説明

コネクタ

【課題】コネクタ本体に対するコネクタカバーの外れが生じるのを防止する。
【解決手段】コネクタ1は、コネクタ本体2と、コネクタカバー3とを備えている。コネクタ本体2の方向規制部23は、内円筒部と対向する面に溝部を備え、表面にはボッチ部を備えている。コネクタカバー3は、内円筒部に装着される外円筒部の外周面に保持部32を備えている。コネクタカバー3は、コネクタ本体2の内円筒部に被せられると、保持部32が方向規制部23に保持されるまで、外円筒部の周方向に回転させられる。保持部32は、突起部と被され部とで方向規制部23を挟み込んで、方向規制部23に保持される。方向規制部23のボッチ部は、被され部の穴内に収容され、外円筒部の周方向への被され部の移動を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ本体の開口部がコネクタカバーで覆われたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1,2に記載のコネクタは、コネクタ本体の開口部がコネクタカバーで覆われている。この種のコネクタでは、コネクタ本体の円筒部にコネクタカバーの円筒部が外環されて装着される場合、円筒部同士を回転させることでコネクタカバーを装着し、コネクタカバー側の一対の挟持片でコネクタ本体側の舌片を挟持して、コネクタカバーの外れを防止することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−77176号公報
【特許文献2】特開平8−273745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなカバーの取付構造では、コネクタ本体に対してコネクタカバーが回転して舌片での挟持が解かれたり、コネクタカバーをコネクタ本体から外そうとする力が働いた場合に、コネクタカバーの外れが生じる虞があった。
【0005】
本発明は斯かる課題に鑑みてなされたもので、上記課題を解決できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明のコネクタは、コネクタ本体に設けられた内円筒部にコネクタカバーに設けられた外円筒部が装着され、前記内円筒部と前記外円筒部との間にシール材が介装されるコネクタであって、前記コネクタカバーの前記外円筒部の外周面には、当該外円筒部の軸心方向に並んだ突起部及び被され部が設けられ、前記コネクタ本体には、前記コネクタ本体の前記内円筒部との間に間隙を設けて配置された、前記突起部と前記被され部とで挟持される方向規制部と、該方向規制部に形成された、前記コネクタカバーの周方向への回転を規制するボッチ部とが設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記被され部には、前記突起部と対向する位置に前記突起部よりも大きな穴が形成され、前記ボッチ部は、前記穴の側面に係止されることを特徴とする。
また、本発明は、前記方向規制部は、前記コネクタ本体の前記内円筒部の開口端側が平坦に形成されており、前記被され部は、当該円筒部の開口端側を向いた前記方向規制部の全面を覆うように前記方向規制部に被されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、方向規制部を突起部及び被され部で挟持し、被され部の移動をボッチ部で規制することで、コネクタ本体に対するコネクタカバーの保持力を向上させられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態のコネクタが備えるコネクタ本体を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態のコネクタが備えるコネクタカバーを示す図である。
【図3】コネクタ本体に対するコネクタカバーの取付方法を示す図である。
【図4】コネクタ本体に対するコネクタカバーの回転方法を示す図である。
【図5】コネクタ本体に対するコネクタカバーの取付構造を示す断面図である。
【図6】コネクタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
【0010】
本実施形態のコネクタ1は、図1に示すコネクタ本体2と、図2に示すコネクタカバー3とを備えている。
【0011】
コネクタ本体2は、図1に示すように、コネクタカバー3が装着される内円筒部21と、内円筒部21に対するコネクタカバー3の回転を規制する方向規制部23とを備えている。内円筒部21は、コネクタ本体2が備えたフランジ部26の表面から延びており、Oリング4が装着された溝22が外周面に設けられている。
【0012】
方向規制部23は、フランジ部26の外周面から側方に延びた板状体の表面に形成されている。方向規制部23は、内円筒部21と対向する面に溝部24を備え、表面にはボッチ部25を備えている。
【0013】
コネクタカバー3は、図2に示すように、コネクタ本体2の内円筒部21に装着される外円筒部31の外周面に、保持部32を備えている。保持部32は、板状の突起部33及び被され部34を外円筒部31の軸心方向に並べて備えている。
【0014】
被され部34は、突起部33よりもコネクタカバー3の天板側に位置しており、突起部33よりも長い板状を呈している。被され部34の突起部33と対向する位置には、穴35が形成されている。穴35は、突起部33よりも大きく形成されている。
【0015】
