説明

コレステロール濃度測定装置

【課題】血液を採取することなく、安価で小型化できるコレステロール濃度測定装置を提供する。
【解決手段】中赤外領域の波長の光を出射する光源4と、光源4から出射した光を用いて全反射減衰法により試料の吸収スペクトル強度を測定するためのATRプリズム10と、ATRプリズム10の出射光路中に配置され、コレステロールエステルの中赤外領域における吸収スペクトルの所定のピークをそれぞれ中心波長とした所定帯域を透過するバンドパスフィルタと、複数のバンドパスフィルタを順次、配置するように切換えるフィルタ駆動部15と、ATRプリズム10から出射し、複数のバンドパスフィルタを透過した光から試料の吸収スペクトル強度を検出する検出器8と、検出器8で検出された吸収スペクトル強度に基づいてコレステロールエステル濃度を算出する制御・データ処理部3と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非侵襲で人体の皮膚のコレステロールエステル濃度を検出することにより、血液中の総コレステロール濃度を測定するコレステロール濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステロールはホルモンや細胞の構成物質として人体には必要不可欠な物質であるが、過剰のコレステロールは、動脈硬化や狭心症などの生活習慣病を招く危険因子の一つとして知られている。コレステロールの検査にあたっては、従来、患者から血液を採取し、酵素法等による専用の測定装置によって測定を行っていた。しかし、血液採取は人体に負担がかかることから、最近では、非侵襲でコレステロールを測定することが種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、生体に近赤外光と赤外光を照射し、生体から反射された近赤外光を検出し、この検出された近赤外光の吸光度に基づいて、赤外光の吸光度の規格化を行い、コレステロール等の生体内成分の濃度を検出する生体計測装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−179557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に開示の生体計測装置では、非侵襲でコレステロール等の生体内成分の濃度を検出することが可能となる。しかしながら、コレステロール等の生体内成分を検出するにあたって、近赤外分光装置とFTIR分光装置で測定することから、装置が大型化すると共に高価となってしまう。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、血液を採取することなく、安価で小型化できるコレステロール濃度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため第1の発明に係わるコレステロール濃度測定装置は、中赤外領域の波長の光を出射する光源と、上記光源から出射した光を用いて全反射減衰法により試料の吸収強度を測定するための全反射減衰プリズムと、上記全反射減衰プリズムの出射光路中に配置され、コレステロールエステルの中赤外領域における吸収スペクトルの所定のピークをそれぞれ中心波長とした所定帯域を透過する複数のバンドパスフィルタと、上記複数のバンドパスフィルタを順次、上記出射光路中に配置するように切換える駆動手段と、上記全反射プリズムから出射し、上記複数のバンドパスフィルタを透過した光から試料の吸収強度を検出する検出器と、上記駆動手段によるバンドパスフィルタの切換えを制御するとともに、上記検出器で検出された吸収強度に基づいてコレステロールエステル濃度を算出する制御・データ処理手段と、を備える。
【0008】
第2の発明に係わるコレステロール濃度測定装置は、上記第1の発明において、上記複数のバンドパスフィルタは、吸収強度の補正を行うベースラインと規格化のための基準位置として用いるそれぞれ所定波長を中心とした所定帯域を透過するフィルタを含む。
第3の発明に係わるコレステロール濃度測定装置は、上記第1の発明において、アミド2及びベースラインを常時モニタし、試料の押しつけ強さの変化を補償することにより測定誤差を最小にする。
【0009】
第4の発明に係わるコレステロール濃度測定装置は、上記第1の発明において、上記全反射減衰プリズムの出射光路中に配置された第1及び第2の光路分割用の光学素子と、上記光路分割用の光学素子の光路上に配置された吸収強度の補正を行うベースライン用フィルタおよび規格化用フィルタと、を有する。
【0010】
第5の発明に係わるコレステロール濃度測定装置は、上記第1の発明において、上記駆動手段は、上記複数のバンドパスフィルタを高速で回転させ、上記検出器は、高速で回転するバンドパスフィルタを透過した光を交流信号として、順次、出力する。
【0011】
第6の発明に係わるコレステロール濃度測定装置は、中赤外領域の波長の光を出射する光源と、上記光源から出射した光を用いて全反射減衰法により試料の吸収強度を測定する全反射減衰プリズムと、コレステロールエステルの中赤外領域における吸収スペクトルの所定のピークを中心波長とした所定帯域を透過する第1のバンドパスフィルタと、吸収強度の補正を行うための所定波長を中心とした所定帯域を透過する第2のバンドパスフィルタと、上記全反射プリズムから出射し、上記第1及び第2のフィルタを透過した光から試料の吸収強度を検出する検出器と、上記検出器で検出された吸収強度に基づいてコレステロールエステル濃度を算出する制御・データ処理手段と、を備える。
