説明

コルゲートマシン

【課題】スリッター装置の切り換え時において、トリム部分を適正な大きさで確実に切断してトリム吸入口ヘのトリム部分の吸入及び吸入停止を確実にするコルゲートマシンを得る。
【解決手段】段ボールシートSの両端部をスリッタースコアラー装置12のスリッター軸18の最外側のカッター19によりスリットすることで、段ボールシートSの両端部にトリム部分Tが発生する。スリッタースコアラー装置12に対して段ボールシートSの搬送方向下流側に、トリム部分Tを吸入する為のトリム吸入口20が支持台26を介して設置される。各スリッタースコアラー装置12のスリッター軸18とトリム吸入口20との間とされる箇所に、スリッタースコアラー装置12の幅方向に沿って移動させる移動機構30を介して、トリム部分Tの始端及び終端を切断する為のトリムカット装置36の本体部分が設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリッター装置を通過する際に段ボールシートが引っかからないだけでなく、スリッター装置の切り換え時において、トリム部分を適正な大きさで確実に切断してトリム吸入口ヘのトリム部分の吸入及び吸入停止を確実にし得るコルゲートマシンに関し、段ボールシートを加工するスリッタースコアラー装置又はスリッタースリッター装置等のスリッター装置の切り換え時において、トリム吸入口で吸入させ或いは吸入停止させるのに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
段ボール製品を製造するためのコルゲートマシンには、この段ボール製品の製造の段階として、段ボール原紙を貼り合わせてシート状態とされる段ボールシートにする為のウェットエンド工程と、連続して流れてくる段ボールシートを所定寸法に加工して積載する為のドライエンド工程とが、一般に存在している。このドライエンド工程にはスリッター装置の内の例えばスリッタースコアラー装置が配置されていて、このスリッタースコアラー装置により、段ボールシートの流れ方向に沿って段ボールシートをスリット加工すると共に、段ボールシートの折り曲げ用の罫線を加工するようになっている。
【0003】
但し、コルゲートマシンには、スリッタースコアラー装置が通常2台設置されていて、1台のスリッタースコアラー装置の運転中において他の1台のスリッタースコアラー装置に次回オーダーの加工寸法をセットすることにより、これら2台のスリッタースコアラー装置を交互に切り換えて使用することで、段ボールシートの連続加工を可能としている。
【0004】
これに伴い、所定の紙幅でロール状となっている段ボールシートを使用して段ボールシートを連続加工する際には、この段ボールシートを所定寸法にスリットするので、段ボールシートの両端に製品とならないトリム部分が発生する。そして、このトリム部分をトリム吸入口で吸入し、カッターブロワーで粉砕しつつ処理装置に空送しているが、スリッタースコアラー装置の切り換え時には、トリム部分を吸入するトリム吸入口も切り換えることとなる。
【0005】
例えば、トリム吸入口に現在吸入されているトリム部分は、スリッター刃物によるスリットが終了した後には、段ボールシートから分離されない為に、トリム部分の終端が吸入できない。従って、スリット終了時点でトリム部分の吸入を終了させる為に、トリム部分をトリムカット装置により切断していた。この一方、新たに運転する側のスリッタースコアラー装置でも、トリム部分が生じるので、このトリム部分を吸入する為にトリムカット装置により段ボールシートからトリム部分の始端を切断していた。
【0006】
ここで従来技術に係るトリムカット装置は、スリッタースコアラー装置の上流側に1式設置されている。そして、一般的なトリムカット装置は、装置の全幅に対応する大きさの上側ロールの両端に移動式の刃物をそれぞれ配置すると共に、ウレタン等の受けロールで下側を構成しているロータリーシヤー方式である。つまり、上側の刃物を所定位置に位置決めし、受けロールを回転させつつ上側ロールを1回転させる際に、この受けロールに刃物を当てて段ボールシートを刃物で切断する機構によって、トリム部分となる段ボールシートの箇所を切断していた。
【0007】
次に、トリム部分の切断とされるトリムカットを従来技術に係るコルゲートマシンにより行う場合を、以下に具体的に説明する。
図7及び図8(A)に示すように、従来のコルゲートマシンを構成する2台のスリッタースコアラー装置112により段ボールシートSの両端部がスリットされて生じたトリム部分Tが、トリム吸入口114に吸入される。但し、トリム部分Tを吸入しない場合には、シャッター116を閉じるように制御される。
