説明

コンクリートフィニッシャ

【課題】コンクリートフィニッシャに備えられたサイドバイブレータを制御することにより、運転者の作業負担を減らし、作業効率を高めることを課題とする。
【解決手段】本発明に係るコンクリートフィニッシャ1は、生コンクリートの締め固めを行うサイドバイブレータ12と、サイドバイブレータ12の周囲に係る生コンクリートの上面の高さを検知するセンサ15と、を有し、センサ15によってサイドバイブレータ12を制御することを特徴とする。これにより、サイドバイブレータ12の空打ちを防止し、運転者の作業負担を減らすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドバイブレータを備えたコンクリートフィニッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートフィニッシャは、例えば、道路、駐車場あるいは空港のエプロン等をコンクリート舗装する場合に用いられるコンクリート舗装装置である。コンクリートフィニッシャは、舗装予定地の両側に2本のレールを仮設し、このレール上にコンクリートフィニッシャを配設して生コンクリートを流し込み、コンクリートフィニッシャを走行させて、均一な切り均し、締め固め及び表面仕上げ等を行う装置である(特許文献1参照)。
より詳しくは、コンクリートフィニッシャは、コンクリートミキサー車などから流し込まれた生コンクリートを切り均しスクリードで余盛りを加えた厚さに敷き均し、次に強力な平面バイブレータ(締め固め装置)で締め固めることにより所望の厚さに近づけ、最後に左右に摺動可能なフィニッシングスクリードで仕上げを行う装置である。
【0003】
また従来から、平面バイブレータに加えて、サイドバイブレータを備えたコンクリートフィニッシャが知られている。サイドバイブレータは、例えば、偏心錘を備えた振動軸部をモータなどで回転させることにより、起振する装置である。サイドバイブレータは、流し込まれた生コンクリートの内部で振動し、生コンクリートを舗装予定地の隅々まで行き渡らせるために、コンクリートフィニッシャの下部であって、進行方向両側に配設される。これにより、生コンクリートの空隙をつぶして強度、耐久性等要求される性能を満たす均質なコンクリートを形成すると共に、舗装予定地の両側付近に発生しやすいジャンカ等を防止することができる。
【0004】
【特許文献1】特許第3351656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、当該コンクリートフィニッシャに係るサイドバイブレータは、サイドバイブレータに内装されたモータを、生コンクリートに含まれる水分により冷却させるため、振動中はサイドバイブレータを生コンクリートの内部に埋めた状態で作業しなければならなかった。即ち、生コンクリートに埋設しない状態でサイドバイブレータを振動させると、いわゆる空打ち状態となって、サイドバイブレータに内装されたモータの焼損を招来する可能性があった。そのため、当該コンクリートフィニッシャの運転者は、サイドバイブレータが空打ち状態でないかを常に注視していなければならず、運転者の作業負担が増え、作業効率が低下するという問題があった。
そこで、本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、コンクリートフィニッシャに備えられたサイドバイブレータを制御することにより、運転者の作業負担を減らし、作業効率を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、生コンクリートの締め固めを行うサイドバイブレータと、このサイドバイブレータの周囲に係る生コンクリートの上面高さを検知するセンサと、を有し、前記センサの検知信号に基づいて前記サイドバイブレータを制御することを特徴とする。
【0007】
ここで、サイドバイブレータの周囲に係るコンクリートとは、サイドバイブレータの下辺(下端)よりも上方に位置し、サイドバイブレータの振動を受ける生コンクリートをいう。
かかる発明によれば、サイドバイブレータの周囲に係る生コンクリートの上面の高さを検知して、サイドバイブレータを制御するため、サイドバイブレータの空打ちを防止することができる。
【0008】
また、前記サイドバイブレータは、前記コンクリートフィニッシャに延設された支持材に取り付けられ、前記支持材と前記サイドバイブレータの間に緩衝体が介設されていることを特徴とする。
【0009】
かかる発明によれば、緩衝体が介設されるため、サイドバイブレータの振動が、コンクリートフィニッシャに伝達されるのを抑制することができる。
【0010】
また、本発明は、前記センサが取り付けられる取付け部を有することを特徴とする。
