説明

コバルト系列合金無電解鍍金溶液及び無電解鍍金方法

安定性に優れて数回使用でき、沈殿物による膜質の低下が防止できるコバルト系列合金無電解鍍金溶液、これを用いた無電解鍍金方法及び前記無電解鍍金方法から製造された薄いコバルト系列合金薄膜を提供する。コバルト前駆体、タングステン前駆体、リン前駆体、還元剤、錯化合物形成剤、pH調節剤、及び安定剤とからなるコバルト系列合金無電解鍍金溶液において、還元剤はジメチルアミンボラン(dimethylamineborane、DMAB)またはホウ水素化物(borohydride)であり、安定剤はイミダゾール、チアゾール、トリアゾール、ジスルフィド、及びこれらの誘導体からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とするコバルト系列合金無電解鍍金溶液、これを用いた無電解鍍金方法及びこれから製造された薄膜を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体銅配線のためのコバルト系列合金無電解鍍金溶液及び無電解鍍金方法に関するものであって、より詳しくは安定性に優れて数回使用することができ、沈殿物による膜質の低下を防止することができるコバルト系列合金無電解鍍金溶液及びこれを用いて浸漬または噴射することを特徴とする無電解鍍金方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近半導体素子の集積度の増加と共に、発生する信号遅延を減らし、エレクトロマイグレーション(electromigration)に対する抵抗性を向上させるために既存の配線材であるアルミニウムから銅への変化が要求されている。しかし、銅を金属配線物質として使用すれば金属配線を定義する層間絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜)内に銅が拡散される問題が生じる。これを解決するために、銅配線を層間絶縁膜と直接的に接触させず、拡散防止膜(銅配線の側壁及び底部に形成)及びキャップ層(銅配線の上部に形成)を介して間接的な接触をさせる方法を一般的に使用している。
【0003】
前記銅配線のキャップ層として従来にはシリコン窒化膜が主に使用されてきた。しかし、前記シリコン窒化膜は銅との接着力が良くないのみならず、キャップ層の上部に形成される層間絶縁膜、例えばシリコン酸化膜と熱膨張係数が異なるため、機械的ストレスがキャップ層と層間絶縁膜間との界面に集中されてシリコン窒化膜からなるキャップ層が銅配線の上部から剥離される問題が生じる。また、前記キャップ層が銅配線から剥離されることによって銅配線が層間絶縁膜に拡散されることを効果的に遮断することができない。さらに、前記キャップ層として主に使用されるシリコン窒化膜の誘電率の大きな違いのため、寄生キャパシタンスのサイズが増加し、それがRC遅延によって半導体素子の動作速度を最も低下させる問題も引き起す。
【0004】
銅配線との接着力に優れ、誘電率が低いのみならず、配線物質が層間絶縁膜に拡散されることを防止することができるコバルト系列合金がキャップ層の物質として提案されている。コバルト系列合金はコバルトを主成分とし、その他にタングステン、フッ素、リンなどの金属が含まれている。また、コバルト系列合金薄膜を銅配線の上部のみに選択的に形成するための方法としては無電解鍍金が提案されている。
【0005】
無電解鍍金は外部からの電子供給なく触媒基板の表面上で還元剤の酸化によって作られた電子を用いて金属イオンを還元させて金属薄膜を形成する方法である。従って、金属薄膜を触媒基板が存在する部分のみに選択的に形成させることができる。しかし、鍍金溶液内に還元剤が含まれているため、鍍金条件に応じて鍍金溶液が不安定となり、自発的な分解反応が生じる。自発的な分解反応とは、溶液内の金属イオンが触媒基板表面でない溶液内で還元されて沈殿物を形成することをいう。このような分解反応は金属粒子の損失をもたらして溶液の寿命を短くし、溶液内から生成された沈殿物が沈殿されると金属薄膜の質を低下させるようになる。
【0006】
コバルト系列合金を無電解鍍金を通じて銅配線の上部に形成するとき、銅は触媒活性が低いため、銅表面で容易に酸化されるジメチルアミンボラン(dimethylamine borane、DMAB)を還元剤として使用し、工程温度は高くなければならない。しかし、このような場合、無電解鍍金溶液は化学的な安定性が低くなって容易に自発的な分解反応が生じるようになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記のような従来技術の問題点を解決するために、自発的な分解反応を抑制して安定性に優れて数回使用でき、沈殿物による膜質の低下を防止することのできるコバルト系列合金無電解鍍金溶液を提供することを目的とする。
