説明

コルゲータの紙端位置調整方法及び装置

【課題】コルゲータのウェブ材の紙端位置と糊線位置を検知して、これら3計測点のずれ量調整を低コストで精度良く行なうことを可能にする。
【解決手段】シングルフェーサにおいて、中芯i及びライナlの紙端位置E及びEと糊ダム40,42により形成される糊線位置Eとのずれ量調整を行なう際に、上段ロール12に巻回された中芯iと、糊付けロール34に配置された糊ダム40,42と、中芯iとの接着部より上流側の裏ライナlとが一望可能な位置に配置された撮像装置60a、60bにより、中芯i及び裏ライナlの紙端位置E及びEと糊線位置Eとを同一画像内に撮像し、濃淡処理等の画像処理により、該3計測点E〜Eを検出し、これらの検出値に基づいて3計測点E〜Eのずれ量調整を低コストで精度良く自動化できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシートを製造するコルゲートマシンにおいて、各ウェブ材の紙端と糊付けロールによりウェブ材に塗付される糊の付着端とのずれ量の調整を精度良く低コストで可能にした方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コルゲータのシングルフェーサでは、上下一対の段ロールによって中芯を段繰り成形した後、その段頂部に糊付けし、その糊付け面に裏ライナを貼り合わせて片面段ボールシートを作製する。中芯と裏ライナとを糊で貼り合わせるため、糊付装置を用いる。糊付装置は、糊を蓄える糊溜めと、中芯の頂部に糊を付着させる糊付けロールと、糊付けロールの糊付着量を調整するメータロールと、糊溜め内の糊を機械幅方向(ウェブ材搬送方向と直角方向)に堰き止めることで糊付けロールの糊付着幅を規制する一対の糊ダムとからなる。
【0003】
糊付けロールの糊付着幅は片面段ボールシートの品質管理上重要であり、糊付着幅が中芯の幅より大であると、余分な糊が段ロールに付着して段ロールが汚れたり、糊玉ができたりする。このような汚れや糊玉は、中芯の段形成の不良原因やマシントラブルの発生原因となる。
通常のシングルフェーサでは、糊付けは中芯の段頂部の幅方向全域に亘って行なわれる。中芯と裏ライナとの紙端同士にずれがある場合には、中芯の糊付着領域が両ウェブ材の貼り合わせ面からはみ出ることになり、段ロール、その他の機器に糊が付着して汚れたり、糊玉ができたりする。そのため、糊を無駄に消費することになる。
また、ウェブ材の貼り合わせ面からはみ出している領域は、段ボールとして利用できない無駄領域であり、ウェブ材を無駄に消費することになる。
【0004】
シングルフェーサの下流側に設けられたダブルフェーサで、片面段ボールシートと表ライナとを糊付けして両面段ボールシートを製造する。ダブルフェーサでも前記と同様の問題がある。
【0005】
特許文献1(特開平7−100976号公報)には、シングルフェーサにおいて、糊付けロールの上流側で中芯の紙端位置を検出するシート端検出センサを設け、該シート端検出センサによる検出結果に基づき、一対の糊ダムの糊付けロール軸方向の位置を制御するコントローラによって、中芯のシート幅と糊付着幅とを合致させる糊ダム制御装置が開示されている。
特許文献1では光電管からなるシート端検出センサを用いており、イメージセンサや照明灯を使用しないため、イメージセンサのレンズや照明灯に付着した紙粉を掃除するメンテナンスを不要とし、かつ紙粉による誤動作を防止している。
【0006】
特許文献2(特開2004−148579号公報)には、シングルフェーサにおいて、CCDカメラにより中芯及びライナの紙端位置を検出し、この検出結果に基づいて、中芯及びライナを繰り出す原紙ロールを支持しているミルロールスタンドの少なくとも一方を機械幅方向へ移動させることにより、中芯及びライナの紙端位置を合致させるようにした位置調整装置が開示されている。
【0007】
特許文献3(特開2004−155022号公報)には、シングルフェーサにおいて、CCD又はCMOSカメラ等の糊ダム位置検出装置により糊ダム位置を検出すると共に、糊漏れ幅演算装置により糊ダム位置の内側から糊切れ位置までの距離である糊漏れ幅を演算し、該糊ダム位置と糊漏れ幅とから、糊付けロール上の糊切れ位置を演算し、この演算された糊切れ位置と目標とする糊切れ位置とのズレを解消するように糊ダムを移動させて、目標とする糊切れ位置、例えば中芯の紙端位置に一致させるようにした糊付装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−100976号公報
【特許文献2】特開2004−148579号公報
【特許文献3】特開2004−155022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された装置は、中芯のシート幅と糊付着幅とを合致させるものであり、この装置では、中芯の紙端に裏ライナの紙端を合致させることはできない。そのため、中芯と裏ライナとの紙端同士にずれが生じる虞があり、前記問題を生じる。
中芯と裏ライナとの紙端同士を合致させるためには、中芯の紙端及び裏ライナの紙端を夫々検出するための複数の検出センサを設ける必要があり、装置構成が高価となる。
【0010】
特許文献2に開示された装置は、中芯と裏ライナとの紙端の相対位置を自動調整可能にすることを目的とするもので、これら2枚のウェブ材の紙端と糊付けロールの糊付着端との相対位置を調整する手段は開示されていない。
前記2枚のウェブ材の紙端と糊付けロールの糊付着端との相対位置を調整するためには、特許文献の装置に特許文献1の装置を組み合わせた構成とする必要があり、装置構成が複雑となり、高コストになる。
