説明

コネクタ構造

【課題】雌雄両コネクタで形成されるコネクタ構造における油中使用時のコンタミネーション問題を解消できるようにする。
【解決手段】コネクタ構造31は、雌雄各コネクタ2、3のハウジング嵌合により雌雄各端子5、18の接続をなすようにされ、そして雌コネクタの端子ハウジングに当該端子ハウジングの先端面から突出する状態にして遮断用突出部32が設けられ、ハウジング嵌合時に遮断用突出部が雄コネクタの端子ハウジング17における後壁22に当接することで、雌雄両端子の接続状態である端子接続体を個々に遮断できるようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ端子ハウジングに端子を収容して構成される雌コネクタと雄コネクタそれぞれの端子の電気的接続をハウジング嵌合でなさせるコネクタ構造に関し、特に油中使用に好適なコネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタには雌端子を有した雌コネクタと雄端子を有した雄コネクタがあり、これら雌雄両コネクタは、それぞれの端子に電気的接続をなさせるについて特有のコネクタ構造を形成する。
【0003】
雌雄両コネクタによるコネクタ構造としては、雌雄各コネクタがそれぞれ樹脂成型により形成される端子ハウジングを有し、その端子ハウジングにインサート成型により端子が収容された構造である場合が代表的な1つとしてあり、この場合、一方の端子ハウジングに他方の端子ハウジングを嵌合させる(一般的には雌コネクタの端子ハウジングを雄コネクタの端子ハウジングに嵌合させる)ハウジング嵌合により雌雄各コネクタそれぞれの端子の電気的接続をなさせて端子接続体を形成するのが通常である。
【0004】
このようなコネクタ構造では、機能的な要求や樹脂成型における成型性に関する要求などから、雌雄各コネクタの端子ハウジングに様々な機能的な形状(以下では仮に機能形状と呼ぶ)が与えられることになる。そしてその端子ハウジングの機能形状によっては、油中使用である場合、つまりコネクタ構造を形成する雌コネクタと雄コネクタが油中に浸されて使用される場合に、コンタミネーション問題を発生させる。すなわち端子ハウジングに機能上の要求などから与えた機能形状に起因して形成される侵入経路で油中のコンタミ(油中に混入している微小な塵などの異物)が端子接続体まで侵入して端子接続体に付着し、それにより線間ショートを生じる可能性があるという問題である。
【0005】
こうしたコンタミネーション問題を抱えるコネクタ構造の代表的な1つとして、嵌合ロック機構付きのコネクタ構造がある。すなわち雌雄両コネクタについて嵌合ロック機構を設け、その嵌合ロック機構により雌雄両コネクタのハウジング嵌合をロックできるようにすることで、端子接続体における電気的接続に高い安定性を与えるようにするコネクタ構造である。
【0006】
図5〜図7に、嵌合ロック機構が設けられたコネクタ構造の代表的な例を示す。このコネクタ構造1は、雌コネクタ2と雄コネクタ3を構造要素とし、雌コネクタ2を雄コネクタ3に対し図5中に示す矢印Aの方向でハウジング嵌合させることで雌コネクタ2と雄コネクタ3それぞれの端子を電気的に接続させて端子接続体を形成するようになっている。なお、図5の(a)は雌コネクタ2を正面から見た状態を示し、図5の(b)は雌コネクタ2を側面から見た状態を示し、図5の(c)は雄コネクタ3を正面から見た状態を示し、図5の(d)は雄コネクタ3を側面から見た状態を示している。また図6は雌コネクタ2と雄コネクタ3をそれぞれ部分的に断面した状態を示し、図7は雌コネクタ2と雄コネクタ3のハウジング嵌合状態を部分的断面状態で示している。
【0007】
雌コネクタ2は、樹脂成型で形成される端子ハウジング4に複数の雌端子5(図6)を収容してなる。より具体的にいうと、端子ハウジング4は、断面形状が平たい長方形状である筒形に形成されおり、図6に示すように、隔壁6により区画することで複数の端子収容室7が形成され、それら各端子収容室7に雌端子5が収容されており、先端側がハウジング嵌合に際して雄コネクタ3の端子を受け入れるための間口8とされている。また端子ハウジング4は、その前後各面に突条構造のガイド受け部9が設けられるとともに、左右各側面に対称な状態にしてロック部10が設けられている。
【0008】
