説明

コネクタ装置、及び電源側コネクタ

【課題】電力を供給するのに適したコネクタ装置、及び電源側コネクタを提供すること。
【解決手段】コネクタ装置は、互いに嵌合可能な電源側コネクタ20および機器側コネクタ10を備える。機器側コネクタ10は、電気機器40に接続されるものであって、電源側コネクタ20からの電力供給を受けるための2つの受電端子11、12を有する。電源側コネクタ20は、直流電源50に接続されるものであって、2つの受電端子11、12に対応する2つの給電端子21、22と、給電端子21、22と直流電源50とを電気的に接続するための接続位置と、給電端子21、22と直流電源50との接続を解除するための解除位置との間で移動可能なスイッチ部材25とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源から電気機器へ電力を供給するために用いられるコネクタ装置、及び電源側コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電気機器は、電源より電力の供給を受け動作する。このように、電源より電力の供給を受ける際には、通常コネクタ装置を介し電源より電気機器へ電力が供給される。この際用いられるコネクタ装置は、特許文献1、2に開示されているように、プラグ型のコネクタと、ジャック型のコネクタを嵌合することにより、電気的に接続を行うものである。
【0003】
一方近年では、地球温暖化等に対する対策の一つとして、ローカルエリアにおける送電においても、電圧変換や送電等における電力損失が少なく、ケーブルの太さも太くする必要のない、直流で高電圧の電力の供給が検討されている。特に、サーバ等の電気機器においては、大量に電力を消費するためこのような電力供給が望ましいものとされている。
【0004】
このような高電圧の電力をサーバ等の電気機器に用いる場合においては、電気的接続がされている部分であるコネクタ装置は通常の交流の商用電源に用いられるものとは異なるものとする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−82208号公報
【特許文献2】特開2003−31301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、電力を供給するのに適したコネクタ装置、及び電源側コネクタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、互いに嵌合可能な電源側コネクタおよび機器側コネクタを備えるコネクタ装置において、
前記機器側コネクタは、電気機器に接続されるものであって、
前記電源側コネクタからの電力供給を受けるための2つの受電端子を有し、
前記電源側コネクタは、直流電源に接続されるものであって、
前記2つの受電端子に対応する2つの給電端子と、
前記給電端子と前記直流電源とを電気的に接続するための接続位置と、前記給電端子と前記直流電源との接続を解除するための解除位置との間で移動可能なスイッチ部材とを有するコネクタ装置である。
【0008】
また、本発明は、互いに嵌合可能な電源側コネクタおよび機器側コネクタを備えるコネクタ装置において、
前記機器側コネクタは、電気機器に接続されるものであって、
前記電源側コネクタからの電力供給を受けるための2つの受電端子を有し、
前記電源側コネクタは、電源に接続されるものであって、
前記2つの受電端子に対応する2つの給電端子と、
前記給電端子と前記電源とを電気的に接続するための接続位置と、前記給電端子と前記電源との接続を解除するための解除位置との間で移動可能なスイッチ部材と、
前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとの嵌合前に、前記スイッチ部材の前記解除位置から前記接続位置への移動を規制する規制機構とを有するコネクタ装置である。
【0009】
また、本発明は、機器側コネクタに嵌合可能な電源側コネクタにおいて、
前記機器側コネクタは、電気機器に接続されるものであって、
前記電源側コネクタからの電力供給を受けるための2つの受電端子を有し、
前記電源側コネクタは、直流電源に接続されるものであって、
前記2つの受電端子に対応する2つの給電端子と、
前記給電端子と前記直流電源とを電気的に接続するための接続位置と、前記給電端子と前記直流電源との接続を解除するための解除位置との間で移動可能なスイッチ部材とを有する電源側コネクタである。
【0010】
また、本発明は、機器側コネクタに嵌合可能な電源側コネクタにおいて、
前記機器側コネクタは、電気機器に接続されるものであって、
前記電源側コネクタからの電力供給を受けるための2つの受電端子を有し、
前記電源側コネクタは、電源に接続されるものであって、
前記2つの受電端子に対応する2つの給電端子と、
前記給電端子と前記電源とを電気的に接続するための接続位置と、前記給電端子と前記電源との接続を解除するための解除位置との間で移動可能なスイッチ部材と、
前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとの嵌合前に、前記スイッチ部材の前記解除位置から前記接続位置への移動を規制する規制機構とを有する電源側コネクタである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電力を供給するのに適したコネクタ装置、及び電源側コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態におけるコネクタ装置の構成図である。
【図2】機器側コネクタ10および電源側コネクタ20の外観の斜視図である。
【図3】機器側コネクタ10の外観図である。
【図4】電源側コネクタ20の上面図である。
【図5】図4のA−A線に沿った断面図である。
【図6】電源側コネクタ20の内部構造の斜視図(1)である。
【図7】電源側コネクタ20の内部構造の斜視図(2)である。
【図8】図4の内部透過図である。
【図9】制限機構80の説明図である。
【図10】電源側コネクタ20の正面図である。
【図11】図10のA−A線に沿った断面図である。
【図12】図10のB−B線に沿った断面図である。
【図13】電源側コネクタ20の内部構造の斜視図(3)である。
【図14】電源側コネクタ20の内部構造の斜視図(4)である。
【図15】第1の実施形態におけるコネクタ装置を用いた電力供給システムの構成図である。
【図16】第1の実施形態におけるコネクタ装置を用いたPDUの斜視図である。
【図17】第2の実施形態におけるコネクタ装置の構成図である。
【図18】第3の実施形態におけるコネクタ装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
第1の実施形態におけるコネクタ装置、機器側コネクタ及び電源側コネクタについて図面を参照して説明する。尚、各図中、X1−X2方向、Y1−Y2方向、Z1−Z2方向は互いに垂直な方向である。
【0014】
(コネクタ装置、機器側コネクタ及び電源側コネクタの構成)
