説明

コンクリート製構造物のクラック検知法及び装置

【課題】 枕木等のコンクリート製の構造物のクラック、特に裏面側に発生したクラックを表面側から判断することの可能な検知方法を得る。
【解決手段】 超音波発信器をコンクリート構造物の表面に当接させ、超音波受信器をコンクリート構造物の表面に当接させて、コンクリート構造物の裏面で反射する発信器の超音波の反射波を受信し、超音波受信器で受信した反射波を解析して反射裏面領域にクラック発生の有無を検知する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンクリート製枕木のようなコンクリート製構造物のクラックを検知する方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道軌道においては、コンクリート製の板を設置してその上にレールを敷く軌道スラブが多く施設されているが、従来からの路盤にバラスト(砕石や砂利)を敷き、枕木で支持する構造の道床であるバラスト軌道は未だに主流である。このバラスト軌道では、耐久性を考慮して、従来からの木製の枕木から、狂いが生じ難く寿命が長いとして、芯にピアノ線や鋼棒が入ったプレストレスト・コンクリート(PC)製の枕木に変更されるのが主流となっている。
【0003】
一方、超音波を用いてコンクリート構造物の厚さを計測する方法は提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案は、コンクリート構造物の片面に超音波発信器と超音波受信機とを設置し、発信器からコンクリート体内に超音波を送波し、コンクリート構造物の対面で反射する反射波を受信器により受波してコンクリート体の厚さを算出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−332758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、寿命が長いとされていたPC製枕木であるが、PC製枕木のレールに対向する裏面領域にクラックが入り、更には、枕木の表面の中央部にクラックが入り、50年という予定されていた耐久年数を経る遙か前に使用できなくなる場合が発生する事例が確認されている。
【0006】
表面の中央部にクラックが入ったものの殆ど全てのPC製枕木には、レールに対向する裏面領域にクラックが入っていること、また、枕木が敷設されたバラストの状況から判断するとこれらクラックの形成については次の図8に示す通りであろうと思われた。図8は枕木のクラックの形成工程を示す説明図である。a図に示す通り、レール1はPC製枕木2の両縁部に敷設されており、PC製枕木2は路盤に畝状に盛り立てたバラスト3上に埋設される。レール1には25〜45トンの重量の鉄道車両の通過によってレール1に下向きに荷重がかかる。
【0007】
b図に示す通り、鉄道車両の通過を続けると、レール1への荷重はその下の枕木2にかかり、枕木2を撓ませ、レール1に対向する枕木2の裏面に空隙4をバラスト3に形成させることになる。
【0008】
c図に示す通り、鉄道車両の通過を長期の間続けると、レール1に対向する枕木2の裏面に形成された空隙4により、空隙のない状態では枕木2の下面全体で分散していた鉄道車両の通過による荷重は空隙4の部分が分散しなくなるばかりか、空隙4の両端部分で荷重に対向する反力が生じることになり、空隙4の領域内にクラック5が発生するに至る。
【0009】
d図に示す通り、鉄道車両の通過を更に長期の間続けると、空隙4は更に大きくなり、枕木2の両端部での反力が充分ではなくなる。この場合に鉄道車両の通過による荷重によって枕木2の両端部は下方に荷重が係ることになる。枕木2自体では両端に下向きの荷重が係ることとなるため、枕木2の表面側の中央部にクラック6が発生するに至る。
【0010】
このようなクラック5,6の発生を防止するためには、枕木の再敷設工事を定期的に行わなければならず、その際に既に敷設されていた枕木を敷設しなおすのか、或いは、新たな枕木に変更するのかの判断も行わなければならない。このため、実際に敷設されている枕木について、表面にクラック6が発生したものは再敷設工事の初期の段階で判断できるが、枕木のレールに対向した裏面に発生したクラック5について、工事の前にクラックの有無が判断できる検知法が望まれていた。
【0011】
本発明は、枕木等のコンクリート製の構造物のクラック、特に裏面側に発生したクラックを表面側から判断することの可能な検知方法を得ることを目的とし、更に、クラックの有無を検知するための装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載された発明に係るコンクリート製構造物のクラック検知法は、超音波発信器をコンクリート構造物の表面に当接させ、
超音波受信器をコンクリート構造物の表面に当接させて、コンクリート構造物の裏面で反射する前記発信器の超音波の反射波を受信し、