【0012】
第7の発明に係わるコレステロール濃度測定装置は、上記第6の発明において、上記第2のバンドパスフィルタは、ベースライン用フィルタおよび規格化用フィルタである。
第8の発明に係わるコレステロール濃度測定装置は、上記第6の発明において、上記第1及び第2のバンドパスフィルタは、回転可能に一体に保持された円板から構成され、上記検出器は、上記第1及び第2のバンドパスフィルタを透過した光を、順次、受光する。
第9の発明に係わるコレステロール濃度測定装置は、上記第6の発明において、上記検出器は、上記第1のバンドパスフィルタを透過した光を受光する第1の検出器と、上記第2のバンドパスフィルタを透過した光を受光する第2の検出器を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バンドパスフィルタを透過した光を検出するようにしているので、血液を採取することなく、安価で小型化できるコレステロール濃度測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置の全体の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置の光学系の配置の概念図である。
【図3】本発明の一実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置の信号処理系の概念図である。
【図4】本発明の一実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置の光学系の一変形例の配置の概念図である。
【図5】本発明の一実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置の信号処理系の一変形例の概念図である。
【図6】本発明の一実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置におけるバンドパスフィルタの透過スペクトルを示す図である。
【図7】血液中総コレステロール値が高い人と標準値の人のFTIRスペクトルの一例である。
【図8】本発明の一実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置の動作を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の一実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置において、(a)血液中の総コレステロールと皮膚分光データとの相関、(b)血液中のLDL値と皮膚分光データとの相関を示すグラフである。
【図10】本発明の一実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置において、コレステロール濃度判定基準値の設定を行う画面を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置において、コレステロール濃度判定結果の表示を示す画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に従って本発明を適用したコレステロール濃度測定装置を用いて好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置の全体の構成を概略的に示すブロック図である。本実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置は、中赤外領域において試料を全反射減衰(attenuated total reflection:以下、「ATR」と称す)分光法により測定する分光計1、分光計1に取り付けられた位置決め機構2、および分光計1から出力される信号を入力し、制御およびデータ処理を行う制御・データ処理部3から構成される。
【0016】
分光計1は、光源4、チョッパ5、ATR測定部6、バンドパスフィルタ部7、検出器8、信号処理部9を有する。光源4は、中赤外領域の電磁波(以下、中赤外光と呼ぶ)を発生する。チョッパ5は羽根を備え、この羽根はモータ(不図示)によって回転駆動され、光源4から出射された中赤外光を交互に透過・遮断する。
【0017】
ATR測定部6は、試料を密着させる屈折率の大きいプリズムを備える。本実施形態における試料としては、後述するように、コレステロール濃度の測定対象となる被験者の腕等である。腕等の皮膚をプリズム面に密着させた際に、入射角が臨界角よりも大きくなるようにし、プリズム内で全反射が起きるように設定する。全反射が生ずる時に、プリズムの界面で中赤外光が皮膚側に少しだけしみだす。この光をエヴァネッセント波という。皮膚の吸収のある領域では、吸収の強さに応じて、エヴァネッセント波が減衰するため、プリズム内での反射光のエネルギが減少する。この反射光における特定波長帯域の吸収率を測定することにより、皮膚の表面近くのコレステロールエステル濃度を測定することが可能となる。このコレステロールエステル濃度と特定波長帯域における吸収率については、図7を用いて後述する。