最初に、図1、図2に基づき、コネクタ装置の概略について説明する。図1は、第1の実施形態におけるコネクタ装置の構成図である。図2は、機器側コネクタ10および電源側コネクタ20の外観の斜視図であり、(a)は機器側コネクタ10と電源側コネクタ20とが分離した状態の図、(b)は機器側コネクタ10と電源側コネクタ20とが嵌合した状態の図である。
【0015】
本実施形態におけるコネクタ装置は、互いに嵌合可能な機器側コネクタ10と電源側コネクタ20とを備える。機器側コネクタ10は、サーバ等の電気機器40に接続されており、電力の供給を受けるための2つの受電端子11、12、アースのための接地用端子13を有している。機器側コネクタ10の絶縁性の筺体には、凸部14(図2参照)が設けられている。機器側コネクタ10は、プラグ型のコネクタであって、2つの受電端子11、12および接地用端子13は、プラグ型の端子である。
【0016】
一方、電源側コネクタ20は、直流の電源50に接続されている。電源側コネクタ20は、受電端子11、12に対応する給電端子21、22、接地用端子13に対応する接地用端子23を有している。電源側コネクタ20の絶縁性の筺体には、機器側コネクタ10の凸部14を嵌合可能な凹部24(図2参照)が設けられている。電源側コネクタ20は、ジャック型のコネクタであって、2つの給電端子21、22および接地用端子23は、ジャック型の端子である。
【0017】
また、電源側コネクタ20には、図1に示すように、スイッチ部材25、2つの内部接点31、32が設けられている。スイッチ部材25は、電源側コネクタ20の外部から操作可能な絶縁性の部材であって、電源側コネクタ20の筐体に対して移動可能に支持されている。スイッチ部材25は、給電端子21、22と電源50とを電気的に接続するための接続位置と、接続を解除するための解除位置との間で移動可能な構成になっている。なお、本実施形態では、スイッチ部材25は、スライド型であるが、押下型やシーソー型、ロータリー型など一般的なスイッチであっても良い。
【0018】
内部接点31、32は、電源側コネクタ20の筐体内に収容されており、スイッチ部材25の移動に連動して、開閉される。内部接点31は、互いに接離可能な2つの端子等で構成され、一方の端子は、電源50の正の出力に接続されており、他方の端子は、給電端子21に接続されている。同様に、内部接点32は、互いに接離可能な2つの端子等で構成され、一方の端子は、電源50の負の出力に接続されており、他方の端子は、給電端子22に接続されている。
【0019】
この内部接点31、32は、スイッチ部材25を解除位置から接続位置に移動すると、閉じて接続される構成のものである。内部接点31、32が閉じて接続されることにより、電源50と給電端子21、22とが電気的に接続される。
【0020】
また、この内部接点31、32は、スイッチ部材25を接続位置から解除位置に移動すると、開いて切断される構成のものである。内部接点31、32が開いて切断されることにより、電源50と給電端子21、22との接続が解除される。これにより、電源50から給電端子21、22への意図しない電力供給を防止することができる。
【0021】
次に、上記構成とされたコネクタ装置の使用方法について説明する。
【0022】
電源50から電気機器40に電力を供給する場合、最初に、図2(b)に示すように、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10とを嵌合させる。この状態では、給電端子21と受電端子11とが嵌合し、給電端子22と受電端子12とが嵌合し、接地用端子23と接地用端子13とが嵌合し、凹部24と凸部14とが嵌合する。続いて、スイッチ部材25を解除位置から接続位置に移動させる。これにより、内部接点31、32が閉じられ、電源50から給電端子21、22に電力が供給され、更には、受電端子11、12を介し、電気機器40に電力が供給される。
【0023】
一方、機器側コネクタ10と電源側コネクタ20とを分離する場合、最初に、スイッチ部材25を接続位置から解除位置に移動させる。これにより、内部接点31、32が開かれ、電源50から電気機器40への電力供給がとまる。その後、図2(a)に示すように、機器側コネクタ10と電源側コネクタ20とを分離する。この状態では、給電端子21、22と受電端子11、12とが分離し、接地用端子23と接地用端子13とが分離し、凹部24と凸部14とが分離する。
【0024】
尚、本実施形態では、機器側コネクタ10がプラグ型のコネクタであって、電源側コネクタ20がジャック型のコネクタであるとしたが、機器側コネクタ10がジャック型のコネクタであって、電源側コネクタ20がプラグ型のコネクタであっても良い。即ち、2つの受電端子11、12および接地用端子13は、ジャック型の端子であって、2つの給電端子21、22および接地用端子23は、プラグ型の端子であっても良い。
【0025】
(機器側コネクタの構造)
次に、図3に基づき、機器側コネクタ10の具体的な構造について説明する。図3は、機器側コネクタ10の外観図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は側面図、(d)は下面図である。
【0026】
機器側コネクタ10には、図3に示すように、電源ケーブル15が接続されており、反対側には、導電性の受電端子11、12、および導電性の接地用端子13が設けられている。
【0027】
(電源側コネクタの構造)
次に、図4〜図7に基づき、電源側コネクタ20の具体的な構造について説明する。図4は、電源側コネクタ20の上面図であり、(a)はスイッチ部材25が解除位置にある状態の図、(b)はスイッチ部材25が接続位置にある状態の図である。図5は、図4のA−A線に沿った断面図であり、(a)はスイッチ部材25が解除位置にある状態の図、(b)はスイッチ部材25が接続位置にある状態の図である。図6は、電源側コネクタ20の内部構造の斜視図であり、スイッチ部材25が解除位置にある状態の図である。図7は、電源側コネクタ20の内部構造の斜視図であり、スイッチ部材25が接続位置にある状態の図である。
【0028】
電源側コネクタ20には、図4〜図7に示すように、導電性の給電端子21、22、導電性の接地用端子23、スイッチ部材25、内部接点31、32が設けられている。内部接点31は、互いに接離可能な2つの端子311、312等で構成され、一方の端子311が他方の端子312から離間する方向に付勢されている。一方の端子311を付勢する部材としては、例えば金属板バネ313が用いられる。同様に、内部接点32は、互いに接離可能な2つの端子321、322等で構成され、一方の端子321が他方の端子322から離間する方向に付勢されている。一方の端子321を付勢する部材としては、例えば金属板バネ323が用いられる。尚、金属板バネ313、323は、一体化されたものであっても良い。
【0029】