【0008】
なお、本発明は前記コバルト系列合金無電解鍍金溶液を用いて浸漬または噴射することを特徴とする無電解鍍金方法及びこれから製造されることを特徴とする薄膜を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の前記目的及びその他の目的は下記で説明される発明によって全て達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した目的を達成するために、本発明はコバルト前駆体、タングステン前駆体、リン前駆体、還元剤、錯化合物形成剤、pH調節剤、及び安定剤とからなるコバルト系列合金無電解鍍金溶液において、前記還元剤はジメチルアミンボラン(dimethylamine borane、DMAB)またはホウ水素化物(borohydride)であり、前記安定剤はイミダゾール、チアゾール、トリアゾール、ジスルフィド、及びこれらの誘導体からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とするコバルト系列合金無電解鍍金溶液を提供する。
【0011】
なお、本発明は前記コバルト系列合金無電解鍍金溶液を用いて浸漬または噴射することを特徴とする無電解鍍金方法及びこれから製造されることを特徴とする薄膜を提供する。
【0012】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0013】
コバルト系列合金無電解鍍金を通じて銅配線の上部にキャップ層を形成することにおいて、既存に使用した次亜リン酸(hypophosphite)のような還元剤は銅表面で容易に酸化されないため、鍍金はなされない。従って、キャップ層を形成するために銅表面で容易に酸化されるジメチルアミンボラン(dimethylamine borane、DMAB)またはホウ水素化物(borohydride)を還元剤として使用するようになる。しかし、DMAB及びホウ水素化物を還元剤として使用する場合、高温の鍍金工程において化学的な安定性が低く、容易に自発的な分解反応が生じる。従って、本発明はコバルト系列合金無電解鍍金溶液に安定剤を添加することによって自発的な分解反応を抑制することにその特徴がある。
【0014】
本発明のコバルト系列合金無電解鍍金溶液はコバルト前駆体、タングステン前駆体、リン前駆体、還元剤、錯化合物形成剤、pH調節剤、及び安定剤とからなり、ジメチルアミンボラン(dimethylamine borane、DMAB)またはホウ水素化物(borohydride)を還元剤として使用し、イミダゾール、チアゾール、トリアゾール、ジスルフィド、及びこれらの誘導体からなる群から選ばれる1種以上の安定剤を含めてなることを特徴とする。
【0015】
前記コバルト前駆体は硫酸コバルト(cobalt sulfate)、塩化コバルト(cobalt chloride)、及び硫酸アンモニウムコバルト(cobalt ammonium sulfate)とからなる群から1種以上選ばれ、硫酸コバルト七水和物が望ましい。前記コバルト前駆体は反応速度及びこれに応じる鍍金時間を考慮して0.5乃至5.0g/Lの濃度で含まれることが望ましい。
【0016】
前記タングステン前駆体は、タングステン酸アンモニウム(ammonium tungstate)、タングステン酸ナトリウム(sodium tungstate)、及びタングステン酸アンモニウムテトラメチル(tetramethyl ammonium tungstate)とからなる群から1種以上選ばれ、タングステン酸アンモニウムが望ましい。前記タングステン前駆体はキャップ層の組成を変化させるために濃度の調節ができ、0.1乃至1.0g/Lの濃度で含まれることが望ましい。
【0017】
前記リン前駆体は次亜リン酸アンモニウム(ammonium hypophosphite)、リン酸二水素アンモニウム(ammonium dihydrogen phosphate)、及びリン酸(phosphoric acid)とからなる群から1種以上選ばれ、リン酸二水素アンモニウムが望ましい。前記リン前駆体はキャップ層の組成を変化させるために濃度の調節が可能であり、1.0乃至5.0g/Lの濃度で含まれることが望ましい。
