子25、嵌合端子固定絶縁ケース26を含む接地用導体24は絶縁ケース22に内包されるように内部に固定される。
【0035】
(実施形態2)
図3には、本発明の実施形態2のコネクタのホルダ部10'の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図)を示した。図3のコネクタと実施形態1のコネクタとの相違部分について説明する。このコネクタにおいては、ホルダ部10'の接地端子3が一枚の金属板から形成されており、接地端子3の両端部3b,3bが接続されている。そして、絶縁ケース4の底面が欠落しており、底面の代わりに底部固定バー4a,4bが配置されている。給電端子2は、底部固定バー4bにより絶縁ケース4に固定されており、絶縁ケース4の底部から裏面(短手)方向に付きだしてはいない。給電端子2が絶縁ケース4の底部から付きだしていないと、アンテナの放射素子とのハンダ付けが困難になるが、接地端子の両端の接着部3b,3bをガラスアンテナにハンダ付けしておけば、金属製の給電端子2の弾性力を利用してアンテナの放射素子との導通は確保できる。このコネクタのその他の部分は、実施形態1のコネクタとほぼ同じであるので、その他の部分については、実施形態1のコネクタの説明を参照すればよい。
【0036】
(実施形態3)
実施形態3は、上述の実施形態1のコネクタを備えた本発明のガラスアンテナである。図4にこのアンテナの配置説明図を、図5にガラス基板5上に装着した実施形態3のアンテナの斜視図を示す。このアンテナは、図4に示すように、誘電体であるガラス基板5上に接地極6と線状の放射素子7とが配置され、放射素子7の一部は、接地極6とコプレーナウェイブガイド線路を構成している。コプレーナウェイブガイド線路(Coplanar Waveguide線路:以下CPW線路という。)とは、誘電体基板上に配置された一定幅の中央導体(この場合、放射素子7の長さLtの部分)が、外側導体(この場合、接地極6のうち中央導体を挟む部分)により所定の間隔で両側から挟まれた伝送線路であり、外側導体を接地導体としておけば、中央導体は特定の特性インピーダンスを有する伝送路とすることができる。なお、中央導体と外側導体の間隔Wは、誘電体基板の誘電率や厚さ、中央導体の幅s、中央導体及び外側導体の導電率、などにより決定される。CPW線路は、図4における放射素子7のLtで示される範囲に形成され、放射素子7の幅s、両側の接地極6との間隔Wで構成される伝送線路である。そして、特性インピーダンスが所定の値、例えば50Ωとなるように、中央導体の幅sと外側導体の距離wとの比が、ガラス基板5の厚さ及び比誘電率、中央導体や接地導体の導電率に基づいて設定される。このCPW線路の形成については、文献(例えば書名:MicrostripLines and Slotlines 出版社:Artech House著者:K.C.Gupta他)に詳述されているように周知事項である。
【0037】
コネクタ1は、給電用端子2の接地用端子3に挟まれた部分が放射素子7の中央導体部分と重なるようにガラス基板5上に配置される。このとき、給電用端子2の幅(図1におけるa)は中央導体の幅s以下である。また、給電用端子2を挟む接地用端子3の間の間隔(図1におけるa+2b)は、中央導体を挟む外側導体間の間隔(s+2W)以上である。すなわち、コネクタ1の給電用端子2とこれを挟む接地用端子3との間隔(図1におけるb)は、中央導体とこれを挟む外側導体との間隔(W)と同じか、広くなっている。このようにして、中央導体と給電用端子2、及び外側導体と接地用端子3を接続したときに、この部分が幅sの中央導体と間隔Wをおいて配置された外側導体のCPW線路としての構造が保たれるようになっている。
【0038】
なお、コネクタ1の給電用端子2とこれを挟む接地用端子3との間隔が、このアンテナに適したCPW線路を形成している場合(図1におけるa=s,b=Wとなっている場合)、ガラス板5上の中央導体の幅及び中央導体と外側導体との間隔は、CPW線路を構成していなくてもよい場合がある。すなわち、中央導体と給電用端子2、及び外側導体と接地用端子3を接続したときに、コネクタ1側の給電用端子2と接地用端子3が、CPW線路としての中央導体の幅sとCPW線路としての外側導体の間隔Wを形成するので、ガラス基板5上の中央導体は幅s以下でもよく、外側導体と給電用端子2との間隔がW以上であってもよい。これらの態様を纏めて言えば、中央導体と給電用端子2、及び外側導体と接地用端子3を接続したときに、中央導体と給電用端子2の接続部を一体の中央導体と見なし、外側導体と接地用端子3の接続部を一体の外側導体と見なすことができ、これらに対して中央導体の幅s、中央導体と外側導体の間隔Wを、所望の特性インピーダンスを示す値とすればよい。
