説明

コネクタ

【課題】収容室内でのシール部材の装着状態を十分に確認できるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、相手側コネクタを収容する収容溝を有するハウジング2と、収容溝に挿入されてハウジング2のハウジング本体に装着されるシール部材3と、ハウジング2の側面に開口して、ハウジング本体に装着されたシール部材3を外部に露呈させる視認孔とを備える。視認孔は、ハウジング2のハウジング本体を覆うフード22に開口した貫通孔222aと、フード22上に位置する係止部材23の貫通溝23aとから成る。貫通孔222aと貫通溝23aとは、互いが連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手側コネクタを収容する収容溝にシール部材を収容して装着するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタは、下記の特許文献1に開示されている。このコネクタのコネクタハウジングは、複数の端子キャビティが形成されたハウジング本体と、ハウジング本体を包囲する形態の筒状嵌合部とからなり、筒状嵌合部とハウジング本体との間の空間に相手側コネクタのフード部を嵌入される。ハウジング本体の外周面には、リング状をなすシール部材が装着される。相手側コネクタのフード部が嵌合されると、フード部とハウジング本体との間がシール部材によってシールされる。
【0003】
【特許文献1】特開2003−36920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
相手側コネクタの挿入される空間にシール部材を装着してシールを行う上記従来のコネクタでは、上記空間の外壁を構成する筒状嵌合部に遮られて、シール部材を外方から視認できなかった。このため、上記空間内でのシール部材の装着状態を、十分に確認できなかった。
【0005】
本発明は斯かる課題に鑑みてなされたもので、上記課題を解決できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明のコネクタは、相手側コネクタを収容する収容溝を有するハウジングと、前記収容溝に挿入されて前記ハウジングのハウジング本体に装着されるシール部材と、前記ハウジングの側面に開口して、前記ハウジング本体に装着された前記シール部材を外部に露呈させる視認孔とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記視認孔が、前記ハウジングのハウジング本体を覆うフードに開口した貫通孔と、前記フード上に位置する係止部材の貫通溝とから成り、前記貫通孔と前記貫通溝とが連通していることを特徴とする。
また、本発明は、前記ハウジングが、前記収容構内で揺動自在に支持されて、揺動動作に応じて前記収容構内に前記相手側コネクタを引き込み、嵌合時には前記係止部材と係合し揺動動作が規制されるレバーを有し、前記貫通孔と前記貫通溝がハウジングの向かい合う一対の側面にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記ハウジングに前記レバーを支持する支持突起と前記係止部材が前記ハウジングの中心に対して線対称に配置されており、前記ハウジングに対し前記レバーを2つのいずれかの向きで装着できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、収容溝に収容されたシール部材が視認孔を通して外部から視認できるので、シール部材の装着状態を十分に確認できる。
更に、レバーを有するコネクタでは、レバーにより一方側の視認孔からの装着状態の確認作業が困難な場合でも、他方の視認孔から確実に装着状態を確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の最良の形態を説明する。
図1は本実施形態のコネクタ1の後方からの分解斜視図である。図2はコネクタの横断面図である。図3は
フロントホルダとレバーが取り付けられていないコネクタ1の正面図である。
【0009】
図1に示すように、コネクタ1は、前側からシール部材3とフロントホルダ4を、後側からレバー5と電線W及びゴム栓7が取り付けられた雌型の端子6を、それぞれハウジング2に装着して構成される。ハウジング2は端子収容室21aを有するハウジング本体21(図2参照)と、ハウジング本体21を取り囲んでいるフード22と、フード22の内、左右のフード部222の外面側に一体的に形成された弾性変形可能な係止部材(ロックアーム)23とを有しており、略四角ブロックを呈している。レバ−5は2つの側板51と、その側板51間を連結している操作部52とから成り、略コ字状を呈している。また、レバー5の側板51には揺動孔51aとガイド孔51bが設けられている。シール部材3はハウジング本体21の外周と同じ四角環状を呈している。
【0010】
ハウジング2の後側には、端子6が装着される端子収容室21aがハウジング本体21より連続して後方に向かって突設されている。図2及び図3に示すように、ハウジング2の前面には、相手側コネクタの嵌合フード部(不図示)が挿入される収容溝Sが、ハウジング本体21の外周に沿って略四角環状を呈して開口しており、ハウジング2の後方に向かって延びている。また、図3に示すように、上下のフード部221の後方側にはスリット8が設けられており、レバー5の側板51を収容溝Sに挿入できるようになっている。
【0011】
図1及び図3に示すように、上下のフード部221の内側には、レバー5をハウジング2に対し揺動自在に支持するための一対の支持突起221aが収容溝S側に向かって突設されている。また、支持突起221aはハウジング2の左右方向に並んで配置されている。図1に示すように、レバー5の側板51がハウジング2のスリット8より挿入されて、上下のフード部221に設けられた2つの支持突起221aが側板51の揺動孔51aとガイド孔51bにそれぞれ挿入されて、ハウジング2に揺動自在に支持される。
【0012】
図2に示すように、ハウジング本体21の外周には、シール部材3とフロントホルダ4が外嵌されて固定される(尚、図2ではフロントホルダ4が完全に挿入されていない仮係止状態となっている)。シール部材3は、収容溝S内に挿入されハウジング本体21の外周に外嵌され、シール部材3の端面がハウジング本体21に膨出して形成されている突当部21bと当接して後方への位置決めがなされる。そして、ハウジング本体21に外嵌されたシール部材3は、収容溝Sより左右のフード部222に設けられた貫通孔222aと係止部材23の貫通溝23aを介して、ハウジング2より外部に露呈される(請求項中の視認孔は、貫通孔222aと貫通溝23aを意味する)。尚、相手側コネクタの嵌合フード部が挿入溝Sに挿入されコネクタ1と相手側のコネクタが嵌合すると、嵌合フード部はレバー5の側板51とハウジング本体21に外嵌されたフロントホルダ4との間に位置することになる。そしてまた、嵌合フード部の挿入端側(ハウジング2の後方側)では、嵌合フード部とハウジング本体21との間にシール部材3が介在することになり両コネクタ間のシールが行なわれる。
