説明

コレスト−4−エン−3−オンの誘導体の医薬としての使用、これらを含む医薬組成物、新規誘導体及びそれらの製造方法

本発明は、式(I):
【化1】


[式中、Xは酸素原子又は=N-OH基を示し;Rは
【化2】


から選ばれる基を示し;Aは水素原子又はBと一緒になって炭素-炭素結合を示し;Bは水素原子、水酸基又はAと一緒になって炭素-炭素結合を示し;C、D、E及びFは水素原子又はDと一緒になって炭素-炭素結合を示す。]
で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つに関する。但し、いくつかの化合物を除く。本発明は、医薬、特に神経保護因子としての使用に関する。本発明はまた、一般式(I)を有する新規化合物及び医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレスト-4-エン-3-オンの誘導体の医薬としての使用、特に例えば運動ニューロンの変性又は死に関連する病状又は外傷における神経保護因子としての使用、それらを含む医薬組成物、新規誘導体及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経変性過程は、脳(中枢神経系(CNS)、脊髄及び末梢神経系(PNS)によって介在される機能の喪失を招く神経不全及び神経細胞死によって特徴付けられる。それらは、特に、神経変性疾患もしくは障害、外傷又は毒への暴露の語の下で集合的に知られた病状から起こる。
【0003】
神経変性過程によって特徴付けられる最も重要な症状は以下である:
−遺伝性もしくは散発性の慢性神経変性疾患、特にアルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄筋萎縮症、クロイツフェルド-ヤコブ病、多発性硬化症、アドレノロイコジストロフィ、癲癇、痴呆、精神分裂症、及びAIDSに関連する神経症候群;
−老化に関連する神経損傷;
−遺伝性末梢神経障害又は損傷から起こる末梢神経障害、例えばファブリ病、シャルコット・マリー・ツース病、クラッベ病、白質ジストロフィ、糖尿病性ニューロパシー、及び抗-癌治療によって引き起こされる神経障害;
−脳、末梢神経又は脊髄の外傷;
−大脳-血管事故後に又は血液潅漑の欠如によって引き起こされる脳もしくは脊髄の虚血;
−遺伝性、外傷性又は視覚の感覚神経の老化と関連する変性、例えば筋肉変性、色素性網膜炎、又は緑内障によって引き起こされる視覚神経の変性;
−遺伝性、損傷から起こる又は聴覚の衰退もしくは欠如を招く聴覚の感覚神経の老化に関連する変性。
【0004】
これらの病状に影響するシグナル経路の一部は、非常に多くの神経変性疾患に共通している。アルツハイマー病は最も頻出する痴呆である。アルツハイマー病は、脳萎縮、海馬の顕著なニューロン喪失の出現を引き起こし、コリン作動性ニューロンにも影響を与える。その他の病状、例えば肺萎縮(ピック病、クロイツフェルド-ヤコブ病)、レービー小体萎縮、血管性痴呆、パーキンソン病は、これらの痴呆の兆候の始まりにおける重大な神経細胞死と関連している。
【0005】
近年、神経変性症を抑制する効果的治療は存在しない。死から神経を保護する治療的方法は、神経栄養タンパク質の供給である。
【0006】
これらのタンパク質、例えばBDNF(脳-由来神経栄養因子)、CNTF(繊毛神経栄養因子)、NGF(神経成長因子)、GDNF(グリア-由来神経栄養因子)は、胚形成中又は成人の損傷後に合成される。これらの成長因子は、ニューロンの生存、成熟及び分化を促進する。更に、それらはアポトーシスメカニズムを阻害し、多数の生存経路を活性化し、及び多数のニューロン群を保護する。それらの使用は、神経変性症の大多数で提案されている。
【0007】
神経栄養因子の発現を活性化し、又はこれらの因子の作用を模倣する化合物は、神経変性症候群の治療のために治療的可能性を有している。
【0008】
特に、神経変性症の治療のための神経栄養分子の供給は、以下の3つの目的を有している:
−神経の末梢もしくは中枢標的による供給障害及び/又はこれらの因子の退化の問題に関連する神経栄養因子の潜在的欠乏を補充すること;
−変性カスケードに関連する生化学的経路に関して非-特異的形式で介入すること;
−樹状成長及び神経末端樹枝状部の生来の補償事象を促進すること。
【0009】
従って、これらの化合物は、多数の病状、特に末梢及び中枢神経系に影響する病状において有利な効果を有している。
【0010】
更に、上記文脈内で、運動ニューロンは脊髄及び脳幹に特に存在するニューロンである。それらの変性又は死は、足の筋肉の進行性衰弱を招き、その後当該筋肉の萎縮更におそらく痙縮(すなわち永久的縮小)を招く。
【0011】
脊髄及び/又は延髄の運動ニューロンの変性及び死から生じる最も重要な病状は、シャルコット病又はルー・ゲーリッグ病としても知られている筋萎縮性側索硬化症、及びウェルデニッヒ-ホフマン病又はクーゲルベルグ-ベランダー病としても知られている脊髄筋萎縮症である。
【0012】
更に、運動ニューロンの変性は、脊髄又は末梢運動ニューロンの破砕及び/又は切断による外傷の場合に観察される。
【0013】
更に一般的には、脊髄筋萎縮症は、脊髄の運動ニューロンの変性又は死が関連する場合の疾患を言う。
【0014】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、レービー小体等の異なった種類の疾患に関連する神経変性疾患であり、脊髄及び皮質運動ニューロンの変性によって、時には前部萎縮に関連する致命的結果に特徴付けられる。ALSの発症中、当該変性現象は、神経感応の欠落によって、脳だけでなく脊髄でも起こり、続いて筋肉でも起こる。
【0015】
上記疾患に効く活性化合物は、常に探索されている。
【発明の開示】
【0016】
ところで、出願人は、4-コレステン-3-オン誘導体及び特にコレスト-4-エン-3-オン オキシムが、顕著な神経保護特性を、特に運動ニューロン、中枢神経系のニューロン、運動及び末梢神経に対して示し、それゆえ医薬として使用することができ、及びそれらのうちのあるものは、GABAA(ガンマアミノ酪酸A型)の正のアロステリック調節因子の効果を阻害するための顕著な性質を示す、ことを発見した。
【0017】
そのような理由で、本発明の課題は、ヒト又は動物の治療的処置方法において用いるための、すなわち医薬としての下記式I:
【0018】
【化1】