前記超音波受信器で受信した反射波を解析して反射裏面領域にクラック発生の有無を検知することを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に記載された発明に係るコンクリート製構造物のクラック検知法は、請求項1に記載の超音波発信器が、前記コンクリート構造物の反射裏面領域に対して斜めに超音波を導入するようにコンクリート構造物の表面側に配置され、
前記超音波受信器が、斜めに導入された超音波を反射裏面領域で反射される反射波を受信可能な位置に配置されることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に記載された発明に係るコンクリート製構造物のクラック検知法は、請求項1又は2に記載のクラック発生の有無の検知が、
クラック発生のない同種のコンクリート構造物での反射裏面領域の反射波を予め計測しておき、
予め計測しておいた反射波と被検コンクリート構造物の反射波とを比較してクラックの有無を判断することを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に記載された発明に係るコンクリート製構造物のクラック検知装置は、コンクリート構造物の表面に当接させる超音波発信器と、
コンクリート構造物の表面に当接させて、前記コンクリート構造物の裏面で反射する反射波を受信する超音波受信器と、
前記超音波受信器で受信した反射波を解析して反射裏面領域にクラック発生の有無を検知する解析装置とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に記載された発明に係るコンクリート製構造物のクラック検知装置は、請求項4に記載の超音波発信器と超音波受信器とが、前記コンクリート構造物の反射裏面領域の対向表面領域を跨ぐように配されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項6に記載された発明に係るコンクリート製構造物のクラック検知装置は、請求項4又は5に記載の解析装置が、予め計測しておいたクラック発生のない同種のコンクリート構造物での反射裏面領域の反射波と、被検コンクリート構造物の反射波との波形を比較してクラックの有無を判断するものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、枕木等のコンクリート製の構造物のクラック、特に裏面側に発生したクラックを表面側から判断することが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】コンクリート製枕木のクラック検知試験の構成を示す説明図である。
【図2】図1のコンクリート製枕木のクラックの状態を示す説明図である。
【図3】図2のa図の状態で受信器に受信された反射波の波形図である。
【図4】図2のb図の状態で受信器に受信された反射波の波形図である。
【図5】図2のc図の状態で受信器に受信された反射波の波形図である。
【図6】図2のd図の状態で受信器に受信された反射波の波形図である。
【図7】コンクリート製枕木のクラック検知装置の一実施例の概要を示す説明図である。
【図8】コンクリート製枕木のクラックの形成工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明においては、超音波発信器をコンクリート構造物の表面に当接させ、超音波受信器をコンクリート構造物の表面に当接させてコンクリート構造物の裏面で反射する前記発信器の超音波の反射波を受信し、超音波受信器で受信した反射波を解析して反射裏面領域にクラック発生の有無を検知するものであるため、コンクリート製の構造物のクラック、特に裏面側に発生したクラックを表面側から判断することが可能となる。
【0021】
例えば、図8のに示す通り、25〜45トンの重量の鉄道車両の頻繁な通過によって、レールに対向する枕木の裏面に空隙が形成され、この空隙の両端部分で鉄道車両の荷重に対向する反力が生じることになり、空隙の領域内にクラックが発生する。この目視できない裏面側に発生するクラックを検知することができる。
【0022】
本発明の超音波発信器及び超音波受信器は、同一のデバイス上に搭載させてもよく、又は、各々個別のデバイスとしてもよい。しかしながら、検証する反射裏面領域に対して斜めに超音波を導入する方が圧倒的に感度が向上する。このため、超音波発信器及び超音波受信器は各々個別のデバイスとし、尚且つ、超音波発信器をコンクリート構造物の反射裏面領域に対して斜めに超音波を導入するようにコンクリート構造物の表面側に配置し、超音波受信器を斜めに導入された超音波を反射裏面領域で反射される反射波を受信可能な位置に配置するものがよい。
【0023】
