コネクタ
【課題】電子機器の筐体に貫通口から外部へ突出固定されるコネクタを侵食しない密閉状にでき、このコネクタに接続されたケーブルにノイズが乗らない距離にフェライトコアを筐体内に配設でき、フェライトコア及びコネクタの配設時に部品点数の増加によるコストアップや人的ミス並びに接触不良等の信頼性の低下を招かないようにする。
【解決手段】筐体5内で電気及び電子機器に一端が電気的に接続されるケーブル4の他端に接続され、筐体5の貫通口5aに挿通されて筐体5内から外部にコネクタ部20cが突出して取付けられる。本実施形態の特徴は、コネクタ部20cにおける筐体5外部への突出端部と反対側の端部に、ケーブル4に挿通されるフェライトコア7が、コネクタ部20cに対してノイズが当該ケーブル4に重畳されない距離離れて載置固定される載置部としてのL字型金具部20dを、コネクタ部20cと一体に形成した。
【解決手段】筐体5内で電気及び電子機器に一端が電気的に接続されるケーブル4の他端に接続され、筐体5の貫通口5aに挿通されて筐体5内から外部にコネクタ部20cが突出して取付けられる。本実施形態の特徴は、コネクタ部20cにおける筐体5外部への突出端部と反対側の端部に、ケーブル4に挿通されるフェライトコア7が、コネクタ部20cに対してノイズが当該ケーブル4に重畳されない距離離れて載置固定される載置部としてのL字型金具部20dを、コネクタ部20cと一体に形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェライトコアに挿通されたケーブルに接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信基地局は、PHS基地局に代表される低出力で小型の屋外設置タイプの基地局と、携帯電話基地局に代表される高出力で大型のキャビネット内に設置するタイプの基地局がある。しかしながら、大型であった携帯電話基地局も小型化の技術が進んでおり、設置性の面からも屋外設置タイプが求められつつある。屋外設置タイプの基地局は密閉構造が求められるため、外部コネクタも対応したものが求められる。
【0003】
また、通信基地局等の電子機器は、更なる増加によって電磁環境が悪化し、電子機器の誤動作が危惧されているが、電子機器内部で発生した電磁ノイズが、電源ケーブル、コネクタケーブルなどの電気接続用のケーブルを通して外部に伝導又は輻射する。このノイズの発生によるEMI(Electromagnetic Interference:電波障害)の対策として、電子機器のケーブルに環状フェライトコアを挿通してノイズを抑制することが行われている。
【0004】
このようなEMI対策を施した外部ケーブルを用いた場合、電子機器筐体の設置条件によって外部ケーブルの長さが異なるため、筐体供給側にて用意しておくことができない。このため、EMI対策部材であるフェライトコアを筐体内に設ける必要がある。
【0005】
フェライトコアを効果的に用いるには、図8に示すように、電子機器筐体5内において図示せぬ筐体貫通口に嵌合された外部ケーブル接続用のコネクタ2の間近に、フェライトコア7を配置することが求められる。コネクタ2は、密閉構造が求められる通信基地局では図示のように丸型であり、フランジ3で筐体5に固定される。コネクタ2には筐体5内のケーブル4が接続されており、ケーブル4にフェライトコア7が挿通され、また、ケーブル4の先端には電子機器接続用の先端コネクタ1が接続されている。
【0006】
また、図9に示すように、AC(交流)入力電源ケーブル4a〜4cのEMI対策によっては、複数のフェライトコア7a〜7cを必要とする場合がある。なお、AC入力電源ケーブル4a〜4cのAC−L,AC−N、FG(アース)は三又タイプのソケット1aを表す。
【0007】
この種のフェライトコアをケーブルに挿通した構成として特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−7836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した図8や図9に示すように、フェライトコア7(7a〜7c)でEMI対策を行う場合、フェライトコアのノイズ抑制を最大とするためには、図10(a)に示すように、フェライトコア7をコネクタ2の間近に配置しなければならない。このように間近に配置した場合、ソケット1aを介してAC入力電源ケーブル4に乗ったノイズN1や、ソケット1a以降にAC入力電源ケーブル4の乗ったノイズN2がフェライトコア7で抑制される。
【0010】
また、図10(b)に示すように、コネクタ2とフェライトコア7が所定距離離れると、フェライトコア7とコネクタ2間で、AC入力電源ケーブル4に除去不可能なノイズN3が乗って、コネクタ2を介して筐体5の外部へ出力されてしまう。
【0011】
しかし、図10(a)に示すように、フェライトコア7をコネクタ2の間近、つまりノイズN3が乗らない間近に固定する場合、振動によりフェライトコア7が筐体5内部の他の電子部品に接触したり、フェライトコア7の重みによりケーブル4の脱落や破損に至ったりすることが考えられるため、図示せぬ固定具を別途用意する等、フェライトコア7の固定方法を考慮しなければならない。
【0012】
例えば、図9に示したフェライトコア7a〜7cを、その考慮した方法で図11に示すように固定したとする。これは、振動によりフェライトコア7a〜7cが筺体5内部の他の電子部品に接触して破損することを防止するためクッション材k1,k2を巻きつけ、結束バンドk3,k4で固定部材k5,k6により筐体5に固定する。
【0013】
また、筺体5はダイキャスト筺体を想定しており、ダイキャスト筺体5内部にねじ穴等の取り付け加工を行う場合、底面の加工はたやすいものの内側側面の加工は困難なため、フェライトコア7a〜7cの固定位置は底面となる。しかしながら、コネクタ2は側面に配置されるため、フェライトコア7a〜7cを底面に固定した場合、図10(a)に示したような最適な配置はできず、図11に矢印Y1,Y2で示すようにコネクタ2とフェライトコア7a〜7c間が離れてしまうという問題がある。
【0014】
また、図8に示したようにフランジタイプの丸型コネクタ2を用いる場合、図12に示すように、コネクタ2を筺体5に取り付ける際の貫通口5aの直径D1の制限を受ける。この制限により、図12(a)に示すようにフェライトコア7がケーブル4に挿通されていない場合はよいが、(b)に示すようにノイズ対策用に貫通口5aの直径D1よりも大きなフェライトコア7がケーブル4に挿通されている場合、そのフェライトコア7を貫通口5aに通すことができない。この場合、貫通口5aの直径を大きくすれば、その分、フランジ3の取付け面積を取られてしまい、筐体の小型化を阻害する要因となる。
【0015】
これを解決するために、図13に示すように貫通口5aを通るサイズの1対の中継コネクタ2a,2bを用いる方法がある。これは、筐体5内のフェライトコア7が挿通されたケーブル4に一方の中継コネクタ2aを接続し、コネクタ2のケーブル4aに他方の中継コネクタ2bを接続し、この中継コネクタ2bを貫通口5aに通してもう一方の中継コネクタ2aに接続すればよい。
【0016】
しかしながら、中継コネクタ2a,2bを用いることで、必要以上にケーブル長が長くなる可能性があり、図10(a)にフェライトコア7とコネクタ2とを間近に配置することもできなくなる。また、部品点数増加によるコストアップや人的ミス並びに接触不良等の信頼性の低下が生じるという問題がある。
【0017】
更に、図14に示すように、予め環状フェライトコア7が挿通されたケーブル4の後端部に接続されている内部側のコネクタ2aを、貫通口5aから差し込んで外部へ突出させて筐体5に固定し、この固定されたコネクタ2aに外部側のコネクタ2bを差し込んで嵌合し電気的に接続する構成もある。
【0018】
この従来構成は次のような問題がある。電子機器が例えば通信基地局であって、この通信基地局が屋外で、図15に示すように内部側のコネクタ2a及び外部側のコネクタ2bを上向きに設置されているとする。この場合、コネクタ2aと筐体5の内壁との間には防水のためOリング10が介在されるので、外部側のコネクタ2bと筐体5との隙間から雨水11が入った場合、その雨水11はOリング10で止まり筐体5内部へは入らない。しかし、Oリング10から外部方向へ向かう隙間、即ち、筐体5と各コネクタ2a,2bとの隙間に雨水11が溜まるため、筐体5が腐食して結果的に内部へ雨水11が入ってしまう。このように水滴が溜まる可能性があるため、浸食の影響を受け易いという問題がある。