【0019】
[式中、Xは酸素原子又は=N-OH基を示し;
Rは下記式:
【0020】
【化2】

【0021】
から選ばれる群を示し;
Aは水素原子又はBと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Bは水素原子、水酸基又はAと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Cは水素原子又はDと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Dは水素原子又はCと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Eは水素原子又はFと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Fは水素原子又はEと一緒になって炭素-炭素結合を示す。]
で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つである。但し、コレスト-4-エン-3-オン、24-エチルコレスト-4,22-ジエン-3-オン、5-β-コレスタン-3-オン及びコレスト-4,6-ジエン-3-オン並びにコレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オン及びコレスト-5-エン-3-オン オキシムを除く。
【0022】
薬学的に許容される酸付加塩は、例えば次の酸で形成される塩でよい:塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、安息香酸、マレン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グルオキシル酸、アスパラギン酸、メタン又はエタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸、ベンゼン又はパラトルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸、又はカルボン酸。
【0023】
上記化合物の中で、Xが=N-OH基又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩を示す式Iの化合物は、特に好ましい。
【0024】
更に具体的には、
−Xが=N-OH基を示し、AがBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDが水素原子を示し、E及びFが水素原子又は一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRがR1の意味である、
−Xが=N-OH基を示し、AがBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDが水素原子を示し、E及びFが水素原子を示し、かつRがR2、R3又はR4の意味である、
−Xが=N-OH基を示し、AがBと一緒になって二重結合を示し、CがDと一緒になって炭素-炭素結合を示し、E及びが水素原子を示し、かつRがR1又はR6の意味である、
−Xが=N-OH基を示し、AがBと一緒になって二重結合を示し、CがDと一緒になって炭素-炭素結合を示し、EがFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRがR1の意味である。
−Xが=N-OH基を示し、EがFと一緒になって二重結合を示し、C、D、A及びBが水素原子を示し、かつRがR1の意味である、
上記化合物、並びに薬学的に許容されるそれらの酸付加塩が好ましい。
【0025】
本発明の化合物の中で、更には
−5β-ヒドロキシ-コレスト-4-エン-3-オン
−コレスタン-3-オン オキシム
及び薬学的に許容されるそれらの酸付加塩について言及することができる。
【0026】
特に具体的には以下:
−コレスト-4-エン-3-オン オキシム
−1,4-コレスタジエン-3-オン オキシム
及び薬学的に許容されるそれらの酸付加塩が好ましい。
【0027】
本発明の対象である化合物は、非常に有用な薬理学的性質を有する。特に運動ニューロンに対して顕著な神経保護特性を示す。
【0028】
これらの性質は、後の実験項で例証される。これらは、上記化合物及び薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の医薬としての使用を正当であると判断する。
【0029】
本発明に従う医薬は、例えば神経変性疾患、例えばハンチントン病、遺伝性又は散発性で慢性的は神経変性疾患、老化に関連する神経損傷、遺伝性の末梢神経障害又は損傷から起こる末梢神経障害、シャルコット・マリー・ツース病、抗-癌治療によって引き起こされる糖尿病性ニューロパシー又は神経障害、脳外傷、脊髄の末梢神経、脳又は脊髄の虚血、遺伝性、損傷から起こる又は視覚の感覚神経の老化に関連する変性、又は視神経の変性、遺伝性、外傷性又は聴覚の感覚神経の老化に関連する変性、肺萎縮、及び血管性痴呆、並びに特に脊髄筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症及び脊髄又は末梢運動ニューロンの外傷に起因する病状、の治療又は予防におけるそれらの神経保護特性に起因した用途に関する。
【0030】
本発明の文脈では、用語「治療」は、予防的、治癒的、苦痛緩和的処置、及び患者に対する配慮(苦しみの軽減、一生涯での改善、疾患の進行遅延)等を意味する。更に、治療は、その他の成分又は治療、例えば特に本出願で画定された病状又は外傷を治療するための他の活性化合物、と組み合わせて実行することができる。
【0031】
それらはまた、GABAA(ガンマアミノ酪酸A型)受容体の正のアロステリック調節因子の効果を阻害する性質を有する。正のアロステリック調節因子の例は、アロプレグナノロン、3α-ヒドロキシ-5α-プレグナン-20-オン、3α,5α-TH-PROG、又はテトラヒドロデオキシコルチコステロンすなわち3α,20-ジヒドロキシ-5α-プレグナン-20-オンすなわち3α,5α-TH-DOCであり、これらは中枢神経系の内因性神経ステロイドである。本発明の化合物はまた、これらの神経ステロイドが例えば以下:
−性行為
−新生児の突然死、及び特に
−苦痛又は慢性的神経障害疼痛
−不安症又は欝病
−神経系の外傷性損傷
−ステロイド-感受性癲癇、睡眠障害又はアルコール中毒
−認識学習又は記憶障害
の重要な役割を演ずるとして記載されてきた異なった生理病理学的症状の治療において使用できる。
【0032】
特に、運動ニューロンに対するそれらの神経保護特性によって、それらの神経ステロイドは萎縮症、特に筋萎縮性側索硬化症又は乳児脊髄筋萎縮症の治療において、及び上記の脊髄又は末梢運動ニューロンの外傷治療において特に使用できる。
【0033】
一般的に、化合部の日用量は治療的効果を得るための最小用量である。この用量は、先に述べた様々な因子に依拠するだろう。上記の化合物、例えばコレスト-4-エン-3-オン オキシムの用量は、一般的に男性では0.001〜100 mg/kg/日である。
【0034】
必要ならば、この日用量は、一日に2、3、4、5、6又はそれ以上に分けて、又は一日に「好適な間隔で投与される多数の副-用量によって投与することができる。
【0035】
選択される量は、複数の因子、特に投与経路、投与間隔、投与時間、化合物の排泄速度、化合物と併用される異なった生成物(複数)、年齢、体重及び患者の体調、並びに患者の病歴及び医薬について知られた全てのその他の情報に依拠するだろう。
【0036】
主治医の処方は、一般的に用いられる用量よりも低い用量で開始することができ、次いでこれらの用量は徐々に増やされ、可能性のある副作用の出現をうまく制御することができる。
【0037】
本発明の課題はまた、活性成分として、少なくとも1つの上記化合物又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つを含む医薬組成物である。
【0038】
こられの組成物において、活性成分は、生理的に有効な用量で有利に存在し;上記組成物は特に上記活性成分の少なくとも1つの有効神経保護用量を含む。
【0039】
式Iに対応する化合物及び薬学的に許容されるそれらの酸付加塩は、医薬として、消化又は非経口経路を意図した医薬組成物に取り込まれることができる。
【0040】
本発明に従う医薬組成物は、同時に、別個に又は長時間に渡って、特に上で定義した運動ニューロンの変形又は死に関連する病状又は外傷に罹患した患者の治療中に用いるための、少なくとも1つの他の治療上の活性成分を更に含むことができる。
【0041】
本発明に従う医薬組成物又は医薬は、1又はそれ以上の不活性賦形剤又は媒質、すなわち薬学的に不活性かつ非毒性、を有利に含む。薬学的使用に適合し、当業者に周知である、例えば生理食塩水(saline)、生理食塩水(physiological)、等張液、緩衝液等が挙げられる。組成物は、分散剤、溶解剤、安定化剤、保存剤等から選ばれる1又はそれ以上の薬剤又は媒質を含むことができる。製剤(液剤及び/又は注射溶剤及び/又は固体剤)に用いられる薬剤又は媒質は、特にメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、シクロデキストリン、ポリソルベート 80、マンニトール、ゼラチン、ラクトース、植物油又は動物油、アカシア等である。組成物は、場合により徐放及び/又は制御放出を確実にするガレニク形又は装置を用いて、注射用懸濁剤、ゲル剤、油剤、錠剤、座剤、粉剤、ゼラチン剤、カプセル剤等の形態で調剤できる。この種の調剤については、セルロース、炭酸塩又はデンプン等の薬剤が有利に使用される。
【0042】
投与は当業者に周知の任意の方法、特に経口経路又は注射、典型的には腹腔内、脳内、外皮内、静脈内、動脈内又は筋肉内経路によって行うことができる。経口経路による投与が好ましい。長期間治療が問題となっている場合には、好ましい投与経路は、舌下、経口又は経皮である。
【0043】
注射剤用には、化合物は液体懸濁剤の形態で一般的に包装され、例えばシリンジ又は潅流を用いて注射することができる。流速及び/又は注射用量又は一般的に投与用量は、患者の機能、病状、投与方法等によって当業者によって採用できる、ことが理解される。反復投与法が場合により他の活性成分又は医薬レベルで許容される任意の媒質(緩衝液、生理食塩水、等張液、安定化剤の存在下で)と組み合わせて行うことができる、ことが理解される。
【0044】
本発明は、哺乳動物特にヒトに用いることができる。
【0045】
本発明の課題はまた、活性成分又は成分(複数)が、それ自体知られた方法に従って、許容される賦形剤特に薬学的に許容される賦形剤と混合されることを特徴とする上記組成物の製造方法である。
【0046】
上で定義した式Iの化合物は、知られており又は文献記載の方法に従って製造することができる。式Iのある誘導体は新規生成物である。
【0047】
そのようなわけで、本発明の課題はまた、下記式I:
【0048】
【化3】

