説明

コンクリートブロック及び擁壁

【課題】植生空間を形成可能であり、高い強度を有するコンクリートブロック及び該コンクリートブロックにより構築された擁壁を提供する。
【解決手段】前方部110と該前方部110の背後に設けられた控え部120とを有する擁壁構築用のコンクリートブロック100であって、前方部110は、外周縁の一部に切り欠き部113が形成された表面部111と、表面部111の後方に位置する後背部112とを備え、当該切り欠き部113には植生土Pが保持される溝部115が形成されていることを特徴とする。擁壁200は当該コンクリートブロック100によって構築される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートブロック間の隙間に土などを堆積させて植生空間又は生物棲息空間を提供し、擁壁を緑化するためのコンクリートブロック及び該コンクリートブロックにより構築された擁壁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多角形状の前方部及び控え部を有するコンクリートブロックを法面に沿って積み上げることで、擁壁の構築が行われている。
【0003】
このようなコンクリートブロックとしては、特許文献1に記載されるとおり、前方部(2)と、その背面から後方に延在する控え部(3)とを有し、前方部(2)の表面の一部に、装飾用の切り欠き部(4)を形成したブロック(1)が提案されている(特許文献1の図1参照)。このブロック(1)では、積み上げて擁壁を構築したときに、互いに隣接する切り欠き部(4)により窪み部(5)が形成される(特許文献1の図5参照)。そこでこの窪み部(5)に植生土などを投入すること、又は、河川内においては流水とともに流れる土砂を堆積することで植生の促進を図ることも可能である。しかし、窪み部(5)に植生をつめても、再度、流水により流出することもあり、土質の保持力の低さにより植生を根付かせることが困難である。
【0004】
他方、植生促進をより効果的に行うことを目的として、控体(1)と、控体(1)とは別体の深目地形成体(2)とからなる多自然型積みブロックが提案されている(特許文献2)。深目地形成体(2)は、所定の間隙(4)を有するように控体(1)より外周が小さく形成され、且つ、深目地形成体(2)の表面側(2a)から控体側(2b)に向かうに従い外径が小さくなるように、テーパー状に形成されている(特許文献2の図2参照)。これにより、隣接する深目地形成体(2)間に、植生に必要十分な容量を有する棲息空隙(5)が形成され、当該空隙(5)に植生土などを充填して、植生空間又は生物棲息空間を形成できるようにしている(特許文献2の図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−61208号公報
【特許文献2】特開2003−171924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の積みブロックは、控体(1)と深目地形成体(2)との間に植生土のための空隙(5)を備えるが、空隙(5)に充填された植生土が擁壁の前面から外へ及び上から下へと流出することを防止する構造を備えておらず、植生土が河川内における流水などに曝されて擁壁から流出し易いという不都合があった。それ故、当該ブロックでは、必要な植生土を保持するために空隙(5)の容量を大きくしなければならない。そうすると、空隙(5)を広げて深目地形成体(2)を占める肉薄部分の割合を大きくしなければならず、ブロックの強度、即ち、擁壁の強度を確保できないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、隣接するコンクリートブロック間に必要十分な植生空間が形成可能であって、且つ、高い強度を備えるコンクリートブロック、及び、該コンクリートブロックにより構築された擁壁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のコンクリートブロックは、前方部と該前方部の背後に設けられた控え部とを有する擁壁構築用のコンクリートブロックであって、
前記前方部は、擁壁の外面を構成し、外周縁の一部に切り欠き部が形成された表面部と、前記表面部の後方に位置する後背部とを備え、
前記切り欠き部には、植生土が保持される溝部が形成されていることを特徴とする
【0009】