【0018】
前記還元剤は酸化によって金属イオンの還元に必要な電子を供給してくれる物質であって、ジメチルアミンボラン(dimethylamine borane、DMAB)またはホウ水素化物(borohydride)を使用することができる。前記還元剤は反応速度及び鍍金時間と無電解鍍金溶液の安定性を考慮して0.5乃至10.0g/Lの濃度で含まれることが望ましく、さらに望ましくは3.0乃至5.0g/Lである。
【0019】
前記錯化合物形成剤は無電解鍍金溶液内において金属イオンと錯化合物をなして金属イオンを安定化させる物質であって、クエン酸(citric acid)、クエン酸アンモニウム(ammonium citrate)、クエン酸ナトリウム(sodium citrate)、クエン酸アンモニウムテトラメチル(tetramethyl ammonium citrate)、及びエチレンジアミン四酢酸(ethylene diamine tetraacetic acid、EDTA)とからなる群から1種以上選ばれ、クエン酸、無水化物(citric acid、anhydrous)が望ましい。前記錯化合物形成剤は3.0乃至15.0g/Lの濃度で含まれることが望ましい。
【0020】
前記pH調節剤は無電解鍍金溶液の水酸化度を調節して、水素イオン濃度を反応が生じるための適切な濃度で保持させる物質であって、水酸化カリウム(potassium hydroxide、KOH)、水酸化アンモニウム(ammonium hydroxide)、及び水酸化アンモニウムテトラメチル(tetramethyl ammonium hydroxide、TMAH)とからなる群から1種以上選ばれ、水酸化アンモニウムテトラメチル(TMAH)が望ましい。前記pH調節剤は10乃至40mL/Lの濃度で含まれることが望ましい。
【0021】
前記安定剤は金属イオンと錯化合物を形成して無電解鍍金溶液内における金属粒子の生成を抑制し、または無電解鍍金溶液内に存在する金属粒子の表面に吸着して金属粒子の成長を抑制して無電解鍍金溶液の安定性を向上させる役割を果たす。
【0022】
前記安定剤は無電解鍍金溶液に含まれることによって、無電解鍍金溶液が高温においても自発的な分解反応を起さず、長時間溶液の特性をそのまま保持させる効果があり、溶液を安定にしながら無電解鍍金の速度低下を最小化して短時間内にコバルト系列合金薄膜を銅薄膜の上に形成させることによって薄い薄膜を形成させることを可能にする。
【0023】
前記安定剤はイミダゾール(imidazole)、チアゾール(thiazole)、トリアゾール(triazole)、ジスルフィド(disulfide)、及びこれらの誘導体からなる群から1種以上選ばれ、鍍金速度の低下を最小化するために4,5−ジチアオクタン−1,8−ジスルホン酸(4,5−dithiaoctane−1,8−disulfonic acid、SPS)、3−(2−ベンゾチアゾールチオ)−1−プロパンスルホン酸(3−(2−benzothiazolethio)−1−propane sulfonic acid)、N,N−ジメチルジチオカルバミン酸(3−スルホプロピル)エステル(N,N−dimethyl dithiocarbamic acid(3−sulfopropyl)ester、DPS)、または3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸(3−mercapto−1−propanesulfonate、MPSA)などが望ましい。前記安定剤はコバルト系列合金無電解鍍金溶液において0.001mg/L乃至1g/Lの濃度で含まれることが望ましい。
【0024】
前記コバルト系列合金無電解鍍金溶液はpHが8乃至10であるものが望ましい。
【0025】
本発明の無電解鍍金方法は前記コバルト系列合金無電解鍍金溶液を用いて浸漬または噴射することを特徴とする。
【0026】
半導体銅配線工程において、エッチングを通じて形成されたダマシン構造に電気鍍金を通じて銅配線を形成するようになる。このように形成された銅表面は平坦化工程を通じて滑らかに加工される。しかし、加工過程において無電解鍍金が行われた銅表面が酸化されるか、または銅表面に異物質が存在している場合、無電解鍍金は満足に達成されないため、無電解鍍金の以前に正しい公知の半導体の洗浄工程を通じて銅酸化物または異物質を除去しなければならない。従って、本発明の前記無電解鍍金方法は無電解鍍金が行われる平坦化工程以後の銅基板を洗浄する前処理工程をさらに含むことができる。
