説明

コンクリート吹付け装置

【課題】吹付けノズルの打設面に対する吹付け領域を拡大できるコンクリート吹付け装置を提供する。
【解決手段】ブームの先部に軸22aの回りに回転可能に支持されたアーム22と、アーム22の先部に旋回軸30aを中心として旋回可能に支持されたスイングアーム23と、スイングアームの先部に設けられた吹付けノズル24と、アーム22の長手方向に沿って配置されベースコンクリートを吹付けノズル24に誘導するコンクリート誘導配管26と、コンクリート誘導配管26の一端と吹付けノズル24のコンクリート投入口に連結した直管とを周方向に相対回転可能に連結する第1の管継手32と、コンクリート誘導配管26の他端に、コンクリート輸送ホース25の端部がその周方向に相対回転可能に連結される第2の管継手33とを備える構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山岳トンネル掘削時などの吹付けコンクリート施工に用いられるコンクリート吹付け装置に関し、特に吹付けノズルにベースコンクリートを送り込むコンクリート輸送管の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネル掘削時に主要な支保部材となるコンクリートの打設には、一般に吹付け工法が用いられている。この吹付け工法は、ベースコンクリートと急結剤を別々の輸送管を通して別経路で圧送し、その圧送途中で両者を合流混合した後に吹付けノズルの先端からトンネル掘削時の地山等に吹付けている。また、ベースコンクリート及び急結剤の圧送には、一般的に圧縮空気が用いられている(特許文献1、2参照)。
このような従来のコンクリート吹付け工法では、コンクリート及び急結剤を圧縮空気で圧送し、急結剤に粉末の急結剤が使用されるが、大量の圧縮空気を使用するために多量の粉塵が発生する問題があった。
【0003】
そこで、従来においては、粉塵の発生を回避するために、コンクリート圧送・投射に回転力方式(打撃投射方式)を使用し、圧縮空気を用いずに投射することにより発生粉塵の低減化を可能にしている。
このようなエアレス式のコンクリート吹付け装置に使用される吹付けノズルは、打撃ブレード付きインペラを高速回転させることによりコンクリートを打撃・投射するものである。しかも、コンクリートの投射に圧縮空気を使用しないため、粉塵濃度は切羽近傍で3mg/m以下、切羽より50m地点で2mg/m以下にすることができる。なお、この場合、急結剤としてスラリー急結剤が使用される。
【0004】
従来のコンクリート吹付け装置について図1(a),(b)を参照して説明する。
従来のコンクリート吹付け装置は、アーム1、スイングアーム2、インペラ式の吹付けノズル3を備える。
アーム1は、コンクリート吹付けに使用される移動台車(図示省略)に起伏可能に設けられたブーム11の先端部に、ブーム11の長手方向と交差する方向に延在しその延在方向を通る軸の回り(矢印A方向)に回転可能に支持されている。また、このアーム1は、図示省略した油圧モータにより一定の角度範囲、例えば270度程度の範囲で回転できるように構成されている。
スイングアーム2は、アーム1の先端部に係止ピン4を介して水平方向(図1(a)の紙面に対し直角な方向)に旋回可能に支持されており、このスイングアーム2はアーム1に装着した油圧シリンダ(図示せず)によって水平方向に旋回動作される。また、スイングアーム2の先端に設けた支持板5にはインペラ式の吹付けノズル3が固着されている。
【0005】
吹付けノズル3は、図1(b)に示すように、円筒状のケーシング3aを備え、このケーシング3a内には、図示省略した打撃ブレード3d付きのインペラ本体3cが回転可能に装着され、スイングアーム2に組み付けた油圧モータ12により回転駆動される。また、ケーシング3aは、その周面箇所に設けられた吹付けコンクリート投入口3bと、この吹付けコンクリート投入口3bから周方向に離れた箇所に設けられた吹付けコンクリート投射口3eを備えている。吹付けコンクリート投入口3bには、2つのエルボ管6aと6bをU字状に連結した吹付けコンクリート導入管6の一端が一体に結合されている。また、吹付けコンクリート導入管6の他端にはY字管8が結合金具7により一体に結合されている。そして、Y字管8のコンクリート導入口8aには、可撓性コンクリート輸送ホース10の一端が結合金具9により一体に結合され、可撓性コンクリート輸送ホース10の他端は、図示省略のベースコンクリート供給手段に接続されている。さらに、Y字管8の急結剤導入口8bには図示省略の急結剤供給手段が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−323247