ロック部10は、端子ハウジング4と一体的な樹脂成型で形成されるもので、端子ハウジング4の側面に直交する方向(図5中の矢印Bの方向)で弾性変形可能とされるとともに、その弾性変形性を高めるための抜け部11(先端側抜け部11f、後端側抜け部11r:図6)が設けられている。より具体的には、端子ハウジング4の側面について、嵌合方向(図5中の矢印Aの方向)に関し、先端側(図5中の矢印Cの側;間口8の側)と後端側(矢印Dの側)を定義するとして、ロック部10は、端子ハウジング4の先端側の側面部で立ち上る状態にし、かつ弾性変形性を与えて形成された先端側立上り部12、及び端子ハウジング4の後端側の側面部で立ち上る状態にし、かつ弾性変形性を与えて形成された後端側立上り部13を備える。またロック部10は、先端側立上り部12と後端側立上り部13を連結するように形成され、先端側立上り部12と後端側立上り部13の弾性変形により側面方向変位(矢印Bの方向での変位)をなせるようにされたアーム部14を備えるとともに、このアーム部14に側面方向変位を強制的に発生させる押圧操作を行うための押圧ボタン15を備え、さらにアーム部14に係止部として設けられた係止爪16を備える。そしてロック部10は、先端側立上り部12と後端側立上り部13のそれぞれに抜け部11(先端側抜け部11f、後端側抜け部11r)を設けることでこれら先端側立上り部12と後端側立上り部13それぞれの剛性を下げ、これにより弾性変形性を高めるようにされている。
【0009】
ここで、抜け部11は、当該部分で樹脂材が抜ける状態にした成型により形成されるものであり、先端側抜け部11fについては、平板状の先端側立上り部12を貫通する穴として形成され、後端側抜け部11rについては、平板状の後端側立上り部13を貫通する穴として形成されている。
【0010】
一方、雄コネクタ3は、樹脂成型で形成される端子ハウジング17に複数の雄端子18を収容してなる。端子ハウジング17は、ハウジング本体部19とベース部20からなる。ハウジング本体部19は、雌コネクタ2の端子ハウジング4とほぼ相似な断面形状の筒形に形成されることで端子ハウジング4が密接状態で嵌合できるようにされおり、先端側が雌コネクタ2とのハウジング嵌合のための間口21とされる一方で、ベース部20と接合する後端側には雄端子18を立設状態で保持する後壁22(図6)がベース部20を利用して設けられている。そして後壁22には、後壁22にあって雄端子18を保持する端子台部23が雄端子18ごとに形成されている。端子台部23は、雄端子18の端子ハウジング17へのインサート成型のための金型が有する拾い形状により形成されるもので、台形状で突出する状態に形成されている。
【0011】
またハウジング本体部19は、前後各面に内部を溝構造としたガイド部24が設けられるとともに、左右各側面に対称な状態にしてロック受け部25(図6)が設けられている。ロック受け部25は、ハウジング本体部19の側壁26を利用し、この側壁26の内側に沿うようにして設けられ、側壁26に開口するようにして形成された係止受け部27を備えた構成とされている。
【0012】
以上のような雌コネクタ2と雄コネクタ3によるコネクタ構造1における両コネクタ2、3のハウジング嵌合やその解除は次のようにしてなされる。まずハウジング嵌合では、ガイド受け部9を介したガイド部24による嵌合ガイドを受けつつ端子ハウジング4を図7に示すようにハウジング本体部19に嵌合させ、これにより雌端子5と雄端子18の電気的接続をなさせて端子接続体28(図7)を形成させる。このハウジング嵌合に際しては、ロック部10がまず先端側立上り部12を変形させ、次いで後端側立上り部13も変形させることでアーム部14に側面方向変位を生じさせつつロック受け部25に進入し、その進入により係止爪16が図7に示すように係止受け部27に係止し、これによりハウジング嵌合のロックがなされる。
【0013】
一方、ハウジング嵌合の解除は、図7のハウジング嵌合状態で押圧ボタン15により押圧してアーム部14に側面方向変位を強制的に生じさせることで係止爪16の係止受け部27への係止を解除し、その状態で端子ハウジング4をハウジング本体部19から引き抜く。
【0014】
以上のようなコネクタ構造1には、油中使用である場合に、ロック部10に抜け部11が設けられていることに起因するコンタミネーション問題がある。すなわちコネクタ構造1では、雌コネクタ2のロック部10が弾性変形性を高めるための先端側抜け部11fと後端側抜け部11rを有している。また樹脂成型における成型性に関連して雄コネクタ3の端子ハウジング17の後壁22に台形状の断面で突出する端子台部23が雄端子18ごとに形成され、これらの端子台部23により端子台部間凹部29が形成されている。このため、図7に示すように、先端側抜け部11fと後端側抜け部11r、及び端子台部23や端子台部間凹部29によりコンタミの侵入経路Cpが形成され、この侵入経路Cpを通じて侵入するコンタミが端子接続体28に付着し、それにより線間ショートを生じる可能性があるという問題である。
【0015】
油中使用におけるコンタミネーション問題については、コネクタ構造1の場合であれば、抜け部11を設けないようにすればよい。しかし抜け部11は上述のようにロック部10の操作性に関連する弾性変形性を高める機能を有しており、抜け部11を設けないと、ハウジング嵌合時におけるロック部10のロック受け部25への進入抵抗が大きくなり過ぎ、ハウジング嵌合の作業性が大幅に低下してしまうという問題を招く。このためコネクタ構造1の場合であれば、抜け部11は不可欠なものとなり、抜け部11があることを前提にして、それに起因するコンタミネーション問題を効果的に解消できるようにすることが求められる。