【0039】
図4に示すアンテナの場合、放射素子7のCPW線路を形成していない部分、すなわち、長さLeの部分が電波信号の受信部に相当する。コネクタ1をガラス基板5上に配置するときは、コネクタ1の接地用端子3の両端部の装着部3bを接地極6にハンダ付けし、給電用端子2の装着部2bを放射素子7の受信部にハンダ付けする。これにより、コネクタ1のガラス基板5上への確実な固定と、放射素子7と給電用端子2及び接地極6と接地用端子3の確実な接続が実現できる。なお、コネクタ1をガラス基板5上に接続した後のアンテナは、放射素子7と給電用端子2及び接地極6と接地用端子3の一部が、一体となってCPW線路を形成しているので、コネクタ1のCPW線路形成部と、放射素子7と接地極6によるCPW線路形成部とを厳密に合わせて配置する必要はなく、放射素子7の長手方向にずれてコネクタ1を配置してもよい。これにより、放射素子7の信号受信部の長さLeを調整することができる場合がある。
【0040】
このように、ガラス基板5上の給電用端子2の接合部は、CPW線路の形態を有しており、コネクタ1の接続ピン2a及び嵌合端子25の距離は短いので、給電用端子2の接合部のCPW線路の特性インピーダンスと、同軸ケーブルの特性インピーダンス(通常高周波伝送路においては50Ω程度)とを、ほぼ同じ値とすることで、アンテナから受信機までの伝送路の伝送損失を低減できる。
【0041】
なお、上述のガラス基板5は、接地極6の一部Ltで示される範囲でCPW線路を構成し、CPW線路の中央導体を延長してモノポールアンテナとしたものであるが、放射素子の形状はこれに限定されず、放射素子7の長さLeの部分の幅は、Ltで示される範囲のCPW線路を構成する中央導体の幅sに比べて広くても良く、幅sから徐々に広くすることで、広帯域のアンテナとすることができる。さらには、扇状に広がっていても良く、複数本に分岐して、所望の周波数帯を受信できるアンテナパターン形成し、広帯域または多周波共用のアンテナとすることができる。そして、CPW線路部分の長さLtも伝送損失を考慮の上適宜選択できる。
【0042】
(実施形態4)
本発明に係るアンテナが実装されるガラス基板は、車両用のフロントガラス、ドアガラス、サイド窓ガラス及び後部窓ガラス等どのような車両用窓ガラスであってもよく、更には建築用の窓ガラスであってもよく、特に限定されない。図4のような構成とした場合、放射素子7と接地極6の少なくとも一部を隠蔽膜上に形成させることで、車外視において放射素子7の細い直線部分のみを見ることになり、デザイン上好ましい。
【0043】
一般に、車両用窓ガラス等に設置されたガラスアンテナにおいては、ガラス基板5上の導体(接地極6及び放射素子7)は、銀ペースト等の導電性金属を含有するペーストをガラス板の車内側表面にプリントし、焼付けて形成される。しかし、この形成方法に限定されず、銅等の導電性物質からなる、線状体又は箔状体を、ガラス基板上に形成してもよく、さらにはガラス基板上にこれらの導体を接着剤等により形成してもよい。
【0044】
ガラス基板5上の導体は銀導体によるものに係わらず、導体層を合成樹脂製フィルムの内部又はその表面に設け、導体層付き合成樹脂製フィルムをガラス板上に形成してもよい。さらに、導体が形成されたフレキシブル回路基板をガラス基板に形成してよい。
【0045】
また、ガラス基板5の面上に隠蔽膜を形成し、この隠蔽膜の上に放射素子7と接地極6の一部分又は全体を設けてもよい。隠蔽膜は黒色セラミックス膜等のセラミックスが挙げられる。このガラス基板5を車両に適応し窓ガラスとした場合、窓ガラスの車外側から見ると、隠蔽膜により隠蔽膜上に設けられ導体の部分が車外から見えなくなり、デザインの優れた窓ガラスとなる。なお、ガラスアンテナは、必ずしもガラス基板上に設置されなくても、透明プラスチック基板のようにガラスに類似する基板上に設置される物でもよい。
【実施例】
【0046】
(実施例)
<コネクタ1の製作>
図1に示すホルダ部及び図2A,2Bに示すピックアップ部からなるコネクタ1を作製した。但し、給電用端子2の接続ピン2aは、円柱状ではなく、給電用端子2の接着部2bをそのまま90度屈曲させて立ち上げた四角柱状のピンとした。
【0047】