【特許文献2】特開2007−177495
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来のコンクリート吹付け装置に用いられるコンクリート輸送ホース10は、吹付けノズル3の吹付けコンクリート投入口3bに吹付けコンクリート導入管6及びY字管8を介して結合されるだけの構造である。このため、吹付けノズル3の吹付けコンクリート投射口3eをトンネル工事の切羽などの打設面に向けて吹付けコンクリートを打設する時、吹付けノズル3に接続されたコンクリート輸送ホース10は図1(a)に示すように吹付けノズル3から吊り下げられた状態におかれる。このため、コンクリートの吹付け動作時にコンクリート輸送ホース10がアーム1や吹付けノズル3などと干渉し易くなる。しかも、コンクリート輸送ホース10内は吹付けコンクリートで充満されるため、コンクリート輸送ホース10の可撓性が大幅に低下してしまう。
その結果、吹付けノズル3の吹付けコンクリート投射口3eを打設面に向けるためにアーム1を矢印Aの方向に回転操作し、またはスイングアーム2を旋回操作しようとしても、吊り下げ状態にある可撓性の低下したコンクリート輸送ホース10が邪魔になって、実際のアームの回転操作角度またはスイングアームの旋回角度が大幅に制限されてしまい、吹付けノズルの打設面に対する吹付け領域も制限されてしまう。このため、吹付けノズルを打設面に近づけることができなくなり、吹付けコンクリートを打設できない部分が発生したりして、吹付け面を均一に仕上げることができなくなり、かつ吹付け効率も低下するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題を解決するためになされたもので、吹付けノズルの動きが吹付けコンクリート輸送管で制限されたり、ベースコンクリート輸送管と干渉することなく、吹付けノズルの打設面に対する吹付け領域を拡大できるコンクリート吹付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、コンクリート吹付け装置であって、移動台車に起伏可能に設けられたブームと、前記ブームの先部から該ブームの長手方向と交差する方向に延在しその延在方向を通る軸の回りに回転可能に前記先部で支持されたアームと、前記アームを回転させる第1の駆動手段と、前記アームの先部に前記軸と交差する面内に延在する旋回軸を中心として旋回可能に支持されたスイングアームと、前記スイングアームを旋回させる第2の駆動手段と、前記スイングアームの先部に設けられコンクリート投入口を有する吹付けノズルと、前記アームの長手方向に沿って配置されベースコンクリートを前記吹付けノズルに誘導するコンクリート誘導配管とを備え、前記コンクリート誘導配管の一端開口と前記コンクリート投入口に連結された直管とを、前記一端開口の周方向及び前記直管の周方向に相対回転可能に連結する第1の管継手が設けられ、前記コンクリート誘導配管の他端開口に、コンクリート輸送ホースの端部の開口がその周方向に相対回転可能に連結される第2の管継手が設けられ、前記コンクリート誘導配管は、前記アームが軸の回りに回転する際に前記アームと同時に回転するように、前記アームから突設された支持部材により支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコンクリート吹付け装置によれば、吹付けノズルの動きが吹付けコンクリート輸送管で制限されたり、吹付けコンクリート輸送管と干渉したりすることがなく、吹付けノズルの打設面に対する吹付け領域を拡大でき、吹付け面を均一に仕上げることができ、吹付け効率も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は従来におけるコンクリート吹付け装置の一部を示す平面図であり、(b)は従来におけるコンクリート吹付け装置の一部を示す正面図である。
【図2】本発明にかかるコンクリート吹付け装置をトンネルの吹付けに適用した場合の全体の構成を示す概略側面図である。
【図3】本発明のコンクリート吹付け装置を構成するアーム、スイングアーム、吹付けノズル及びコンクリート誘導配管の配置関係を示す平面図である。
【図4】本発明のコンクリート吹付け装置を構成するアーム、スイングアーム、吹付けノズル及びコンクリート誘導配管の配置関係を示す側面図である。
【図5】本発明のコンクリート吹付け装置を構成する吹付けノズルの一部を切欠いて示す正面図である。
【図6】本発明のコンクリート吹付け装置における第1の管継手部分の拡大断面図である。