請求項2に記載のコンクリートブロックは、請求項1のコンクリートブロックであって、前記溝部が断面視略V字形に形成されていることを特徴とすることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のコンクリートブロックは、請求項1又は2のコンクリートブロックであって、前記溝部が、前記前方部の平面方向に5mmから20mmの深さを有することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載のコンクリートブロックは、請求項1のコンクリートブロックであって、 前記表面部が対称性のない不規則な形状になるように、前記表面部の前記外周縁に前記切り欠き部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の擁壁は、請求項1乃至4のコンクリートブロックで構築される擁壁であって、隣接する前記コンクリートブロックの間には、前記切り欠き部によって植生空間又は生物生息空間のための隙間部が形成されることを特徴とすることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の擁壁は、請求項5の擁壁であって、前記表面部の外周縁の一部がそれぞれ接するように前記コンクリートブロックが隣接して配置されることにより、前記隙間部が隣接する前記コンクリートブロック間に非連続的に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、本発明のコンクリートブロックで擁壁を構築した場合、表面部に形成された切り欠き部が植生空間のための隙間部となる。当該隙間部に植生土を充填した場合や自然堆積した場合には、溝部が植生土を取り込み保持することで隙間部への植生土の堆積を促進する。また、溝部内に保持された植生土は河川内での流水などに曝されることがないので、擁壁から流出せずに保持される。即ち、隙間部の容量が小さくても必要十分な植生土を保持することができる。さらに、表面部を肉厚にすることができるので、植生空間を形成しながらも高い強度を備えた擁壁を構築することができる。
【0015】
また、切り欠き部を表面部の外周縁の一部に形成したことにより、表面部の側壁において切り欠き部に比べて相対的に隆起する堰止め部が外周縁の他の部分に形成される。当該コンクリートブロックで擁壁が構築されたときに、擁壁の上から下へ流れ落ちる植生土を堰止め部が堰き止め、植生土の流出を抑止することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、溝部が略断面視V字形に形成されることで、溝部の開口部から奥に向かうほど幅が狭くなっていき、一度、植生土等が入り込むと再度そこから流出することを防止することができるような構造となっている。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の発明と同様に、必要な植生空間を保持しつつ、高いブロック強度を確保することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、表面部が対称性のない不規則な形状になるように、切り欠き部が形成されていることにより、当該コンクリートブロックを右向き、左向き、上下反転等のランダムに積んで擁壁を構築することで、多様な形状を造りだすことができ、擁壁をより自然に近い状態とすることができる。即ち、自然石積み状の擁壁を構築することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4に係る発明と同様に、植生空間を保持しつつ、高い強度を備える擁壁を提供する。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に係る発明の効果に加え、外周縁の一部がそれぞれ接するように、即ち、堰止め部同士が接するようにコンクリートブロックが隣接して配置され、隙間部が隣接する前記コンクリートブロック間に非連続的に形成されることにより、堰止め部が擁壁の上から下へ流れ落ちる植生土を堰き止めることができる。また、隙間部の幅が狭まっていくにつれて、ブロック前面に実質的に開口を有さないポケット部が溝部によって形成される。植生土を最小のポケット部に閉じ込め、流出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のコンクリートブロックの一実施形態の全体斜視図。
【図2】本発明のコンクリートブロックの一実施形態の、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図。
【図3】(a)は、図2(b)のコンクリートブロックにおけるA−A拡大断面図、(b)は、図2(b)のコンクリートブロックにおけるB−B拡大断面図。
【図4】本発明の擁壁の一実施形態の正面図。
【図5】植生後における図4の擁壁の正面図。
【図6】本発明の擁壁の一実施形態の部分拡大正面図。