【0011】
また、中芯及び表裏ライナは、予熱ロール等の加熱作用により伸縮するので、ウェブ材の伸縮差によっても紙端位置にずれが生じる。そのため、中芯及び表裏ライナの紙端位置を夫々別な場所で個別に検出すると、検出値と実際のずれ量との間で乖離が生じてしまい、正確な位置合わせができない。
【0012】
さらに、糊付けロールには、旧糊付着幅によるドライ状態の糊線跡が残っており、この旧糊付着幅による残留糊付着域(糊乾燥域)と現糊付着幅による糊付着域(糊湿潤域)とが形成されている。この糊乾燥域と糊湿潤域とを検出装置により識別できないと、糊線(糊付着端)と中芯及びライナの紙端とを正確に合致させることができない。
特許文献1〜3に開示された装置には、糊乾燥域と糊湿潤域とを識別する手段が開示されていない。
【0013】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、コルゲートマシンにおいて、各ウェブ材の紙端と糊線との相対ずれ量を低コストで精度良く調整可能にすることを目的とする。
また、本発明は、現糊付着幅による糊湿潤域と旧糊付着幅による糊乾燥域とを識別可能にして、ウェブ紙端位置に対する糊付着端のずれ量調整の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる目的を達成するため、本発明のコルゲータの紙端位置調整方法は、
波形に形成された中芯と表裏ライナとを接着して両面段ボールシートを製造するコルゲータであって、接着される2枚のウェブ材の紙端位置と該2枚のウェブ材のうち一方のウェブ材に塗付される糊の付着端とのずれ量を調整するコルゲータの紙端位置調整方法において、
互いに接着される前の前記2枚のウェブ材の紙端領域と糊付装置の糊付けロールの糊付着端領域とを撮像装置により撮像して、同一画像に取り込み、
該画像を画像処理して該2枚のウェブ材の紙端と糊付けロールの糊付着端とを検出すると共に、該検出値に基づいて該紙端と該糊付着端とのずれ量を調整するものである。
【0015】
本発明方法では、1台又は複数台の撮像装置により、互いに接着される前の2枚のウェブ材の紙端領域と糊付けロールの糊付着端領域とを撮像して同一画像内に取り込む。得られた画像に対して適宜な画像処理(視野角処理、エッジ処理、濃淡処理、2値化処理、階調処理等)を行い、該2枚のウェブ材の紙端と糊付着端(以下これらを「3計測点」という)とのずれ量を検出する。なお、生産管理装置から得られる、紙替え、紙継ぎ毎のシングルフェーサの運転情報(紙幅、坪量、ウェブ材の搬送速度、糊量、糊ダム位置等)を画像処理パラメータとして使用する。
【0016】
本発明方法では、3計測点の領域を撮像装置により画像として捉え、画像処理により該3計測点を検出するようにしたので、3計測点を検出するための複数のセンサが不要になり、低コスト化できる。また、これらの検出値に基づいて従来のずれ量調整方法、即ち、特許文献3に開示されたミルロールスタンドの操作による紙端位置調整や、糊付装置の糊ダム位置の調整等により、3計測点のずれ量を調整することにより、該3計測点のずれ量調整を自動化できる。
また、2枚のウェブ材が接着される前に3計測点を撮像するため、紙端と糊付着端間の実際のずれ量に対して、ウェブ材の熱収縮等による誤差を生じない。
【0017】
撮像する画像内では、3計測点をできるだけ画像の中心に位置させて撮像するとよい。撮像装置の移動によって、撮像装置を3計測点の正面に位置させることにより、斜め位置からの撮影によって生じるずれ量の誤差や、レンズの歪曲収差による誤差を無くすことができ、3計測点間のずれ量を正確に検出できる。
固定の撮像装置を用いる場合には、低デストーションレンズを使用することにより、歪曲収差の影響を低減させ、測定精度を向上できる。
【0018】
本発明方法において、3計測点へ均一にむら無く照明を照射することによって、境界部の濃淡が明確となり、計測精度を向上できる。また、シャッタースピードを任意に調整したり、集光用反射鏡を取り付けたインバータ付き蛍光灯やLED照明を採用することにより、省エネ・環境性を考慮し最低限の出力で高い計測精度を確保できる。
また、3計測点の夫々の長手方向位置の分解能を個別に設定できるようにすることで、計測精度を向上できる。これにより、撮像装置の設置精度による計測精度への影響を低減し高い計測精度を確保できる。
【0019】
また、本発明方法では、画像処理時、例えば、中芯紙端を基準としてライナ紙端位置及び糊付けロールの糊付着端位置の判定を行なうことにより、3計測点のずれ量を算出するとよい。これによって、位置合わせ作業を効率化できる。
【0020】
本発明方法では、3計測点の領域を夫々別の画像に撮像し、これらの画像を一画像に合成するようにしてもよい。あるいは、3計測点が一望可能な位置に配置された撮像装置により、該3計測点を同一画像内に収まるように撮像するようにしてもよい。
前者の場合、3計測点を同時間帯に撮像するようにすれば、シングルフェーサの振動等によるぶれは3計測点で相殺できるので、3計測点の相対ずれ量を正確に判定できる。
後者の場合、複数の画像を一画像に合成する処理工程が不要になると共に、装置の振動等により撮像装置の視野がぶれたとしても、3計測点の相対的な位置関係は変化しないため、3計測点のずれ量を正確に判定できる。
【0021】
本発明方法は、シングルフェーサでの中芯及び裏ライナの紙端と糊付着端とのずれ量調整、又はダブルフェーサでの片面段ボールシート及び表ライナの紙端と糊付着端とのずれ量調整に適用できる。
