説明

コンセント、並びに、コンセント及びコンセントプラグ

【課題】誤結線或いは誤接続による直流機器への悪影響を防止すること。
【解決手段】コンセントプラグ10の複数極の栓刃11,12が接続される複数極の栓刃受部2,3に対して直流電源の複数本の直流給電線Wdc1,Wdc2をそれぞれ結線して、コンセントプラグ10に対して所定電圧の直流電源を供給する構成において、複数極の栓刃受部2,3に対して直流電源の複数本の直流給電線Wdc1,Wdc2が適切な極性で結線されているか否かを検知するための結線検知手段4を備えたコンセント1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセント、並びに、コンセント及びコンセントプラグに関し、詳しくはコンセントプラグの複数極の栓刃をコンセントの複数極の栓刃受部に接続して、コンセントプラグに対して所定電圧の直流電源を供給するようにしたコンセント、並びに、コンセント及びコンセントプラグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、直流機器には極性があるため、直流電源に接続される場合に、+,−の極性を間違えないように注意する必要がある。
【0003】
そこで、従来より、栓刃受部の形態を既存のものと異ならせることで誤接続を防止する方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、コンセント内部において直流電源からの2本の直流給電線をコンセントの2極の栓刃受部に各々接続される各端子部に結線する際に、誤結線により極性が逆になる可能性があり、このような誤結線が原因で、直流機器に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
さらにコンセントプラグをコンセントに接続する際に、コンセントの極性を持つ栓刃受部が極性の区別ができない形状の場合には、コンセントプラグが逆の極性で誤接続されてしまう可能性があり、このような誤接続が原因で直流機器に悪影響を及ぼすという問題もある。
【特許文献1】特開2004−31088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、複数本の直流給電線とコンセントの複数極の栓刃受部とが誤った極性で誤結線された場合はこれを検知して、誤結線による直流機器への悪影響を防止できるようにしたコンセントを提供することを課題とし、さらに、コンセントの極性を持つ栓刃受部に対してコンセントプラグを誤った極性で接続した場合にはこれを検知して、誤接続による直流機器への悪影響を防止できるようにしたコンセント及びコンセントプラグを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、コンセントプラグ10の複数極の栓刃11,12が接続される複数極の栓刃受部2,3に対して複数本の直流給電線Wdc1,Wdc2をそれぞれ結線して、コンセントプラグ10に対して所定電圧の直流電源を供給するようにしたコンセントであって、上記複数極の栓刃受部2,3に対して複数本の直流給電線Wdc1,Wdc2が適切な極性で結線されているか否かを検知するための結線検知手段4を設けたことを特徴としている。
【0008】
このような構成とすることで、極性を持つ栓刃受部2,3に対して直流給電線Wdc1,Wdc2の誤結線により極性が逆になった場合であっても、結線検知手段4によって誤結線を検知できるので、誤結線の確認が容易となる。
【0009】
また、上記結線検知手段4により誤結線が検知された場合にこれを報知するための報知手段5を設けるのが好ましく、この場合、誤結線を検出してただちに作業者に知らせることで、誤結線をより確実に確認できる。
【0010】
また、上記結線検知手段4により誤結線が検知されない場合のみ、コンセントプラグ10に対して電力供給を行なうように制御する電力供給制御部6を設けるのが好ましく、この場合、誤結線のときは電力供給制御部6が電力供給を停止するので、誤結線に気づかずにコンセントプラグ10を接続した場合でも、直流機器102に悪影響を及ぼすことを確実に防止できる。
【0011】
さらに本発明は、コンセントプラグ10の複数極の栓刃11,12をコンセント1の複数極の栓刃受部2,3に接続して、コンセント1からコンセントプラグ10に対して所定電圧の直流電源を供給するようにしたコンセント及びコンセントプラグであって、コンセントプラグ10の複数極の栓刃11,12がコンセント1の極性を持つ栓刃受部2,3に対して適切な極性で接続されているか否かを検知するための接続検知手段7を設けたことを特徴としている。
【0012】
このような構成とすることで、ユーザー使用時にコンセント1の極性を持つ栓刃受部2,3に対してコンセントプラグ10が誤った極性で接続された場合は、接続検知手段7によって誤接続を検知できるので、誤接続の確認が容易となる。
【0013】
ここで、上記接続検知手段7は、コンセントプラグ10とコンセント1との対向する面に、それぞれ、N極、S極の磁石8a,8bを設けて、コンセントプラグ10の栓刃11,12がコンセント1の栓刃受部2,3に対して適切な極性で接続された場合のみ対向する各々の磁石8a,8bが互いに引き合うように配置された磁石装置8を備えるのが好ましく、この場合、正しい極性でコンセントプラグ10がコンセント1に接続されたときは、対向する各々の磁石8a,8bが互いに引き合うようになるが仮にコンセントプラグ10が誤った極性でコンセント1に接続された場合は、対向する各々の磁石8a,8bが引き合った状態とならず、磁石8a,8bを用いた簡易な構造で、接続検知手段7を構成できる。
【0014】
