説明

コネクタ蓋の防水構造、及び電子機器

【課題】コネクタ蓋に防水部材を一体化させて、コネクタ蓋の防水構造の薄型化を実現する。
【解決手段】筐体1内に設けられたコネクタ4と、筐体1のコネクタ4と対応する位置に形成された開口11と、その開口11を開閉するコネクタ蓋5と、を備える防水構造であって、コネクタ蓋5は、開口11を覆う形状のカバー部6と、そのカバー部6に開口11の形状に対応して形成される突起61と、筐体1への取付部72を有してカバー部6と一体的に形成される可撓性部材7と、突起61に一体的に設けられて開口11を防水して塞ぐ防水部材8と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ蓋の防水構造と、その防水構造によるコネクタ蓋を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末において、コネクタを開閉するコネクタ蓋が備えられる。例えば特許文献1において、コネクタ用の通信ポートを開閉するコネクタ蓋は、帯状で可撓性のバンド部が裏ケースの背面下部へ小ネジにより止められて紛失の防止が図られ、また、通信ポートを塞ぐ栓部分の周側面には、その全周にわたり小さなリブ形状のシールリング部が形成されていて、コネクタ蓋は、コネクタ用の通信ポートを水密的に密閉するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−84438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコネクタ蓋は、具体的には、例えばポリカーボネートにより形成される蓋部材の内側にエラストマにより形成されるバンドを2色成形したコネクタ蓋の内側に、例えば耐熱ポリカーボネートにより形成される栓部材の周囲にシリコンラバーにより形成されるシールリングをインサート成形した防水栓を、超音波溶着により一体化した構造となる。
【0005】
しかし、コネクタ蓋の内側に防水栓があるため、厚みが増えてしまう。
【0006】
本発明の課題は、コネクタ蓋に防水部材を一体化させて、コネクタ蓋の防水構造の薄型化を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、筐体内に設けられたコネクタと、前記筐体の前記コネクタと対応する位置に形成された開口と、前記開口を開閉するコネクタ蓋と、を備える防水構造であって、前記コネクタ蓋は、前記開口を覆う形状のカバー部と、前記カバー部に前記開口の形状に対応して形成される突起と、前記筐体への取付部を有して前記カバー部と一体的に形成される可撓性部材と、前記突起に一体的に設けられて前記開口を防水して塞ぐ防水部材と、からなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタ蓋の防水構造であって、前記突起は、先端部が曲げ部となっていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のコネクタ蓋の防水構造であって、前記突起は、前記開口に対応する連続形状であり、前記防水部材は、前記開口に対応する連続形状の前記突起を覆って設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ蓋の防水構造であって、前記可撓性部材は、前記カバー部に帯状に連続して設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ蓋の防水構造であって、前記可撓性部材は、前記カバー部に分割して設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ蓋の防水構造であって、前記可撓性部材は、前記防水部材以外の前記カバー部を覆って設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ蓋の防水構造であって、前記可撓性部材は、前記突起の周囲に沿って埋設されることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ蓋の防水構造であって、前記コネクタ蓋の前記突起の内側に凹部を設けて、その凹部内に前記コネクタを配置することを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載のコネクタ蓋の防水構造を備える電子機器を特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コネクタ蓋に防水部材を一体化できるとともに、コネクタ蓋の防水構造を薄型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成を示すもので、携帯電話の一筐体を示した斜視図である。