【図7】本発明のコンクリート吹付け装置における第2の管継手部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
次に本発明にかかるコンクリート吹付け装置の実施の形態について図2乃至図7を参照して詳細に説明する。
トンネルの切羽や天井面などの吹付けに使用されるコンクリート吹付け装置は、図2乃至図4に示すように、ブーム21、アーム22、スイングアーム23、インペラ式の吹付けノズル24、コンクリート輸送ホース25、コンクリート誘導配管26を備える。
ブーム21は、コンクリート吹付けに使用される移動台車(走行車輌)27に起伏可能に設けられている。ブーム21の先部には水平架台28が設置されており、この水平架台28には、アーム22が、ブーム21の先部から該ブーム21の長手方向と交差する方向に延在しその延在方向を通る軸22aの回りに回転可能に支持されている。また、アーム22は、水平架台28に設けられた油圧モータ29(特許請求の範囲に記載した第1の駆動手段に相当する)により一定の角度範囲、例えば軸22aの回りに270度程度の範囲で回転できるように構成されている。
スイングアーム23は、アーム22の先部に係止ピン30を介して、軸22aと直角な面内に延在する旋回軸30aを中心として旋回可能に支持されている。さらに、係止ピン30の中心から離間する方向に延在してスイングアーム23に設けたリンク23aには、アーム22に装着した油圧シリンダ31(特許請求の範囲に記載した第2の駆動手段に相当する)のピストンロッド31aが連結され、この油圧シリンダ31を動作することによりスイングアーム23を、係止ピン30を支点にして旋回できるように構成されている。この場合のスイングアーム23の旋回角度は135度程度である。また、吹付けノズル24は、スイングアーム23の先端に設けた支持板231面に装着されている。
【0013】
吹付けノズル24は、図4及び図5に示すように、打撃ブレード241を有するインペラ本体242と、インペラ本体242を回転可能に収容するケーシング243と、インペラ本体242を高速で回転する油圧モータなどからなる駆動モータ244とを備える。
ケーシング243のインペラ本体242の外周と対向する箇所にコンクリート投入口245が設けられている。また、ケーシング243のインペラ本体242の外周と対向する箇所でコンクリート投入口245と別の箇所にコンクリート投射口246が設けられている。
【0014】
コンクリート輸送ホース25は、図3及び図4に示すように、吹付けコンクリート供給源(図示せず)から圧送されてくるベースコンクリートをコンクリート誘導配管26を通して吹付けノズル24に供給するものである。
コンクリート誘導配管26は、コンクリート輸送ホース25を通して輸送されてくるベースコンクリートを吹付けノズル24に誘導するもので、図3乃至図5に示すように、アーム22の長手方向に沿い吹付けノズル24のコンクリート投入口245に臨む箇所まで延在して配置されている。また、コンクリート誘導配管26の一端開口は第1の管継手32及び直管263を介して連結具266によりコンクリート投入口245に連結されている。さらに、コンクリート誘導配管26は45度に湾曲したエルボ管34を含み、コンクリート誘導配管26の他端開口には第2の管継手33及びエルボ管34を介して連結具35によりコンクリート輸送ホース25が連結されている。
【0015】
コンクリート誘導配管26は、図3及び図4に示すように、急結剤が導入される導入口261aを有するY字管で構成される本体管261、直角に湾曲したエルボ管262、吹付けノズル24寄りの直線状に延在する直管263、コンクリート輸送ホース25寄りの直線状に延在する直管264を含んで構成される。
本体管261の一端開口とエルボ管262の一端開口とは連結具265により連結されている。エルボ管262の他端開口と吹付けノズル24寄り直管263の一端開口とは第1の管継手32により連結されている。さらに、直管263の他端開口と吹付けノズル24のコンクリート投入口245との間は連結具266により連結されている。また、本体管261の他端開口とコンクリート輸送ホース25寄り直管264の一端開口との間は連結具267により連結されている。
【0016】
第1の管継手32は、図4乃至図6に示すように、コンクリート誘導配管26を構成するエルボ管262の他端開口と直管263の一端開口とを、これらがスイングアーム23の旋回軸30aと平行でコンクリート投入口245の中心軸線を通る軸L1の回りにエルボ管262と直管263が周方向に相対回転できるように連結されている。
