コレステリック液晶を含まない高分子膜、高分子膜及び反射式表示モジュール
【課題】そのフォトニック結晶構造が高価なコレステリック液晶を必要とせずに直接形成されて、さらには、高分子膜がいかなる液晶または液体を有さずともブラッグ反射特性を有して、大幅な製造コストダウンを図り、その応用性を拡大する高分子膜を提供する。
【解決手段】コレステリック液晶を含まない高分子膜2aであって、フォトニック結晶構造を有することを特徴とする。また、上述の高分子膜2aが流体22を有し、流体が高分子膜2aの膜材21に充填される。各種の異なる流体によって、高分子膜2aにブラッグ反射させることにより、異なる波長の反射光を発生させて、その応用性を拡大する。流体が異方性液体である時、高分子膜2aは、さらに、電場コントロールによる反射式表示モジュールに応用される。また、左、右旋液晶を複製した高分子膜2aを重ねて、反射光の輝度を高めることも開示する。
【解決手段】コレステリック液晶を含まない高分子膜2aであって、フォトニック結晶構造を有することを特徴とする。また、上述の高分子膜2aが流体22を有し、流体が高分子膜2aの膜材21に充填される。各種の異なる流体によって、高分子膜2aにブラッグ反射させることにより、異なる波長の反射光を発生させて、その応用性を拡大する。流体が異方性液体である時、高分子膜2aは、さらに、電場コントロールによる反射式表示モジュールに応用される。また、左、右旋液晶を複製した高分子膜2aを重ねて、反射光の輝度を高めることも開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学結晶高分子膜に関し、特に、コレステリック液晶を含まない高分子膜、高分子膜及び反射式表示モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display, FPD)は、その製造技術の発展と、フラットパネルディスプレイが薄型、かつ低消費電力であり、さらに輻射汚染がない等のメリットを有することから、徐々に従来の陰極線管(Cathode Ray Tube, CRT)ディスプレイに取って代わり、各種電子製品に応用されている。このうち、コレステリック液晶(Cholesteric Liquid Crystal)は、ディスプレイ技術に応用され、特に、電子ペーパーのような双安定性を有するディスプレイに応用されている。
【0003】
図1は、コレステリック液晶11の分子配列を示した図である。コレステリック液晶は、基本的には、非対称炭素原子(chiral center)を有する。これは、対称性コレステリック液晶か、対称性化合物を添加した非対称性液晶である。これらの分子が構成する液晶は、その分子が層状に平行に堆積して配列し、層と層が互いに平行であることにより、各層における分子は、ネマチックのように互いに同じ方向に配列しており、その長軸と層面は平行である。隣り合う両層間において、分子の長軸方向は規則的に順次に一定の角度に回転し、それぞれの層が回転して一種の螺旋状態構造を形成する。液晶分子の長軸方向は、さらに360度に一周回転した後、再び、同じ方向に戻ってピッチPを形成する。このタイプの液晶分子は、特殊な螺旋構造であるため、入射光を振れ回転させて、特殊な波長の光を射出する。そして、ピッチPはその最も強烈な反射光線の波長を決定する。
【0004】
図2及び図3は、コレステリック液晶の分子配列を示した図である。図2は、コレステリック液晶11が両ガラス基板12、13によって挟まれ、さらに、底部に黒色吸収層14が設置された状態を示している。追加の電場を有さない時、コレステリック液晶11は平面螺旋型(planar texture)であり、その螺旋周期(ピッチ)が、およそ光線の波長に等しいことにより、このような周期性構造は特定の波長の光線にブラッグ(Bragg)反射を発生させる。その反射光のピークはλ=nP(nは平均屈折率)である。一般に、それは特定の波長範囲の光線を反射するのに用いられ、光学素子及び液晶ディスプレイの設計に応用される。図3は、垂直螺旋型のコレステリック液晶(focal-conic)配列である。
【0005】
現在、ブラッグ反射特性を有する光学膜の設計は、コレステリック液晶設計によるもので、純コレステリック液晶膜またはコレステリック液晶を混合した高分子膜を含む。
【0006】
このうち、高分子安定型コレステリック液晶において、少量のモノマー(濃度は20%以下)を添加することで、モノマーに高分子を形成させて、コレステリック液晶中に散布し、コレステリック液晶の平面螺旋型を安定させて、ブラッグ反射の効果を達成する。しかしながら、コレステリック液晶の価格は高く、大幅なコストアップとなるため、これまで実用化を困難にしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の目的は、フォトニック結晶構造を有し、前記フォトニック結晶構造が高価なコレステリック液晶を必要とせずに直接形成されて、さらには、高分子膜がいかなる液晶または液体を有さずともブラッグ反射特性を有して、大幅な製造コストダウンを図り、その応用性を拡大する高分子膜を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のコレステリック液晶を含まない高分子膜は、フォトニック結晶構造を有することを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の高分子膜は、膜材及び流体を備える。膜材はフォトニック結晶構造を有し、流体が膜材に充填される。前記流体は空気、モノマー、またはその他の等方性及び異方性の材料である。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の反射式表示モジュールは、フォトニック結晶構造を有する高分子膜及び駆動回路を備える。高分子膜は、膜材及び異方性液体を含む。膜材はフォトニック結晶構造を有して、異方性液体が膜材に充填される。駆動回路は異方性液体を駆動する。
【0011】
一実施例において、フォトニック結晶構造は、コレステリック液晶構造であり、コレステリック液晶によって転写(imprinting)、または、非対称性液晶に光学活性添加剤(chiral dopant)が混合されることで転写されて形成される。製造ステップにおいては、液晶が使用されるが、製成された完成品中には、高価なコレステリック液晶は含まれないため、大幅な製造コストの削減が可能である。
【0012】
一実施例において、高分子膜の少なくとも二個の領域は、異なるピッチ(pitch)及び/または屈折率を有する。したがって、高分子膜は異なる波長の反射光を発生させて、その応用を拡大する。例えば、高分子膜は、三原色の反射光を発生させることで、反射式表示モジュールに応用されて、静態または動態のカラー画面を表示する。例えば、カラー画像記録、または、太陽電池等デバイスの外観のカラー図案設計である。
【0013】
一実施例において、流体は気体または液体である。このうち、液体は、等方性液体または異方性液体である。等方性液体は、例えば溶剤、モノマー、または、その混合であり、異方性液体は、例えば液晶である。このうち、流体が異方性液体である場合は、電場駆動によって異方性液体を制御することで表示機能が達成され、さらに、応用される表示モジュールにおいて、高分子膜が必要とする充填液体(例えば、液晶)の量を大幅に減少させることが可能である。表示モジュールは、例えば、電子ペーパー、ディスプレイ、屋外看板、広告看板等である。
【0014】
一実施例において、高分子膜は太陽電池素子に設置される。反射光の波長がコントロールされて、本発明が太陽電池の表面のカラー設計に応用されることで、太陽電池に必要な波長光が高分子膜を通過し、その他の可視光波長の反射を利用して、太陽電池の外観のカラー図案を設計することが可能であり、従来の太陽電池の黒色の外観のイメージを一新させる。
【0015】
一実施例において、高分子膜は、バックライトモジュールに設置されて、光増強膜となる。
【0016】
一実施例において、高分子膜は透光素子に連結される。透光素子は、例えば、ガラス、高分子膜(例えば、リリース紙またはプラスチックフィルム)である。異なる媒介と高分子膜の連結により、異なる状況において高分子膜の応用が可能である。例えば、ガラスに設置することで高分子膜をディスプレイに応用することが可能であり、他の高分子膜に設置することで高分子膜を粘着方式で直接表示が必要な位置にコーティングしたり、リリース紙に設置することで高分子膜を製品の方式に応じて組立て業者に販売することが可能である。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、多層構造の光学膜も開示する。前記光学膜は、複数の上述の高分子膜を備え、前記高分子膜は、それぞれ左旋性及び右旋性液晶を利用して複製されることにより、高分子膜の反射光の輝度を高める。右旋性または左旋性コレステリック液晶を使用して転写される場合、理論上は、半分(50%)の入射光を反射するのみである。このため、左旋及び右旋コレステリック液晶を複製した高分子膜を重ねれば、全光反射(100%)の光学膜を製成することが可能である。また、例えば、照光式重合法等の従来の技術を使用して、液晶を複製させた高分子膜に複数のピッチを含ませて、反射光を増幅して全可視光(400nm至800nm)を反射する。
【0018】