【0049】
[式中、
Xは酸素原子又は=N-OHラジカルを示し;
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDは水素原子を示し、EはFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRはR1の意味である;
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDは水素原子を示し、E及びFは水素原子を示し、かつRはR2、R3又はR4の意味である;
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、CはDと一緒になって炭素-炭素結合を示し、E及びFは水素原子を示し、かつRはR6の意味である;
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、CはDと一緒になって炭素-炭素結合を示し、EはFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRはR1の意味である。]
に対応する新規化合物、及びそれらの鉱酸又は有機酸付加塩である。
【0050】
本発明の課題はまた、上で定義した式Iの新規化合物及びそれらの塩の製造方法であって、下記式II:
【0051】
【化4】

【0052】
[式中、
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDは水素原子を示し、EはFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRはR1の意味である;
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDは水素原子を示し、E及びFは水素原子を示し、かつRはR2、R3又はR4の意味である;
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、CはDと一緒になって炭素-炭素結合を示し、E及びFは水素原子を示し、かつRはR6の意味である;
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、CはDと一緒になって炭素-炭素結合を示し、EはFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRはR1の意味である。]
で表される化合物が、ヒドロキシルアミン塩酸塩等のヒドロキシルハライドと反応して、単離された及び必要ならば塩化された式Iの予想化合物が得られることを特徴とする、前記方法である。
【0053】
上記方法を実施するための好ましい条件は、
−出発物質はピリジン等の好適な溶媒の最小量に溶解される;
−別のケトン基が存在するならば、それは、環状アセタール等の好適な保護基によって特異的に保護される;
−ヒドロキシルアミンハライドは過剰、例えば2等量使用される;
−操作は室温で約24時間、攪拌しながら実施される。
【0054】
式IIの化合物は、文献記載の周知の誘導体であり、市販されている。
【0055】
本発明の課題はまた、神経保護薬、特に、例えばハンチントン病、遺伝性又は散発性の慢性神経変性疾患、老化と関連する神経損傷、遺伝性末梢神経障害又は損傷から起こる末梢神経障害、シャルコット・マリー・ツース病、糖尿病性ネフロパシー又は抗-癌治療によって引き起こされる神経障害、脳、末梢神経又は脊髄の損傷、脳及び脊髄の虚血、遺伝性、損傷から起こるもしくは視覚の感覚神経の老化に関連する変性又は視神経の変性、遺伝性、外傷性もしくは聴覚の感覚神経の老化に関連する変性、肺萎縮及び血管性痴呆、運動ニューロンの変性に関連する疾患及び外傷、より特には脊髄筋萎縮症、特に乳児筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、並びに脊髄又は末梢運動ニューロンの外傷等の神経変性疾患の治療を目的とする神経保護薬を取得するための、下記式I:
【0056】
【化5】