【0008】
段ボールの旧オーダーから新オーダーへの切り換え時には、旧オーダーのスリッタースコアラー装置112の上昇と新オーダーのスリッタースコアラー装置112の下降とがオーバーラップするように、切り換えタイミングが制御される。これに伴い、オーバーラップする間に2台のスリッタースコアラー装置112に対して搬送方向(矢印A方向)の上流側に位置するトリムカット装置118により、トリムカットされる。
【0009】
オーダー切り換え時において適正に動作した場合には、図8(A)に示すような段ボールシートSを適正なトリムカットTCの位置ですることになる。図7に示すように、従来のトリムカット装置118はスリッタースコアラー装置112の上流側に1台しか設置されていないので、スリッタースコアラー装置112の切り換え位置にトリムカットTCの位置を合わせる必要があり、図8(A)に示すようなオーバーラップした切り換えが必要となっている。
【0010】
つまり、旧オーダーの終了時においてスリッタースコアラー装置112が上昇した場合、トリム部分Tをスリットしていたスリッター刃物も上昇し、トリム部分Tの分岐がなくなる為にトリム吸入口114で吸入できなくなる。従って、スリッタースコアラー装置112の上昇に合わせて、トリム部分Tをカットする必要が生じる。
【0011】
この一方、新オーダーのスリッタースコアラー装置112が下降して運転を開始する場合には、トリム部分Tのスリットはできているが、段ボールシートSからトリム部分Tの始端が切り離されていない場合には、トリム吸入口114で吸入されないので下流側に位置するカッター装置に流れてしまう。この為、新オーダーのスリッタースコアラー装置112の下降に合わせて、同様にトリム部分Tをカットする必要が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−135696号公報
【特許文献2】特開平9−248788号公報
【特許文献3】特開平6−210772号公報
【特許文献4】特開平5−84696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上より、従来のトリムカット装置118では、装置の全幅に対応する大きさの上側ロールを回転させるので、駆動用モータの容量は例えば3.7KW程度と大きくなり、所要動力が大きくなる欠点を有していた。また、上側に丸刃を配置してトリム部分Tの切断時にこの丸刃を横移動させるトリムカット装置118もあるが、この場合でも所要動力が大きくなる欠点が存在していた。
【0014】
さらに、トリムカット装置118から通常2台設置されているスリッタースコアラー装置112までの間において、シート蛇行や装置の位置ずれがあるので、トリムカット装置118により段ボールシートSを切断する場合には、図8(A)に示すようにトリム部分Tの幅寸法より大きく切断していた。
【0015】
この一方、オーダー切り換え時に同期にずれが生じてトリムカットの同期がずれた場合には、図8(B)に示すような段ボールシートSを適正に切断できないトリムカットTCの位置で切断されことになる。これは、切り換え速度が大きく異なる場合等に発生し易く、図8(B)に示す場合では、旧オーダーのトリム部分Tの吸入の停止は問題ないものの、新オーダーのトリム部分Tの吸入開始が出来なく、トリム部分Tが下流側に流れてしまう。
【0016】
また、トリム吸入口114に分岐ができていないトリム部分Tが詰まってしまうことで、ジャムアップが発生する可能性があるだけでなく、スリッタースコアラー装置112の上流側で段ボールシートSを切断するので、切断部分に膨れ等があればスリッタースコアラー装置112を通過する際に引っかかって同様にジャムアップが発生する欠点をも有している。
【0017】
さらに、従来技術に係るトリムカット装置118では、下側ロールを形成するウレタンロール等の磨耗により段ボールシートSのトリム部分Tが切断できなくなるのに伴い、トリム吸入口114でトリム部分Tを吸入できなくなる欠点を有していた。
【0018】
他方、従来技術に係るトリムカット装置118の構造では、トリムカット装置118から通常2台設置されているスリッタースコアラー装置112までの間に距離があるので、トリムカットの位置とスリッタースコアラー装置112の切り換え位置を同期させる制御が複雑であり、切り換え位置と切断位置がずれた場合には、上記と同様にトリム部分Tが図8(B)に示すように適切に切断できなくなるのに伴い、トリム吸入口114でトリム部分Tを吸入できなくなる。
