説明

コネクタ

【課題】流路の接続を解除した際に、接続面に液体が付着することを防止できるコネクタを提供する。
【解決手段】内側に流路21を有する雄側ケース18と、該流路21を連通状態又は非連通状態とする雄側弁機構25とを有する雄型コネクタ10と、内側に流路31を有する雌側ケース33と、該流路31を連通状態又は非連通状態とする雌側弁機構37とを有する雌型コネクタ11とを備えるコネクタにおいて、雌型コネクタ11のうち雄型コネクタ10に接続する接続面に、液体を吸収する吸収体41,42を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体が流れる複数の流路を接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の流路を接続するためのコネクタとして、弁機構を内側にそれぞれ有する雌型コネクタ及び雄型コネクタを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。各流路をコネクタによって接続する際は、雄型コネクタの接続面と、雌型コネクタの接続面とを当接させ、且つ雄型コネクタを雌型コネクタに挿入することで、雄側の弁機構及び雌側の弁機構を開状態とし、雄型コネクタに接続された一方の流路と、雌型コネクタに接続された他方の流路とを接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3686856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、雄型コネクタ及び雌型コネクタの連結を解除して、各流路を非連通状態とする際には、雌型コネクタから雄型コネクタを抜出して、雌型コネクタの接続面と雄型コネクタの接続面とを離す。このとき、雄型コネクタ及び雌型コネクタが連結されている際に各接続面の隙間に介入した液体や、各弁機構が閉状態に移行する際に押し出された液体が、接続面付近に、滴状に付着したり濡れ広がった状態となることがあった。これらの接続面は、連結解除時には、外部に露出された状態となるため、その接続面付近の液体がコネクタ以外の周囲の物体に付着したり、その液体の界面に塵埃が吸着されやすくなるといった問題があった。このため、雌型コネクタ及び雄型コネクタの連結を解除した際に、それらの接続面付近への液体の付着を抑制することが要請されていた。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、流路の接続を解除した際に、接続面に液体が付着することを防止できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、液体が流れる流路を有する雄側ケースと該雄側ケース内に備えられた雄側弁機構とを有する雄型コネクタと、液体が流れる流路を有する雌側ケースと該雌側ケース内に備えられた雌側弁機構とを有する雌型コネクタとを備え、前記雄型コネクタ及び前記雌型コネクタの連結が解除された際に前記雄側弁機構及び前記雌側弁機構を閉状態とするコネクタにおいて、前記雄型コネクタに備えられ前記雌型コネクタと接続する接続面及び前記雌型コネクタに備えられ前記雄型コネクタに接続する接続面のうち少なくとも一方に、前記液体を吸収する吸収体を備えたことを要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、雄型コネクタ及び雌型コネクタが接続する各接続面の少なくとも一方に液体を吸収する吸収体を備えたので、雄型コネクタ及び雌型コネクタの連結を解除する際に、雄型コネクタ及び雌型コネクタの隙間に浸入していた僅かな液体を吸収体によって吸収することができる。このため、連結が解除された際に、雄型コネクタ及び雌型コネクタの各接続面に液体が付着した状態となることを防止することができる。従って、各接続面が塵埃が吸着しやすい状態となることを抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタにおいて、前記雄側弁機構及び前記雌側弁機構は、前記雄型コネクタ及び前記雌型コネクタが連結される際に、対向する前記接続面と当接する弁体と、該弁体を前記流路が非連通状態となる閉位置に付勢する付勢部とをそれぞれ備え、前記吸収体は、前記各弁体の少なくとも一方に備えられることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、吸収体は、各弁体の少なくとも一方に備えられているので、雌型コネクタ及び雄型コネクタを連結した際に、吸収体は、その弁体と該弁体と対向する接続面との間に挟持された状態となる。