説明

コネクタ及び接続対象物

【課題】シート状の接続対象物に取り付けられるに適する構造を有するコネクタを提供すること。
【解決手段】コネクタ100において、コンタクト110は、ハウジング120に保持される被保持部114と、FPC50の信号端子52に接続されるための被露出部116とを有している。被露出部116は、前後方向(X方向)において120ハウジングから突出している。カバーシェル140は、FPC50のグランド端子54に接続されるグランド接続部146を有している。被露出部116とグランド接続部146とは、第1垂直方向(−Z方向)において同一レベル上に位置している。FPC50の主面50a上における信号端子52とグランド端子54との配置に対応するように配置されている。第2垂直方向(−Z方向)からコネクタ100を見た場合に、被露出部116とグランド接続部146は視認可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC(Flexible Printed Circuit)又はFFC(Flexible Flat
Cable)のようなシート状の接続対象物に取り付けられ、基板等に搭載された相手側コネクタと嵌合接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、低背化を達成しつつ容易な作業で嵌合可能な構造を備えるコネクタ組立体が開示されている。図14に示されるように、特許文献1のコネクタ組立体は、基板に搭載された第1コネクタと、接続対象物たる複数のケーブルに取り付けられた第2コネクタとを有するものである。特許文献1のコネクタ組立体においては、低背化と良好な嵌合作業性を両立させるために、垂直方向における相対位置の位置決めと水平方向への最終嵌合処理との2つに嵌合手順を大きく分けることとしている。詳しくは、第2コネクタが第1コネクタの上方に(+Z側に)位置する状態(図14(a)参照)から、第2コネクタを下方に(−Z方向に)移動させて第1コネクタ上に第2コネクタを被せることで、図14(b)に示されるように垂直方向(Z方向)におけるコネクタ間の相対的な位置決めを行う。その後、第2コネクタを水平方向(+X方向)に移動させて、図14(c)に示されるように第2コネクタを第1コネクタに対して嵌合させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−18488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の第2のコネクタのように相手側コネクタと嵌合接続するタイプのコネクタに対してFPCのようなシート状の接続対象物に接続したいという要望がある。即ち、複数のケーブルからなる接続対象物をFPC等に置き換えたいという要望もある。
【0005】
しかしながら、特許文献1の第2コネクタのような構造ではシート状の接続対象物に取り付けることができない。
【0006】
そこで、本発明は、シート状の接続対象物に取り付けられるに適する構造を有するコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のコネクタとして、
ハウジングと、ピッチ方向に並ぶように前記ハウジングに保持された複数のコンタクトと、前記ピッチ方向と直交する第1垂直方向に沿って前記ハウジングを少なくとも部分的に覆うカバーシェルと、前記ハウジング及び/又は前記カバーシェルに回転自在に支持されたロックバーとを備え、一つの主面上に信号端子及びグランド端子とを露出させたシート状の接続対象物に対して取り付けられた状態で相手側コネクタと嵌合接続されると共に前記ロックバーにより嵌合状態をロックされるコネクタであって、
前記コンタクトの夫々は、前記ハウジングに保持される被保持部と、前記接続対象物の前記信号端子に接続されるための被露出部であって前記ピッチ方向と直交する前後方向において前記ハウジングから突出している被露出部とを有しており、
前記カバーシェルは、前記接続対象物の前記グランド端子に接続されるグランド接続部を有しており、
前記被露出部と前記グランド接続部とは、前記第1垂直方向において同一レベル上に位置しており、且つ、前記接続対象物の前記主面上における前記信号端子と前記グランド端子との配置に対応するように配置されている
コネクタを提供する。
【0008】
また、本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記第1垂直方向の逆方向である第2垂直方向に沿って前記コネクタを見た場合に、前記被露出部と前記グランド接続部は視認可能である
コネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第3のコネクタとして、第2のコネクタであって、
前記接続対象物の先端と前記信号端子との間の前記前後方向における距離は、前記接続対象物の前記先端と前記グランド接続部との間の前記前後方向における距離よりも短く、
前記コネクタは、前記前後方向において、前記接続対象物の前記先端を跨ぐようにして前記接続対象物に取り付けられる
コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第4のコネクタとして、第3のコネクタであって、