【0019】
本発明は上記事実を考慮し、スリッター装置を通過する際に段ボールシートが引っかからないだけでなく、スリッター装置の切り換え時において、トリム部分を適正な大きさで確実に切断してトリム吸入口ヘのトリム部分の吸入及び吸入停止を確実にし得るコルゲートマシンを提供することを第1の目的とし、スリッター装置を通過する際に段ボールシートが引っかからないだけでなく、スリッター装置の切り換え時において、所要動力を小さくしつつ、トリム部分を適正な大きさで確実に切断してトリム吸入口ヘのトリム部分の吸入及び吸入停止を確実にし得るコルゲートマシンを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1に係るコルゲートマシンは、搬送される被加工シートの端部をスリットするスリッター装置と、
被加工シートのスリットされた端部に発生するトリム部分を吸入するトリム吸入口と、
トリム部分の始端及び終端を切断する切断刃を有するトリムカット装置と、
を備えたコルゲートマシンであって、
トリムカット装置が、スリッター装置とトリム吸入口との間に設置されたことを特徴とする。
【0021】
請求項1に係るコルゲートマシンの作用を以下に説明する。
本請求項のコルゲートマシンによれば、搬送される被加工シートの端部をスリッター装置がスリットするのに伴い、スリットされた被加工シートの端部に発生するトリム部分をトリム吸入口が吸入するだけでなく、トリムカット装置の切断刃でトリム部分の始端及び終端を切断する。そして、本請求項のコルゲートマシンでは、スリッター装置とトリム吸入口との間にこのトリムカット装置が設置されている。
【0022】
従って、本請求項のコルゲートマシンによれば、スリッター装置に対して被加工シートの搬送方向下流側にトリムカット装置が位置することになるので、スリッター装置を通過する際に被加工シートが引っかからなくなる。さらに、スリッター装置の切り換え時において、トリム部分の始端及び終端が、トリムカット装置により被加工シートから適正な大きさで確実に切断されて分離され、このトリム部分のトリム吸入口ヘの吸入及び吸入停止が確実に行われる。
【0023】
請求項2に係るコルゲートマシンの作用を以下に説明する。
本請求項に係るコルゲートマシンは請求項1と同一の作用を奏する。但し、本請求項では、切断刃が、回転してトリム部分を切断する回転切断刃とされ、回転切断刃による切断位置がトリム部分の始端位置及び終端位置となるように、制御手段が、回転切断刃の切断位置を位置決め制御するという構成を有している。
【0024】
つまり、本請求項によれば、回転切断刃によるトリム部分の切断位置が、トリム部分の適切な始端位置及び終端位置となるように、制御手段が回転切断刃の切断位置を位置決め制御することで、装置全幅に対応する大きさの上側ロールを回転させる場合と比較して、小さな力で切断可能となる。
【0025】
この結果として、小さな容量の駆動用モータを用いることができるのに伴い、切断の為の所要動力を小さくしつつ、スリッター装置の切り換え時において、トリム部分の始端及び終端がトリムカット装置により被加工シートから適正な大きさで確実に切断されて分離され、このトリム部分のトリム吸入口ヘの吸入及び吸入停止が確実に行われる。
【0026】
請求項3に係るコルゲートマシンの作用を以下に説明する。
本請求項に係るコルゲートマシンは請求項2と同一の作用を奏する。但し、本請求項では、回転切断刃とで被加工シートを挟みつつ切断する固定用受け刃が、被加工シートの搬送方向に対して略直交する方向に延びる形で固定されるという構成を有している。
【0027】
つまり、本請求項によれば、被加工シートの搬送方向に対して略直交する方向に延びる形で固定される固定用受け刃が、回転切断刃に対応して存在し、これらで被加工シートを挟みつつ切断するので、トリム部分を確実且つ容易に切断できるようになる。
【0028】
請求項4に係るコルゲートマシンの作用を以下に説明する。
本請求項に係るコルゲートマシンは請求項2と同一の作用を奏する。但し、本請求項では、スリッター装置が複数存在すると共に、このスリッター装置の数に対応した数だけトリム吸入口が設けられ、複数のスリッター装置間の切り換え動作に同期して回転切断刃を回転させて、トリム部分の始端及び終端を切断して、トリム吸入口へのトリム部分の吸入及び吸入停止をするという構成を有している。