【0057】
[式中、
Xは酸素原子又は=N-OH基を示し;
Rは下記式:
【0058】
【化6】

【0059】
から選ばれる群を示し;
Aは水素原子又はBと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Bは水素原子、水酸基又はAと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Cは水素原子又はDと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Dは水素原子又はCと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Eは水素原子又はFと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Fは水素原子又はEと一緒になって炭素-炭素結合を示す。]
で表される化合物、及びコレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つである。
【0060】
本発明の具体的課題は、神経保護薬、特に神経の変性又は死に関連する病状又は外傷の、かかる病状又は外傷に罹患した哺乳動物(一般的に患者)における治療を目的とする保護薬を取得するための、上記式Iの化合物の使用である。
【0061】
本発明のより具体的課題は、乳児脊髄筋萎縮症及び筋萎縮性側索硬化症の治療を目的とする医薬を取得するための式Iの化合物の使用である。
【0062】
本発明の課題はまた、GABAA受容体(例えば、アロプレグナノロン及び/又はテトラヒドロデオキシコルチコステロン等の神経ステロイドの存在の結果として)の亢進が、例えばステロイド-感受性癲癇、アルコール中毒、認識学習、疼痛感受性又は睡眠障害等の悪影響を有する病状の治療を目的とする医薬を取得するための、上記式Iの化合物の使用である。GABAA受容体のこの亢進は、阻害効果又は刺激効果によって特徴付けられる。
【0063】
これらの医薬の使用は、特にニューロンの生存を増加させ又は軸索成長を促進するために、通常、式Iの化合物、特にコレスト-4-エン-3-オン オキシムの治療上有効量をこれらの哺乳動物へ投与することを含む。
【0064】
本発明は、ニューロンの生存を増加させ又は軸索成長を促進するために、疾患、特に上記の神経変性症、特に神経の変性又は死に関連する病状又は外傷のための、かかる病状又は外傷に罹患した哺乳動物(一般的に患者)における治療方法に関し、コレスト-4-エン-3-オン オキシムの治療上有効量のこれらの哺乳動物への投与を含む。
【0065】
更に、本発明の課題は、ニューロンの生存を増加させるために、上記疾患の1つ、特に運動ニューロンの変性又は死に関連する病状又は外傷のための、かかる病状又は外傷に罹患した哺乳動物(一般的に患者)における治療方法に関し、式Iの化合物の治療上有効量のこれらの哺乳動物への投与を含む。より具体的には、運動ニューロンの変性又は死に関連する病状は、筋萎縮性側索硬化症又は乳児脊髄筋萎縮症である。
【0066】
本発明は、4-コレスタン-3-オンの新規誘導体、及び当該分野の状況において記載されてきた誘導体以外の4-コレスタン-3-オンの誘導体の提供に関する。従って、文献記載の誘導体は除く。
【0067】
式Iの医薬の使用のための上記好ましい条件は、上記発明のその他の課題、特に組成物、新規誘導体、使用及び治療方法にも適用することができ、その逆も同様である。
【0068】
次の実施例は本出願を例証する。
【実施例】
【0069】
実施例1
処方に従って懸濁剤を調製した。
コレスト-4-エン-3-オン オキシム 20 mg/ml
賦形剤 油型エマルション
【0070】
実施例2
処方に従って軟ゼラチンカプセル剤を調製した。
コレスト-4-エン-3-オン オキシム 250 mg
賦形剤
ゼラチンカプセル剤に十分な量 750mg
【0071】
実施例3:1,4-コレスタジエン-3-オン オキシム(R=R1)
5 gの1,4-コレスタジエン-3-オン(13 mmol)を100 mlフラスコで50 mlのピリジンに溶解し、次いで5 gのヒドロキシルアミン塩酸塩を加えた。室温で24時間攪拌を維持し、溶媒を減圧下で濃縮した。水次いで酢酸エチルを加え、抽出した。有機層を酸性水溶液(HCl 1%)で洗浄した。酢酸エチルを減圧下で濃縮した。50%を越える収率で白色粉末を得た。
【0072】
分析
−液体クロマトグラフィー/質量分析法(Electrospray(登録商標))
−高速液体クロマトグラフィーの条件:
カラム: Macherey-Nagel-Nucleosil(登録商標)300-6C4-150×4.6 mm
グラジュエント: 水(0.05% TFA添加)/アセトニトリル(0.05% トリフルオロ酢酸添加)
t=0分: 60% アセトニトリル, 40% H20
t=6分: 100% アセトニトリル, 0% H20
次いで、100% アセトニトリルを5分間
保持時間: 5分60秒
−質量分析法によって検出したピーク: {M+H}+=398。
【0073】
実施例4:4,24-コレスタジエン-3-オン オキシム(R=R2)
100 mgの4,24-コレスタジエン-3-オン(0.26 mmol)を10 mlのフラスコ中で5 mlのピリジンに溶解し、次いで100 mgのヒドロキシルアミン塩酸塩を加えた。室温で24時間攪拌を維持し、溶媒を減圧下で濃縮した。水次いで酢酸エチルを加え、抽出した。有機層を酸性水溶液(HCl 1%)で洗浄した。酢酸エチルを減圧下で濃縮した。50%を越える収率で白色粉末を得た。
【0074】
分析
−液体クロマトグラフィー/質量分析法(Electrospray(登録商標))
−質量分析法によって検出したピーク: {M+H}+=398。
【0075】
実施例5:4,22-コレスタジエン-3-オン オキシム(R=R4)
10 mgの4,22-コレスタジエン-3-オン(0.026 mmol)を10 mlのフラスコ中で5 mlのピリジンに溶解し、次いで100 mgのヒドロキシルアミン塩酸塩を加えた。室温で24時間攪拌を維持し、溶媒を減圧下で濃縮した。水次いで酢酸エチルを加え、抽出した。有機層を酸性水溶液(HCl 1%)で洗浄した。酢酸エチルを減圧下で濃縮した。50%を越える収率で白色粉末を得た。
【0076】
分析
−液体クロマトグラフィー/質量分析法(Electrospray(登録商標))
−質量分析法によって検出したピーク: {M+H}+=398。
【0077】
実施例6:4-スチグマスタ-エン−3-オン オキシム(R=R3)
100 mgの4-スチグマスタ-エン-3-オン(0.24 mmol)を50 mlのフラスコ中で10 mlのピリジンに溶解し、次いで100 mgのヒドロキシルアミン塩酸塩を加えた。室温で24時間攪拌を維持し、溶媒を減圧下で濃縮した。水次いで酢酸エチルを加え、抽出した。有機層を酸性水溶液(HCl 1%)で洗浄した。酢酸エチルを減圧下で濃縮した。50%を越える収率で白色粉末を得た。
【0078】
分析
−液体クロマトグラフィー/質量分析法(Electrospray(登録商標))
−質量分析法によって検出したピーク: {M+H}+=428。
【0079】
実施例7:4,6,22-エルゴスタ-トリエン−3-オン オキシム(R=R6)
100 mgの4,6,22-エルゴスタ-トリエン-3-オン(0.25 mmol)を50 mlのフラスコ中で10 mlのピリジンに溶解し、次いで100 mgのヒドロキシルアミン塩酸塩を加えた。室温で24時間攪拌を維持し、溶媒を減圧下で濃縮した。水次いで酢酸エチルを加え、抽出した。有機層を酸性水溶液(HCl 1%)で洗浄した。酢酸エチルを減圧下で濃縮した。50%を越える収率で白色粉末を得た。
【0080】
分析
−液体クロマトグラフィー/質量分析法(Electrospray(登録商標))
−質量分析法によって検出したピーク: {M+H}+=410。
【0081】
実施例8:1,4,6-コレスタ-トリエン-3-オン オキシム(R=R1)
100 mgの1,4,6-コレスタ-トリエン-3-オン(0.26 mmol)を50 mlのフラスコ中で10 mlのピリジンに溶解し、次いで100 mgのヒドロキシルアミン塩酸塩を加えた。室温で24時間攪拌を維持し、溶媒を減圧下で濃縮した。水次いで酢酸エチルを加え、抽出した。有機層を酸性水溶液(HCl 1%)で洗浄した。酢酸エチルを減圧下で濃縮した。白色粉末を50%を越える収率で得た。
【0082】
分析
−液体クロマトグラフィー/質量分析法(Electrospray(登録商標))
−質量分析法によって検出したピーク: {M+H}+=396。
【0083】
薬理学的研究
式Iの以下の化合物を試験した。
【0084】
【表1】