この電源側コネクタ20には、図6、図7に示すように、開閉機構60、規制機構70、制限機構80(図9参照)の一部が設けられている。開閉機構60は、スイッチ部材25の移動に連動して、内部接点31、32の開閉を行う機構である。規制機構70は、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との嵌合前に、スイッチ部材25の解除位置から接続位置への移動を規制する機構である。制限機構80は、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10とが嵌合した状態で、スイッチ部材25が解除位置から接続位置に移動すると、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との分離を制限する機構である。尚、制限機構80の残部は、機器側コネクタ10に設けられている。
【0030】
開閉機構60は、例えば図5〜図7に示すように、移動部材61と、中間部材62等で構成される。移動部材61は、リンク部材63を介してスイッチ部材25に支持される絶縁性の部材である。移動部材61は、例えば、スイッチ部材25の移動に伴い、スイッチ部材25の移動方向(矢印X1、X2方向)と平行に移動するように構成されている。
【0031】
中間部材62は、移動部材61と内部接点31、32との間に設けられる絶縁性の部材である。中間部材62は、例えば、移動部材61の移動に伴い、移動部材61の移動方向(矢印X1、X2方向)と垂直に(矢印Z1、Z2方向に)回動するように構成されている。具体的には、中間部材62は、移動部材61に接触可能な傾斜面621と、内部接点31、32に接触可能な突出部622、623と、回転軸624とを一体的に形成した構成となっている。
【0032】
図5(a)、図6に示すように、スイッチ部材25が解除位置にある状態では、内部接点31、32が開かれ、切断されている。ここで、スイッチ部材25を解除位置から接続位置に矢印X1方向に移動させると、スイッチ部材25に連結されたリンク部材63が移動部材61を矢印X1方向に押し、移動部材61が矢印X1方向に移動する。これに伴い、移動部材61が中間部材62の傾斜面621を矢印X1方向に押し、中間部材62が金属板バネ313、323の復元力に抗して、回転軸624の軸周りに矢印Z1方向に回動する。その結果、図5(b)、図7に示すように、中間部材62の突出部622、623によって、金属板バネ313、323が矢印Z1方向に弾性変形し、内部接点31、32が閉じられる。
【0033】
一方、図5(b)、図7に示すように、スイッチ部材25が接続位置にある状態では、内部接点31、32が閉じられ、接続されている。ここで、スイッチ部材25を接続位置から解除位置に矢印X2方向に移動させると、スイッチ部材25に連結されたリンク部材63が移動部材61を矢印X2方向に押し、移動部材61が矢印X2方向に移動する。これにより、中間部材62が金属板バネ313、323の復元力によって、回転軸624の軸周りに矢印Z2方向に回動する。その結果、図5(a)、図6に示すように、金属板バネ313、323が矢印Z2方向に復元し、内部接点31、32が開かれる。
【0034】
このようにして、開閉機構60は、スイッチ部材25の移動に連動して、内部接点31、32の開閉を行う。
【0035】
尚、開閉機構60の構成に特に制限はなく、スイッチ部材25の構成や種類、内部接点31、32の構成や種類等に応じて適宜設計されて良い。
【0036】
図5に示すように、内部接点32の端子321、322の近傍には、永久磁石26が設けられている。永久磁石26は、端子321、322が離れて、電流の流れがとまる際に瞬間的に発生するアークを吹き飛ばすためのものである。同様に、内部接点31の端子311、312の近傍にも、不図示の永久磁石が設けられている。
【0037】
規制機構70は、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との嵌合前に、スイッチ部材25の解除位置から接続位置への移動を規制し、接続位置から解除位置への移動を許容する機構である。この規制機構70は、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との嵌合後に、スイッチ部材25の双方向の移動を許容する。
【0038】
規制機構70の具体的な構成について、図4、図8を参照して説明する。図8は、図4の内部透過図であって、(a)は電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との嵌合前に、スイッチ部材25が解除位置にある状態の図、(b)は電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との嵌合後に、スイッチ部材25が接続位置にある状態の図である。尚、図8(b)において破線で示す状態は、図8(a)における状態である。
【0039】
規制機構70は、例えば図8に示すように、スイッチ部材25の移動経路に侵入する侵入位置と、移動経路から外れる後退位置との間で移動可能に構成され、且つ、後退位置から侵入位置に付勢されている可動部材71等で構成される。可動部材71を付勢する付勢部材72としては、例えば図8に示すように、コイルバネが用いられる。尚、コイルバネの代わりに、ねじりコイルバネや板バネ等が用いられても良い。
【0040】
可動部材71は、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10とが嵌合する際に、機器側コネクタ10に押圧され、侵入位置から後退位置へ移動するように構成されている。例えば、可動部材71は、図4に示すように、凹部24の内壁面から出没可能なボタン部711を備える。可動部材71は、絶縁性の部材である。
【0041】
図8(a)に示すように、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との嵌合前に、スイッチ部材25が解除位置にある状態では、可動部材71が侵入位置にあり、スイッチ部材25の解除位置から接続位置への移動(矢印X1方向への移動)が規制されている。
【0042】
この状態で、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10とを嵌合させると、凹部24に対して凸部14が矢印Z1方向に嵌入する。この際、凸部14がボタン部711の傾斜面712(図6、図7参照)を矢印Z1方向に押圧し、ボタン部711が没入方向(矢印Y1方向)に移動するので、可動部材71が矢印Y1方向に移動する。その結果、図8(b)に示すように、可動部材71が後退位置に移動し、スイッチ部材25の解除位置から接続位置への移動(矢印X1方向への移動)が許容される。
【0043】
一方、図8(b)に示すように、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との嵌合後に、スイッチ部材25が接続位置にある状態では、可動部材71が後退位置にあり、スイッチ部材25の接続位置から解除位置への移動(矢印X2方向への移動)が許容されている。
【0044】
この状態で、スイッチ部材25を接続位置から解除位置に移動させ、続いて、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10とを分離させると、凸部14がボタン部711を押圧しなくなるので、可動部材71は付勢部材72の付勢力によって矢印Y2方向に移動する。その結果、図8(a)に示すように、可動部材71が侵入位置に移動し、スイッチ部材25の解除位置から接続位置への移動が規制される。