このように、本発明の高分子膜は、コレステリック液晶を含まずして、フォトニック結晶構造を有する、従来にはなかった新製品である。さらに、高分子膜は、いかなる液晶または液体をも含まず、ブラッグ反射特性を有する。このため、大幅な製品コストの削減が可能であり、その応用性を拡大する。本発明は、他の上述の高分子膜が流体を有し、流体が高分子膜の膜材に充填されることも開示する。各種の異なる流体の屈折率は、高分子膜にブラッグ反射によって異なる波長の反射光を発生させて、それぞれの応用性を高める。流体が異方性液体である場合は、高分子膜はさらに反射式表示モジュールに応用される。また、本発明の高分子膜の少なくとも2個の領域は、異なるピッチ(pitch)及び/または屈折率を有することで、高分子膜のカラー画素及びそのサブピクセルの確立が可能である。さらに、カラー表示の目的を達成する。また、本発明の高分子膜自身、従来の液晶表示モジュール中のカラーフィルター層及び液晶層の機能も併せ持つ。したがって、さらなる薄型が可能で、コストの削減も可能である。さらに、高分子膜が応用する表示モジュールは、フレキシブル(flexible)である。また、本発明の高分子膜のフォトニック結晶構造は、高価なコレステリック液晶を含まないため、大幅な製品コストの削減が可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の高分子膜は、コレステリック液晶を含まずして、フォトニック結晶構造を有する、従来にはなかった新製品である。さらに、高分子膜は、いかなる液晶または液体をも含まず、ブラッグ反射特性を有する。このため、大幅な製品コストの削減が可能であり、その応用性を拡大する。本発明は、他の上述の高分子膜が流体を有し、流体が高分子膜の膜材に充填されることも開示する。各種異なる流体の屈折率は、高分子膜にブラッグ反射によって異なる波長の反射光を発生させて、それぞれの応用性を高める。當流体が異方性液体である場合は、高分子膜はさらに反射式表示モジュールに応用される。また、本発明の高分子膜の少なくとも2個領域は、異なるピッチ(pitch)及び/または屈折率を有することで、高分子膜のカラー画素及びそのサブピクセルの確立が可能である。さらに、カラー表示の目的を達成する。また、本発明の高分子膜自身、従来の液晶表示モジュール中のカラーフィルター層及び液晶層の機能も併せ持つ。したがって、さらなる薄型が可能で、コストの削減も可能である。さらに、高分子膜が応用する表示モジュールは、フレキシブル(flexible)である。また、本発明の高分子膜のフォトニック結晶構造は、高価なコレステリック液晶を含まないため、大幅な製品コストの削減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】コレステリック液晶の分子配列を示した図である。
【図2】コレステリック液晶が平面螺旋型配列であり、ブラッグ反射特性を有することを示した図である。
【図3】コレステリック液晶が垂直螺旋型配列であることを示した図である。
【図4】本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を有する高分子膜を示した図である。
【図5】本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を有する高分子膜に流体を充填した状態を示した図である。
【図6】本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を透光素子に連結した状態を示し、(A)は高分子膜が2枚のガラス基板の間に挟まれた状態のものを示し、(B)は高分子膜が他の高分子膜と接合された状態のものを示し、(C)高分子膜が他の高分子膜に覆われた状態のものを示している。
【図7】本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法のフローチャートである。
【図8】本発明の好適な実施例においてマスクによって照光ステップが進行することを示した図である。
【図9】本発明の好適な実施例における高分子膜の横断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像図を示し、(A)は高分子膜全体の画像図であり、(B)は(A)の中の菱形フレームの部分の拡大画像図である。
【図10】本発明の好適な実施例における高分子膜及びその異なる液体を充填した時に異なる波長に対する反射率を示した図である。
【図11】本発明の好適な実施例における高分子膜のネマチック液晶を充填して異なる温度まで加熱した場合の反射率を示した図である。
【図12】本発明の好適な実施例におけるレーザーによる照光ステップを示した図である。
【図13】本発明の好適な実施例における反射式表示モジュールを示した図である。
【図14】透明導電膜を高分子膜の両側にコーティングした状態を示した図である。
【図15】複数の高分子膜を重ねた状態を示した図である。
【図16】高分子膜を太陽電池素子に設置した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照しながら、本発明の好適な実施例におけるコレステリック液晶を含まない高分子膜、高分子膜及び反射式表示モジュールについて説明する。
【0022】
図4を参照しながら説明する。本発明の好適な実施例における高分子膜2は、フォトニック結晶構造(photonic crystal structure)を有する。フォトニック結晶構造は、例えば、コレステリック液晶構造であり、高分子膜2にブラッグ反射特性を提供する。コレステリック液晶構造は、コレステリック液晶によって転写(imprinting)されるか、非対称性液晶(achiral LC)に光学活性添加剤(chiral dopant)を混合して転写されることで形成される。製品中に高価なコレステリック液晶を含まないため、大幅なコスト削減が可能である。
【0023】
図5を参照しながら説明する。本発明の好適な実施例における他の高分子膜2aは、膜材21を有するだけでなく、さらに、流体22が膜材21に充填される。流体は、気体または液体である。流体22を膜材21に充填することにより、元の膜材21の光線反射の波長を変化させることができる。このうち、液体は、等方性液体または異方性液体で、等方性液体は、例えば、溶剤、モノマー、または、その混合である。そして、異方性液体は、液晶である。このうち、液体が、モノマーである場合は、モノマーは重合され、例えば、照光によって重合反応を発生させる。重合が発生すると、固体状態を形成してエッジシーリングの必要がなく、高分子膜の安定性及び利便性が高まる。流体が異方性液体である場合、電場駆動により異方性液体分子をコントロールすることで、表示機能を達成する。温度によって異方性を等方性の屈折率に変化させて、反射の色彩変化を達成させることも可能であり、感温性図案設計に用いられる。当然、加熱器を利用して反射色彩を変化させることも可能である。さらに、応用した表示モジュールにおいて、高分子膜が必要とする充填液体(例えば、液晶等)の量を大幅に減少させることが可能である。表示モジュールは、例えば、電子ペーパー、ディスプレイ、屋外看板、広告看板等である。また、本発明の高分子膜自身、従来の液晶表示モジュール中のカラーフィルター、反射層及び液晶層の機能を有するため、光学素子設計の際に、より薄型で低コストを実現させることが可能である。さらに、高分子膜が応用される表示モジュールはフレキシブル(flexible)である。
【0024】
上述の高分子膜2または2aは、透光素子に連結されて、その応用性を拡大する。透光素子は、例えば、ガラス、高分子膜(例えば、リリース紙、プラスチックフィルム)である。異なる媒介と高分子膜を連結させることで、異なる高分子膜への応用が可能である。例えば、ガラスに設置することで高分子膜を表示モジュールに応用することが可能であり、他の高分子膜に設置することで高分子膜を粘着方式で直接必要な表示位置にコーティングしたり、リリース紙に設置することで高分子膜を製品の方式に応じて組立て業者に販売することが可能である。図6の(A)に示したように、高分子膜2(または2a)は、二枚のガラス基板G1、G2の間に挟まれるように設置される。さらに、高分子膜2(または2a)の周囲は、接着剤Sによって封止される。図6の(B)に示したように、高分子膜2(または2a)は、他の高分子膜PF1に連結される。図6の(C)に示したように、高分子膜2(または2a)は、高分子膜PF2(または、複数の高分子膜)に連結されて覆われる。上述の高分子膜と透光素子の連結関係は、例を挙げたものに過ぎず、本発明の内容を制限するものではない。
【0025】
図14から図16は、それぞれ本発明の好適な実施例における異なる態様の高分子膜を示したものである。
【0026】
図14に示したように、透明導電膜TCは、高分子膜2(または2a)の一側にコーティングされる。ここでは、二枚の透明導電膜TCが、それぞれ高分子膜2の上下両側にコーティングされた場合を例とする。当然、高分子膜2が上側のみに用いられて表示の目的に供される場合は、下側の導電膜は不透光性である。透明導電膜は、高分子膜内に充填される流体(例えば、異方性液体)の分子配列及び屈折率をコントロールすることにより、反射光の色を変化させることが可能である。
【0027】
