説明

コネクタ

【課題】部品点数を削減するとともに構造を単純化し、且つ、組み立てと分解とにかかる所要時間を短時間化したコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、端子金具24と当該端子金具24を固定する固定部材29,33とが収容され且つ相手方のコネクタと嵌合されるコネクタハウジング3と、前記コネクタハウジング3が収容されるケース2と、を備え、前記ケース2には、前記コネクタハウジング3の前記相手方のコネクタから離れた側の端部3a側に立設され且つ当該コネクタハウジング3の当該端部3a側に収容された前記固定部材33と当接して前記端子金具24が当該端子金具24の長手方向に移動するのを規制する当接部材41が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品点数を削減するとともに構造を単純化し、且つ、組み立てと分解とにかかる所要時間を短時間化したコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータとを併用して走行するハイブリッド自動車などには、前記電動モータの駆動源としての電源装置が搭載されている。
【0003】
電源装置は、一端に正の電極と他端に負の電極とが設けられた複数の電池から構成される電池集合体を備え、所望の電圧を得るために前記複数の電池は直列に接続されている。これら複数の電池は、正の電極と負の電極とが互いに隣り合う状態で、一方向に沿って並べられている。
【0004】
前述した電気自動車やハイブリッド自動車などには、前述した電池集合体に電気エネルギーを充電するために、車体に受電コネクタが設けられている。そして、前記受電コネクタと、充電器や家庭用電源などに接続された給電コネクタ(例えば、特許文献1参照)とが互いに嵌合され、前記電池集合体に充電される。
【0005】
特許文献1に示された給電コネクタ101は、図8に示すように、図示しないケースに収容されるコネクタハウジング103と、前記コネクタハウジング103に収容される端子金具124と、前記端子金具124を前記コネクタハウジング103内に固定し且つ当該コネクタハウジング103に収容される固定部材としてのスリーブ部材192とリアパッキン133と、前記コネクタハウジング103の後端部103aに嵌合して当該後端部103aの開口を閉止し且つ前記固定部材としてのスリーブ部材192とリアパッキン133とが前記端子金具124の長手方向に移動するのを規制するリアホルダ105と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−55809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に示された給電コネクタのコネクタハウジング103は、リアホルダ105によって、端子金具124とスリーブ部材192とリアパッキン133とを当該コネクタハウジング103内に保持しているため、前記コネクタハウジング103には前記リアホルダ105が欠かせない。このため、給電コネクタの部品点数が増加するという問題があった。
【0008】
また、複数の端子金具124のそれぞれに接続された複数本の電線をリアホルダ105の所定の箇所に挿通させた後に、当該リアホルダ105をコネクタハウジング103の後端部103aに嵌合させるため、構造が複雑化してコネクタの組み付けに手間がかかるという問題があった。
【0009】
また、リアホルダ105がコネクタハウジング103の端部103aに嵌合するため、メンテナンスや修理等でコネクタハウジング103の分解が必要な際に、リアホルダ105が容易には取り外せないため、コネクタハウジング103の分解に手間と時間とがかかるという問題があった。
【0010】
また、コネクタハウジング103は、給電コネクタのケースに不適正な組付方向で組み付けないように十分に注意を払って組み立てられるため、給電コネクタの組立作業にかかる所要時間が長時間化するという問題があった。
【0011】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、部品点数を削減するとともに構造を単純化し、且つ、組み立てと分解とにかかる所要時間を短時間化したコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、端子金具と当該端子金具を固定する固定部材とが収容され且つ相手方のコネクタと嵌合されるコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングが収容されるケースと、を備えたコネクタにおいて、前記ケースには、前記コネクタハウジングの前記相手方のコネクタから離れた側の端部側に立設され且つ当該コネクタハウジングの当該端部側に収容された前記固定部材と当接して前記端子金具が当該端子金具の長手方向に移動するのを規制する当接部材が設けられていることを特徴とするコネクタである。