【0045】
このように、本実施形態によれば、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との嵌合前に、スイッチ部材25が解除位置から接続位置へ移動するのを規制するので、電源50と給電端子21、22とが電気的に接続されるのを防止することができる。よって、給電端子21、22にドライバー等の導体が接触した場合に、導体に電力が供給されるのを防止することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、規制機構70が可動部材71等の機械部品のみで構成されているので、位置センサやアクチュエータ等の電子部品で構成される場合に比べて、消費電力を削減することができる。
【0047】
更に、本実施形態によれば、図4に示すように、可動部材71のボタン部711が凹部24内に設けられているので、ボタン部711の誤操作を抑制できる。尚、凹部24の開口幅W(図4参照)は、ボタン部711の手動による誤操作を防止するため、10mm以下であることが望ましく、5mm以下であることがより望ましく、3mm以下であることが更に望ましい。
【0048】
尚、本実施形態では、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10とを分離する前に、スイッチ部材25を接続位置から解除位置に移動するとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、後述の制限機構80が設けられていない場合、スイッチ部材25を接続位置から解除位置に移動する前に、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10とを分離しても良い。
【0049】
尚、本実施形態では、可動部材71は、スイッチ部材25の移動経路に侵入、退避する構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、可動部材71は、スイッチ部材25と内部接点31、32との間に設けられる部材(例えば、移動部材61や中間部材62)の移動経路に侵入、退避する構成であっても良い。
【0050】
制限機構80は、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10とが嵌合した状態で、スイッチ部材25が解除位置から接続位置に移動すると、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との分離を制限する機構である。この制限機構80は、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10とが嵌合した状態で、スイッチ部材25が接続位置から解除位置に移動すると、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との分離を許容する。
【0051】
制限機構80の具体的な構成について、図2〜図4、図9を参照して説明する。図9は、制限機構80の説明図である。図9(a)は電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との嵌合前に、スイッチ部材25が解除位置にある状態の断面図である。図9(b)は電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との嵌合後に、スイッチ部材25が接続位置にある状態の断面図である。
【0052】
例えば、制限機構80は、図2〜図4、図9に示すように、装置側コネタタ10の筐体に嵌合方向と垂直に設けられる係合孔81、およびリンク部材63を介してスイッチ部材25に連結される移動部材61等で構成される。係合孔81は、図2、図3、図9に示すように、装置側コネクタ10の凸部14に設けられている。
【0053】
移動部材61は、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10とが嵌合した状態で、スイッチ部材25が解除位置から接続位置に移動すると、移動部材61の先端部611が係合孔81内に挿入されるように構成されている。移動部材61の先端部611は、図4に示すように、スイッチ部材25の移動に連動して、電源側コネクタ20の凹部24の内壁面から出没するように構成されている。
【0054】
図9(a)に示すように、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との嵌合前に、スイッチ部材25が解除位置にある状態では、移動部材61の先端部611が凹部24の内壁面から突出しておらず、凹部24と凸部14との嵌合が許容されている。
【0055】
この状態で、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10とを嵌合させると、凹部24と凸部14とが嵌合する。続いて、スイッチ部材25を接続位置から解除位置に矢印X1方向に移動すると、スイッチ部材25に連結されたリンク部材63が移動部材61を矢印X1方向に押し、移動部材61が矢印X1方向に移動する。その結果、図9(b)に示すように、移動部材61の先端部611が凹部24の内壁面から矢印X1方向に突出し、装置側コネクタ10の係合孔81を貫通した後、電源側コネクタ20の係合孔82に挿入される。
【0056】
一方、図9(b)に示すように、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との嵌合後に、スイッチ部材25が接続位置にある状態では、移動部材61の先端部611が係合孔81、82に矢印X1方向に挿入されており、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との矢印Z1、Z2方向への分離が制限されている。
【0057】
この状態で、スイッチ部材25を解除位置から接続位置に矢印X2方向に移動させると、スイッチ部材25に連結されたリンク部材63が移動部材61を矢印X2方向に押し、移動部材61が矢印X2方向に移動する。その結果、移動部材61の先端部611が係合孔81、82から抜け、凹部24の内壁面に没入するので、凹部24と凸部14との分離が許容され、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との分離が許容される。
【0058】
このように、本実施形態によれば、スイッチ部材25が解除位置から接続位置に移動すると、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10との分離を制限するので、電源50と給電端子21、22とが電気的に接続された状態で、給電端子21、22にドライバー等の導体が接触するのを防止することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、制限機構80が移動部材61等の機械部品のみで構成されているので、位置センサやアクチュエータ等の電子部品で構成される場合に比べて、消費電力を削減することができる。