【0018】
バンドパスフィルタ部7は、複数のフィルタが回転可能に保持された円板から構成され、ATR測定部6を構成するプリズムからの出射光の内、特定波長帯域の光のみを透過させる。このフィルタの透過波長帯域については、図6を用いて後述する。検出器8は、光強度を測定するセンサであって、バンドパスフィルタ部7を透過した特定波長帯域の光の強度に応じて電気信号に変換する。信号処理部9は、検出器8から出力される信号を入力し、種々の信号処理を行い、制御・データ処理部3に出力する。
【0019】
位置決め機構2は、被験者の腕等をATR測定部6に密着させるための機構である。制御・データ処理部3は、制御・データ処理用PC3aとデータ収納部3bとから構成され、本実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置の全体制御を行い、信号処理部9から出力される信号を入力し、データ処理を行い、被験者のコレステロール濃度値を出力する。制御・データ処理3としては、例えばパーソナルコンピュータによって構成することができる。この場合、データ収納部3bとしては、パーソナルコンピュータの内蔵または外付けのハードディスク等の記憶媒体が、その機能を果たす。
【0020】
図2は、分光計1の構成を概略的に示す図である。分光計1は、図1に示した光源4、チョッパ5、バンドパスフィルタ部7、検出器8に加えて、ATRプリズム10、レンズ11a〜11d、ミラー12、フィルタ駆動部15を有する。
【0021】
光源4は、前述したように、中赤外光の発生源であり、ニクロム線光源、炭化ケイ素光源、セラミック光源、カンタル光源等を用いることができる。チョッパ5は、前述したように、光源4からの中赤外光を交互に透過・遮断するものであって、一定形状の開口が形成された羽根状であり、モータにより回転駆動され、光を連続的に交互に透過・遮断することにより、直流光を振動光波(交流光)に変換する。
【0022】
ATRプリズム10は、前述のATR測定部6の構成部材である。ATRプリズム10の材料としては、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)等を用いることができる。チョッパ5とATRプリズム10の間には、レンズ11a、11bが配置されており、これらのレンズにより第1の集光光学系13が構成される。チョッパ5により変換された振動光波は、第1の集光光学系13によりATRプリズム10に入射される。
【0023】
ATRプリズム10と検出器8の間には、レンズ11c、11dとミラー12が配置されており、これらによって第2の集光光学系14が構成される。レンズ11cは、ATRプリズム10から出射した振動波光を平行光にし、ミラー12は平行光をバンドパスフィルタ部7に入射させる。
【0024】
バンドパスフィルタ部7は、前述したように、複数のフィルタが回転可能に構成されている。すなわち、図2に示すように、円板の同一円周上に複数のバンドパスフィルタが設けられており、これらのバンドパスフィルタはそれぞれ異なる波長帯域の光を透過させる。バンドパスフィルタ部7はフィルタ駆動部15によって回転可能であり、バンドパスフィルタ部7が回転すると、透過する振動光波の波長帯域が、順次、切り換わる。
【0025】
バンドパスフィルタ部7と検出器8の間にはレンズ11dが配置されており、バンドパスフィルタ部7を透過した振動波光を検出器8上に集光する。検出器8は、前述したように、光強度に応じた信号を出力するセンサであり、トリグリシンサルフェイト(TGS)等のセンサを用い、チョッパ5によって形成された振動波光を検出する。
【0026】
なお、分光計1におけるバンドパスフィルタ部7の配置は、その一例を示したものであり、本発明における構成はこの例にかぎられない。すなわち、バンドパスフィルタ部7は、光源4と検出器8の間の光路上にあればよく、その配置は、図示の例に限られない。また、レンズ11a〜11d、ミラー12の配置も一例であり、レンズの代わりに球面鏡やトロイダル鏡等、集光機能を有する光学素子であれば、これらの光学素子によって構成するようにしてもよい。また、バンドパスフィルタ部7をレンズ11cの光路上に配置することにより、ミラー12を省略するようにしてもよい。また、本実施形態では、チョッパ5は、羽根形状で構成しているが、円板に開口部を設け回転させる等、光源を振動光波に変換できるものであれば、羽根形状に限られない。
【0027】
図3は、信号処理系を示す概念図である。フィルタ・羽根制御部19は、チョッパ5およびバンドパスフィルタ部7のフィルタ駆動部15に接続されており、チョッパ5とバンドパスフィルタ部7の回転を制御する。フィルタ・羽根制御部19は、チョッパ5に対しては、100回転/秒程度の速度で常時回転させ、またバンドパスフィルタ部7に対しては、後述するように8つの透過フィルタの各位置で測定期間中、回転を停止させ、各位置での測定が終了すると次の透過フィルタに切換える。なお、フィルタ・羽根制御部19は、独立したハードウエアで構成してもよいが、パーソナルコンピュータ20が兼用しても構わない。この場合、チョッパ5とバンドパスフィルタ部7のフィルタ駆動部15は、パーソナルコンピュータ20のプログラムに従って制御される。