【0013】
請求項2に記載された発明は、前記当接部材には、前記端子金具に接続された電線が挿通される挿通スリットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された発明によれば、コネクタは、コネクタハウジングに収容された固定部材と当接する当接部材がケースに立設されているため、リアホルダ等の部品を削減することができ、コネクタの部品点数を削減することができる。
【0015】
また、コネクタは、コネクタハウジングに収容された固定部材と当接する当接部材が、ケースに立設されているため、コネクタの構造を単純化できるとともに、当該コネクタの組み付けにかかる所要時間を短縮化できる。
【0016】
また、コネクタは、コネクタハウジングの端部がリアホルダ等で閉止されずに開放されているため、給電コネクタのケースからコネクタハウジングを取り外すだけで、当該コネクタハウジングに収容された固定部材や端子金具などを取り出したり分解したりすることができる。このため、メンテナンスや修理等を容易に行うことができ、コネクタの分解にかかる時間を短縮化できる。
【0017】
請求項2に記載された発明によれば、コネクタは、コネクタハウジングに収容された固定部材に当接する当接部材に、端子金具に接続された電線が挿通する挿通スリットが設けられているため、前記コネクタハウジングの端部から引き出された電線を前記挿通スリットに挿通させるだけで、前記コネクタハウジングの組付方向を位置決めすることができる。このため、コネクタの組立作業を容易に行うことができ、当該組立作業にかかる所要時間を短時間化することができる。
【0018】
このように、本発明のコネクタは、部品点数を削減するとともに構造を単純化し、且つ、組み立てと分解とにかかる所要時間を短時間化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコネクタの斜視図である。
【図2】図1に示すコネクタのII−II矢視断面図である。
【図3】図1に示すコネクタのケースの内部構成の要部を示す斜視図である。
【図4】図1に示すコネクタの一方のケースの斜視図である。
【図5】図4に示す一方のケースの当接部材の斜視図である。
【図6】図3に示すコネクタのコネクタハウジングの分解斜視図である。
【図7】本発明にかかるコネクタの変形例の断面図である。
【図8】従来のコネクタのコネクタハウジングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。
【0021】
本発明の一実施形態にかかるコネクタ1は、図1に示すように、相手方のコネクタに嵌合するコネクタハウジング3と、前記コネクタハウジング3を収容するケース2と、前記コネクタハウジング3の後述する端子金具24(図2に示す)に接続され且つ前記ケース2内に配された電線71と、を備えている。
【0022】
コネクタハウジング3は、図1および図2に示すように、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの絶縁性の合成樹脂からなり、円筒形状に形成されている。コネクタハウジング3は、複数本(図示例では、5本)の端子金具24と、前記複数本の端子金具24のそれぞれを一本毎に収容した複数の端子金具収容部21と、前記複数の端子金具収容部21が立設された開口部18と、前記相手方のコネクタとの位置決めをする突条部17と、前記ケース2に係合する環状突起8と、前記開口部18の内周面の周方向に延在され且つ前記相手方のコネクタと嵌合した際に当該相手方コネクタと前記コネクタハウジング3との隙間を塞ぐパッキン部材22と、を備えている。
【0023】
端子金具24は、図2および図6に示すように、銅や銅合金あるいはアルミニウムやアルミニウム合金などの導電性の金属から構成され、円筒状に形成されている。端子金具24は、前記相手方のコネクタの端子金具と電気的に接触する電気接触部25と、前記電線71が接続する電線接続部26と、水の浸入を防止するセンタパッキン31と、を備えている。
【0024】
電気接触部25は、開口部18側の一端から中央部分に亘って前記端子金具24の長手方向に沿って設けられた複数本(図示例では、4本)のスリット25aと、前記開口部18側の一端に設けられたリブ25bと、を備えている。電気接触部25は、先端に向かって僅かに縮径して形成されている。これにより、相手方のコネクタの雄型端子金具が電気接触部25内に嵌入される際には、前記雄型端子金具の先端が電気接触部25の先端部に当接して当該電気接触部25を拡開するため、前記雄型端子金具の表面を押圧する電気接触部25の押圧力が向上して確実に電気接触がなされる。また、前記雄型端子金具が電気接触部25内から引き抜かれた際には、弾性回復力によって前記電気接触部25が縮径して変形前の形状に戻る。そして、これらの嵌入と引き抜きとを繰り返しても電気接触の性能を維持できる。