図15に示したように、複数の高分子膜2(または2a)は、重ねられて多層構造の高分子膜となる。さらに、前記高分子膜2は、それぞれ左旋液晶及び右旋液晶によって製成されることで、高分子膜の反射光の輝度を高める。右旋性または左旋性コレステリック液晶によって転写される場合、理論上は、半分(50%)の入射光を反射するのみである。このため、左旋及び右旋コレステリック液晶を複製した高分子膜を重ねれば、全光反射(100%)の光学膜を製成することが可能である。
【0028】
図16に示したように、高分子膜2(または2a)は、太陽電池素子SCに設置される。反射光の波長がコントロールされることで、本発明が太陽電池の表面のカラー設計に応用され、太陽電池素子SCに必要な波長光が高分子膜を通過し、その他の可視光波長の反射を利用して、太陽電池の外観のカラー図案を設計することが可能であることにより、従来の太陽電池の黒色の外観のイメージを一新する。
【0029】
以下に、例を挙げて、高分子膜2の製造方法について説明する。図7に示したように、前記高分子膜2の製造方法は、ステップS01からステップS04を備える。
【0030】
ステップS01は、混合ステップである。少なくとも、非対称性液晶(achiral liquid crystal)、光学活性添加剤(chiral dopant)、モノマー(monomer)及び光開始剤(photo initiator)を混合して、液晶モノマー混合物(liquid-crystal-monomer mixture)を製成する。このステップにおいて、先に、非対称性液晶、モノマー、光開始剤を混合してから、光学活性添加剤を混合物中に添加することも可能である。最後に、混合物を内側表面に対して平行処理を施した透光容器(cell)(例えば、ガラス容器)中に充填する。このステップにおいて、直接コレステリック液晶(光学活性添加剤を必要としない)を混合して、照光重合させて、フォトニック構造を添加させるステップを行うことも可能である。ガラス容器は、いかなる透光性を有するプラスチックフィルム等に変更することも可能である。
【0031】
本実施例において、非対称性液晶は、対称性(chirality)を有さない液晶を意味する。例えば、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶である。光学活性添加剤は、非対称性液晶を誘導して螺旋配列を発生させ、その対称性を付与する。光学活性添加物は、例えば、 シアノビフェニル(cyanobiphenyl)派生物である。モノマーは、単官能モノマーまたは二官能モノマー、または、その混合である。ここでは、単官能モノマーの場合を例とする。これは、液晶相のモノマーを有し、光重合反応によってコレステリック液晶の螺旋構造を複製する効果を達成する。モノマーは、例えば、BAHB(4,4’-Bis(6-acryloyxy-hexyloxy)biphenyl)である。光開始剤の作用は、モノマーに照光時に光重合反応を発生させる。市販の光開始剤はいずれも使用可能である。
【0032】
本実施例において、非対称性液晶の重量パーセンテージは、10%から80%の間で、モノマーの重量パーセンテージは、20%から90%の間である。ここで、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤の混合比例は、53%、13%、33%及び1%である。室温下で均一に混合した後、液晶モノマー混合物はコレステリック液晶相を呈する。ここで注意すべきは、本実施例は、重合されるモノマーの重量パーセンテージ(従来は20%以下)を高めることにより、高分子膜のポリマーの対称性の転写率を高めることができるという点である。これは、高分子膜におけるフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を高めるのに役立つ。本ステップにおける組成物は、コレステリック液晶、モノマー、開始剤等を使用して混合してから、平行配列処理された液晶槽(cell)に充填することも可能である。
【0033】
ステップS02は、照光ステップである。マスクによって、液晶モノマー混合物に対して照光を行なう。ここでは、紫外光(例えば、254nm)によって照光を行ない、照光ステップを経た後、モノマーは光重合反応を生じてポリマーを形成して、液晶の対称性をポリマーに転写する。本実施例では、コレステリック液晶相によって転写を行なうため、高分子膜が有するフォトニック結晶構造はコレステリック液晶構造である。照光ステップは、図8で示したように、紫外光がマスクMによって液晶モノマー混合物2に対して照光を行なって、少なくとも1個の照光領域A1を形成する。ここでは、不限制マスクMの図案は制限されない。
【0034】
ステップS03は、拡散ステップである。液晶モノマー混合物LMのうち、照光領域A1の周囲のモノマーを照光領域A1に拡散させる。照光領域において照光されると、このうちのモノマーはすでにポリマーとなる。このため、照光領域内のモノマーの濃度が照光領域周囲のモノマーの濃度より小さいことにより、照光領域周囲のモノマーが照光領域A1内に拡散されることで、再び光重合が行われやすくなる。このようにして、モノマーの重合率が高まる。ここでは、拡散ステップにおいて、液晶モノマー混合物が一定時間静置される。さらに、静置ステップにおいて、液晶モノマー混合物が照光を受けるのを回避する。また、本発明の製造方法は、複数回の照光及び拡散ステップを繰り返すことにより、大幅にモノマーの重合率が高まる。このうち、複数回の照光ステップにおいて、同じ領域または異なる領域に対して照光が行なわれる。
【0035】
ステップS04は、液晶除去ステップであり、非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。このステップにおいては、有機溶剤によって液晶を除去する。有機溶剤は、例えば、アセトンまたはクロロフォルムである。液晶は高分子膜中から完全に除去されて乾燥される。二官能基は耐性を有するため、モノマーは架橋(crosslink)後は溶解せず、よって、有機溶剤がポリマーを除去するのを回避する。また、単官能モノマーに多官能モノマーを混合させて、クロスリンクポリマーを形成させることが可能で、溶剤に溶解されるのを回避する。図9の(A)及び(B)は、高分子膜の横断面図の走査型電子顕微鏡(SEM)画像図であり、高分子の高転化率構造が見られる。このうち、(B)は(A)中の菱形フレームの領域の拡大図である。このようにして、高分子膜2が形成される。
【0036】
図10は、ステップS04を経た後に発生した高分子膜(Empty)の異なる波長に対する反射率を示した図である。高分子膜は、すなわち液晶分子またはその他の液体を含まずして、ブラッグ反射特性を有する。また、製造方法は、さらに、充填ステップを備えて、流体が高分子膜に充填される。流体は気体または液体である。液体は、等方性液体または異方性液体である。このうち、等方性液体は、例えば、溶剤である。異方性液体は、例えば、液晶である。溶剤は、例えば、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran, THF)、クロロフォルムまたはトルエンである。液晶は、例えば、コレステリック液晶、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶である。図10は、高分子膜にメタノール(屈折率=1.3284)、アセトン(屈折率=1.3586)、テトラヒドロフランTHF(屈折率=1.4072)、クロロフォルム(屈折率=1.4458)及びトルエン(屈折率=1.4969)を充填した時の異なる波長に対する反射率を示す。溶剤の屈折率の変化に伴い、その反射光の波長が異なる。この現象は、ブラッグ反射の原理λ=nP(nは平均屈折率)に適合する。
【0037】
図11を参照しながら説明する。ネマチック液晶を充填した高分子膜を、前記液晶の等方性相温度(約90度)を超すまで加熱しても、高分子膜は安定したブラッグBragg反射特性を有する。これは、本発明の高分子膜が極めて優れた温度安定性を有することを示している。
【0038】
また、流体が充填された後、高分子膜の製造方法はさらに、流体をさらに重合させるステップを備える。流体に重合が発生すると、固体状態を形成してエッジシーリングの必要がなく、高分子膜の安定性及び利便性が高まる。
【0039】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法の混合ステップは、少なくとも対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することも可能である。ここでは、直接対称性液晶を使用して対称性を高分子膜に転写するもので、非対称性液晶に光学活性添加剤を加えることによるものではない。
【0040】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法はさらに、配向させるステップを有して、前記液晶モノマー混合物を配向させる。例えば、透光容器の内側表面を平行配向処理を施すことによって、配向効果を達成する。平行配向処理は、高分子、有機、または無機層によって処理される。液晶モノマーを透光容器に充填または透光容器中に混合した時、配向ステップにおいて、液晶モノマー混合物に平面螺旋型(planar texture)を呈する。配向させた後、液晶モノマー混合物に対して照光重合を行なってから、後続のステップを進行させる。
