説明

コネクタ

【課題】 一対のコネクタ本体の接続力を維持するとともに、それら相対位置も正確に特定できるコネクタを提供することである。
【解決手段】 一対のコネクタ本体A,Bのそれぞれに複数の端子1,2を設け、一方のコネクタ本体Aの対向面側に複数の磁極が現われる構成にし、他方のコネクタ本体Bの対向面側には、一方のコネクタ本体の磁極と配置を対応させるとともに、一方のコネクタ本体Aの磁極と極性を異にした同数の磁極が現われる構成にしている。そして、上記各コネクタ本体A,Bの複数の磁極は、コネクタ本体の対向面の中心を回転中心とした回転角が0度あるいは360度の位置でのみ同一に表れる配置にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一対のコネクタ本体を、相対位置を特定して接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、一対のコネクタ本体に設けた複数の端子を正確に接触させなければコネクタとして機能しなくなる。そこで、一対のコネクタ本体の対向面に磁石を設け、これら磁石の吸引力を利用してコネクタ本体同士を接続させるようにしたものが、従来から知られている。
しかし、コネクタはそのコネクタ本体同士がきっちりと接触するというだけでなく、それら相対する端子が正確に接触しなければならない。言い換えると、一対のコネクタ本体の接続時の相対位置が正確に特定されていなければならない。なぜなら、それらの相対位置がずれたりすると、当該コネクタを介して接続した電子機器等が正常に機能しなくなるからである。
【特許文献1】特開2006−120498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した従来のコネクタでは、コネクタ本体の接続力を維持することはできるが、一対のコネクタ本体の相対位置を正確に特定することができないという問題があった。
この発明の目的は、一対のコネクタ本体の接続力を維持するとともに、それら相対位置も正確に特定できるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の発明は、一対のコネクタ本体のそれぞれに複数の端子を設け、両コネクタ本体の対向面側に、それらコネクタ本体を接続する位置関係を特定する磁石を設け、これら磁石が互いに引き付けあった状態で、両コネクタ本体を接続する位置関係が必然的に決まる構成にした点に特徴を有する。
【0005】
第2の発明は、一対のコネクタ本体のそれぞれに複数の端子を設け、一方のコネクタ本体の対向面側に複数の磁極が現われる構成にし、他方のコネクタ本体の対向面側には、一方のコネクタ本体の磁極と配置を対応させるとともに、一方のコネクタ本体の磁極と極性を異にした磁極が現われる構成にする一方、上記各コネクタ本体の複数の磁極は、コネクタ本体の対向面の中心を回転中心とした回転角が0度あるいは360度の位置でのみ同一に表れる配置にした点に特徴を有する。
なお、この発明においては、コネクタ本体の対向側面に複数の磁極が現われれば、磁石を複数設ける必要はない。
【0006】
第3の発明は、一対のコネクタ本体のうち、少なくとも一方のコネクタ本体の対向面に面からなる複数の端子を設け、他方のコネクタ本体の対向面に面またはピンからなる複数の端子を設ける一方、それらコネクタ本体の対向面には互いに対向するとともにそれら磁極を異にした複数の磁石を設け、これら磁石は、対向する端子同士が接続状態を保つ範囲内で相対移動可能にした点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
第1および2の発明によれば、磁石が互いに引き付けあった状態で、両コネクタ本体を接続する位置関係が特定されるので、常に、正確な接続が可能になり、当該コネクタを介して接続される電子機器等を正確に作動させることができる。
特に、第2の発明によれば、両コネクタ本体を接続する位置関係が必然的に特定されるので、さらに正確な接続が可能になる。
第3の発明によれば、一対のコネクタ本体を接続するとき、それらの相対位置関係を意図的に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に示した第1実施形態は、一対のコネクタ本体A,Bの対向面を円形にするとともに、一方のコネクタ本体Aの対向面における周方向にピンからなる端子1を設け、他方のコネクタ本体Bの対向面における周方向には上記端子1が差し込まれる穴からなる端子2を設けている。