【0016】
なお、コネクタ構造一般に関しては、例えば特許文献1〜特許文献3などに開示の例が知られている。
【0017】
【特許文献1】特開2004−63179号公報
【特許文献2】特開2007−200567号公報
【特許文献3】特開2001−68202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上述のような要求に応えるためになされたものであり、その課題は、上述のようなコネクタ構造、つまりコネクタ構造を形成する雌雄各コネクタ(第1、第2の各コネクタ)の端子ハウジングにおける機能形状に起因して油中使用時のコンタミネーション問題を抱えるコネクタ構造について、そのコンタミネーション問題を効果的に解消できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明では、上記課題を解決するために、それぞれ樹脂成型により形成される端子ハウジングに端子を収容してなる第1のコネクタと第2のコネクタについて、前記第1のコネクタの前記端子ハウジングを前記第2のコネクタの前記端子ハウジングに嵌合させるハウジング嵌合により前記第1のコネクタと前記第2のコネクタそれぞれの前記端子を接続させて端子接続体を形成するようにされ、前記第1のコネクタの前記端子ハウジングは、前記端子を個々に収容する端子収容室が隔壁により区画することで形成され、また先端側が前記ハウジング嵌合に際して前記第2のコネクタの前記端子を受け入れるための間口とされ、前記第2のコネクタの前記端子ハウジングは、先端側が前記ハウジング嵌合のために間口とされる一方で、後端側に前記端子を保持する後壁が設けられているコネクタ構造において、前記第1のコネクタの前記端子ハウジングに当該端子ハウジングの先端面から突出する状態にして遮断用突出部が設けられ、そして前記ハウジング嵌合により前記遮断用突出部が前記後壁に当接することで、前記端子接続体を個々に遮断できるようにされていることを特徴としている。
【0020】
このようなコネクタ構造では、第1のコネクタの端子ハウジングに設けた遮断用突出部により端子接続体を特に後壁の近傍において個々に遮断することができる。このためコンタミが端子接続体まで侵入するのを防ぐことができ、油中使用の場合のコンタミネーション問題を効果的に解消することができる。
【0021】
上記のようなコネクタ構造については、第1のコネクタの端子ハウジングにおける隔壁を利用して遮断用突出部を形成するようにすると、遮断用突出部による端子接続体の遮断をより効果的なものとすることができ、しかも端子ハウジングの形状が過度に複雑化するのを避けることができる。こうしたことから本発明では上記のようなコネクタ構造について、前記遮断用突出部は、前記隔壁から延設することを好ましい形態としている。
【0022】
また本発明では上記のようなコネクタ構造について、前記後壁に、前記端子の前記端子ハウジングへのインサート成型における金型の拾い形状に応じて台形状で突出する端子台部が前記端子ごとに形成されている場合には、前記遮断用突出部の前記後壁への当接は、前記端子台部の間での前記後壁への当接としてなされるようにするか、又は前記端子台部への当接としてなされるようにしている。このようにすることにより、インサート成型についての成型性に関連して必要となる端子台部を有効に利用して遮断用突出部による端子接続体の遮断を行うことができ、これにより端子接続体の遮断をより効果的に行うことができる。
【0023】
以上のような遮断用突出部で端子接続体を遮断することによるコンタミネーション問題の解消は、上述のような嵌合ロック機構が設けられたコネクタ構造に対して特に有効である。こうしたことから本発明では上記のようなコネクタ構造について、前記第1のコネクタの前記端子ハウジングの側面には、弾性変形可能とされるとともに、その弾性変形性を高めるための抜け部が形成されたロック部が設けられる一方で、前記第2のコネクタの前記端子ハウジングの側面にはロック受け部が設けられ、前記ハウジング嵌合に際して前記ロック部を弾性変形させつつ前記ロック受け部に進入させることで前記ロック部の前記ロック受け部への係止をなさせて前記ハウジング嵌合のロックをなすようにされ、そして油中使用時に前記抜け部を侵入経路とするコンタミが前記端子接続体に侵入するのを前記遮断用突出部による前記端子接続体個々の遮断により防止することを好ましい形態としている。
【発明の効果】
【0024】