シングルフェーサでは、互いに接着される前の中芯及び裏ライナの紙端領域と、糊付けロールの糊付着端領域とを撮像装置により撮像して、中芯及び裏ライナの紙端領域と該糊付着端領域とを同一画像内に取り込み、該画像を画像処理して中芯及び裏ライナの紙端と糊付けロールの糊付着端とを検出すると共に、該検出値に基づいて該紙端と該糊付着端とのずれ量を調整するようにする。
【0022】
ダブルフェーサでは、互いに接着される前の片面段ボールシート及び表ライナの紙端領域と、糊付けロールの糊付着領域とを撮像装置により撮像して、片面段ボールシート及び表ライナの紙端領域と該糊付着端領域とを同一画像内に取り込み、該画像を画像処理して片面段ボールシート及び表ライナの紙端領域と糊付けロールの糊付着端とを検出すると共に、該検出値に基づいて該紙端と該糊付着端とのずれ量を調整するようにする。
【0023】
本発明方法において、糊付けロールの糊付着端領域から反射する反射光の反射率を求め、該反射率が変異する箇所を糊付けロール上の糊湿潤域と糊乾燥域との境目と判定するとよい。このように、水分を含み反射光の反射率の高い糊湿潤域と、水分を含まず反射光の反射率が低い糊乾燥域との反射率の違いを利用して、糊湿潤域と糊乾燥域との境目を精度良く識別できる。これによって、糊付けロールの糊付着端を精度良く検出できる。
【0024】
前記構成に加えて、糊付けロールの表面を微細凹凸面とし反射光を乱反射させるようにするとよい。これによって、糊乾燥域の反射率を低減し、糊湿潤域と糊乾燥域との反射率の差を広げることができるので、これらの境界を明瞭に識別できるようになる。従って、糊湿潤域と糊乾燥域との境目をさらに精度良く識別できる。
【0025】
あるいは、前記糊付着端に向けて0.7〜2.5μmの波長を有する近赤外線を照射し、その反射光の反射率を求めるようにするとよい。通常は、蛍光灯等の可視光で行なうが、水の反射率の低い近赤外線を糊付着端付近に照射することにより、糊付けロール上の糊乾燥域と糊湿潤域との反射率が明瞭に異なる。従って、これらの境界を明瞭に識別でき、現運転時の糊付着端を正確に検出できる。
【0026】
また、本発明方法において、前記糊付着端を偏光フィルタをレンズに装着した撮像装置により濃淡を付けて撮像し、得られた画像から中芯及びライナの紙端位置を検出するようにするとよい。撮像装置に偏光フィルタを用いることによって、光の乱反射を除去して画像を鮮明にできるので、3計測点の検出精度を向上できる。
【0027】
3計測点のずれ量調整手段として、検出した3計測点のずれ量を一定の周期で検出し、この検出値に基づいて、ウェブ材の搬送速度に応じて、これら3計測点のずれがなくなるように、糊ダム及びミルロールスタンド等を操作する。あるいは、ある一定周波数のストロボを同調させて画像を撮像することにより、ストロボ点灯時の3計測点のずれ量を連続的に撮像できる。
【0028】
また、前記本発明方法の実施に直接使用可能な本発明のコルゲータの紙端位置調整装置は、
波形に形成された中芯と表裏ライナとを接着して両面段ボールシートを製造するコルゲータであって、接着される2枚のウェブ材の紙端位置と該2枚のウェブ材のうち一方のウェブ材に塗付される糊の付着端とのずれ量を調整するコルゲータの紙端位置調整装置において、
互いに接着される前の前記2枚のウェブ材の紙端領域と糊付装置の糊付けロールの糊付着端領域とを撮像する撮像装置と、
該撮像装置で撮像された該2枚のウェブ材の紙端と糊付けロールの糊付着端とを同一画像内に取り込み、画像処理して該紙端位置と該糊付着端位置とを検出する画像処理装置と、
該画像処理装置による検出結果から、該紙端と該糊付着端とのずれ量を調整する位置調整装置と、を備えているものである。
【0029】
本発明装置では、前記撮像装置により撮像した3計測点を前記画像処理装置で同一画像内に取り込むことで、3計測点のずれ量を検出し、前記位置調整装置によって、3計測点のずれ量調整を行なう。このように、3計測点を画像で検出するので、計測センサが不要になり、低コストになると共に、3計測点のずれ量調整を自動化できる。
【0030】
本発明装置において、2枚のウェブ材の紙端領域と糊付けロールの糊付着端領域とが一望可能な位置に配置され、該撮像装置で該紙端領域と該糊付着端領域とを一画面内で撮像した画像を画像処理装置で画像処理して該紙端位置と該糊付着端位置とを検出するように構成するとよい。
【0031】
このように、3計測点の領域を一画面内で撮像した画像を分析するため、3計測点のずれ量を同一の場所で同時に検出できる。そのため、シングルフェーサの振動等により撮像装置の視野がぶれたとしても、3計測点の相対的な位置関係は変化しないため、3計測点のずれ量を正確に判定できる。
この検出結果から、糊ダムやミルロールスタンド等を操作する位置調整装置により、糊ダム位置又はウェブ材の紙端位置を調整して、3計測点のずれ量を正確になくすことができる。
【0032】
本発明装置において、前記撮像装置が偏光フィルタをレンズに装着した撮像装置であり、前記糊付着端を該撮像装置により濃淡を付けて撮像するように構成するとよい。偏光フィルタを用いることによって、光の乱反射を除去して画像を鮮明にできるので、 3計測点の検出精度を向上できる。
【0033】