【0029】
つまり、本請求項によれば、オーダー切り換え時におけるスリッター装置の切り換えに伴い、この切り換え動作に同期してトリムカット装置の回転切断刃を回転させて、トリム部分の始端及び終端のみをトリムカット装置で切断することにより、トリム部分の始端及び終端が被加工シートから確実に分離されて、トリム吸入口へのトリム部分の吸入及び吸入停止が確実に行われる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本発明の上記構成によれば、スリッター装置を通過する際に段ボールシートが引っかからないだけでなく、スリッター装置の切り換え時において、トリム部分を適正な大きさで確実に切断してトリム吸入口ヘのトリム部分の吸入及び吸入停止を確実にし得るコルゲートマシンを提供できるという優れた効果を有し、また、スリッター装置を通過する際に段ボールシートが引っかからないだけでなく、スリッター装置の切り換え時において、所要動力を小さくしつつ、トリム部分を適正な大きさで確実に切断してトリム吸入口ヘのトリム部分の吸入及び吸入停止を確実にし得るコルゲートマシンを提供できるという優れた効果をも有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施の形態に係るコルゲートマシンの要部正面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るコルゲートマシンの平面図であって、段ボールシートの搬送を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るコルゲートマシンの平面図であって、トリムダクトの構造を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るコルゲートマシンの移動機構等を示す要部拡大側面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るコルゲートマシンの動作手順を示すフロー図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るコルゲートマシンで加工される段ボールシートの平面図である。
【図7】従来技術に係るコルゲートマシンの要部概略正面図である。
【図8】従来技術に係るコルゲートマシンにより加工された段ボールシートの平面図であって、(A)は適正にトリムカットされた状態を示す図であり、(B)はずれてトリムカットされた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係るコルゲートマシンの一実施の形態を図1から図6に示し、これらの図に基づき本実施の形態を説明する。
本実施の形態に係るコルゲートマシン10は、図示しないウェットエンド工程の他にドライエンド工程を備えていて、このドライエンド工程に用いられる装置の主要部を、図1及び図2に示すように被加工シートとされる段ボールシートSの搬送方向(矢印A方向)に沿って並んで配置されている2台のスリッター装置であるスリッタースコアラー装置12が、構成している。
【0033】
これら2台のスリッタースコアラー装置12が、搬送方向に沿って段ボールシートSの必要な箇所をそれぞれスリット加工すると共に、この段ボールシートSに折り曲げ用の罫線の加工をそれぞれ施している。つまり、各スリッタースコアラー装置12は、罫線の加工をする為の2つのスコアラー軸14、16及びこれらの下流側に位置してスリットするスリッター軸18を有していて、これらの軸でこれらの加工がされることになる。
【0034】
そしてこの際、段ボールシートSを所定の幅寸法にするために、段ボールシートSの両端部をこれら各スリッタースコアラー装置12のスリッター軸18の最外側のカッター19によりそれぞれスリットすることになり、これに伴って段ボールシートSのスリットした両端部にトリム部分Tが発生する。
【0035】
また、図1及び図3に示すように、これら2台のスリッタースコアラー装置12に対して段ボールシートSの搬送方向(矢印A方向)下流側であって各スリッタースコアラー装置12の両端部分には、トリム部分Tを吸入する為のトリム吸入口20が、支持台26を介してそれぞれ設置されている。つまり、スリッタースコアラー装置12が複数である2台存在すると共に、このスリッタースコアラー装置12の数に対応した数である二対だけトリム吸入口20が設けられていることになる。より具体的には、各スリッタースコアラー装置12の両端に各一つのトリム吸入口20が配置されていることになる。