【図2】図1のコネクタ蓋の単品拡大図である。
【図3】図2のコネクタ蓋を内側から見て分解した図である。
【図4】図1の筐体のコネクタ蓋部分の拡大断面図である。
【図5】実施形態2を示すもので、コネクタ蓋を内面側から見た斜視図(a)及びその縦断面図(b)である。
【図6】図5のコネクタ蓋の正面図(a)及びその横断面図(b)である。
【図7】実施形態3を示すもので、コネクタ蓋を内面側から見た正面図(a)及びその縦断面図(b)である。
【図8】実施形態4を示すもので、コネクタ蓋を内面側から見た正面図(a)及びその縦断面図(b)である。
【図9】実施形態5を示すもので、コネクタ蓋を内面側から見た正面図(a)及びその縦断面図(b)である。
【図10】実施形態6を示すもので、コネクタ蓋の縦断面図である。
【図11】実施形態7を示すもので、コネクタ蓋の縦断面図である。
【図12】実施形態8を示すもので、コネクタ蓋の縦断面図である。
【図13】実施形態9を示すもので、コネクタ蓋の縦断面図である。
【図14】実施形態10を示すもので、コネクタ蓋の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成として携帯電話の一筐体を示したもので、1は筐体、2は操作部、3はヒンジ部、5はコネクタ蓋である。
【0019】
図示のように、筐体1には操作部2及びヒンジ部3が備えられ、ヒンジ部3に図示しない表示部を有する筐体が結合され、図示例では、操作部2を有する筐体1の側面にコネクタ蓋5が備えられている。
【0020】
図2はコネクタ蓋5を単品状態で拡大したもので、図4はそのコネクタ蓋5を内側から見て分解したものである。コネクタ蓋5は、図示のように、カバー部6、可撓性部材7及び防水部材8から構成される。
【0021】
図4は筐体1のコネクタ蓋5部分の断面を拡大したもので、4はコネクタである。筐体1内には、その側面に位置するコネクタ4が設けられていて、筐体1の側面には、コネクタ4と対応する開口11が形成されている。この開口11にコネクタ蓋5が開閉可能に取り付けられている。
【0022】
すなわち、コネクタ蓋5は、カバー部6が筐体1の開口11を覆う形状で、そのカバー部6の内側面には、開口11の形状に対応する連続形状の突起61が形成されている。なお、カバー部6の材料としては、インサート成形に耐えられる耐熱性などの理由から、例えば耐熱ポリカーボネート(PC)が好ましい。また、耐熱PCは塗装が施し難いため、高密着型の塗料によって外観処理を施す。
【0023】
また、可撓性部材7は、帯状でその一端側にカバー部6との一体的部分71が形成されて、他端側に筐体1に対する突片形状の取付部72が形成されている。可撓性部材7の材料としては、例えばラバーまたはエラストマが挙げられる。以上の可撓性部材7は、カバー部6の内側面で連続形状の突起61の外側に離間して一体的部分71が囲むように一体成形される。
【0024】
そして、防水部材8は、筐体1の開口11を防水して塞ぐもので、カバー部6の突起61に一体的に設けられてパッキンを形成している。防水部材8の材料としては、例えばラバーまたはエラストマが挙げられる。以上の防水部材8は、カバー部6内側面の連続形状の突起61及びその内方を覆うように一体成形される。
【0025】
以上のコネクタ蓋5は、可撓性部材7の帯状部先端に設けた突片形状の取付部72を、筐体1の開口11の外方に設けた図示しない凹部等に対し引き出してスライド可能で且つ筐体1から外れないように突片形状により抜け止めして組み付け、図4に示すように、防水部材8を開口11内に嵌合して圧接させるとともに、その周囲をカバー部6及び可撓性部材7の一体的部分71により塞いで嵌合する。
【0026】
以上、実施形態の携帯電話によれば、コネクタ蓋5のカバー部6に一体の突起61に防水部材8を一体化できるとともに、防水栓が不要となることから、コネクタ蓋5の防水構造を薄型化することができる。
【0027】
(変形例)
なお、可撓性部材7と防水部材8は同じ材料で一体化したものでもよい。
【0028】
(実施形態2)
図5及び図6は実施形態2を示すもので、前述した実施形態1と同様、5はコネクタ蓋、6はカバー部、61は突起、7は可撓性部材、71は一体的部分、72は取付部、8は防水部材である。
【0029】
実施形態2は、図示のように、カバー部6の内側面に、可撓性部材7の一体的部分71を防水部材8の上方部を除いて下方部及び前後部に帯状に設けたものである。
【0030】
これによれば、一体成形時の可撓性部材7の材料注入のゲートを1点にして、可撓性部材7の容積を減らす有効な方法となる。
