コンクリート製節杭
【課題】簡易な構造で新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部に強いひび割れに対する耐力を備えるコンクリート製節杭を提供すること。
【解決手段】節状の突出部１を備えた複数の節部２を軸方向に有し、軸部３の内部に主筋４及びフープ筋５を配設するとともに、各節部２の主筋４の内周に、周方向に円環状の複数本の鉄筋６を配設する。
【解決手段】節状の突出部１を備えた複数の節部２を軸方向に有し、軸部３の内部に主筋４及びフープ筋５を配設するとともに、各節部２の主筋４の内周に、周方向に円環状の複数本の鉄筋６を配設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、コンクリート製節杭に関し、特に、簡易な構造で新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部に強いひび割れに対する耐力を備えるコンクリート製節杭に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
既製杭としては、通常のコンクリートパイルや鋼管パイル、鋼管コンクリート複合パイル等の円筒状の既製杭のほかに、水平耐力よりむしろ周面支持力に優れたコンクリート製節杭等の摩擦杭がある。
コンクリート製節杭は、一般に、軸部に節部を設けるとともに、主筋及びフープ筋を配設した中空プレストレストコンクリート製のものが多く使用されている。
【０００３】
ところで、上記従来のコンクリート製節杭においては、節部の補強が難しいことから、支持構造物から過大な圧縮力を受けた場合に、節部付け根に圧縮応力が集中し、節部外周に引張応力が生じることにより、節部付け根部での圧縮破壊や節部外周部での引張破壊が原因で、節部の破壊があるという問題があった。
そこで、本件出願人による下記特許文献１のコンクリート製節杭では、節部主筋の外周を補強することを提案している。これにより、支持構造物から過大な圧縮力を受けた場合、一旦節部主筋の外周に向かうが、拘束されているため、応力は節部主筋より内周に向かうこととなる。
具体的には、節部主筋の外周の節部内に、周方向の鉄筋又は円環状の補強体等を配設して補強した場合では、過大な圧縮力に対して、節部表面で生じた縦の亀裂が、破壊の進行とともに、節部内部まで到達し、最終的には軸部付近の内周部まで到達する。その結果、節部外周部と内周部に引張破壊が起こる。
また、節部外周に取り付けた円環状の補強体を配設した場合では、縦の亀裂を抑止し節部での破壊を抑制したため、最終的に節部付け根の外周部から近傍の軸部にかけて圧縮破壊が起こる。
【０００４】
【特許文献１】特開平２００４−６０４３５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、上記従来のコンクリート製節杭が有する問題点に鑑み、簡易な構造で新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部に強いひび割れに対する耐力を備えるコンクリート製節杭を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するため、本第１発明のコンクリート製節杭は、節部を有し、杭本体の内部に主筋を配設した節杭において、節部の主筋の内周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設したことを特徴とする。
【０００７】
この場合において、節部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設することができる。
【０００８】
また、同じ目的を達成するため、本第２発明のコンクリート製節杭は、節部を有し、杭本体の内部に主筋を配設した節杭において、節部近傍の軸部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設したことを特徴とする。
【０００９】
この場合において、節部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設することができる。
【発明の効果】
【００１０】
本第１発明のコンクリート製節杭によれば、節部を有し、杭本体の内部に主筋を配設した節杭において、節部の主筋の内周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設することから、節部の膨張を内側から拘束することができ、これにより、新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部にひび割れに対する強い耐力を与えることができる。
【００１１】
この場合、節部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設することにより、節部の膨張を内外両側から拘束することができ、節部にひび割れに対する強い耐力をより強固に与えることができる。
【００１２】