【0036】
さらに、これらトリム吸入口20の部分には、トリム部分Tを吸入するか否かの選択が可能なように、シャッター22がそれぞれ設置され、このシャッター22の下流側にトリムダクト24が繋がっている。そして、このシャッター22は制御手段であるコントローラ50により開閉動作を制御されるようになっている。従って、トリム部分Tを吸入する場合にはこのシャッター22が開かれ、トリム部分Tを吸入しない場合にはこのシャッター22が閉じられるように、シャッター22の開閉がコントローラ50によって制御されるようになっている。
【0037】
各スリッタースコアラー装置12のスリッター軸18とトリム吸入口20との間とされる、各スリッタースコアラー装置12に対して段ボールシートSの搬送方向(矢印A方向)下流側の両端部分の2箇所には、スリッタースコアラー装置12の幅方向に沿って移動させる為の移動機構30を介して、トリム部分Tの始端及び終端を切断する為のトリムカット装置36の主要部分が支持台26に取り付けられることで、それぞれ設置されている。
【0038】
図4に示すように、これら2つの移動機構30は、スリッタースコアラー装置12の壁面に回転可能に設置されて支持台26と噛み合わされている送りネジ32、支持台26を案内するガイドレール33及び、この送りネジ32を回転するための移動用モータ34により、それぞれ構成されている。そして、この移動用モータ34もコントローラ50に接続されていて、移動用モータ34の回転量がコントローラ50により制御されるようになる。
【0039】
従って、この移動用モータ34が回転するのに伴って送りネジ32が回転することで、支持台26及びこの支持台26に搭載されたトリムカット装置36の主要部分が、段ボールシートSの搬送方向に対して略直交する方向に沿って移動することになる。
【0040】
さらに、これら2つのトリムカット装置36は、回転してトリム部分Tの始端及び終端を切断する為の長さ20cm程度の棒状に形成された切断刃であって回転切断刃とされる回転式の切断用バー38及び、切断の際に受けるためにこの切断用バー38と略並行にスリッタースコアラー装置12に設置された固定用受け刃46をそれぞれ有している。
【0041】
つまり、切断用バー38は、図1から図3に示す減速機40及びカップリング42を介して、支持台26に支持された200W程度の大きさの回転用モータ44に対して連結されており、固定用受け刃46は、スリッタースコアラー装置12の壁面に段ボールシートSの流れ方向と直交する形で固定されている。そして、この回転用モータ44がコントローラ50に接続されて動作がこのコントローラ50により制御されるようになっている。
【0042】
以上の結果として、コントローラ50により移動機構30の移動用モータ34で適正な位置であるトリムカット用刃物位置に制御しつつトリムカット装置36を移動して配置した後、同じくコントローラ50により回転のタイミングが制御されて、刃物待機位置38Aから回転用モータ44の駆動回転により減速機40で減速されつつ切断用バー38が1回転して、固定用受け刃46との間で段ボールシートSのトリム部分Tの始端及び終端を切断することになる。
【0043】
以上より、コントローラ50により制御されつつ移動機構30がこのトリムカット装置36を移動させることで、切断用バー38によるトリム部分Tの切断時において、段ボールシートSからトリム部分Tだけを切断する位置になるように、トリムカット装置36が確実に位置決め制御されることになる。
【0044】
次に、本実施の形態に係るコルゲートマシン10による動作手順を図5に基づき、以下に説明する。
まず、図5に示すステップS1において、一方のスリッタースコアラー装置12がオーダーデータにより罫線と刃物位置を算出して、スコアラー軸14、16及びスリットするスリッター軸18の位置決めを行って、罫線加工だけでなく図6に示すスリットCやトリム部分Tの切断加工がされる。次に、ステップS2において、紙幅データとトリムカット用刃物位置のデータによってトリムカット装置36の位置決めを行い、移動機構30により最適な位置に移動させる。
【0045】
