説明

コンクリート構造物に於ける漏水防止用シール材及び漏水防止用シール材を使用した漏水防止方法

【課題】漏水防止用シール材を施工するときに目地部から脱落することなく低コストの施工工事を容易に実現し工期短縮化を図ることができる漏水防止用シール材及び漏水防止用シール材を使用した漏水防止方法の技術を提供する。
【解決手段】18はコンクリート構造物17、17の継目に形成された目地部であって、その両壁面部17a、17aは対向して配置されている。漏水防止用シール材19は前記目地部18の外観形状に適合させると共に上壁面部19aを有した略下駄形状筒体部19Aと該略下駄形状筒体部19Aの内部に装挿され断面略縦長矩形状孔19fを形成したスポンジ部19Bとでなり、軸方向に長尺状であって断面略矩形状を形成してある。該漏水防止用シール材19の構造は前記目地部18内に嵌挿し易く構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば農業用水路等のコンクリート構造物やその他の構造物における目地に嵌め込まれる漏水防止用シール材及び漏水防止用シール材を使用した漏水防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の目地材を示す従来の技術の第1の例としては、実開昭64−41505号公開実用新案公報に開示された技術がある。
これについて説明すれば、図6に示すように、前記目地材1は目地材本体2の貯留部3にシーリング材4を充填してなるものである。前記目地材本体2は可撓性を有する合成ゴムからなるもので、長尺状をなし底壁5と底壁5の両側に立設された側壁6、6からなる断面略チャンネル状に形成されている。前記底壁5の両側及び前記側壁6、6の外方側にはやや肉厚の突条7、7…が形成されるとともにその突条7、7…の間に谷部7a、7a…が形成されている。また、前記目地材本体2には底壁5と側壁6、6とで形成される貯留部3が設けられており、この貯留部3にはペースト状のシーリング材4が均一に充填されている。前記シーリング材4はブチル系、アクリル系、シリコン系など、その使用される建材の種類、用途、目的等に応じて各種の品質のものが使用される。先ず、例えば壁材8、8の目地の幅に適合する目地材1を選択し、この目地材1を目地に当接し側壁6、6を挟めるように押圧するとともに底壁5を押圧し、目地材1を目地内に押し込み、第5図に示すように目地材1を底壁5の表面が壁材8、8の外表面と略面一となる程度に目地内に押し込みはめ込む。この場合、目地材本体2は可撓性を有するために、側壁6、6は撓み、はめ込まれた後に底壁5及び側壁6、6の突条7、7…は目地内の壁材8、8に密着する。前記のようにして目地材1を目地内に押し込み嵌め込む際、側壁6、6を押圧するとともに底壁5を押圧することにより、貯留部3が押し潰され予め貯留部3内に充填されていたシーリング材4が貯留部3から押し出される。そして、目地材本体2から押し出されたシーリング材4は目地内の奥部に充填される。
【0003】
次に、この種の従来技術の第2の例としては実開昭57−193799号公開実用新案公報に開示されたコンクリート継目の防水樋に係る技術がある。これについて説明すれば、図7に示すように、9は隧道のコンクリート壁、10はコンクリート壁9に隣接して構築した接続コンクリート壁である。11はコンクリート壁9と接続コンクリート壁10の継目部12に形成した断面長方形状の嵌合溝で、通常その幅は30〜80ミリメートル、また奥行は50〜120ミリメートルであって、箱状に加工されたいわゆる目地部である。
13はジョイントラバーで、該ジョイントラバー13は、上方に円弧状樋部13a、該樋部13aの両端に内方に折返して形成したフランジ部13b、13b、樋部13aの下面に連設した凸状の大きな曲率半径の円弧状蓋部13c、13c、樋部13aの外面の中央に設けたやや下向きのリップ部13d、13dとにより構成されている。13eは必要に応じ設けた空隙で、ジョイントラバー13の弾性変形特性を変えるためのものである。13f、13f…は接着剤との接着力向上等のため、必要に応じジョイントラバー13に設けた突条である。14は硬質合成樹脂製弾性拡開材で、該拡開材14は断面が円弧部と、該円弧部の切線方向に延長形成した直線部とよりなる上向きの略く字状の形状をしている。前記拡開材14をジョイントラバー13の樋部13aに嵌めてフランジ部13b、13bを前記拡開材14の端縁上に折返すことにより、第6図に示す如く、樋部13aの拡開した防水樋が構成される。
【0004】
樋部13aを前記拡開材14に抗して幅狭にした状態で、第7図に示す如く防水樋を嵌合溝11に押込むと、前記拡開材14の弾発力により防水樋は嵌合溝11中に保持され、リップ部13d、13dは下向きに折曲して嵌合溝11の側壁に圧着され、蓋部13c、13cの側端は嵌合溝11つまり目地部の側壁に軽く接触し且つ外に向け若干湾曲する。この状態において、樋部13aと嵌合溝11の底壁との間に導水路15が形成されると共に、リップ部13d、13dと蓋部13c、13cとの間に空間16、16が形成される。最後に蓋部13c、13cとリップ部13d、13dとの間の空間16、16内にたとえばエポキシ樹脂やウレタンシール材等の接着剤を注入して硬化させ、防水樋の施工を完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭64−41505号公開実用新案公報