また、本第２発明のコンクリート製節杭によれば、節部を有し、杭本体の内部に主筋を配設した節杭において、節部近傍の軸部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設することから、節部近傍の軸部を外側から拘束することができ、これにより、新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部にひび割れに対する強い耐力を与えることができる。
【００１３】
この場合、節部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設することにより、節部の膨張を拘束することができ、節部にひび割れに対する強い耐力を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、本発明のコンクリート製節杭の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例１】
【００１５】
図１に、本発明のコンクリート製節杭の第１実施例を示す。
このコンクリート製節杭は、節状の突出部１を備えた複数の節部２を軸方向に有し、軸部３の内部に主筋４及びフープ筋５を配設した構造を有している。
そして、このコンクリート製節杭は、各節部２の主筋４の内周に、周方向に円環状の複数本の鉄筋（又は螺旋状の鉄筋）６を配設するようにしている。
主筋の内周の鉄筋６と外周のフープ筋５は、主筋４を境に対称の位置となるように配設されており、これにより、拘束力を大きくしている。
【００１６】
この場合、軸部３に配設された主筋４は、フープ筋５と接合することによりかご状に形成した鋼棒からなり、コンクリート製節杭の全長に亘って軸部３のコンクリート内に配設するようにしている。
また、主筋４内周の周方向の鉄筋６は、主筋４に溶接により接合されている。
なお、コンクリート製節杭は、主筋４にプレテンションを付加したプレストレストコンクリート構造とすることもできる。
【実施例２】
【００１７】
図２に、本発明のコンクリート製節杭の第２実施例を示す。
このコンクリート製節杭は、節状の突出部１を備えた複数の節部２を軸方向に有し、軸部３の内部に主筋４及びフープ筋５を配設した構造を有している。
そして、このコンクリート製節杭は、各節部２の主筋４の外周に、周方向の複数の帯筋８を配設するとともに、節部２の主筋４の内周に、周方向の帯筋７を配設している。
【００１８】
内外周の帯筋７、８は、無端の円環状に形成された帯状の鉄筋からなり、本実施例では、各節部２において、３本ずつの帯筋７、８が節部２の中央部と上下の立ち上がり部とにそれぞれ配設するようにしている。
これらの帯筋７、８は、コンクリート製節杭のすべての節部２に配設することも可能であるが、必要な特定の節部２、例えば、クラックや節部外周の引張応力による主筋４の座屈の発生しやすい杭両端より２〜３個の節部２にのみ配設することもでき、また、各節部２当たりの配設本数は、１本乃至複数本とすることができる。
なお、帯筋７、８は、本実施例では、主筋４に溶接等により固定した状態で配設しているが、主筋に沿わせることもできるし、主筋４から離した状態で配設することもできる。
また、帯筋７、８に所定の間隔をあけて複数の透孔（図示省略）を形成することにより、コンクリートとの緊密な一体化を図ることもできる。
そして、このように、節部２の主筋４の内外周に、周方向の帯筋７、８を配設することにより、節部２の膨張を拘束することができ、これにより、簡易な構造で節部を補強し、節部２におけるクラックの発生を効果的に防止するとともに、節部外周の引張応力による主筋４の座屈を防止することができる。
【００１９】
ところで、図２（ａ）に記載した実施例においては、外周の帯筋８と内周の帯筋７を、節部２の中央部と上下の立ち上がり部とにそれぞれ配設するようにしているが、これに限定されず、図２（ｂ）に示す変形例のように、外周の帯筋８を、節部２の中央部のみに配設するとともに、その上下に内周の帯筋７を配設することもできる。
また、図２（ｃ）に示す変形例のように、外周の帯筋８を、上下の立ち上がり部のみに配設するとともに、その中間に内周の帯筋７を配設することもできる。
【実施例３】
【００２０】
図３〜図４に、本発明のコンクリート製節杭の第３実施例を示す。
第１〜２実施例においては、内外周の帯筋７、８は、主筋４に密着して配設するようにしたが、固定したり、沿わせる等、配設状態はこれに限定されず、図３（ａ）に示すように、主筋４の内周と外周にそれぞれ間隔をあけて配設するようにしたり、図４（ａ）に示すように、内周の帯筋７を、その内面が杭の中空部に露出するように配設したりすることができる。
さらに、図３（ｂ）に示すように、内周の帯筋７を主筋４に接合して、外周の帯筋８を節部２内に配設したり、図４（ｂ）〜（ｃ）に示すように、外周の帯筋８を主筋４に接合するとともに、内周の帯筋７を、その内面が杭の中空部に露出するように配設することもできる。
【００２１】
また、図３（ｃ）に示すように、節部２の外形状に近似した形状で、かつ、端部を節部２の付け根より長く形成した鉄筋５を、この鉄筋５の突出部が節部２内に節部２の外形状に沿って位置するように配設するとともに、主筋の内側に内周の帯筋７を配設することもできる。これにより、節部２全体を拘束して引張破壊を防止することができる。
このように、主筋の内周と外周で、帯筋と鉄筋を組み合わせることも可能であり、鉄筋５としては、丸形鉄筋や角筋等を適宜用いることができる。