かかる第1の管継手32は、図6に示すように、鍔部付きの第1カラー部材321、鍔部付きの第2カラー部材322、スラストワッシャ323、スリーブ部材324、連結具325を備えている。
鍔部付きの第1カラー部材321はエルボ管262の他端開口の内周部に嵌入されている。また、鍔部付きの第2カラー部材322は直管263の一端開口の内周部に嵌入されている。
スラストワッシャ323は第1カラー部材321の鍔部321aの端面と第2カラー部材322の鍔部322aの端面との間に介在され、第1カラー部材321と第2カラー部材322との軸L1を中心とする周方向の相対回転が円滑になるように構成されている。
また、スリーブ部材324は、第1カラー部材321の鍔部321aの内周部及び第2カラー部材322の鍔部322aの内周部に係合され、これら鍔部321aと鍔部322a間の隙間を閉塞するとともにスラストワッシャ323が鍔部321aと鍔部322aとの間に位置されるように保持する。さらに、連結具325は、エルボ管262の他端開口の外周に設けた鍔部262aと直管263の一端開口の外周に設けた鍔部263aとに、これらの外周囲を取り巻くように係合され、これにより、エルボ管262と直管263とは軸L1を中心にして、図6の矢印D1、D2に示す周方向に相対回転できるように連結されている。
【0017】
第2の管継手33は、図3、図4及び図7に示すように、コンクリート輸送ホース25寄りの直管264の他端開口とエルボ管34の一端開口とを、コンクリート誘導配管26の本体管261の軸心を通って延在する軸線L2の回りに直管264とエルボ管34が図7の矢印E1、E2に示す周方向に相対回転できるように連結している。
かかる第2の管継手33は、図7に示すように、鍔部付きの第3カラー部材331、鍔部付きの第4カラー部材332、スラストワッシャ333、スリーブ部材334、連結具335を備えている。
鍔部付きの第3カラー部材331はコンクリート輸送ホース25寄りの直管264の他端開口の内周部に嵌入されている。また、鍔部付きの第4カラー部材332はエルボ管34の一端開口の内周部に嵌入されている。
スラストワッシャ333は第3カラー部材331の鍔部331aの端面と第4カラー部材332の鍔部332aの端面との間に配置され、第3カラー部材331と第4カラー部材332との軸線L2を中心とする周方向の相対回転が円滑になるように構成されている。
また、スリーブ部材334は、第3カラー部材331の鍔部331aの内周部及び第4カラー部材332の鍔部332aの内周部に係合され、これら鍔部331aと鍔部332a間の隙間を閉塞するとともにスラストワッシャ333が鍔部331aと鍔部332aとの間に位置されるように配設されている。さらに、連結具335は、直管264の他端開口の外周に設けた鍔部264aとエルボ管34の一端開口の外周に設けた鍔部34aとに、これらの外周囲を取り巻くように係合され、これにより、直管264とエルボ管34とを軸線L2を中心にして周方向に相対回転できるように連結している。また、エルボ管34の他端開口は連結具35によりコンクリート輸送ホース25の一端の開口に連結されている。
【0018】
また、アーム22には台座38を介して支持部材39がループ状に突設されている。このループ状の支持部材39には、コンクリート誘導配管26のコンクリート輸送ホース25寄り直管264が挿通され、これにより、アーム22は軸22aの回りに回転する際にコンクリート誘導配管26がアーム22と一体に回転するように支持されている。
【0019】
次に、本実施の形態におけるコンクリート吹付け装置の動作について説明する。
例えばトンネルの切羽にコンクリートを吹付ける場合は、移動台車(走行車輌)27をトンネルの切羽40に向けて移動し、かつブーム21を動かして吹付けノズル24を切羽40に対して適正な吹付け距離に位置決めする。さらに、油圧シリンダ31を動かしてスイングアーム23を係止ピン30を中心に図3の矢印Bに示す水平方向に旋回させる。これにより、吹付けノズル24のコンクリート投射口246を切羽40に向けて位置決めする。そして、インペラ本体242を駆動モータ244により高速で回転する。この時のインペラ本体242の回転速度は、例えば2500rpmである。