【0027】
前記無電解鍍金方法はキャップ層を形成させる基板を前記無電解鍍金溶液に一定時間浸漬する方法、またはキャップ層を形成させる基板に前記無電解鍍金溶液を噴射する方法である。
【0028】
前記無電解鍍金方法は安定剤が含まれたコバルト系列合金無電解鍍金溶液を用いて無電解鍍金速度の低下をもたらす可能性があるため、溶液を安定に保ちつつ、無電解鍍金速度の低下を最小化して、短時間でコバルト系列合金薄膜を銅薄膜上に形成することが望ましい。
【0029】
前記無電解鍍金方法において、無電解鍍金を行う温度は溶液の安定性と鍍金速度に影響を及ぼすものであって、温度が増加する場合、安定性は減少するが鍍金速度は増加し、温度が減少する場合、安定性は増加するが鍍金速度は減少するようになる。
【0030】
前記無電解鍍金方法において、無電解鍍金溶液とキャップ層が形成される基板の温度は15乃至95℃であり、より速く無電界鍍金を行うための温度は70乃至90℃であることが望ましい。
【0031】
前記無電解鍍金方法は所望のコバルト系列合金薄膜の厚さによって無電解鍍金の時間を調節することができ、無電解鍍金の時間が1時間内であり、望ましくは10分以内であり、さらに望ましくは2分以内である。
【0032】
前記無電解鍍金方法は形成されるコバルト系列合金薄膜の厚さを調節することができ、前記コバルト系列合金薄膜の厚さは100nm以下であるものが望ましく、さらに望ましくは10nm以下のものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の内容がわかるように望ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示しているだけのものであって、本発明の権利範囲が下記実施例によって限られるものではない。
【実施例1】
【0034】
<コバルト系列合金無電解鍍金溶液の製造>
硫酸コバルト七水和物0.01M、クエン酸0.04M、タングステン酸アンモニウム0.5g/L、DMAB0.06M、リン酸二水素アンモニウム0.03Mを添加し、TMAHを用いてpHを9に合わせた。前記溶液の安定性を向上させるための安定剤としてSPSを0.01g/L添加してコバルト系列合金無電解鍍金溶液を製造した。
【0035】
前記製造された無電解鍍金溶液を95℃の水を通じて加熱した結果は、30分後に溶液の温度が90℃に至り、その状態で12時間が過ぎても溶液は安定に保持された。
【0036】
<コバルト系列合金無電解鍍金薄膜の製造>
コバルト系列合金無電解鍍金を行うための基板で平坦化工程を経た銅配線基板を用意した。用意された基板を1:200アンモニア溶液に30秒間浸漬して、表面に形成された銅酸化物を除去し、蒸留水で表面を濯いで表面に存在する残留物を除去した。
【0037】
前記製造されて温度が90℃に保持されているコバルト系列合金無電解鍍金溶液に前記処理された基板を1分間浸漬してコバルト系列合金無電解鍍金を施した。
【0038】
前記製造された無電解鍍金薄膜のTEM写真を図1に示した。図1の(a)は無電解鍍金を通じて形成されたコバルト系列合金薄膜を示し、(b)は銅薄膜を示す。図1を通じて、安定したコバルト系列合金無電解鍍金溶液を用いて膜質に優れ、厚さが40nmである無電解鍍金薄膜が製造されたことが確認された。
【実施例2】
【0039】
<コバルト系列合金無電解鍍金溶液の製造>
前記実施例1から安定剤として3−(2−ベンゾチアゾールチオ)−1−プロパンスルホン酸を0.01g/L添加したことを除いては前記実施例1と同一に行った。
【0040】
前記製造された無電解鍍金溶液を84℃の水を通じて加熱した結果は、30分後に溶液の温度が80℃に至り、その状態で12時間が過ぎても溶液は安定に保持された。
【0041】
<コバルト系列合金無電解鍍金薄膜の製造>
前記実施例2から製造されて温度が80℃に保持されているコバルト系列合金無電解鍍金溶液を使用したことを除いては前記実施例1と同一の方法で実施された。
【0042】
前記製造された無電解鍍金薄膜のTEM写真を図2に示した。図2の(a)は無電解鍍金を通じて形成されたコバルト系列合金薄膜を示し、(b)は銅薄膜、(c)は拡散防止膜であり、(d)はシリコンウエハ基板を示す。図2を通じて、安定したコバルト系列合金無電解鍍金溶液を用いて膜質に優れ、厚さが37nmである無電解鍍金薄膜が製造されたことが確認された。