また、帯筋７、８は、円環状のほか、一部切り欠いたＣ形状や螺旋形状とすることもできる。
【００２２】
かくして、上記第１〜３実施例のコンクリート製節杭によれば、節部２を有し、杭本体の内部に主筋４を配設した節杭において、節部２の主筋４の内周に、周方向の鉄筋６又は帯筋７を配設することから、節部２の膨張を内側から拘束することができ、これにより、新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部２にひび割れに対する強い耐力を与えることができる。
そして、節部２の主筋４の外周に、周方向の鉄筋５又は帯筋８を配設することにより、節部２の膨張を内外両側から拘束することができ、節部２にひび割れに対する強い耐力をより強固に与えることができる。
【実施例４】
【００２３】
次に、図５〜図６に、本発明のコンクリート製節杭の第４実施例を示す。
このコンクリート製節杭は、節状の突出部１を備えた複数の節部２を軸方向に有し、軸部３の内部に主筋４及びフープ筋５を配設した構造を有している。
そして、このコンクリート製節杭は、図５（ａ）に示すように、各節部２近傍の軸部３の主筋４の外周に、円環状の周方向の帯筋９を配設している。
帯筋９は、その外面が杭の外面に露出するように配設されているが、主筋４の外側に接するようにしたり溶接することもできる。
【００２４】
また、主筋外周の帯筋９は、図６に示すように、軸部３から突出するように配設することも可能であり、また、節部２において、主筋４の内周や外周に帯筋７、８を併設することもできる。
この場合、節部４の主筋外周の帯筋８は、図５（ｂ）に示すように、節部４から突出するように配設することも可能である。
【００２５】
なお、帯筋の代わりに鉄筋を用いることも可能であり、鉄筋としては、丸形鉄筋や角筋等を適宜用いることができる。
また、帯筋は、円環状のほか、一部切り欠いたＣ形状や螺旋形状とすることもできる。
【００２６】
かくして、本実施例のコンクリート製節杭は、節部２を有し、杭本体の内部に主筋４を配設した節杭において、節部近傍の軸部３の主筋４の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋９を配設することから、節部近傍の軸部３を外側から拘束することができ、これにより、節部２の付け根の縦割れを抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部２にひび割れに対する強い耐力を与えることができる。
そして、節部２の主筋４の内外周に、周方向の鉄筋又は帯筋７、８を配設することにより、節部２の膨張を内外両側から拘束することができ、節部２にひび割れに対する強い耐力を与えることができる。
【００２７】
以上、本発明のコンクリート製節杭について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【００２８】
本発明のコンクリート製節杭は、簡易な構造で新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部に強いひび割れに対する耐力を備えるという特性を有していることから、例えば、高荷重を担持するコンクリート製節杭の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２９】
【図１】本発明のコンクリート製節杭の第１実施例を示す部分断面図である。
【図２】同第２実施例を示し、（ａ）は部分断面図、（ｂ）〜（ｃ）は第２実施例の変形例の要部の断面図である。
【図３】同第３実施例を示し、（ａ）は部分断面図、（ｂ）〜（ｃ）は第３実施例の変形例の要部の断面図である。
【図４】第３実施例の変形例を示し、（ａ）は部分断面図、（ｂ）〜（ｃ）は他の変形例の要部の断面図である。
【図５】同第４実施例を示し、（ａ）は部分断面図、（ｂ）は第４実施例の変形例の要部の断面図である。
【図６】第４実施例の変形例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【００３０】
１ 突出部
２ 節部
３ 軸部
４ 主筋
５ 鉄筋
６ 内周の鉄筋
７ 内周の帯筋
８ 外周の帯筋
９ 軸部外周の帯筋
【技術分野】
【０００１】
本発明は、コンクリート製節杭に関し、特に、簡易な構造で新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部に強いひび割れに対する耐力を備えるコンクリート製節杭に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
既製杭としては、通常のコンクリートパイルや鋼管パイル、鋼管コンクリート複合パイル等の円筒状の既製杭のほかに、水平耐力よりむしろ周面支持力に優れたコンクリート製節杭等の摩擦杭がある。
コンクリート製節杭は、一般に、軸部に節部を設けるとともに、主筋及びフープ筋を配設した中空プレストレストコンクリート製のものが多く使用されている。
【０００３】
ところで、上記従来のコンクリート製節杭においては、節部の補強が難しいことから、支持構造物から過大な圧縮力を受けた場合に、節部付け根に圧縮応力が集中し、節部外周に引張応力が生じることにより、節部付け根部での圧縮破壊や節部外周部での引張破壊が原因で、節部の破壊があるという問題があった。