そのため吸収体は、付勢部の付勢力により弁体と接続面との間で押圧されるので、その状態で吸収体が吸収可能な液体量は、押圧されない状態の吸収体が吸収可能な液体量よりも少なくなる。従って、雌型コネクタ及び雄型コネクタの連結を解除し、吸収体が弁体と接続面との間で押圧されない状態となった際、吸収体は液体を吸収する余地がある状態であり、接続面に浸入した液体を吸収しやすくなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のコネクタにおいて、前記雄型コネクタ及び前記雌型コネクタは、互いに連結される際に、前記雄側弁機構及び前記雌側弁機構に備えられた各弁体と当接する接続面をそれぞれ有し、前記吸収体は、前記弁体と当接する各接続面の少なくとも一方に備えられることを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、吸収体は、弁体と当接する各接続面のうち少なくとも一方に備えられているので、雌型コネクタ及び雄型コネクタを連結した際に、吸収体は、その弁体と接続面との間に挟持された状態となる。そのため吸収体は、付勢部の付勢力により弁体と接続面との間で押圧されるので、その状態で吸収体が吸収可能な液体量は、押圧されない状態の吸収体が吸収可能な液体量よりも少なくなる。従って、雌型コネクタ及び雄型コネクタの連結を解除した際には、吸収体は液体を吸収する余地がある状態であり、接続面に浸入した液体を吸収しやすくなる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、前記吸収体は、伸縮可能な材質からなることを要旨とする。
請求項4に記載の発明によれば、吸収体は伸縮可能な材質からなるため、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11を連結した際には、接続面の間で圧縮された状態となり、連結を解除した際には、圧縮状態から元の状態に戻る。そして吸収体が圧縮された状態では、圧縮されていない状態よりも、液体の吸収量が少なくなる。このため、雌型コネクタ及び雄型コネクタの連結を解除した際には、吸収体は液体を吸収する余地がある状態であり、接続面に浸入した液体を吸収することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、前記吸収体は、連結が解除された前記雄型コネクタ又は前記雌型コネクタのうち外部に露出される接続面を被うことを要旨とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、吸収体は外部に露出された接続面を覆うように備えられている。即ち、吸収体が備えられていない状態では、その面に液体が付着した場合に、その液体がコネクタの周囲に付着してしまう虞があるが、吸収体が備えられることで液体を吸収することができるので、液体の周囲への付着を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、この発明によれば、流路の接続を解除した際に、接続面に液体が付着することを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態のコネクタの断面図。
【図2】同コネクタを構成する雌型コネクタの平面図。
【図3】同コネクタの雌型コネクタ及び雄型コネクタの部分断面図。
【図4】同雌型コネクタの底面図。
【図5】(a)はコネクタの連結開始の状態を示す断面図、(b)はコネクタの連結完了の状態を示す断面図。
【図6】本発明を具体化した第2実施形態のコネクタの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明のコネクタを具体化した第1実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
【0018】
図1に示すように、コネクタは、雄型コネクタ10と雌型コネクタ11とから構成されている。雄型コネクタ10は、液体が流れる第1外部流路(図示略)に接続され、雌型コネクタ11は液体が流れる第2外部流路(図示略)に接続されている。
【0019】