この後、ステップS3に移りこのステップS3において、作製すべき段ボールのオーダーの切り替え時か否かの判断が行われ、現在のオーダーの必要数量が完了して、オーダーの切り替え時となるまで、この判断が繰り返される。オーダーの切り替え時期になったと判断された場合には、ステップS4に移りこのステップS4において、新たなオーダー用とされる他方のスリッタースコアラー装置12のスリッター刃物であるスリッター軸18の下降に同期させて切断用バー38を1回転させることで、段ボールシートSからトリム部分Tの始端だけを切断する。
【0046】
さらにこの後、ステップS5に移りこのステップS5において、ステップS3と同様に、オーダーの切り替え時か否かの判断が行われるが、この際には当然にオーダーの切り替え時期になっているので、ステップS6に移る。このステップS6においては、一方のスリッタースコアラー装置12のスリッター軸18の上昇に同期させて切断用バー38を1回転させることで、段ボールシートSからトリム部分Tの終端だけを切断する。そして、ステップS6の終了後にステップS1に戻って以上説明した動作手順が繰り返されることになる。
【0047】
以上より、本実施の形態に係るコルゲートマシン10による切り換え時とされる、旧オーダーの終了時と新オーダーの開始時に、それぞれトリム部分Tの始端及び終端のトリムカットTC1、TC2が図6に示すように実施されることになる。つまり、トリム部分Tの始端及び終端の切断がスリッタースコアラー装置12の上昇時と下降時のそれぞれに行われ、またトリムカット時の同期制御が容易となることにより、トリム吸入口20へのトリム部分Tの吸入や吸入停止がし易くなる。
【0048】
さらに、トリム部分Tのトリム吸入口20への吸入が容易となることで、操作員の作業量が減少し、段ボールシートSの品質管理により多くの時間を操作員が費やせるようになるのに伴い、段ボールシートSの品質向上も見込まれる。
【0049】
次に、本実施の形態に係るコルゲートマシン10の作用を以下に説明する。
本実施の形態のコルゲートマシン10によれば、ウェットエンド工程が終了して、ドライエンド工程に搬送されてくる段ボールシートSの両端部をスリッタースコアラー装置12がスリットするのに伴い、スリットされた段ボールシートSの両端部に発生するトリム部分Tをトリム吸入口20が吸入する。これに伴い、このドライエンド工程では、この段ボールシートSを所定寸法に加工して積載することになる。
【0050】
この一方、オーダー切り換え時における2台のスリッタースコアラー装置12の切り換えの際には、1回転してトリム部分Tを切断するトリムカット装置36の切断用バー38及び、段ボールシートSを切断用バー38とで挟みつつ切断する固定用受け刃46により、トリム部分Tの始端及び終端を切断する。
【0051】
そして、本実施の形態のコルゲートマシン10では、スリッタースコアラー装置12とトリム吸入口20との間にこのトリムカット装置36が設置されているが、この際、切断用バー38による切断位置がトリム部分Tの適正な始端位置及び終端位置となるように、コントローラ50が移動用モータ34の動作を制御することで、切断用バー38による切断位置が位置決め制御されている。
【0052】
従って、本実施の形態のコルゲートマシン10によれば、スリッタースコアラー装置12に対して段ボールシートSの搬送方向下流側にトリムカット装置36が位置することになるので、スリッタースコアラー装置12を通過する際に段ボールシートSが引っかからなくなる。さらに、スリッタースコアラー装置12の切り換え時において、トリム部分Tの始端及び終端がトリムカット装置36により段ボールシートSから適正な大きさで確実に切断されて分離され、このトリム部分Tのトリム吸入口20ヘの吸入及び吸入停止が確実に行われる。
【0053】
さらに、本実施の形態によれば、コントローラ50が移動用モータ34の動作を制御するのに伴って、切断用バー38の切断位置を位置決め制御することで、装置全幅に対応する大きさの上側ロールを回転させる場合と比較して、小さな力で切断可能となる。この結果として、小さな容量の回転用モータ44を用いることができるのに伴い、切断の為の所要動力を小さくすることもできる。つまり、従来のトリムカット装置の駆動用モータは3.7KW程度であるのに対して、本実施の形態では回転用モータ44が200W程度と小さな容量となる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、段ボールシートSの搬送方向に対して略直交する方向に延びる形で固定される固定用受け刃46が、切断用バー38に対応して存在し、これら切断用バー38と固定用受け刃46とで段ボールシートSを挟みつつ切断するので、トリム部分Tを確実且つ容易に切断できるようにもなる。