【0025】
電線接続部26は、円筒状に形成されている。電線接続部26は、前記電線接続部26内に電線71の芯線71aを挿入した状態で当該電線接続部26が加締められて当該芯線71aが接続されている。電線接続部26は、圧着工具など一般的な工具によって加締められる。電線接続部26には、当該電線接続部26が挿通し且つ後述する第二収容部21bの内壁に摺接する固定部材としてのスリーブ部材29とリアパッキン33とが設けられている。
【0026】
固定部材としてのスリーブ部材29は、横断面略C字形状の筒状に形成されている。スリーブ部材29は、電線接続部26の外形と電線71の外形とに沿って形成された内周面と、前記第二収容部21bの内周面に沿って形成された外周面と、スリーブ部材29の一端から他端に亘って当該スリーブ部材29の長手方向に平行するスリット29bと、を備えている。スリット29bは、前記電線接続部26の直径および電線71の線径と略同一幅に形成されている。このため、電線71の芯線71aが加締めて接続された電線接続部26にスリーブ部材29を容易に取り付けることができる。
【0027】
固定部材としてのリアパッキン33は、円筒状に形成され、内周面が前記電線71の外形に沿って形成されるとともに、外周面が前記第二収容部21bの内周面に沿って形成されている。リアパッキン33は、一例として、シリコーンゴムやエチレンプロピレンゴムなどの電気特性に優れた合成ゴムから構成されている。リアパッキン33は、パッキン本体32と、当該パッキン本体32の外周面に設けられ且つ周面方向に延在された複数の環状突条部32aと、前記パッキン本体32の内周面と外周面との間の同心円上に設けられ且つ当該パッキン本体32と一体的に形成された芯部材35と、を備えている。環状突条部32aは、前記端子金具24の長手方向に互いに間隔を空けて設けられている。芯部材35は、一例として、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの硬質樹脂から構成されている。
【0028】
センタパッキン31は、環状に形成され、シリコーンゴムやエチレンプロピレンゴムなどの電気特性に優れた合成ゴムから構成されている。センタパッキン31は、前記端子金具24の中間部に設けられた一対のリブ28の間に嵌着されている。
【0029】
端子金具収容部21は、前記電気接触部25が収容される第一収容部21aと、前記電線接続部26が収容される第二収容部21bと、を備えている。端子金具収容部21は、前記相手方のコネクタから離れた側の端部3a側と前記開口部18とに連通して形成されている。端子金具収容部21は、前記端子金具24の外形に沿って形成されている。
【0030】
第一収容部21aは、前記端子金具24の電気接触部25の外形に沿って円筒状に形成されている。第一収容部21aの先端部には、前記相手方のコネクタの雄型端子金具が挿通する挿通孔21cが設けられている。これにより、端子金具24の電気接触部25が不用意に接触して変形したり汚れが付着したりすることから保護される。
【0031】
第二収容部21bは、図2および図3に示すように、前記端子金具24の電線接続部26に設けられたセンタパッキン31が摺接する直径の円筒形状に形成されている。第二収容部21bは、前記コネクタハウジング3の前記端部3a側に連通して形成されている。第二収容部21bの一端部と、前記端部3aの一端部とは、略同一平面上とされて形成されている。
【0032】
開口部18は、図1および図6に示すように、前記コネクタハウジング3の長手方向に対して傾斜して形成されている。開口部18には、相手方のコネクタの雄型端子金具が電気接触するように当該雄型端子金具の配置に応じて、端子金具収容部21が対向配置されている。開口部18は、前記端子金具収容部21の先端よりも僅かに突出して形成されている。
【0033】
突条部17は、前記コネクタハウジング3の開口部18の外周面から前記環状突起8に亘って設けられている。突条部17は、相手方のコネクタに設けられた凹溝内を滑動可能に形成されている。
【0034】
環状突起8は、図2に示すように、ケース7(2)の一端に設けられた環状溝部9に係合される突出量と幅とに形成されている。このため、環状突起8と前記環状溝部9とが係合して、前記コネクタハウジング3が前記ケース7に固定される。
【0035】
パッキン部材22は、一例として、機械的強度と耐摩耗性とに優れたウレタンゴムなどの合成ゴムから構成されている。パッキン部材22は、図2に示すように、前記開口部18の内周面に設けられた取付溝内に配されている。パッキン部材22は、その内周面の中央部が僅かに縮径され且つ相手方のコネクタの外周面に摺接されるように形成されている。
【0036】