雄型コネクタ10は、上記第1外部流路に接続され内側に流路16を備えた継手部15と、継手部15にシール材17を介して固定された雄側ケース18とを備えている。雄側ケース18は、略円筒状をなし、その内側に液体が流れる流路21を有している。また雄側ケース18は、両端に、継手部15の流路16に接続される開口19と、雌型コネクタ11に接続される雄側接続口20とを備えている。そして流路21は、開口19側に設けられた大径流路21aと、該大径流路21aよりも径が小さい雄側接続口20側に設けられた小径流路21bとから構成されている。また、雄側ケース18の外周面には、シール材18aが嵌合されている。
【0020】
また雄側ケース18には、雄側弁機構25が収容されている。雄側弁機構25は、雄側ケース18内を摺動可能に設けられた雄側弁体26と、雄側弁体26を雄側接続口20側に付勢するコイル状のバネ27とを備えている。雄側弁体26は、略有蓋筒状に形成され、開口を有する基端部26aと、該基端部26aよりも小径の先端部26bとを備えている。また先端部26bの外周面には、シール材26cが嵌合され、雄側ケース18と雄側弁体26との隙間を介した液体の漏出を抑制している。基端部26aは、大径流路21aを摺動可能な大きさに形成され、先端部26bは、小径流路21bに内嵌可能な大きさに形成されている。即ち、先端部26bが小径流路21bに内嵌されると、雄側接続口20が閉塞され、流路21内の液体の流れが遮断される。以下、この状態の雄側弁体26の位置を閉位置という。
【0021】
また、雄側弁体26には、貫通孔26dが形成されている。雄側弁体26が、小径流路21bから脱出し、雄側接続口20から液体が導入された場合には、該液体は、この貫通孔26dを介して、雄側ケース18の流路21に送出される。
【0022】
バネ27は、大径流路21a内に伸縮可能な状態で配設されている。バネ27は、雄側弁体26を、上記閉位置に付勢する。従って、雄側弁体26に対し外部から押圧力が加えられていない状態では、雄側弁体26は閉位置に配置される。
【0023】
雌型コネクタ11は、上記第2外部流路に接続され内側に流路30を有する継手部29と、継手部29にシール材32を介して固定された雌側ケース33を有している。雌側ケース33は、略円筒状をなし、その内側に液体が流れる流路31を有している。また、雌側ケース33は、両端に、継手部29の流路30に接続される開口34と、雄型コネクタ10側に接続される雌側接続口35とを有している。この雌側接続口35の端縁は、雄型コネクタ10を受け入れやすくするために、外側に拡開している。また、雌側ケース33は、開口34側に形成された大径部33aと、雌側接続口35側に形成された小径部33bとから構成される。これらの大径部33aと小径部33bとの間には、段差部33cが設けられている。
【0024】
また、雌側ケース33内には、押圧部36が固定されている。図2に示すように、押圧部36は、略円柱状の本体36aと、本体36aの一端に形成された固定部36bとを備えている。固定部36bは、本体36aから放射状に形成された3本の延出部を有しており、雌側ケース33と継手部29との間に固定されている。そして固定部36bに備えられた延出部の間であって、本体36aの外周には、液体が通過する流路36cが形成されている。この流路36cは、雌側ケース33に押圧部36を固定した際に、継手部29内の流路30と、雌側ケース33内の流路31とを連通するようになっている。また図1に示すように、押圧部36の先端部の外周にはシール材36dが嵌合され、押圧部36と雌側弁体38との隙間を介した液体の漏出を抑制している。
【0025】
また、図1に示すように、雌側ケース33内であって、押圧部36の外周には、雌側弁機構37が備えられている。雌側弁機構37は、雌側ケース33を摺動する雌側弁体38と、雌側弁体38を雌側接続口35に付勢するコイル状のバネ39とを備えている。
【0026】
雌側弁体38は、雌側ケース33内を摺動可能な大きさの略円筒状に形成され、内側に押圧部36の先端部を内嵌している。また、雌側弁体38の内側面には、段差状のバネ座38aが形成され、このバネ座38aにバネ39の一端が支持固定されている。さらに、雌側弁体38の一端には、鍔部38bが外側に張り出すように形成されている。この鍔部38bが、雌側ケース33の段差部33cと当接すると、雌側弁体38の移動が規制されるとともに、雌側弁体38は、雌側接続口35を閉塞する閉位置に配置される。雌側弁体38に押圧力が加えられていない状態では、雌側弁体38は、バネ39の付勢力により閉位置に付勢されている。さらに雌側弁体38の先端部の外周には、シール材38cが嵌合され、雌側ケース33と雌側弁体38との隙間を介した液体の漏出を抑制している。
【0027】