【0041】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法における照光ステップでは、レーザーによって液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に対して照光を行なうことも可能である。図12を参照しながら説明する。レーザーヘッドLは、液晶モノマー混合物2の複数の照光領域A1(例えば、点線の範囲)に対して照射を行なうことにより、前記照光領域A1のモノマーに光重合反応を発生させてポリマーにする。その後、さらに、拡散ステップによって、モノマーを照光領域A1内に拡散させる。当然、照光ステップ及び拡散ステップを繰り返すことで、モノマーの重合率を高め、さらに、複数の照光ステップにおいて、レーザーが同じ領域または異なる領域に照射される。また、照光領域A1の形状及び複数の照光領域A1の配列方式は、ここでは制限されない。
【0042】
また、マスク、レーザーまたはマスクとレーザーを結合させた方法のいかなる方式による照光ステップを実行しても、液晶モノマー混合物の少なくとも二個の照光領域は、異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間を有する。したがって、前記照光領域は異なるピッチ(pitch)及び/または屈折率を形成して、異なる波長の光線にブラッグ反射を発生させて、高分子膜の応用性を拡大する。例えば、隣接して反射する三原色の三つの照光領域を形成する。
【0043】
図13を参照しながら説明する。図13は、本発明の好適な実施例における高分子膜を応用した反射式表示モジュール3である。反射式表示モジュール3は、フォトニック結晶構造を有する高分子膜2a及び駆動回路4を備える。高分子膜2aは、異方性液体(anisotropic liquid)が充填され、異方性液体は、対称性液晶(例えば、コレステリック液晶)または非対称性液晶(例えば、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶)を含む。高分子膜2aはすでに上述の実施例で詳しく述べているため、ここでは詳述しない。駆動回路4は、異方性液体分子を駆動して回転させて、異方性分子をコントロールし、異なる配置方向にすることで、屈折率、反射光の色を変更させて表示の目的を達成する。
【0044】
本実施例において、高分子膜2aは、複数の画素(ピクセル)Pを有する。各画素Pは、複数のサブピクセルP11を有する。ここでは、サブピクセルP11が三個の場合を例とし、それぞれR、G、Bが画素Pを構成する。前記サブピクセルの配列は、各種の従来の方法で配列させることが可能である。前記サブピクセルP11のピッチ(pitch)及び/または屈折率は異なる。高分子膜2の光線反射はBragg方程式:λ=nP(nは平均屈折率)に適合する。したがって、本発明は、異なるピッチ、または、異なる屈折率、または、異なるピッチ及び屈折率のサブピクセルを設置することで、表示の目的を達成する。例えば、静態画面または動態画面の表示にする場合は、表示モジュールは、例えば、カラー画像記録とする。本実施例においては、各画素が三原色を有することで多色表示が可能であり、カラー表示の効果を達成する。
【0045】
各サブピクセルP11は、例えば、異なる液体を含むことで、異なる屈折率及びピッチを有する。また、各サブピクセルP11に対する照光回数または照射光線の波長、強度の大小、または、拡散時間の長短によって、各サブピクセルP11のピッチ及び/または屈折率が変化する。
【0046】
駆動回路4は、走査駆動回路41及びデータ駆動赤色42を備えることで、高分子膜2の薄膜トランジスタ基板を駆動する。走査駆動回路41は、スキャン信号SSを薄膜トランジスタ基板に転送してトランジスタを伝動させ、データ駆動回路42は、データ信号SDを転送してトランジスタを駆動し、電圧を加えることで異方性液体分子を異なる配向状態に操作してカラー表示の目的を達成する。
【0047】
注意すべき点は、本実施例における反射式表示モジュール3は、異方性液体分子の使用量を減少させただけでなく、コレステリック液晶を使用する必要がないことでコスト削減を達成した点にある。また、高分子膜2a自身、従来の液晶表示モジュール中のカラーフィルター及び液晶層の機能も併せ持つため、さらなる薄型化及びコスト削減が可能である。さらに、本発明の反射式表示モジュール3は、フレキシブル(flexible)である。
【0048】
このように、本発明の高分子膜は、コレステリック液晶を含まずして、フォトニック結晶構造を有する、従来にはなかった新製品である。さらに、高分子膜は、いかなる液晶または液体をも含まず、ブラッグ反射特性を有する。このため、大幅な製品コストの削減が可能であり、その応用性を拡大する。本発明は、他の上述の高分子膜が流体を有し、流体が高分子膜の膜材に充填されることも開示する。各種の異なる流体は、高分子膜にブラッグ反射によって異なる波長の反射光を発生させて、それぞれの応用性を高める。流体が異方性液体である場合は、高分子膜はさらに反射式表示モジュールに応用される。また、本発明の高分子膜の少なくとも2個の領域は、異なるピッチ(pitch)及び/または屈折率を有する。したがって、高分子膜の画素及びそのサブピクセルの確立が可能であり、さらに、表示の目的を達成する。また、本発明の高分子膜自身、従来の液晶表示モジュール中のカラーフィルター層及び液晶層の機能も併せ持つ。したがって、さらなる薄型が可能で、コストの削減も可能である。さらに、高分子膜が応用する表示モジュールは、フレキシブル(flexible)である。また、本発明の高分子膜のフォトニック結晶構造は、高価なコレステリック液晶による転写を必要としないため、大幅な製品コストの削減が可能である。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は以上のように構成したので、製造コストの安価な電子ペーパー、フラットパネルディスプレイ装置、広告用看板、バックライトモジュール、太陽電池の外側に設けるカラー図案等に用いることができ、その用途は今後さらに拡大されることが予測される。
【符号の説明】
【0051】
11 コレステリック液晶
12、13 ガラス基板
14 黒色吸収層
2、2a 高分子膜
21 膜材
22 流体
A1 照光領域
G1、G2 ガラス基板
L レーザーヘッド
LM 液晶モノマー混合物
M マスク
P ピッチ
PF1、PF2 高分子膜
S 接着剤
S01〜S04 フォトニック結晶構造を有する高分子膜製造方法のステップ
SC 太陽電池素子
TC 透明導電膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学結晶高分子膜に関し、特に、コレステリック液晶を含まない高分子膜、高分子膜及び反射式表示モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display, FPD)は、その製造技術の発展と、フラットパネルディスプレイが薄型、かつ低消費電力であり、さらに輻射汚染がない等のメリットを有することから、徐々に従来の陰極線管(Cathode Ray Tube, CRT)ディスプレイに取って代わり、各種電子製品に応用されている。このうち、コレステリック液晶(Cholesteric Liquid Crystal)は、ディスプレイ技術に応用され、特に、電子ペーパーのような双安定性を有するディスプレイに応用されている。
【0003】
図1は、コレステリック液晶11の分子配列を示した図である。コレステリック液晶は、基本的には、非対称炭素原子(chiral center)を有する。これは、対称性コレステリック液晶か、対称性化合物を添加した非対称性液晶である。これらの分子が構成する液晶は、その分子が層状に平行に堆積して配列し、層と層が互いに平行であることにより、各層における分子は、ネマチックのように互いに同じ方向に配列しており、その長軸と層面は平行である。隣り合う両層間において、分子の長軸方向は規則的に順次に一定の角度に回転し、それぞれの層が回転して一種の螺旋状態構造を形成する。液晶分子の長軸方向は、さらに360度に一周回転した後、再び、同じ方向に戻ってピッチPを形成する。このタイプの液晶分子は、特殊な螺旋構造であるため、入射光を振れ回転させて、特殊な波長の光を射出する。そして、ピッチPはその最も強烈な反射光線の波長を決定する。
【0004】
図2及び図3は、コレステリック液晶の分子配列を示した図である。図2は、コレステリック液晶11が両ガラス基板12、13によって挟まれ、さらに、底部に黒色吸収層14が設置された状態を示している。追加の電場を有さない時、コレステリック液晶11は平面螺旋型(planar texture)であり、その螺旋周期(ピッチ)が、およそ光線の波長に等しいことにより、このような周期性構造は特定の波長の光線にブラッグ(Bragg)反射を発生させる。その反射光のピークはλ=nP(nは平均屈折率)である。一般に、それは特定の波長範囲の光線を反射するのに用いられ、光学素子及び液晶ディスプレイの設計に応用される。図3は、垂直螺旋型のコレステリック液晶(focal-conic)配列である。
【0005】
現在、ブラッグ反射特性を有する光学膜の設計は、コレステリック液晶設計によるもので、純コレステリック液晶膜またはコレステリック液晶を混合した高分子膜を含む。
【0006】