【0019】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、電子機器の筐体に貫通口から外部へ突出固定されるコネクタを侵食しない密閉状に固定することができる、コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記した課題を解決するために本発明は、筐体の貫通口に挿通されて筐体内から外部にコネクタ部が突出して取付けられるコネクタにおいて、ケーブルに挿通される前記筺体内のフェライトコアが載置固定される固定部を有し、前記コネクタ部は、前記固定部と一体に形成したことを特徴とする。
【0021】
本発明において、前記フェライトコアは、前記コネクタ部に対してノイズが当該ケーブルに重畳されない距離に載置されていることを特徴とする。
【0022】
本発明において、前記固定部には、前記フェライトコアを載置した後、当該フェライトコアにバンドを巻き付けて固定する際に、当該バンドを挿通する貫通口が複数形成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明において、前記固定部は、前記コネクタ部と着脱自在に分離可能なアタッチメント型となっていることを特徴とする。
【0024】
本発明において、前記筐体の貫通口に嵌合固定された円筒状のフランジの周回壁には、前記円筒状の径方向に貫通する貫通口が形成され、前記コネクタ部には、前記フランジに当該コネクタ部を所定位置まで挿入して嵌合した際に、前記貫通口と重なる位置に前記径方向に螺子穴が形成されていることを特徴とする。
【0025】
本発明において、前記コネクタ部の周回面に突起部を設け、前記フランジの周回壁にこの開口端から前記コネクタ部の挿入方向に前記突起部が移動可能なスリットを形成したことを特徴とする。
【0026】
本発明において、前記固定部は、前記コネクタ部の前記筐体側の端部を挟むように締結することによって着脱自在に分離可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電子機器の筐体に貫通口から外部へ突出固定されるコネクタを侵食しない密閉状に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係るコネクタの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るコネクタの構成を示す分解図である。
【図3】L字型金具部付きコネクタ部の構成を示す図である。
【図4】コネクタ部のL字型金具部にフェライトコアを載置固定した際の構成を示す図である。
【図5】コネクタ部のL字型金具部に2つのフェライトコアを載置固定した際の構成を示す図である。
【図6】コネクタ部から着脱自在に分離したアタッチメント型のL字型金具部及びL字型金具部の各種構成パターンを示す図である。
【図7】L字型金具部付きコネクタ部に螺子及び突起部を形成し、フランジの周回壁に貫通口及びスリットを形成した構成を示す図である。
【図8】従来のコネクタの構成を示す斜視図である。
【図9】従来のフェライトコアを3つ使用した際のコネクタの構成を示す図である。
【図10】従来のフェライトコアの正/誤の配設位置を示す図である。
【図11】従来のフェライトコアを3つ使用した際のコネクタの構成を示す図である。
【図12】従来のフェライトコアの有無の場合のコネクタの構成を示す図である。
【図13】従来の中継コネクタを用いた際のコネクタの構成を示す図である。
【図14】従来の組み合わせ型のコネクタを用いた際の構成を示す図である。
【図15】従来のコネクタと筐体との境界部分に水が溜まった様子を示す図である。
【図16】本実施形態の変形例3の筺体側コネクタの構成を示す断面図である。
【図17】図16に示す固定部のみを図示する側面図および平面図である。
【図18】筺体5への筺体側コネクタの取付を説明する斜視図である。
【図19】固定部へのフェライトコアの配置のバリエーションを説明する図である。
【図20】固定部のバリエーションを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための実施の形態(以下、単に本実施形態という)について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0030】
(本実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係るコネクタ100の構成を示す断面図、図2は、コネクタ100の分解図である。なお、これらの図1及び図2においては、分かり易くするため各部品の間隔を開けて記載しているが、実際に嵌合される部分は隙間がない密閉状態となっている。
【0031】
本実施形態に係るコネクタ100は、電気及び電子機器の筐体5の内部側から貫通口5aに挿通されて外部側へ突出し、フランジ21で筐体5に固定される筐体側コネクタ20と、筐体5の外部側に突き出てフランジ21で固定された筐体側コネクタ20に、外部側から螺子構造で結合されて電気的に接続される外部側コネクタ22とを備えて構成されている。
【0032】
筐体側コネクタ20は、電気的な接続部分である複数のピン部20eを有するコネクタ部20cと、コネクタ部20cのピン部20e突出面と反対側の端面に固定されたL字型金具によるフェライトコア取付部(L字型金具部ともいう)20dとを備えて形成されている。この筐体側コネクタ20は、本実施形態の特徴部品であり、図3(a)の側面図に示すように、コネクタ部20cのピン部20eが突き出た端面の反対側の端面にL字型金具部20dが一体に形成され、このL字型金具部20dの水平面上にフェライトコア7が載置固定されるようになっている。すなわち、フェライトコア取付部20dは、フェライトコア7が載置固定される固定部である。
【0033】
このフェライトコア7の載置位置は、当該フェライトコア7とコネクタ部20cとの間隔は、ノイズがケーブル4に重畳されない距離である。図3(b)の上面図に示すように、L字型金具部20dの水平部分には複数の貫通口20gが形成されており、この貫通口20gに、フェライトコア7に巻きつけるバンドである結束バンド24を通してフェライトコア7を固定するようになっている。
【0034】
また、筐体側コネクタ20には、筐体5内の電子部品への接続用のケーブル4が電気的に接続されており、そのケーブル4には電子機器内部で発生してケーブル4で伝送される電磁ノイズをEMIの基準値未満に抑制する環状のフェライトコア7が挿通されている。このフェライトコア7は、フェライトコア取付部20dに載置されて結束バンド24で固定されている。
【0035】
フランジ21は、円筒状を成し、外周の途中部分に周回面に沿って円環状に凸部21eが突き出ており、この凸部21eの筐体5側の周回部分が筐体5の貫通口5aに差し込まれて凸部21eが筐体5に螺子22kで固定されるようになっている。また、凸部21eと筐体5との間には防水用のOリング31が介在される。更に、筐体5から突き出たフランジ21の外周面の突出側には断面が鋸歯状の螺子溝21cが形成されている。
【0036】
また、フランジ21の筐体5から突き出た部分には、内周面に円環状に凸部21aが突き出ており、内周面にコネクタ部20cが嵌合されると、その凸部21aの開口部21bからコネクタ部20cのピン部20eが外方へ突き出るようになっている。この際、凸部21aとコネクタ部20cとの間にはOリング32が介在されるようになっている。
【0037】
外部側コネクタ22は、内周がフランジ21に嵌合されるサイズの円筒状を成し、この内周面に螺子溝21cと螺合する螺子溝22aが形成されている。また、外部側コネクタ22におけるフランジ21の挿入口と反対側に直径の小さい開口を有し、この開口に図示せぬ電源や他の電子機器に接続されるケーブル23を固定する外部ケーブル固定コネクタ部22bが挿通されるようになっている。
【0038】
外部ケーブル固定コネクタ部22bは、円筒状を成し、外周の途中部分に周回面に沿って円環状に凸部22cが突き出ており、内周側にケーブル23が挿入され、このケーブル先端が接続されるケーブル接続中継部22dが嵌合される。つまり、ケーブル23は外部ケーブル固定コネクタ部22bに挿通されて、その先端がケーブル接続中継部22dに接続されるようになっている。
【0039】
このケーブル23が取り付けられた外部ケーブル固定コネクタ部22bを外部側コネクタ22に差し込み、この外部側コネクタ22をフランジ21に嵌め込みながら互いの螺子溝21c,22aを螺合させて結合する。その螺合の際、ピン部20eがケーブル接続中継部22dに差し込まれるようになっている。また、フランジ21と外部ケーブル固定コネクタ部22bとの間にOリング33が介在されるようになっている。
【0040】
(実施形態の動作)
以下、本実施形態に係るコネクタ100の筐体5への固定及びフェライトコア7の固定動作について詳細に説明する。