前記カバーシェルは、前記第2垂直方向に沿って見た場合に、前記コネクタの前記被露出部と重なるようにして設けられた板状部であって前記第2垂直方向において前記被露出部と離して設けられた板状部を有している
コネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第5のコネクタとして、第4のコネクタであって、
前記グランド接続部は、前記板状部の前記前後方向における端部から前記第1垂直方向に延びている
コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第6のコネクタとして、第5のコネクタであって、
前記グランド接続部は、前記前後方向と前記第1垂直方向とで規定される面内においてL字状形状を有している
コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第7のコネクタとして、第1乃至第6のいずれかのコネクタであって、
前記ロックバーは、前記接続対象物から遠ざかる方向に倒されることにより、前記相手側コネクタと前記コネクタとの前記嵌合状態をロックする
コネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第8のコネクタとして、第1乃至第7のいずれかのコネクタであって、
前記接続対象物への取り付けに際し、前記被露出部及び前記グランド接続部を前記信号端子及び前記グランド端子に対して二次元的に位置決めする位置決め部を備える
コネクタを提供する。
【0015】
また、本発明は、第9のコネクタとして、第8のコネクタであって、
前記接続対象物の前記ピッチ方向の両縁には凸部及び/又は凹部からなる被位置決め部が形成されており、
前記ハウジングには、前記被位置決め部の前記凸部及び/又は前記凹部に対応する穴部及び/又は突出部が前記位置決め部として形成されている
コネクタを提供する。
【0016】
また、本発明は、第10のコネクタとして、第9のコネクタであって、
前記ピッチ方向の両端に、前記相手側コネクタの相手側嵌合部と嵌合する嵌合部を有しており、
前記ハウジングの前記位置決め部は、前記ピッチ方向において、前記嵌合部の内側に位置している
コネクタを提供する。
【0017】
また、本発明は、第11のコネクタとして、第1乃至第10のいずれかのコネクタであって、
前記被露出部は、前記ピッチ方向における両側面が露出している
コネクタを提供する。
【0018】
また、本発明は、第12のコネクタとして、第11のコネクタであって、
前記被露出部は、前記接続対象物との接続側とは反対側の面が露出している
コネクタを提供する。
【0019】
また、本発明は、第13のコネクタとして、第1乃至第12のいずれかのコネクタであって、
前記被露出部は、前記前後方向において、前記被保持部と前記グランド接続部との間に位置している
コネクタを提供する。
【0020】
また、本発明は、第14のコネクタとして、第1乃至第13のいずれかのコネクタであって、
前記第1垂直方向において前記相手側コネクタとの相対位置を位置決めした後、前記前後方向に移動させることにより前記相手側コネクタと嵌合接続される
コネクタを提供する。
【0021】
更に、本発明は、
二つの主面を有し、且つ、信号端子及びグランド端子を備えるシート状の接続対象物であって、
前記信号端子及び前記グランド端子は、前記主面の一方上に露出している
接続対象物を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、コンタクトの被露出部とグランド接続部とを垂直方向において同一レベル上に位置させており(即ち、垂直方向と直交する面を想定した場合に、コンタクトの被露出部とグランド接続部とを同一面上に位置させており)、且つ、被露出部及びグランド接続部を接続対象物の主面上における信号端子及びグランド端子の配置に対応するように配置していることから、接続対象物上にコネクタを搭載することで、個々の接点の位置調整を行うことなく、接続処理に進むことができる。
【0023】
また、特許文献1の場合、ケーブルとコネクタとの結線後にカバーシェルの取り付け等の作業が必要とされていたが、本発明によれば、接続対象物の信号端子等とコネクタのコンタクト等の接続を行った後にコネクタ組立の工程を行う必要はない。即ち、本発明によれば、接続対象物との接続処理の後に行う工程数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態によるコネクタ組立体を示す上面斜視図である。
【図2】図1のコネクタ組立体に含まれる相手側コネクタを示す上面斜視図である。
【図3】図2の相手側コネクタをIII--III線に沿って示す断面図である。
【図4】図1のコネクタ組立体に含まれるコネクタを示す上面斜視図である。ここで、ロックバーはロック位置にある。
【図5】図4のコネクタを示す上面斜視図である。ここで、ロックバーは解除位置にある。
【図6】図4のコネクタを示す背面斜視図である。ここで、コネクタは、FPCに取り付けられている。