【0060】
更に、本実施形態によれば、機器側コネクタ10に係合孔81が設けられ、電源側コネクタ20に係合孔81に挿入可能な移動部材61が設けられているので、不適切な電気機器と電源50とを誤って電気的に接続するのを防止することができる。即ち、係合孔81のない類似の機器側コネクタを電気側コネクタ20に誤って嵌合した場合に、機器側コネクタが移動部材61の移動を制限するので、移動部材61に連結されたスイッチ部材25の接続位置への移動を制限することができる。
【0061】
次に、図10〜14に基づき、開閉機構60の詳細について説明する。図10は、電源側コネクタ20の正面図である。図11は、図10のA−A線に沿った断面図であって、(a)はスイッチ部材25が解除位置にある状態の図、(b)はスイッチ部材25が接続位置にある状態の図である。図12は、図10のB−B線に沿った断面図であって、(a)はスイッチ部材25が解除位置にある状態の図、(b)はスイッチ部材25が接続位置にある状態の図である。図13は、電源側コネクタ20の内部構造の斜視図であって、スイッチ部材25が解除位置にある状態の図である。図14は、電源側コネクタ20の内部構造の斜視図であって、スイッチ部材25が接続位置にある状態の図である。
【0062】
図11に示すように、スイッチ部材25は、電源側コネクタ20の内部において環状部251が設けられており、リンク部材63を介し、移動部材61に連結されている。また、図12に示すように、電源側コネクタ20の内部には、ねじりコイルバネ(トーションスプリング)64が設けられている。このねじりコイルバネ64は、一端が回転可能な状態で電源側コネクタ20の筐体に対して固定されており、他端がカム軸65と回転可能な状態で接続されている。このカム軸65は、V字状のカム溝66内を移動可能な構成となっており、図11に示すように、リンク部材63の一端部631に回転可能に挿通されている。
【0063】
図11、図13に示すように、リンク部材63の中央部には、スライド軸632が設けられており、スライド溝67内を移動可能な構成となっている。また、リンク部材63の他端部633は、移動部材61に設けられた緩衝溝612内に挿入されており、移動可能な状態となっている。
【0064】
スイッチ部材25が解除位置にある状態では、リンク部材63の一端部631に挿通されたカム軸65は、図12(a)に示すように、カム溝66内の最もX2側に位置しており、図11(a)に示すように、環状部251のX2側の内壁面に接している。また、リンク部材631の中央部に設けられたスライド軸632がスライド溝67内のX2側に位置している。更に、リンク部材63の他端部633が緩衝溝612のX2側の内壁面に接している。このとき、ねじりコイルバネ64は自然状態よりも若干閉脚した(撓んだ)状態となっている。
【0065】
続いて、スイッチ部材25を解除位置から接続位置に矢印X1方向に移動させると、環状部251のX2側の内壁面がカム軸65を矢印X1方向に押し、カム軸65はカム溝66内を矢印X1方向に移動する。この際、カム軸65が挿通されたリンク部材63も矢印X1方向に移動するが、リンク部材63の他端部633は緩衝溝612内で移動するため、移動部材61は移動しない。この過程では、ねじりコイルバネ64は、図12(a)に示す状態よりも更に閉脚した(撓んだ)状態となっており、ねじりコイルバネ64の復元力が強くなっている。
【0066】
その後、スイッチ部材25が解除位置と接続位置との間のほぼ中間位置に到達すると、カム軸65がV字状のカム溝66の屈曲部に到達し、ねじりコイルバネ64が最も撓んだ状態となる。この状態では、スイッチ部材25の移動方向と、ねじりコイルバネ64の両端を結ぶ方向とが垂直となっている。
【0067】
更に、スイッチ部材25を中間位置から接続位置に矢印X1方向に移動させると、ねじりコイルバネ64の復元力により図10(b)〜図12(b)、図14に示す状態となる。即ち、ねじりコイルバネ64が開脚する復元力により、カム軸65がカム溝66内を矢印X1方向に移動し、リンク部材63の他端部633が矢印X1方向に移動して、移動部材61の緩衝溝612のX1側の内壁面を押す。その結果、図5(b)に示すように、移動部材61の先端部611が凹部24の内壁面から矢印X1方向に突出すると共に、移動部材61が中間部材62を押して内部接点31、32が閉じられる。
【0068】
このようにして、内部接点31、32を閉じることができる。これは、ねじりコイルバネ64の復元力、即ち、ねじりコイルバネ64の開脚する力により行われるので、短時間に行われる。
【0069】
一方、スイッチ部材25が接続位置にある状態では、リンク部材63の一端部631に挿通されたカム軸65は、図12(b)に示すように、カム溝66内の最もX1側に位置しており、図11(b)に示すように、環状部251のX1側の内壁面に接している。また、リンク部材63の中央部に設けられたスライド軸632がスライド溝67内のX1側に位置している。更に、リンク部材63の他端部633が緩衝溝612のX1側の内壁面に接している状態にある。このとき、ねじりコイルバネ64は自然状態よりも若干閉脚した(撓んだ)状態となっている。
【0070】
続いて、スイッチ部材25を接続位置から解除位置に矢印X2方向に移動させると、環状部251のX1側の内壁面がカム軸65を矢印X2方向に押し、カム軸65はカム溝66内を矢印X2方向に移動する。この際、カム軸65が挿通されたリンク部材63も矢印X2方向に移動するが、リンク部材63の他端部633は緩衝溝612内で移動するため、移動部材61は移動しない。この過程では、ねじりコイルバネ64は、図12(b)に示す状態よりも更に閉脚した(撓んだ)状態となっており、ねじりコイルバネ64の復元力が強くなっている。
【0071】
その後、スイッチ部材25が接続位置と解除位置との間のほぼ中間位置に到達すると、カム軸65がV字状のカム溝66の屈曲部に到達し、ねじりコイルバネ64が最も撓んだ状態となる。この状態では、スイッチ部材25の移動方向と、ねじりコイルバネ64の両端を結ぶ方向とが垂直となっている。
【0072】
更に、スイッチ部材25を中間位置から解除位置に矢印X2方向に移動させると、ねじりコイルバネ64の復元力により図10(a)〜図12(a)、図13に示す状態となる。即ち、ねじりコイルバネ64が開脚する復元力により、カム軸65がカム溝66内を矢印X2方向に移動し、リンク部材63の他端部633が矢印X2方向に移動して、移動部材61の緩衝溝612のX2側の内壁面を押す。その結果、図5(a)に示すように、移動部材61の先端部611が凹部24の内壁面から矢印X2方向に没入すると共に、移動部材61が矢印X2方向に移動して内部接点31、32が開かれる。
【0073】
このようにして、内部接点31、32を開くことができる。これは、ねじりコイルバネ64の復元力、即ち、ねじりコイルバネ64の開脚する力により行われるので、短時間に行われる。
【0074】
本実施形態では、ねじりコイルバネ64の復元力により、内部接点31、32を開閉するので、開閉速度を一定にすることができる。よって、開閉速度が遅いことに起因して、アークやチャタリングが発生するのを抑制することができる。尚、アークの発生やチャタリングの発生は、電源側コネクタ20の接点を破損させたり、電源側コネクタ20に接続されている機器を破損させたりするおそれがある。