【0041】
まず、図4(a)及び(b)の側面図に示すように、L字型金具部20dの水平部分の上にフェライトコア7を載置した後、結束バンド24を貫通口20gに通してフェライトコア7に巻き付け、フェライトコア7を固定する。なお、図4(b)に示す矢印Y3はケーブル4の引き出し方向である。
【0042】
次に、図4(a)に示すように、筐体5の貫通口5aにフランジ21の端部を差し込み、この際、凸部21eと筐体5との間にOリング31を介在して、螺子22kで固定する。この筐体5に固定されたフランジ21の開口に、フェライトコア7が固定されたコネクタ部20cを差し込み、この際、凸部21aとコネクタ部20cとの間にOリング32を介在して、コネクタ部20cをフランジ21に嵌合固定する。
【0043】
次に、図2に示すように、ケーブル23の先端をケーブル接続中継部22dに接続し、このケーブル接続中継部22dを外部ケーブル固定コネクタ部22bの内周側に嵌合する。このケーブル23が取り付けられた外部ケーブル固定コネクタ部22bを外部側コネクタ22に差し込み、この外部側コネクタ22をOリング33を介してフランジ21に嵌め込みながら、互いの螺子溝21c,22aを螺合させて結合する。この螺合の際、ピン部20eがケーブル接続中継部22dに差し込まれる。
【0044】
これによって、図1に示すように、筐体5にフランジ21が螺子固定され、このフランジ21に筐体5内部からコネクタ部20cが嵌合固定され、このコネクタ部20cに筐体5外部から、ケーブル接続中継部22dが嵌め込まれた外部ケーブル固定コネクタ部22bが螺合されて固定される。つまり、この構成のコネクタ100が筐体5に固定される。
【0045】
この際、筐体5の外部側において、筐体5とフランジ21との間にはOリング31が介在され、フランジ21の内周側とコネクタ部20cとの間にはOリング32が介在され、フランジ21の外部への突出部と外部ケーブル固定コネクタ部22bとの間にはOリング33が介在されて外部側コネクタ22がフランジ21に螺合固定されるので、コネクタ100と筐体5との隙間が無くなり、雨水などの水が筐体5の内部に入ることはない。
【0046】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係るコネクタ100は、筐体5内で電気及び電子機器に一端が電気的に接続されるケーブル4の他端に接続され、筐体5の貫通口5aに挿通されて筐体5内から外部にコネクタ部20cが突出して取付けられる。本実施形態の特徴は、コネクタ部20cにおける筐体5外部への突出端部と反対側の端部に、ケーブル4に挿通されるフェライトコア7が、コネクタ部20cに対してノイズが当該ケーブル4に重畳されない距離離れて載置固定される固定部としてのL字型金具部20dを、コネクタ部20cと一体に形成したことにある。
【0047】
これによって、筐体5内部において、コネクタ部20cのL字型金具部20dにフェライトコア7を載置固定すれば、必然的にフェライトコア7をコネクタ部20cに対してノイズがケーブル4に重畳されない距離離れた位置に配設することができる。
【0048】
また、コネクタ100の各部品を筐体5に組み合わせて固定する際に、筐体5の外部側にOリング31〜34を配置して密閉するので、筐体5の外部側において、コネクタ100と筐体5との隙間が無くなり、雨水などの水が筐体5の内部に入ることはない。従って、コネクタ100を侵食しない密閉状に筐体5に固定することができる。
【0049】
更に、これらのフェライトコア7を載置するL字型金具部20d及びOリング31〜34は簡単な構成並びに通常使用する部品なので、従来のような特殊な部品点数の増加によるコストアップや人的ミス並びに接触不良等の信頼性の低下を招かないようにすることができる。
【0050】
また、L字型金具部20dは、フェライトコア7を載置した後、当該フェライトコア7にバンドとしての結束バンド24を巻き付けて固定する際に、結束バンド24を挿通する貫通口20gが複数形成された構成となっている。
【0051】
この構成によれば、フェライトコア7に、結束バンド24を貫通口20gに挿通しながら巻き付けて固定することができるので、フェライトコア7をL字型金具部20dに強固に固定することができる。
【0052】
この他、図5に示すように、L字型金具部20dの水平部の上下にフェライトコア7a,7bを固定することも可能である。この場合、ケーブル4がAC入力電源ケーブルである場合に、そのEMI対策を行うことができる。
【0053】
(実施形態の変形例1)
この他、図6(a)に示すように、コネクタ部20c−1と、L字型金具部20d−1とを分離し、L字型金具部20d−1をコネクタ部20c−1に固定するアタッチメント構成としてもよい。このアタッチメント型のL字型金具部20d−1は、図6(b)及び(c)に示すように、複数の貫通口20gが形成され、この貫通口20gに結束バンド24を挿通しながらフェライトコア7に巻き付けて固定する。
【0054】
また、図6(d)及び(e)に示すように、小型のフェライトコア7dを載置固定するL字型金具部20d−2としてもよい。このL字型金具部20d−2は、上記のL字型金具部20d−1よりも小型となっている。
【0055】
また、図6(f)及び(g)に示すように、コネクタ部20c−1への取り付け方向と直角に延びる水平部を有し、この水平部の延びる方向に、2つのフェライトコア7a,7bを円環面を対向させて配置する構成のL字型金具部20d−3としてもよい。この例ではフェライトコア7a,7bを2つ配列する構造としたが、3以上配列できるようにしてもよい。
【0056】
更に、図6(h)及び(i)に示すように、コネクタ部20c−1への取り付け方向と同方向に延びる水平部を有し、この水平部の延びる方向に、2つのフェライトコア7a,7bを円環面を対向させて配置する構成のL字型金具部20d−4としてもよい。この例ではフェライトコア7a,7bを2つ配列する構造としたが、3以上配列できるようにしてもよい。
【0057】
(実施形態の変形例2)
図7に示すように、L字型金具部20dを有するコネクタ部20cの周回面に突起部20kを設け、筐体5の貫通口5aに嵌合固定されたフランジ21の周回壁に突起部20kが移動可能な直線状のスリット21kを形成する。また、コネクタ部20cの周回面には螺子穴20mが形成されており、フランジ21の周回壁にはコネクタ部20cをフランジ21の所定位置に嵌合した際にその螺子穴20mと重なる位置に貫通口が形成されており、コネクタ部20cをフランジ21に嵌め込んだ後に、その貫通口を介して螺子穴20mに螺子25を螺合してフランジ21にコネクタ部20cを固定する。なお、螺子穴20mはフランジ21へのコネクタ部20cの挿入方向と直交方向に形成されている。
【0058】
この構成によれば、突起部20kをスリット21kに挿通してフランジに嵌め込めば良いので、位置決めが容易となる。また、コネクタ部20cをフランジ21に嵌合し、この嵌合方向と直交方向に形成されたコネクタ部20cの螺子穴20mにフランジ21の貫通口を介して螺子25で固定するので、固定強度が高くなる。通常ではフランジ21内にコネクタ部20cを挿通して嵌合すると、コネクタ部20cの嵌合入り口の端部分に抜ける力が働くが、螺子22kでの螺子止めによってその力が無くなるので、強固に固定することができる。
【0059】
なお、以上の構成によれば、電子機器の筐体に貫通口から外部へ突出固定されるコネクタを侵食しない密閉状に固定することができ、このコネクタに接続されたケーブルにノイズが乗らない距離にフェライトコアを筐体内に配設することができ、これらフェライトコア及びコネクタの配設時に部品点数の増加によるコストアップや人的ミス並びに接触不良等の信頼性の低下を招かないようにすることができるコネクタを提供することができる。
【0060】
(実施形態の変形例3)
図16は、本実施形態の変形例3の筺体側コネクタ200の構成を示す断面図である。図17は、図16に示す固定部のみを図示する側面図および平面図である。図18は、筺体5への筺体側コネクタ200の取付を説明する斜視図である。なお、外部側コネクタ22については既に詳述したため、説明および図示を省略している。また上記の実施形態において既に詳述した構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
上記説明した実施形態では、図1に示すように、フェライトコア取付部20d(固定部)と一体に形成されたコネクタ部20cがフランジ21に嵌合固定されることにより筐体側コネクタ20が構成され、かかる筐体側コネクタ20は、フランジ21に設けられた凸部21eを螺子22kによってネジ止めすることにより筺体5に取り付けられていた。これに対し、図16(a)に示す筺体側コネクタ200は、図1の筐体側コネクタ20のコネクタ部20cとフランジ21とが一体とに形成されたコネクタ部210と、コネクタ部210に着脱自在に分離可能なアタッチメント型の固定部220によって構成される。