そこで、本件出願人による下記特許文献１のコンクリート製節杭では、節部主筋の外周を補強することを提案している。これにより、支持構造物から過大な圧縮力を受けた場合、一旦節部主筋の外周に向かうが、拘束されているため、応力は節部主筋より内周に向かうこととなる。
具体的には、節部主筋の外周の節部内に、周方向の鉄筋又は円環状の補強体等を配設して補強した場合では、過大な圧縮力に対して、節部表面で生じた縦の亀裂が、破壊の進行とともに、節部内部まで到達し、最終的には軸部付近の内周部まで到達する。その結果、節部外周部と内周部に引張破壊が起こる。
また、節部外周に取り付けた円環状の補強体を配設した場合では、縦の亀裂を抑止し節部での破壊を抑制したため、最終的に節部付け根の外周部から近傍の軸部にかけて圧縮破壊が起こる。
【０００４】
【特許文献１】特開平２００４−６０４３５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、上記従来のコンクリート製節杭が有する問題点に鑑み、簡易な構造で新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部に強いひび割れに対する耐力を備えるコンクリート製節杭を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するため、本第１発明のコンクリート製節杭は、節部を有し、杭本体の内部に主筋を配設した節杭において、節部の主筋の内周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設したことを特徴とする。
【０００７】
この場合において、節部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設することができる。
【０００８】
また、同じ目的を達成するため、本第２発明のコンクリート製節杭は、節部を有し、杭本体の内部に主筋を配設した節杭において、節部近傍の軸部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設したことを特徴とする。
【０００９】
この場合において、節部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設することができる。
【発明の効果】
【００１０】
本第１発明のコンクリート製節杭によれば、節部を有し、杭本体の内部に主筋を配設した節杭において、節部の主筋の内周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設することから、節部の膨張を内側から拘束することができ、これにより、新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部にひび割れに対する強い耐力を与えることができる。
【００１１】
この場合、節部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設することにより、節部の膨張を内外両側から拘束することができ、節部にひび割れに対する強い耐力をより強固に与えることができる。
【００１２】
また、本第２発明のコンクリート製節杭によれば、節部を有し、杭本体の内部に主筋を配設した節杭において、節部近傍の軸部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設することから、節部近傍の軸部を外側から拘束することができ、これにより、新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部にひび割れに対する強い耐力を与えることができる。
【００１３】
この場合、節部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設することにより、節部の膨張を拘束することができ、節部にひび割れに対する強い耐力を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、本発明のコンクリート製節杭の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例１】
【００１５】
図１に、本発明のコンクリート製節杭の第１実施例を示す。
このコンクリート製節杭は、節状の突出部１を備えた複数の節部２を軸方向に有し、軸部３の内部に主筋４及びフープ筋５を配設した構造を有している。
そして、このコンクリート製節杭は、各節部２の主筋４の内周に、周方向に円環状の複数本の鉄筋（又は螺旋状の鉄筋）６を配設するようにしている。
主筋の内周の鉄筋６と外周のフープ筋５は、主筋４を境に対称の位置となるように配設されており、これにより、拘束力を大きくしている。
【００１６】
この場合、軸部３に配設された主筋４は、フープ筋５と接合することによりかご状に形成した鋼棒からなり、コンクリート製節杭の全長に亘って軸部３のコンクリート内に配設するようにしている。
また、主筋４内周の周方向の鉄筋６は、主筋４に溶接により接合されている。
なお、コンクリート製節杭は、主筋４にプレテンションを付加したプレストレストコンクリート構造とすることもできる。
【実施例２】
【００１７】