【特許文献2】実開昭57−193799号公開実用新案公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術は、叙上した構成、作用であるので次の課題が存在した。
従来の技術に於ける前述した第1の例を示す実開昭64−41505号公開実用新案公報に開示した技術によれば、目地材1に張出し耳部を形成しておらず、壁材8、8間に形成した目地内に該目地材1を押し込みかつ嵌め込み施工の際に定位置に保持することが困難であり、また、施工後の経年変化に伴い、前記目地材1の位置ずれが誘起されること及び前記目地材本体2の側壁6、6と突条7、7…間に形成した貯留部3の押し潰し作用による弾性反発力が弱いうえに、比較的厚みのある突条7、7…による壁材8、8への密着性が悪く漏水防止を完全に行なうことができないという問題点があった。
更に、該第1の例によればシーリング材4を予め前記貯留部3に封入する工程が必要であり目地材1自体を高価なものとし、施工工事費用が嵩むうえに施工工期が長くなるという隘路があった。
【0007】
また、従来の技術に於ける前述した第2の例を示す実開昭57−193799号公開実用新案公報に開示した技術によれば、目地部、つまり略箱状の嵌合溝11に押込まれるジョイントラバー13それ自体が円弧状樋部13aや円弧状蓋部13c等複雑な構成を有するうえに別異の該円弧状樋部13aに嵌合する硬質合成樹脂製弾性拡開材14を備えた構造であり、施工工事が複雑化するうえに各部材点数が増大し、施工工事の長期化及び費用が高騰化し、加えて、施工手順や方法如何によって又は経年変化により前記ジョイントラバー13や前記弾性拡開材14が嵌合溝11内で傾く惧れがあり、漏水防止機能が劣化するという問題点があった。
【0008】
更に、当該第2の例によれば、ジョイントラバー13の形状に適合させることなく嵌合溝11、つまり目地部が単に略箱状又は略矩形であるため該ジョイントラバー13及び前記弾性拡開材14が外部要因により嵌合溝11から押出され易くなり所定位置に保持設定するための施工工事が複雑化すると共に経年変化等により前記嵌合溝11から脱落し易く、かつ弾性力の減衰により漏水現象が誘起するという問題点があった。
本発明が解決しようとする課題は、背景技術で述べた問題点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンクリート構造物における漏水防止用シール材及び漏水防止用シール材を使用した漏水防止方法は、例えば、農業用水路や水路トンネル等のコンクリート構造物の目地部を漏水防止用シール材の形状に適合させて加工又は形成した後、当該漏水防止用シール材を、全体形状が断面略矩形状であって2重構造、つまり外殻としての略下駄形状筒体部と、該略下駄形状筒体部に溝部を形成したスポンジ部を充填した構造として目地部の所定位置に容易に嵌装でき、嵌装後は当該漏水防止用シール材の上面及び表面にスポンジ部が露出しないので耐オゾン性、耐化学薬品性、耐熱性に優れた断面を提供する技術であって、具体的には当該漏水防止用シール材が全体形状が断面略矩形状であって前記目地部の両壁面部に係止されかつ当該漏水防止用シール材の両側面に上下段でなる断面略長鼻状の突条を形成した略下駄形状筒体部と、該略下駄形状筒体部の内部に装填されたスポンジ部とでなり、該スポンジ部が軸長方向に断面略縦長矩形状孔又は断面略半円形状孔を成形し、前記目地部に当該漏水防止用シール材を挿入する際に、漏水防止用シール材の幅方向に容易に圧縮変形して挿入作業が容易かつ円滑でありかつ軸長方向には容易に伸びることがなく、当該漏水防止用シール材を目地部に圧縮挿入したときに漏水防止用シール材自身に収縮力が残存しないので該漏水防止用シール材を施工するときに当該目地部から脱落することなく低コストの施工工事を容易に実現し工期短縮化を図ることができると共に軸長方向に収縮せず寸法が安定し経年変化せず前記目地部の水密性を長期に亘り保持できる漏水防止用シール材及び漏水防止用シール材を使用した漏水防止方法を提供することを目的としたものであり、次の構成、手段から成立する。
【0010】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、コンクリート構造物の目地部に嵌挿される漏水防止用シール材に於いて、下方に左右の側壁部を有して該漏水防止用シール材の外殻構造でなり、かつ該側壁部の上下段に形成した左右の断面略長鼻状の第1突条及び第2突条を形成した略下駄状筒体部と、該略下駄状筒体部の上壁面部の下面から断面略縦長矩形状孔を略中心部分であって軸長方向に成形しかつ略下駄状筒体部の側壁部の相互間に軸長方向に押出成形機により前記略下駄状筒体部と嵌合一体形成されるスポンジ部とでなることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、コンクリート構造物の目地部に嵌挿される漏水防止用シール材に於いて、下方に左右の側壁部を有した幅広型漏水防止用シール材の外殻構造でなり、かつ該側壁部の上下段に形成した左右の断面略長鼻状の第1突条及び第2突条を形成した略下駄状筒体部と、該略下駄状筒体部の上壁面部の下面から断面略半円形状孔を略中心部分であって軸長方向に成形しかつ略下駄状筒体部の側壁部の相互間に軸長方向に押出成形機により前記略下駄状筒体部と嵌合一体形成されるスポンジ部とでなることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート構造物における漏水防止用シール材に於いて、前記第1突条と前記側壁部とで形成される傾斜角θは110°ないし130°に及び第2突条と側壁部とで形成される傾斜角θは30°ないし45°に設定したことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、