図3に示すように、この雌型コネクタ11のうち、雌側接続口35を介して外側に露出され、且つ雄型コネクタ10と接続される面である、押圧部36の先端面と雌側弁体38の端面とには、吸収体40が熱溶着又は接着剤により固定されている。この吸収体40は、押圧部36の先端面に固定された内側吸収体41と、雌側弁体38の端面に固定された外側吸収体42とから構成される。
【0028】
図4に示すように、内側吸収体41は、押圧部36の先端面の形状に沿った円形状をなし、該先端面の全域を覆う大きさに形成されている。外側吸収体42は、雌側弁体38の端面の形状に沿った円環状をなし、該端面の全域を覆う大きさに形成されている。また、これらの吸収体41,42の厚さは、ほぼ同一であって、雌側接続口35の端縁に対して若干内側となるような厚さとなっている。
【0029】
これらの吸収体41,42は、液体を吸収可能であるとともに、圧縮された際に、吸収した液体を放出可能な材質からなる。また、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11に挟持され、且つその端縁がコネクタを流れる液体に曝されても破損しないような物理的及び化学的な耐性を有することが好ましい。例えば、液体に浸蝕性が高い化合物が含まれていない場合には、不織布、ポリビニルアルコール等の樹脂からなる吸収性を有するスポンジ等が好ましい。
【0030】
次に本実施形態のコネクタの作用について説明する。
まず図1に示すように、雄型コネクタ10と雌型コネクタ11とを、それらの中心軸が一致し且つそれらの接続口20,35が対向するように配置する。そして、図5(a)に示すように、雄型コネクタ10を移動する等して、雄型コネクタ10の接続口20と、雌型コネクタ11の接続口35とを当接させる。この際、雄側ケース18の端面と外側吸収体42とを当接させるとともに、雄側弁体26の先端面と内側吸収体41とを当接させる。
【0031】
このように、雄型コネクタ10の接続口20と、雌型コネクタ11の接続口35とを当接させると、雄型コネクタ10を雌型コネクタ11に向かって押圧するか、又は雌型コネクタ11を雄型コネクタ10に向かって押圧する。こうして雌型コネクタ11に雄型コネクタ10を挿入していくと、雄側ケース18が、雌型コネクタ11のバネ39の付勢力に抗して雌側弁体38を押圧し、雌側弁体38を閉位置から雌側ケース33の開口34側へ摺動させる。同時に、雌型コネクタ11の押圧部36が、バネ27の付勢力に抗して雄側弁体26を押圧し、雄側弁体26を閉位置から開口19に向かって摺動させる。
【0032】
そして、図5(b)に示すように、押圧部36の先端が雄側ケース18に挿入され、雄側弁体26の先端部26bが、雄側ケース18の小径流路21bから脱出すると、雄型コネクタ10の接続口20と押圧部36との間に隙間が生じ、各接続口20,35が押圧部36及び雄側弁体26に閉塞されていない状態、即ち連通状態となる。このため、上記第1外部流路から継手部29の流路30を介して液体が導入された場合、その液体は、押圧部36の本体36aの外周に設けられた流路36cに導入され、押圧部36と雌側接続口35との間を通過する。さらに押圧部36と雄側接続口20の間を介して、雄側弁体26の貫通孔26dを通過し、雄側ケース18の開口19から継手部15の流路16に送出される。そして継手部15の流路16から、第2外部流路に送出される。
【0033】
このとき押圧部36と雄側弁体26との間に挟持された内側吸収体41は、雄側弁体26がバネ27の付勢力によって押圧部36に圧接されることにより、圧縮された状態となっている。このため、押圧部36と雄側弁体26との間の僅かな隙間に微量の液体が浸入しても、圧縮状態の吸収体41が液体を吸収可能な量は、吸収体41が圧縮されていない状態(以下、自然状態)で吸収することができる量よりも少なく、極めて僅かである。
【0034】
また、雄側ケース18の端面と雌側弁体38の端面との間に挟持された外側吸収体42も、バネ39の付勢力によって雌側弁体38が雄側ケース18に圧接されることにより、圧縮された状態となっている。このため雄側ケース18と雌側弁体38との間の僅かな隙間に微量の液体が浸入しても、圧縮状態の外側吸収体42が液体を吸収可能な量は、外側吸収体42が自然状態で吸収することができる量よりも少なく、極めて僅かである。
【0035】
そして、第1外部流路と第2外部流路とを非連通状態とする際には、雄型コネクタ10を雌型コネクタ11から抜出していく。このとき、雄側弁体26は、バネ27の付勢力により雄側接続口20に向かって雄側ケース18内を摺動する。また、雌側弁体38は、バネ39の付勢力により、雌側接続口35に向かって雌側ケース33内を摺動する。
【0036】