【0062】
固定部220は、図1の筐体側コネクタ20のフェライトコア取付部20dに相当し、特に本実施形態では、コネクタ部210の筐体側の端部(以下、端部210aと称する)を挟むようにそこに締結される。詳細には、図16(b)に示すように、固定部220は、筺体5の貫通口5a内において、コネクタ部210の筺体5側の端部の上側に装着される上固定部222と、かかる端部の下側に装着される下固定部224とを有する。
【0063】
図17(a)に示すように、下固定部224の下端にはそこから水平方向に立設する水平部226が一体に形成されている。図17(b)は図17(a)の上面図であり、この図に示すように、水平部226には複数の貫通口20gが形成されている。図17の固定部220においても、図1の筐体側コネクタ20と同様に、貫通口20gに結束バンド24を挿通し、かかる結束バンド24をフェライトコア7に巻き付けることにより、図16(a)に示すように固定部220にフェライトコア7を固定載置することが可能となる。
【0064】
上述した筺体側コネクタ200を筺体5に取り付ける際には、図18(a)に示すように、まずコネクタ部210の筺体5側(筐体5の貫通口5aに挿通される側)の端部210aを筺体5の外側から貫通口5aに差し込む。そして、凸部21eと筐体5との間にOリング31(図16参照)を介在させた状態で螺子22k(図16参照)によって固定する。これにより、図18(b)に示すようにコネクタ部210が筺体5に取り付けられた状態となる。
【0065】
次に、図17(a)に示す固定部220のうち、上固定部222を端部210aの上側に、下固定部224を端部210aの下側に配置して貫通口5aに差し込み、上固定部222および下固定部224によって端部210aを挟み込む。そして、上固定部222および下固定部224を螺子228で固定する。これにより、図18(c)に示すように上固定部222および下固定部224が締め付けられて端部210aに固定され、図16(a)に示すように筺体側コネクタ200が筺体5に取り付けられる。
【0066】
上記構成によっても、固定部220の水平部226に載置されたフェライトコア7はコネクタ部210の近傍に配置される。したがって、フェライトコア7によるノイズ抑制効果を最大限に得ることができる。またフェライトコア7とコネクタ部210とが近接しているため、それらが離れて配置されている場合に比して占有体積を削減することができ、コンパクトな設計が可能となる。
【0067】
特に、上記の固定部220が取り付けられるコネクタ部210は、既に説明したように図1の筐体側コネクタ20のコネクタ部20cとフランジ21とが一体とに形成された部材である。したがって、コネクタ部210には、従来用いられていた外部側の中継コネクタ2b(図14参照)等の既存の外部ケーブル接続用汎用コネクタ(いわゆる丸型コネクタ)をそのまま適用することができ、汎用性を高めることができる。また、筐体側コネクタ20のようにコネクタ部20cおよびフランジ21の両方を作成する必要がなく、コネクタ部210に対応する固定部220のみを作成すればよいため、コストの削減を図れるとともに、固定部220のバリエーションを増やす(サイズを変更する)ことにより、様々な種別の汎用コネクタ(コネクタ部210)に対応することも可能である。
【0068】
更に、本実施形態のように固定部220を上固定部222および下固定部224の2つに分割し、それらによってコネクタ部210の端部210aを挟み込んで固定する構成により、汎用コネクタの種別やコネクタメーカの違いによるコネクタ(コネクタ部210)の形状差(寸法差)を吸収することができる。
【0069】
詳細には、固定部220の内径を端部210aの径よりも大きめに設定し、クッション材(不図示)を介在させた状態で固定部220を端部210aに嵌着する。例えば、固定部220の内径を、最も径が大きい端部210aに合わせた径にしておけば、それよりも径の小さい端部210aであれば、その周囲にクッション材を介在させて嵌着することにより、上固定部222および下固定部224を締め付けた際にクッション材が押しつぶされて変形し、固定部220と端部210aとの間の間隙が埋められる。したがって、寸法差を吸収することができる。
【0070】
図19は、固定部220へのフェライトコア7の配置のバリエーションを説明する図である。図19(a)に示すように、固定部220の水平部226の上下にフェライトコア7を固定してもよい。この構成は、ケーブル4(図16参照)がAC入力電源ケーブルであった場合のEMI対策に特に好適である。また図16では、フェライトコア7を、その円環面が筐体5と対向するように載置していたが、これに限定するものではなく、図19(b)および(c)に示すように、円環面が筐体5と直交するようにフェライトコア7を載置することも可能である。これにより、ケーブル4をサイドに引き出すことができる。
【0071】
図20は、固定部220のバリエーションを説明する図である。図20(a)および(b)では、固定部220の水平部226に、筐体5への取付方向と直交する方向に延長部226aを設けている。これによれば、図6(f)および(g)と同様に、1つの固定部220において、円環面を筐体5に直交させた状態のフェライトコア7を複数配置することが可能となる。また図20(c)および(d)では、固定部220の水平部226を、筐体5への取付方向と逆方向に延長させている。これによれば、図6(h)および(i)と同様に、1つの固定部220において、円環面を筐体5に対向させた状態のフェライトコア7を複数配置することが可能となる。なお、図20では、2つのフェライトコア7を配置する場合を例示したが、これに限定するものではなく、3以上のフェライトコア7を配置する構成とすることも当然にして可能である。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の技術的範囲予測は上記実施形態に記載の範囲予測には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲予測に含まれ得ることが、特許請求の範囲予測の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0073】
4・23…ケーブル、5…筐体、5a・20g…貫通口、7…フェライトコア、20…筐体側コネクタ、20e…ピン部、20c…コネクタ部、20d…L字型金具部(フェライトコア取付部)、20g…貫通口、21…フランジ、21a・21e・22c…凸部、22k・25…螺子、21c・22a…螺子溝、22…外部側コネクタ、22a…螺子溝、22b…外部ケーブル固定コネクタ部、22d…ケーブル接続中継部、24…結束バンド、31〜34…Oリング、200…筺体側コネクタ、210…コネクタ部、210a…端部、220…固定部、222…上固定部、224…下固定部、226…水平部、226a…延長部、228…螺子
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェライトコアに挿通されたケーブルに接続されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信基地局は、PHS基地局に代表される低出力で小型の屋外設置タイプの基地局と、携帯電話基地局に代表される高出力で大型のキャビネット内に設置するタイプの基地局がある。しかしながら、大型であった携帯電話基地局も小型化の技術が進んでおり、設置性の面からも屋外設置タイプが求められつつある。屋外設置タイプの基地局は密閉構造が求められるため、外部コネクタも対応したものが求められる。
【0003】
また、通信基地局等の電子機器は、更なる増加によって電磁環境が悪化し、電子機器の誤動作が危惧されているが、電子機器内部で発生した電磁ノイズが、電源ケーブル、コネクタケーブルなどの電気接続用のケーブルを通して外部に伝導又は輻射する。このノイズの発生によるEMI(Electromagnetic Interference:電波障害)の対策として、電子機器のケーブルに環状フェライトコアを挿通してノイズを抑制することが行われている。
【0004】
このようなEMI対策を施した外部ケーブルを用いた場合、電子機器筐体の設置条件によって外部ケーブルの長さが異なるため、筐体供給側にて用意しておくことができない。このため、EMI対策部材であるフェライトコアを筐体内に設ける必要がある。
【0005】