【0011】
かかる発明によれば、取付け部を有するため、センサの着脱を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サイドバイブレータの空打ちを防止して、コンクリートフィニッシャの運転者の作業負担を減らし、作業効率を高めると共に、サイドバイブレータの故障を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の最良の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るコンクリートフィニッシャを示した平面図である。図2は、本実施形態に係るコンクリートフィニッシャを示した側面図である。図3は、本実施形態に係る側方振動部を示した斜視図である。図4は、本実施形態に係るサイドバイブレータの構成を示したチャート図である。図5は、本実施形態に係るサイドバイブレータの作用を示した側面図であって、図3のA矢視方向から見た図である。
【0014】
本実施形態に係るコンクリートフィニッシャ1は、図1に示すように、公知のコンクリートフィニッシャの進行方向前方両側にサイドバイブレータ12を備えた側方振動部1a,1aを有することを特徴とする。
【0015】
コンクリートフィニッシャ1は、図1及び図2に示すように、図視せぬコンクリートミキサーなどから供給された生コンクリートを所定の範囲に均等に切り均す、切り均しスクリード1bと、切り均された生コンクリートに振動を与えて締め固める締め固め装置1cと、締め固められた生コンクリートの表面を水平又は所定の勾配を備えた状態に仕上げるフィニッシングスクリード1dを備えている。コンクリートフィニッシャ1は、進行方向両側に備えられた走行レール(図示省略)の上を自走手段により走行することで、舗装予定地を移動することができる。なお、本実施形態に係るコンクリートフィニッシャ1は、あくまで例示であって、公知の他のコンクリートフィニッシャを用いてもよい。
【0016】
側方振動部1aは、図3に示すように、コンクリートフィニッシャ1に延設された支持材10と、振動を吸収する緩衝体11と、起振するサイドバイブレータ12と、生コンクリートCの有無を検知するセンサ15と、センサ15が取り付けられる取付け部16とからなる。
【0017】
支持材10は、図1及び図3に示すように、コンクリートフィニッシャ1に延設された円柱状の棒材であって、コンクリートフィニッシャ1と緩衝材11とを連結している。支持材10と緩衝材11は、平板のフランジ10aと、支持材10の外周が当接されるブラケット10bによって接続されている。
なお、前記した支持方法は、あくまで例示であって、本発明の支持方法を限定する趣旨ではない。また、支持材10を用いず、サイドバイブレータ12とコンクリートフィニッシャ1を直接接合してもよい。
【0018】
緩衝体11は、図3に示すように、本実施形態においては、スプリング11aと、スプリング11aを上下に挟持する上板11b,下板11cとからなる。緩衝体11は、フランジ10aと上板11bを当接させ、ボルトD,D・・・を介して接続されている。緩衝体11は、支持材10とサイドバイブレータ12の間に介設されることにより、サイドバイブレータ12の振動を吸収してコンクリートフィニッシャ1に振動が伝達されないようにするためのものである。
また、本実施形態においては、緩衝体11の下板11cの端部に、略円筒状を呈する連結部14が形成されている。連結部14は、サイドバイブレータ12を嵌挿させて、サイドバイブレータ12を保持するものである。
【0019】
なお、緩衝体11は、本実施形態においては、前記した装置を使用するがこれに限定されるものではなく、例えば、公知のショックアブソーバーやバネなど振動を吸収することができる装置であればよい。
【0020】
サイドバイブレータ12は、図3に示すように、鋼製の細長い棒状体であって、側面視略L字型に形成されている。サイドバイブレータ12の上端には、導線等を内装した外部ホース12aが取り付けられている。
サイドバイブレータ12は、筐体の中心に配設された振動軸部の外周に、複数の偏心ウエイトが形成されており、当該振動軸部をモータ等の駆動手段により回転させて振動を発生させる装置である。サイドバイブレータ12は、本実施形態においては、例えば、HBM60ZX〔エクセン社製〕を用いる。サイドバイブレータ12は、起振することにより、その振動を生コンクリートCに伝達させ、生コンクリートC中の空隙を潰して締め固めたり、舗装予定地の隅々まで生コンクリートCを行き渡らせたりして、均質なコンクリートを形成するためのものである。
【0021】