その後、図示省略の吹付けコンクリート供給源から圧送されてくるベースコンクリートをコンクリート輸送ホース25及びコンクリート誘導配管26を通して吹付けノズル24に供給する。この場合、図示省略の急結剤供給源からスラリー状の急結剤を本体管261の急結剤導入口261aからコンクリート誘導配管26内に供給する。この急結剤はコンクリート誘導配管26内を流動するベースコンクリートと混合され、コンクリート投入口245からケーシング243内に送り込まれる。そして、このベースコンクリートと急結剤との混合物はインペラ本体242の回転より発生する打撃力でコンクリート投射口246からケーシング243外へ投射される。これにより、切羽40にコンクリートを打設することができる。
【0020】
ここで、油圧シリンダ31を作動することによりスイングアーム23を、係止ピン30を支点にして図3の矢印B方向に旋回できる。したがって、スイングアーム23を油圧シリンダ31により旋回可能な角度範囲、例えば135度の角度で往復旋回させれば、コンクリート投射口246から投射される吹付けコンクリートを、スイングアーム23の旋回可能な角度範囲に相当する領域の吹付け面に打設することができる。この場合、コンクリート誘導配管26を構成するエルボ管262の他端開口と直管263の一端開口とは、第1の管継手32より、軸22aと直角な面内に延在する旋回軸30aと平行な軸線L1を中心にして、図6の矢印D1、D2に示す周方向に相対回転できるように構成されているため、吹付けノズル24がスイングアーム23の旋回動作につれて旋回しても、この旋回運動は第1の管継手32で吸収される。その結果、コンクリート誘導配管26がスイングアーム23を含む吹付けノズル24の旋回動作を制限することがなく、吹付けノズル24を旋回可能な角度範囲、例えば135度の角度で往復旋回させることができる。
【0021】
一方、油圧モータ29を作動させると、アーム22が軸22aの回りを図4の矢印C方向に回転する。これと同時に、スイングアーム23、吹付けノズル24及びコンクリート誘導配管26も軸22aの回りに回転する。これにより、吹付けノズル24のコンクリート投射口246をトンネルのアーチ状の天井面及び側壁面などに沿って旋回させることが可能になるとともに、これらアーチ状の天井面及び側壁面に吹付けコンクリートを打設することができる。この時の打設面に対するコンクリート投射口246の旋回可能な角度は270度である。
また、アーム22が軸22aの回りに図4の矢印C方向に回転すると、吹付けノズル24を含むコンクリート誘導配管26も同一方向に回転することになるが、コンクリート誘導配管26はアーム22の長手方向に沿い延在して配置され、しかも、コンクリート輸送ホース25とはエルボ管34を介して第2の管継手33により連結されているため、吹付けノズル24を含むコンクリート誘導配管26がアーム22と一体に同一方向に回転すると、コンクリート誘導配管26とエルボ管34とが第2の管継手33によって軸L2の回りに、図7の矢印E1、E2に示す方向に相対回転する。このため、コンクリート輸送ホース25やコンクリート誘導配管26が過度に捩られるのを防止することができる。
そして、これに加えて上記第1の管継手32の機能が発揮されることにより、吹付けノズルの動きが吹付けコンクリート輸送管で制限されたり、吹付けノズルがコンクリート輸送管と干渉したりすることなく、吹付けノズルの打設面に対する吹付け領域を拡大でき、吹付け面を均一に仕上げることができ、吹付け効率も向上することができる。
【0022】
また、本実施の形態によれば、コンクリート誘導配管26は、アーム22から突設された支持部材39により支持されているので、アーム22が軸22aの回りに回転する際に、コンクリート誘導配管26を、アーム22と同時に回転させることができる。これにより、コンクリート誘導配管26及びコンクリート輸送ホース25が吹付けノズルの可動領域を制限するなどの不具合をなくすことができる。
また、コンクリート輸送ホース25の一端開口を45度に湾曲したエルボ管34及び第2の管継手33を介してコンクリート誘導配管26の他端開口に連結しているので、コンクリート輸送ホース25がアーム22と干渉するのを軽減することができる。
【0023】
なお、本発明の吹付けノズルは、上記実施の形態に示したインペラタイプの吹付けノズルに限らず、圧縮空気を利用したタイプの吹付けノズルにも本発明方式を利用することができる。
また、本発明の第1及び第2管継手は、上記実施の形態に示す構造のものに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的範囲を逸脱しない範囲において、種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0024】