【図7】図4のコネクタを示す背面斜視図である。ここで、コネクタは、まだFPCに取り付けられていない。
【図8】図4のコネクタを示す底面図である。
【図9】図8のコネクタを示す底面図である。ここで、カバーシェルは省略されている。
【図10】図8のコネクタをX--X線に沿って示す断面図である。
【図11】図4のコネクタを示す上面図である。
【図12】図11のコネクタを示す上面図である。ここで、FPCは省略されている。
【図13】図11のコネクタを示す上面図である。ここで、FPC及びカバーシェルは省略されている。
【図14】特許文献1のコネクタ組立体の構造及び嵌合過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1、図2及び図4に示されるように、本発明の実施の形態によるコネクタ組立体10は、FPC(接続対象物)50に取り付けられるコネクタ100と、基板(図示せず)に搭載される相手側コネクタ200とからなるものであり、特許文献1のコネクタ組立体と同様の手順により嵌合接続される。即ち、コネクタ100を相手側コネクタ200に対して上方から(+Z側から)被せることでコネクタ100と相手側コネクタ200との垂直方向(Z方向)における相対的な位置決めを行い、次いで、コネクタ100を前後方向(X方向)に移動させることによりコネクタ100を相手側コネクタ200に対して嵌合接続するように構成されている。従って、本実施の形態によるコネクタ組立体10は、特許文献1のコネクタ組立体と同様、低背化と嵌合操作容易性との両方を実現することのできるものである。
【0026】
図2及び図3に示されるように、相手側コネクタ200は、複数の金属製の相手側コンタクト210と、相手側コンタクト210を保持する絶縁性の相手側ハウジング220と、相手側ハウジング220を部分的に覆う金属製の相手側シェル230とを備えている。相手側コンタクト210は、相手側ハウジング220を形成する際にモールドイン法により相手側ハウジング220に組み込まれる。相手側シェル230には、バネ部240が2つ設けられている。バネ部240は、ピッチ方向(Y方向)に長手を有するように設けられている。バネ部240は、ピッチ方向中心側に自由端を有しており、自由端近傍には接点242が設けられている。相手側シェル230の底部には+X方向に延びるグランド接続部250が複数(具体的には4か所)設けられている。また相手側シェル230には、ホールドダウン260も設けられている。ホールドダウン260は、相手側シェル230のピッチ方向の両端から+X方向に向かって延びている。グランド接続部250及びホールドダウン260は、相手側コネクタ200を基板(図示せず)に搭載した際に、基板(図示せず)上のグランドパターンに接続される。相手側コネクタ200のピッチ方向(Y方向)の両端には相手側嵌合部202が形成されている。相手側嵌合部202の夫々は、相手側ハウジング220の一部と相手側シェル230の一部とからなるものであり、−Z方向に凹んだ外形を有している。この相手側嵌合部202の−X側の壁は、後述するように、ロック受部204として機能する。
【0027】
図4乃至図13に示されているように、コネクタ100は、複数の金属製のコンタクト110と、ピッチ方向(Y方向)に並ぶようにコンタクト110を保持する絶縁性のハウジング120と、モールドイン法によりハウジング120に組み込まれた金属製のベースシェル130と、ハウジング120を+Z方向(第1垂直方向)に沿って部分的に覆うカバーシェル140と、金属製のロックバー150とを備えている。コネクタ100のピッチ方向の両端には、相手側嵌合部202と嵌合する嵌合部102が設けられている。嵌合部102はピッチ方向の外側に向けて突出するような外形を有しており、コネクタ100と相手側コネクタ200との嵌合時には相手側嵌合部202に嵌合収容される。
【0028】
図7及び図10に示されるように、このコネクタ100の接続対象物であるFPC50は二つの主面50a,50bを有しており、一方の主面50a上には信号端子52とグランド端子54とが露出している。信号端子52はFPC50の先端50eからY方向に沿って延びており、グランド端子54は信号端子52よりも先端50eから離れて位置している。即ち、FPC50の先端50eと信号端子52との間のX方向(前後方向)における距離は、FPC50の先端50eとグランド端子54との間のX方向(前後方向)における距離よりも短い。更に、FPC50の先端50eの近傍且つピッチ方向の両端には、凸部及び凹部からなる被位置決め部56が形成されている。かかるFPC50に対して、コネクタ100は、X方向(前後方向)においてFPC50の先端50eを跨ぐように取り付けられる。
【0029】