また、一方のコネクタ本体Aの対向面であって、上記端子1の内側に沿った周方向に磁石m1,m2を設けている。これら磁石のうち、磁石m1の周方向長さを、磁石m2の周方向長さよりも長くするとともに、それら両磁石m1、m2の間に間隔を保っている。そして、上記磁石m1はN極を表面にするとともに、磁石m2はS極を表面にしている。
【0009】
さらに、他方のコネクタ本体Bの対向面であって、上記端子2の内側に沿った周方向に磁石m3,m4を設けている。このようにした磁石のうち、磁石m3の周方向長さを、磁石m4の周方向長さよりも長くするとともに、それら両磁石m3、m4の間に間隔を保っている。そして、上記磁石m3はS極を表面にするとともに、磁石m4はN極を表面にしている。
つまり、この他方のコネクタ本体Bは、長い磁石と短い磁石との配置を、一方のコネクタ本体Aと同じにするとともに、それらの極性を反対にしたものである。
【0010】
いずれにしても、上記両コネクタ本体A,Bのうち、一方のコネクタ本体Aの対向面側に複数の磁極が現われる構成にし、他方のコネクタ本体Bの対向面側には、一方のコネクタ本体Aの磁極と配置を一致させるとともに、一方のコネクタ本体Aの磁極と極性を異にした同数の磁極が現われる構成にしている。そして、上記両コネクタ本体A,Bの複数の磁極は、それらコネクタ本体の対向面の中心を回転中心とした回転角が0度あるいは360度の位置でのみ同一に表れる配置にしている。
【0011】
上記のようにした第1実施形態のコネクタでは、一対のコネクタ本体A,Bを互いに近づけることによって、磁石m1とm3、m2とm4のそれぞれが磁気的に引き合って吸着する。このとき、磁石m1とm3、m2とm4の相対位置がずれると、一方のコネクタ本体Aにおける磁石m2のS極と、他方のコネクタ本体Bにおける磁石m3のS極同士が反発しながら、対向するS極とN極とが吸着しようとする。したがって、一対のコネクタ本体A,Bの相対位置が必然的に特定されることになる。
このように一対のコネクタ本体A,Bの相対位置が特定されることによって、端子1および2が正確に接続されることになる。
【0012】
図2に示した第2実施形態は、一対のコネクタ本体A,Bの対向面の周方向に、第1実施形態と同様に磁石m1,m2および磁石m3,m4を設けるとともに、この磁石m1,m2およびm3,m4の内側に端子1,2を設けたもので、その他は、第1実施形態と同様である。
したがって、この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、一対のコネクタ本体A,Bを互いに近づけることによって、磁石m1とm3、m2とm4のそれぞれが磁気的に引き合って吸着する。このとき、磁石m1とm3、m2とm4の相対位置がずれると、一方のコネクタ本体Aにおける磁石m2のS極と、他方のコネクタ本体Bにおける磁石m3のS極同士が反発しながら、対向するS極とN極とが吸着しようとする。したがって、一対のコネクタ本体A,Bの相対位置が必然的に特定され、端子1,2が正確に接続されることになる。
【0013】
そして、この第2実施形態においても、上記両コネクタ本体A,Bのうち、一方のコネクタ本体Aの対向面側に複数の磁極が現われる構成にし、他方のコネクタ本体の対向面側には、一方のコネクタ本体Bの磁極と配置を一致させるとともに、一方のコネクタ本体Aの磁極と極性を異にした同数の磁極が現われる構成にしている。そして、上記両コネクタ本体A,Bの複数の磁極は、それらコネクタ本体の対向面の中心を回転中心とした回転角が0度あるいは360度の位置でのみ同一に表れる配置にしている。
【0014】
図3に示した第3実施形態は、一対のコネクタ本体A,Bのうち、一方のコネクタ本体Aの対向面には、その対向面における周方向に面からなる端子3を設け、他方のコネクタ本体Bの対向面には、その対向面における周方向にピンからなる端子4を設けている。
また、両コネクタ本体A,Bの対向面であって、上記端子3,4の内側に沿って周方向に磁石m1,m2およびm3、m4を設けている。これら磁石m1,m2およびm3、m4は、第2実施形態と同様の配置にしたものである。
なお、両端子3,4はともに面で構成してもよい。
【0015】