例えば、被検コンクリート構造物がコンクリート製枕木であれば、レールの載置部分に対向する裏面がクラック発生の有無を検知する反射裏面領域内に含まれるため、枕木に載置されているレールを跨ぐように超音波発信器及び超音波受信器の各々のデバイスを配するように設置すればよい。
【0024】
本発明の超音波発信器の超音波は、縦波を発信するものであればよい。その周波数は20kHz〜2MHzの範囲で、好ましくは、30kHz〜1.5MHzを用いて被検コンクリート構造物の裏面で反射した反射波を超音波受信器で検出した。これは、コンクリート探査での反射波の周波数成分は100−200KHzにピークがあり、低い方は50KHzから、高い方は0.5MHzにわたって分布していることが、経験上確認されているからである。被検コンクリート構造物、特に、芯にピアノ線や鋼棒が入ったプレストレスト・コンクリート(PC)製の枕木としては、1.5MHz程度までの反射があること、枕木は薄く、反射波の周波数分布が全体的に高い方にシフトすると考えられることからも上記の範囲とした。
【0025】
そして、被検コンクリート構造物の反射裏面領域にクラックが無く、均一な裏面の状態であれば、発信器の超音波は遮られずに反射裏面領域に到達し、均一な裏面の状態であればあるほど殆ど乱反射せずに反射が行われるため、裏面を示す鋭い大きな反射波が受信器で検出されることになる。
【0026】
この反射裏面領域においてクラックが形成されると、コンクリート構造物内にクラックに起因する境界面が形成されることになり、発信器からの超音波が反射裏面領域に至る前に遮られたり、反射裏面領域で反射された反射波が遮られることとなり、裏面を示す鋭い大きな反射波の波形が小さく細かくなる。
【0027】
従って、好ましいクラック発生の有無の検知としては、クラック発生のない同種のコンクリート構造物での反射裏面領域の反射波を予め計測しておき、予め計測しておいた反射波と被検コンクリート構造物の反射波とを比較して、反射波の波形が小さく細かくなっているか否かで判断すればよい。
【0028】
具体的には、モニター上の受信器で受信した反射波を予め計測しておいた反射波と比較して、特に裏面距離に相当する反射波のピーク高さを比較することにより、作業者の判断でクラックの有無を判断してもよいが、解析手段によって、裏面距離に相当する反射波のピーク高さが予め測定しておいたモデル反射波と比較して、閾値を下回った際にクラックが有ることを機械的に判断させてもよい。
【0029】
従って、本発明のクラック検知装置は、コンクリート構造物の表面に当接させる超音波発信器と、コンクリート構造物の表面に当接させてコンクリート構造物の裏面で反射する発信器の超音波の反射波を受信する超音波受信器と、超音波受信器で受信した反射波を解析して反射裏面領域にクラック発生の有無を検知する解析装置とを備えるものである。これにより、裏面側に発生したクラックを表面側から判断することの可能な検知する装置を得ることができる。
【0030】
本発明の検知装置において、好ましい態様としては、超音波発信器がコンクリート構造物の反射裏面領域に対して斜めに超音波を導入するようにコンクリート構造物の表面側に配置され、超音波受信器が斜めに導入された超音波を反射裏面領域で反射される反射波を受信可能な位置に配置される。これにより、検証する反射裏面領域に対して斜めに超音波を導入し、この領域における超音波の反射波を受信することにより、圧倒的に感度が向上するため、クラックの発生の有無を確実に検知することができる。
【0031】
本発明の検知装置において、好ましい態様としては、解析装置が、予め計測しておいたクラック発生のない同種のコンクリート構造物での反射裏面領域の反射波と、被検コンクリート構造物の反射波との波形を比較してクラックの有無を判断するものである。具体的には、解析装置によって、裏面距離に相当する反射波のピーク高さを予め測定しておいたモデル反射波と測定した被検物の該当する反射波のピーク高さを比較して、例えば、設定された閾値を下回った際にクラックが有ることを機械的に判断等させたりすることにより、大量のコンクリート製構造物のクラックの有無を判別可能となる。
【実施例】
【0032】
実施例1.コンクリート製枕木のクラック検知試験
コンクリート製枕木のクラックの形成及びその検知を検証した。図1はコンクリート製枕木のクラック検知試験の構成を示す説明図である。図1に示す通り、プレストレスト・コンクリート(PC)製枕木11の表面にレールを載置する箇所に対向する裏面の両端部を支持するように一組の支持片12を配置した。PC製枕木11の表面のレールを載置する箇所に油圧ジャッキ13を配置し、所定の荷重をかけることとした。
【0033】
PC製枕木11の表面のレールを載置する箇所を跨ぐように、超音波発信器14と超音波受信器16とがPC製枕木11の表面に設置される。超音波発信器14の超音波の入射方向は一組の支持片12の間のレールを載置する箇所に対向する裏面18に向かう方向に調整され、超音波受信器16は裏面で反射される反射波を受信するように受信方向を裏面18に調整した。