【0028】
光源4から出射された中赤外光は、チョッパ5によって振動波光に変換され、ATRプリズム10によって被験者の腕等によって一部吸収された振動波光は、バンドパスフィルタ部7の透過フィルタによって特定波長帯域の光のみが透過する。検出器8は、バンドパスフィルタ部7を透過した振動波光を受光し、電気信号に変換する。検出器8の出力は、前置増幅器16の入力に接続され、検出器8から出力される交流信号を増幅する。
【0029】
前置増幅器16の出力は、AC/DC増幅回路17の入力に接続され、ここで増幅され、かつ直流信号に変換される。AC/DC増幅回路17の出力は、A/D変換回路18の入力に接続され、A/D変換回路18は、AC/DC増幅回路17から出力された直流信号をデジタルデータに変換する。A/D変換回路18の出力は、パーソナルコンピュータ20に出力される。このパーソナルコンピュータ20は、本実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置の全体を制御し、コレステロール濃度測定のためのデータを取得し、データ処理を行い、処理されたデータの表示を行う。
【0030】
なお、本実施形態においては、光源4から出射される中赤外光をチョッパ5によって振動波光に変換することにより、検出器8に入射する光を振動波光にし、出力される信号を交流信号となるようにしている。これはこの波長領域使用する一般的な検出器の特性に従うものであると同時に、交流信号とすることにより、外乱光の影響や温度によるドリフトの影響を受けにくくする効果がある。しかし、直流で使用できる検知があれば、直流光であっても、外乱光やドリフト対策を施してチョッパ5を省略し、AC/DC増幅回路17を直流増幅器に置き換えてもよい。一方、検出器8の出力が小さく、ノイズの影響が大きい場合には、検出器8の出力にロックインアンプを接続し、チョッパ5の回転に同期する信号をロックインアンプに供給することにより、信号増幅を行うようにしてもよい。
【0031】
次に、バンドパスフィルタ部7の各フィルタの透過波長帯域について、図6を用いて説明する。図6は透過スペクトルを示しており、横軸は波数(cm−1)、縦軸は透過率である。スペクトル中、それぞれの中心波数は、高波数側(図中左)より、ベースライン測定用の4500cm−1(図中A)、OH/NH測定用の3280cm−1(図中B)、脂肪測定用の2980cm−1(図中C)、コレステロールエステルピーク測定用の1742cm−1(図中D)、コレステロールエステル谷測定用の1724cm−1(図中E)、アミド2測定用の1539cm−1(図中F)、コレステロールエステルピーク測定用の1170cm−1(図中G2)、コレステロールエステル谷測定用の1180cm−1(図中G1)である。
【0032】
次に、本実施形態におけるコレステロール測定について説明する。まず、本実施形態におけるコレステロール測定の原理について説明する。図7は、FTIR(フーリエ変換型赤外吸収スペクトル測定装置)を用いて測定した人の皮膚の赤外吸収スペクトルの一例を示す。横軸は波数(1/cm)であり、縦軸は吸収強度を任意単位で示す。
【0033】
図7に示すグラフは、血液中のコレステロールが標準値の被験者31と、コレステロールが標準より高い被験者32の2例を示している。両被験者を比較すると、1740cm−1付近において、被験者31にはピークが観測されないのに対して、コレステロール値の高い被験者32はピークDが現われている。その他、皮膚タンパク質のケラチンは、1650cm−1付近にアミド1の吸収帯よるピークと、1540cm−1付近にアミド2の吸収体によるピークFを持っている。さらに、1630cm−1によるピークHおよび3400cm−1によるピークBを持ち、この2つのピークは水による吸収帯である。
【0034】
このように、FTIRを用いて全体のスペクトルを測定することにより、上述の成分を判別が可能である。しかし、皮膚の赤外吸収スペクトルは多くの情報を含み、判別が容易ではなく、また装置が高価である。そこで、本実施形態においては、バンドパスフィルタ部7を用いて、コレステロール値の関係する波長帯域の吸収強度(透過度)を測定するようにしている。吸収強度の測定としては、ATRプリズム10に被験者の腕が載っていない状態と腕が載っている状態との光強度の割合から求める。
【0035】
また、コレステロール値の関係する波長帯域の吸収強度のみでは測定精度が十分ではないことから、ベースラインおよび規格化を行うための所定波長における吸収強度を用いて、吸収強度の補正を行うようにしている。吸収強度の補正としては、本実施形態においては、ベースライン測定用の4500cm−1のフィルタを透過した信号強度から求められた吸光度をB0、規格化用として使用するアミド2測定用の1539cm−1のフィルタを透過した信号強度から求められた吸光度をN0とし、コレステロールエステル測定用の1742cm−1、1170cm−1、脂質測定用の2980cm−1、OH/NH測定用の3280cm−1、コレステロールエステル測定用の1742cm−1、1170cm−1の各フィルタを透過した信号強度から求めた吸光度をSとすると、補正された各信号強度は、(S−B0)/(N0−B0)となる。本実施形態においては、この補正された信号強度を用いて、コレステロールエステル、脂質、OH/NHを測定する。