【0085】
1. 運動ニューロンの生存に与える式Iの化合物の効果
式Iの化合物の神経保護作用を証明するために、出願人は、ラット運動ニューロンの栄養喪失のin vitroモデルでその活性を試験した。脊髄の運動ニューロンの培養に関する出願人の特許出願WO 01424784号に有利に参照されている。
【0086】
E14ラット胚の脊髄を解剖し、腹部をトリプシン消化した後、摩砕して単離した。運動ニューロンは公知の方法(Camuら, 1993, Purification of spinal motor neurons from chicken and rat embryos by immunopanning. In 《Immunoselection Strategies for Neural cell culture》, Neuroprotocols: A companion to Methods in Neurosciences 2, 191-199; Hendersonら, 1993, Neutrophins promote motor neuron survival and are present in embryonic limb bud. Nature 363 (6426): 266-70)によって他の脊髄細胞から分離した。細胞を密度勾配で遠心した。運動ニューロンは大細胞の分画(最小高密度)に多く存在した。この分画の細胞を抗-p75抗体、運動ニューロン上に存在する表面抗原でインキュベートした。磁性ボールに結合した二次抗体を添加し、細胞の混合物をマグネットカラムに通過させた(Arceら,1999)。運動ニューロンのみが保持され、その純度は90%のオーダーであった。
【0087】
運動ニューロンは、(Rapoulら, 1999, Programmed cell death of embryonic motor neurons triggered through the Fas death receptor. J Cell Biol 147 (5): 1049-62)に従って補充された神経細胞培養用培地中で、培養ウェル中低密度で、ポリオルニチン-ラミニンの基質に接種した。負対照(栄養因子なし)及び正対照(American Company PEPROTECH, Inc.及びSigma-Aldrich companyから購入したBDNF(脳-由来神経栄養因子)1ng/ml、GDNF(グリア-由来神経栄養因子)1 ng/ml及びCNTF(繊毛神経栄養因子)10ng/mlを含む)を各系に含めた。
【0088】
試験化合物は、接種後60分間加え、培養を5%CO2下、37℃で3日間維持した。
【0089】
運動ニューロンは神経栄養因子の非存在下で自然に死滅する傾向がある(Pettmann及びHenderson, 1998, Neuronal cell death. Neuron 20 (4): 633-47)。3日後、生細胞中で蛍光を発するカルセイン存在下で細胞のインキュベーション後に蛍光測定によって生存を評価した。
【0090】
5%CO2下、37℃で3日間、飽和湿度で培養後、最初に接種された運動ニューロンの50%までが神経栄養因子を補充した培地中で生存したが、基本系培地で生存したのは運動ニューロンのたった15%未満であった。
【0091】
試験化合物の活性は、神経細胞培養用培地に添加した場合の運動ニューロンの死を阻止するその能力について、神経栄養因子を補充した培地中で運動ニューロンの生存と比較して評価した。
【0092】
本発明に従う式Iの化合物は、基本系培地中の運動ニューロンのより高い生存率を可能にする濃度で活性を示した。この生存率は、数値すなわち比で表した。この比が0よりも大きい場合には、運動ニューロンの生存に与える当該化合物の効果は正である。
【0093】
得られた結果は以下の通りである。
【0094】
【表2】