前記請求項1又は2に記載するコンクリート構造物における漏水防止用シール材を使用したコンクリート構造物における漏水防止方法に於いて、該漏水防止用シール材は全体を傾斜させた姿勢でかつ左側の断面略長鼻状の第2突条を圧縮しつつ目地部に押込み嵌挿し、左・右の断面略長鼻状の第1突条及び断面略長鼻状の第2突条の先端部が前記壁面部に衝当して変形しながら目地部の深部方向に押込み、断面略長鼻状の第1突条及び断面略長鼻状の第2突条の先端部分は目地部の左・右の壁面部に湾曲して押圧かつ圧着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るコンクリート構造物における漏水防止用シール材及び漏水防止用シール材を使用した漏水防止方法は、叙上の構成を有するので次の効果がある。
【0015】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、コンクリート構造物の目地部に嵌挿される漏水防止用シール材に於いて、下方に左右の側壁部を有して該漏水防止用シール材の外殻構造でなり、かつ該側壁部の上下段に形成した左右の断面略長鼻状の第1突条及び第2突条を形成した略下駄状筒体部と、該略下駄状筒体部の上壁面部の下面から断面略縦長矩形状孔を略中心部分であって軸長方向に成形しかつ略下駄状筒体部の側壁部の相互間に軸長方向に押出成形機により前記略下駄状筒体部と嵌合一体形成されるスポンジ部とでなることを特徴とするコンクリート構造物における漏水防止用シール材を提供する。
このような構成としたので、当該漏水防止用シール材を幅方向に対して変形容易に構成しコンクリート構造物の目地部内の所定位置に嵌装することが容易であるばかりか、該漏水防止用シール材を漏水防止用シール材の軸長方向に引張力を印加しながら目地部に嵌装する作業を行なうとき略下駄形状筒体部が適度の例えば70度のゴム硬度を有するので、過剰に伸長することなくコンクリート構造物の目地部内の所定位置に容易かつ円滑に嵌装することができ、過剰に伸長することがないので該漏水防止用シール材に残存する軸長方向の内部応力が小さく、従って漏水防止用シール材が該目地部から離脱することがなく作業性を向上させることができるという効果がある。
【0016】
また、特にトンネルの内壁等のR形状を有するコンクリート構造物の内側に配設された目地部内に当該漏水防止用シール材を嵌装する際に、漏水防止用シール材に残存する軸長方向の内部応力を少なくできるので目地部からの離脱を防止することができ漏水防止効果を高めるという効果がある。さらに、当該漏水防止用シール材をコンクリート構造物の目地部内の所定位置に嵌装した後は、該略下駄状筒体部の上壁部が外部に露出することがなくスポンジ部は略下駄形状筒体部に被覆され外部に露出することがなく、従ってスポンジ部はコンクリート構造物の表面に塗布する塗料や各種表面含浸材を含浸・吸収して硬化及び劣化する惧れがなく弾力性を長期間に亘り維持することが可能となり、コンクリート構造物の目地部における漏水防止効果を維持することができるという効果がある。また、断面略長鼻状の第1突条及び第2突条を形成した上下段間は所定間隔を有し充填する接着剤を注入し易くかつ目地部との接着効果を挙げるので接着剤充填作業性が極めて向上するという効果がある。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、コンクリート構造物の目地部に嵌挿される漏水防止用シール材に於いて、下方に左右の側壁部を有した幅広型漏水防止用シール材の外殻構造でなり、かつ該側壁部の上下段に形成した左右の断面略長鼻状の第1突条及び第2突条を形成した略下駄状筒体部と、該略下駄状筒体部の上壁面部の下面から断面略半円形状孔を略中心部分であって軸長方向に成形しかつ略下駄状筒体部の側壁部の相互間に軸長方向に押出成形機により前記略下駄状筒体部と嵌合一体形成されるスポンジ部とでなることを特徴とするコンクリート構造物における漏水防止用シール材を提供する。
このような構成としたので、請求項1記載の発明の効果に加えて幅広の目地部に適用でき特に季節変動や温度変化が著しい場所の目地部に追従・即応でき、耐久性の高い漏水防止用シール材を提供できるという効果がある。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、前記第1突条と前記側壁部とで形成される傾斜角θは110°ないし130°に及び第2突条と側壁部とで形成される傾斜角θは30°ないし45°に設定したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート構造物における漏水防止用シール材を提供する。