本発明装置において、前記撮像装置を糊付けロールの長手軸方向に移動可能な移動装置に取り付け、該撮像装置を糊付けロールの長手軸方向に移動させながら該撮像装置で撮像するように構成するとよい。これによって、3計測点を常に画像の中心に捉えながら撮像できるので、斜め位置からの撮影によって生じる相対ずれ量の誤差を無くすことができ、3計測線の相対ずれ量を正確に検出できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明方法によれば、波形に形成された中芯と表裏ライナとを接着して両面段ボールシートを製造するコルゲータであって、接着される2枚のウェブ材の紙端位置と該2枚のウェブ材のうち一方のウェブ材に塗付される糊の付着端とのずれ量を調整するコルゲータの紙端位置調整方法において、互いに接着される前の前記2枚のウェブ材の紙端領域と糊付装置の糊付けロールの糊付着端領域とを撮像装置により撮像して、同一画像に取り込み、該画像を画像処理して該2枚のウェブ材の紙端と糊付けロールの糊付着端とを検出すると共に、該検出値に基づいて該紙端と該糊付着端とのずれ量を調整することにより、互いに接着される2枚のウェブ材とこれらを接着する糊の糊線の位置を熱収縮等に伴う誤差なく低コストで精度良く検出できるため、これらの計測点の精度良い位置調整が可能になる。従って、装置の機器類に糊が付着する汚染問題や、糊やウェブ材の無駄な消費を低減できる。
【0035】
また、本発明装置によれば、波形に形成された中芯と表裏ライナとを接着して両面段ボールシートを製造するコルゲータであって、接着される2枚のウェブ材の紙端位置と該2枚のウェブ材のうち一方のウェブ材に塗付される糊の付着端とのずれ量を調整するコルゲータの紙端位置調整装置において、互いに接着される前の前記2枚のウェブ材の紙端領域と糊付装置の糊付けロールの糊付着端領域とを撮像する撮像装置と、該撮像装置で撮像された該2枚のウェブ材の紙端と糊付けロールの糊付着端とを同一画像内に取り込み、画像処理して該紙端位置と該糊付着端位置とを検出する画像処理装置と、該画像処理装置による検出結果から、該紙端と該糊付着端とのずれ量を調整する位置調整装置と、を備えているため、前記本発明方法で得られる作用効果に加えて、3計測点の位置調整を自動化できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシングルフェーサの正面図である。
【図2】前記第1実施形態の糊付け装置を示す平面図である。
【図3】前記第1実施形態の撮像装置及び画像処理装置の説明図である。
【図4】前記第1実施形態の撮像装置で撮影された画像を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る糊付け装置の平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るシングルフェーサの正面図である。
【図7】前記第3実施形態の撮像装置及び画像処理装置の説明図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係るダブルフェーサの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0038】
(実施形態1)
本発明の第1実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1において、シングルフェーサ10は、表面が波形に形成され互いに噛み合う上段ロール12及び下段ロール14を備え、中芯iをこれら両段ボール間を通すことにより、中芯iを波形に成形する。上段ロール12の近傍には、波形に成形された中芯iの段頂部に糊を塗布する糊付け装置30が配置されている。上段ロール12の上方には、加圧装置16が設けられている。
【0039】
加圧装置16は、ベルトロール18と、張力ロール20と、これらロール間に巻回された加圧ベルト22とからなる。加圧ベルト22は、張力ロール20の位置調整によって張力調整され、上段ロール12上を通る2枚のウェブ材に加圧力を付与する。
【0040】
シングルフェーサ10で貼り合わされる2枚のウェブ材のうちの一つである裏ライナlは、矢印a方向からシングルフェーサ10に搬入される。裏ライナlは、まず裏ライナ用予熱ロール24に巻回されて予熱され、その後、ベルトロール18に案内されて加圧ベルト22と上段ロール12とのニップ部に移送される。
もう一つのウェブ材である中芯iは、まず中芯用予熱ロール26に巻回されて予熱され、その後、上段ロール12と下段ロール14との噛合い部で段繰りされる。
【0041】
段繰りされた中芯iは、糊付けロール34によってその段頂部に糊が塗布され、その後、上段ロール12に案内されて加圧ベルト22と上段ロール12とのニップ部に移送される。裏ライナlと中芯iとは、加圧ベルト22と上段ロール12とのニップ部で加圧かつ加熱され貼り合わされて、片面段ボールシート(以下「片段シート」という)kを形成して、矢印c方向に搬送される。
【0042】
次に、糊付け装置30の構成を図1及び図2に基づいて説明する。図1及び図2において、糊付け装置30は、糊を蓄えた糊溜め32と、回転する糊付けロール34とを備えている。糊付けロール34の外周面は、段繰りされて上段ロール12により搬送される中芯iの段頂部に接触すると共に、該外周面の一部は糊溜め32内に貯留された糊に浸漬されている。糊溜め32内の糊は、糊付けロール34の外周面に付着し、回転する糊付けロール34によって中芯iの段頂部に塗付される。
【0043】
糊付けロール外周面の糊付着量は、メータロール(ドクターロール)36によって調整される。メータロール36は、糊付けロール34と平行に設けられ、糊付けロール34と逆回転している。糊付けロール34からメータロール36に転移した糊は、スクレーパ38によってメータロール36の表面から掻き取られる。
【0044】