【0095】
脊髄運動ニューロンに与える栄養効果のため、それ故、本発明に従う式Iの化合物は、医薬、特に筋萎縮症の治療に、特に筋萎縮性側索硬化症又は乳児脊髄筋萎縮症の治療、及び脊髄の外傷治療に有用であることが判明した。
【0096】
2. 神経タンパク質に与える式Iの化合物の効果
顔面神経の軸索切断を2〜3日齢の新生ラットで行った。神経の片側性切断前に4時間、次いで5日間毎日皮下経路でコレスト-4-エン-3-オン オキシムを与えた。神経切断後6日間、動物を麻酔した後、パラホルムアルデヒドの心臓内潅流によって固定した。その後、脳を除去し、パラフィン中に保存した。クレシルバイオレットで染色した7μmの顔面神経核の化合物分画の組織的分析により、完全な側を有する運動ニューロンの数及び計数される片側が切断された神経の数が明らかとなった(Casanovasら, Prevention by lamotrigine, MK-801 and N omega-nitro-L-arginine methyl ester of motoneuron cell death after neunatal axotomy, Neuroscience, 1996, 71, 313-325)。
【0097】
得られた結果は以下の通りである。
切断しかつコレスト-4-エン-3-オン オキシムで処置した新生ラットの顔面神経核の運動ニューロンの生存は、切断されない神経と比較して、投与経路に従い、3〜100 mg/kgを含む用量で40%まで増加した。
【0098】
3. 神経タンパク質に与える式Iの化合物の効果
坐骨神経の粉砕は、Azzouzら, Enhancement of mouse sciatic nerve regeneration by the long chain fatty alcohol, N-hexacosanol, Exp. Neurol., 1996, 138: 189-97に記載の方法に従い、成熟マウスについて行った。動物には、粉砕した日に次いで4週間毎日皮下経路によって試験化合物を与えた。各週、動物を麻酔し、坐骨神経の最大刺激後の腓筋の筋電図検査を行った。すなわち、上記の(CMAP)の活動電位の振幅、間隔及び反応時間を測定した。神経粉砕後4週間、致死量の麻酔で動物を殺し、損傷神経の一部分を4%グルタールアルデヒドで固定し、樹脂中に保存した。トルイジンブルーで染色された化合物分画の組織的分析により、変性及び非-変性繊維の半自動計数、及び軸索の大きさ及び非-変性繊維のミエリン鞘の厚さの測定を可能にした。
【0099】
得られた結果は以下の通りである。
コレスト-4-エン-3-オンオキシムの投与は、非-処置動物に比較して変性繊維の数が20〜40%減少した。より華々しい方法では、神経繊維の変性は、粉砕後2週間目から試験化合物によって大いに刺激され、粉砕後4週間が最大効果を示した。従って、粉砕後4週間で、0.3〜30 mg/kg/日の用量の試験化合物で処置したマウスのCMAPの振幅は、40〜70%増加し、神経伝達速度は非-処置マウスと比べて30〜50%改善された。
【0100】
4. 変異型ハンチントンの過発現によって引き起こされる死からの線条体神経の保護に与える式Iの化合物の効果
線条体神経の一次培養物は、文献(Primary striatal neuronal culture, Mao L.ら, Methods Mot Med., 2003, 79 :379-86)に記載のようにして製造した。プロモーター要素を含むベクター又はプラスミドで接種する前に、細胞をRaoulら(Motoneuron death triggered by a specific pathway downstream of Fas. potentiation by ALS-linked SOD1 mutations Neuron, 2002, 35 :1067-83)によって記載された方法に従ってエレクトロポレーションし、次いで最初の480個のアミノ酸及び68個のCAGを含むハンチントンの先端を切り取った形態についてDNAコーディングした(Saudouら, Huntingtin acts in the nucleus to induce apoptosis but death does not correlate with the formation of intranuclear inclusions, Cell, 1998, 95: 55-66)。緑蛍光タンパク質(GFP)をコードするDNAを含む第二の発現ベクターもエレクトロポレーションによりレポーター遺伝子として働く。ハンチントンをコードするプラスミドのDNAは、塩化セシウムで精製することによって製造した。GFP配列を含むプラスミドは、Qiagenカラムで製造した。DNA配列の完全性は、配列決定、トランスフェクション及びウェスタンブロッティングによって変動した。エレクトロポレーションの結果生存した細胞を、96-ウェルプレートの4000細胞/ウェルの密度で接種した。培養は、ピルビン酸及びB-27(Beckton Dickinson)を補充した神経細胞培養用培地(GIBCO)中で行った。培地を交換せずに細胞を7日間維持した。
【0101】
試験化合物による処置は、0.5%のジメチルスルホキシド(DMSO)中、1μMの最終濃度で接種した直後に行った。正対照は最終5 ng/mlのBDNFを添加して行った。負対照は0.5% DMSOのみを与えた。
【0102】
細胞死をGFP発現生細胞の数を計数することによって7日後に評価した。
【0103】
試験化合物の活性は、神経細胞培養用培地で培養した線条体神経の死を阻止する化合物の能力を、BDNF(脳-由来神経栄養因子)を補充した培地中での線条体神経の生存と比較して評価した。
【0104】
得られた結果は以下の通りである。
【0105】
【表3】

【0106】
10-6Mの濃度で、試験化合物は、BDNFで処置した細胞と比較して、60%までの変異型ハンチントンによって引き起こされる細胞死に対して保護効果を証明した。
【0107】
その神経保護効果のため、それ故、本発明に従う式Iの化合物は神経変性疾患の治療又は予防、特に脊髄筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症の治療、脊髄及び末梢神経の外傷治療、及びハンチントン病の治療を目的とした医薬として有用であることが判った。
【0108】
5. ステロイドによるGABAA受容体の増強に与える式Iの化合物の効果
電気生理学的実験を以下のようにしてラットニューロン(海馬スライス、培養中の感受性ニューロン)を使ってin vitroで行った。
【0109】
10〜21日齢のSprague Dawley種ラットから得られた海馬で実験を行った。首を切って動物を殺し、その脳をナトリウム源なしのACSF(Artificial Cerebro-Spinal Fluid)(組成: 2 mM KCl, 1.2mM NaH2PO4, 2 mM MgCl2, 0.5 mM CaCl2, 26 mM NaHCO3, 11 mM グルコース, 250 mM ショ糖)に直ちに移し、4℃で維持し、カルボジェン(95% O2と5% CO2との混合物)を噴霧した。海馬を各大脳半球から抽出した後、「組織チョッパー」を使って300μMの厚さにスライスした。記録前に、このスライスをACSF培地(組成: 126 mM NaCl, 2mM KCl, 1.2mM NaH2PO4, 2 mM MgCl2, 0.5 mM CaCl2, 26 mM NaHCO3, 11 mM グルコース)で少なくとも1時間室温で休ませた。次いで、ピペットを用いて、1スライスを多電極記録装置(MEA, MultiChannelSystems(登録商標), Germany)に装填し、64電極を網羅できるように設置した。潅流による位置の変化を避けるために、プラチナ《U》で加重したグリッドをスライス上に置いた。次いで、MEAを記録装置に直ちに挿入し、チェンバーをカルボジェンで噴霧したACSFで満たした;チェンバーの中央をアースに接続した。潅流ACSF及びMEAを37℃で維持した。60電極の1つを刺激電極として選択した。0.1 msを越える300μA強度の二相性刺激電流を30秒に1刺激の割合でこの電極から発生させた。得られた応答は、MEAの59の他の電極のレベルで同時に見られた。Schaeffer側副の軸索をCA3で刺激した。CA1領域では、各電極に最も接近したニューロンのシナプス後電位の変化の合計に対応する領域電位を記録するために6〜12電極を選択した。試験分子をACSF培地(DMSOの最終濃度は0.1%未満)に溶解し、潅流装置によってスライス上に運んだ。
【0110】
感受性ラットニューロンを1〜2日間培養した後、De Roo M.ら(Dehydroepiandrosterone potentiates native ionotropic ATP receptors containing theP2X2 subunit in rat sensory neurones, J Physiol, 2003, 552: 59-71)に記載のパッチ・クランプ法で記録した。
【0111】
得られた結果は以下の通りである。
海馬スライス上では、CA1領域で記録されたシナプス後電位の小分画は刺激性GABAA伝達に対応し;GABAA受容体(20μM ビククリン又は50μM ピクロトキシン)の標準アンタゴニストによって阻害され、GABAA受容体の正のアロステリック調節因子:ベンゾジアゼピン(1〜10μMのジアゼパム)及びステロイド(10〜1000 nMアロプレグナノロン又はテトラヒドロデオキシコルチコステロン)によって増強された。GABAA受容体が飽和濃度GABA(10 mM)の添加によって感度が減じられている場合には、ステロイドの増強効果は消失した。GABAの刺激効果は、GABAA受容体を介する炭酸水素イオン(HCO3-)の通過に関連した。
【0112】
パッチ-クランプで記録された感受性ニューロンでは、GABAA-選択的アゴニストである、イソグバチンを迅速適用することによってこれらのニューロンのGABAA受容体を選択的に開口して電流が発生した。従って、発生した塩素系電流は、ビククリンによって阻害され、アロプレグナノロンによって増強された。
【0113】
この結果は、コレスト-4-エン-3-オン オキシム(10μMまで単独で試験した)がGABAA受容体(海馬スライス又は感受性ニューロン)に何の効果も持たないことを示した。反対に、コレスト-4-エン-3-オン オキシムは、用量-依存的方法に及び神経栄養効果がin vitroで観察される濃度と等しい濃度で、GABAA受容体の正のアロステリック調節因子(アロプレグナノロン又はテトラヒドロデオキシコルチコステロン)の効果を阻害することができた。
【0114】
従って、式Iの化合物は、アロプレグナノロン及び/又はテトラヒドロデオキシコルチコステロンの存在に起因してGABAA受容体の亢進が有害な効果、阻害効果又はGABAA受容体によって介在される刺激効果のいずれかを有するような全ての病状において「保護」効果を有した。
【0115】
毒性研究
経口、皮下、腹腔内及び静脈経路による特にコレスト-4-エン-3-オン オキシムのマウスへの投与は、毎日の投与において治療当たり300 mg/kg/日まで用量を増やし、28日まで続けたが、特に目立った毒性は認められなかった。
【0116】
猿では、10日間で1500 mg/kgまで毎日用量を増やして経口経路による投与を行ったが、毒性は認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又は動物の治療的処置方法すなわち医薬として用いるための、下記式I:
【化1】