フェライトコアを効果的に用いるには、図8に示すように、電子機器筐体5内において図示せぬ筐体貫通口に嵌合された外部ケーブル接続用のコネクタ2の間近に、フェライトコア7を配置することが求められる。コネクタ2は、密閉構造が求められる通信基地局では図示のように丸型であり、フランジ3で筐体5に固定される。コネクタ2には筐体5内のケーブル4が接続されており、ケーブル4にフェライトコア7が挿通され、また、ケーブル4の先端には電子機器接続用の先端コネクタ1が接続されている。
【0006】
また、図9に示すように、AC(交流)入力電源ケーブル4a〜4cのEMI対策によっては、複数のフェライトコア7a〜7cを必要とする場合がある。なお、AC入力電源ケーブル4a〜4cのAC−L,AC−N、FG(アース)は三又タイプのソケット1aを表す。
【0007】
この種のフェライトコアをケーブルに挿通した構成として特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−7836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した図8や図9に示すように、フェライトコア7(7a〜7c)でEMI対策を行う場合、フェライトコアのノイズ抑制を最大とするためには、図10(a)に示すように、フェライトコア7をコネクタ2の間近に配置しなければならない。このように間近に配置した場合、ソケット1aを介してAC入力電源ケーブル4に乗ったノイズN1や、ソケット1a以降にAC入力電源ケーブル4の乗ったノイズN2がフェライトコア7で抑制される。
【0010】
また、図10(b)に示すように、コネクタ2とフェライトコア7が所定距離離れると、フェライトコア7とコネクタ2間で、AC入力電源ケーブル4に除去不可能なノイズN3が乗って、コネクタ2を介して筐体5の外部へ出力されてしまう。
【0011】
しかし、図10(a)に示すように、フェライトコア7をコネクタ2の間近、つまりノイズN3が乗らない間近に固定する場合、振動によりフェライトコア7が筐体5内部の他の電子部品に接触したり、フェライトコア7の重みによりケーブル4の脱落や破損に至ったりすることが考えられるため、図示せぬ固定具を別途用意する等、フェライトコア7の固定方法を考慮しなければならない。
【0012】
例えば、図9に示したフェライトコア7a〜7cを、その考慮した方法で図11に示すように固定したとする。これは、振動によりフェライトコア7a〜7cが筺体5内部の他の電子部品に接触して破損することを防止するためクッション材k1,k2を巻きつけ、結束バンドk3,k4で固定部材k5,k6により筐体5に固定する。
【0013】
また、筺体5はダイキャスト筺体を想定しており、ダイキャスト筺体5内部にねじ穴等の取り付け加工を行う場合、底面の加工はたやすいものの内側側面の加工は困難なため、フェライトコア7a〜7cの固定位置は底面となる。しかしながら、コネクタ2は側面に配置されるため、フェライトコア7a〜7cを底面に固定した場合、図10(a)に示したような最適な配置はできず、図11に矢印Y1,Y2で示すようにコネクタ2とフェライトコア7a〜7c間が離れてしまうという問題がある。
【0014】
また、図8に示したようにフランジタイプの丸型コネクタ2を用いる場合、図12に示すように、コネクタ2を筺体5に取り付ける際の貫通口5aの直径D1の制限を受ける。この制限により、図12(a)に示すようにフェライトコア7がケーブル4に挿通されていない場合はよいが、(b)に示すようにノイズ対策用に貫通口5aの直径D1よりも大きなフェライトコア7がケーブル4に挿通されている場合、そのフェライトコア7を貫通口5aに通すことができない。この場合、貫通口5aの直径を大きくすれば、その分、フランジ3の取付け面積を取られてしまい、筐体の小型化を阻害する要因となる。
【0015】
これを解決するために、図13に示すように貫通口5aを通るサイズの1対の中継コネクタ2a,2bを用いる方法がある。これは、筐体5内のフェライトコア7が挿通されたケーブル4に一方の中継コネクタ2aを接続し、コネクタ2のケーブル4aに他方の中継コネクタ2bを接続し、この中継コネクタ2bを貫通口5aに通してもう一方の中継コネクタ2aに接続すればよい。
【0016】
しかしながら、中継コネクタ2a,2bを用いることで、必要以上にケーブル長が長くなる可能性があり、図10(a)にフェライトコア7とコネクタ2とを間近に配置することもできなくなる。また、部品点数増加によるコストアップや人的ミス並びに接触不良等の信頼性の低下が生じるという問題がある。
【0017】
更に、図14に示すように、予め環状フェライトコア7が挿通されたケーブル4の後端部に接続されている内部側のコネクタ2aを、貫通口5aから差し込んで外部へ突出させて筐体5に固定し、この固定されたコネクタ2aに外部側のコネクタ2bを差し込んで嵌合し電気的に接続する構成もある。
【0018】
この従来構成は次のような問題がある。電子機器が例えば通信基地局であって、この通信基地局が屋外で、図15に示すように内部側のコネクタ2a及び外部側のコネクタ2bを上向きに設置されているとする。この場合、コネクタ2aと筐体5の内壁との間には防水のためOリング10が介在されるので、外部側のコネクタ2bと筐体5との隙間から雨水11が入った場合、その雨水11はOリング10で止まり筐体5内部へは入らない。しかし、Oリング10から外部方向へ向かう隙間、即ち、筐体5と各コネクタ2a,2bとの隙間に雨水11が溜まるため、筐体5が腐食して結果的に内部へ雨水11が入ってしまう。このように水滴が溜まる可能性があるため、浸食の影響を受け易いという問題がある。
【0019】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、電子機器の筐体に貫通口から外部へ突出固定されるコネクタを侵食しない密閉状に固定することができる、コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記した課題を解決するために本発明は、筐体の貫通口に挿通されて筐体内から外部にコネクタ部が突出して取付けられるコネクタにおいて、ケーブルに挿通される前記筺体内のフェライトコアが載置固定される固定部を有し、前記コネクタ部は、前記固定部と一体に形成したことを特徴とする。
【0021】
本発明において、前記フェライトコアは、前記コネクタ部に対してノイズが当該ケーブルに重畳されない距離に載置されていることを特徴とする。
【0022】
本発明において、前記固定部には、前記フェライトコアを載置した後、当該フェライトコアにバンドを巻き付けて固定する際に、当該バンドを挿通する貫通口が複数形成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明において、前記固定部は、前記コネクタ部と着脱自在に分離可能なアタッチメント型となっていることを特徴とする。
【0024】
本発明において、前記筐体の貫通口に嵌合固定された円筒状のフランジの周回壁には、前記円筒状の径方向に貫通する貫通口が形成され、前記コネクタ部には、前記フランジに当該コネクタ部を所定位置まで挿入して嵌合した際に、前記貫通口と重なる位置に前記径方向に螺子穴が形成されていることを特徴とする。
【0025】
本発明において、前記コネクタ部の周回面に突起部を設け、前記フランジの周回壁にこの開口端から前記コネクタ部の挿入方向に前記突起部が移動可能なスリットを形成したことを特徴とする。
【0026】
本発明において、前記固定部は、前記コネクタ部の前記筐体側の端部を挟むように締結することによって着脱自在に分離可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電子機器の筐体に貫通口から外部へ突出固定されるコネクタを侵食しない密閉状に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係るコネクタの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るコネクタの構成を示す分解図である。
【図3】L字型金具部付きコネクタ部の構成を示す図である。
【図4】コネクタ部のL字型金具部にフェライトコアを載置固定した際の構成を示す図である。
【図5】コネクタ部のL字型金具部に2つのフェライトコアを載置固定した際の構成を示す図である。
【図6】コネクタ部から着脱自在に分離したアタッチメント型のL字型金具部及びL字型金具部の各種構成パターンを示す図である。
【図7】L字型金具部付きコネクタ部に螺子及び突起部を形成し、フランジの周回壁に貫通口及びスリットを形成した構成を示す図である。
【図8】従来のコネクタの構成を示す斜視図である。