ケース2は、図1に示すように、一対のケース部材6,7からなり、一方のケース部材6と他方のケース部材7とが図示しないネジ部材などの固定手段によって固定されている。ケース2は、一例として、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの電気的特性と難燃性とに優れた合成樹脂からなる。ケース2は、図1、図3および図4に示すように、相手方のコネクタとの係合が解除可能に形成されたロックレバー14と、前記ロックレバー14を軸支する軸受部46と、前記ロックレバー14を操作するための窓部11と、前記コネクタハウジング3を収容する収容室43と、前記収容室43に収容された前記コネクタハウジング3が突出されるコネクタ開口部12と、前記収容室43に収容された前記コネクタハウジング3の端部3a側に当接する当接部材41と、作業者が握るグリップ部10と、電線71が前記ケース2から導出される電線導出部61と、前記電線導出部61から導出された電線71の屈曲を防止する電線保護部62と、を備えている。
【0037】
ロックレバー14は、図3に示すように、前記ケース2のコネクタ開口部12から突出されるロック部14aと、前記ケース2の窓部11から僅かに突出されるボタン部14bと、前記ケース2に設けられた軸受部46に軸支される軸部と、前記軸部と前記ボタン部14bとの間に設けられ且つ当該ボタン部14bを前記窓部11側に向かって付勢する発条部材45と、を備え、前記ボタン部14bを作業者が手指等で押し込んだり離したりすることで、前記ロック部14aと前記ボタン部14bとが交互に上下運動するように形成されている。
【0038】
ロック部14aは、前記コネクタハウジング3の開口部18側の一端の近傍にまで延長して形成されている。ロック部14aは、図1および図4に示すように、ケース2の開口部18から延長された延長部6a,6bによって外部から保護されている。ロック部14aの先端部は、当該ロック部14aの先端から前記ボタン部14bに向かって次第に突出量が増加する鏃状に形成されている。ボタン部14bは、前記窓部11の周縁部に沿った四角形状に突出して形成されている。
【0039】
収容室43は、図4に示すように、当該収容室43に収容されるコネクタハウジング3の長手方向の一方側に開口部12が設けられているとともに、前記コネクタハウジング3の長手方向の他方側に当接部材41が設けられている。収容室43は、前記コネクタハウジング3の外形に沿って円筒状に形成されている。
【0040】
当接部材41は、図5に示すように、複数(図示例では、4つ)の当接部材41がケース部材7から立設されている。複数の当接部材41は、図3および図5に示すように、前記コネクタハウジング3の長手方向に直交する方向に互いに間隔を空けて設けられている。複数の当接部材41同士の間には、前記コネクタハウジング3の端部3aから導出された電線71が挿通する複数(図示例では、3つ)の挿通スリット42が設けられている。当接部材41は、図3に示すように、前記コネクタハウジング3を前記収容室43に収容した際に、当該コネクタハウジング3の端部3a側の固定部材としての前記リアパッキン33と当接する位置に立設されている。なお、当接部材41は、ケース部材6側から立設させても良い。
【0041】
複数の挿通スリット42は、図3および図5に示すように、前記収容室43に前記コネクタハウジング3を収容した際に、当該コネクタハウジング3の端部3a側から導出される複数本の所定の電線71のそれぞれの線径と導出位置とに応じて、所定のスリット幅で所定の位置に設けられている。
【0042】
なお、本発明でいう、複数の挿通スリット42のそれぞれが所定のスリット幅で所定の位置に設けられているとは、複数の端子金具24と当該複数の端子金具のそれぞれに接続された複数本の電線71とが組み付けられたコネクタハウジング3を、適正な組付方向で収容室43に収容した際に、前記コネクタハウジング3の端部3a側から等出された複数本の電線71のそれぞれに対応する複数の挿通スリット42のそれぞれの相対的な位置が、設計上の位置とされていることをいう。このため、コネクタハウジング3を、当該コネクタハウジング3の端部3a側から導出された複数本の電線71が当接部材41の複数の挿通スリット42のそれぞれに挿通される位置に合わせるだけで、適正な組付方向に前記コネクタハウジング3が収容室43に収容できる。
【0043】
グリップ部10には、図1に示すように、前記ケース2の外周面を膨出させて形成された複数段(図示例では、3段)の段部10aが設けられている。段部10aは、図4に示すように、厚肉に形成されている。
【0044】
電線導出部61は、図1に示すように、一対のケース部材6,7に狭持されてケース2に固定されている。電線導出部61は、一例として、ポリ塩化ビニル樹脂などの絶縁性と難燃性とに優れた合成樹脂から構成されている。
【0045】
電線保護部62は、ポリ塩化ビニル樹脂などの絶縁性と難燃性とに優れた合資樹脂からなり、前記電線導出部61と電線71とに一体的に形成されている。電線保護部62は、可撓性を有して形成されている。このため、電線71が電線保護部62の近傍で屈曲された際に、当該電線保護部62が弾性変形して前記電線71の局所的な屈曲を防止する。