【0075】
尚、本実施形態では、スイッチ部材25の移動によって、変形、復元する弾性部材として、ねじりコイルバネ64を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、弾性部材として、コイルバネや板バネ等を用いても良い。
【0076】
(電力供給システム)
次に、図15に基づいて、上記コネクタ装置を用いた電力供給システムの構成を説明する。図15は、第1の実施形態におけるコネクタ装置を用いた電力供給システムの構成図である。
【0077】
この電力供給システムは、商用電源90より供給されるAC100V又はAC200Vの電力を電源50に入力し、電源50におけるAC/DC変換器51により、AC100V又はAC200VをDC400Vに変換する。直流電力は、バッテリー等により蓄電することが可能であるため、バックアップ用にバッテリー52を設けることにより、停電等の場合においても容易に対応することが可能である。電源50には電源ケーブルを介し、電源側コネクタ20が接続されており、電源50からの400VDCの電力は、電源側コネクタ20より供給される。
【0078】
一方、機器側コネクタ10は、サーバ等の電気機器40と電源ケーブル15を介し接続されており、電源側コネクタ20と機器側コネクタ10とを電気的に接続することにより、電源50からの電力が、電気機器40に供給される。
【0079】
また、電気機器40内には、400VDCをCPU42等の電子部品の動作が可能な低電圧のDC出力に変換するDC/DC変換器41が設けられている。
【0080】
このような、電力供給システムでは、商用電源90からのACからDCへの変換が一回で済むため電力損失が少ないこと、高電圧な直流である400VDCでは、導線等の太さを気にする必要があまりないこと、直流であることからバッテリー52に蓄えることが可能であり、商用電源90の供給が停電等により停止した場合においても、対応しやすいこと等の利点を有している。
【0081】
次に、図16に基づき、本実施形態におけるコネクタ装置を用いたPDU(パワー・ディストリビューション・ユニット)について説明する。
【0082】
図16に示される電源50より供給される400VDCは、一旦、分電盤91に入力し、各々のPDU(パワー・ディストリビューション・ユニット)92に電力が分配される。各々のPDU92には、本実施形態における電源側コネクタ20が複数設けられており、各々の電源側コネクタ20を介し400VDCの電力を供給することが可能である。一方、サーバラック93には、複数のサーバ等の電気機器40が収納されており、各々の電気機器40には、電源供給を受けるための機器側コネクタ10が電源ケーブル15を介し接続されている。機器側コネクタ10は、PDU92に設けられた電源側コネクタ20と電気的に接続することにより、400VDCの電力が供給されるように構成されている。
【0083】
尚、本実施形態のコネクタ装置、機器側コネクタ10および電源側コネクタ20は、直流(DC)、交流(AC)のいずれにも用いることが可能であるが、電圧が48V以上の直流の場合に特に適している。
【0084】
〔第2の実施形態〕
図17に、第2の実施形態におけるコネクタ装置、機器側コネクタ及び電源側コネクタの構成の概要を示す。尚、図17において、図1〜図16と同一構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
第2の実施形態では、電源側コネクタ20Aには、2つのリレー27、28が設けられている。この電源側コネクタ20Aには、リレー27、28を駆動するためのリレー電源53が接続されている。
【0086】
リレー27は、コイル271と、コイル271に電流を流すことによって閉じて接続されるリレー接点272とを備える。リレー接点272は、コイル271に電流が流れていない状態では、開いて切断された状態となる。同様に、リレー28は、コイル281と、コイル281に電流を流すことによって閉じて接続されるリレー接点282とを備える。リレー接点282は、コイル281に電流が流れていない状態では、開いて切断された状態となる。
【0087】
コイル271は、図17に示すように、一方の端子がリレー電源53の正の出力に接続されており、他方の端子が内部接点31を介してリレー電源53の負の出力に接続されている。同様に、コイル281は、一方の端子がリレー電源53の正の出力に接続されており、他方の端子が内部接点32を介してリレー電源53の負の出力に接続されている。
【0088】
リレー接点272は、互いに接離可能な2つの端子等からなり、図17に示すように、一方の端子が電源50の正の出力に接続されており、他方の端子が給電端子21に接続されている。同様に、リレー接点282は、互いに接離可能な2つの端子等からなり、一方の端子が電源50の負の出力に接続されており、他方の端子が給電端子22に接続されている。
【0089】
本実施形態では、スイッチ部材25が解除位置から接続位置に移動すると、内部接点31が閉じ、コイル271に電流が流れる。これにより、リレー接点272が閉じられ、電源50の正の出力と、給電端子21とが電気的に接続される。同様に、スイッチ部材25が解除位置から接続位置に移動すると、内部接点32が閉じ、コイル281に電流が流れる。これにより、リレー接点282が閉じられ、電源50の負の出力と、給電端子22とが電気的に接続される。
【0090】
また、本実施形態では、スイッチ部材25が接続位置から解除位置に移動すると、内部接点31が開き、コイル271に電流が流れなくなる。これにより、リレー接点272が開かれ、電源50の正の出力と、給電端子21とが電気的に切断される。同様に、スイッチ部材25が接続位置から解除位置に移動すると、内部接点32が開き、コイル281に電流が流れなくなる。これにより、リレー接点282が開かれ、電源50の負の出力と、給電端子22とが電気的に切断される。
【0091】
このように、スイッチ部材25の移動に連動して、電源50と給電端子21、22とが電気的に接続、切断される。
【0092】
本実施形態では、リレー27、28を用いて、電源50と給電端子21、22とを電気的に接続、切断するので、安全性をより高めることができる。
【0093】
尚、本実施形態では、リレー27、28は電源側コネクタ20Aの本体の内部に設けた構成であるが、外部に設けた構成とすることも可能である。
【0094】
尚、本実施形態におけるコネクタ装置は、第1の実施形態に記載されている電力供給システムに使用することが可能である。
【0095】
〔第3の実施形態〕
図18に、第3の実施形態におけるコネクタ装置、機器側コネクタ及び電源側コネクタの構成の概要を示す。尚、図18において、図1〜図17と同一構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0096】
第3の実施形態では、電源側コネクタ20Bには、1つのリレー29が設けられている。この電源側コネクタ20Bには、リレー29を駆動するためのリレー電源53が接続されている。
【0097】