このような構成としたので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、更に漏水防止用シール材をコンクリート構造物の目地部に円滑に嵌挿すると共に嵌挿後は目地部の壁面部に好適に密着する上に該第1突条及び第2突条が疲労劣化しないで耐久性を向上させ目地部の壁面部のシール性を高めるといういう効果がある。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、前記請求項1又は2に記載するコンクリート構造物における漏水防止用シール材に於いて、該漏水防止用シール材は全体を傾斜させた姿勢でかつ左側の断面略長鼻状の第2突条を圧縮しつつ目地部に押込み嵌挿し、左・右の断面略長鼻状の第1突条及び断面略長鼻状の第2突条の先端部が前記壁面部に衝当して変形しながら目地部の深部方向に押込み、断面略長鼻状の第1突条及び断面略長鼻状の第2突条の先端部分は目地部の左・右の壁面部に湾曲して押圧かつ圧着することを特徴とするコンクリート構造物における漏水防止用シール方法を提供する。
このような構成としたので請求項1又は2に記載の効果に加えて作業工数を大幅に低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るコンクリート構造物における漏水防止用シール材の実施の形態を示す垂直断面図である。
【図2】本発明に係るコンクリート構造物における漏水防止用シール材を製造する方法を示すものであって、押出成形装置から該漏水防止用シール材が押出された状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示す押出成形装置の内部構造を示す一例であって、その垂直断面図である。
【図4】本発明に係るコンクリート構造物における漏水防止用シール材の実施例1を示す垂直断面図である。
【図5】本発明に係るコンクリート構造物における漏水防止用シール材の実施例2を示す垂直断面図である。
【図6】従来の技術に於ける第1の例としての目地材の構成を示す垂直断面図である。
【図7】従来の技術に於ける第2の例としてのコンクリート継目の防水樋の構成を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るコンクリート構造物における漏水防止用シール材及び漏水防止用シール材を使用した漏水防止方法の実施の形態について添付図面に基づき詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明に係るコンクリート構造物における漏水防止用シール材を使用した漏水防止方法の実施の形態を示す垂直断面図である。
【0023】
17は図1に示すように水路、水路トンネルや農水路等各種の土木構造物や建築構造物等でなるコンクリート構造物である。18は前記コンクリート構造物17、17の継目に形成された目地部であって、その両壁面部17a、17aは対向して配置されている。図1に示す目地部18は長大な奥行きを構成している。そして上面開口部18a、壁面部(両壁面)18b及び断面略V字状の深部(底面部)18cで構成されている。基本的には前記漏水防止用シール材19は前記目地部18の外観形状に適合させると共に上壁面部19aを有した略下駄形状筒体部19Aと該略下駄形状筒体部19Aの内部に装挿され断面略縦長矩形状孔19fを形成したスポンジ部19Bとでなる。該スポンジ部19Bは軸方向に長尺状であって、断面略矩形状を形成してある。該漏水防止用シール材19の構造は前記目地部18内に嵌挿し易く構成している。前記目地部18の幅長は施工時期が夏期、冬期又は気温差度によって変動する。つまり本発明に適用する目地設定幅の一例を示すと、目地最大幅Lは23(mm)、目地最小幅Lは17(mm)、及び目地基準幅Lは20(mm)である。このとき目地部18の深さLは20(mm)である。
【0024】
図1に於いて19は漏水防止用シール材であって、全体形状が断面略矩形状であって、前記目地部18の奥行長に合わせて長尺状又は長軸状若しくは棒状に形成されており、その外殻部分、つまり略下駄形状筒体部19Aの材料は例えば、エチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、高純度クロロプレンゴム、天然ゴム、再生ゴム、高減衰ゴムの一つ又は二つ以上の組成物で構成されている。尚、詳しくは、前記EPMはエチレンとプロピレンとの共重合体であり、EPDMはエチレンとプロピレン及び若干のジエン成分との三元重合体である。
而して、漏水防止用シール材19の組成物として前記EPM及EPDMを採用すれば、耐オゾン性や耐候性がよく経年変化や劣化現象がない素材として利用できる。また、耐寒性や低温特性も良好で耐薬品性又は反発弾性も大きく圧縮ひずみを抑える機能も併有している。
【0025】
前記漏水防止用シール材19の略下駄状筒体部19Aは、本発明では例えば幅長Wが3(mm)の側壁部19bを有して該漏水防止用シール材19の外殻構造を成形しており、略下駄状筒体部19Aのその両側面に上下段に形成した左右の断面略長鼻状の第1突条19c、19c、同形状の第2突条19d、19dを有している。殊に該第1突条19c、19cを側壁部19bの上に及び第2突条19d、19dを側壁部19bの下端に形成する。そして該断面略長鼻状の左・右第1突条19c、19cと第2突条19d、19dとの上下間は長い間隔を有した漏水防止用シール材19であり、そして目地部18の特徴である長手方向、つまり軸長又は奥行方向に延在成形している。そこで本発明に適用する左・右の断面略長鼻状の第1、第2突条19c、19dの幅長を含めた全体幅長Lは24(mm)に設定してある。ここで、略下駄状筒体部19Aの幅長Lは15(mm)及び高さLは15(mm)に設定する。そして、該第2突条19dは該第1突条19cよりやや上方への傾斜角を狭くした。