このコネクタ1の図1における給電用端子2の幅aは、2mm、給電用端子2と接地用端子3の間隔bは2mmとした。ピックアップ部21は、図2A,2Bに示すピックアップ部とほぼ同じ市販のコネクタのピックアップ部を利用した。
【0048】
<アンテナの製作>
作製したコネクタ1のピックアップ部21に、図2A,2Bに示すように、特性インピーダンス50Ωの同軸ケーブルを接続し、図4に示すように、ガラス基板上に設置したガラスアンテナの放射素子7の給電部及び接地極6に、このコネクタ1の給電用端子2と接地端子3をハンダ付けで固定した。ガラス基板上に設置したこのコネクタ1を備えたアンテナの斜視図を、図5に示した。
【0049】
ガラス基板5は、厚さ3.5mmであり、横300mm×縦150mmの銅箔により接地極6を形成し、図4に示すように、接地極6の一辺の中央部にCPW線路構造と約1.5GHzで共振する1/4波長モノポールのアンテナエレメントを形成した。図4に示す各部の寸法は、
s:3mm
W:1mm
Le:28.5mm
Lt:5mm
d:7mm
とした。
【0050】
図4において、破線で示す位置に作製したコネクタ1をガラス基板5に設置し、ハンダ付けにより実装した。実装後の図5の状態で、アンテナ性能指標の一つであるリターンロスの測定を行った。図6に示すリターンロスの測定結果から、1.55GHzにおいてリターンロスは−16dB(電圧定在波比1.38)となり、モノポールアンテナによる十分な共振が観察され、コネクタ部分における伝送損失が生じていないことが判る。
【0051】
なお、厚さ3.5mmのガラス板、ガラスの比誘電率は7、放射素子7及び接地極6の導体厚10μmにおいて放射素子7の中心導体の幅sを3mm、中心導体と接地極6との間隙wが1mmのとき、CPW線路の特性インピーダンスは55Ωであった。この場合、特性インピーダンスが50Ωとなるように、ガラス厚さ、導体厚を考慮して、導体幅s、接地極6との距離wが決定されることが好ましいが、本実施例では実装性、ハンダ付け作業性を考慮して、ほぼ50Ωに近い55Ωとした。
【0052】
使用される同軸ケーブルおよびコネクタの特性インピーダンスが75Ωである場合に、同様に特性インピーダンスが75Ωとなるように、ガラス厚さ、放射素子7の幅と、実装性、ハンダ付け作業性を考慮して、放射素子7の幅s、接地極6との距離wを決定し、上述の値から変更することも可能である。
【0053】
なお、接地極6の形状はコネクタの電気特性評価において本実施例のとおりとしたが、車両用窓ガラス板において使用される場合には、その形状や使用される周波数により、特性を考慮しながら適宜変更が可能であり、メッシュ状に変更することも可能である。また、本実施例による接地用端子3の装着部3bは、従来例と同様なハンダ付け面積を有するので外部力に対しての耐力もあり、また同軸ケーブル23の配線方向も従来と同じであるので、特に車両用窓ガラス板におけるガラスアンテナに対するコネクタとして好適に利用できる。
【0054】
(比較例)
図10の斜視図に示すコネクタ(ホルダ部は図8に示し、ピックアップ部は図2A,2Bに示す構造をしている。)を、図9に示すように、実施例と同様のガラス板5(厚さ3.5mm、ガラスの比誘電率7)上に、銅箔により横300mm×縦150mmの接地極6と、対応する放射素子8とを有するガラスアンテナを形成した。放射素子8は、図9に示すように、接地極6から距離g0だけ離して、給電部を接地極6側にし、受信部を接地極6から遠ざかるようにして放射素子8を配置した。この放射素子8と接地極6の組合せは、モノポールアンテナとなっている。
図9に示す各部の寸法は、
s0:3mm
pd:10mm
LD:28.5mm
g0:13mm
とした。
【0055】
図9の破線で示す位置には、図10に示すコネクタのホルダ部15をハンダ付けにより実装した。なお、ホルダ部の給電用端子12の装着部12bは放射素子8の給電部と、接地用端子13の装着部13bは接地極6と、接続する。ホルダ部15には同軸ケーブル23を連結したピックアップ部21が接続され、ガラスアンテナで受信した高周波信号が同軸ケーブル23に伝送される。この伝送路に対して、実施例と同様のリターンロスの測定を行った。