【図7】(a)は図6の擁壁におけるC−C拡大断面図、(b)は図6の擁壁におけるD−D拡大断面図、(c)は図6の擁壁におけるE−E拡大断面図、(d)は図6の擁壁におけるF−F拡大断面図、(e)は図6の擁壁におけるG−G拡大断面図。
【図8】(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)は本発明のコンクリートブロックの変更例。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態として擁壁構築用のコンクリートブロック100を示す斜視図である。コンクリートブロック100は、正面視及び側面視において矩形状、及び、平面視において略T字形状であり、前方部110とその後方に一体的に設けられた控え部120とからなる。当該前方部110は、擁壁の表面を構成する表面部111と、その後方に位置する後背部112とを有する。さらに、表面部111の各々の表面が自然の岩肌に見えるように、外周縁の角部の面取り加工及び表面加工がされている。そして、後背部112の背面から延在する控え部120が法面上(図示せず)に配置されて、複数のコンクリートブロック100で擁壁が構築される。
【0024】
図2に示すとおり、表面部111の外周縁の一部に切り欠き部113が形成され、後背部112と切り欠き部113により段差が形成される。切り欠き部113は表面部111の外周縁を不規則に成形加工等することで形成される。当該段差において、表面部111の側壁に沿うようにして切り欠き部113に溝部115が切り込み形成される。他方、切り欠き部113が形成されていないところで、表面部111の外周の側壁において相対的に隆起する堰止め部114が形成される。本実施形態において、コンクリートブロック100同士を積み上げたときに、隣接する外周縁が接するように、即ち、堰止め部114同士が接することができるように、堰止め部114が3箇所形成されている。後述するように、堰止め部114は、擁壁200から植生土が流出するのを防止する。なお、堰止め部114の位置及び数は限定されず、堰止め部114をランダムに形成することができる。
【0025】
図3(a)に、図2(b)のA−A拡大断面図を示す。切り欠き幅sを有する切り欠き部113が形成され、さらに、溝部115が当該切り欠き部113(表面部111の側壁)において断面視略V字形に切り込み形成されている。溝部115は、その溝部開口から深さ方向に向かうほど幅が狭くなっていき、一度、植生土等が入り込むと再度そこから流出することを防止することができる。図3(b)に、図2(b)のB−B拡大断面図を示す。ここでは、切り込み部113及び溝部115が形成されておらず、堰き止め部114を有する。
【0026】
溝部115は、表面部111の平面方向に向けて深さdを有する。河川等に生える植物の根の太さは1〜5mmであり、十分な植生の効果を期待するのには、後述するポケット部の幅uが5mm以上となるように深さdは2.5mm以上であるのが好ましい。
【0027】
他方、深さdを20mm以上にすると、後述するように、コンクリートブロック100の表面部111において、相対的に強度が弱い部分の面積が広くなり、擁壁構築の施工が困難になる場合がある。
【0028】
一般に、擁壁構築の施工時において、ブロック表面及び背面部をハンマーで叩いてブロックの位置調整をするが、肉薄部分に衝撃を与えるとブロックに割れや亀裂などの欠陥を生じ易い。本発明のコンクリートブロック100は、上述したように溝部115及び堰止め部114により植生土を効率的に保持するので、植生空間の容量を大きくする必要がなく、表面部111を肉厚にすることができ、従来のブロックより擁壁構築の施工が比較的容易である。
【0029】
また、壁高5m以下の小規模な擁壁を構築する場合には、ブロック自体を小型、即ち肉薄(例えばブロック厚350mm)にしなければならないが、擁壁の強度を確保するために、ブロックを所定重量(例えば350kg/m)に作製することが、安全性の観点から求められている。このため、従来の小型ブロックでは、植生に必要な空間を設けるために、表面部に大きな切り欠きや溝又は孔といった植生空間を形成すると、擁壁構築のための強度(重量)を確保することができなくなり、植生可能な小型の擁壁を構築することが非常に困難であったが、本発明のブロック100を用いることで、このような擁壁の構築が可能となる。
【0030】