【0036】
次に、図1ないし図3に示した本実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置における測定方法について説明する。光源4から出射された中赤外光は、チョッパ5により振動波光に変換され、第1の集光光学系13によりATRプリズム10に入射される。ATRプリズム10に入射した振動波光は、ATRプリズム10内において全反射を繰り返しながら進み、この間、ATRプリズム10の全反射面に密着した腕等の皮膚におけるエヴァセント光により、皮膚固有の吸収が起こる。すなわち、振動波光において被験者のコレステロール濃度に応じた吸収が生ずる。
【0037】
ATRプリズム10を出射した振動波光は、第2の集光光学系14によって一旦、平行光にされ、バンドバスフィルタ部7によって所定の帯域の波長のみが透過される。バンドパスフィルタ部7は、フィルタ駆動部15によって回転されており、図6を用いて説明した8つの帯域に対応するフィルタの各位置で一旦停止し、各帯域の振動波光が選択的に透過される。バンドパスフィルタ部7を透過した振動波光は、レンズ11dによって検出器8上に集光され、電気信号に変換される。
【0038】
検出器8によって変換された電気信号は交流信号であり、この交流信号は前置増幅16によって増幅され、AC/DC増幅回路17によって直流信号に増幅された後、A/D変換回路18によってデジタルデータに変換される。前述したように、バンドパスフィルタ部7は、各フィルタの位置で一旦停止されるので、その際に、各帯域に対応するデジタルデータがA/D変換回路18から出力され、このデジタルデータはパーソナルコンピュータ20に取り込まれる。
【0039】
各データとしては、ベースライン測定用の4500cm−1、OH/NH測定用の3280cm−1、脂質測定用の2980cm−1、コレステロールエステルピーク測定用の1742cm−1、コレステロールエステル谷測定用の1724cm−1、アミド2測定用の1539cm−1、コレステロールエステルピーク測定用の1170cm−1、コレステロールエステル谷測定用の1180cm−1について、それぞれ得る。この得られたデータを用いて、前述したように、補正された各信号強度、(S−B0)/(N0−B0)を取得し、この補正された信号強度を用いて、コレステロールエステル、脂質、OH/NHを算出する。
【0040】
次に、本実施形態に係わるコレステロール濃度測定装置の全体動作を、図8に示すフローチャートを用いて説明する。図8(a)は、工場製造時における調整の動作を示すフローである。まず、採血・コレステロール値の計測を行う(S1)。ここでは、被験者から採血し、一般的に行われている手法によりコレステロール値の測定を行う。
【0041】
続いて、皮膚の非侵襲コレステロールエステル値測定を行う(S2)。ここでは、本実施形態に係わるコレステロールエステル濃度測定装置を用いて、ステップS1における被験者について、ベースラインおよび規格化を行うための所定波長における吸収スペクトルでもって規格化した補正吸光度を求める。
【0042】
続いて、主成分分析による検量線を作成する(S3)。ここでは、図9(a)に示すように、ステップS1において求めた被験者の血液中の総コレステロールと、ステップS2において求めた同一被験者の吸光度をプロットし、主成分分析による検量線を作成する。なお、図9(a)に示す例では、2本のラインが描かれているが、ライン33はコレステロールエステルのC=O振動に帰属される1742cm−1の吸収強度との相関を、またライン34はC−O−C振動に帰属される1170cm−1の吸収強度との相関を示している。この相関関係式から検量線を求める。
【0043】
また、ステップS2において求めた被験者の吸光度と、血液中のLDL値との間にも相関関係が認められる。そこで、ステップS1においてコレステロール値を求める際に併せてLDL値を求めておき、図9(b)に示すように、血液中のLDL値と補正吸光度の相関関係から、LDL値を求めるための検量線を作成してもよい。なお、汗をかいた被験者の場合、1630cm−1のピークが大きくなり、コレステロールエステルの吸収強度が見掛け上小さくなるので、検量線作成の際にはこのデータを削除する。汗をかいた被験者か否かは、OH/NH測定用の3280cm−1の吸収強度から判定できる。
【0044】
ステップS3において、検量線を作成すると、次に、判定基準の作成を行う(S4)。本実施形態においては、図11に示すように、コレステロール値を1742cm−1と1170cm−1においてそれぞれ1〜5の5段階で判定表示するようにしている。このための判定値を、図10に示す画面において設定する。なお、図10および図11に示す画面においては、コレステロール値に加えて、脂肪値およびOH/NH値についても検査結果の表示を行うようにしている。これは、OH/NH測定用の3280cm−1、および脂肪測定用の2980cm−1を用いて、コレステロール値を併せて簡単に求めることができるからである。
【0045】