以上のような本発明によれば、コネクタ構造を形成する第1、第2の各コネクタの端子ハウジングにおける機能形状に起因して油中使用時のコンタミネーション問題を抱えるコネクタ構造について、そのコンタミネーション問題を効果的に解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1と図2に、第1の実施形態によるコネクタ構造31の構成を示す。図1の(a)は雌コネクタ2を正面から見た状態について部分的に断面した状態で示し、図1の(b)は雌コネクタ2を間口側から見た状態を示し、図1の(c)は雄コネクタ3を正面から見た状態について部分的に断面した状態で示して、図2は雌コネクタ2と雄コネクタ3のハウジング嵌合状態を部分的断面状態で示している。なお、本実施形態におけるコネクタ構造31は、その基本的な構成として図5〜図7におけるコネクタ構造1と同様である。したがって以下では、コネクタ構造31に特徴的な構成について主に説明し、コネクタ構造1と共通する構成については図5〜図7におけるのと同一の符号を付して示し、上での説明を援用するものとする。
【0026】
コネクタ構造31では、第1のコネクタである雌コネクタ2の端子ハウジング4に端子台部間凹部当接型である遮断用突出部32が設けられ、また補助突出部33を設けている。遮断用突出部32は、端子ハウジング4における隔壁6から延設することで端子ハウジング4の先端面、つまり間口8の側の端面から一定の長さLaで突出する状態にして隔壁6ごとに設けられている。また遮断用突出部32は、第2のコネクタである雄コネクタ3の端子ハウジング17における端子台部間凹部29に当接できる厚みTa、つまり台形状の端子台部23の間に形成される端子台部間凹部29の底部の幅Wよりも狭い厚みTaを有し、また隔壁6の幅と同じ程度の幅を有する直方体状に形成されている。
【0027】
補助突出部33は、隔壁6ごとに設けられている遮断用突出部32による遮断用突出部群を囲繞するようにして設けられている。すなわち補助突出部33は、例えば遮断用突出部32と同じ突出長さで端子ハウジング4の先端面から突出するように形成され、かつ遮断用突出部群の周囲をぐるり囲むように形成されており、その左右各側端部が端子ハウジング4における左右各側端部の隔壁6L、6Rに対応する遮断用突出部32L、32Rで兼ねるようにされている。
【0028】
このようなコネクタ構造31でハウジング嵌合がなされると、図2に示すように、各遮断用突出部32が端子台部間凹部29の底部、つまり端子台部23の間における後壁22に当接するとともに、補助突出部33が遮断用突出部群の周囲で後壁22に当接し、これによりラビリンス的構造が形成され、そのラビリンス的構造で端子接続体28が特に後壁の近傍において個々に遮断される状態となる。その結果、油中使用の場合に、先端側抜け部11fと後端側抜け部11rによる侵入経路Cpでコンタミが侵入してもそれが端子接続体28まで到達するのを効果的に防ぐことができ、したがって油中使用の場合のコンタミネーション問題を効果的に解消することができる。
【0029】
図3と図4に、第2の実施形態によるコネクタ構造41の構成を示す。図3は図1に対応しており、図4は図2に対応している。なお、本実施形態におけるコネクタ構造41は、その基本的な構成として図5〜図7におけるコネクタ構造1と同様である。したがって以下では、コネクタ構造41に特徴的な構成について主に説明し、コネクタ構造1と共通する構成については図5〜図7におけるのと同一の符号を付して示し、上での説明を援用するものとする。
【0030】
コネクタ構造41では、端子ハウジング4に端子台部当接用の遮断用突出部42と補助突出部43を設けている。遮断用突出部42は、端子ハウジング4における隔壁6から延設することで端子ハウジング4の先端面から一定の長さLbで突出する状態にして隔壁6ごとに設けられている。また遮断用突出部42は、端子ハウジング17における端子台部間凹部29に臨む状態で端子台部23に当接できる厚みTb、つまり端子台部間凹部29の底部の幅Wよりも広い厚みTbを有し、また隔壁6の幅と同じ幅を有する長方形状に形成され、さらにその先端部に台形状の端子台部23におけるテーパ面に逆対応するテーパ面を有するテーパ面部44が形成されている。
【0031】
補助突出部43は、第1の実施形態における補助突出部33と同様で、隔壁6ごとに設けられている遮断用突出部42による遮断用突出部群を囲繞するようにして設けられている。すなわち補助突出部43は、遮断用突出部42と同じ突出長さで端子ハウジング4の先端面から突出するように形成され、かつ遮断用突出部群の周囲をぐるり囲むように形成されており、その左右各側端部が端子ハウジング4における左右各側端部の隔壁6L、6Rに対応する遮断用突出部42L、42Rで兼ねるようにされている。
【0032】