そして、雄側ケース18を雌側ケース33から完全に抜出すると、雄側弁体26が雄側接続口20を閉塞する閉位置に配置されるとともに、雌側弁体38が雌側接続口35を閉塞する閉位置に配置される。この際、各吸収体41,42は、圧縮状態から上記自然状態となることで液体の吸収可能量が増加するので、雄側接続口20及び雌側接続口35付近に存在する液体を吸収しながら、雄側弁体26及び雄側ケース18から離間する。雄側接続口20及び雌側接続口35付近に存在する液体としては、雄側弁体26と押圧部36との隙間に存在する液体、雄側ケース18と雌側弁体38との隙間に存在する液体等である。
【0037】
また、各シール材18a,26c、36d,38cで各部材間のシール性を維持していても、コネクタが設置される環境の条件や、液体の材質等の諸条件によっては、それらの部材間を介して液体が僅かに押し出されることがある。具体的には、雄側弁体26と雄側ケース18との隙間に存在し、雄側弁体26が雄側接続口20に向かって移動することにより雄側接続口20に押し出された僅かな液体や、押圧部36が雄側接続口20から引き抜かれていくことにより雄側接続口20に残留した僅かな液体等が存在する。このような液体が存在する場合にも、それらの液体を各吸収体41,42によって吸収することができる。
【0038】
このように、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11が離間する際に、各吸収体41,42により雄側接続口20付近の液体が吸い取られるので、雄型コネクタ10のうち、雄側ケース18の端面、雄側弁体26の先端面等といった外部に露出されている接続面に、滴状に液体が付着したり、液体が濡れ広がったりすることが防止される。また、雌型コネクタ11の押圧部36の先端面、雌側弁体38の端面には各吸収体41,42が直接固定されているので、雌側ケース33の端面、押圧部36の先端面、雌側弁体38の端面等といった外部に露出されている接続面にも、滴状に液体が付着したり、液体が濡れ広がったりすることがない。このため、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11の各接続面に塵埃が付着しやすくなることを抑制することができる。
【0039】
また、各吸収体41,42により吸収される液体量は微量であって、各吸収体41,42が液体を吸収しきった飽和状態となることはない。しかし、例え吸収量が多くなったとしても、雌側接続口35の端縁に対して若干内側となるように設けられているので、雌型コネクタ11が周囲の物体に接触しても、各吸収体41,42に吸収された液体がその物体に付着しない。
【0040】
(1)第1実施形態では、雌型コネクタ11が雄型コネクタ10に接続する接続面に、液体を吸収する吸収体41,42を備えた。このため、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11の連結を解除する際に、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11の隙間に浸入していた液体等といった僅かな液体をその吸収体41,42によって吸収することができる。従って、連結が解除された雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11の各接続面に液体が付着することを防止し、各接続面が塵埃が吸着しやすい状態となることを抑制することができる。
【0041】
(2)内側吸収体41を、雄側ケース18の端面(接続面)と当接する雌側弁体38の端面に備えたので、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11を連結した際に、内側吸収体41は、雌側弁体38と雄側ケースとの間に挟持された状態となる。このため、内側吸収体41は、雌側弁体38を閉位置に付勢するバネ39の付勢力により、雌側弁体38と雄側ケース18との間で圧縮されるので、その状態で内側吸収体41が吸収可能な液体量は、自然状態の内側吸収体41が吸収可能な液体量よりも少なくなる。このため、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11の連結を解除した際には、内側吸収体41は液体を吸収する余地がある状態であり、接続口20,35付近に浸入した液体を吸収しやすくなる。
【0042】