図10及び図12に示されるように、コンタクト110の夫々は、J字状の形状を有する接点部112と、ハウジング120に保持される被保持部114と、ハウジング120から+X方向に突出している被露出部116とを有している。接点部112は、コネクタ100と相手側コネクタ200との嵌合時に相手側コンタクト210と接続される部位である。被露出部116の+Z方向(第1垂直方向)側の面(即ち、図10に示す被露出部116において、下面側)はFPC50の信号端子52に接続される部位であり、従って、ハウジング120から露出していなければならない。これに加えて、本実施の形態における被露出部116は、ピッチ方向(Y方向;即ち、被露出部116における両側面)においても−Z方向(第2垂直方向;即ち、図10に示す被露出部116において、FPC50との接続側とは反対側である上面側)においても露出している。被露出部116の四面が露出していることから、信号端子52と被露出部116の接続を半田リフロー工程にて行う場合に、半田フィレットを形成し易くなり半田接続の信頼性を高めることができる。なお、図10に示す被露出部116において、ハウジング120等の樹脂で被露出部116の上面側を覆い、被露出部116の上面側は露出させなくても良い。
【0030】
図9乃至図12に示されるように、ハウジング120は、ロックバー150を支持する支持部122と、ひさし状に張り出したひさし状部124と、FPC50の被位置決め部56に対応して設けられた位置決め部126と、コンタクト110の被保持部114を保持する保持部128とを有している。支持部122は、ピッチ方向の両端に設けられている。支持部122の夫々は、ピッチ方向の内側且つZ方向に凹んだ凹部であり、後述するように、ロックバー150を回転自在に支持している。ひさし状部124は、FPC50から遠い方の端部近傍に設けられており、ベースシェル130の一部からなる強化部132によって強度補強されている。このひさし状部124と強化部132とは、ロックバー150をロックするロック維持部160を構成している。位置決め部126は、XY平面上における位置を二次元的に位置決めするためのものであり、被位置決め部56を構成する凸部及び凹部に対応する穴部及び突出部とからなる。穴部はピッチ方向外側且つ−Z方向に凹んでおり、突出部は+Z方向に突出している。位置決め部126を構成する穴部及び突出部に対して被位置決め部56の凸部及び凹部を合わせることにより、FPC50のXY平面上における二次元的な位置決め(即ち、信号端子52及びグランド端子54のXY平面上における位置決め)を行うことができる。この位置決め部126は、ピッチ方向において嵌合部102の内側に位置している。
【0031】
図6乃至図10に示されるように、カバーシェル140は、ピッチ方向に長手を有する板状部142と、板状部142のピッチ方向両端から外側に延びる支持部カバー144と、板状部142の端部142aから+Z方向に延びる複数のグランド接続部146とを有している。図1、図2、図4及び図6から理解されるように、この板状部142は、コネクタ100と相手側コネクタ200との嵌合時において相手側シェル230のバネ部240と接続する部位である。バネ部240の弾性力によって接点242を板状部142に押しつけられることから相手側シェル230とカバーシェル140との電気的接続(グランド)を強固なものとすることができる。図10及び図12に示されるように、板状部142は、−Z方向に沿って見た場合に、被露出部116と重なるように設けられている。詳しくは、図10に示されるように、板状部142は、被露出部116とはZ方向において離れている。また、図10及び図12に示されるように、板状部142の端部142aは被露出部116よりも+X方向に張り出している。即ち、図10から理解されるように、コネクタ100をFPC50に取り付けた状態において、板状部142の端部142aは、FPC50の先端50eから見て被露出部116よりも遠い位置に位置している。図8及び図9から理解されるように、支持部カバー144は、ハウジング120の支持部122をカバーしている。本実施の形態において、板状部142は相手側コネクタ200のバネ部240と接続される部位であるので開口部を設けることが事実上困難であるが、相手側シェル230とカバーシェル140との接続をバネ部240以外の手段で構成した場合には板状部142に対してピッチ方向に延びるような開口部を設け、その開口部を通してFPC50の信号端子52と被露出部116との接続を確認することとしてもよい。
【0032】
図6乃至図8から理解されるように、グランド接続部146は、FPC50のグランド端子54に接続される部位であり、グランド接続部146の数はFPC50のグランド端子54の数に等しい。複数の点でグランド接続部146とグランド端子54とが接続されていることから、グランドの強化が図られていると共に、カバーシェル140のハウジング120への取付保持力を強化している。図10に示されるように、グランド接続部146の夫々は、XZ平面内においてL字状の形状を有している。詳しくは、グランド接続部146は、板状部142の端部142aから+Z方向(第1垂直方向)に延びた後、+X方向(被露出部116から離れる方向)に延びている。また、図10に示されるように、グランド接続部146と被露出部116とは、+Z方向(第1垂直方向)において同一レベル上に位置(グランド接続部146の下面と被露出部116の下面とは、FPC50のグランド端子54、信号端子52と夫々が接続できるように図10の上下方向(Z方向)で略同一の位置)している。即ち、グランド接続部146と被露出部116とはFPC50を搭載可能な仮想的な面(Z方向と直交する面)を構成している。
【0033】