このようなコネクタ構造41でハウジング嵌合がなされると、図4に示すように、各遮断用突出部42が端子台部間凹部29に臨む状態でテーパ面部44を介して端子台部23に当接するとともに、補助突出部43が遮断用突出部群の周囲で後壁22に当接し、これによりラビリンス的構造が形成され、そのラビリンス的構造で端子接続体28が特に後壁の近傍において個々に遮断される状態となる。その結果、油中使用の場合に、先端側抜け部11fと後端側抜け部11rによる侵入経路Cpでコンタミが侵入してもそれが端子接続体28まで到達するのを効果的に防ぐことができ、したがって油中使用の場合のコンタミネーション問題を効果的に解消することができる。
【0033】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、これらは代表的な例に過ぎず、本発明はその趣旨を逸脱することのない範囲で様々な形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施形態によるコネクタ構造の構成をハウジング嵌合前の状態について示す図である。
【図2】図1のコネクタ構造のハウジング嵌合状態を示す図である。
【図3】第2の実施形態によるコネクタ構造の構成をハウジング嵌合前の状態について示す図である。
【図4】図3のコネクタ構造のハウジング嵌合状態を示す図である。
【図5】嵌合ロック機構を有する従来のコネクタ構造の構成をハウジング嵌合前の状態について示す図である。
【図6】図5のコネクタ構造の部分的断面状態を示す図である。
【図7】図5のコネクタ構造のハウジング嵌合状態を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1、31、41 コネクタ構造
2 雌コネクタ(第1のコネクタ)
3 雄コネクタ(第2のコネクタ)
4 端子ハウジング
5 雌端子(端子)
7 端子収容室
10 ロック部
11 抜け部
17 端子ハウジング
18 雄端子(端子)
22 後壁
23 端子台部
25 ロック受け部
28 端子接続体
32、42 遮断用突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ樹脂成型により形成される端子ハウジングに端子を収容してなる第1のコネクタと第2のコネクタについて、前記第1のコネクタの前記端子ハウジングを前記第2のコネクタの前記端子ハウジングに嵌合させるハウジング嵌合により前記第1のコネクタと前記第2のコネクタそれぞれの前記端子を接続させて端子接続体を形成するようにされ、
前記第1のコネクタの前記端子ハウジングは、前記端子を個々に収容する端子収容室が隔壁により区画することで形成され、また先端側が前記ハウジング嵌合に際して前記第2のコネクタの前記端子を受け入れるための間口とされ、
前記第2のコネクタの前記端子ハウジングは、先端側が前記ハウジング嵌合のために間口とされる一方で、後端側に前記端子を保持する後壁が設けられているコネクタ構造において、
前記第1のコネクタの前記端子ハウジングに当該端子ハウジングの先端面から突出する状態にして遮断用突出部が設けられ、そして前記ハウジング嵌合により前記遮断用突出部が前記後壁に当接することで、前記端子接続体を個々に遮断できるようにされていることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項2】
前記遮断用突出部は、前記隔壁から延設されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ構造。
【請求項3】
前記後壁に、前記端子の前記端子ハウジングへのインサート成型における金型の拾い形状に応じて台形状で突出する端子台部が前記端子ごとに形成されており、そして前記遮断用突出部の前記後壁への当接は、前記端子台部の間での前記後壁への当接としてなされるようにされるか、又は前記端子台部への当接としてなされるようにされていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ構造。
【請求項4】
前記第1のコネクタの前記端子ハウジングの側面には、弾性変形可能とされるとともに、その弾性変形性を高めるための抜け部が形成されたロック部が設けられる一方で、前記第2のコネクタの前記端子ハウジングの側面にはロック受け部が設けられ、前記ハウジング嵌合に際して前記ロック部を弾性変形させつつ前記ロック受け部に進入させることで前記ロック部の前記ロック受け部への係止をなさせて前記ハウジング嵌合のロックをなすようにされ、そして油中使用時に前記抜け部を侵入経路とするコンタミが前記端子接続体に侵入するのを前記遮断用突出部による前記端子接続体個々の遮断により防止するようにされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−27507(P2010−27507A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190024(P2008−190024)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】