説明

コンクリート用ダボ

【課題】 磨耗性がよく製品強度を高め、容易に抜き出しが可能で、コンクリートによるマンホール成型時にはコンクリートへの圧縮応力を少なくし、ステップの取付時に埋めコンクリートの付着性をよくし、ステップ脚部の止水性,抜け防止等も充分に考慮した抜き穴を形成するコンクリート用ダボを提供する。
【解決手段】 ダボが、ダボ取付プレート7に取付けられるフランジ2と、フランジからマンホール外型枠11内まで延びる大径柱体3と、大径柱体の端から階段状に縮径される中径柱体4と、中径柱体の先端から段差16をもって半球形状に形成された皿体5と、皿体の先端からマンホール内型枠18に至る間に形成された小径柱体6とから成り、ダボの中心軸線上にフランジから小径柱体間に主中空穴が形成され、主中空穴の外周辺に主中空穴の各面に対向する面を有する副中空穴がフランジから中径柱体間に設けられ、該ダボが、複合樹脂で成型されたコンクリート用ダボ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートによるマンホールの成型時にステップ取付用の抜き穴を形成するためのダボに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,コンクリートによるマンホールの成型時にステップ取付用の抜き穴を形成するためのダボにおいて、合成樹脂で成型され、膨張吸収用の中空部を設けたものがある(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−6126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の技術では、ダボが合成樹脂で成型されていることから磨耗に弱く、使用回数に限度があり製品強度に問題があると共にダボの外形状によりステップ取付ナットを内蔵させる穴は平坦な円柱状であるので、ステップをナットで締めた後に該穴に埋め込むコンクリートがマンホールを成形するコンクリートとの付着がうまくいかない問題があり、またステップ脚部取付後のマンホール外部からの水の侵入防止、ステップ脚部の抜け防止等の充分な対策を施してないものであった。
【0005】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、磨耗性がよく製品強度を高め、容易に抜き出しが可能で、コンクリートによるマンホール成型時にはコンクリートへの圧縮応力を少なくし、ステップの取付時に埋めコンクリートの付着性をよくし、ステップ脚部の止水性,抜け防止等も充分に考慮した抜き穴を形成するコンクリート用ダボを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明におけるコンクリート用ダボは、ダボが、ダボ取付プレートに取付けられるフランジと、該フランジからマンホール外型枠内まで延びるスペーサー部を構成する大径柱体と、該大径柱体の端から階段状に順次縮径されステップ取付ナットを内蔵させる中径柱体と、該中径柱体の先端から段差をもって半球形状に形成された止水パッキンを取付ける皿体と、該皿体の先端からマンホール内型枠に至る間に形成されたステップ脚部を挿通させる小径柱体とから成り、
該ダボの中心軸線上にフランジから小径柱体間に断面六角形状の主中空穴を形成し、該主中空穴の外周辺に前記主中空穴の各面に対向する面を有する断面六角形状の副中空穴を前記フランジから中径柱体間にそれぞれ設け、
該ダボが、複合樹脂で成型されたものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、ダボを複合樹脂で一体成型したのでダボは磨耗性がよく製品強度を高め、複数回の使用も可能となると共にダボの外形の工夫によりダボが容易に抜き出し可能となり、コンクリートによるマンホール成型時にはコンクリートへの圧縮応力を少なくし、ステップの取付時に埋めコンクリートの付着性をよくし、ステップ脚部の止水性,抜け防止等も充分に考慮したコンクリート用ダボとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1ないし図7は本発明に係るコンクリート用ダボの実施例に関するものであり、図1はダボの正面図、図2は図1の平面図、図3は図2のA−A断面図、図4は図2のB−B断面図、図5は図1のC部拡大図、図6はダボをマンホール型枠に設置した平面説明図、図7はステップをマンホールに取付けた平面説明図である。
【0009】
図において、1はコンクリート用ダボであり、該ダボ1はフランジ2と、大径柱体3と、中径柱体4と、皿体5と、小径柱体6とから構成され、複合樹脂で一体成型されたものである。
【0010】
前記フランジ2は、平面視六角形状でその上面にはダボ取付プレート7に取付けられるための複数個の位置合わせ突起8,8,…が形成され、該突起8,8間にそれぞれボルト挿通穴9,9,…が穿設されている。そして、前記位置合わせ突起8の側周面には複数個の抜け防止フィン10,10,…が形成されている。
【0011】
前記大径柱体3は、前記フランジ2からマンホール外型枠11内まで延び、前記ダボ1のスペーサー部を構成している。
【0012】
前記中径柱体4は、前記大径柱体3の端から階段状に順次縮径され、ステップ脚部12をマンホール13に取り付けるためのステップ取付ナット14等を内蔵させる穴15を形成するものである。
【0013】
前記皿体5は、前記中径柱体4の先端から段差16をもってステップ脚部12に取り付けられる半球形状に形成された止水パッキン17を内蔵させる穴を形成するものである。
【0014】
前記小径柱体6は、前記皿体5の先端からマンホール内型枠18に至る間に形成され、ステップ脚部12を挿通させるために微少に曲面状の穴19を形成するものである。