しかし、コンクリートブロック100を小型とした場合には、溝部115が形成される部分が他の部分と比べて相対的に脆くなるため、擁壁構築の施工時にハンマーで叩くとブロックに欠陥を生じ易くなる。つまり、溝部115の深さdを例えば20mmより大きくすると、ハンマーで叩くことができる表面部111の範囲が狭くなって、コンクリートブロックの位置調整が困難になり、逆に、深さdを例えば20mm以下に小さくすると、ハンマーで叩くことができる範囲が広くなって、必要な強度を有するように表面部111の厚さを維持しつつ、即ち、擁壁構築の施工性を担保することが可能となる。従って、深さdは十分な植生効果と強度とを両立させるために、2.5mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0031】
なお、本実施形態におけるコンクリートブロックの寸法は、ブロック厚l1は350mm、前方部の厚さl2は、80mm、溝部115の幅wは9mm、溝部115の深さdは5mmであるが、当該実施形態に限定されず、各種擁壁を構築するのに適したサイズにすることができる。
【0032】
本実施形態のコンクリートブロック100は、流し込み方式や即時脱型方式等の当業者にとって自明な手段によって製造可能である。ここでは、コンクリートブロック100の材料として普通コンクリートが用いられているが、ポーラスコンクリートやその他の代替材料とすることもできる。また、控え部の形状はどのような形状であってもよく、控え部が左右にオフセットされた自立タイプのものであってもよい。
【0033】
図4は、本発明のコンクリートブロック100を積み上げて構築された擁壁200の正面図を示し、図5は、植生後の擁壁200の正面図を示す。地面に対して任意の角度で傾斜する法面(図示せず)に沿ってコンクリートブロック100が谷積みに積み上げられることで、擁壁200は構築される。
【0034】
コンクリートブロック100を谷積みにすることで、表面部111の側壁が傾斜して配置され、溝部115の開口部が擁壁上方を向くことによって、擁壁上部から流れてくる浮遊土質を誘導して溝部115内に取り込み易いという利点が生じる。しかしながら、必要性に応じて、布積みにより、表面部111の側壁が傾斜しないように擁壁を構築することも可能である。
【0035】
また、図4及び5に示すとおり、切り欠き部113が表面部111の外周縁に不規則に形成され、且つ、コンクリートブロック100が右向き、左向き、上下反転等のランダムに積まれているので、擁壁200は自然石積み状の外観と植生空間を有する。
【0036】
隣接するコンクリートブロック100間において、隣接する後背部112同士が接し、一方の切り欠き部113と他方の切り欠き部113又は堰止め部114とによって隙間部201を形成する。図5に草花Fを植生した擁壁200を示すが、隙間部201に植生土Pを充填し又は自然堆積させて、隙間部201を植生空間又は生物棲息空間とすることができる。なお、植生土Pのかわりに、植生マットなどのような植生資材を充填すること、或いは、水中に擁壁を設置する場合には何も充填せずに水棲生物の生息空間とすることも可能である。
【0037】
図6に示すとおり、隣接するコンクリートブロック100間において、隙間部201は当接部202によって他の隙間部201と遮断されている。即ち、隙間部201が非連続的に形成されていることにより、図中の矢印のように擁壁200の上から下へ流れる植生土Pを当接部202が効果的に堰き止め、植生土Pの流出を抑止する。
【0038】
図7(a)は図6に示す擁壁200のC−C断面を示し、図7(b)は擁壁200のD−D断面を示す。C−C断面において隣接するコンクリートブロック100間では、堰止め部114同士が接して当接部202を形成し、隙間部201を生じない。他方、D−D断面において隣接するコンクリートブロック100間では、両方の切り欠き部113によって隙間部201が形成される。また、V字形状の溝部115が両方の切り欠き部113(表面部111の側壁)にそれぞれ形成されているので、隙間部201は最深位置において幅u(=2(s+d))を有する。
【0039】
隙間部201の幅が狭まっていくにつれ、切り欠き幅sが減少していく。そして、図7(c)に示すとおり、切り欠き幅sが0に近づいたE−E断面において、ブロック前面に実質的に開口を有さないポケット部が溝部115によって形成される。このとき、当該ポケット部の幅uは2dとなる。これによって、植生土を最小のポケット部に閉じ込めて、流出を防止することができる。
【0040】
また、図7(d)は、図6に示す擁壁200のF−F断面を示しており、図7(e)は、G−G断面を示している。F−F断面において隣接するコンクリートブロック100間では、切り欠き部113と堰止め部114とで隙間部201を形成している。一方、切り欠き幅sが0に近づいたG−G断面においては、ブロック前面に実質的に開口を有さないポケット部が溝部115と堰き止め部114によって形成される。このとき、当該ポケット部の幅uはdである。このように、切り欠き部113と堰き止め部114で形成された隙間部201においても同様に、植生土を最小のポケット部に閉じ込めて流出を防止することができる。