図7に示す測定の結果から解るように、ギガヘルツ周波数帯領域においては、リターンロスは全般的に平坦で、十分な共振周波数領域が観察されず、アンテナとしての性能を発揮できないと評価される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明のコネクタは、日本、韓国、中国、ブラジル、米国、欧州等の地上波デジタルテレビ放送(470〜862MHz)、UHF帯のアナログテレビ放送及びデジタルテレビ放送、デジタルラジオ放送(170〜230MHz)を受信する自動車用ガラスアンテナ用コネクタに利用される。その他、日本のFM放送帯(76〜90MHz)、米国のFM放送帯(88〜108MHz)、VHF帯のアナログテレビ放送(90〜108MHz、170〜222MHz)を受信する自動車用ガラスアンテナ用コネクタにも利用可能である。また、携帯電話用の800MHz帯(810〜960MHz)、1.5GHz帯(1.429〜1.501GHz)、1.9GHz帯(1.850〜1.990GHz)、およびGPS(Global Positioning System、1575.42MHz)、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System、2.5GHz)、ETC通信(Electronic Toll Collection System:ノンストップ自動料金収受システム、5.8GHz帯)、専用狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication、915MHz帯、5.8GHz帯)、自動車用キーレスエントリィシステム(300〜450MHz)、SDARS(Satellite Digital Audio Radio Service、2.3GHz帯、2.6GHz帯)等放送および通信のガラスアンテナ用コネクタとして利用できる。よって、超短波帯(VHF帯、30MHz〜300MHz)、極超短波帯(UHF帯、300MHz〜3GHz)、マイクロ波帯(SHF帯、3GHz〜30GHz)の放送、通信に好適な面実装型のコネクタ装置として利用可能である。特に、ガラス基板等の絶縁基板との固定が容易で、且つ強固であるので、振動に強く、耐久性があるので、車両用の窓ガラスに装着するガラスアンテナとして適している。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のコネクタのホルダ部の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図)
【図2A】本発明のコネクタのピックアップ部の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図)
【図2B】図2Aの平面図(d)のA−A'断面における断面図
【図3】本発明の別の形態のコネクタのホルダ部の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図)
【図4】本発明のコネクタを備えたアンテナの配置図
【図5】本発明のコネクタのアンテナへの設置例の斜視図
【図6】同軸ケーブルに本発明のコネクタを接続した伝送路のギガヘルツ帯周波数に対するリターンロスを表すグラフ
【図7】同軸ケーブルに従来のコネクタを接続した伝送路のギガヘルツ帯周波数に対するリターンロスを表すグラフ
【図8】従来のコネクタのホルダ部の6面図((a)正面図、(b)右側面図、(c)左側面図、(d)平面図、(e)底面図、(f)背面図)
【図9】従来コネクタのアンテナへの配置図
【図10】従来のコネクタのアンテナへの設置例の斜視図
【符号の説明】
【0058】
1:コネクタ
2:給電用端子
2a:接続ピン
2b:装着部
3:接地用端子
3a:接続部
3b:装着部
3c,3d:固定部
4:絶縁ケース
4a,4b:底部固定バー
5:ガラス基板
6:接地極
7:放射素子
8:放射素子
10,10':ホルダ部
11:コネクタ
12:給電用端子
12a:接続ピン
12b:装着部
12c:固定部
13:接地用端子
13a:接続部
13b:装着部
13c:固定部
14:絶縁ケース
15:ホルダ部
21:ピックアップ部
22:絶縁ケース
23:同軸ケーブル
23a:芯線
23b:外周線
23c:絶縁層
23d:絶縁層
24:接地用導体
24a:接続部
24b:固定部(かしめ部)
25:嵌合端子
25a:嵌合部
25b:芯線固定部(かしめ部)
26:嵌合端子固定絶縁ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上のガラスアンテナに装着するホルダ部と、前記ホルダ部に着脱自在に嵌合し、同軸ケーブルに接続するピックアップ部とを備えるコネクタであって、