図7乃至図10から理解されるように、グランド接続部146と被露出部116とは、FPC50の主面50a上におけるグランド端子54と信号端子52との配置に対応するように配置されている。また、図12に示されるように、グランド接続部146と被露出部116は、−Z方向(第2垂直方向)に沿って見た場合(即ち、FPC50が配置される側から見た場合)に、視認可能となるように設けられている。即ち、グランド接続部146と被露出部116の+Z側は露出されている。従って、FPC50に対してコネクタ100を取り付ける際、グランド接続部146及び被露出部116とグランド端子54及び信号端子52との位置合わせを一括して行うことができ、更に、その状態においてリフロー工程に流すことができる。即ち、本実施の形態によれば接続工程が容易になる。加えて、本実施の形態によるコネクタ100においては、FPC50の被位置決め部56に対応する位置決め部126が設けられていることから、前後方向(X方向)においてFPC50の先端50eを跨ぐようにFPC50上にコネクタ100を搭載して位置決め部126を被位置決め部56に合わせることで、グランド接続部146及び被露出部116とグランド端子54及び信号端子52との位置合わせを容易に行うことができる。
【0034】
図8及び図11に示されるように、ロックバー150は、ピッチ方向に延びる主部152と、被維持部154と、U字状部156とを有している。被維持部154は、主部152のピッチ方向における両端から斜め方向(詳しくは、ピッチ方向外側且つX方向)に延びており、U字状部156は、被維持部154から更にピッチ方向外側に延びている。図9に示されるように、U字状部156の端部は支持部122に回動可能となるように支持されている。ロックバー150が図5に示される解除位置に位置した状態で、コネクタ100と相手側コネクタ200との嵌合接続を行いつつ、図1に示されるロック位置までロックバー150を倒すことにより、嵌合状態のロックが行われる。詳しくは、図8と図11の比較から理解されるように、主部152とU字状部156とはロックバー150の回動に際してハウジング120等と干渉することないが、被維持部154はロック維持部160と干渉するように構成されている。具体的には、図8においては被維持部154の方がロック維持部160よりも手前側に位置しているのに対し、図11においてはロック維持部160の方が被維持部154よりも手前側に位置している。図8の図面では、被維持部154がロック維持部160に覆い被さっているように見え、図11の図面では、ロック維持部160が被維持部154に覆い被さっているように見えている。即ち、ロックバー150を解除位置からロック位置に回動させる過程において、被維持部154は、ロック維持部160を乗り越え、その下側(−Z側)にもぐりこむように構成されている。ロックバー150は、ロック位置に移動させられる際、FPC50から離れる方向へ倒されている。そのため、FPC50がロックバー150の回動の邪魔になることがない。従って、ロックバー150を有するコネクタ100にFPC50を取り付けた場合であっても、コネクタ組立体10の低背性が損なわれることがない。更に、ロックバー150の回動過程において、U字状部156は相手側コネクタ200のロック受部204の内側に入り込むため、ロック受部204に押しつけられることとなり、コネクタ100はその反力によりX方向へ移動させられる。即ち、本実施の形態によるコネクタ組立体10においては、Z方向における位置決め後の+X方向へのコネクタ100の水平移動をロックバー150の回動により行うことができるため、コネクタ100と相手側コネクタ200に対する嵌合接続動作とその嵌合状態のロック動作を同時に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、相手側コネクタと嵌合するコネクタであってFPCやFFCのようなシート状の接続対象物に取り付けられるコネクタ全般に適用可能である。即ち、本発明は、上述した実施の形態や特許文献1のようなコネクタ組立体のみに限定されない。
【符号の説明】
【0036】
10 コネクタ組立体
50 FPC(接続対象物)
50a,50b 主面
50e 先端
52 信号端子
54 グランド端子
56 被位置決め部
100 コネクタ
102 嵌合部
110 コンタクト
112 接点部
114 被保持部
116 被露出部
120 ハウジング
122 支持部
124 ひさし状部
126 位置決め部
128 保持部
130 ベースシェル
132 強化部
140 カバーシェル
142 板状部
142a 端部
144 支持部カバー
146 グランド接続部
150 ロックバー
152 主部
154 被維持部
156 U字状部
160 ロック維持部
200 相手側コネクタ
202 相手側嵌合部
204 ロック受部
210 相手側コンタクト
220 相手側ハウジング
230 相手側シェル
240 バネ部
242 接点
250 グランド接続部