糊溜め32の左右側壁は、一対の糊ダムである駆動側糊ダム40及び操作側糊ダム42によって構成されている。糊ダム40、42は、糊付けロール34の外周面及びメータロール36の外周面と接触している。糊ダム40、42は、夫々糊付けロール34に平行に設けられたネジ軸44及び46に取り付けられている。各ネジ軸44、46の端部には電動モータ48及び50が接続されている。各糊ダム40、42の機械幅方向位置は、対応するネジ軸44、46の回転数によって決まり、2枚の糊ダム40,42は夫々独立してそれらの機械幅方向位置を設定できる。
【0045】
各電動モータ48、50には、夫々その回転数を計測するためのエンコーダ52及び54が取り付けられている。エンコーダ52、54は、糊ダム40、42の機械幅方向位置を検出する糊ダム位置検出手段として機能している。エンコーダ52、54の信号はコントローラ56に入力される。コントローラ56には、図示省略の生産管理装置から、紙替え、紙継ぎ毎のシングルフェーサの運転情報(紙幅、坪量、ウェブ材の搬送速度、糊量、糊ダム位置等)が入力されている。コントローラ56では、エンコーダ52、54から入力される糊ダム40,42の位置信号に基づいて、電動モータ48、50を駆動し、ウェブ幅に応じて糊ダム40,42を夫々設定位置に移動させる。
【0046】
また、図1及び図3に示すように、糊付け装置30の上方で、糊ダム40、42と、糊付け後の上段ロール12に巻回された中芯iと、中芯iとの接着部より上流側であってベルトロール18に巻回された裏ライナlとが一望できる位置に、これらに向けて駆動側CCDカメラ60a及び操作側CCDカメラ60bが配設されている。
駆動側CCDカメラ60aは、機械幅方向において、駆動側糊ダム40の移動範囲の中央位置に配置され、操作側CCDカメラ60bは、操作側糊ダム42の移動範囲の中央位置に配置されている。
【0047】
駆動側CCDカメラ60a及び操作側CCDカメラ60bは、夫々偏光フィルタをカメラのレンズに装着している。偏光フィルタを用いたことにより,画像に濃淡を付けて撮像でき、光の乱反射を除去して画像を鮮明にできる。
また、駆動側糊ダム40の移動範囲の中央域に、糊付けロール34の駆動側糊ダム40付近に向けて近赤外線照射装置62aが配置されている。操作側糊ダム42の移動範囲の中央域には、糊付けロール34の操作側糊ダム42付近に向けて近赤外線rを照射する近赤外線照射装置62bが配置されている。近赤外線照射装置62a及び62bは、0.7〜2.5μmの波長を有する近赤外線rを照射する。
【0048】
糊付けロール34の表面は、メッシュ状の微細凹凸が形成されている。この微細凹凸によって、糊付けロール34の表面に照射される近赤外線rの反射光を乱反射させることができる。そのため、糊付けロール34に照射される光の反射率を低減できる作用をもつ。糊付けロール34には、旧運転時に塗付された糊乾燥域と現運転時に塗付された糊湿潤域が形成されている。糊付けロール34の表面に形成されたメッシュ状の微細凹凸により、糊湿潤域に照射される近赤外線rの反射光の反射率を低減できる。
【0049】
かかる構成の本実施形態において、近赤外線照射装置62a及び62bから前記波長の近赤外線rを照射しながら、駆動側CCDカメラ60a及び操作側CCDカメラ60bで、駆動側と操作側で別々に、糊ダム40、42、糊付け後の中芯iの紙端領域及び中芯iとの接着前の裏ライナlの紙端領域を一画像内に取り込んで撮像する。
糊付けロール34の糊線(糊付着端)から反射する近赤外線rの反射光の反射率を求め、該反射率から糊付けロール34上の糊湿潤域と糊乾燥域との境目を検出する。
【0050】
前記波長の近赤外線rは水に対して照射すると、反射率が低下する。そこでこの反射率の違いにより糊乾燥域と水分を含む糊湿潤域との境界を反射率の違いにより識別できる。糊付けロール34の表面に形成された微細凹凸が糊湿潤域の反射率をさらに低下させるので、糊乾燥域と糊乾燥域との境界を明瞭に識別できる。この境界を糊線と判定する。
【0051】
撮影した画像を図3に示す計測装置64で適宜な画像処理(視野角処理、エッジ処理、2値化処理、階調処理等)を行なって、中芯i及び裏ライナlの紙端と糊線のずれ量を検出する。この場合、コルゲータ全体の運転を管理する図示省略の生産管理装置から、紙替え、紙継ぎ毎のシングルフェーサ10の運転情報(紙幅、坪量、ウェブ材搬送速度、糊量、糊ダム位置等)をコントローラ56に送り、画像処理のパラメータとして使用する。そして、画像処理により、図4に示す中芯端エッジEを基準として裏ライナ端エッジE及び糊線エッジEの相対ずれ量を算出する。
【0052】
図4は、中芯iの操作側紙端位置を撮像した画像を模式的に示す。図4において、一画像内に、中芯端エッジE(糊付け直後の上段ロール12に巻回された中芯iの紙端),裏ライナ端エッジE(中芯iとの接着前のベルトロール18に巻回された裏ライナlの紙端)及び糊線エッジE(糊付けロール34の糊付着端)が上下方向に直線状に配置されて撮像されている。糊線エッジEは、糊付けロール34上に形成された糊乾燥域と糊湿潤域との境界を示す。
【0053】
算出したこれら3計測点のずれ量に基づいて、これらのずれ量を適正に調整するため、電動モータ48又は50を駆動して、駆動側糊ダム40又は操作側糊ダム42を糊付けロール34の軸線方向に移動させる。あるいは、中芯i及び裏ライナlの紙端の位置合わせを行なうために、シングルフェーサ10の上流側に配設された図示省略のミルロールスタンドに設けられウェブ材を供給する原紙ロールを機械幅方向に移動させるか、あるいは原紙ロールをロール軸と平行な水平面内で回転させる。ミルロールスタンドの構成は従来公知であるため、ここではミルロールスタンドの説明を省略する(詳細は特許文献2を参照)。
【0054】