なお、サイドバイブレータ12は、本実施形態においては、前記したように形成されたが、これに限定されるものではなく、素材、形状等は、他の形態であってもよい。また、サイドバイブレータ12は、本実施形態においては、コンクリートフィニッシャ1の前方両端側に配設されているが、他の箇所に3個以上配設してもよい。
【0022】
センサ15は、図3に示すように、本実施形態においては少なくともオン・オフの2回線を備えた本体部15aと、本体部15aから略垂直に延出された棒状のアクチュエータ15bとからなるリミットスイッチを用いる。アクチュエータ15bの先端は、自由端となっており、基端はコイルスプリング(図示省略)を介して本体部15aに接続されている。センサ15は、図3及び図4に示すように、導線15cを介して制御盤20と連結されている。センサ15は、本実施形態においては、例えば、2回路リミットスイッチWLNJ〔オムロン社製〕を用いる。センサ15は、アクチュエータ15bが垂直な場合は回線が切断されており、アクチュエータ15bが所定の角度で傾斜した場合は回線が接続され、制御盤20に信号が送られるように設定されている。
【0023】
ここで、センサ15が生コンクリートCを検知する高さ位置を基準点Kとする。
基準点Kは、本実施形態においては図5に示すように、サイドバイブレータ12の上方に設定されると共に、センサ5は、アクチュエータ15b’の先端が基準点Kに位置するように取り付けられている。
これにより、生コンクリートCの上面が、サイドバイブレータ12よりも高い位置にある場合にのみサイドバイブレータ12を振動させることができる。従って、サイドバイブレータ12は、生コンクリートCに埋まっている場合のみ振動するため、空打ちを防止することができる。
【0024】
なお、サイドバイブレータ12は、必ずしも躯体のすべてがコンクリートCに埋まっていなければならないわけではなく、一部のみ埋まっていてもよい。サイドバイブレータ12の埋設深さは、生コンクリートCの排出量やサイドバイブレータ12等の種類によって基準点Kの高さを適宜設定すればよい。
【0025】
センサ15は、本実施形態においては、前記したように形成したが、これに限定される趣旨ではない。センサ15は、例えば、光波又はマイクロ波等で構成された非接触式距離センサ(図示省略)等を用いてもよい。このセンサを用いた場合は、サイドバイブレータ12の全部又は一部が生コンクリートCで埋まる位置に基準点Kを定め、このセンサから基準点Kまでの規定距離を設定する。そして、生コンクリートCの上面からこのセンサまでの距離が規定距離よりも短い場合に信号を送信するように設定すればよい。
【0026】
取付け部16は、図3に示すように、連結部14にボルトD,Dにより接続される接続板16aと、接続板16aから垂直に延出された離隔板16bと、センサ15が取り付けられ、接続板16aと平行に形成された取付け板16cとからなる。取付け板16cは、図5に示すように、平面視略矩形に形成された板材であって、長円形状の貫通孔16d,16dが並設されている。センサ15は、取付け板16cにボルトD,D・・・によって取り付けられている。センサ15は、取付け部16を介して容易に着脱することができると共に、長円形状の貫通孔16dが並設されているため、アクチュエータ15bの長さやサイドバイブレータ12の取り付け位置に応じて適宜取り付け高さを調節することができる。
【0027】
なお、離隔板16bは、サイドバイブレータ12の長手方向に対して垂直に延出することにより、アクチュエータ15bがサイドバイブレータ12に平面状において接触しないように形成されている。
取付け部16は、本実施形態においては、前記したように形成したが、これに限定されるものではなく、サイドバイブレータ12の形状、大きさ等に合わせて適宜設定すればよい。また、取付け部16は、本実施形態においては、連結部14と接合されているが、これに限定されるものではなく、緩衝体11又はサイドバイブレータ12に取り付けてもよい。
【0028】
サイドバイブレータ12は、図4に示すように、電源19に接続された制御盤20と連結されており、バイブレータ操作盤21の操作によりサイドバイブレータ12を作動させることができる。なお、本実施形態においては、サイドバイブレータ操作盤21には、作動ランプ(図示省略)が取り付けられており、サイドバイブレータ12が作動すると点灯するように形成されている。したがって、運転者は、作動ランプを視認することによりサイドバイブレータ12の作動の有無を認識することができる。また、本実施形態においては、制御盤20にサイドバイブレータインバータ22が接続されており、バイブレータ12の振動数の制御を行うことができる。
【0029】
また、制御盤20は、導線15cを介してセンサ15,15に連結されており、センサ15によって検知された信号を受信してサイドバイブレータ12を制御するように形成されている。また、本実施形態においては、走行リミットスイッチ23が備えられており、コンクリートフィニッシャ1の走行を検知してサイドバイブレータ12を制御するように形成されている。