このうち、高分子安定型コレステリック液晶において、少量のモノマー(濃度は20%以下)を添加することで、モノマーに高分子を形成させて、コレステリック液晶中に散布し、コレステリック液晶の平面螺旋型を安定させて、ブラッグ反射の効果を達成する。しかしながら、コレステリック液晶の価格は高く、大幅なコストアップとなるため、これまで実用化を困難にしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の目的は、フォトニック結晶構造を有し、前記フォトニック結晶構造が高価なコレステリック液晶を必要とせずに直接形成されて、さらには、高分子膜がいかなる液晶または液体を有さずともブラッグ反射特性を有して、大幅な製造コストダウンを図り、その応用性を拡大する高分子膜を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のコレステリック液晶を含まない高分子膜は、フォトニック結晶構造を有することを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の高分子膜は、膜材及び流体を備える。膜材はフォトニック結晶構造を有し、流体が膜材に充填される。前記流体は空気、モノマー、またはその他の等方性及び異方性の材料である。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の反射式表示モジュールは、フォトニック結晶構造を有する高分子膜及び駆動回路を備える。高分子膜は、膜材及び異方性液体を含む。膜材はフォトニック結晶構造を有して、異方性液体が膜材に充填される。駆動回路は異方性液体を駆動する。
【0011】
一実施例において、フォトニック結晶構造は、コレステリック液晶構造であり、コレステリック液晶によって転写(imprinting)、または、非対称性液晶に光学活性添加剤(chiral dopant)が混合されることで転写されて形成される。製造ステップにおいては、液晶が使用されるが、製成された完成品中には、高価なコレステリック液晶は含まれないため、大幅な製造コストの削減が可能である。
【0012】
一実施例において、高分子膜の少なくとも二個の領域は、異なるピッチ(pitch)及び/または屈折率を有する。したがって、高分子膜は異なる波長の反射光を発生させて、その応用を拡大する。例えば、高分子膜は、三原色の反射光を発生させることで、反射式表示モジュールに応用されて、静態または動態のカラー画面を表示する。例えば、カラー画像記録、または、太陽電池等デバイスの外観のカラー図案設計である。
【0013】
一実施例において、流体は気体または液体である。このうち、液体は、等方性液体または異方性液体である。等方性液体は、例えば溶剤、モノマー、または、その混合であり、異方性液体は、例えば液晶である。このうち、流体が異方性液体である場合は、電場駆動によって異方性液体を制御することで表示機能が達成され、さらに、応用される表示モジュールにおいて、高分子膜が必要とする充填液体(例えば、液晶)の量を大幅に減少させることが可能である。表示モジュールは、例えば、電子ペーパー、ディスプレイ、屋外看板、広告看板等である。
【0014】
一実施例において、高分子膜は太陽電池素子に設置される。反射光の波長がコントロールされて、本発明が太陽電池の表面のカラー設計に応用されることで、太陽電池に必要な波長光が高分子膜を通過し、その他の可視光波長の反射を利用して、太陽電池の外観のカラー図案を設計することが可能であり、従来の太陽電池の黒色の外観のイメージを一新させる。
【0015】
一実施例において、高分子膜は、バックライトモジュールに設置されて、光増強膜となる。
【0016】
一実施例において、高分子膜は透光素子に連結される。透光素子は、例えば、ガラス、高分子膜(例えば、リリース紙またはプラスチックフィルム)である。異なる媒介と高分子膜の連結により、異なる状況において高分子膜の応用が可能である。例えば、ガラスに設置することで高分子膜をディスプレイに応用することが可能であり、他の高分子膜に設置することで高分子膜を粘着方式で直接表示が必要な位置にコーティングしたり、リリース紙に設置することで高分子膜を製品の方式に応じて組立て業者に販売することが可能である。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、多層構造の光学膜も開示する。前記光学膜は、複数の上述の高分子膜を備え、前記高分子膜は、それぞれ左旋性及び右旋性液晶を利用して複製されることにより、高分子膜の反射光の輝度を高める。右旋性または左旋性コレステリック液晶を使用して転写される場合、理論上は、半分(50%)の入射光を反射するのみである。このため、左旋及び右旋コレステリック液晶を複製した高分子膜を重ねれば、全光反射(100%)の光学膜を製成することが可能である。また、例えば、照光式重合法等の従来の技術を使用して、液晶を複製させた高分子膜に複数のピッチを含ませて、反射光を増幅して全可視光(400nm至800nm)を反射する。
【0018】
このように、本発明の高分子膜は、コレステリック液晶を含まずして、フォトニック結晶構造を有する、従来にはなかった新製品である。さらに、高分子膜は、いかなる液晶または液体をも含まず、ブラッグ反射特性を有する。このため、大幅な製品コストの削減が可能であり、その応用性を拡大する。本発明は、他の上述の高分子膜が流体を有し、流体が高分子膜の膜材に充填されることも開示する。各種の異なる流体の屈折率は、高分子膜にブラッグ反射によって異なる波長の反射光を発生させて、それぞれの応用性を高める。流体が異方性液体である場合は、高分子膜はさらに反射式表示モジュールに応用される。また、本発明の高分子膜の少なくとも2個の領域は、異なるピッチ(pitch)及び/または屈折率を有することで、高分子膜のカラー画素及びそのサブピクセルの確立が可能である。さらに、カラー表示の目的を達成する。また、本発明の高分子膜自身、従来の液晶表示モジュール中のカラーフィルター層及び液晶層の機能も併せ持つ。したがって、さらなる薄型が可能で、コストの削減も可能である。さらに、高分子膜が応用する表示モジュールは、フレキシブル(flexible)である。また、本発明の高分子膜のフォトニック結晶構造は、高価なコレステリック液晶を含まないため、大幅な製品コストの削減が可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の高分子膜は、コレステリック液晶を含まずして、フォトニック結晶構造を有する、従来にはなかった新製品である。さらに、高分子膜は、いかなる液晶または液体をも含まず、ブラッグ反射特性を有する。このため、大幅な製品コストの削減が可能であり、その応用性を拡大する。本発明は、他の上述の高分子膜が流体を有し、流体が高分子膜の膜材に充填されることも開示する。各種異なる流体の屈折率は、高分子膜にブラッグ反射によって異なる波長の反射光を発生させて、それぞれの応用性を高める。當流体が異方性液体である場合は、高分子膜はさらに反射式表示モジュールに応用される。また、本発明の高分子膜の少なくとも2個領域は、異なるピッチ(pitch)及び/または屈折率を有することで、高分子膜のカラー画素及びそのサブピクセルの確立が可能である。さらに、カラー表示の目的を達成する。また、本発明の高分子膜自身、従来の液晶表示モジュール中のカラーフィルター層及び液晶層の機能も併せ持つ。したがって、さらなる薄型が可能で、コストの削減も可能である。さらに、高分子膜が応用する表示モジュールは、フレキシブル(flexible)である。また、本発明の高分子膜のフォトニック結晶構造は、高価なコレステリック液晶を含まないため、大幅な製品コストの削減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】コレステリック液晶の分子配列を示した図である。
【図2】コレステリック液晶が平面螺旋型配列であり、ブラッグ反射特性を有することを示した図である。
【図3】コレステリック液晶が垂直螺旋型配列であることを示した図である。
【図4】本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を有する高分子膜を示した図である。
【図5】本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を有する高分子膜に流体を充填した状態を示した図である。
【図6】本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を透光素子に連結した状態を示し、(A)は高分子膜が2枚のガラス基板の間に挟まれた状態のものを示し、(B)は高分子膜が他の高分子膜と接合された状態のものを示し、(C)高分子膜が他の高分子膜に覆われた状態のものを示している。
【図7】本発明の好適な実施例におけるフォトニック結晶構造を有する高分子膜の製造方法のフローチャートである。
【図8】本発明の好適な実施例においてマスクによって照光ステップが進行することを示した図である。
【図9】本発明の好適な実施例における高分子膜の横断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像図を示し、(A)は高分子膜全体の画像図であり、(B)は(A)の中の菱形フレームの部分の拡大画像図である。