【0034】
計測は油圧ジャッキ13でPC製枕木11に荷重を加えた状態で行った。即ち、油圧ジャッキ13でPC製枕木11に所定の荷重を加えた状態で、発信器制御手段15の制御により超音波発信器14の振動子を駆動し、超音波受信器16で裏面18で反射した反射波を受信し、解析手段を備えたモニター17で反射波を確認した。
【0035】
図2は図1のコンクリート製枕木のクラックの状態を示す説明図である。図3は図2のa図の状態で受信器に受信された反射波の波形図である。図4は図2のb図の状態で受信器に受信された反射波の波形図である。図5は図2のc図の状態で受信器に受信された反射波の波形図である。図6は図2のd図の状態で受信器に受信された反射波の波形図である。図3〜図6において、破線は受信器で計測されたオリジナルの反射波であり、実線はオリジナルの反射波にフィルタをかけたものである。
【0036】
このフィルターは、波線のオリジナルデータを強調して表示するためのアナログフィルターであり、本実施例ではコンクリートの反射成分に絞った設定を行った。詳しくは、400MHz以上の区域成分をカットし、50MHz以下の低域成分をカットした。尚、フィルターの中心検出周波数は200MHzに設定した。
【0037】
図3は、油圧ジャッキ13で1000kgの荷重を加えた状態で、発信器制御手段15の超音波の反射波を超音波受信器16で受信し、解析手段を備えたモニター17で反射波を確認したものである。図2のa図に示す通り、PC製枕木の裏面18にクラックの形成はなく、図3に示した通り、計測された反射波は鋭いピークを示しており、破線で示した反射波で最も鋭いピークのものの路程は189mmあった。この路程は実際のPC製枕木の厚さ187mmとよく一致していた。
【0038】
図4は、図3に引き続き、油圧ジャッキ13で16000kgの荷重を加えた状態で、発信器制御手段15の超音波の反射波を超音波受信器16で受信し、解析手段を備えたモニター17で反射波を確認したものである。図2のb図に示す通り、PC製枕木の裏面18の略中央部に1つのクラック21が確認された。図4に示した通り、計測された反射波は鋭いピークが示されているものの、図3と比較するとピーク自体が小さく、少なくなっていた。破線で示した反射波で最も鋭いピークのものの路程は192mmであった。この路程は実際のPC製枕木の厚さよりも若干大きくなっていた。
【0039】
図5は、図4に引き続き、油圧ジャッキ13で20000kgの荷重を加えた状態で、発信器制御手段15の超音波の反射波を超音波受信器16で受信し、解析手段を備えたモニター17で反射波を確認したものである。図2のc図に示す通り、PC製枕木の裏面18の略中央部のクラック21の他に、一方の支持片12の近くに別のクラック22が確認された。図5に示した通り、計測された反射波は更に小さく、少なくなっていた。破線で示した反射波で最も鋭いピークのものの路程は191mmであった。この路程は実際のPC製枕木の厚さよりも大きくなっていた。
【0040】
図6は、図5に引き続き、油圧ジャッキ13で22000kgの荷重を加えた状態で、発信器制御手段15の超音波の反射波を超音波受信器16で受信し、解析手段を備えたモニター17で反射波を確認したものである。図2のd図に示す通り、PC製枕木の裏面18の略中央部のクラック21及び別のクラック22の他に、他方の支持片12の近くに更に別のクラック23が確認された。図6に示した通り、計測された反射波は更に更に小さく平坦になっていた。破線で示した反射波で最も鋭いピークのものの路程は370mmであった。この路程は実際のPC製枕木の厚さよりも更に大きくなっていた。
【0041】
以上のように、クラックが形成されるに従い、多数あった鋭いピークの反射波が小さく細かくなり、更には平坦となることが確認された。これは、クラックによって入射された超音波や反射波が遮られたり、乱反射するためであることが推認された。
【0042】
実施例2.コンクリート製枕木のクラック検知装置
実施例1の結果を踏まえて、コンクリート製枕木のクラック検知装置を提案する。図7はコンクリート製枕木のクラック検知装置の一実施例の概要を示す説明図である。a図に示す通り、本実施例のクラック検知装置70は、超音波発信器74と超音波受信器76とがレール底部の幅以上の15cm以上の間隔で保持するように横木フレーム71で保持されている。横木フレームの中央部にはグリップ72が設置されている。
【0043】
超音波発信器74は円筒状の発信器シャフト73の下端部に複数のクリップ77で固定されている。クリップ77をシャフト73に固定するリング部材78からは、発信器74を駆動するためのケーブル79が導出され、図示しない発信器制御手段に導通されている。
【0044】