【0046】
電線71は、図2に示すように、導電性の芯線71aと、絶縁性の被覆部71bとを備えている。芯線71aは、複数本の導線が撚られて形成されている。導線は、銅や銅合金などの導電性の金属からなる。被覆部71bは、前記芯線71aを被覆しており、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂からなる。このため、電線71の外表面は、前記被覆部71bの外表面となっている。なお、芯線は、一本の導線から構成されても良い。電線71は、電力供給用電線と信号用電線とを備えている。なお、電線71は、電力供給用電線と信号用電線とを絶縁体で被覆し、当該絶縁体をシースで保護したキャブタイヤケーブルとしても良い。
【0047】
信号用電線は、例えば、電気自動車やハイブリッド電気自動車などと充電スタンド等との接続状態や充電状況等の信号の通信に使用される。
【0048】
次に、前述のように構成されたコネクタ1の組立作業について説明する。
【0049】
先ずは、図6に示すように、端子金具24の電線接続部26に図示しない電線71の芯線71aを加締めて接続し、前記端子金具24の中央部の一対のリブ28同士の間にセンタパッキン31を嵌着し、前記電線接続部26の前記リブ28側にスリーブ部材29を装着し、前記電線接続部26の自由端側にリアパッキン33を押し込む。続いて、電線71とセンタパッキン31とスリーブ部材29とリアパッキン33とが設けられた端子金具24を、コネクタハウジング3の端子金具収容部21の第二収容部21b内に挿入し、当該第二収容部21bに連通する第一収容部21aに前記端子金具24の電気接触部25が配されるまで押し込む。同様にして、他の端子金具収容部21内にも端子金具24を組み付け、開口部18側にパッキン部材22を嵌め込む。
【0050】
続いて、図3に示すように、端子金具24が組み付けられたコネクタハウジング3を、ケース部材7の収容室43に収容する。このとき、コネクタハウジング3の端部3aから導出された電線71を、太径の電力用電線と細径の信号用電線とに応じてスリット幅が形成され且つそれぞれの電線71の配線位置に応じた位置に設けられたそれぞれの挿通スリット42a,42b,42cに挿通する。これにより、それぞれの電線71をそれぞれの挿通スリット42a,42b,42cに挿通したコネクタハウジング3は、適正な組付方向でケース部材7に組み付けられる。また、このとき、図2に示すように、複数の端子金具24を固定する固定部材としての複数のリアパッキン33のそれぞれに複数の当接部材41が当接し、前記端子金具24がコネクタハウジング3の端部3a側に移動するのを規制する。
【0051】
続いて、ロックレバー14と、前記ロックレバー14を付勢する発条部材45と、電線導出部61と、その他の図示しない部品を前記ケース部材7のそれぞれの所定位置に組み付け、ケース部材6によって当該ケース部材7を閉止する。続いて、図示しないネジ部材などの固定手段によって一対のケース部材6,7を固定し、コネクタ1を組み立てる。
【0052】
このようにして組み立てられたコネクタ1は、電気自動車やハイブリッド電気自動車等の車両の充電コネクタとして使用され、前記車両とコネクタ1とが互いに通信し、車両側から充電開始の信号が発信されてから通電するようになっている。なお、コネクタ1は、前述した充電コネクタに限定されるものではなく、相手方のコネクタと接続されるコネクタとして種々の用途に使用することができる。
【0053】
次に、コネクタ1を分解する分解作業について説明する。
【0054】
先ずは、コネクタ1のネジ部材等の固定手段を取り除き、ケース部材6を取り外してケース部材7を開放する。続いて、ロックレバー14、発条部材45、電線導出部61およびその他の部品を取り外す。
【0055】
続いて、コネクタハウジング3をケース部材7の収容室43から取り外す。このとき、当接部材41の各スリット42a,42b,42cがコネクタハウジング3の組付方向に対して平行に形成されているため、当該コネクタハウジング3の取り外しに伴って複数本の電線71が各スリット42a,42b,42cを挿通して引き抜かれる。
【0056】
続いて、収容室43から取り外されたコネクタハウジング3の第二収容部21bに挿入された固定部材としてのリアパッキン33を引き抜く。続いて、コネクタハウジング3の端部3aから離間し且つ端子金具24の長手方向に平行する方向に電線71を引張り、端子金具24をコネクタハウジング3から取り出す。
【0057】
このように、コネクタ1は、リアホルダ等の部材を取り外すことなく、コネクタハウジング3からリアパッキン33や端子金具24などを容易に取り出して分解することができる。
【0058】