[比較例1]
【0043】
<コバルト系列合金無電解鍍金溶液の製造>
前記実施例1から安定剤を添加しないことを除いては前記実施例1と同一に行った。
【0044】
前記製造された無電解鍍金溶液を95℃の水を通じて加熱した結果、加熱を始めてから20分過ぎると、溶液内で気泡が発生しながら自発的な分解反応が観測され、反応を通じてできた灰色の沈殿物が底に沈んだ。
【0045】
<コバルト系列合金無電解鍍金薄膜の製造>
前記比較例1から製造されて温度が90℃に保持されているコバルト系列合金無電解鍍金溶液を使用したことを除いては前記実施例1と同一の方法で実施された。
【0046】
前記製造方法を行った結果、自発的な分解反応で灰色の沈殿物が反応容器の下部に沈殿し、薄膜は形成されなかった。
[比較例2]
【0047】
<コバルト系列合金無電解鍍金溶液の製造>
前記実施例1から安定剤を添加しないことを除いては前記実施例1と同一に行った。
【0048】
前記製造された無電解鍍金溶液を84℃の水を通じて加熱した結果、加熱を始めてから20分過ぎると、溶液内で気泡が発生しながら自発的な分解反応が観測され、反応を通じてできた灰色の沈殿物が底に沈んだ。
【0049】
<コバルト系列合金無電解鍍金薄膜の製造>
【0050】
前記比較例2から製造されて温度が80℃に保持されているコバルト系列合金無電解鍍金溶液を使用したことを除いては前記実施例1と同一の方法で実施された。
【0051】
前記製造方法を行った結果、自発的な分解反応で灰色の沈殿物が反応容器の下部に沈殿され、薄膜は形成されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
上述されたように、本発明によると、安定性に優れて長期間数回使用でき、沈殿物による膜質の低下を防止することができるコバルト系列合金無電解鍍金溶液を提供することができる。加えて、これを用いた無電解鍍金方法、及び前記無電解鍍金方法から製造した薄いコバルト系列合金薄膜を提供することができる効果がある。
【0053】
前記から本発明の記載された具体例を中心に詳細に説明したが、本発明の範囲及び技術的思想の範囲内で当業者にとって多様な変形及び修正が可能であることは明らかであり、このような変形及び修正が、添付された本発明の特許請求範囲に属することも当然である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例1のSPSが含まれたコバルト系列合金無電解鍍金溶液を用いて形成させたコバルト系列合金薄膜のTEM写真である。
【図2】本発明の実施例2の3−(2−ベンゾチアゾールチオ)−1−プロパンスルホン酸が含まれたコバルト系列合金無電解鍍金溶液を用いて形成させたコバルト系列合金薄膜のTEM写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コバルト前駆体、タングステン前駆体、リン前駆体、還元剤、錯化合物形成剤、pH調節剤、及び安定剤とからなるコバルト系列合金無電解鍍金溶液において、
前記還元剤はジメチルアミンボラン(dimethylamine borane、DMAB)またはホウ水素化物(borohydride)であり、前記安定剤はイミダゾール、チアゾール、トリアゾール、ジスルフィド、及びこれらの誘導体からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とするコバルト系列合金無電解鍍金溶液。
【請求項2】
前記コバルト前駆体は硫酸コバルト(cobalt sulfate)、塩化コバルト(cobalt chloride)、及び硫酸アンモニウムコバルト(cobalt ammonium sulfate)とからなる群から1種以上選ばれることを特徴とする請求項1に記載のコバルト系列合金無電解鍍金溶液。
【請求項3】
前記タングステン前駆体はタングステン酸アンモニウム(ammonium tungstate)、タングステン酸ナトリウム(sodium tungstate)、及びタングステン酸アンモニウムテトラメチル(tetramethyl ammonium tungstate)とからなる群から1種以上選ばれることを特徴とする請求項1に記載のコバルト系列合金無電解鍍金溶液。
【請求項4】