260 ホールドダウン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、ピッチ方向に並ぶように前記ハウジングに保持された複数のコンタクトと、前記ピッチ方向と直交する第1垂直方向に沿って前記ハウジングを少なくとも部分的に覆うカバーシェルと、前記ハウジング及び/又は前記カバーシェルに回転自在に支持されたロックバーとを備え、一つの主面上に信号端子及びグランド端子とを露出させたシート状の接続対象物に対して取り付けられた状態で相手側コネクタと嵌合接続されると共に前記ロックバーにより嵌合状態をロックされるコネクタであって、
前記コンタクトの夫々は、前記ハウジングに保持される被保持部と、前記接続対象物の前記信号端子に接続されるための被露出部であって前記ピッチ方向と直交する前後方向において前記ハウジングから突出している被露出部とを有しており、
前記カバーシェルは、前記接続対象物の前記グランド端子に接続されるグランド接続部を有しており、
前記被露出部と前記グランド接続部とは、前記第1垂直方向において同一レベル上に位置しており、且つ、前記接続対象物の前記主面上における前記信号端子と前記グランド端子との配置に対応するように配置されている
コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記第1垂直方向の逆方向である第2垂直方向に沿って前記コネクタを見た場合に、前記被露出部と前記グランド接続部は視認可能である
コネクタ。
【請求項3】
請求項2記載のコネクタであって、
前記接続対象物の先端と前記信号端子との間の前記前後方向における距離は、前記接続対象物の前記先端と前記グランド接続部との間の前記前後方向における距離よりも短く、
前記コネクタは、前記前後方向において、前記接続対象物の前記先端を跨ぐようにして前記接続対象物に取り付けられる
コネクタ。
【請求項4】
請求項3記載のコネクタであって、
前記カバーシェルは、前記第2垂直方向に沿って見た場合に、前記コネクタの前記被露出部と重なるようにして設けられた板状部であって前記第2垂直方向において前記被露出部と離して設けられた板状部を有している
コネクタ。
【請求項5】
請求項4記載のコネクタであって、
前記グランド接続部は、前記板状部の前記前後方向における端部から前記第1垂直方向に延びている
コネクタ。
【請求項6】
請求項5記載のコネクタであって、
前記グランド接続部は、前記前後方向と前記第1垂直方向とで規定される面内においてL字状形状を有している
コネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のコネクタであって、
前記ロックバーは、前記接続対象物から遠ざかる方向に倒されることにより、前記相手側コネクタと前記コネクタとの前記嵌合状態をロックする
コネクタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のコネクタであって、
前記接続対象物への取り付けに際し、前記被露出部及び前記グランド接続部を前記信号端子及び前記グランド端子に対して二次元的に位置決めする位置決め部を備える
コネクタ。
【請求項9】
請求項8記載のコネクタであって、
前記接続対象物の前記ピッチ方向の両縁には凸部及び/又は凹部からなる被位置決め部が形成されており、
前記ハウジングには、前記被位置決め部の前記凸部及び/又は前記凹部に対応する穴部及び/又は突出部が前記位置決め部として形成されている
コネクタ。
【請求項10】
請求項9記載のコネクタであって、
前記ピッチ方向の両端に、前記相手側コネクタの相手側嵌合部と嵌合する嵌合部を有しており、
前記ハウジングの前記位置決め部は、前記ピッチ方向において、前記嵌合部の内側に位置している
コネクタ。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のコネクタであって、
前記被露出部は、前記ピッチ方向における両側面が露出している
コネクタ。
【請求項12】
請求項11記載のコネクタであって、
前記被露出部は、前記接続対象物との接続側とは反対側の面が露出している
コネクタ。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のコネクタであって、
前記被露出部は、前記前後方向において、前記被保持部と前記グランド接続部との間に位置している
コネクタ。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれかに記載のコネクタであって、
前記第1垂直方向において前記相手側コネクタとの相対位置を位置決めした後、前記前後方向に移動させることにより前記相手側コネクタと嵌合接続される
コネクタ。
【請求項15】
二つの主面を有し、且つ、信号端子及びグランド端子を備えるシート状の接続対象物であって、
前記信号端子及び前記グランド端子は、前記主面の一方上に露出している
接続対象物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−209079(P2012−209079A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72910(P2011−72910)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】