図２に、本発明のコンクリート製節杭の第２実施例を示す。
このコンクリート製節杭は、節状の突出部１を備えた複数の節部２を軸方向に有し、軸部３の内部に主筋４及びフープ筋５を配設した構造を有している。
そして、このコンクリート製節杭は、各節部２の主筋４の外周に、周方向の複数の帯筋８を配設するとともに、節部２の主筋４の内周に、周方向の帯筋７を配設している。
【００１８】
内外周の帯筋７、８は、無端の円環状に形成された帯状の鉄筋からなり、本実施例では、各節部２において、３本ずつの帯筋７、８が節部２の中央部と上下の立ち上がり部とにそれぞれ配設するようにしている。
これらの帯筋７、８は、コンクリート製節杭のすべての節部２に配設することも可能であるが、必要な特定の節部２、例えば、クラックや節部外周の引張応力による主筋４の座屈の発生しやすい杭両端より２〜３個の節部２にのみ配設することもでき、また、各節部２当たりの配設本数は、１本乃至複数本とすることができる。
なお、帯筋７、８は、本実施例では、主筋４に溶接等により固定した状態で配設しているが、主筋に沿わせることもできるし、主筋４から離した状態で配設することもできる。
また、帯筋７、８に所定の間隔をあけて複数の透孔（図示省略）を形成することにより、コンクリートとの緊密な一体化を図ることもできる。
そして、このように、節部２の主筋４の内外周に、周方向の帯筋７、８を配設することにより、節部２の膨張を拘束することができ、これにより、簡易な構造で節部を補強し、節部２におけるクラックの発生を効果的に防止するとともに、節部外周の引張応力による主筋４の座屈を防止することができる。
【００１９】
ところで、図２（ａ）に記載した実施例においては、外周の帯筋８と内周の帯筋７を、節部２の中央部と上下の立ち上がり部とにそれぞれ配設するようにしているが、これに限定されず、図２（ｂ）に示す変形例のように、外周の帯筋８を、節部２の中央部のみに配設するとともに、その上下に内周の帯筋７を配設することもできる。
また、図２（ｃ）に示す変形例のように、外周の帯筋８を、上下の立ち上がり部のみに配設するとともに、その中間に内周の帯筋７を配設することもできる。
【実施例３】
【００２０】
図３〜図４に、本発明のコンクリート製節杭の第３実施例を示す。
第１〜２実施例においては、内外周の帯筋７、８は、主筋４に密着して配設するようにしたが、固定したり、沿わせる等、配設状態はこれに限定されず、図３（ａ）に示すように、主筋４の内周と外周にそれぞれ間隔をあけて配設するようにしたり、図４（ａ）に示すように、内周の帯筋７を、その内面が杭の中空部に露出するように配設したりすることができる。
さらに、図３（ｂ）に示すように、内周の帯筋７を主筋４に接合して、外周の帯筋８を節部２内に配設したり、図４（ｂ）〜（ｃ）に示すように、外周の帯筋８を主筋４に接合するとともに、内周の帯筋７を、その内面が杭の中空部に露出するように配設することもできる。
【００２１】
また、図３（ｃ）に示すように、節部２の外形状に近似した形状で、かつ、端部を節部２の付け根より長く形成した鉄筋５を、この鉄筋５の突出部が節部２内に節部２の外形状に沿って位置するように配設するとともに、主筋の内側に内周の帯筋７を配設することもできる。これにより、節部２全体を拘束して引張破壊を防止することができる。
このように、主筋の内周と外周で、帯筋と鉄筋を組み合わせることも可能であり、鉄筋５としては、丸形鉄筋や角筋等を適宜用いることができる。
また、帯筋７、８は、円環状のほか、一部切り欠いたＣ形状や螺旋形状とすることもできる。
【００２２】
かくして、上記第１〜３実施例のコンクリート製節杭によれば、節部２を有し、杭本体の内部に主筋４を配設した節杭において、節部２の主筋４の内周に、周方向の鉄筋６又は帯筋７を配設することから、節部２の膨張を内側から拘束することができ、これにより、新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部２にひび割れに対する強い耐力を与えることができる。
そして、節部２の主筋４の外周に、周方向の鉄筋５又は帯筋８を配設することにより、節部２の膨張を内外両側から拘束することができ、節部２にひび割れに対する強い耐力をより強固に与えることができる。
【実施例４】
【００２３】
次に、図５〜図６に、本発明のコンクリート製節杭の第４実施例を示す。
このコンクリート製節杭は、節状の突出部１を備えた複数の節部２を軸方向に有し、軸部３の内部に主筋４及びフープ筋５を配設した構造を有している。
そして、このコンクリート製節杭は、図５（ａ）に示すように、各節部２近傍の軸部３の主筋４の外周に、円環状の周方向の帯筋９を配設している。
帯筋９は、その外面が杭の外面に露出するように配設されているが、主筋４の外側に接するようにしたり溶接することもできる。
【００２４】
また、主筋外周の帯筋９は、図６に示すように、軸部３から突出するように配設することも可能であり、また、節部２において、主筋４の内周や外周に帯筋７、８を併設することもできる。
この場合、節部４の主筋外周の帯筋８は、図５（ｂ）に示すように、節部４から突出するように配設することも可能である。
【００２５】
なお、帯筋の代わりに鉄筋を用いることも可能であり、鉄筋としては、丸形鉄筋や角筋等を適宜用いることができる。