なお、本実施形態においては、サイドバイブレータインバータ22及び走行リミットスイッチ23を設置したが、本発明を限定する趣旨ではなく、必要に応じて任意に設置すればよい。
【0030】
次に、コンクリートフィニッシャ1の動作について説明する。
運転者は、コンクリートフィニッシャ1及びサイドバイブレータ12を作業状態にすると共に、コンクリートフィニッシャ1の走行レバー(図示省略)を入れて、走行リミットスイッチ23から制御盤20に信号を送信する。
そして、図5に示すように、進行方向前方に配設された生コンクリート車(図示省略)から流し込まれた生コンクリートCに向ってコンクリートフィニッシャ1を前進させると、センサ15のアクチュエータ15bが進行方向後方に押し込まれ、アクチュエータ15bが傾斜する。これにより、センサ15から制御盤20に信号が送信され、サイドバイブレータ12が起振する。
【0031】
一方、生コンクリートCが、アクチュエータ15bの下端(基準点K)よりも下方にある場合は、図5に示すアクチュエータ15b’のように下方に垂直になるため、信号が送信されずサイドバイブレータ12は起振しない。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係るコンクリートフィニッシャ1によれば、サイドバイブレータ12の周囲に係る生コンクリートCの上面を検知するセンサ15によりサイドバイブレータ12の作動が制御されるため、サイドバイブレータ12のいわゆる空打ちを防止することができる。これにより、運転者は、サイドバイブレータ12を常に注視する必要がなくなるため、運転者の作業負担を軽減することができる。
また、空打ちを防止することにより、サイドバイブレータ12の焼損・故障を防ぐことができる。また、取付け部16を備えているため、センサ15の着脱を容易に行うことができる。
また、サイドバイブレータ12の作動の有無は、サイドバイブレータ操作盤21に備えられた作動ランプ(図示省略)によって確認することができるため、作業負担をより軽減することができる。
【0033】
以上、本発明に係る実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、センサ15は、本実施形態においては、アクチュエータ15bを備えた2回路リミットスイッチを用いたが、これに限定されるものではなく、接触、非接触を問わず生コンクリートCの上面の高さを検知することができる公知のセンサを用いてもよい。
また、作動ランプは、本実施形態においては、サイドバイブレータ操作盤21に設置したが、これに限定されるものではなく、運転者が見やすい場所に設置すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態に係るコンクリートフィニッシャを示した平面図である。
【図2】本実施形態に係るコンクリートフィニッシャを示した側面図である。
【図3】本実施形態に係るコンクリートフィニッシャの側方振動部を示した斜視図である。
【図4】本実施形態のコンクリートフィニッシャの構成を示したチャート図である。
【図5】本実施形態のサイドバイブレータの作用を示した側面図であって、図3のA矢視方向から見た図である。
【符号の説明】
【0035】
1 コンクリートフィニッシャ
10 支持材
11 緩衝体
12 サイドバイブレータ
14 連結部
15 センサ
16 取付け部
C 生コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリートの締め固めを行うサイドバイブレータと、
このサイドバイブレータの周囲に係る生コンクリートの上面の高さを検知するセンサと、を有し、
前記センサの検知信号に基づいて前記サイドバイブレータを制御することを特徴とするコンクリートフィニッシャ。
【請求項2】
前記サイドバイブレータは、前記コンクリートフィニッシャに延設された支持材に取り付けられ、
前記支持材と前記サイドバイブレータの間に緩衝体が介設されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートフィニッシャ。
【請求項3】
前記センサを取り付ける取付け部が備えられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリートフィニッシャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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