本実施形態によれば、コネクタ1は、端子金具24と当該端子金具24を固定する固定部材33とが収容され且つ相手方のコネクタと嵌合されるコネクタハウジング3と、前記コネクタハウジング3が収容されるケース2と、を備えており、前記ケース2には、前記コネクタハウジング3の前記相手方のコネクタから離れた側の端部3a側に立設され且つ当該コネクタハウジング3の当該端部3a側に収容された前記固定部材33と当接して前記端子金具24が当該端子金具24の長手方向に移動するのを規制する当接部材41が設けられている。
【0059】
このため、コネクタ1は、コネクタハウジング3に収容された固定部材33と当接する当接部材41がケース2に立設されているため、リアホルダ等の部品を削減することができ、コネクタ1の部品点数を削減することができる。
【0060】
また、コネクタ1は、コネクタハウジング3に収容された固定部材33と当接する当接部材41が、ケース2に立設されているため、コネクタ1の構造を単純化できるとともに、当該コネクタ1の組み付けにかかる所要時間を短縮化できる。
【0061】
また、コネクタ1は、コネクタハウジング3の端部3aがリアホルダ等で閉止されずに開放されているため、ケース2からコネクタハウジング3を取り外すだけで、当該コネクタハウジング3に収容された固定部材33や端子金具24などを取り出したり分解したりすることができる。このため、メンテナンスや修理等を容易に行うことができ、コネクタ1の分解にかかる時間を短縮化できる。
【0062】
さらに、本実施形態によれば、コネクタ1は、前記当接部材41には、前記端子金具24に接続された電線71が挿通される挿通スリット42が設けられているため、前記コネクタハウジング3の端部3aから引き出された電線71を前記挿通スリット42に挿通させるだけで、前記コネクタハウジング3の組付方向を位置決めすることができる。このため、コネクタ1の組立作業を容易に行うことができ、当該組立作業にかかる所要時間を短時間化することができる。
【0063】
このように、本発明のコネクタ1は、部品点数を削減するとともに構造を単純化し、且つ、組み立てと分解とにかかる所要時間を短時間化することができる。
【0064】
次に、本発明にかかるコネクタ1の変形例について、図7を参照して説明する。なお、前述した実施形態と同一部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
本変形例におけるコネクタ1は、図7に示すように、端子金具24の電線接続部26に設けられるスリーブ部材29には、当該スリーブ部材29の長手方向の一端から当該長手方向に沿って延長された延長部29aが設けられている。延長部29aには、リアパッキン33が一体的に設けられている。延長部29aは、前記リアパッキン33の前記端子金具24の長手方向の幅と同じ長さに形成され、前記リアパッキン33と延長部29aとが当接部材41に当接している。これにより、当接部材41によって、コネクタハウジング3に収容される端子金具24などの各種部材を当該コネクタハウジング3内により一層確実に保持することができる。
【0066】
なお、前述した実施形態および変形例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 コネクタ
2 ケース
3 コネクタハウジング
3a 端部
6,7 一対のケース部材
21 端子金具収容部
21a 第一収容部
21b 第二収容部
24 端子金具
25 電気接触部
26 電線接続部
32 パッキン本体
33 リアパッキン(固定部材)
41 当接部材
42,42a,42b,42c 挿通スリット
43 収容室
71 電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具と当該端子金具を固定する固定部材とが収容され且つ相手方のコネクタと嵌合されるコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングが収容されるケースと、を備えたコネクタにおいて、
前記ケースには、前記コネクタハウジングの前記相手方のコネクタから離れた側の端部側に立設され且つ当該コネクタハウジングの当該端部側に収容された前記固定部材と当接して前記端子金具が当該端子金具の長手方向に移動するのを規制する当接部材が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記当接部材には、前記端子金具に接続された電線が挿通される挿通スリットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−252972(P2012−252972A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126966(P2011−126966)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】