【0026】
19Bはスポンジ部でなり軸長方向に形成しかつ上端つまり略下駄状筒体部19Aの上壁面部19aの下面から断面略縦長矩形状孔19fを略中心部分に成形している。前記スポンジ部19Bは図1に示すように該漏水防止用シール材19の略下駄状筒体部19Aの側壁部19bの相互間に軸長方向に嵌合形成されている。該スポンジ部19Bはエチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、高純度クロロプレンゴム、天然ゴム、再生ゴム、高減衰ゴムの一つ又は二つ以上の組成物で発泡成形してなる。
【0027】
前記漏水防止用シール材19の略下駄状筒体部19Aとその内部に装挿されたスポンジ部19B及び断面略縦長矩形状孔19fは成形機等により一緒にかつ一体物として成形加工される。すなわち、前記漏水防止用シール材19は一つの工程で当該成形機等で製作される。
【0028】
ところで、前記漏水防止用シール材19の製造方法について図2、図3に基づいて説明する。
図2及び図3は本発明に係る漏水防止用シール材を成形するために使用する押出成形装置Aの一例を示している。ヘッド本体20内には、第1の成形ダイ21 と第2の成形ダイ22とが内装されている。この第1の成形ダイ21の中央部には、長尺状の成形品すなわち、漏水防止用シール材19の外周形状に対応した押出成形口21aが形成され、その下面には、スポンジ部19Bを被包するため漏水防止用シール材19の略下駄状筒体部19Aの材料としての第1の原料M1が第2の原料M2の外周への流路(図示せず)が形成され、この流路と、押出成形口21aにおける成形品としての漏水防止用シール材19の略下駄形状筒体部19Aとが、多数の極小幅のスリット状吐出口22aを介して接続されている。
【0029】
ここで、当該第1の原料M1はエチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、高純度クロロプレンゴム、天然ゴム、再生ゴム、高減衰ゴムの一つ又は二つ以上の組成物で構成されている。尚、詳しくは、前記EPMはエチレンとプロピレンとの共重合体であり、EPDMはエチレンとプロピレン及び若干のジエン成分との三元重合体でなる。このスリット状吐出口22aは、この部分から吐出される第2の原料M2 の流れ性を悪くして、原料押出圧により成形原料を不規則的に吐出させる部分であって、押出成形口21aから押し出される成形品としての漏水防止用シール材19の幅方向に沿って所定の間隔をおいて形成されている。このスリット状吐出口22aの幅、深さ、長さは、成形原料の粘性、吐出圧によって異なる。
【0030】
また、第1の成形ダイ21の対面には、押出成形口21aにおける漏水防止用シール材19のスポンジ部19Bを成形する部分に接続して第2の原料M2の流路22bが形成されている。ここで、当該第2の原料M2はエチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、高純度クロロプレンゴム、天然ゴム、再生ゴム、高減衰ゴムの一つ又は二つ以上の組成物で発泡成形してなる。この流路22bの中央部には、第2の原料M2が押出成形口21aの両側から偏りなく流れ込むように分岐突起が設けられている。この流路22bと前記流路(図示せず)との各体積は、漏水防止用シール材19のスポンジ部19Bと、略下駄形状筒体部19Aを成形できる大きさに定める。
【0031】
第2の成形ダイ22は、第1の成形ダイ21 の対面に配置されるもので、その前面には、第1の成形ダイ21の押出成形口21aに入り込む中芯23が突設され、この中芯23の上方の部分には、図2に示す漏水防止用シール材19の略下駄形状筒体部19Aを成形するための第1の原料M1の流路24が前面と背面との間に貫通して設けられている。この中芯23の断面形状が略縦長矩形状であり、スポンジ部19Bに前記した断面略縦長矩形状孔19fを形成する。図3に示すように、ヘッド本体20に第1及び第2の各成形ダイ21、22が重ね合って内装され、ヘッド本体20の前端面に装着したヘッド押え26によって、ヘッド本体20に内装された第1及び第2の各成形ダイ21、22を押え付けている。なお、25は、第1及び第2の各原料M1、M2を分離させて第1及び第2の各成形ダイ21、22に供給するための原料分離部材である。
【0032】
上記した第1の原料M1を第2の成形ダイ22の流路24を通して、第1の成形ダイD21の押出成形口21aから押し出すと共に、第2の原料M2を第1の成形ダイ21の流路22bを通してその押出成形口21aから押し出すと、第1及び第2の各原料M1、M2により略下駄形状筒体部19A及びスポンジ部19Bがそれぞれ成形され、成形ダイの内部において原料の押出圧により接合した長尺状の漏水防止用シール材19が押出成形口21aから連続して押し出される。長尺状の漏水防止用シール材19が押出成形機Aから押出された後、例えば、加硫槽、冷却槽を介して切断機により所定の長さに切断され商品として利用する。
【0033】