[式中、
Xは酸素原子又は=N-OH基を示し;
Rは下記式:
【化2】

から選ばれる群を示し;
Aは水素原子又はBと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Bは水素原子、水酸基又はAと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Cは水素原子又はDと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Dは水素原子又はCと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Eは水素原子又はFと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Fは水素原子又はEと一緒になって炭素-炭素結合を示す。]
で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ、但し、コレスト-4-エン-3-オン、24-エチルコレスト-4,22-ジエン-3-オン、5-β-コレスタン-3-オン及びコレスト-4,6-ジエン-3-オン並びにコレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オン及びコレスト-5-エン-3-オン オキシムを除く。
【請求項2】
医薬としての使用のための、式Iにおいて、Xが=N-OH基を示し、AがBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDが水素原子を示し、E及びFが水素原子又は一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRがR1を意味することを特徴とする、請求項1記載の化合物、すなわちコレスト-4-エン-3-オン オキシムもしくは1,4-コレスタジエン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ。
【請求項3】
医薬としての使用のための、式Iにおいて、Xが=N-OH基を示し、AがBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDが水素原子を示し、E及びFが水素原子を示し、かつRがR2、R3又はR4を意味することを特徴とする、請求項1記載の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ。
【請求項4】
医薬としての使用のための、式Iにおいて、Xが=N-OH基を示し、AがBと一緒になって二重結合を示し、CがDと一緒になって二重結合を示し、E及びFが水素原子を示し、かつRがR1又はR6を意味することを特徴とする、請求項1記載の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ。
【請求項5】
医薬としての使用のための、式Iにおいて、Xが=N-OH基を示し、AがBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、CがDと一緒になって炭素-炭素結合を示し、EがFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRがR1を意味することを特徴とする、請求項1記載の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ。
【請求項6】
医薬としての使用のための、式Iにおいて、Xが=N-OH基を示し、EがFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C、D、A及びBが水素原子を示し、かつRがR1を意味することを特徴とする、請求項1記載の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ。
【請求項7】
神経保護薬を取得するための、請求項1記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つの使用。
【請求項8】
前記神経保護薬が、神経変性疾患の治療を目的とすることを特徴とする、請求項7記載の使用。
【請求項9】
前記神経保護薬が、ハンチントン病、遺伝性又は散発性の慢性神経変性疾患、老化と関連する神経損傷、遺伝性末梢神経障害又は損傷から起こる末梢神経障害、シャルコット・マリー・ツース病、糖尿病性ネフロパシー又は抗-癌治療によって引き起こされる神経障害、脳、末梢神経又は脊髄の損傷、脳及び脊髄の虚血、遺伝性、損傷から起こるもしくは視覚の感覚神経の老化に関連する変性又は視神経の変性、遺伝性、外傷性もしくは聴覚の感覚神経の老化に関連する変性、肺萎縮及び血管性痴呆、運動ニューロンの変性に関連する疾患及び外傷、脊髄筋萎縮症、多発性硬化症、並びに脊髄又は末梢運動ニューロンの外傷から選ばれる神経変性疾患の治療を目的とすることを特徴とする、請求項7又は8記載の使用。
【請求項10】
前記神経保護薬が、神経変性もしくは神経細胞死に関連する病状又は外傷に罹患した哺乳動物において、当該病状又は外傷から選ばれる神経変性疾患の治療を目的とすることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項記載の使用。
【請求項11】
前記神経保護薬が、乳児脊髄筋萎縮症の治療を目的とすることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項記載の使用。
【請求項12】
前記神経保護薬が、筋萎縮性側索硬化症の治療を目的とすることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項記載の使用。
【請求項13】
GABAA受容体の亢進がヒトに有害である病状の治療を目的とする医薬を取得するための、請求項1記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つの使用。
【請求項14】
前記保護薬が、痛み又は慢性神経障害性疼痛の治療を目的とすることを特徴とする、請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記神経保護薬が、神経系の外傷性損傷の治療を目的とすることを特徴とする、請求項13記載の使用。
【請求項16】
前記神経保護薬が、ステロイド-感受性癲癇、睡眠障害又はアルコール中毒の治療を目的とすることを特徴とする、請求項13記載の使用。
【請求項17】
前記神経保護薬が、認識学習又は記憶障害の治療を目的とすることを特徴とする、請求項13記載の使用。
【請求項18】
前記神経保護薬が、不安症又は鬱病の治療を目的とすることを特徴とする、請求項13記載の使用。
【請求項19】
請求項1記載の式Iの化合物が、コレスト-4-エン-3-オン オキシムであることを特徴とする、請求項7〜18のいずれか1項記載の使用。
【請求項20】
下記式I:
【化3】