判定基準を作成すると、工場製造時の調整を終了する。なお、本実施形態においては、コレステロール値を1〜5の5段階評価で表示するようにしたが、これに限らず、検量線を用いて算出された血液中に含まれるコレステロール値を直接表示するようにしてもよい。この場合には、判定基準の作成を省略することができる。
【0046】
次に、ユーザに対するコレステロール値測定の動作について、図8(b)に示すフローチャートを用いて説明する。このフローは、マイクロコンピュータ20内に記憶されているプログラムに従ってマイクロコンピュータ20が制御する。
【0047】
まず、皮膚の非侵襲コレステロールエステル値測定を行う(S11)。ここでは、本実施形態におけるコレステロール濃度測定装置を用いて、ベースライン測定用の4500cm−1、規格化するためのアミド2測定用の1539cm−1、およびコレステロールエステル測定用の1742cm−1、1170cm−1等を中心波数とするバンドパスフィルタ部7を透過した振動波光の検出器8からの信号出力に基づいて、コレステロールエステル値等を算出する。
【0048】
コレステロールエステル値の測定を行うと、次に、総コレステロール値の計算と表示を行う(S12)。ここでは、ステップS3において求めた検量線と、ステップS11において求めたコレステロールエステル値に基づいて、総コレステロール値を求める。ここで求めた総コレステロール値に基づいて、図11に示したような判定結果の表示を行う。なお、前述したように、コレステロール値自体を表示するようにしてもよい。コレステロール値の判定値を表示すると、コレステロール値判定のフローを終了する。
【0049】
次に、本発明の一実施形態におけるコレステロール濃度測定装置のうちの分光計1の一変形例について、図4および図5を用いて説明する。この変形例は、分光計1における測定の安定性を向上させたものである。ATRプリズム10に被験者の腕を押しつけて測定する場合、腕の押し付けの強さが変化すると、見掛け上、バンドパスフィルタ7の各フィルタの吸収強度が変化したことになる。本発明の一実施形態においては、信号の補正にあたって、ケラチンのアミド2(1539cm−1)と、ベース位置用(1850cm−1、4500cm−1)の吸収強度を用いて補償(補正)していたが、この信号取得時と、コレステロールエステルの信号取得時の間に、腕の押し付けの強さが変化すると、正しく補正されない。
【0050】
そこで、皮膚タンパク質・ケラチンのアミド2と、ベース位置用の吸収強度を常時モニタすることにより、コレステロールエステルの信号取得時と同時にこれらの信号を取得し、コレステロールエステル等の濃度測定値の補正を行うことができる。すなわち、本変形例によれば、腕の押し付け強さの補正を常時行うことができる。
【0051】
図4は変形例の光学系の配置を概略的に示す図である。この変形例は、図2に示した分光計1と比較し、レンズ11cとミラー12の間にハーフミラー21を配置し、このハーフミラー21によって分割された光路中にダイクロイックミラー22以下を配置している点が相違する。そこで、この相違点を中心に説明する。
【0052】
ハーミラー21の分割光路中にダイクロイックミラー22が配置されている。このダイクロイックミラー22は、ハーフミラー21によって分割された振動波光を更に2つの光路に分割する。ダイクロイックミラー22の反射光路上には、ベース用フィルタ23、レンズ11f、および検出器25が配置される。ベース用フィルタ23はベースライン測定用の4500cm−1を中心波数とする透過フィルタである。レンズ11fは、ベース用フィルタ23を透過した振動波光を検出器25上に集光するためのレンズである。検出器25は、検出器8と同様に、光強度を測定するセンサであって、ベース用フィルタ23を透過した4500cm−1を中心波数とする振動波光の強度に応じて電気信号に変換する。
【0053】
ダイクロイックミラー22の透過光路上には、規格化用フィルタ24、レンズ11e、および検出器26が配置される。規格化用フィルタ24は規格化するためのアミド2測定用の1539cm−1を中心波数とする透過フィルタである。レンズ11eは、規格化用フィルタ24を透過した振動波光を検出器26上に集光するためのレンズである。検出器26は、検出器8、25と同様に、光強度を測定するセンサであって、規格化用フィルタ24を透過した1539cm−1を中心波数とする振動波光の強度に応じて電気信号に変換する。
【0054】
このように、ATRプリズム10、レンズ11cを通過した振動波光は、ハーフミラー21およびダイクロイックミラー22によって、3つの光束に分割される。ハーフミラー21を透過した振動波光は、バンドパスフィルタ部7によって8種類の透過フィルタを順次透過し、検出器8によって電気信号に変換される。また、ダイクロイックミラー22によって反射された振動波光は、ベース用フィルタ23によってベースライン測定用の4500cm−1を中心波数とする光束が透過し、検出器25によって電信信号に変換される。さらに、ダイクロイックミラー22を透過した振動波光は、規格化用フィルタ24によって規格化するためのアミド2測定用の1539cm−1を中心波数とする光束が透過し、検出器26によって電信信号に変換される。
【0055】
図5は変形例の信号系の配置を概略的に示す図である。この変形例は、図3に示した分光計1と比較し、ベース用フィルタ23、検出器25、前置増幅器16x、AC/DC増幅器回路17x、規格化用フィルタ24、検出器26、前置増幅器16y、AC/DC増幅器回路17yが追加されただけである。