【図10】本発明の好適な実施例における高分子膜及びその異なる液体を充填した時に異なる波長に対する反射率を示した図である。
【図11】本発明の好適な実施例における高分子膜のネマチック液晶を充填して異なる温度まで加熱した場合の反射率を示した図である。
【図12】本発明の好適な実施例におけるレーザーによる照光ステップを示した図である。
【図13】本発明の好適な実施例における反射式表示モジュールを示した図である。
【図14】透明導電膜を高分子膜の両側にコーティングした状態を示した図である。
【図15】複数の高分子膜を重ねた状態を示した図である。
【図16】高分子膜を太陽電池素子に設置した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照しながら、本発明の好適な実施例におけるコレステリック液晶を含まない高分子膜、高分子膜及び反射式表示モジュールについて説明する。
【0022】
図4を参照しながら説明する。本発明の好適な実施例における高分子膜2は、フォトニック結晶構造(photonic crystal structure)を有する。フォトニック結晶構造は、例えば、コレステリック液晶構造であり、高分子膜2にブラッグ反射特性を提供する。コレステリック液晶構造は、コレステリック液晶によって転写(imprinting)されるか、非対称性液晶(achiral LC)に光学活性添加剤(chiral dopant)を混合して転写されることで形成される。製品中に高価なコレステリック液晶を含まないため、大幅なコスト削減が可能である。
【0023】
図5を参照しながら説明する。本発明の好適な実施例における他の高分子膜2aは、膜材21を有するだけでなく、さらに、流体22が膜材21に充填される。流体は、気体または液体である。流体22を膜材21に充填することにより、元の膜材21の光線反射の波長を変化させることができる。このうち、液体は、等方性液体または異方性液体で、等方性液体は、例えば、溶剤、モノマー、または、その混合である。そして、異方性液体は、液晶である。このうち、液体が、モノマーである場合は、モノマーは重合され、例えば、照光によって重合反応を発生させる。重合が発生すると、固体状態を形成してエッジシーリングの必要がなく、高分子膜の安定性及び利便性が高まる。流体が異方性液体である場合、電場駆動により異方性液体分子をコントロールすることで、表示機能を達成する。温度によって異方性を等方性の屈折率に変化させて、反射の色彩変化を達成させることも可能であり、感温性図案設計に用いられる。当然、加熱器を利用して反射色彩を変化させることも可能である。さらに、応用した表示モジュールにおいて、高分子膜が必要とする充填液体(例えば、液晶等)の量を大幅に減少させることが可能である。表示モジュールは、例えば、電子ペーパー、ディスプレイ、屋外看板、広告看板等である。また、本発明の高分子膜自身、従来の液晶表示モジュール中のカラーフィルター、反射層及び液晶層の機能を有するため、光学素子設計の際に、より薄型で低コストを実現させることが可能である。さらに、高分子膜が応用される表示モジュールはフレキシブル(flexible)である。
【0024】
上述の高分子膜2または2aは、透光素子に連結されて、その応用性を拡大する。透光素子は、例えば、ガラス、高分子膜(例えば、リリース紙、プラスチックフィルム)である。異なる媒介と高分子膜を連結させることで、異なる高分子膜への応用が可能である。例えば、ガラスに設置することで高分子膜を表示モジュールに応用することが可能であり、他の高分子膜に設置することで高分子膜を粘着方式で直接必要な表示位置にコーティングしたり、リリース紙に設置することで高分子膜を製品の方式に応じて組立て業者に販売することが可能である。図6の(A)に示したように、高分子膜2(または2a)は、二枚のガラス基板G1、G2の間に挟まれるように設置される。さらに、高分子膜2(または2a)の周囲は、接着剤Sによって封止される。図6の(B)に示したように、高分子膜2(または2a)は、他の高分子膜PF1に連結される。図6の(C)に示したように、高分子膜2(または2a)は、高分子膜PF2(または、複数の高分子膜)に連結されて覆われる。上述の高分子膜と透光素子の連結関係は、例を挙げたものに過ぎず、本発明の内容を制限するものではない。
【0025】
図14から図16は、それぞれ本発明の好適な実施例における異なる態様の高分子膜を示したものである。
【0026】
図14に示したように、透明導電膜TCは、高分子膜2(または2a)の一側にコーティングされる。ここでは、二枚の透明導電膜TCが、それぞれ高分子膜2の上下両側にコーティングされた場合を例とする。当然、高分子膜2が上側のみに用いられて表示の目的に供される場合は、下側の導電膜は不透光性である。透明導電膜は、高分子膜内に充填される流体(例えば、異方性液体)の分子配列及び屈折率をコントロールすることにより、反射光の色を変化させることが可能である。
【0027】
図15に示したように、複数の高分子膜2(または2a)は、重ねられて多層構造の高分子膜となる。さらに、前記高分子膜2は、それぞれ左旋液晶及び右旋液晶によって製成されることで、高分子膜の反射光の輝度を高める。右旋性または左旋性コレステリック液晶によって転写される場合、理論上は、半分(50%)の入射光を反射するのみである。このため、左旋及び右旋コレステリック液晶を複製した高分子膜を重ねれば、全光反射(100%)の光学膜を製成することが可能である。
【0028】
図16に示したように、高分子膜2(または2a)は、太陽電池素子SCに設置される。反射光の波長がコントロールされることで、本発明が太陽電池の表面のカラー設計に応用され、太陽電池素子SCに必要な波長光が高分子膜を通過し、その他の可視光波長の反射を利用して、太陽電池の外観のカラー図案を設計することが可能であることにより、従来の太陽電池の黒色の外観のイメージを一新する。
【0029】
以下に、例を挙げて、高分子膜2の製造方法について説明する。図7に示したように、前記高分子膜2の製造方法は、ステップS01からステップS04を備える。
【0030】
ステップS01は、混合ステップである。少なくとも、非対称性液晶(achiral liquid crystal)、光学活性添加剤(chiral dopant)、モノマー(monomer)及び光開始剤(photo initiator)を混合して、液晶モノマー混合物(liquid-crystal-monomer mixture)を製成する。このステップにおいて、先に、非対称性液晶、モノマー、光開始剤を混合してから、光学活性添加剤を混合物中に添加することも可能である。最後に、混合物を内側表面に対して平行処理を施した透光容器(cell)(例えば、ガラス容器)中に充填する。このステップにおいて、直接コレステリック液晶(光学活性添加剤を必要としない)を混合して、照光重合させて、フォトニック構造を添加させるステップを行うことも可能である。ガラス容器は、いかなる透光性を有するプラスチックフィルム等に変更することも可能である。
【0031】
本実施例において、非対称性液晶は、対称性(chirality)を有さない液晶を意味する。例えば、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶である。光学活性添加剤は、非対称性液晶を誘導して螺旋配列を発生させ、その対称性を付与する。光学活性添加物は、例えば、 シアノビフェニル(cyanobiphenyl)派生物である。モノマーは、単官能モノマーまたは二官能モノマー、または、その混合である。ここでは、単官能モノマーの場合を例とする。これは、液晶相のモノマーを有し、光重合反応によってコレステリック液晶の螺旋構造を複製する効果を達成する。モノマーは、例えば、BAHB(4,4’-Bis(6-acryloyxy-hexyloxy)biphenyl)である。光開始剤の作用は、モノマーに照光時に光重合反応を発生させる。市販の光開始剤はいずれも使用可能である。
【0032】
本実施例において、非対称性液晶の重量パーセンテージは、10%から80%の間で、モノマーの重量パーセンテージは、20%から90%の間である。ここで、非対称性液晶、光学活性添加剤、モノマー及び光開始剤の混合比例は、53%、13%、33%及び1%である。室温下で均一に混合した後、液晶モノマー混合物はコレステリック液晶相を呈する。ここで注意すべきは、本実施例は、重合されるモノマーの重量パーセンテージ(従来は20%以下)を高めることにより、高分子膜のポリマーの対称性の転写率を高めることができるという点である。これは、高分子膜におけるフォトニック結晶構造及びブラッグ反射特性を高めるのに役立つ。本ステップにおける組成物は、コレステリック液晶、モノマー、開始剤等を使用して混合してから、平行配列処理された液晶槽(cell)に充填することも可能である。
【0033】
ステップS02は、照光ステップである。マスクによって、液晶モノマー混合物に対して照光を行なう。ここでは、紫外光(例えば、254nm)によって照光を行ない、照光ステップを経た後、モノマーは光重合反応を生じてポリマーを形成して、液晶の対称性をポリマーに転写する。本実施例では、コレステリック液晶相によって転写を行なうため、高分子膜が有するフォトニック結晶構造はコレステリック液晶構造である。照光ステップは、図8で示したように、紫外光がマスクMによって液晶モノマー混合物2に対して照光を行なって、少なくとも1個の照光領域A1を形成する。ここでは、不限制マスクMの図案は制限されない。