【0055】
他方、本実施の形態に係るコルゲートマシン10によれば、スリッタースコアラー装置12が複数である2台存在すると共に、このスリッタースコアラー装置12の数に対応してトリム吸入口20が二対設けられている。そして、2台のスリッタースコアラー装置12間の切り換え動作に同期して切断用バー38を回転させて、トリム部分Tの始端及び終端をトリムカット装置36で切断して、トリム吸入口20へのトリム部分Tの吸入及び吸入停止をしている。
【0056】
つまり、本実施の形態によれば、オーダー切り換え時におけるスリッタースコアラー装置12の切り換えに伴い、この切り換え動作に同期してトリムカット装置36の切断用バー38を回転させて、旧オーダーのトリム部分Tの終端をトリムカット装置36により図6に示すトリムカットTC1の位置で切断することにより、このトリム部分Tの終端が段ボールシートSから確実に分離されて、トリム吸入口20へのトリム部分Tの吸入停止が確実に行われる。
【0057】
また、新たなオーダー側に関しては、トリム部分Tの始端をトリムカット装置36により図6に示すトリムカットTC2の位置で切断することにより、トリム部分Tの始端が段ボールシートSから確実に分離されて、トリム吸入口20へのトリム部分Tの吸入が確実に行われるようになる。
【0058】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は係る実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施の形態では、トリムカット装置及びトリム吸入口の移動機構を兼用したが、これらトリムカット装置及びトリム吸入口を個々に移動するような構造としても良い。さらに、上記実施の形態では、スリッター装置をスリッタースコアラー装置としたが、この替りにスリッター装置をスリッタースリッター装置としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、段ボール製品を製造するためのコルゲートマシンに利用可能となる他、製品とならないトリム部分が発生するような他の産業用機械に適用可能となる。
【符号の説明】
【0060】
10 コルゲートマシン
12 スリッタースコアラー装置(スリッター装置)
20 トリム吸入口
30 移動機構
36 トリムカット装置
38 切断用バー(切断刃、回転切断刃)
46 固定用受け刃
50 コントローラ(制御手段)
S 段ボールシート(被加工シート)
T トリム部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される被加工シートの端部をスリットするスリッター装置と、
被加工シートのスリットされた端部に発生するトリム部分を吸入するトリム吸入口と、
トリム部分の始端及び終端を切断する切断刃を有するトリムカット装置と、
を備えたコルゲートマシンであって、
トリムカット装置が、スリッター装置とトリム吸入口との間に設置されたことを特徴とするコルゲートマシン。
【請求項2】
切断刃が、回転してトリム部分を切断する回転切断刃とされ、
回転切断刃による切断位置がトリム部分の始端位置及び終端位置となるように、
制御手段が、回転切断刃の切断位置を位置決め制御することを特徴とする請求項1記載のコルゲートマシン。
【請求項3】
回転切断刃とで被加工シートを挟みつつ切断する固定用受け刃が、被加工シートの搬送方向に対して略直交する方向に延びる形でスリッター装置に固定されることを特徴とする請求項2記載のコルゲートマシン。
【請求項4】
スリッター装置が複数存在すると共に、このスリッター装置の数に対応した数だけトリム吸入口が設けられ、
複数のスリッター装置間の切り換え動作に同期して回転切断刃を回転させて、トリム部分の始端及び終端を切断して、トリム吸入口へのトリム部分の吸入及び吸入停止をすることを特徴とする請求項2記載のコルゲートマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−179547(P2010−179547A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24464(P2009−24464)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(592094519)ダイオーエンジニアリング株式会社 (7)
【Fターム(参考)】