第1の成形ダイ21 に形成した多数のスリット状吐出口22aは、その幅と深さとが極めて小さく、しかもその長さは所定長が確保されているために、スリット状吐出口22aの部分は、吐出される原料に対して大きな抵抗となって、原料の流れ性を悪くする。また、第1の原料M1の流れる方向と、スリット状吐出口22aからの第2の原料M2の吐出方向とは、直交しているために、第1の原料M1の押出圧と第2の原料M2の吐出圧との相対的変化に伴って、スリット状吐出口22aからの第2の原料M2の吐出量が変化する。これらのことが相俟って、漏水防止用シール材19の押出成形時において、第1の成形ダイ21に形成された流路(図示せず)に導かれた第2の原料M2は、原料押出圧によって極小幅の多数のスリット状吐出口22aから不規則的に吐出されて、第1の原料M1により一体成形される。ここで、押出成形機Aはシリンダ、ヘッド及び口金に於いて第1及び第2の原料M1、M2での標準押出温度はそれぞれ60〜65°、90°以上及び100°に設定することが望ましい。
【0034】
次に上述した本発明に係る漏水防止用シール材を使用した漏水防止方法の施工手順や作用等を図1及び図2に基づき説明する。
【0035】
前記コンクリート構造物17、17の継目に形成された目地部18を箱抜きし、具体的には上面開口部18aと、これに連なる壁面部18b、18bと、壁面部18b、18bに連なる目地部18の断面略山形状の深部即ち目地部の目地部の断面略V字状の深部18cを加工又は形成する。而して、上述したように押出成形装置Aにより略下駄形状筒体部19A及びスポンジ部19Bが一体加工成形された前記漏水防止用シール材19を前記目地部18に嵌装する。
【0036】
本発明に係る漏水防止用シール材19は図1に示すように当該漏水防止用シール材19を目地部18内に嵌挿する前に漏水防止用シール材19の側壁部19bと目地部18の壁面部17a、17aと、断面略長鼻状の第1突条19c及び第2突条19dとで形成される隙間S内にエポキシ樹脂等の接着剤(図示せず)を封入・充填シールする。このこのように構成したので、当該漏水防止用シール材19と壁面部17a、17a及び目地部18の底面部18cに於けるシール性や止水性を高めると共に確保することができる。殊に第1突条19cと側壁部19bとで形成される傾斜角θは110°ないし130°に及び第2突条19dと側壁部19bとで形成される傾斜角θは30°ないし45°に設定するとその効果は顕著であった。このように漏水防止用シール材19の側壁部19bに断面略長鼻状の第1突条19c及び第2突条19dに限定したこと、つまり突条数を減少しかつその上下間隔を長く設定したので充填される接着剤の充填作業が極めて円滑かつ容易化する。しかも漏水防止用シール材19の全体断面積を約30(%)程度低減でき総重量を大幅に軽減し目地部18の幅長の変動に追従できる上に原材料費を低減させる作用を奏した。
【0037】
この際、該漏水防止用シール材19は全体を傾斜させた姿勢でかつ一方、つまり左側の断面略長鼻状の第2突条19dを圧縮しつつ目地部18に押込み嵌挿する。左・右の断面略長鼻状の第1突条19c、断面略長鼻状の第2突条19dの先端部が前記壁面部18b、18bに衝当して変形しながら目地部18の深部18c方向に押込まれる。このとき断面略長鼻状の第1突条19c、断面略長鼻状の第2突条19dの先端部分は図1に仮想線で示すように目地部18の左・右の壁面部18b、18bに湾曲して押圧かつ圧着する。そして、断面略縦長矩形状孔19fが仮想線で示すように中心方向に湾曲する。
【0038】
前記漏水防止用シール材19の上壁面部19aも矢印P、P方向つまり中心方向に圧縮されて変形する。このときこの変形に対する反発力が前記漏水防止用シール材19の略下駄形状筒体部19Aの内部に於ける左・右側壁面部19b、19bに押圧力が作用し左・右の断面略長鼻状の第1突条19c、断面略長鼻状の第2突条19dが壁面部18b、18bに圧着力を奏する。殊に略下駄形状筒体部19Aの上壁面部19aの左・右下面の隅部面Bについて曲げ応力に対する耐久性及び追従性が格段に優れるという効果を奏した。この隅部面Bは漏水防止用シール材19の側壁部19bの内壁面と上壁面部19aの左・右下面とが交叉した円弧状ラインでなる円弧面面となる。かかる隅部面Bの存在により矢印P1、P2から発生する前記曲げ応力に抵抗できることになる。
【0039】
季節つまり夏期や冬期の変動や周囲温度変化により当該目地部18の目地基準幅Lの長さが変化する。夏期になれば、例えば上述したように目地最大幅Lとなり、スポンジ部19Bが拡開すると共に断面略縦長矩形状孔19fに矢印P方向につまり左方から右方に及び右方から左方に断面略縦長矩形状孔19fを狭めるように変形作用する。その反力としてコンクリート構造物のスポンジ部19Bの拡開力が前記断面略長鼻状の第1、第2突条19c、19dに伝達し、左・右方向に押圧力が作用し目地部18と漏水防止用シール材19の気密性が保持できる。
【0040】
冬期の場合や周囲温度が低くなれば逆の作用、つまり目地基準幅Lの長さが目地最小幅Lとなりスポンジ部19Bが縮小すると共に略下駄形状筒体部19Aに矢印P方向に作用する。コンクリート構造物のスポンジ部19Bの縮小力が前記断面略長鼻状の第1、第2突条19c、19dに伝達し、反力として左・右方向、つまり矢印P方向の反対方向に押圧力が作用し目地部18と漏水防止用シール材19の気密性が保持できる。この様に本発明に係る漏水防止用シール材19は常に目地部18の目地幅の変化に追随することが明らかであり、極めて高いシール性や止水性を確保することができる。
【0041】