同じく超音波受信器76は円筒状の受信器シャフト75の下端部に複数のクリップ77で固定されている。クリップ77をシャフト75に固定するリング部材78からは、受信器75で受信した反射波の信号を伝達するためのケーブル79が導出され、図示しない表示装置や解析装置に反射波の信号を伝達する。b図に示す通り、クリップ77は後端部に配されたバネで先端部が常にシャフト側壁方向に付勢されており、この先端部で発信器74及び受信器76を固定している。
【0045】
シャフト73,75の各々の上部には、横木フレーム71の各々の端部が貫通する貫通孔80が各々貫通されており、シャフト73,75を横木フレーム71に沿って移動させることができる。尚、横木フレーム71の両端には各々、エンドキャップ81が装着され、各々のシャフト73,75が横木フレーム71から脱落することを防止している。また、横木フレーム71の両端部には各々目盛82が記載されており、横木フレーム71の中央部からの距離が計測できるようになっている。
【0046】
c図に示す通り、各々のシャフトの上端にはキャップ83が固着されており、シャフト73,75内に配されたピストン84をキャップ83で端部を押さえるバネ85で横木フレーム71を押圧する。これにより、各々のシャフト73,75の横木フレーム71に沿った移動が抑制され、不用意に移動することが防止される。
【符号の説明】
【0047】
11…プレストレスト・コンクリート(PC)製枕木、
12…支持片、
13…油圧ジャッキ、
14…超音波発信器、
15…発信器制御手段、
16…超音波受信器、
17…モニター、
18…裏面、
21…クラック、
22…クラック、
23…クラック、
70…クラック検知装置、
71…横木フレーム、
72…グリップ、
73…発信器シャフト、
74…超音波発信器、
75…受信器シャフト、
76…超音波受信器、
77…クリップ、
78…リング部材、
79…ケーブル、
80…貫通孔、
81…エンドキャップ、
82…目盛、
83…キャップ、
84…ピストン、
85…バネ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波発信器をコンクリート構造物の表面に当接させ、
超音波受信器をコンクリート構造物の表面に当接させて、コンクリート構造物の裏面で反射する前記発信器の超音波の反射波を受信し、
前記超音波受信器で受信した反射波を解析して反射裏面領域にクラック発生の有無を検知することを特徴とするコンクリート製構造物のクラック検知法。
【請求項2】
前記超音波発信器が、前記コンクリート構造物の反射裏面領域に対して斜めに超音波を導入するようにコンクリート構造物の表面側に配置され、
前記超音波受信器が、斜めに導入された超音波を反射裏面領域で反射される反射波を受信可能な位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート製構造物のクラック検知法。
【請求項3】
前記クラック発生の有無の検知が、
クラック発生のない同種のコンクリート構造物での反射裏面領域の反射波を予め計測しておき、
予め計測しておいた反射波と被検コンクリート構造物の反射波とを比較してクラックの有無を判断することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート製構造物のクラック検知法。
【請求項4】
コンクリート構造物の表面に当接させる超音波発信器と、
コンクリート構造物の表面に当接させて、前記コンクリート構造物の裏面で反射する前記発信器の超音波の反射波を受信する超音波受信器と、
前記超音波受信器で受信した反射波を解析して反射裏面領域にクラック発生の有無を検知する解析装置とを備えたことを特徴とするコンクリート製構造物のクラック検知装置。
【請求項5】
前記超音波発信器が、前記コンクリート構造物の反射裏面領域に対して斜めに超音波を導入するようにコンクリート構造物の表面側に配置され、
前記超音波受信器が、斜めに導入された超音波を反射裏面領域で反射される反射波を受信可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のコンクリート製構造物のクラック検知装置。
【請求項6】
前記解析装置が、予め計測しておいたクラック発生のない同種のコンクリート構造物での反射裏面領域の反射波と、被検コンクリート構造物の反射波との波形を比較してクラックの有無を判断するものであることを特徴とする請求項4又は5に記載のコンクリート製構造物のクラック検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88305(P2013−88305A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229713(P2011−229713)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(511238929)
【Fターム(参考)】