本実施形態によれば、前記3計測点E〜Eを同一画像で捉え、該同一画像を画像分析することにより、シングルフェーサの振動等により駆動側CCDカメラ60a又は操作側CCDカメラ60bの視野がぶれたとしても、該3計測点の相対的な位置関係は変化しないため、3計測点の相対ずれ量を正確に判定できる。
また、中芯iと裏ライナlを接着する直前で3計測点E〜Eを撮像するため、ウェブ材の熱収縮等による誤差を生じない。
【0055】
また、駆動側CCDカメラ60a又は操作側CCDカメラ60bを3計測点E〜Eの正面に配置し、これら3計測線を画像の中心付近に撮像しているので、斜め位置からの撮影によって生じるずれ量の誤差を無くすことができ、3計測線のずれ量を正確に検出できる。
【0056】
また、駆動側又は操作側の3計測点E〜Eに向けて駆動側近赤外線照射装置62a又は操作側近赤外線照射装置62bを配設し、夫々の糊線に向けて0.7〜2.5μmの波長を有する近赤外線rを照射し、その反射光の反射率を求め、該反射率から糊付けロール34の糊湿潤域と糊乾燥域との境目を検出するようにしているので、糊付けロール34の旧糊付着幅を示す糊乾燥域と現運転時の糊付着幅を示す糊湿潤域との境界を糊付着端として明瞭に識別できる。そのため、現運転時の糊付着端を正確に検出できる。
【0057】
さらに、糊付けロール34の表面にメッシュ状の微細凹凸を形成しているので、糊湿潤域の近赤外線rの反射率を低下でき、糊線を明瞭に識別できる。
また、駆動側CCDカメラ60a又は操作側CCDカメラ60bのレンズに偏光フィルタを装着しているので、濃淡を付けて撮像でき、光の乱反射を除去して、画像を鮮明にできるので、前記3計測点の検出精度を向上できる。
【0058】
(実施形態2)
次に、本発明の第2実施形態を図5に基づいて説明する。本実施形態は、CCDカメラを前記第1実施形態のように一つの固定された場所に配置するのではなく、移動可能に配置したものである。
即ち、図5において、駆動側糊ダム40の外側面に駆動側CCDカメラ66aを取り付け、操作側糊ダム42の外側面に操作側CCDカメラ66bを取り付けている。これらのCCDカメラで撮像した画像はコントローラ56を経由して、図3に示す計測装置64に送られ、計測装置64で画像処理される。その他の構成は、第1実施形態と同一である。
【0059】
本実施形態では、駆動側CCDカメラ66aが駆動側糊ダム40に隣接して駆動側糊ダム40と共に移動し、操作側CCDカメラ66bが操作側糊ダム42に隣接して操作側糊ダム42と共に移動するので、駆動側又は操作側で前記3計測点E〜Eを常に画像の中心に捉えながら同一画像内で撮像できる。従って、斜め位置からの撮影によって生じる相対ずれ量の誤差を無くすことができ、3計測線の相対ずれ量を正確に検出できる。
【0060】
(実施形態3)
次に、本発明の第3実施形態を図6及び図7に基づいて説明する。本実施形態は、前記3計測点E〜Eを夫々別なCCDカメラで撮像するようにした例である。図6及び図7において、上下段ロール12及び14の噛合部dの下流側で、波形成形され上段ロール12に巻回された中芯iの紙端領域を撮像するCCDカメラ70a及び70bが配置されている。図7に示すように、駆動側CCDカメラ70aが中芯iの駆動側紙端領域を撮像し、操作側CCDカメラ70bが中芯iの操作側紙端領域を撮像する。
【0061】
駆動側CCDカメラ70aの近傍に、中芯iの駆動側紙端領域に前記波長を有する近赤外線rを照射する近赤外線照射装置72aが配置され、操作側CCDカメラ70bの近傍に、中芯iの操作側紙端領域に前記波長を有する近赤外線rを照射する近赤外線照射装置72bが配置されている。
【0062】
また、糊付装置30の糊ダム40付近の領域を撮像する駆動側CCDカメラ74aと、糊ダム42付近の領域を撮像する操作側CCDカメラ74bが配置されている。駆動側CCDカメラ74aの近傍に、糊ダム40付近に前記波長の近赤外線rを照射する近赤外線照射装置76aが配置され、操作側CCDカメラ74bの近傍に、糊ダム42付近の領域に近赤外線rを照射する近赤外線照射装置76bが配置されている。
【0063】
また、ベルトロール18に巻回され中芯iと接着される前の裏ライナlの紙端領域を撮像する駆動側CCDカメラ78a及び78bが配置されている。駆動側CCDカメラ78aが裏ライナlの駆動側紙端領域を撮像し、操作側CCDカメラ78bが裏ライナlの操作側紙端領域を撮像する。
駆動側CCDカメラ78aの近傍に、裏ライナlの駆動側紙端領域に前記波長を有する近赤外線rを照射する近赤外線照射装置80aが配置され、操作側CCDカメラ78bの近傍に、裏ライナlの操作側紙端領域に前記波長を有する近赤外線rを照射する近赤外線照射装置80bが配置されている。その他の構成は、第1実施形態と同一である。
【0064】
かかる構成において、各CCDカメラで、中芯i及び裏ライナlの駆動側及び操作側紙端領域、及び糊ダム40、42付近の領域を撮像する。各CCDカメラでの撮像時間を同一時間とする。次に、駆動側又は操作側で夫々撮像した3つの画像を1つの画像に合成する。この駆動側又は操作側の合成画像から、駆動側又は操作側の3計測点E〜Eを検出する。そして、検出した中芯iの紙端位置を基準として裏ライナlの紙端位置及び糊線位置を調整するようにする。
【0065】
本実施形態によれば、3計測点E〜Eを同一時間に撮像しているので、シングルフェーサ10の振動等により、各CCDカメラの位置がぶれた場合であっても、3計測点の相対的な位置関係は変化しないため、3計測点のずれ量を正確に検出できる。
このように、前記第1実施形態のように3計測点E〜Eを同一画像で捉えることができない構造のシングルフェーサであっても、本実施形態の手法により3計測点E〜Eのずれ量を正確に検出できる。