前記ホルダ部は、所定の幅の給電用端子と、前記給電用端子の両側を所定の間隔をもって囲むように配置した接地用端子とを備え、
前記ピックアップ部は、前記同軸ケーブルの芯線と連結され、かつ前記ホルダ部に装着された際に前記給電用端子と接続される芯線用導体と、前記同軸ケーブルの外周線と連結され、かつ前記ホルダ部に装着された際に前記接地用端子と接続される接地用導体とを備え、
前記ホルダ部に前記ピックアップ部が装着された際の特性インピーダンスは、前記同軸ケーブルと略等しいことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタの前記給電用端子と前記接地用端子とは、コプレーナウェイブガイド線路を構成することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記接地用端子は、前記ホルダ部のガラスアンテナへの装着面の長手方向両端に突設された装着部を有し、
前記給電用端子は、前記ホルダ部のガラスアンテナへの装着面の短手方向に突設された装着部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
誘電体基板上に線条の放射素子と接地極とを配置したアンテナ部を有し、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のコネクタの前記給電用端子と前記放射素子とが接続され、前記コネクタの接地用端子と前記接地極とが接続されたことを特徴とするアンテナ。
【請求項5】
前記放射素子の一部と前記接地極とは、コプレーナウェイブガイド線路を形成していることを特徴とする請求項4に記載のアンテナ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のアンテナを備えたことを特徴とする車両用窓ガラス。
【請求項1】
基板上のガラスアンテナに装着するホルダ部と、前記ホルダ部に着脱自在に嵌合し、同軸ケーブルに接続するピックアップ部とを備えるコネクタであって、
前記ホルダ部は、所定の幅の給電用端子と、前記給電用端子の両側を所定の間隔をもって囲むように配置した接地用端子とを備え、
前記ピックアップ部は、前記同軸ケーブルの芯線と連結され、かつ前記ホルダ部に装着された際に前記給電用端子と接続される芯線用導体と、前記同軸ケーブルの外周線と連結され、かつ前記ホルダ部に装着された際に前記接地用端子と接続される接地用導体とを備え、
前記ホルダ部に前記ピックアップ部が装着された際の特性インピーダンスは、前記同軸ケーブルと略等しいことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタの前記給電用端子と前記接地用端子とは、コプレーナウェイブガイド線路を構成することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記接地用端子は、前記ホルダ部のガラスアンテナへの装着面の長手方向両端に突設された装着部を有し、
前記給電用端子は、前記ホルダ部のガラスアンテナへの装着面の短手方向に突設された装着部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
誘電体基板上に線条の放射素子と接地極とを配置したアンテナ部を有し、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のコネクタの前記給電用端子と前記放射素子とが接続され、前記コネクタの接地用端子と前記接地極とが接続されたことを特徴とするアンテナ。
【請求項5】
前記放射素子の一部と前記接地極とは、コプレーナウェイブガイド線路を形成していることを特徴とする請求項4に記載のアンテナ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のアンテナを備えたことを特徴とする車両用窓ガラス。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−146959(P2010−146959A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325821(P2008−325821)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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