【図9】従来のフェライトコアを3つ使用した際のコネクタの構成を示す図である。
【図10】従来のフェライトコアの正/誤の配設位置を示す図である。
【図11】従来のフェライトコアを3つ使用した際のコネクタの構成を示す図である。
【図12】従来のフェライトコアの有無の場合のコネクタの構成を示す図である。
【図13】従来の中継コネクタを用いた際のコネクタの構成を示す図である。
【図14】従来の組み合わせ型のコネクタを用いた際の構成を示す図である。
【図15】従来のコネクタと筐体との境界部分に水が溜まった様子を示す図である。
【図16】本実施形態の変形例3の筺体側コネクタの構成を示す断面図である。
【図17】図16に示す固定部のみを図示する側面図および平面図である。
【図18】筺体5への筺体側コネクタの取付を説明する斜視図である。
【図19】固定部へのフェライトコアの配置のバリエーションを説明する図である。
【図20】固定部のバリエーションを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための実施の形態(以下、単に本実施形態という)について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0030】
(本実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係るコネクタ100の構成を示す断面図、図2は、コネクタ100の分解図である。なお、これらの図1及び図2においては、分かり易くするため各部品の間隔を開けて記載しているが、実際に嵌合される部分は隙間がない密閉状態となっている。
【0031】
本実施形態に係るコネクタ100は、電気及び電子機器の筐体5の内部側から貫通口5aに挿通されて外部側へ突出し、フランジ21で筐体5に固定される筐体側コネクタ20と、筐体5の外部側に突き出てフランジ21で固定された筐体側コネクタ20に、外部側から螺子構造で結合されて電気的に接続される外部側コネクタ22とを備えて構成されている。
【0032】
筐体側コネクタ20は、電気的な接続部分である複数のピン部20eを有するコネクタ部20cと、コネクタ部20cのピン部20e突出面と反対側の端面に固定されたL字型金具によるフェライトコア取付部(L字型金具部ともいう)20dとを備えて形成されている。この筐体側コネクタ20は、本実施形態の特徴部品であり、図3(a)の側面図に示すように、コネクタ部20cのピン部20eが突き出た端面の反対側の端面にL字型金具部20dが一体に形成され、このL字型金具部20dの水平面上にフェライトコア7が載置固定されるようになっている。すなわち、フェライトコア取付部20dは、フェライトコア7が載置固定される固定部である。
【0033】
このフェライトコア7の載置位置は、当該フェライトコア7とコネクタ部20cとの間隔は、ノイズがケーブル4に重畳されない距離である。図3(b)の上面図に示すように、L字型金具部20dの水平部分には複数の貫通口20gが形成されており、この貫通口20gに、フェライトコア7に巻きつけるバンドである結束バンド24を通してフェライトコア7を固定するようになっている。
【0034】
また、筐体側コネクタ20には、筐体5内の電子部品への接続用のケーブル4が電気的に接続されており、そのケーブル4には電子機器内部で発生してケーブル4で伝送される電磁ノイズをEMIの基準値未満に抑制する環状のフェライトコア7が挿通されている。このフェライトコア7は、フェライトコア取付部20dに載置されて結束バンド24で固定されている。
【0035】
フランジ21は、円筒状を成し、外周の途中部分に周回面に沿って円環状に凸部21eが突き出ており、この凸部21eの筐体5側の周回部分が筐体5の貫通口5aに差し込まれて凸部21eが筐体5に螺子22kで固定されるようになっている。また、凸部21eと筐体5との間には防水用のOリング31が介在される。更に、筐体5から突き出たフランジ21の外周面の突出側には断面が鋸歯状の螺子溝21cが形成されている。
【0036】
また、フランジ21の筐体5から突き出た部分には、内周面に円環状に凸部21aが突き出ており、内周面にコネクタ部20cが嵌合されると、その凸部21aの開口部21bからコネクタ部20cのピン部20eが外方へ突き出るようになっている。この際、凸部21aとコネクタ部20cとの間にはOリング32が介在されるようになっている。
【0037】
外部側コネクタ22は、内周がフランジ21に嵌合されるサイズの円筒状を成し、この内周面に螺子溝21cと螺合する螺子溝22aが形成されている。また、外部側コネクタ22におけるフランジ21の挿入口と反対側に直径の小さい開口を有し、この開口に図示せぬ電源や他の電子機器に接続されるケーブル23を固定する外部ケーブル固定コネクタ部22bが挿通されるようになっている。
【0038】
外部ケーブル固定コネクタ部22bは、円筒状を成し、外周の途中部分に周回面に沿って円環状に凸部22cが突き出ており、内周側にケーブル23が挿入され、このケーブル先端が接続されるケーブル接続中継部22dが嵌合される。つまり、ケーブル23は外部ケーブル固定コネクタ部22bに挿通されて、その先端がケーブル接続中継部22dに接続されるようになっている。
【0039】
このケーブル23が取り付けられた外部ケーブル固定コネクタ部22bを外部側コネクタ22に差し込み、この外部側コネクタ22をフランジ21に嵌め込みながら互いの螺子溝21c,22aを螺合させて結合する。その螺合の際、ピン部20eがケーブル接続中継部22dに差し込まれるようになっている。また、フランジ21と外部ケーブル固定コネクタ部22bとの間にOリング33が介在されるようになっている。
【0040】
(実施形態の動作)
以下、本実施形態に係るコネクタ100の筐体5への固定及びフェライトコア7の固定動作について詳細に説明する。
【0041】
まず、図4(a)及び(b)の側面図に示すように、L字型金具部20dの水平部分の上にフェライトコア7を載置した後、結束バンド24を貫通口20gに通してフェライトコア7に巻き付け、フェライトコア7を固定する。なお、図4(b)に示す矢印Y3はケーブル4の引き出し方向である。
【0042】
次に、図4(a)に示すように、筐体5の貫通口5aにフランジ21の端部を差し込み、この際、凸部21eと筐体5との間にOリング31を介在して、螺子22kで固定する。この筐体5に固定されたフランジ21の開口に、フェライトコア7が固定されたコネクタ部20cを差し込み、この際、凸部21aとコネクタ部20cとの間にOリング32を介在して、コネクタ部20cをフランジ21に嵌合固定する。
【0043】
次に、図2に示すように、ケーブル23の先端をケーブル接続中継部22dに接続し、このケーブル接続中継部22dを外部ケーブル固定コネクタ部22bの内周側に嵌合する。このケーブル23が取り付けられた外部ケーブル固定コネクタ部22bを外部側コネクタ22に差し込み、この外部側コネクタ22をOリング33を介してフランジ21に嵌め込みながら、互いの螺子溝21c,22aを螺合させて結合する。この螺合の際、ピン部20eがケーブル接続中継部22dに差し込まれる。
【0044】
これによって、図1に示すように、筐体5にフランジ21が螺子固定され、このフランジ21に筐体5内部からコネクタ部20cが嵌合固定され、このコネクタ部20cに筐体5外部から、ケーブル接続中継部22dが嵌め込まれた外部ケーブル固定コネクタ部22bが螺合されて固定される。つまり、この構成のコネクタ100が筐体5に固定される。
【0045】
この際、筐体5の外部側において、筐体5とフランジ21との間にはOリング31が介在され、フランジ21の内周側とコネクタ部20cとの間にはOリング32が介在され、フランジ21の外部への突出部と外部ケーブル固定コネクタ部22bとの間にはOリング33が介在されて外部側コネクタ22がフランジ21に螺合固定されるので、コネクタ100と筐体5との隙間が無くなり、雨水などの水が筐体5の内部に入ることはない。
【0046】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係るコネクタ100は、筐体5内で電気及び電子機器に一端が電気的に接続されるケーブル4の他端に接続され、筐体5の貫通口5aに挿通されて筐体5内から外部にコネクタ部20cが突出して取付けられる。本実施形態の特徴は、コネクタ部20cにおける筐体5外部への突出端部と反対側の端部に、ケーブル4に挿通されるフェライトコア7が、コネクタ部20cに対してノイズが当該ケーブル4に重畳されない距離離れて載置固定される固定部としてのL字型金具部20dを、コネクタ部20cと一体に形成したことにある。
【0047】