また、帯筋は、円環状のほか、一部切り欠いたＣ形状や螺旋形状とすることもできる。
【００２６】
かくして、本実施例のコンクリート製節杭は、節部２を有し、杭本体の内部に主筋４を配設した節杭において、節部近傍の軸部３の主筋４の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋９を配設することから、節部近傍の軸部３を外側から拘束することができ、これにより、節部２の付け根の縦割れを抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部２にひび割れに対する強い耐力を与えることができる。
そして、節部２の主筋４の内外周に、周方向の鉄筋又は帯筋７、８を配設することにより、節部２の膨張を内外両側から拘束することができ、節部２にひび割れに対する強い耐力を与えることができる。
【００２７】
以上、本発明のコンクリート製節杭について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【００２８】
本発明のコンクリート製節杭は、簡易な構造で新たな破壊過程を抑制し、コンクリート製節杭として過大な圧縮力に対しても必要な支持耐力を備えて性能を保証するとともに、節部に強いひび割れに対する耐力を備えるという特性を有していることから、例えば、高荷重を担持するコンクリート製節杭の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【００２９】
【図１】本発明のコンクリート製節杭の第１実施例を示す部分断面図である。
【図２】同第２実施例を示し、（ａ）は部分断面図、（ｂ）〜（ｃ）は第２実施例の変形例の要部の断面図である。
【図３】同第３実施例を示し、（ａ）は部分断面図、（ｂ）〜（ｃ）は第３実施例の変形例の要部の断面図である。
【図４】第３実施例の変形例を示し、（ａ）は部分断面図、（ｂ）〜（ｃ）は他の変形例の要部の断面図である。
【図５】同第４実施例を示し、（ａ）は部分断面図、（ｂ）は第４実施例の変形例の要部の断面図である。
【図６】第４実施例の変形例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【００３０】
１ 突出部
２ 節部
３ 軸部
４ 主筋
５ 鉄筋
６ 内周の鉄筋
７ 内周の帯筋
８ 外周の帯筋
９ 軸部外周の帯筋
【特許請求の範囲】
【請求項１】
節部を有し、杭本体の内部に主筋を配設した節杭において、節部の主筋の内周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設したことを特徴とするコンクリート製節杭。
【請求項２】
節部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設したことを特徴とする請求項１記載のコンクリート製節杭。
【請求項３】
節部を有し、杭本体の内部に主筋を配設した節杭において、節部近傍の軸部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設したことを特徴とするコンクリート製節杭。
【請求項４】
節部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設したことを特徴とする請求項３記載のコンクリート製節杭。
【請求項１】
節部を有し、杭本体の内部に主筋を配設した節杭において、節部の主筋の内周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設したことを特徴とするコンクリート製節杭。
【請求項２】
節部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設したことを特徴とする請求項１記載のコンクリート製節杭。
【請求項３】
節部を有し、杭本体の内部に主筋を配設した節杭において、節部近傍の軸部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設したことを特徴とするコンクリート製節杭。
【請求項４】
節部の主筋の外周に、周方向の鉄筋又は帯筋を配設したことを特徴とする請求項３記載のコンクリート製節杭。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００６−２８９９０（Ｐ２００６−２８９９０Ａ）
【公開日】平成１８年２月２日（２００６．２．２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−２１２６５２（Ｐ２００４−２１２６５２）
【出願日】平成１６年７月２１日（２００４．７．２１）
【出願人】（０００１５４４４０）株式会社ジオトップ (28)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年２月２日（２００６．２．２）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年７月２１日（２００４．７．２１）
【出願人】（０００１５４４４０）株式会社ジオトップ (28)
【Ｆターム（参考）】
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