21……ブーム、22……アーム、23……スイングアーム、24……吹付けノズル、242……インペラ本体、243……ケーシング、244……駆動モータ、25……コンクリート輸送ホース、26……コンクリート誘導配管、27……移動車輌、29……油圧モータ、30……係止ピン、31……油圧シリンダ、32……第1の管継手、33……第2の管継手、38……台座、39……支持部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動台車に起伏可能に設けられたブームと、
前記ブームの先部から該ブームの長手方向と交差する方向に延在しその延在方向を通る軸の回りに回転可能に前記先部で支持されたアームと、
前記アームを回転させる第1の駆動手段と、
前記アームの先部に前記軸と交差する面内に延在する旋回軸を中心として旋回可能に支持されたスイングアームと、
前記スイングアームを旋回させる第2の駆動手段と、
前記スイングアームの先部に設けられコンクリート投入口を有する吹付けノズルと、
前記アームの長手方向に沿って配置されベースコンクリートを前記吹付けノズルに誘導するコンクリート誘導配管とを備え、
前記コンクリート誘導配管の一端開口と前記コンクリート投入口に連結された直管とを、前記一端開口の周方向及び前記直管の周方向に相対回転可能に連結する第1の管継手が設けられ、
前記コンクリート誘導配管の他端開口に、コンクリート輸送ホースの端部の開口がその周方向に相対回転可能に連結される第2の管継手が設けられ、
前記コンクリート誘導配管は、前記アームが軸の回りに回転する際に前記アームと同時に回転するように、前記アームから突設された支持部材により支持されている、
ことを特徴とするコンクリート吹付け装置。
【請求項2】
前記第1の管継手は、
前記コンクリート誘導配管の一端開口の内周部に嵌入された鍔部付きの第1カラー部材と、
前記直管の端部の内周部に嵌入された鍔部付きの第2カラー部材と、
前記第1カラー部材の鍔部の端面と前記第2カラー部材の鍔部の端面間に介在され前記第1カラー部材と前記第2カラー部材の相対回転を円滑に行うスラストワッシャと、
前記第1カラー部材の鍔部の内周部と前記第2カラー部材の鍔部の内周部間に介在されそれら鍔部間の隙間を閉塞するスリーブ部材と、
前記コンクリート誘導配管の一端開口の外周部と前記直管の端部の外周部とにわたって設けられ前記一端開口と前記直管とが互いに離れる方向への移動を阻止し前記コンクリート誘導配管の一端開口と前記直管とを相対回転可能に連結する連結具とを備えることを特徴とする請求項1記載のコンクリート吹付け装置。
【請求項3】
前記第2の管継手は、
前記コンクリート誘導配管の他端開口の内周部に嵌入された鍔部付きの第3カラー部材と、
前記コンクリート輸送ホースの端部開口の内周部に嵌入された鍔部付きの第4カラー部材と、
前記第3カラー部材の鍔部の端面と前記第4カラー部材の鍔部の端面間に介在され前記第3カラー部材と前記第4カラー部材の相対回転を円滑に行うスラストワッシャと、
前記第3カラー部材の鍔部の内周部と前記第4カラー部材の鍔部の内周部間に介在されそれら鍔部間の隙間を閉塞するスリーブ部材と、
前記コンクリート誘導配管の他端開口の外周部と前記コンクリート輸送ホースの端部開口の外周部とにわたって設けられ前記コンクリート誘導配管の他端開口と前記コンクリート輸送ホースの端部開口とを相対回転可能に連結する連結具とを備えることを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート吹付け装置。
【請求項4】
前記コンクリート誘導配管は、前記アームに沿って延在する本体管と、前記本体管の前記直管に前記第1の管継手を介して連結され直角に湾曲したエルボ管を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のコンクリート吹付け装置。
【請求項5】
前記コンクリート誘導配管は、前記アームに沿って延在する本体管と、前記本体管の前記コンクリート輸送ホース寄りの端部に連結され45度に湾曲したエルボ管を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のコンクリート吹付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−6870(P2011−6870A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149676(P2009−149676)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【出願人】(592068130)リブコンエンジニアリング株式会社 (11)
【Fターム(参考)】