説明

コンクリート型枠用セパレータの連結金具

【課題】 従来のものと較べ、施工性や連結性能の優れた、コンクリート型枠用セパレータの連結金具を提供する。
【解決手段】 締付金具18に先端を螺合して型枠100に締付ける軸ボルト2と、該軸ボルト2の基部を一側に組付け、他の一側に型枠間に架設するセパレータを、ナット付端部において掛止する金具本体1とで構成する。金具本体1に設けた、前記ナット付端部の先端螺子部の嵌入部15上に前記先端螺子部の抜け止め用の規制片11,11を相対設する。そして、規制片11を、前記金具本体1の相対する側部片1c,1cの上端から切り込みを入れて金具本体1の内側に弯曲状に折り返した舌状片で構成し、その相対する折返し部片11a,11a間を、前記先端螺子部の通過間隙とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート躯体を構築する際に使用する型枠と該型枠間に配するセパレータの端部とを連結するために用いる、コンクリート型枠用セパレータの連結金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
締付金具とこれに螺合する軸ボルトによって型枠に止着し、型枠間に架設するセパレータのナット付端部を嵌入、掛止する金具本体を備え、該金具本体の内側に一対の規制片を相対して内側に向けて突設し、この規制片によってセパレータの前記端部が金具本体から離脱を防止するようにした構造の、コンクリート型枠用ナット付セパレータの連結金具は公知で、前記規制片を金具本体の側部片の一部を切り起こして上端側を基部とする傾斜片で構成したもの(特許文献1)や、前記規制片を金具本体の上部片に連設した舌状片を基部において下方に折り曲げた傾斜片で構成したもの(特許文献2)がある。
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1140137号公報
【特許文献2】特開2005−146833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来例は、いずれも金具本体に相対設した規制片が傾斜片で構成しているので、セパレータのナット付端部の先端螺子部を該規制片間の通過間隙を通じて金具本体の嵌入部内に落し込むに際し、強制力の負荷によって塑性変形し易く、従って、規制片間の通過間隙が広がり、規制片としての抜け止め機能(外れ防止機能)の低減を甘受せざるを得なかった。また、セパレータ端部連結(嵌入、掛止)前段階の仮置き状態(端部を規制片上に載せた状態)にあっては、セパレータを圧入する際の打撃によって生じる大きな振動によってセパレータが跳ね上がり、規制片上から脱落する場合もある。
【0005】
本発明は、斯様な従来例と較べ、施工性や抜け止め機能に優れた連結金具を提供すべく創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
締付金具に先端を螺合して型枠に締め付ける軸ボルトと、該軸ボルトの基部を一側に組付け、他の一側に型枠間に架設するセパレータを、その端部において掛止する金具本体とで成り、金具本体に設けた、前記端部の嵌入部上に前記端部の抜け止め用の少なくとも一対の規制片を設け、該規制片間に外部と前記嵌入部を連通する、前記端部の通過間隙を設けた連結金具において、前記規制片を、前記金具本体の相対する側部片の上端から切り込みを入れて金具本体の内側に弯曲状に折り返した舌状片で構成すると共に、該規制片の折返し部片間を前記通過間隙とした構成とするのである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、弯曲状の舌状片で規制片を構成してあるので規制片の位置を下方に下げることができ、仮置きした場合に外れ難くなり、上記従来技術のように単なる傾斜状のものに比べて弾性復元力が高まり、従って、施工性と抜け止め効果を尚一層期待できる連結金具を提供できる。
【実施例】
【0008】
図面は本発明に係るコンクリート型枠用セパレータの連結金具の一実施例を示し、図1は断面図、図2は平面図、図3は図1の側面図、図4はセパレータ仮置き時の一部欠截正面図、図5は図4のa−a線断面図、図6はセパレータ連結状態時の一部欠截正面図、図7は図6のb−b線断面図である。
【0009】
実施例の連結金具Aは、金具本体1と軸ボルト2を互いに組付けて構成し、コンクリート型枠100に軸ボルト2を貫通させ、該軸ボルト2の先端に締付金具5を螺合して締め付けて前記型枠100に組付け、コンクリート型枠100の内側面に突出して配した前記金具本体1に、相対するコンクリート型枠100,100間に介在させるセパレータ3のナット付端部を嵌入、掛止して組付けるようにして、セパレータ3と前記の型枠100間に介在させてこれらを連結するために用いるものである。
【0010】
なお、実施例の連結金具Aは、金具本体1と前記型枠100との間に前記軸ボルト2を貫通させたカップ(コーン)4を配して、型枠100,100間にコンクリート打設後、軸ボルト2に設けた切断部において切断して(前記カップ4で構成される凹入部を利用して)コンクリート構築物より突出する軸ボルト2の先端側を取り除くようにしているが、カップ4を省略した構造の、すなわち、軸ボルト2を分断しない或いは分断する構造の、連結金具(金具本体と軸ボルトのみで成る)にも本発明を適用できることは勿論である。
【0011】