【0034】
ステップS03は、拡散ステップである。液晶モノマー混合物LMのうち、照光領域A1の周囲のモノマーを照光領域A1に拡散させる。照光領域において照光されると、このうちのモノマーはすでにポリマーとなる。このため、照光領域内のモノマーの濃度が照光領域周囲のモノマーの濃度より小さいことにより、照光領域周囲のモノマーが照光領域A1内に拡散されることで、再び光重合が行われやすくなる。このようにして、モノマーの重合率が高まる。ここでは、拡散ステップにおいて、液晶モノマー混合物が一定時間静置される。さらに、静置ステップにおいて、液晶モノマー混合物が照光を受けるのを回避する。また、本発明の製造方法は、複数回の照光及び拡散ステップを繰り返すことにより、大幅にモノマーの重合率が高まる。このうち、複数回の照光ステップにおいて、同じ領域または異なる領域に対して照光が行なわれる。
【0035】
ステップS04は、液晶除去ステップであり、非対称性液晶を除去して、高分子膜を形成させる。このステップにおいては、有機溶剤によって液晶を除去する。有機溶剤は、例えば、アセトンまたはクロロフォルムである。液晶は高分子膜中から完全に除去されて乾燥される。二官能基は耐性を有するため、モノマーは架橋(crosslink)後は溶解せず、よって、有機溶剤がポリマーを除去するのを回避する。また、単官能モノマーに多官能モノマーを混合させて、クロスリンクポリマーを形成させることが可能で、溶剤に溶解されるのを回避する。図9の(A)及び(B)は、高分子膜の横断面図の走査型電子顕微鏡(SEM)画像図であり、高分子の高転化率構造が見られる。このうち、(B)は(A)中の菱形フレームの領域の拡大図である。このようにして、高分子膜2が形成される。
【0036】
図10は、ステップS04を経た後に発生した高分子膜(Empty)の異なる波長に対する反射率を示した図である。高分子膜は、すなわち液晶分子またはその他の液体を含まずして、ブラッグ反射特性を有する。また、製造方法は、さらに、充填ステップを備えて、流体が高分子膜に充填される。流体は気体または液体である。液体は、等方性液体または異方性液体である。このうち、等方性液体は、例えば、溶剤である。異方性液体は、例えば、液晶である。溶剤は、例えば、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran, THF)、クロロフォルムまたはトルエンである。液晶は、例えば、コレステリック液晶、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶である。図10は、高分子膜にメタノール(屈折率=1.3284)、アセトン(屈折率=1.3586)、テトラヒドロフランTHF(屈折率=1.4072)、クロロフォルム(屈折率=1.4458)及びトルエン(屈折率=1.4969)を充填した時の異なる波長に対する反射率を示す。溶剤の屈折率の変化に伴い、その反射光の波長が異なる。この現象は、ブラッグ反射の原理λ=nP(nは平均屈折率)に適合する。
【0037】
図11を参照しながら説明する。ネマチック液晶を充填した高分子膜を、前記液晶の等方性相温度(約90度)を超すまで加熱しても、高分子膜は安定したブラッグBragg反射特性を有する。これは、本発明の高分子膜が極めて優れた温度安定性を有することを示している。
【0038】
また、流体が充填された後、高分子膜の製造方法はさらに、流体をさらに重合させるステップを備える。流体に重合が発生すると、固体状態を形成してエッジシーリングの必要がなく、高分子膜の安定性及び利便性が高まる。
【0039】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法の混合ステップは、少なくとも対称性液晶、モノマー及び光開始剤を混合して、液晶モノマー混合物を製成することも可能である。ここでは、直接対称性液晶を使用して対称性を高分子膜に転写するもので、非対称性液晶に光学活性添加剤を加えることによるものではない。
【0040】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法はさらに、配向させるステップを有して、前記液晶モノマー混合物を配向させる。例えば、透光容器の内側表面を平行配向処理を施すことによって、配向効果を達成する。平行配向処理は、高分子、有機、または無機層によって処理される。液晶モノマーを透光容器に充填または透光容器中に混合した時、配向ステップにおいて、液晶モノマー混合物に平面螺旋型(planar texture)を呈する。配向させた後、液晶モノマー混合物に対して照光重合を行なってから、後続のステップを進行させる。
【0041】
その他の実施例において、高分子膜の製造方法における照光ステップでは、レーザーによって液晶モノマー混合物の少なくとも1個の照光領域に対して照光を行なうことも可能である。図12を参照しながら説明する。レーザーヘッドLは、液晶モノマー混合物2の複数の照光領域A1(例えば、点線の範囲)に対して照射を行なうことにより、前記照光領域A1のモノマーに光重合反応を発生させてポリマーにする。その後、さらに、拡散ステップによって、モノマーを照光領域A1内に拡散させる。当然、照光ステップ及び拡散ステップを繰り返すことで、モノマーの重合率を高め、さらに、複数の照光ステップにおいて、レーザーが同じ領域または異なる領域に照射される。また、照光領域A1の形状及び複数の照光領域A1の配列方式は、ここでは制限されない。
【0042】
また、マスク、レーザーまたはマスクとレーザーを結合させた方法のいかなる方式による照光ステップを実行しても、液晶モノマー混合物の少なくとも二個の照光領域は、異なる照光回数、照光強度、照光時間または拡散時間を有する。したがって、前記照光領域は異なるピッチ(pitch)及び/または屈折率を形成して、異なる波長の光線にブラッグ反射を発生させて、高分子膜の応用性を拡大する。例えば、隣接して反射する三原色の三つの照光領域を形成する。
【0043】
図13を参照しながら説明する。図13は、本発明の好適な実施例における高分子膜を応用した反射式表示モジュール3である。反射式表示モジュール3は、フォトニック結晶構造を有する高分子膜2a及び駆動回路4を備える。高分子膜2aは、異方性液体(anisotropic liquid)が充填され、異方性液体は、対称性液晶(例えば、コレステリック液晶)または非対称性液晶(例えば、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶)を含む。高分子膜2aはすでに上述の実施例で詳しく述べているため、ここでは詳述しない。駆動回路4は、異方性液体分子を駆動して回転させて、異方性分子をコントロールし、異なる配置方向にすることで、屈折率、反射光の色を変更させて表示の目的を達成する。
【0044】
本実施例において、高分子膜2aは、複数の画素(ピクセル)Pを有する。各画素Pは、複数のサブピクセルP11を有する。ここでは、サブピクセルP11が三個の場合を例とし、それぞれR、G、Bが画素Pを構成する。前記サブピクセルの配列は、各種の従来の方法で配列させることが可能である。前記サブピクセルP11のピッチ(pitch)及び/または屈折率は異なる。高分子膜2の光線反射はBragg方程式:λ=nP(nは平均屈折率)に適合する。したがって、本発明は、異なるピッチ、または、異なる屈折率、または、異なるピッチ及び屈折率のサブピクセルを設置することで、表示の目的を達成する。例えば、静態画面または動態画面の表示にする場合は、表示モジュールは、例えば、カラー画像記録とする。本実施例においては、各画素が三原色を有することで多色表示が可能であり、カラー表示の効果を達成する。
【0045】
各サブピクセルP11は、例えば、異なる液体を含むことで、異なる屈折率及びピッチを有する。また、各サブピクセルP11に対する照光回数または照射光線の波長、強度の大小、または、拡散時間の長短によって、各サブピクセルP11のピッチ及び/または屈折率が変化する。
【0046】
駆動回路4は、走査駆動回路41及びデータ駆動赤色42を備えることで、高分子膜2の薄膜トランジスタ基板を駆動する。走査駆動回路41は、スキャン信号SSを薄膜トランジスタ基板に転送してトランジスタを伝動させ、データ駆動回路42は、データ信号SDを転送してトランジスタを駆動し、電圧を加えることで異方性液体分子を異なる配向状態に操作してカラー表示の目的を達成する。
【0047】
注意すべき点は、本実施例における反射式表示モジュール3は、異方性液体分子の使用量を減少させただけでなく、コレステリック液晶を使用する必要がないことでコスト削減を達成した点にある。また、高分子膜2a自身、従来の液晶表示モジュール中のカラーフィルター及び液晶層の機能も併せ持つため、さらなる薄型化及びコスト削減が可能である。さらに、本発明の反射式表示モジュール3は、フレキシブル(flexible)である。
【0048】