[式中、
Xは酸素原子又は=N-OHラジカルを示し;
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDは水素原子を示し、EはFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRはR1の意味である、又は
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDは水素原子を示し、E及びFは水素原子を示し、かつRはR2、R3又はR4の意味である、又は
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、CはDと一緒になって炭素-炭素結合を示し、E及びFは水素原子を示し、かつRはR6の意味である、又は
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、CはDと一緒になって炭素-炭素結合を示し、EはFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRはR1の意味である。]
で表される化合物、及びそれらの鉱酸又は有機酸付加塩。
【請求項21】
活性成分として請求項1記載の医薬の少なくとも1つ及び薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項22】
活性成分として請求項2記載の医薬の少なくとも1つ及び薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項23】
活性成分として請求項3〜6のいずれか1項記載の医薬の少なくとも1つ及び薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又は動物の治療的処置方法すなわち医薬として用いるための下記式I:
【化1】

[式中、
Xは酸素原子又は=N-OH基を示し;
Rは下記式:
【化2】

から選ばれる群を示し;
Aは水素原子又はBと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Bは水素原子、水酸基又はAと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Cは水素原子又はDと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Dは水素原子又はCと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Eは水素原子又はFと一緒になって炭素-炭素結合を示し;
Fは水素原子又はEと一緒になって炭素-炭素結合を示す。]
で表される化合物、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ、但し、コレスト-4-エン-3-オン、24-エチルコレスト-4,22-ジエン-3-オン、5-β-コレスタン-3-オン及びコレスト-4,6-ジエン-3-オン並びにコレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オン及びコレスト-5-エン-3-オン オキシムを除く。
【請求項2】
医薬としての使用のための、式Iにおいて、Xが=N-OH基を示し、AがBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDが水素原子を示し、E及びFが水素原子又は一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRがR1を意味することを特徴とする、請求項1記載の化合物、すなわちコレスト-4-エン-3-オン オキシムもしくは1,4-コレスタジエン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ。
【請求項3】
医薬としての使用のための、式Iにおいて、Xが=N-OH基を示し、AがBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDが水素原子を示し、E及びFが水素原子を示し、かつRがR2、R3又はR4を意味することを特徴とする、請求項1記載の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ。
【請求項4】
医薬としての使用のための、式Iにおいて、Xが=N-OH基を示し、AがBと一緒になって二重結合を示し、CがDと一緒になって二重結合を示し、E及びFが水素原子を示し、かつRがR1又はR6を意味することを特徴とする、請求項1記載の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ。
【請求項5】
医薬としての使用のための、式Iにおいて、Xが=N-OH基を示し、AがBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、CがDと一緒になって炭素-炭素結合を示し、EがFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRがR1を意味することを特徴とする、請求項1記載の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ。
【請求項6】
医薬としての使用のための、式Iにおいて、Xが=N-OH基を示し、EがFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C、D、A及びBが水素原子を示し、かつRがR1を意味することを特徴とする、請求項1記載の化合物、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ。
【請求項7】
神経保護薬を取得するための、請求項1記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ。
【請求項8】
前記神経保護薬が、神経変性疾患の治療を目的とすることを特徴とする、請求項7記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ
【請求項9】
前記神経保護薬が、ハンチントン病、遺伝性又は散発性の慢性神経変性疾患、老化と関連する神経損傷、遺伝性末梢神経障害又は損傷から起こる末梢神経障害、シャルコット・マリー・ツース病、糖尿病性ネフロパシー又は抗-癌治療によって引き起こされる神経障害、脳、末梢神経又は脊髄の損傷、脳及び脊髄の虚血、遺伝性、損傷から起こるもしくは視覚の感覚神経の老化に関連する変性又は視神経の変性、遺伝性、外傷性もしくは聴覚の感覚神経の老化に関連する変性、肺萎縮及び血管性痴呆、運動ニューロンの変性に関連する疾患及び外傷、脊髄筋萎縮症、多発性硬化症、並びに脊髄又は末梢運動ニューロンの外傷から選ばれる神経変性疾患の治療を目的とすることを特徴とする、請求項7又は8記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ
【請求項10】
前記神経保護薬が、神経変性もしくは神経細胞死に関連する病状又は外傷に罹患した哺乳動物において、当該病状又は外傷から選ばれる神経変性疾患の治療を目的とすることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ
【請求項11】
前記神経保護薬が、乳児脊髄筋萎縮症の治療を目的とすることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ
【請求項12】
前記神経保護薬が、筋萎縮性側索硬化症の治療を目的とすることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ
【請求項13】
GABAA受容体の亢進がヒトに有害である病状の治療を目的とする医薬を取得するための、請求項1記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ
【請求項14】
前記保護薬が、痛み又は慢性神経障害性疼痛の治療を目的とすることを特徴とする、請求項13記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ
【請求項15】
前記神経保護薬が、神経系の外傷性損傷の治療を目的とすることを特徴とする、請求項13記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ
【請求項16】
前記神経保護薬が、ステロイド-感受性癲癇、睡眠障害又はアルコール中毒の治療を目的とすることを特徴とする、請求項13記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ
【請求項17】
前記神経保護薬が、認識学習又は記憶障害の治療を目的とすることを特徴とする、請求項13記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ
【請求項18】
前記神経保護薬が、不安症又は鬱病の治療を目的とすることを特徴とする、請求項13記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ
【請求項19】
請求項1記載の式Iの化合物が、コレスト-4-エン-3-オン オキシムであることを特徴とする、請求項7〜18のいずれか1項記載の化合物、コレスト-4,24-ジエン-3-オン、24-メチルコレスト-4,6,22-トリエン-3-オンもしくはコレスト-5-エン-3-オン オキシム、又は薬学的に許容されるそれらの酸付加塩の1つ
【請求項20】
下記式I:
【化3】

[式中、
Xは酸素原子又は=N-OHラジカルを示し;
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDは水素原子を示し、EはFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRはR1の意味である、又は
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、C及びDは水素原子を示し、E及びFは水素原子を示し、かつRはR2、R3又はR4の意味である、又は
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、CはDと一緒になって炭素-炭素結合を示し、E及びFは水素原子を示し、かつRはR6の意味である、又は
−AはBと一緒になって炭素-炭素結合を示し、CはDと一緒になって炭素-炭素結合を示し、EはFと一緒になって炭素-炭素結合を示し、かつRはR1の意味である。]
で表される化合物、及びそれらの鉱酸又は有機酸付加塩。
【請求項21】
活性成分として請求項1記載の医薬の少なくとも1つ及び薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項22】
活性成分として請求項2記載の医薬の少なくとも1つ及び薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項23】
活性成分として請求項3〜6のいずれか1項記載の医薬の少なくとも1つ及び薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。

【公表番号】特表2006−519819(P2006−519819A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505701(P2006−505701)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000532
【国際公開番号】WO2004/082581
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505342058)
【Fターム(参考)】