金具本体1は、鋼板をプレス成形して構成したもので、前後の部片1a,1bと左右の側部片1c,1cおよび底部片1dから成る、全体として各隅部を丸くした上端開口の方形箱状体で成り、前後の部片1a,1bの中央にはそれぞれ上開口状の切欠を設け、前部片1a側の切欠を前記セパレータ3のナット付端部の、周溝で成る頸部6が底縁に係合する係合切欠7と成し、後部片1b側の切欠を前記軸ボルト2の係止鍔8側の基部を強制的に嵌着させた組付け切欠9と成し、底部片1cの中央部には透孔10を設けて本体1内に打設コンクリートが確実に圧入し、かつ、本体1内の水の溜りを防止するようにしてある(水が溜ると氷結してコンクリートに亀裂が生じる場合がある)。
【0012】
また、金具本体1の、相対する前記側部片1c,1cには該部片1cの上端から2条の切込みで区画した舌状片を本体1の内側に向けて弯曲状に折り返した形態の規制片11,11を相対設し、該規制片11,11と前記後部片1bとの間隙を前記係止鍔8の収納室12、規制片と前記前部片1aとの間隙を前記セパレータのナット付端部のナット材13の収納室14とし、これら収納室12,14間の、前記規制片11,11の直下を前記ナット付端部の先端螺子部3aの嵌入部15とし、規制片11,11の、相対する折返し部片11a,11a間を前記先端螺子部3aの通過間隙16としたものである。
【0013】
なお、一対の折返し部片11a,11aは必ずしも正対位置にある必要はなく、セパレータ3の軸心方向あるいは高さ方向に多少ずれてもよく、さらにその数を増やすことも可能である。また、セパレータ3の先端螺子部3aではなく、ナット材13の部分で掛止するようにしてもよい。
【0014】
軸ボルト2は、基端に前記係止鍔8を備え、先端側をねじ部として、前記カップ4を組付けたもので、中間部にカップ4の離れ止め用と型枠100に対する廻り止め用の突起17,17を、また、前記係止鍔8の近接位置に周溝を設けて頸部18と成し、該頸部18において分断が簡便に行えるようにしたものである。
【0015】
そして、金具本体1の後部片1bに設けた組付切欠9に、軸ボルト2を一致させるようにして係止鍔8を金具本体1に強制的に押し込む(叩き込む)か或いは予め広めに開いた状態で挿入してから狭めると、前記軸ボルト2の係止鍔8側の基部は組付け切欠9の狭あい部を経て組付け切欠9の底縁上に載置され、かつ、係止鍔8は収納室12に収納され、金具本体1と軸ボルト2を互いに組付けて連結金具Aとしたものである。
【0016】
しかして、相対する型枠100に設けた貫通孔に型枠100の内側から軸ボルト2を貫通させ、型枠外側面より突出する軸ボルト2の先端に締付金具5を螺合締付けると、前記型枠100の内側面に相対して金具本体1が突出状態にして配せられ、この金具本体1の規制片11,11間上にナット付端部の先端螺子部3aを載置するようにして相対して配した金具本体1,1上にセパレータ3を載置し、該セパレータ3の適所を叩打するか或いは押し込むと、前記先端螺子部3aは規制片11,11間すなわち通過間隙16を強制的に通過して規制片11,11の下方の嵌入部15に収容され、かつ、ナット材13も収納室14に収納されてセパレータ3による型枠の連結状態すなわち実施例連結金具Aの使用状態を得られるのである。
【0017】
図8は、本発明に係るコンクリート型枠用セパレータの連結金具の他の実施例を示す。この実施例では、相対する折返し部片が傾斜状に形成されていることにより、セパレータ3の先端螺子部3aに対してその端面を当接させることができるから、その掛止効果をより高めることができる。
【0018】
なお、上記各実施例では、端部に予めナットを螺着したセパレータに適用する事例について説明したが、例えば特許第3356738号公報に開示されるように、金具本体内に半割り状のナットが一体に設けられた構造にももちろん適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】断面図。
【図2】平面図。
【図3】図1の側面図。
【図4】セパレータ仮置き時の一部欠截正面図。
【図5】図4のa−a線断面図。
【図6】セパレータ連結状態時の一部欠截正面図。
【図7】図6のb−b線断面図。
【図8】他の実施例の断面図。
【符号の説明】
【0020】
1 金具本体
1c 側部片
2 軸ボルト
3 セパレータ
3a 先端螺子部
11 規制片
11a 折返し部片
15 嵌入部
16 通過間隙
100 型枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締付金具に先端を螺合して型枠に締め付ける軸ボルトと、該軸ボルトの基部を一側に組付け、他の一側に型枠間に架設するセパレータを、その端部において掛止する金具本体とで成り、金具本体に設けた、前記端部の嵌入部上に該端部の抜け止め用の少なくとも一対の規制片を設け、該規制片間に外部と前記嵌入部を連通する、前記端部の通過間隙を設けた連結金具において、前記規制片を、前記金具本体の相対する側部片の上端から切り込みを入れて金具本体の内側に弯曲状に折り返した舌状片で構成すると共に、該規制片の折返し部片間を前記通過間隙とした、コンクリート型枠用セパレータの連結金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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