説明

コネクタ

【課題】接続の作業性に富みかつ信頼性も高いフローティングタイプのコネクタを提供すること。
【解決手段】接続相手となるカード2と接離方向5で接離可能なカードエッジコネクタ1である。接続相手を受ける第1ハウジング13を第2ハウジング14で三次元的に可動に保持する。コンタクト11は第1及び第2ハウジングに保持させる。第2ハウジングは、第1ハウジングの可動範囲を三次元的に定めたストッパ機構を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所謂フローティングタイプのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタは、例えば特許文献1に開示されている。そのコネクタでは、嵌合部が接離方向で移動可能に構成されている。嵌合部は、接続相手と嵌合し終えるまで、固定されている。接続相手と嵌合し終えると、嵌合部が接離方向に移動可能になる。
【0003】
また、特許文献2には、プリント基板上に載置される第1ハウジングと、第1ハウジングから分離した第2ハウジングと、これらの間に保持された複数のフレキシブルコンタクトとを含むコネクタが開示されている。このコネクタにおいては、フレキシブルコンタクトの可撓性により、第1ハウジングに対し第2ハウジングが移動可能である。
【0004】
【特許文献1】特開2006−59788号公報
【特許文献2】特開平10−326654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、接続相手と嵌合した状態で嵌合部が移動過多になると、コンタクトが過大変形により塑性変形を起こしてしまう虞がある。
【0006】
特許文献2でも、同様に、第1ハウジングに対し第2ハウジングが移動過多になると、フレキシブルコンタクトが過大変形により塑性変形を起こしてしまう虞がある。
【0007】
したがって、接続作業に十分な注意が求められるため、接続の作業性や接続の信頼性において改良の余地がある。
【0008】
それ故に本発明の課題は、接続の作業性に富みかつ信頼性も高いフローティングタイプのコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、接続相手と接離方向で接離可能なコネクタにおいて、前記接続相手を受ける第1ハウジングと、前記第1ハウジングを三次元的に可動に保持した第2ハウジングと、前記第1及び第2ハウジングに保持されたコンタクトとを含み、前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングの可動範囲を三次元的に定めたストッパ機構を含むことを特徴とするコネクタを提供できる。
【0010】
前記ストッパ機構は、前記接離方向に直交する第1方向で前記第1ハウジングの移動を規制する第1ストッパと、前記接離方向及び前記第1方向に直交した第2方向で前記第1ハウジングの移動を規制する第2ストッパと、前記接離方向のうち前記接続相手の押圧力が作用する第3方向で前記第1ハウジングの移動を規制する第3ストッパとを有するものであってもよい。
【0011】
前記コンタクトは、前記第1ハウジングに保持された、前記接続相手に接触するための接触部と、前記第2ハウジングに保持された端子部と、前記接触部と前記端子部とを連結した連結部とを有するものであってもよい。
【0012】
前記連結部は、前記接触部の近傍部分及び前記端子部の近傍部分よりもこれらの中間の中間部分が幅狭に設定されていてもよい。
【0013】
前記連結部は、前記接触部の近傍及び前記端子部の近傍からこれらの中間に向けて徐々に幅狭になるように形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接続の作業性に富みかつ信頼性も高いフローティングタイプのコネクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態に係るコネクタを接続相手の一例と共に説明する。
【0016】
図示のコネクタ1は、接続相手の一例であるカード2のエッジ部分に嵌合接続されるものであり、したがってここではカードエッジコネクタと呼ぶ。カード2は、絶縁性のカード基板3と、そのカード基板3の一面に、一縁に沿って並列された多数の導電性の接点4とを有している。カード2は、嵌合離脱方向(接離方向)5の移動を伴って、カードエッジコネクタ1に嵌合又は離脱され得るものである。
【0017】
カードエッジコネクタ1は、多数の導電性のコンタクト11と、これらのコンタクト11を保持したハウジング12とを含んでいる。ハウジング12は、絶縁性の第1ハウジング(フロントハウジング)13と、第1ハウジング13から分離形成された絶縁性の第2ハウジング(リアハウジング)14とを含んでいる。第1ハウジング13は、嵌合離脱方向5に直交した第1方向A1に長くのびたものであり、嵌合離脱方向5での外向き面(前面)にカード2のエッジ部分を受け入れるための第1方向A1に長くのびた嵌合穴15を有している。
【0018】
第2ハウジング14は、第1ハウジング13と平行にのびた主部16と、主部16の両端からそれぞれ直角に曲がって前方にのびた対の側部17とを有している。対の側部17は、第1ハウジング13を三次元的に可動に保持している。即ち、第1ハウジング13は第2ハウジング14に対し、嵌合離脱方向5、第1方向A1、及び嵌合離脱方向5及び第1方向A1に直交した第2方向A2に可動である。
【0019】
さらに、第2ハウジング14は、第1ハウジング13の可動範囲を三次元的に定めたストッパ機構を備えている。ストッパ機構は、第2ハウジング14の各側部17に備えた、左右方向ストッパ19、上方向ストッパ21、下方向ストッパ22、及び後方向ストッパ23を含んでいる。左右方向ストッパ19は、第1方向A1で第1ハウジング13の移動を規制する第1ストッパとして働く。上方向ストッパ21及び下方向ストッパ22は合わせて、第2方向A2で第1ハウジング13の移動を規制する第2ストッパとして働く。後方向ストッパ23は、嵌合離脱方向5のうちカード2の押圧力が作用する第3方向A3で第1ハウジング13の移動を規制する第3ストッパとして働く。
【0020】
一方、各コンタクト11は、第1ハウジング13に保持された接触部26と、第2ハウジング14に保持された端子部27と、接触部26と端子部27とを連結した連結部29とを一体に有している。接触部26の一部は嵌合穴15に配置され、カード2が嵌合穴15に挿入された際にカード1の接点4に接触するように構成されている。端子部27の一部は第2ハウジング14から後方に露出し、回路基板などの接続対象物に半田付けなどにより接続されるように構成されている。