前記リン前駆体は次亜リン酸アンモニウム(ammonium hypophosphite)、リン酸二水素アンモニウム(ammonium dihydrogen phosphate)、及びリン酸(phosphoric acid)とからなる群から1種以上選ばれることを特徴とする請求項1に記載のコバルト系列合金無電解鍍金溶液。
【請求項5】
前記錯化合物形成剤はクエン酸(citric acid)、クエン酸アンモニウム(ammonium citrate)、クエン酸ナトリウム(sodium citrate)、クエン酸アンモニウムテトラメチル(tetramethyl ammonium citrate)、及びエチレンジアミン四酢酸(ethylene diamine tetraacetic acid、EDTA)とからなる群から1種以上選ばれることを特徴とする請求項1に記載のコバルト系列合金無電解鍍金溶液。
【請求項6】
前記pH調節剤は水酸化カリウム(potassium hydroxide、KOH)、水酸化アンモニウム(ammonium hydroxide)、及び水酸化アンモニウムテトラメチル(tetramethyl ammonium hydroxide、TMAH)とからなる群から1種以上選ばれることを特徴とする請求項1に記載のコバルト系列合金無電解鍍金溶液。
【請求項7】
前記コバルト系列合金無電解鍍金溶液はpHが8乃至10であることを特徴とする請求項1に記載のコバルト系列合金無電解鍍金溶液。
【請求項8】
前記安定剤は4,5−ジチアオクタン−1,8−ジスルホン酸(4,5−dithiaoctane−1,8−disulfonic acid、SPS)、3−(2−ベンゾチアゾールチオ)−1−プロパンスルホン酸(3−(2−benzothiazolethio)−1−propane sulfonic acid)、N,N−ジメチルジチオカルバミン酸(3−スルホプロピル)エステル(N,N−dimethyl dithiocarbamic acid(3−sulfopropyl)ester、DPS)、及び3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸(3−mercapto−1−propanesulfonate、MPSA)とからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載のコバルト系列合金無電解鍍金溶液。
【請求項9】
前記安定剤はコバルト系列合金無電解鍍金溶液に0.001mg/L乃至1g/Lの濃度で含まれることを特徴とする請求項1に記載のコバルト系列合金無電解鍍金溶液。
【請求項10】
請求項1に記載のコバルト系列合金無電解鍍金溶液を用いることを特徴とする無電解鍍金方法。
【請求項11】
前記無電解鍍金方法は、前記コバルト系列合金無電解鍍金溶液にキャップ層を形成させる基板を浸漬させることを特徴とする請求項10に記載の無電解鍍金方法。
【請求項12】
前記無電解鍍金方法は、前記コバルト系列合金無電解鍍金溶液をキャップ層を形成させる基板に噴射させることを特徴とする請求項10に記載の無電解鍍金方法。
【請求項13】
前記無電解鍍金方法は、前記コバルト系列合金無電解鍍金溶液の温度が15乃至95℃で行われることを特徴とする請求項10に記載の無電解鍍金方法。
【請求項14】
前記無電解鍍金方法は、無電解鍍金時間が1時間以下であることを特徴とする請求項10に記載の無電解鍍金方法。
【請求項15】
前記無電解鍍金方法は、平坦化工程を済ました銅表面を洗浄する前処理工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の無電解鍍金方法。
【請求項16】
前記無電解鍍金方法は、形成されるコバルト系列合金薄膜の厚さが100nm以下であることを特徴とする請求項10に記載の無電解鍍金方法。
【請求項17】
請求項10に記載の無電解鍍金方法から製造されることを特徴とするコバルト系列合金薄膜。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−522445(P2009−522445A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548426(P2008−548426)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際出願番号】PCT/KR2006/005834
【国際公開番号】WO2007/075063
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】