かくして、本発明に係る漏水防止用シール材19によれば、基本的に目地部18の形状又は構造を適合させて加工又は形成し、当該漏水防止用シール材19を目地部18内の所定位置に容易に嵌装することが容易であるばかりか、経時変化も誘起されず、夏期・冬期や周囲温度の変化に対しても該漏水防止用シール材19を変化対応させ例えば、該漏水防止用シール材19を前記目地部18内に圧縮挿入した後は該漏水防止用シール材19が目地部18の壁面部18bとの密着状態を保持すると共に該目地部18からの脱落を防止し漏水防止効果を高める。殊に図1に示す該漏水防止用シール材19は押出成形装置Aで略下駄形状筒体部19Aの高さLも幅長Lとほぼ同一長であり、いわゆる図1に示す前面形状が略正方形の形成されており上壁面部19a及び側壁部19bが肉薄型となっている。而して、目地部18は比較的幅狭であって、季節変動や周囲温度の変化が少ない場所に適用されるとその効果が更に向上する。
【実施例1】
【0042】
次に図4に基づき本発明に係るコンクリート構造物に於ける漏水防止用シール材の実施例1について説明する。
17Aは図4に示すように水路、水路トンネルや農水路等各種の土木構造物や建築構造物等でなるコンクリート構造物である。18Aは前記コンクリート構造物17A、17Aの継目に形成された目地部であって、その両壁面部17a、17aは対向して配置されている。図4に示す目地部18Aは長大な奥行きを構成している。そして上面開口部18a、壁面部(両壁面)18b及び断面略V字状の深部(底面部)18cで構成されている。基本的には前記漏水防止用シール材27は前記目地部18Aの外観形状に適合させると共に上壁面部19aを有した略下駄形状筒体部19Cと該略下駄形状筒体部19Cの内部に装挿され断面略半円形状孔19gを形成したスポンジ部19Dとでなる。該スポンジ部19Dは軸方向に長尺状であって、断面略矩形状を形成してある。該漏水防止用シール材27の構造は前記目地部18A内に嵌挿し易く構成している。前記目地部18Aの幅長は施工時期が夏期、冬期又は気温差度によって変動する。つまり本発明に適用する目地設定幅の一例を示すと、目地最大幅LAは38(mm)、目地最小幅LAは32(mm)、及び目地基準幅LAは35(mm)である。このとき目地部18の深さLAは20(mm)である。
【0043】
図4に於いて27は漏水防止用シール材であって、全体形状が断面略矩形状であって、前記目地部18Aの奥行長に合わせて長尺状又は長軸状若しくは棒状に形成されており、その外殻部分、つまり略下駄形状筒体部19Cの材料は例えば、エチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、高純度クロロプレンゴム、天然ゴム、再生ゴム、高減衰ゴムの一つ又は二つ以上の組成物で構成されている。尚、詳しくは、前記EPMはエチレンとプロピレンとの共重合体であり、EPDMはエチレンとプロピレン及び若干のジエン成分との三元重合体である。
而して、漏水防止用シール材27の組成物として前記EPM及EPDMを採用すれば、耐オゾン性や耐候性がよく経年変化や劣化現象がない素材として利用できる。また、耐寒性や低温特性も良好で耐薬品性又は反発弾性も大きく圧縮ひずみを抑える機能も併有している。
【0044】
前記漏水防止用シール材27の略下駄状筒体部19Cは、本発明では例えば幅長Waが4(mm)の側壁部19bを有して該漏水防止用シール材27の外殻構造を成形しており、略下駄状筒体部19Cのその両側面に上下段に形成した左右の断面略長鼻状の第1突条19c、19c、同形状の第2突条19d、19dを有している。殊に該第1突条19c、19cを側壁部19bの上に及び第2突条19d、19dを側壁部19bの下端に形成する。そして該断面略長鼻状の左・右第1突条19c、19cと第2突条19d、19dとの上下間は長い間隔を有した漏水防止用シール材27であり、そして目地部18の特徴である長手方向、つまり軸長又は奥行方向に延在成形している。そこで本発明に適用する左・右の断面略長鼻状の第1、第2突条19c、19dの幅長を含めた全体幅長LAは39(mm)に設定してある。ここで、略下駄状筒体部19Cの幅長LAは30(mm)及び高さLは15(mm)に設定する。そして、該第1突条19cよりやや上方への傾斜角を狭くした。このように本実施例1に示す漏水防止用シール材27は幅広型の構造を特徴としている。
【0045】
19Dはスポンジ部でなり軸長方向に形成しかつ上端つまり略下駄状筒体部19Cの上壁面部19aの下面から断面略半円形状孔19gを略中心部分に成形している。前記スポンジ部19Dは図4に示すように該漏水防止用シール材27の略下駄状筒体部19Cの側壁部19bの相互間に軸長方向に嵌合形成されている。該スポンジ部19Dはエチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、高純度クロロプレンゴム、天然ゴム、再生ゴム、高減衰ゴムの一つ又は二つ以上の組成物で発泡成形してなる。
【0046】
前記漏水防止用シール材27の略下駄状筒体部19Cとその内部に装挿されたスポンジ部19D及び断面略半円形状孔19gは成形機等により一緒にかつ一体物として成形加工される。すなわち、前記漏水防止用シール材27は一つの工程で当該押出成形機等で製作される。
【0047】
この様に本実施例1に示す漏水防止用シール材27は幅広型の構造でり適用する当該目地部18Aは実施の形態のもの比較して幅広である。
尚、漏水防止用シール材27の製造方法及び漏水防止用シール材を使用した漏水防止方法の施工手順やその作用は実施の形態のものと略同一であり、その説明を省略する。