【0066】
(実施形態4)
次に、本発明の第4実施形態を図8に基づいて説明する。本実施形態は、シングルフェーサで製造した片段シートから複両面段ボールシートを製造するダブルフェーサに本発明を適用した例である。
図8において、片段シートk、k及び表ライナlは、夫々ガイドロール90a〜cを経て、予熱ロール92a〜cに導入され。予熱される。
各予熱ロール92a〜cには、該予熱ロールの周囲を公転可能に配置され各ウェブ材の予熱ロールへの巻付角θ1〜3を調整して予熱度を調整する巻付角調整ロール94a〜cが設けられている。
【0067】
予熱ロール92aを出た片段シートkは、張力調整ロール96a及びガイドロール98aを経て、糊付装置100aに送られる。糊付装置100aで中芯段頂部に糊を塗付された片段シートkはダブルフェーサ110の入口に送られる。
予熱ロール92bを出た片段シートkは、ガイドロール96b及び張力調整ロール98bを経て糊付装置100bに送られる。糊付装置100bで中芯段頂部に糊を塗付された片段シートkはダブルフェーサ110の入口に送られる。
予熱ロール92cを出た表ライナlは、ガイドロール96c、第2予熱ロール97c及びガイドロール98cを経てダブルフェーサ110の入口に送られる。
【0068】
糊付装置100a、100bは、糊溜めが形成され、この糊溜めに浸漬された糊付けロール102a、102bと、該糊付けロール表面の後付着量を調整するメータロール104a、104bと、片段シートk、kを該糊付けロール表面に押し付けるライダーロール(押えロール)106a、106bとを備えている。糊付装置100a、100bには、図2又は図5に示す糊線位置を調整可能な糊ダム(図示省略)が設けられている。
【0069】
ダブルフェーサ110では、複数の熱盤112がウェブ材の搬送方向に並べられ、熱盤112の上面は平滑な水平面を形成し、該上面をウェブ材が滑りながら搬送される。熱盤112の内部には加熱蒸気が供給され、搬送されるウェブ材を加熱する。
熱盤112の上方には、ガイドロール114に案内された加圧ベルト116が配置され、加圧ベルト116の背面に加圧ロール118が配設されている。該加圧ロール118によって熱盤112上を搬送されるウェブ材を上方から加圧している。
【0070】
熱盤112の上面と加圧ベルト116間で、片段シートk、k及び表ライナlが重ね合わされて搬送され、熱盤112と加圧ロール118とで加熱及び加圧されることで、これらのウェブ材が互いに接着される。そして、これらのウェブ材は熱盤112上を搬送される間に乾燥され、その後冷却されて複両面段ボールシートが製造される。
【0071】
本実施形態では、糊付装置100a、100bで、糊付けロール102a、102bを通過する片段シートk、kの駆動側及び操作側紙端領域と、駆動側及び操作側の糊ダム(図示省略)付近の領域とを同時に撮像する夫々2台のCCDカメラ120a及び120bが配設されている。また、ガイドロール98cに巻回された表ライナlの駆動側及び操作側紙端領域を撮像する2台のCCDカメラ120cが配設されている。
CCDカメラ120a〜cの近傍には、撮像領域に向けて前記波長の近赤外線rを照射する近赤外線照射装置(図示省略)が配設されている。
【0072】
かかる構成において、駆動側又は操作側で、片面シートk、kの紙端領域と糊ダム領域とを夫々2台のCCDカメラ120a、120bで一画像内で撮像すると共に、ガイドロール98cに巻回された表ライナl2の駆動側又は操作側の紙端領域を2台のCCDカメラ120cで撮像する。駆動側又は操作側でCCDカメラ120a、120b及び120cで撮影された3つの画像を合成して一画像内に取り込む。そして、片段シートk、kの紙端及び糊線、及び表ライナlの紙端からなる5計測点のずれ量を検出する。
検出したずれ量に基づいて、これらのずれ量が適正になるように、糊付装置100a、100bの糊ダム位置を調整したり、あるいはミルロールスタンドを操作する。
【0073】
ダブルフェーサで両面段ボールシート又は複両面段ボールシートを製造する場合、前記5計測点を一望できる場所を見い出すことは困難である。従って、本実施形態のように5計測点を別々に撮像せざるを得ない。
しかし、本実施形態のように、別々に撮像した画像を合成することによって、5計測点のずれ量を低コストで精度良く検出できる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、両面段ボールシートを製造するコルゲータにおいて、ウェブ材の幅方向紙端と糊線とのずれ量調整を低コストで精度良く行なうことができ、両面段ボールシートの歩留まりを向上できると共に、コルゲータの運転効率を向上できる。
【符号の説明】
【0075】
10 シングルフェーサ
12 上段ロール
14 下段ロール
16 加圧装置
18 ベルトロール
22 加圧ベルト
30、100a〜b 糊付装置
32 糊溜め
34 糊付けロール
36 メータロール
40 駆動側糊ダム
42 操作側糊ダム
56 コントローラ
60a、66a、70a、74a、78a 駆動側CCDカメラ
60b、66b、70b、74b、78b 操作側CCDカメラ
62a、62b、72a、72b、76a、76b、80a、80b 近赤外線照射装置
64 計測装置(画像処理装置)
92a〜c、97c 予熱ロール
110 ダブルフェーサ
112 熱盤
118 加圧ロール
中芯端エッジ
ライナ端エッジ
糊線エッジ
i 中芯
k、k、k 片段シート
裏ライナ
表ライナ