【0041】
上述したように、本実施形態の擁壁200は、植生土Pを効果的に保持することを可能な溝部115及び堰止め部114(当接部202)を有する隙間部201を植生空間として備え、かつ、隙間部201が非連続的に形成されていることにより、隙間部201から流出しないように植生土Pを効率的に保持することができる。従って、隙間部201の容量を小さくしてコンクリートブロック100の表面部111の肉厚部分の割合を大きくとることができ、擁壁200は高い強度と植生空間を両立する。さらに擁壁200を構築する施工時においても、ハンマー等で叩いて位置調整可能なコンクリートブロック表面の範囲が広がるので、擁壁200を容易に構築することができる。
【0042】
(変形例1)
本発明のコンクリートブロック及び擁壁は上述した実施形態に限られない。例えば、図8(a)及び(b)のコンクリートブロック100A及び100Bのように、平面視5角形とすることができる。コンクリートブロック100と当該コンクリートブロック100A及び100Bを組み合わせて擁壁を構築することによって、より自然な状態の外観を有する擁壁を造り出すことができる。
【0043】
(変形例2)
例えば、図8(c)のコンクリートブロック100Cのように、溝部115Cを切り欠き部113Cに複数箇所形成しても良い。
【0044】
例えば、図8(d)のコンクリートブロック100Dのように、溝部115Dを表面部111Dの側壁でなく前方部110Dの厚さ方向に形成しても良い。さらに、図示しないが、溝部を長円形、U字、矩形などの溝とすることもでき、溝部を有さないものと比較すると植生土Pを保持する効果を有する。
【0045】
(変形例3)
例えば、図8(e)のコンクリートブロック100Eのように、切り欠き部115Eの形状を、後背部112Eとの間に段差を有さないように形成しても良く、植生のための隙間部を形成可能であればよい。
【0046】
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0047】
100 コンクリートブロック
110 前方部
111 表面部
112 後背部
113 切り欠き部
114 堰き止め部
115 溝部
120 控え部
200 擁壁
201 隙間部
P 植生土

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方部と該前方部の背後に設けられた控え部とを有する擁壁構築用のコンクリートブロックであって、
前記前方部は、擁壁の外面を構成し、外周縁の一部に切り欠き部が形成された表面部と、前記表面部の後方に位置する後背部とを備え、
前記切り欠き部には、植生土が保持される溝部が形成されていることを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項2】
前記溝部が断面視略V字形に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートブロック。
【請求項3】
前記溝部が、前記前方部の平面方向に2.5mmから20mmの深さを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリートブロック。
【請求項4】
前記表面部が対称性のない不規則な形状になるように、前記表面部の前記外周縁に前記切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンクリートブロック。
【請求項5】
請求項1乃至4のコンクリートブロックを積み上げて構築される擁壁であって、互いに隣接する前記コンクリートブロックの間には、切り欠き部によって植生空間又は生物生息空間のための隙間部が形成されることを特徴とする擁壁。
【請求項6】
前記表面部の外周縁の一部がそれぞれ接するように前記コンクリートブロックが隣接して配置されることにより、前記隙間部が隣接する前記コンクリートブロック間に非連続的に形成されることを特徴とする請求項5に記載の擁壁。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−163040(P2011−163040A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28655(P2010−28655)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(591043950)揖斐川工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】