これによって、筐体5内部において、コネクタ部20cのL字型金具部20dにフェライトコア7を載置固定すれば、必然的にフェライトコア7をコネクタ部20cに対してノイズがケーブル4に重畳されない距離離れた位置に配設することができる。
【0048】
また、コネクタ100の各部品を筐体5に組み合わせて固定する際に、筐体5の外部側にOリング31〜34を配置して密閉するので、筐体5の外部側において、コネクタ100と筐体5との隙間が無くなり、雨水などの水が筐体5の内部に入ることはない。従って、コネクタ100を侵食しない密閉状に筐体5に固定することができる。
【0049】
更に、これらのフェライトコア7を載置するL字型金具部20d及びOリング31〜34は簡単な構成並びに通常使用する部品なので、従来のような特殊な部品点数の増加によるコストアップや人的ミス並びに接触不良等の信頼性の低下を招かないようにすることができる。
【0050】
また、L字型金具部20dは、フェライトコア7を載置した後、当該フェライトコア7にバンドとしての結束バンド24を巻き付けて固定する際に、結束バンド24を挿通する貫通口20gが複数形成された構成となっている。
【0051】
この構成によれば、フェライトコア7に、結束バンド24を貫通口20gに挿通しながら巻き付けて固定することができるので、フェライトコア7をL字型金具部20dに強固に固定することができる。
【0052】
この他、図5に示すように、L字型金具部20dの水平部の上下にフェライトコア7a,7bを固定することも可能である。この場合、ケーブル4がAC入力電源ケーブルである場合に、そのEMI対策を行うことができる。
【0053】
(実施形態の変形例1)
この他、図6(a)に示すように、コネクタ部20c−1と、L字型金具部20d−1とを分離し、L字型金具部20d−1をコネクタ部20c−1に固定するアタッチメント構成としてもよい。このアタッチメント型のL字型金具部20d−1は、図6(b)及び(c)に示すように、複数の貫通口20gが形成され、この貫通口20gに結束バンド24を挿通しながらフェライトコア7に巻き付けて固定する。
【0054】
また、図6(d)及び(e)に示すように、小型のフェライトコア7dを載置固定するL字型金具部20d−2としてもよい。このL字型金具部20d−2は、上記のL字型金具部20d−1よりも小型となっている。
【0055】
また、図6(f)及び(g)に示すように、コネクタ部20c−1への取り付け方向と直角に延びる水平部を有し、この水平部の延びる方向に、2つのフェライトコア7a,7bを円環面を対向させて配置する構成のL字型金具部20d−3としてもよい。この例ではフェライトコア7a,7bを2つ配列する構造としたが、3以上配列できるようにしてもよい。
【0056】
更に、図6(h)及び(i)に示すように、コネクタ部20c−1への取り付け方向と同方向に延びる水平部を有し、この水平部の延びる方向に、2つのフェライトコア7a,7bを円環面を対向させて配置する構成のL字型金具部20d−4としてもよい。この例ではフェライトコア7a,7bを2つ配列する構造としたが、3以上配列できるようにしてもよい。
【0057】
(実施形態の変形例2)
図7に示すように、L字型金具部20dを有するコネクタ部20cの周回面に突起部20kを設け、筐体5の貫通口5aに嵌合固定されたフランジ21の周回壁に突起部20kが移動可能な直線状のスリット21kを形成する。また、コネクタ部20cの周回面には螺子穴20mが形成されており、フランジ21の周回壁にはコネクタ部20cをフランジ21の所定位置に嵌合した際にその螺子穴20mと重なる位置に貫通口が形成されており、コネクタ部20cをフランジ21に嵌め込んだ後に、その貫通口を介して螺子穴20mに螺子25を螺合してフランジ21にコネクタ部20cを固定する。なお、螺子穴20mはフランジ21へのコネクタ部20cの挿入方向と直交方向に形成されている。
【0058】
この構成によれば、突起部20kをスリット21kに挿通してフランジに嵌め込めば良いので、位置決めが容易となる。また、コネクタ部20cをフランジ21に嵌合し、この嵌合方向と直交方向に形成されたコネクタ部20cの螺子穴20mにフランジ21の貫通口を介して螺子25で固定するので、固定強度が高くなる。通常ではフランジ21内にコネクタ部20cを挿通して嵌合すると、コネクタ部20cの嵌合入り口の端部分に抜ける力が働くが、螺子22kでの螺子止めによってその力が無くなるので、強固に固定することができる。
【0059】
なお、以上の構成によれば、電子機器の筐体に貫通口から外部へ突出固定されるコネクタを侵食しない密閉状に固定することができ、このコネクタに接続されたケーブルにノイズが乗らない距離にフェライトコアを筐体内に配設することができ、これらフェライトコア及びコネクタの配設時に部品点数の増加によるコストアップや人的ミス並びに接触不良等の信頼性の低下を招かないようにすることができるコネクタを提供することができる。
【0060】
(実施形態の変形例3)
図16は、本実施形態の変形例3の筺体側コネクタ200の構成を示す断面図である。図17は、図16に示す固定部のみを図示する側面図および平面図である。図18は、筺体5への筺体側コネクタ200の取付を説明する斜視図である。なお、外部側コネクタ22については既に詳述したため、説明および図示を省略している。また上記の実施形態において既に詳述した構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
上記説明した実施形態では、図1に示すように、フェライトコア取付部20d(固定部)と一体に形成されたコネクタ部20cがフランジ21に嵌合固定されることにより筐体側コネクタ20が構成され、かかる筐体側コネクタ20は、フランジ21に設けられた凸部21eを螺子22kによってネジ止めすることにより筺体5に取り付けられていた。これに対し、図16(a)に示す筺体側コネクタ200は、図1の筐体側コネクタ20のコネクタ部20cとフランジ21とが一体とに形成されたコネクタ部210と、コネクタ部210に着脱自在に分離可能なアタッチメント型の固定部220によって構成される。
【0062】
固定部220は、図1の筐体側コネクタ20のフェライトコア取付部20dに相当し、特に本実施形態では、コネクタ部210の筐体側の端部(以下、端部210aと称する)を挟むようにそこに締結される。詳細には、図16(b)に示すように、固定部220は、筺体5の貫通口5a内において、コネクタ部210の筺体5側の端部の上側に装着される上固定部222と、かかる端部の下側に装着される下固定部224とを有する。
【0063】
図17(a)に示すように、下固定部224の下端にはそこから水平方向に立設する水平部226が一体に形成されている。図17(b)は図17(a)の上面図であり、この図に示すように、水平部226には複数の貫通口20gが形成されている。図17の固定部220においても、図1の筐体側コネクタ20と同様に、貫通口20gに結束バンド24を挿通し、かかる結束バンド24をフェライトコア7に巻き付けることにより、図16(a)に示すように固定部220にフェライトコア7を固定載置することが可能となる。
【0064】
上述した筺体側コネクタ200を筺体5に取り付ける際には、図18(a)に示すように、まずコネクタ部210の筺体5側(筐体5の貫通口5aに挿通される側)の端部210aを筺体5の外側から貫通口5aに差し込む。そして、凸部21eと筐体5との間にOリング31(図16参照)を介在させた状態で螺子22k(図16参照)によって固定する。これにより、図18(b)に示すようにコネクタ部210が筺体5に取り付けられた状態となる。
【0065】
次に、図17(a)に示す固定部220のうち、上固定部222を端部210aの上側に、下固定部224を端部210aの下側に配置して貫通口5aに差し込み、上固定部222および下固定部224によって端部210aを挟み込む。そして、上固定部222および下固定部224を螺子228で固定する。これにより、図18(c)に示すように上固定部222および下固定部224が締め付けられて端部210aに固定され、図16(a)に示すように筺体側コネクタ200が筺体5に取り付けられる。
【0066】
上記構成によっても、固定部220の水平部226に載置されたフェライトコア7はコネクタ部210の近傍に配置される。したがって、フェライトコア7によるノイズ抑制効果を最大限に得ることができる。またフェライトコア7とコネクタ部210とが近接しているため、それらが離れて配置されている場合に比して占有体積を削減することができ、コンパクトな設計が可能となる。
【0067】