このように、本発明の高分子膜は、コレステリック液晶を含まずして、フォトニック結晶構造を有する、従来にはなかった新製品である。さらに、高分子膜は、いかなる液晶または液体をも含まず、ブラッグ反射特性を有する。このため、大幅な製品コストの削減が可能であり、その応用性を拡大する。本発明は、他の上述の高分子膜が流体を有し、流体が高分子膜の膜材に充填されることも開示する。各種の異なる流体は、高分子膜にブラッグ反射によって異なる波長の反射光を発生させて、それぞれの応用性を高める。流体が異方性液体である場合は、高分子膜はさらに反射式表示モジュールに応用される。また、本発明の高分子膜の少なくとも2個の領域は、異なるピッチ(pitch)及び/または屈折率を有する。したがって、高分子膜の画素及びそのサブピクセルの確立が可能であり、さらに、表示の目的を達成する。また、本発明の高分子膜自身、従来の液晶表示モジュール中のカラーフィルター層及び液晶層の機能も併せ持つ。したがって、さらなる薄型が可能で、コストの削減も可能である。さらに、高分子膜が応用する表示モジュールは、フレキシブル(flexible)である。また、本発明の高分子膜のフォトニック結晶構造は、高価なコレステリック液晶による転写を必要としないため、大幅な製品コストの削減が可能である。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は以上のように構成したので、製造コストの安価な電子ペーパー、フラットパネルディスプレイ装置、広告用看板、バックライトモジュール、太陽電池の外側に設けるカラー図案等に用いることができ、その用途は今後さらに拡大されることが予測される。
【符号の説明】
【0051】
11 コレステリック液晶
12、13 ガラス基板
14 黒色吸収層
2、2a 高分子膜
21 膜材
22 流体
A1 照光領域
G1、G2 ガラス基板
L レーザーヘッド
LM 液晶モノマー混合物
M マスク
P ピッチ
PF1、PF2 高分子膜
S 接着剤
S01〜S04 フォトニック結晶構造を有する高分子膜製造方法のステップ
SC 太陽電池素子
TC 透明導電膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニック結晶構造を有することを特徴とするコレステリック液晶を含まない高分子膜。
【請求項2】
フォトニック結晶構造を有する膜材と、
前記膜材に充填される流体とを備えることを特徴とする高分子膜。
【請求項3】
前記フォトニック結晶構造は、コレステリック液晶構造であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子膜。
【請求項4】
前記高分子膜の少なくとも2個の領域は異なるピッチを有することを特徴とする請求項3に記載の高分子膜。
【請求項5】
前記高分子膜の少なくとも2個の領域は異なる屈折率を有することを特徴とする請求項1または2に記載の高分子膜。
【請求項6】
前記流体は、気体または液体であることを特徴とする請求項2に記載の高分子膜。
【請求項7】
前記液体は、等方性液体または異方性液体であることを特徴とする請求項6に記載の高分子膜。
【請求項8】
前記等方性液体は、溶剤、モノマー、またはその混合であることを特徴とする請求項7に記載の高分子膜。
【請求項9】
前記モノマーは、重合されることを特徴とする請求項8に記載の高分子膜。
【請求項10】
前記異方性液体は、液晶であることを特徴とする請求項7に記載の高分子膜。
【請求項11】
透光素子に連結されることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子膜。
【請求項12】
前記透光素子は、ガラス、高分子膜であることを特徴とする請求項11に記載の高分子膜。
【請求項13】
太陽電池素子に設置されることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子膜。
【請求項14】
バックライトモジュールに設置されることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子膜。
【請求項15】
フォトニック結晶構造を有する膜材と、前記膜材に充填される異方性液体とを備えるフォトニック結晶構造を有する高分子膜と、
前記異方性液体を駆動する駆動回路と、
を備えることを特徴とする反射式表示モジュール。
【請求項16】
前記異方性液体は、対称性液晶または非対称性液晶を含むことを特徴とする請求項15に記載の反射式表示モジュール。
【請求項17】
前記対称性液晶は、コレステリック液晶であることを特徴とする請求項16に記載の反射式表示モジュール。
【請求項18】
前非対称性液晶は、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶であることを特徴とする請求項16に記載の反射式表示モジュール。
【請求項19】
前記フォトニック結晶構造は、コレステリック液晶構造であることを特徴とする請求項15に記載の反射式表示モジュール。
【請求項20】
前記高分子膜は、複数の画素を有し、各前記画素は複数のサブピクセルを有して、前記サブピクセルのピッチ及び/または屈折率が異なることを特徴とする請求項19に記載の反射式表示モジュール。
【請求項21】
複数の請求項1に記載の高分子膜を備えて、前記高分子膜は、それぞれ左旋及び右旋性液晶によって複製されることを特徴とする多層構造の光学膜。
【請求項22】
複数の請求項2に記載の高分子膜を備えて、前記高分子膜は、それぞれ左旋及び右旋性液晶によって複製されることを特徴とする多層構造の光学膜。
【請求項1】
フォトニック結晶構造を有することを特徴とするコレステリック液晶を含まない高分子膜。
【請求項2】
フォトニック結晶構造を有する膜材と、
前記膜材に充填される流体とを備えることを特徴とする高分子膜。
【請求項3】
前記フォトニック結晶構造は、コレステリック液晶構造であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子膜。
【請求項4】
前記高分子膜の少なくとも2個の領域は異なるピッチを有することを特徴とする請求項3に記載の高分子膜。
【請求項5】
前記高分子膜の少なくとも2個の領域は異なる屈折率を有することを特徴とする請求項1または2に記載の高分子膜。
【請求項6】
前記流体は、気体または液体であることを特徴とする請求項2に記載の高分子膜。
【請求項7】
前記液体は、等方性液体または異方性液体であることを特徴とする請求項6に記載の高分子膜。
【請求項8】
前記等方性液体は、溶剤、モノマー、またはその混合であることを特徴とする請求項7に記載の高分子膜。
【請求項9】
前記モノマーは、重合されることを特徴とする請求項8に記載の高分子膜。
【請求項10】
前記異方性液体は、液晶であることを特徴とする請求項7に記載の高分子膜。
【請求項11】
透光素子に連結されることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子膜。
【請求項12】
前記透光素子は、ガラス、高分子膜であることを特徴とする請求項11に記載の高分子膜。
【請求項13】
太陽電池素子に設置されることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子膜。
【請求項14】
バックライトモジュールに設置されることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子膜。
【請求項15】
フォトニック結晶構造を有する膜材と、前記膜材に充填される異方性液体とを備えるフォトニック結晶構造を有する高分子膜と、
前記異方性液体を駆動する駆動回路と、
を備えることを特徴とする反射式表示モジュール。
【請求項16】
前記異方性液体は、対称性液晶または非対称性液晶を含むことを特徴とする請求項15に記載の反射式表示モジュール。
【請求項17】
前記対称性液晶は、コレステリック液晶であることを特徴とする請求項16に記載の反射式表示モジュール。
【請求項18】
前非対称性液晶は、ネマチック型液晶またはスメチック型液晶であることを特徴とする請求項16に記載の反射式表示モジュール。
【請求項19】
前記フォトニック結晶構造は、コレステリック液晶構造であることを特徴とする請求項15に記載の反射式表示モジュール。
【請求項20】
前記高分子膜は、複数の画素を有し、各前記画素は複数のサブピクセルを有して、前記サブピクセルのピッチ及び/または屈折率が異なることを特徴とする請求項19に記載の反射式表示モジュール。
【請求項21】
複数の請求項1に記載の高分子膜を備えて、前記高分子膜は、それぞれ左旋及び右旋性液晶によって複製されることを特徴とする多層構造の光学膜。
【請求項22】
複数の請求項2に記載の高分子膜を備えて、前記高分子膜は、それぞれ左旋及び右旋性液晶によって複製されることを特徴とする多層構造の光学膜。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図9】
【公開番号】特開2012−48190(P2012−48190A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45543(P2011−45543)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(504455908)国立成功大学 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(504455908)国立成功大学 (18)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]