コネクタカバー3は、図3に示すように、コネクタ本体2が備える内円筒部21に被せられて装着される。コネクタカバー3は、図4(a)に示すように内円筒部21に外円筒部31が外環されて被せられると、図4(b)に示すように保持部32が方向規制部23に保持されるまで、外円筒部31の周方向に回転させられる。
【0016】
Oリング4は、図5に示すように、内円筒部21の外周面と外円筒部31の内周面との間に配置されて、内円筒部21と外円筒部31との間をシールしている。また、保持部32は、溝部24に収容された突起部33と方向規制部23の表面を覆った被され部34とで方向規制部23を挟み込んで、方向規制部23に保持される。方向規制部23のボッチ部25は、図6に示すように被され部34の穴35内に収容される。
【0017】
方向規制部23に保持された保持部32は、方向規制部23のボッチ部25に被され部34が係止されることで、外円筒部31の周方向への移動が規制され、また、突起部33と被され部34とで方向規制部23を挟み込むことで、外円筒部31の軸心方向への移動が規制される。
【0018】
本実施形態によれば、コネクタカバー3の周方向への移動をボッチ部25で規制してコネクタカバー3の回転を防止し、突起部33と被され部34とで方向規制部23を挟み込んでコネクタカバー3の軸心方向への移動を防止できる。このため、コネクタ本体2に対するコネクタカバー3の保持力を向上させられる。
【0019】
また、本実施形態によれば、内円筒部21の開口端側を向いた方向規制部23の表面が平坦に形成され、被され部34がこの平坦面の全面を覆うように方向規制部23に被されることで、方向規制部23の周縁よりも遠い位置まで被され部34の先端を延ばすことができる。コネクタ1の多極化に伴いコネクタ間口が広大化すると、コネクタカバー3を保持部と反対側からコネクタ本体2から外すような力が働いた際に突起部33が溝部24から抜け出し、コネクタカバー3が外れ易くなる。しかし、コネクタ1によれば、このような力が働いた際に、突起部33が溝部24から抜け出すのを防止するのに十分な長さの被され部34を設けられる。
【0020】
また、本実施形態によれば、被され部34の穴35から方向規制部23のボッチ部25を目視することで、コネクタカバー3がコネクタ本体2の正規位置に装着されているかを確認できる。また、被され部34と突起部33とに重なり合う部分が形成されないことから、コネクタカバー3の製造用の金型に可動部を設ける必要がなく、金型構造を簡略化できる。
【0021】
なお、上記実施形態では、コネクタ本体2の溝22にOリング4が装着されている場合について説明したが、コネクタカバー3の外円筒部31に装着されていてもよい。また、突起部33及び被され部34は、外円筒部31の外周面に直接形成されていてもよい。
【0022】
また、ボッチ部25は、コネクタカバー3に係止されてコネクタカバー3の周方向への回転を規制できればよく、突起部33等に係止されるよう構成されていてもよい。また、方向規制部23は、フランジ部26の外周面から側方に延びた板状体の表面から内円筒部21側に向けてL字状に延びた板状体から形成されていてもよい。
【0023】
また、上記実施形態では、被され部34が備える穴35の側面にボッチ部25が係止される場合について説明したが、被され部34には凹部等のボッチ部25が係止される箇所が設けられていればよい。
【0024】
また、被され部34の長さは、コネクタカバー3を保持部32と反対側からコネクタ本体2から外すような力が働いた際に、突起部33が溝部24から抜け出すのを防止できるよう、内円筒部21の間口等に応じて定めることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 コネクタ
2 コネクタ本体
21 内円筒部
22 溝
23 方向規制部
24 溝部
25 ボッチ部
26 フランジ部
3 コネクタカバー
31 外円筒部
32 保持部
33 突起部
34 被され部
35 穴
4 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ本体に設けられた内円筒部にコネクタカバーに設けられた外円筒部が装着され、前記内円筒部と前記外円筒部との間にシール材が介装されるコネクタであって、
前記コネクタカバーの前記外円筒部の外周面には、当該外円筒部の軸心方向に並んだ突起部及び被され部が設けられ、
前記コネクタ本体には、前記コネクタ本体の前記内円筒部との間に間隙を設けて配置された、前記突起部と前記被され部とで挟持される方向規制部と、該方向規制部に形成された、前記コネクタカバーの周方向への回転を規制するボッチ部とが設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記被され部には、前記突起部と対向する位置に前記突起部よりも大きな穴が形成され、
前記ボッチ部は、前記穴の側面に係止されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記方向規制部は、前記コネクタ本体の前記内円筒部の開口端側が平坦に形成されており、
前記被され部は、当該内円筒部の開口端側を向いた前記方向規制部の全面を覆うように前記方向規制部に被されることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−58347(P2013−58347A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195162(P2011−195162)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】