r 近赤外線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形に形成された中芯と表裏ライナとを接着して両面段ボールシートを製造するコルゲータであって、接着される2枚のウェブ材の紙端位置と該2枚のウェブ材のうち一方のウェブ材に塗付される糊の付着端とのずれ量を調整するコルゲータの紙端位置調整方法において、
互いに接着される前の前記2枚のウェブ材の紙端領域と糊付装置の糊付けロールの糊付着端領域とを撮像装置により撮像して、同一画像に取り込み、
該画像を画像処理して該2枚のウェブ材の紙端と糊付けロールの糊付着端とを検出すると共に、該検出値に基づいて該紙端と該糊付着端とのずれ量を調整することを特徴とするシングルフェーサの紙端位置調整方法。
【請求項2】
互いに接着される前の前記2枚のウェブ材の紙端領域と糊付けロールの糊付着端領域とが一望可能な位置に配置された撮像装置により、該紙端領域と該糊付着端領域とを同一画像内に収まるように撮像し、撮像した画像を画像処理して該2枚のウェブ材の紙端と糊付けロールの糊付着端とを検出することを特徴とする請求項1に記載のコルゲータの紙端位置調整方法。
【請求項3】
一対の段ロールにより波形に形成された中芯と裏ライナとを接着して片面段ボールシートを製造するシングルフェーサにおいて、
互いに接着される前の中芯及び裏ライナの紙端領域と、糊付けロールの糊付着端領域とを撮像装置により撮像して、中芯及び裏ライナの紙端領域と該糊付着端領域とを同一画像内に取り込み、
該画像を画像処理して中芯及び裏ライナの紙端と糊付けロールの糊付着端とを検出すると共に、該検出値に基づいて該紙端と該糊付着端とのずれ量を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のコルゲータの紙端位置調整方法。
【請求項4】
片面段ボールシートと表ライナとを接着して両面段ボールシートを製造するダブルフェーサにおいて、
互いに接着される前の片面段ボールシート及び表ライナの紙端領域と、糊付けロールの糊付着領域とを撮像装置により撮像して、片面段ボールシート及び表ライナの紙端領域と該糊付着端領域とを同一画像内に取り込み、
該画像を画像処理して片面段ボールシート及び表ライナの紙端領域と糊付けロールの糊付着端とを検出すると共に、該検出値に基づいて該紙端と該糊付着端とのずれ量を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のコルゲータの紙端位置調整方法。
【請求項5】
糊付けロールの糊付着端領域から反射する反射光の反射率を求め、該反射率が変異する箇所を糊付けロール上の糊湿潤域と糊乾燥域との境目と判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のコルゲータの紙端位置調整方法。
【請求項6】
糊付けロールの表面を微細凹凸面とし反射光を乱反射させるようにしたことを特徴とする請求項5に記載のコルゲータの紙端位置調整方法。
【請求項7】
糊付けロールの糊付着端領域に向けて0.7〜2.5μmの波長を有する近赤外線を照射し、その反射光の反射率を求めるようにしたことを特徴とする請求項5に記載のコルゲータの紙端位置調整方法。
【請求項8】
前記撮像装置が偏光フィルタをレンズに装着した撮像装置であり、該撮像装置により濃淡を付けて撮像し、得られた画像から各ウェブ材の紙端又は糊付けロールの糊付着端を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のコルゲータの紙端位置調整方法。
【請求項9】
波形に形成された中芯と表裏ライナとを接着して両面段ボールシートを製造するコルゲータであって、接着される2枚のウェブ材の紙端位置と該2枚のウェブ材のうち一方のウェブ材に塗付される糊の付着端とのずれ量を調整するコルゲータの紙端位置調整装置において、
互いに接着される前の前記2枚のウェブ材の紙端領域と糊付装置の糊付けロールの糊付着端領域とを撮像する撮像装置と、
該撮像装置で撮像された該2枚のウェブ材の紙端と糊付けロールの糊付着端とを同一画像内に取り込み、画像処理して該紙端位置と該糊付着端位置とを検出する画像処理装置と、
該画像処理装置による検出結果から、該紙端と該糊付着端とのずれ量を調整する位置調整装置と、を備えていることを特徴とするコルゲータの紙端位置調整装置。
【請求項10】
前記撮像装置が前記2枚のウェブ材の紙端領域と糊付けロールの糊付着端領域とが一望可能な位置に配置され、該撮像装置で該紙端領域と該糊付着端領域とを一画面内で撮像した画像を前記画像処理装置で画像処理して該紙端位置と該糊付着端位置とを検出するように構成したことを特徴とする請求項9に記載のコルゲータの紙端位置調整装置。
【請求項11】
前記撮像装置が偏光フィルタをレンズに装着した撮像装置であり、該撮像装置により濃淡を付けて撮像するように構成したことを特徴とする請求項9又は10に記載のコルゲータの紙端位置調整装置。
【請求項12】
前記撮像装置を前記糊付けロールの長手軸方向に移動可能な移動装置に取り付け、該撮像装置を糊付けロールの長手軸方向に移動させながら該撮像装置で撮像するように構成したことを特徴とする請求項9又は10に記載のコルゲータの紙端位置調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−269559(P2010−269559A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124959(P2009−124959)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】