【0013】
図1に示すように、係止部材23は左右のフード部222の上下方向における中央部に位置して、基端部23bからハウジング2の前方に向けて延びており、前方端には指当部23dを備えている。また、係止部材23の前後方向の中央部には係合突起23cが設けられており、両コネクタが嵌合すると、レバー5の操作部52に設けられている被係合部52aと係合してレバー5の揺動が規制される。
【0014】
図1及び図2に示すように、係止部材23の後端部では、ハウジング2の上下方向の中央部でかつ前方に向かって、基端部23bより係合突起23cまで切り欠かれた貫通溝23aが形成されている。左右のフード部222の貫通溝23aと対面する位置には貫通孔222aが形成されている。貫通溝23aと貫通孔222aとは基端部23bにおいて連通している。
【0015】
次に、シール部材3、フロントホルダ4,レバー5,及び端子6をハウジング2に装着して構成されたコネクタ1について説明する。図4は組み立てられたコネクタ1の後方からの斜視図である。図5はコネクタ1の側面図である。
【0016】
図4及び図5に示すように、ハウジング本体21に外嵌されたシール部材3は、ハウジング2を構成している左右のフード部222の貫通孔222a、及び係止部材23の貫通溝23aを通して、コネクタ1の左右方向の外面に露呈されている。このため、貫通溝23a及び貫通孔222aを通して、ハウジング2の収容溝Sにシール部材3が装着されているか否か、また、シール部材3の端面が突当部21bに当接するまで挿入されているか否かを視認することができる。
【0017】
上述したように、本実施形態によれば、相手側コネクタの嵌合フード部が挿入される収容溝S内であり、ハウジング本体21に外嵌されているシール部材3を、係止部材23の貫通溝23aとハウジング2の左右のフード部222に開口した貫通孔222aを通して外部から視認できる。このため、収容溝S内でのシール部材3の装着状態を十分に確認することができる。
【0018】
また、本実施形態によれば、ハウジング2の左右方向の中心に対し支持突起221aと係止部材23が線対称に形成されており、また、左右側面に貫通溝23aと貫通孔222aが設けられていることから、ハウジング2に対してレバー5を左右の何れの向きにも取り付けられる。したがって、レバー5の操作部52が位置する側でのシール部材3の装着状態の確認作業が困難な場合でも、反対側で容易に確認できる。
【0019】
また、係止部材23に基端部23bから前方に延びる貫通溝23aを設けることで、指当部23dを操作して係止部材23を僥めて係合突起23cとレバー5の被係合部52aとの係合を解除するために必要な力を低減させることができる。このため、レバー5の係合解除の操作を容易に行なうことができる。
【0020】
上記実施例では、収容溝Sが相手側コネクタの嵌合フードを収容する場合について説明したが、相手側コネクタと共にシール部材3を収容するものであれば、その構成は任意である。また、上記実施例では、係止部材23が貫通溝23aを、また、左右のフード部222が貫通孔222aをハウジング2の左右側面に1つずつ備える場合について説明したが、貫通溝23a及び貫通孔222aを通して収容溝S内のシール部材3を外部から視認できるのであれば、その数は任意であり、また、形状も任意である。
【0021】
上記実施形態では、シール部材3が収容溝S内でハウジング本体21の外周に突当部21bに当接する位置に装着される場合について説明した。しかしながら、収容溝S内におけるシール部材3の収容位置は、貫通溝23a及び貫通孔222aを通して外部から視認できるのであれば任意であり、また、収容溝S内に装着されるシール部材3の形状と数量も任意である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態のコネクタの後方からの分解斜視図である。
【図2】図1に示すコネクタの横断面図である。
【図3】図1に示すコネクタの正面図である。
【図4】図1に示すコネクタの後方からの斜視図である。
【図5】図1に示すコネクタの右側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 コネクタ
2 ハウジング
21 ハウジング本体
21a 端子収容室
21b 突当部
22 フード
221 上下のフード部
221a 支持突起
222 左右のフード部
222a 貫通孔
23 係止部材(ロックアーム)
23a 貫通溝
23b 基端部
23d 指当部
4 フロントホルダ
5 レバー
51 側板
51a 揺動孔
51b ガイド孔
52 操作部
52a 被係合部
6 端子
7 ゴム栓
8 スリット
W 電線
S 収容溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタを収容する収容溝を有するハウジングと、
前記収容溝に挿入されて前記ハウジングのハウジング本体に装着されるシール部材と、
前記ハウジングの側面に開口して、前記ハウジング本体に装着された前記シール部材を外部に露呈させる視認孔とを備えることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記視認孔は、
前記ハウジングのハウジング本体を覆うフードに開口した貫通孔と、
前記フード上に位置する係止部材の貫通溝とから成り、
前記貫通孔と前記貫通溝とが連通している
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記収容構内で揺動自在に支持されて、揺動動作に応じて前記収容構内に前記相手側コネクタを引き込み、嵌合時には前記係止部材と係合し揺動動作が規制されるレバーを有し、
前記貫通孔と前記貫通溝はハウジングの向かい合う一対の側面にそれぞれ配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングに前記レバーを支持する支持突起と前記係止部材が前記ハウジングの中心に対して線対称に配置されており、
前記ハウジングに対し前記レバーを2つのいずれかの向きで装着できる
ことを特徴とする請求項3記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−61911(P2010−61911A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224875(P2008−224875)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】