【0015】
そして、前記ダボ1の中心軸線上にフランジ2から小径柱体6間に断面六角形状の主中空穴20が形成され、該主中空穴20の外周辺には前記主中空穴20の各面に対向する面を有する断面六角形状の副中空穴21,21,…が前記フランジ2から中径柱体4間にそれぞれ形成され、平面視ハニカム状になっている(図2参照。)。
【0016】
以上のような構成からなるコンクリート用ダボであって、該ダボ1は、例えばポリエチレン,ポリプロピレン,塩化ビニール,ナイロン等のプラスチック材にタルク、金属粉、ガラス、粒子系材料等の異材料を同時に混合した複合樹脂で一体に成型されている。そして、ダボ1を複合樹脂で成型することにより、ダボ1は磨耗性がよく製品強度が高いものとなり複数回の使用にも可能となる。
【0017】
そして、複合樹脂で成型されたダボ1,1をマンホール外型枠11とマンホール内型枠18間に、ダボ取付プレート7と台座22とによりステップの両脚部12,12間の長さに設定して平行に固定し、マンホールに取り付けるステップの数だけ順次縦方向にダボ1,1を設置した後、マンホール外型枠11とマンホール内型枠18間内にコンクリートを打設する。
打設されたコンクリートは加熱養生して硬化されるがこの際、前記ダボ1に平面視ハニカム状の主中空穴20と副中空穴21,21,…とが形成されていることにより、加熱によるダボ1の熱膨張はこれら穴20,21により均等に吸収されて、ダボ1によるコンクリートへの過度の応力がかからないようになる。
【0018】
コンクリートが硬化された後、ダボ1,1をマンホール外型枠11とマンホール内型枠18間から抜き出す。この際、ダボ1は均等に熱収縮してコンクリートとの間に微細な隙間が生じると共に、前記フランジ2の上面に形成された複数個の位置合わせ突起8,8,…の側周面の複数個の抜け防止フィン槍10,10,…がダボ取付プレート7に強固に係止されているので、ダボ取付プレート7を利用して簡単,確実にダボ1,1を抜き出すことができ、コンクリートにステップ取付用の抜き穴を形成することができる。
【0019】
ステップの取り付けは、コンクリートに形成されたステップ取付用の抜き穴にマンホール13の内壁側から前記両脚部12,12を挿入し、マンホール13の外壁側から止水パッキン17を脚部12挿着させるように挿入する。そして、止水パッキン17のフランジ部23を前記ステップ取付用の抜き穴に形成された段差16に係止させて止水パッキン17の半球形状部をダボ1の皿体5部で形成された半球形状の抜き穴に内蔵させる。
そして、マンホール13の外壁側からワッシャー24,ステップ取付ナット14で脚部12を螺合させた後、マンホール13の外壁側からコンクリートをダボ1の中径柱体4で形成された階段状に順次縮径された穴15に埋め込み、ステップをマンホール13に固定させる。その際、前記ダボ1の中径柱体4で形成された穴15が階段状に順次縮径された穴であることから、埋めコンクリートの付着性がよくなる。
【0020】
また、ステップ脚部12が延びる側のステップ側部を曲面体25として、該曲面体25の曲面をマンホール13の内壁側に当接させながら曲面体25をダボ1の小径柱体6部で形成された微少に曲面状の穴19に内蔵させることにより、ステップ脚部の止水,抜けを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例に係るコンクリート用ダボの正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】図1のC部拡大図である。
【図6】ダボをマンホール型枠に設置した平面説明図である。
【図7】ステップをマンホールに取付けた平面説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1 コンクリート用ダボ
2 フランジ
3 大径柱体
4 中径柱体
5 皿体
6 小径柱体
7 ダボ取付プレート
11 マンホール外型枠
12 ステップ脚部
13 マンホール
14 ステップ取付ナット
16 段差
17 止水パッキン
18 マンホール内型枠
20 主中空穴
21 副中空穴


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートによるマンホールの成型時にステップ取付用の抜き穴を形成するためのダボにおいて、
該ダボが、ダボ取付プレートに取付けられるフランジと、該フランジからマンホール外型枠内まで延びるスペーサー部を構成する大径柱体と、該大径柱体の端から階段状に順次縮径されステップ取付ナットを内蔵させる中径柱体と、該中径柱体の先端から段差をもって半球形状に形成された止水パッキンを取付ける皿体と、該皿体の先端からマンホール内型枠に至る間に形成されたステップ脚部を挿通させる小径柱体とから成り、
該ダボの中心軸線上にフランジから小径柱体間に断面六角形状の主中空穴を形成し、該主中空穴の外周辺に前記主中空穴の各面に対向する面を有する断面六角形状の副中空穴を前記フランジから中径柱体間にそれぞれ設け、
該ダボが、複合樹脂で成型されたことを特徴とするコンクリート用ダボ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−216616(P2007−216616A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42335(P2006−42335)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(592101149)三山工業株式会社 (39)
【Fターム(参考)】