この第3実施携帯においても、上記両コネクタ本体A,Bのうち、一方のコネクタ本体Aの対向面側に複数の磁極が現われる構成にし、他方のコネクタ本体の対向面側には、一方のコネクタ本体Bの磁極と配置を対応させるとともに、一方のコネクタ本体Aの磁極と極性を異にした同数の磁極が現われる構成にしている。そして、上記両コネクタ本体A,Bの複数の磁極は、それらコネクタ本体の対向面の中心を回転中心とした回転角が0度あるいは360度の位置でのみ同一に表れる配置にしている。
【0016】
そして、上記磁石m1およびm2の周方向の長さを、これら磁石m1およびm2に対向する磁石m3およびm4の周方向の長さよりも長くするとともに、磁石m1とm2、磁石m3とm4との間に間隔を保持している。
【0017】
したがって、この第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、一対のコネクタ本体A,Bを互いに近づけることによって、磁石m1とm3、m2とm4のそれぞれが磁気的に引き合って吸着する。このとき、磁石m1とm3、m2とm4の相対位置がずれると、一方のコネクタ本体Aにおける磁石m2のS極と、他方のコネクタ本体Bにおける磁石m3のS極同士が反発しながら、対向するS極とN極とが吸着しようとする。したがって、一対のコネクタ本体A,Bの相対位置が必然的に特定され、端子3,4が正確に接続されることになる。
【0018】
ただし、この第3実施形態においては、磁石m1およびm2の長さを、磁石m3およびm4の長さよりも長くしたので、対向する端子同士が接触状態を保つ範囲内で、両コネクタ本体A,Bの対向位置を周方向に多少ずらしたとしても、両者の接続状況を保つことができる。さらに、この第3実施形態では、一方の端子3を面で構成し、他方の端子4をピンで構成しているので、上記のように両コネクタ本体A、Bを周方向にずらしても、それら端子3,4の接続状況を保つことができる。したがって、一対のコネクタ本体A,Bの回転方向の位置関係を、意図的に調整することができる。
【0019】
図4に示した第4実施形態は、一対のコネクタ本体A,Bの対向面の形状を略四角形にするとともに、その周囲に沿って、一方のコネクタ本体Aの対向面にピンからなる端子1を設け、他方のコネクタ本体Bの対向面に穴からなる端子2を設けたものである。
そして、これら端子1,2の内側には、磁石m1とm2、m3とm4を設けるとともに、互いに対向する磁石の極性を反対にしたものである。
【0020】
したがって、この第4実施形態においても、各実施形態と同様に、一対のコネクタ本体A,Bを互いに近づけることによって、磁石m1とm3、m2とm4のそれぞれが磁気的に引き合って吸着する。このとき、磁石m1とm3、m2とm4の相対位置がずれると、一方のコネクタ本体Aの磁石m2のS極と、他方のコネクタ本体Bの磁石m3のS極同士が反発しながら、対向するS極とN極とが吸着しようとする。したがって、一対のコネクタ本体A,Bの相対位置が必然的に特定され、端子1,2が正確に接続されることになる。
【0021】
また、この第4実施形態においても、上記両コネクタ本体A,Bのうち、一方のコネクタ本体Aの対向面側に複数の磁極が現われる構成にし、他方のコネクタ本体の対向面側には、一方のコネクタ本体Bの磁極と配置を対応させるとともに、一方のコネクタ本体Aの磁極と極性を異にした同数の磁極が現われる構成にしている。そして、上記両コネクタ本体A,Bの複数の磁極は、それらコネクタ本体の対向面の中心を回転中心とした回転角が0度あるいは360度の位置でのみ同一に表れる配置にしている。
【0022】
図5に示した第5実施形態は、一対のコネクタ本体A,Bの対向面を長方形にし、この長方形にした対向面の上下2列に端子1,2を設けている。なお、これら端子1,2のいずれか一方が面、あるいは両方が面であってもよいものである。
そして、一方のコネクタ本体Aの対向面における端子1の列間には、図面左側から4つの磁石m5,m6,m7,m8を所定の間隔を保って一列に設けている。そして、これらのうち磁石m5〜m7はN極が表面に現れるようにしている。また、磁石m8は、S極が表面に現れるようにしている。
【0023】
他方のコネクタ本体Bは、対向面の大きさを一方のコネクタ本体Aの対向面よりも小さい長方形にしている。言い換えると、他方のコネクタ本体Bの対向面の長辺を一方のコネクタ本体Aの対向面の長辺よりも小さくしている。