(3)外側吸収体42を、雄側弁体26の先端面と当接する押圧部36の先端面に備えたので、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11を連結した際に、外側吸収体42は、雄側弁体26と押圧部36との間に挟持された状態となる。このため、外側吸収体42は、雄側弁体26を閉位置に付勢するバネ27の付勢力により、雄側弁体26と押圧部36との間で圧縮されるので、その状態で外側吸収体42が吸収可能な液体量は、自然状態の外側吸収体42が吸収可能な液体量よりも少なくなる。このため、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11の連結を解除した際には、外側吸収体42は液体を吸収する余地がある状態であり、接続口20,35付近に浸入した液体を吸収しやすくなる。
【0043】
(4)各吸収体41,42は伸縮可能な材質からなるため、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11を連結した際には、それらの接続面の間で圧縮された状態となり、連結を解除した際には、圧縮状態から元の自然状態に戻る。そして吸収体41,42が圧縮された状態では、自然状態よりも、液体の吸収量が少なくなる。このため、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11の連結を解除した際には、吸収体41,42は液体を吸収する余地がある状態であり、接続口20,35付近に浸入した液体を吸収することができる。
【0044】
(5)吸収体41,42は、連結が解除された雄型コネクタ10又は雌型コネクタ11に、外部に露出された状態で備えられている。即ち、吸収体41,42が備えられていない状態では、その面に液体が付着した場合に、その液体が周囲に付着してしまう虞があるが、吸収体41,42が備えられることで液体を吸収することができるので、外部に露出される液体が無く、液体の周囲への付着を抑制することができる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図6にしたがって説明する。尚、第2実施形態は、第1実施形態の吸収体を変更したのみの構成であるため、同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0046】
図6に示すように、本実施形態では、雌型コネクタ11だけでなく、雄型コネクタ10にも吸収体50が固定されている。雄型コネクタ10に固定された吸収体50は、内側吸収体51及び外側吸収体52から構成される。内側吸収体51は、略円形状に形成され、雄側弁体26の先端面に固定されている。
【0047】
外側吸収体52は、略円環状に形成され、雄側ケース18の端面に固定されている。各吸収体51,52の厚さは、雌型コネクタ11に固定された各吸収体41,42の厚さと同一であり、各吸収体41,42,51,52の材質は、同一となっている。
【0048】
雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11を連結した状態では、雄型コネクタ10の内側吸収体51と雌型コネクタ11の内側吸収体41が、雄側弁体26と押圧部36との間に挟持されて圧縮される。また、雄型コネクタ10の外側吸収体52と雌型コネクタ11の外側吸収体42は、雄側ケース18と雌側弁体38との間に挟持されて圧縮される。
【0049】
雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11の連結を解除する際には、各吸収体41,42により雌側接続口35付近の液体が吸収され、各吸収体51,52により雄側接続口20付近の液体が吸収されるので、各接続口20,35付近に、滴状に液体が付着したり、液体が濡れ広がったりすることがない。このため、液体の付着によって接続口20,35に塵埃が付着しやすくなることを防止することができる。
【0050】
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(5)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(6)第2実施形態によれば、雄型コネクタ10が雌型コネクタ11に接続する接続面に、液体を吸収する吸収体51,52を備えた。このため、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11の連結を解除する際に、雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11の隙間に浸入していた液体等といった僅かな液体をその吸収体51,52によって吸収することができる。従って、連結が解除された雄型コネクタ10及び雌型コネクタ11の各接続面に液体が付着することを防止し、各接続面が塵埃が吸着しやすい状態となることを抑制することができる。