【実施例2】
【0048】
次に図5に基づき本発明に係るコンクリート構造物に於ける漏水防止用シール材の実施例2について説明する。
当該実施例2は大概して前述した実施例1のものと変わらないが、上壁面部19aの下面の所定位置に2つの小突条19h、19hを形成している。これは略下駄状筒体部19Cを成形するとき、一体成形するものであって、軸長方向に延在形成する。そして、2つの小突条19h、19hの左側又は右側側壁面はスポンジ部19Dに於ける断面略半円形状孔19gに臨む壁面19i、19iに係合する構成となっている。このように構成したので漏水防止用シール材27を目地部18A内に嵌挿したときスポンジ部19Dの頂部19jが歪むことなく該小突条19h、19hがストッパーとしての機能を有し壁面部18bとの密着性を高め、耐久性を確保する機能を果たすことができる。
その他の構成は前述した実施例1と略同一であり、その説明を省略する。
尚、漏水防止用シール材27の製造方法及び漏水防止用シール材を使用した漏水防止方法の施工手順やその作用は実施の形態のものと略同一であり、その説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば農業用水路等のコンクリート構造物やその他の構造物における目地に嵌め込まれる漏水防止用シール材に適用され、産業上の利用可能性が高い技術である。
【符号の説明】
【0050】
17 コンクリート構造物
17A コンクリート構造物
17a コンクリート構造物の目地部の壁面部
18 目地部
18A 目地部
18a 目地部の上面開口部
18b 目地部の壁面部
18c 目地部の断面略V字状の深部(底面部)
19 漏水防止用シール材
19A 略下駄形状筒体部
19B スポンジ部
19C 略下駄形状筒体部
19D スポンジ部
19a 上壁面部
19b 側壁部
19c 断面略長鼻状の第1突条
19d 断面略長鼻状の第2突条
19f 断面略縦長矩形状孔
19g 断面略半円形状孔
19h 小突条
19i 壁面
19j 頂部
20 ヘッド本体
22a ヘッド押え
21 第1の成形ダイ
21a 押出成形口
22 第2の成形ダイ
22a スリット状吐出口
22b 流路
23 中芯
24 流路
25 原料分離部材
26 ヘッド押え
27 漏水防止用シール材
A 押出成形装置
B 隅部面



【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の目地部に嵌挿される漏水防止用シール材に於いて、下方に左右の側
壁部を有して該漏水防止用シール材の外殻構造でなり、かつ該側壁部の上下段に形成した左右の断面略長鼻状の第1突条及び第2突条を形成した略下駄状筒体部と、該略下駄状筒体部の上壁面部の下面から断面略縦長矩形状孔を略中心部分であって軸長方向に成形しかつ略下駄状筒体部の側壁部の相互間に軸長方向に押出成形機により前記略下駄状筒体部と嵌合一体形成されるスポンジ部とでなることを特徴とするコンクリート構造物における漏水防止用シール材。
【請求項2】
コンクリート構造物の目地部に嵌挿される漏水防止用シール材に於いて、下方に左右の側
壁部を有した幅広型漏水防止用シール材の外殻構造でなり、かつ該側壁部の上下段に形成した左右の断面略長鼻状の第1突条及び第2突条を形成した略下駄状筒体部と、該略下駄状筒体部の上壁面部の下面から断面略半円形状孔を略中心部分であって軸長方向に成形しかつ略下駄状筒体部の側壁部の相互間に軸長方向に押出成形機により前記略下駄状筒体部と嵌合一体形成されるスポンジ部とでなることを特徴とするコンクリート構造物における漏水防止用シール材。
【請求項3】
前記第1突条と前記側壁部とで形成される傾斜角θは110°ないし130°に及び第2突条と側壁部とで形成される傾斜角θは30°ないし45°に設定したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート構造物における漏水防止用シール材。
【請求項4】
前記請求項1又は2に記載するコンクリート構造物における漏水防止用シール材に於いて、該漏水防止用シール材は全体を傾斜させた姿勢でかつ左側の断面略長鼻状の第2突条を圧縮しつつ目地部に押込み嵌挿し、左・右の断面略長鼻状の第1突条及び断面略長鼻状の第2突条の先端部が前記壁面部に衝当して変形しながら目地部の深部方向に押込み、断面略長鼻状の第1突条及び断面略長鼻状の第2突条の先端部分は目地部の左・右の壁面部に湾曲して押圧かつ圧着することを特徴とするコンクリート構造物における漏水防止用シール方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−237154(P2012−237154A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107360(P2011−107360)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【特許番号】特許第4982882号(P4982882)
【特許公報発行日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(000123549)化成工業株式会社 (11)
【出願人】(000107044)ショーボンド建設株式会社 (71)
【Fターム(参考)】