【0056】
追加された前置増幅器16x、16yは、前置増幅器16と同様に、それぞれ接続されている検出器25、26から出力される交流信号を増幅する。前置増幅器16x、16yにそれぞれ接続されたAC/DC増幅回路17x、17yは、AC/DC増幅回路17と同様に、交流信号を増幅し、かつ直流信号に変換する。AC/DC増幅回路17、17x、17yによって増幅され直流信号に変換された信号は、A/D変換回路18によってデジタルデータに変換され、パーソナルコンピュータ20に出力される。
【0057】
本発明の一実施形態の変形例における動作も、一実施形態と同様であるが、信号補正の仕方のみが異なる。すなわち、バンドパスフィルタ部7の8個のサンプル用フィルタを透過した振動波光は検出器8によって電気信号に変換され、またベース用フィルタ23を透過した振動波光は検出器25によって電気信号に変換され、また規格化用フィルタ24を透過した振動波光は検出器26によって電気信号に変換され、それぞれの前置増幅器16、16x、16y、およびAC/DC増幅回路17、17x、17yによって増幅、直流変換された後、A/D変換回路18によってデジタルデータに変換される。
【0058】
測定にあたっては、被験者の腕等をATRプリズム10に載せない状態で測定した参照強度と、腕等をATRプリズム10に載せた状態で測定した透過光強度をそれぞれ測定し、それぞれの割合から吸光度を求める。バンドパスフィルタ部7を透過した振動波光に基づく吸光度をS、ベース用フィルタ23を透過した振動波光に基づく吸光度をB0、規格化用フィルタ24を倒壊した振動波光に基づく吸光度をN0とすると、補正されたコレステロールエステル等の信号強度は、(S−B0)/(N0−B0)となる。
【0059】
なお、バンドパスフィルタ部7には、ベース用フィルタ23と同一の中心波数(4500cm−1)と、規格化用フィルタ24と同一の中心波数(1539cm−1)のフィルタが配置されている。これらのフィルタは、一変形例に係わるコレステロール濃度測定装置の初期設定の際の校正作業において、両者が一致しているかを確認するために使用する。しかし、通常の測定時には使用しないことから、バンドパスフィルタ部7において、4500cm−1と、1539cm−1の2つのフィルタを省略しても構わない。
【0060】
このように、本発明の一実施形態の変形例においては、皮膚タンパク質のアミド2の吸収度とベースラインの吸収度を、常時モニタするための光学系および信号系を設けている。このため、皮膚のコレステロール濃度を測定する際に、腕が動き、ATRプリズム10への押し付け強さが変化し、吸収強度が変化するような場合であっても、アミド2およびベースラインの吸収度によって全体を規格化し、腕の動きの影響を受けないようにしている。
【0061】
なお、変形例では検出器が3個、必要になり、これに付随して光学系および信号系が複雑になると共に高価になってしまう。この点、本発明の一実施形態においては、検出器が1つであるため、光学系および信号系が簡単かつ安価とすることができる。しかし、前述したように、測定時に腕が動くと吸収強度の補正が十分できず、測定精度が低下してしまう。そこで、本発明の一実施形態における他の変形例として、バンドパスフィルタ部7を高速回転することによって、検出器が1個でも測定精度を維持するようにしてもよい。
【0062】
この他の変形例では、バンドパスフィルタ部7のフィルタターレットを数Hz以上で高速回転させ、この回転と同期して信号を取得するようにする。バンドパスフィルタ部7の回転が、光を断続するチョッパの役割を果たし、このため、チョッパ5を省略することができる。また、高速に回転することから、コレステロールエステル測定用のフィルタ、ベースライン用フィルタ、規格化用フィルタ等を透過した時間差を無視できる程度の時間間隔で、それぞれのデータを取得できることから、腕が動くことによる誤差を最小限にすることができる。また、光学系も簡単になり、装置の小型化および低廉化を図ることができる。
【0063】
以上説明したように、本発明の一実施形態や変形例においては、全反射減衰法(ATR法)を用いて試料の吸収スペクトル強度を測定するにあたって、コレステロールエステルの中赤外領域における吸収スペクトルのピークを中心波長とする所定帯域を透過するバンドパスフィルタを透過した光を検知するようにしている。このため、血液を採取することなく、安価で小型化なコレステロール濃度測定装置を提供することができる。
【0064】
なお、本発明の一実施形態においては、複数のフィルタを配置した円板を回転させたが、ATRプリズム10の出射光路を必要な数に分割し、分割光路にそれぞれフィルタを配置することにより、回転円板を省略するようにしても構わない。また、チョッパ5によって振動波光に変換していたが、直流で十分精度を確保できるならば、チョッパを省略し、振動波光に変換することなく直流光のままで測定しても構わない。
【0065】