特に、上記の固定部220が取り付けられるコネクタ部210は、既に説明したように図1の筐体側コネクタ20のコネクタ部20cとフランジ21とが一体とに形成された部材である。したがって、コネクタ部210には、従来用いられていた外部側の中継コネクタ2b(図14参照)等の既存の外部ケーブル接続用汎用コネクタ(いわゆる丸型コネクタ)をそのまま適用することができ、汎用性を高めることができる。また、筐体側コネクタ20のようにコネクタ部20cおよびフランジ21の両方を作成する必要がなく、コネクタ部210に対応する固定部220のみを作成すればよいため、コストの削減を図れるとともに、固定部220のバリエーションを増やす(サイズを変更する)ことにより、様々な種別の汎用コネクタ(コネクタ部210)に対応することも可能である。
【0068】
更に、本実施形態のように固定部220を上固定部222および下固定部224の2つに分割し、それらによってコネクタ部210の端部210aを挟み込んで固定する構成により、汎用コネクタの種別やコネクタメーカの違いによるコネクタ(コネクタ部210)の形状差(寸法差)を吸収することができる。
【0069】
詳細には、固定部220の内径を端部210aの径よりも大きめに設定し、クッション材(不図示)を介在させた状態で固定部220を端部210aに嵌着する。例えば、固定部220の内径を、最も径が大きい端部210aに合わせた径にしておけば、それよりも径の小さい端部210aであれば、その周囲にクッション材を介在させて嵌着することにより、上固定部222および下固定部224を締め付けた際にクッション材が押しつぶされて変形し、固定部220と端部210aとの間の間隙が埋められる。したがって、寸法差を吸収することができる。
【0070】
図19は、固定部220へのフェライトコア7の配置のバリエーションを説明する図である。図19(a)に示すように、固定部220の水平部226の上下にフェライトコア7を固定してもよい。この構成は、ケーブル4(図16参照)がAC入力電源ケーブルであった場合のEMI対策に特に好適である。また図16では、フェライトコア7を、その円環面が筐体5と対向するように載置していたが、これに限定するものではなく、図19(b)および(c)に示すように、円環面が筐体5と直交するようにフェライトコア7を載置することも可能である。これにより、ケーブル4をサイドに引き出すことができる。
【0071】
図20は、固定部220のバリエーションを説明する図である。図20(a)および(b)では、固定部220の水平部226に、筐体5への取付方向と直交する方向に延長部226aを設けている。これによれば、図6(f)および(g)と同様に、1つの固定部220において、円環面を筐体5に直交させた状態のフェライトコア7を複数配置することが可能となる。また図20(c)および(d)では、固定部220の水平部226を、筐体5への取付方向と逆方向に延長させている。これによれば、図6(h)および(i)と同様に、1つの固定部220において、円環面を筐体5に対向させた状態のフェライトコア7を複数配置することが可能となる。なお、図20では、2つのフェライトコア7を配置する場合を例示したが、これに限定するものではなく、3以上のフェライトコア7を配置する構成とすることも当然にして可能である。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の技術的範囲予測は上記実施形態に記載の範囲予測には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲予測に含まれ得ることが、特許請求の範囲予測の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0073】
4・23…ケーブル、5…筐体、5a・20g…貫通口、7…フェライトコア、20…筐体側コネクタ、20e…ピン部、20c…コネクタ部、20d…L字型金具部(フェライトコア取付部)、20g…貫通口、21…フランジ、21a・21e・22c…凸部、22k・25…螺子、21c・22a…螺子溝、22…外部側コネクタ、22a…螺子溝、22b…外部ケーブル固定コネクタ部、22d…ケーブル接続中継部、24…結束バンド、31〜34…Oリング、200…筺体側コネクタ、210…コネクタ部、210a…端部、220…固定部、222…上固定部、224…下固定部、226…水平部、226a…延長部、228…螺子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の貫通口に挿通されて筐体内から外部にコネクタ部が突出して取付けられるコネクタにおいて、
ケーブルに挿通される前記筐体内のフェライトコアが載置固定される固定部を有し、
前記コネクタ部は、前記固定部と一体に形成したことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記フェライトコアは、前記コネクタ部に対してノイズが当該ケーブルに重畳されない距離に載置されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記固定部には、前記フェライトコアを載置した後、当該フェライトコアにバンドを巻き付けて固定する際に、当該バンドを挿通する貫通口が複数形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項4】
前記固定部は、前記コネクタ部と着脱自在に分離可能なアタッチメント型となっていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項5】
前記筐体の貫通口に嵌合固定された円筒状のフランジの周回壁には、前記円筒状の径方向に貫通する貫通口が形成され、前記コネクタ部には、前記フランジに当該コネクタ部を所定位置まで挿入して嵌合した際に、前記貫通口と重なる位置に前記径方向に螺子穴が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記コネクタ部の周回面に突起部を設け、前記フランジの周回壁にこの開口端から前記コネクタ部の挿入方向に前記突起部が移動可能なスリットを形成したことを特徴とする請求項5記載のコネクタ。
【請求項7】
前記固定部は、前記コネクタ部の前記筐体側の端部を挟むように締結することによって着脱自在に分離可能であることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【請求項1】
筐体の貫通口に挿通されて筐体内から外部にコネクタ部が突出して取付けられるコネクタにおいて、
ケーブルに挿通される前記筐体内のフェライトコアが載置固定される固定部を有し、
前記コネクタ部は、前記固定部と一体に形成したことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記フェライトコアは、前記コネクタ部に対してノイズが当該ケーブルに重畳されない距離に載置されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記固定部には、前記フェライトコアを載置した後、当該フェライトコアにバンドを巻き付けて固定する際に、当該バンドを挿通する貫通口が複数形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項4】
前記固定部は、前記コネクタ部と着脱自在に分離可能なアタッチメント型となっていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項5】
前記筐体の貫通口に嵌合固定された円筒状のフランジの周回壁には、前記円筒状の径方向に貫通する貫通口が形成され、前記コネクタ部には、前記フランジに当該コネクタ部を所定位置まで挿入して嵌合した際に、前記貫通口と重なる位置に前記径方向に螺子穴が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記コネクタ部の周回面に突起部を設け、前記フランジの周回壁にこの開口端から前記コネクタ部の挿入方向に前記突起部が移動可能なスリットを形成したことを特徴とする請求項5記載のコネクタ。
【請求項7】
前記固定部は、前記コネクタ部の前記筐体側の端部を挟むように締結することによって着脱自在に分離可能であることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−69658(P2013−69658A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−33029(P2012−33029)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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