【0051】
尚、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、付勢部を、コイル状のバネ27,39に具体化したが、雄側弁体26及び雌側弁体38を閉位置に付勢可能であれば、その他の構成でもよい。
【0052】
・上記実施形態では、雌型コネクタ11から雄型コネクタ10へ向かって液体を流すようにしたが、雄型コネクタ10から雌型コネクタ11へ向かって液体を流すようにしてもよい。
【0053】
・各吸収体41,42は、その表面が、雌側接続口35の端縁よりも若干内側となるような厚さとしたが、雌側接続口35の端縁から突出しないような厚さであればよい。
・上記各実施形態では、複数の吸収体を備えたが、一つでもよい。例えば、押圧部36の先端にのみ固定するようにしてもよい。また、接続面の全域を覆うように吸収体を固定したが、一部のみ覆うように固定してもよい。例えば、雄側弁体26の先端部及び雄側ケース18の端面のいずれか一方に固定してもよいし、押圧部36の先端面及び雌側弁体38の端面のいずれか一方に固定してもよい。
【0054】
・コネクタの構成は、上記各実施形態以外の構成でもよい。例えば、雄型コネクタは、該雄型コネクタが接続される部材と一体に形成されたケース内に雄側弁機構を備え、その部材に内蔵された構成でもよい。また、雌型コネクタは、該雌型コネクタが接続される部材と一体に形成されたケース内に雌側弁機構を備え、その部材に内蔵された構成でもよい。即ち、雄型コネクタの接続面及び雌側コネクタの接続面の少なくとも一方に、液体を吸収可能な吸収体を固定した構成であればよい。
【符号の説明】
【0055】
10…雄型コネクタ、11…雌型コネクタ、16,21,30,31,36c…流路、18…雄側ケース、21…流路、25…雄側弁機構、26…雄側弁体、27…バネ、31…流路、33…雌側ケース、36…押圧部、37…雌側弁機構、38…雌側弁体、39…バネ、40〜42,50〜52…吸収体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流れる流路を有する雄側ケースと該雄側ケース内に備えられた雄側弁機構とを有する雄型コネクタと、
液体が流れる流路を有する雌側ケースと該雌側ケース内に備えられた雌側弁機構とを有する雌型コネクタとを備え、
前記雄型コネクタ及び前記雌型コネクタの連結が解除された際に前記雄側弁機構及び前記雌側弁機構を閉状態とするコネクタにおいて、
前記雄型コネクタに備えられ前記雌型コネクタと接続する接続面及び前記雌型コネクタに備えられ前記雄型コネクタに接続する接続面のうち少なくとも一方に、前記液体を吸収する吸収体を備えたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記雄側弁機構及び前記雌側弁機構は、前記雄型コネクタ及び前記雌型コネクタが連結される際に、対向する前記接続面と当接する弁体と、該弁体を前記流路が非連通状態となる閉位置に付勢する付勢部とをそれぞれ備え、
前記吸収体は、前記各弁体の少なくとも一方に備えられる請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記雄型コネクタ及び前記雌型コネクタは、互いに連結される際に、前記雄側弁機構及び前記雌側弁機構に備えられた各弁体と当接する接続面をそれぞれ有し、
前記吸収体は、前記弁体と当接する各接続面の少なくとも一方に備えられる請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記吸収体は、伸縮可能な材質からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記吸収体は、連結が解除された前記雄型コネクタ又は前記雌型コネクタのうち外部に露出される接続面を覆う請求項1〜4のいずれか1項に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−251580(P2012−251580A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123280(P2011−123280)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】