【0031】
図示例では、可撓性部材7の帯状の一体的部分71の前後に、筐体1の開口11をコネクタ蓋5が覆った状態で、開口11の周囲に嵌合するフック部73・74が一体に形成されている。また、防水部材8には溝81が形成されている。
【0032】
(実施形態3)
図7は実施形態3を示すもので、前述した実施形態2と同様、5はコネクタ蓋、6はカバー部、7は可撓性部材、71は一体的部分、72は取付部、73はフック部、8は防水部材である。
【0033】
実施形態3は、図示のように、カバー部6の内側面に、可撓性部材7の一体的部分71を防水部材8の部分で分割して設けたものである。
【0034】
これによれば、一体成形時の可撓性部材7の材料注入のゲートは2点必要になるが、可撓性部材7の更なる削減により、コネクタ蓋5の防水構造を小型化することができる。
【0035】
(実施形態4)
図8は実施形態4を示すもので、前述した実施形態2と同様、5はコネクタ蓋、6はカバー部、7は可撓性部材、71は一体的部分、72は取付部、73はフック部、8は防水部材である。
【0036】
実施形態4は、図示のように、カバー部6の内側面に、可撓性部材7の一体的部分71を防水部材8の周囲の全域に渡って設けたものである。
【0037】
これによれば、カバー6内側面の連続形状の突起61及びその内方に、防水部材8の接着強化用プライマーを塗布する際の塗布範囲を限定でき、カバー部6の外表面へのプライマーの回り込みを防ぐことができる。
【0038】
(実施形態5)
図9は実施形態5を示すもので、前述した実施形態2と同様、5はコネクタ蓋、6はカバー部、7は可撓性部材、71は一体的部分、72は取付部、73はフック部、8は防水部材である。
【0039】
実施形態5は、図示のように、カバー部6の内側面に、可撓性部材7の一体的部分71を防水部材8の下で連続形状の前記突起61の周囲に沿って埋設したものである。
【0040】
これによれば、コネクタ蓋5の防水構造の厚みよりも高さを下げたい場合に有効となる。
【0041】
(実施形態6)
図10は実施形態6を示すもので、前述した実施形態1と同様、5はコネクタ蓋、6はカバー部、61は突起、7は可撓性部材、71は一体的部分、8は防水部材である。
【0042】
実施形態6は、図示のように、カバー部6の連続形状の突起61の先端部を外側への曲げ部62に形成したものである。
【0043】
このように、カバー部6に防水部材8を一体化する連続形状の突起61の先端部を外側への曲げ部62とすることで、防水部材8を抜け難いものにすることができる。
【0044】
(実施形態7)
図11は実施形態7を示すもので、前述した実施形態6と同様、5はコネクタ蓋、6はカバー部、61は突起、62は曲げ部、7は可撓性部材、71は一体的部分、8は防水部材である。
【0045】
実施形態7は、図示のように、カバー部6の連続形状の突起61の先端部を外側への曲げ部62に形成するとともに、防水部材8の外周にカバー部6の内側面に沿って延びる延出部82を形成したものである。
【0046】
これによれば、実施形態6と同様の作用効果が得られることに加えて、防水部材8の外周に設けた、カバー部6の内側面に沿って延びる延出部82により、カバー部6に対する接着面積を増やして、防水部材8を剥がれ難いものにすることができる。
【0047】
(実施形態8)
図12は実施形態8を示すもので、前述した実施形態1と同様、5はコネクタ蓋、6はカバー部、61は突起、7は可撓性部材、71は一体的部分、8は防水部材である。
【0048】
実施形態8は、図示のように、連続形状の突起61を、可撓性部材7と同じラバーまたはエラストマに形成したもので、このラバーまたはエラストマによる連続形状の突起61を、その内方部をカバー部6の内側面に埋設して一体成形したものである。
そして、このラバーまたはエラストマによる連続形状の突起61を備えるカバー部6に防水部材8を一体成形している。
【0049】
このような構成のコネクタ蓋5としてもよい。
【0050】
(実施形態9)
図13は実施形態9を示すもので、前述した実施形態1と同様、1は筐体、11は開口、4はコネクタ、5はコネクタ蓋、6はカバー部、61は突起、71は可撓性部材7の一体的部分、8は防水部材である。
【0051】
実施形態9は、図示のように、カバー部6の連続形状の突起61の外周側にのみ、筐体1の開口11に圧接する防水部材8を設けたもので、かつ、連続形状の突起61の上下間の間隔を極小さくしたものである。
【0052】
これによれば、コネクタ蓋5の高さの小型化が図れ、これにより、筐体1の厚みの薄型化やデザインの向上が期待できる。
【0053】
(実施形態10)