このようにした他方のコネクタ本体Bの対向面に設けた端子2の数は、一方のコネクタ本体Aに設けた端子1の数よりも少なくしている。そして、このコネクタ本体Bの対向面における端子2の列間には、図面左側から3つの磁石m9,m10,m11を所定の間隔を保って一列に設けている。そして、これらのうち磁石m9、m10はS極が表面に現れるようにしている。また、磁石m11は、N極が表面に現れるようにしている。
【0024】
したがって、この第5実施形態においても、各実施形態と同様に、一対のコネクタ本体A,Bを互いに近づけることによって、磁石m6とm9、m7とm10、m8とm11とのそれぞれが磁気的に引き合って吸着する。このとき、磁石m6とm9、m7とm10、m8とm11の相対位置がずれると、一方のコネクタ本体Aの磁石m7のN極と、他方のコネクタ本体Bの磁石m11のN極同士が反発しながら、対向するS極とN極とが吸着しようとする。したがって、一対のコネクタ本体A,Bの相対位置が必然的に特定され、端子1,2が正確に接続されることになる。
【0025】
また、この第5実施形態においても、上記両コネクタ本体A,Bのうち、一方のコネクタ本体Aの対向面側に複数の磁極が現われる構成にし、他方のコネクタ本体の対向面側には、一方のコネクタ本体Bの磁極と配置を対応させるとともに、一方のコネクタ本体Aの磁極と極性を異にした同数の磁極が現われる構成にしている。そして、上記両コネクタ本体A,Bの複数の磁極は、それらコネクタ本体の対向面の中心を回転中心とした回転角が0度あるいは360度の位置でのみ同一に表れる配置にしている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態を示すもので、(イ)は一方のコネクタ本体の対向面を示し、(ロ)は他方のコネクタ本体の対向面を示すものである。
【図2】第2実施形態を示すもので、(イ)は一方のコネクタ本体の対向面を示し、(ロ)は他方のコネクタ本体の対向面を示すものである。
【図3】第3実施形態を示すもので、(イ)は一方のコネクタ本体の対向面を示し、(ロ)は他方のコネクタ本体の対向面を示すものである。
【図4】第4実施形態を示すもので、(イ)は一方のコネクタ本体の対向面を示し、(ロ)は他方のコネクタ本体の対向面を示すものである。
【図5】第5実施形態を示すもので、(イ)は一方のコネクタ本体の対向面を示し、(ロ)は他方のコネクタ本体の対向面を示すものである。
【符号の説明】
【0027】
A 一方のコネクタ本体
B 他方のコネクタ本体
m1〜m11 磁石
1〜4 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のコネクタ本体のそれぞれに複数の端子を設け、両コネクタ本体の対向面側に、それらコネクタ本体を接続する位置関係を特定する磁石を設け、これら磁石が互いに引き付けあった状態で、両コネクタ本体を接続する位置関係が必然的に決まる構成にしたコネクタ。
【請求項2】
一対のコネクタ本体のそれぞれに複数の端子を設け、一方のコネクタ本体の対向面側に複数の磁極が現われる構成にし、他方のコネクタ本体の対向面側には、一方のコネクタ本体の磁極と配置を対応させるとともに、一方のコネクタ本体の磁極と極性を異にした磁極が現われる構成にする一方、上記各コネクタ本体の複数の磁極は、コネクタ本体の対向面の中心を回転中心とした回転角が0度あるいは360度の位置でのみ同一に表れる配置にした請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
一対のコネクタ本体のうち、少なくとも一方のコネクタ本体の対向面に面からなる複数の端子を設け、他方のコネクタ本体の対向面に面またはピンからなる複数の端子を設ける一方、それらコネクタ本体の対向面には互いに対向するとともにそれら磁極を異にした複数の磁石を設け、これら磁石は、対向する端子同士が接続状態を保つ範囲内で相対移動可能にした請求項1又は2記載のコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−113956(P2010−113956A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285636(P2008−285636)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(500567265)株式会社コネクトテクノロジーズ (25)
【Fターム(参考)】