リレー29は、コイル291と、コイル291に電流を流すことによって閉じて接続される2つのリレー接点292、293とを備える。リレー接点292、293は、コイル291に電流が流れていない状態では、開いて切断された状態となる。
【0098】
コイル291は、図18に示すように、一方の端子がリレー電源53の正の出力に接続されており、他方の端子が内部接点31、32を介してリレー電源53の負の出力に接続されている。尚、本実施形態では、2つの内部接点31、32は、直列に接続されているが、並列に接続されても良いし、いずれか一方の内部接点を設置しなくても良い。
【0099】
リレー接点292は、図18に示すように、互いに接離可能な2つの端子等からなり、一方の端子が電源50の正の出力に接続されており、他方の端子が給電端子21に接続されている。同様に、リレー接点293は、互いに接離可能な2つの端子等からなり、一方の端子が電源50の負の出力に接続されており、他方の端子が給電端子22に接続されている。
【0100】
本実施形態では、スイッチ部材25が解除位置から接続位置に移動すると、内部接点31、32が閉じ、コイル291に電流が流れる。これにより、リレー接点292が閉じられ、電源50の正の出力と、給電端子21とが電気的に接続される。同時に、リレー接点293が閉じられ、電源50の負の出力と、給電端子22とが電気的に接続される。
【0101】
また、本実施形態では、スイッチ部材25が接続位置から解除位置に移動すると、内部接点31、32が開き、コイル291に電流が流れなくなる。これにより、リレー接点292が開かれ、電源50の正の出力と、給電端子21とが電気的に切断される。同時に、リレー接点293が開かれ、電源50の負の出力と、給電端子22とが電気的に切断される。
【0102】
このように、スイッチ部材25の移動に連動して、電源50と給電端子21、22とが電気的に接続、切断される。
【0103】
本実施形態でも、リレー29を用いて、電源50と給電端子21、22とを電気的に接続、切断するので、安全性をより高めることができる。
【0104】
尚、本実施形態では、リレー29は電源側コネクタ20Bの本体の内部に設けた構成であるが、外部に設けた構成とすることも可能である。
【0105】
尚、本実施形態におけるコネクタ装置は、第1の実施形態に記載されている電力供給システムに使用することが可能である。
【0106】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0107】
10 機器側コネクタ
11 受電端子(+)
12 受電端子(−)
13 接地用端子
14 凸部
20 電源側コネクタ
21 給電端子(+)
22 給電端子(−)
23 接地用端子
24 凹部
25 スイッチ部材
27 リレー
271 コイル
272 リレー接点
28 リレー
281 コイル
282 リレー接点
29 リレー
291 コイル
292 リレー接点
293 リレー接点
31 内部接点
32 内部接点
40 電気機器
50 電源
60 開閉機構
61 移動部材
611 先端部
62 中間部材
63 リンク部材
64 ねじりコイルバネ(弾性部材)
70 規制機構
71 可動部材
711 ボタン部
72 付勢部材
80 制限機構
81 係合孔
82 係合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに嵌合可能な電源側コネクタおよび機器側コネクタを備えるコネクタ装置において、
前記機器側コネクタは、電気機器に接続されるものであって、
前記電源側コネクタからの電力供給を受けるための2つの受電端子を有し、
前記電源側コネクタは、直流電源に接続されるものであって、
前記2つの受電端子に対応する2つの給電端子と、
前記給電端子と前記直流電源とを電気的に接続するための接続位置と、前記給電端子と前記直流電源との接続を解除するための解除位置との間で移動可能なスイッチ部材とを有するコネクタ装置。
【請求項2】
互いに嵌合可能な電源側コネクタおよび機器側コネクタを備えるコネクタ装置において、
前記機器側コネクタは、電気機器に接続されるものであって、
前記電源側コネクタからの電力供給を受けるための2つの受電端子を有し、
前記電源側コネクタは、電源に接続されるものであって、
前記2つの受電端子に対応する2つの給電端子と、
前記給電端子と前記電源とを電気的に接続するための接続位置と、前記給電端子と前記電源との接続を解除するための解除位置との間で移動可能なスイッチ部材と、
前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとの嵌合前に、前記スイッチ部材の前記解除位置から前記接続位置への移動を規制する規制機構とを有するコネクタ装置。
【請求項3】
前記規制機構は、前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとの嵌合後に、前記スイッチ部材の前記解除位置から前記接続位置への移動を許容する請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記規制機構は、前記スイッチ部材の移動経路に侵入する侵入位置と、前記移動経路から外れる後退位置との間で移動可能に構成され、且つ、前記後退位置から前記侵入位置に付勢される可動部材を有し、
前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとが嵌合する際に、前記機器側コネクタが前記可動部材を押圧することによって、前記可動部材が前記侵入位置から前記後退位置へ移動する請求項3に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記機器側コネタタの筐体には、凸部が設けられ、
前記電源側コネクタの筐体には、前記凸部を嵌合可能な凹部が設けられ、
前記可動部材は、前記凹部の内壁面から出没可能なボタン部を備え、
前記凸部と前記凹部とが嵌合する際に、前記凸部が前記ボタン部を押圧することによって、前記ボタン部が没入方向に移動し、前記可動部材が前記侵入位置から前記後退位置へ移動する請求項4に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとが嵌合した状態で、前記スイッチ部材が前記解除位置から前記接続位置に移動すると、前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとの分離を制限する制限機構を更に有する請求項2〜5のいずれかに記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記制限機構は、前記機器側コネタタの筐体に嵌合方向と垂直に設けられる係合孔と、リンク部材を介して前記スイッチ部材に連結される移動部材とを備え、
前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとが嵌合した状態で、前記スイッチ部材が前記解除位置から前記接続位置に移動すると、前記移動部材の先端部が前記係合孔内に挿入される請求項6に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