図14は実施形態10を示すもので、前述した実施形態1と同様、1は筐体、11は開口、4はコネクタ、5はコネクタ蓋、6はカバー部、61は突起、71は可撓性部材7の一体的部分、8は防水部材である。
【0054】
実施形態10は、図示のように、カバー部6の連続形状の突起61の外周側にのみ、筐体1の開口11に圧接する防水部材8を設けたもので、かつ、連続形状の突起61の上下間の間隔を大きくしてその間に凹部63を形成し、筐体1内のコネクタ4を開口11より外側に配置して凹部63内に臨ませたものである。
【0055】
これによれば、コネクタ蓋5の薄型化により、コネクタ4を外側に配置できるようになり、その結果、コネクタ蓋5の小型化が図れ、また、筐体1の内部スペースが広くなるため、筐体1の小型化が期待できる。
【0056】
(変形例)
なお、可撓性部材や防水部材の構成は、前述した実施形態1〜8までの構成のいずれかと実施形態9または実施形態10の蓋形状及び周辺部品配置と組み合わせることも可能であり、そのような組み合わせによってもコネクタ蓋5の防水構造の薄型化が図れる。
【0057】
(他の変形例)
なお、以上の実施形態においては、携帯電話としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、カメラ、PDA、ノートパソコン、ウェアラブルパソコン、電卓、電子辞書などのコネクタ蓋を有するもの機器全てに用いることができる。
また、突起は部分的に設けてもよい。
さらに、筐体の開口やコネクタ蓋の形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
1 筐体
11 開口
4 コネクタ
5 コネクタ蓋
6 カバー部
61 突起
62 曲げ部
63 凹部
7 可撓性部材
71 一体的部分
72 取付部
73 フック部
74 フック部
8 防水部材
81 溝
82 延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に設けられたコネクタと、
前記筐体の前記コネクタと対応する位置に形成された開口と、
前記開口を開閉するコネクタ蓋と、を備える防水構造であって、
前記コネクタ蓋は、前記開口を覆う形状のカバー部と、前記カバー部に前記開口の形状に対応して形成される突起と、前記筐体への取付部を有して前記カバー部と一体的に形成される可撓性部材と、前記突起に一体的に設けられて前記開口を防水して塞ぐ防水部材と、からなることを特徴とするコネクタ蓋の防水構造。
【請求項2】
前記突起は、先端部が曲げ部となっていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ蓋の防水構造。
【請求項3】
前記突起は、前記開口に対応する連続形状であり、
前記防水部材は、前記開口に対応する連続形状の前記突起を覆って設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ蓋の防水構造。
【請求項4】
前記可撓性部材は、前記カバー部に帯状に連続して設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ蓋の防水構造。
【請求項5】
前記可撓性部材は、前記カバー部に分割して設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ蓋の防水構造。
【請求項6】
前記可撓性部材は、前記防水部材以外の前記カバー部を覆って設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ蓋の防水構造。
【請求項7】
前記可撓性部材は、前記突起の周囲に沿って埋設されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ蓋の防水構造。
【請求項8】
前記コネクタ蓋の前記突起の内側に凹部を設けて、その凹部内に前記コネクタを配置することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のコネクタ蓋の防水構造。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のコネクタ蓋の防水構造を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−186562(P2010−186562A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27969(P2009−27969)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】