【0021】
図5から明らかなように、各コンタクト11の連結部29は、接触部26の近傍部分29a及び端子部27の近傍部分29bよりもこれらの中間の中間部分29cが幅狭に設定されている。具体的には、接触部26の近傍部分29a及び端子部27の近傍部分29bはいずれも、中間部分29cに向けて徐々に幅狭なるようにテーパー状に形成されている。なお、近傍部分29a、29b幅を規定する両辺は、直線的に形成されてもよいが、曲線的に形成されてもよい。
【0022】
上述したカードエッジコネクタ1の嵌合穴15にカード2を挿入すると、必要に応じて第1ハウジング13が三次元的に移動することを伴って、カード2はカードエッジコネクタ1に電気的に接続される。その際、第1ハウジング13の可動範囲はストッパ機構により三次元的に定められているので、コンタクト11の過大な変形は抑制される。その上、コンタクト11はその特殊な形状により内部応力が分散することになる。したがって、コンタクト11が塑性変形を起こす虞を低減できる。
【0023】
図6−図8を参照して、本発明の第2実施形態に係るコネクタを接続相手の他例と共に説明する。同様な部分については、同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0024】
図示のコネクタ6は、接続相手の他例であるカード7のエッジ部分に嵌合接続されるものであり、したがってここでもカードエッジコネクタと呼ぶ。カード7は、絶縁性のカード基板3と、そのカード基板3の一面に、一縁に沿って並列された多数の導電性の接点4と、カード基板3の反対面に付設された金属製の補強板8とを有している。カード7が、嵌合離脱方向(接離方向)5の移動を伴って、カードエッジコネクタ6に嵌合又は離脱され得るものである点は、図1−図5を用いて説明したカードエッジコネクタと同様である。
【0025】
各コンタクト11の接触部26は、第1ハウジング13に固定保持された保持部26a、保持部26aからのびたU字状のバネ部26b、及びバネ部26bから延長された部分に形成された接点部26cを有している。バネ部26bは、第1ハウジング13の嵌合穴15の近傍に回り込み部26dを有している。
【0026】
カード7を嵌合穴15に挿入すると、カード7の接点4がコンタクト11の接点部26cに接触する。このときカード7の補強板8がコンタクト11の回り込み部26dに接触することを防止するため、第1ハウジング13に、嵌合穴15に隣接した位置に絶縁体31を設ける。この結果、カード7はコンタクト11の接点部26cと絶縁体31との間に挟まれることになり、絶縁体31の部分をカード7の補強板8により補強する役目を果たす。結局、補強板8がコンタクト11の回り込み部26dに接触することなく、接点のみ4がコンタクト11の接点部26cに接触することになる。
【0027】
なお、図8に明示した接触部26の構造は、図1−図5を用いて説明したカードエッジコネクタにおいても実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタを接続相手の一例と共に示す斜視図である。
【図2】図1のコネクタの一部の平面図である。
【図3】図1のコネクタの側面図である。
【図4】図2のIV‐IV線に沿って得られた断面図である。
【図5】図1のコネクタの要部を説明するための拡大平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るコネクタを接続相手の他例と共に示す斜視図である。
【図7】図6に示した接続相手の要部の断面図である。
【図8】図7のコネクタの断面側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 カードエッジコネクタ
2 カード
3 カード基板
4 接点
5 嵌合離脱方向(接離方向)
6 カードエッジコネクタ
7 カード
8 補強板
11 コンタクト
12 ハウジング
13 第1ハウジング(フロントハウジング)
14 第2ハウジング(リアハウジング)
15 嵌合穴
16 主部
17 側部
19 左右方向ストッパ
21 上方向ストッパ
22 下方向ストッパ
23 後方向ストッパ
26 接触部
26a 保持部
26b バネ部
26c 接点部
26d 回り込み部
27 端子部
29 連結部
29a 接触部の近傍部分
29b 端子部の近傍部分
29c 中間部分
31 絶縁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続相手と接離方向で接離可能なコネクタにおいて、前記接続相手を受ける第1ハウジングと、前記第1ハウジングを三次元的に可動に保持した第2ハウジングと、前記第1及び第2ハウジングに保持されたコンタクトとを含み、前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングの可動範囲を三次元的に定めたストッパ機構を含むことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ストッパ機構は、前記接離方向に直交する第1方向で前記第1ハウジングの移動を規制する第1ストッパと、前記接離方向及び前記第1方向に直交した第2方向で前記第1ハウジングの移動を規制する第2ストッパと、前記接離方向のうち前記接続相手の押圧力が作用する第3方向で前記第1ハウジングの移動を規制する第3ストッパとを有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コンタクトは、前記第1ハウジングに保持された、前記接続相手に接触するための接触部と、前記第2ハウジングに保持された端子部と、前記接触部と前記端子部とを連結した連結部とを有する、請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記連結部は、前記接触部の近傍部分及び前記端子部の近傍部分よりもこれらの中間の中間部分が幅狭に設定されている、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記連結部は、前記接触部の近傍及び前記端子部の近傍からこれらの中間に向けて徐々に幅狭になるように形成されている、請求項3に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−9918(P2009−9918A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172727(P2007−172727)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】