前記電源側コネクタの内部には、内部接点が設けられ、
前記スイッチ部材を解除位置から接続位置に移動することによって、前記内部接点が閉じ、前記電源と前記2つの給電端子とが電気的に接続される請求項2〜7のいずれかに記載のコネクタ装置。
【請求項9】
前記内部接点は、互いに接離可能な2つの端子を有し、
該2つの端子の一方が他方に対して離間する方向に付勢されている請求項8に記載のコネクタ装置。
【請求項10】
前記電源側コネクタの内部には、リレーが設けられ、
前記内部接点が閉じることによって、前記リレーが動作し、前記電源と前記2つの給電端子とが電気的に接続される請求項8または9に記載のコネクタ装置。
【請求項11】
前記電源側コネクタは、前記スイッチ部材の移動によって変形、復元する弾性部材を更に有し、
前記弾性部材は、前記スイッチ部材が前記接続位置と前記解除位置との間の所定位置にあるとき、最も変形し、
前記スイッチ部材は、前記弾性部材の復元力によって、前記所定位置から、前記接続位置または前記解除位置に移動する請求項2〜10に記載のコネクタ装置。
【請求項12】
前記機器側コネクタは、接地用端子を有し、
前記電源側コネクタは、前記機器側コネクタの接地用端子に対応する接地用端子を有し、
前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとが嵌合した状態では、前記機器側コネクタの接地用端子と、前記電源側コネクタの接地用端子とが嵌合した状態にある請求項2〜11に記載のコネクタ装置。
【請求項13】
前記電源により供給される電力は、直流である請求項2〜12に記載のコネクタ装置。
【請求項14】
前記電源により供給される電力の電圧は、48V以上である請求項2〜13に記載のコネクタ装置。
【請求項15】
機器側コネクタに嵌合可能な電源側コネクタにおいて、
前記機器側コネクタは、電気機器に接続されるものであって、
前記電源側コネクタからの電力供給を受けるための2つの受電端子を有し、
前記電源側コネクタは、直流電源に接続されるものであって、
前記2つの受電端子に対応する2つの給電端子と、
前記給電端子と前記直流電源とを電気的に接続するための接続位置と、前記給電端子と前記直流電源との接続を解除するための解除位置との間で移動可能なスイッチ部材とを有する電源側コネクタ。
【請求項16】
機器側コネクタに嵌合可能な電源側コネクタにおいて、
前記機器側コネクタは、電気機器に接続されるものであって、
前記電源側コネクタからの電力供給を受けるための2つの受電端子を有し、
前記電源側コネクタは、電源に接続されるものであって、
前記2つの受電端子に対応する2つの給電端子と、
前記給電端子と前記電源とを電気的に接続するための接続位置と、前記給電端子と前記電源との接続を解除するための解除位置との間で移動可能なスイッチ部材と、
前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとの嵌合前に、前記スイッチ部材の前記解除位置から前記接続位置への移動を規制する規制機構とを有する電源側コネクタ。
【請求項17】
前記規制機構は、前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとの嵌合後に、前記スイッチ部材の前記解除位置から前記接続位置への移動を許容する請求項16に記載の電源側コネクタ。
【請求項18】
前記規制機構は、前記スイッチ部材の移動経路に侵入する侵入位置と、前記移動経路から外れる後退位置との間で移動可能に構成され、且つ、前記後退位置から前記侵入位置に付勢される可動部材を有し、
前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとが嵌合する際に、前記機器側コネクタが前記可動部材を押圧することによって、前記可動部材が前記侵入位置から前記後退位置へ移動する請求項17に記載の電源側コネクタ。
【請求項19】
前記機器側コネタタの筐体には、凸部が設けられ、
前記電源側コネクタの筐体には、前記凸部を嵌合可能な凹部が設けられ、
前記可動部材は、前記凹部の内壁面から出没可能なボタン部を備え、
前記凸部と前記凹部とが嵌合する際に、前記凸部が前記ボタン部を押圧することによって、前記ボタン部が没入方向に移動し、前記可動部材が前記侵入位置から前記後退位置へ移動する請求項18に記載の電源側コネクタ。
【請求項20】
前記機器側コネタタの筐体には、嵌合方向と垂直な係合孔が設けられ、
前記電源側コネクタは、リンク部材を介して前記スイッチ部材に連結される移動部材を有し、
前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとが嵌合した状態で、前記スイッチ部材が前記解除位置から前記接続位置に移動すると、前記移動部材の先端部が前記係合孔内に挿入される請求項16〜19のいずれかに記載の電源側コネクタ。
【請求項21】
前記電源側コネクタの内部には、内部接点が設けられ、
前記スイッチ部材を解除位置から接続位置に移動することによって、前記内部接点が閉じ、前記電源と前記2つの給電端子とが電気的に接続される請求項16〜20のいずれかに記載の電源側コネクタ。
【請求項22】
前記内部接点は、互いに接離可能な2つの端子を有し、
該2つの端子の一方が他方に対して離間する方向に付勢されている請求項21に記載の電源側コネクタ。
【請求項23】
前記電源側コネクタの内部には、リレーが設けられ、
前記内部接点が閉じることによって、前記リレーが動作し、前記電源と前記2つの給電端子とが電気的に接続される請求項21または22に記載の電源側コネクタ。
【請求項24】
前記電源側コネクタは、前記スイッチ部材の移動によって変形、復元する弾性部材を更に有し、
前記弾性部材は、前記スイッチ部材が前記接続位置と前記解除位置との間の所定位置にあるとき、最も変形し、
前記スイッチ部材は、前記弾性部材の復元力によって、前記所定位置から、前記接続位置または前記解除位置に移動する請求項16〜23に記載の電源側コネクタ。
【請求項25】
前記機器側コネクタは、接地用端子を有し、
前記電源側コネクタは、前記機器側コネクタの接地用端子に対応する接地用端子を有し、
前記電源側コネクタと前記機器側コネクタとが嵌合した状態では、前記機器側コネクタの接地用端子と、前記電源側コネクタの接地用端子とが嵌合した状態にある請求項16〜24に記載の電源側コネクタ。
【請求項26】
前記電源により供給される電力は、直流である請求項16〜25に記載の電源側コネクタ。
【請求項27】
前記電源により供給される電力の電圧は、48V以上である請求項16〜26に記載の電源側コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図8】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−171191(P2011−171191A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35345(P2010−35345)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】