本発明は、上述の一実施形態や変形例にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記一実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、一実施形態や変形例に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる一実施形態や変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1・・・分光計、2・・・位置決め機構、3・・・制御・データ処理部、3a・・・制御・データ処理用PC、3b・・・データ収納部、4・・・光源、5・・・チョッパ、6・・・ATR測定部、7・・・バンドパスフィルタ部、8・・・検出器、9・・・信号処理部、10・・・ATRプリズム、11a〜11d・・・レンズ、12・・・ミラー、13・・・第1の集光光学系、14・・・第2の集光光学系、15・・・フィルタ駆動部、16・・・前置増幅器、16x・・・前置増幅器、16y・・・前置増幅器、17・・・AC/DC増幅回路、17x・・・AC/DC増幅回路、17y・・・AC/DC増幅回路、18・・・A/D変換回路、19・・・フィルタ・羽根制御部、20・・・パーソナルコンピュータ、21・・・ハーフミラー、22・・・ダイクロイックミラー、23・・・ベース用フィルタ、24・・・規格化用フィルタ、25・・・検出器、26・・・検出器、31〜34・・・被験者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中赤外領域の波長の光を出射する光源と、
上記光源から出射した光を用いて全反射減衰法により試料の吸収強度を測定するための全反射減衰プリズムと、
上記全反射減衰プリズムの出射光路中に配置され、コレステロールエステルの中赤外領域における吸収スペクトルの所定のピークをそれぞれ中心波長とした所定帯域を透過する複数のバンドパスフィルタと、
上記複数のバンドパスフィルタを順次、上記出射光路中に配置するように切換える駆動手段と、
上記全反射プリズムから出射し、上記複数のバンドパスフィルタを透過した光から試料の吸収強度を検出する検出器と、
上記駆動手段によるバンドパスフィルタの切換えを制御するとともに、上記検出器で検出された吸収強度に基づいてコレステロールエステル濃度を算出する制御・データ処理手段と、
を備えたことを特徴とするコレステロール濃度測定装置。
【請求項2】
上記複数のバンドパスフィルタは、吸収強度の補正を行うベースラインと規格化のための基準位置として用いるそれぞれ所定波長を中心とした所定帯域を透過するフィルタを含むことを特徴とする請求項1に記載のコレステロール濃度測定装置。
【請求項3】
アミド2及びベースラインを常時モニタし、試料の押しつけ強さの変化を補償することにより測定誤差を最小にすることを特徴とする請求項1に記載のコレステロール濃度測定装置。
【請求項4】
上記全反射減衰プリズムの出射光路中に配置された第1及び第2の光路分割用の光学素子と、
上記光路分割用の光学素子の光路上に配置された吸収強度の補正を行うベースライン用フィルタおよび規格化用フィルタと、
を有することを特徴とする請求項1に記載のコレステロール濃度測定装置。
【請求項5】
上記駆動手段は、上記複数のバンドパスフィルタを高速で回転させ、上記検出器は、高速で回転するバンドパスフィルタを透過した光を交流信号として、順次、出力することを特徴とする請求項1に記載のコレステロール濃度測定装置。
【請求項6】
中赤外領域の波長の光を出射する光源と、
上記光源から出射した光を用いて全反射減衰法により試料の吸収強度を測定する全反射減衰プリズムと、
コレステロールエステルの中赤外領域における吸収スペクトルの所定のピークを中心波長とした所定帯域を透過する第1のバンドパスフィルタと、
吸収強度の補正を行うための所定波長を中心とした所定帯域を透過する第2のバンドパスフィルタと、
上記全反射プリズムから出射し、上記第1及び第2のフィルタを透過した光から試料の吸収強度を検出する検出器と、
上記検出器で検出された吸収強度に基づいてコレステロールエステル濃度を算出する制御・データ処理手段と、
を備えたことを特徴とするコレステロール濃度測定装置。
【請求項7】
上記第2のバンドパスフィルタは、ベースライン用フィルタおよび規格化用フィルタであることを特徴とする請求項6に記載のコレステロール濃度測定装置。
【請求項8】
上記第1及び第2のバンドパスフィルタは、回転可能に一体に保持された円板から構成され、
上記検出器は、上記第1及び第2のバンドパスフィルタを透過した光を、順次、受光する、
ことを特徴とする請求項6に記載のコレステロール濃度測定装置。
【請求項9】
上記検出器は、上記第1のバンドパスフィルタを透過した光を受光する第1の検出器と、上記第2のバンドパスフィルタを透過した光を受光する第2の検出器を有することを特徴とする請求項6に記載のコレステロール濃度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−132745(P2012−132745A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284159(P2010−284159)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(502195396)株式会社フォトサイエンス (2)
【Fターム(参考)】