また、上記接続検知手段7によりコンセントプラグ10とコンセント1との誤接続が検知されない場合のみ、コンセントプラグ10に対して電力供給を行なうように制御する電力供給制御部9を設けるのが好ましく、この場合、誤接続のときは電力供給制御部6が電力供給を行なわないので、直流機器102に悪影響を及ぼすことを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1のコンセントは、コンセントの極性を持つ栓刃受部に対して複数本の直流給電線が適切な極性で結線されているか否かを結線検知手段により検知することにより、仮に誤った結線が行なわれている場合は、結線検知手段がこれを検知するので、誤結線の確認が容易となり、結果、誤結線が原因で直流機器に悪影響が及ぶのを確実に防止できるものである。
【0016】
請求項2のコンセントは、誤結線を検出してただちに作業者に知らせることで、誤結線をより確実に確認できる。
【0017】
請求項3のコンセントは、誤結線のときは電力供給制御部が電力供給を停止するので、誤結線に気づかずにコンセントプラグを接続した場合でも、直流機器に悪影響を及ぼすことを確実に防止できる。
【0018】
請求項4のコンセント及びコンセントプラグは、コンセントプラグの複数極の栓刃がコンセントの極性を持つ栓刃受部に対して適切な極性で接続されているか否かを接続検知手段により検知することにより、仮に誤った極性でコンセントプラグの接続が行なわれている場合でもその確認が容易となり、結果、誤接続が原因で直流機器に悪影響が及ぶのを確実に防止できるものである。
【0019】
請求項5のコンセント及びコンセントプラグは、磁石を用いた簡易な構造で、接続検知手段を構成できる。
【0020】
請求項6のコンセント及びコンセントプラグは、誤接続でない場合のみ電力供給制御部が電力供給を行ない、誤接続のときは電力供給を停止するので、直流機器に悪影響を及ぼすことを確実に防止できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0022】
以下の実施形態では、本発明を適用する建物として戸建て住宅の家屋を想定して説明するが、本発明の技術思想を集合住宅に適用することを妨げるものではない。家屋Hには、図7に示すように、直流電力を出力する直流電力供給部101と、直流電力により駆動される電気機器としての直流機器102とが設けられ、直流電力供給部101の出力端部に接続した直流給電線Wdcを通して直流機器102に直流電力が供給される。直流電力供給部101と直流機器102との間には、直流給電線Wdcに流れる電流を監視し、異常を検知したときに直流給電線Wdc上で直流電力供給部101から直流機器102への給電を制限ないし遮断する直流ブレーカ114が設けられる。
【0023】
直流給電線Wdcは、直流電力の給電路であるとともに通信路としても兼用されており、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより直流給電線Wdcに接続された機器間での通信を可能にしている。この技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
【0024】
直流給電線Wdcは、直流電力供給部101を介して情報ブレーカ116に接続される。情報ブレーカ116は、宅内の通信網(以下、「宅内網」という)を構築する主装置であり、宅内網において直流機器102が構築するサブシステムなどと通信を行う。
【0025】
図7に示す例では、サブシステムとして、パーソナルコンピュータ、無線アクセスポイント、ルータ、IP電話機のような情報系の直流機器102からなる情報機器システムK101,K106、照明器具のような照明系の直流機器102からなる照明システムK102,K107、来客対応や侵入者の監視などを行う直流機器102からなるインターホンシステムK103、火災感知器のような警報系の直流機器102からなる住警器システムK104、換気や空気調和のための直流機器102からなるファンシステムK105などがある。各サブシステムは、自立分散システムを構成しており、サブシステム単独でも動作が可能になっている。
【0026】
上述した直流ブレーカ114は、サブシステムに関連付けて設けられており、図7に示す例では、情報機器システムK101、照明システムK102およびインターホンシステムK103、住警器システムK104およびファンシステムK105、情報機器システムK106、照明システムK107に関連付けて5個の直流ブレーカ114を設けている。1台の直流ブレーカ114に複数個のサブシステムを関連付ける場合には、サブシステムごとに直流給電線Wdcの系統を分割する接続ボックス121が設けられる。図7に示す例においては、照明システムK102とインターホンシステムK103との間に接続ボックス121が設けられ、住警器システムK104とファンシステムK105との間に接続ボックス121が設けられている。
【0027】
情報機器システムK101,K106としては、壁コンセントあるいは床コンセントの形態で家屋Hに先行配置(家屋Hの建築時に施工)される直流コンセント1、もしくは直流コンセント131に接続される直流テーブルタップに接続される直流機器102からなる情報機器システムK101と、PoE(Power over Ethernet:Ethernetは登録商標)を利用するIP電話、無線アクセスポイント、監視カメラのような直流機器102からなる情報機器システムK106とが設けられる。情報機器システムK106では、PoE規格の接続口を設けた接続ボックス134を用いる。接続ボックス134への給電は、直流給電線Wdcからなされる。
【0028】
照明システムK102、K107としては、家屋Hに先行配置される照明器具(直流機器102)からなる照明システムK102と、天井に先行配置される引掛シーリング133に接続する照明器具(直流機器102)からなる照明システムK107とが設けられる。引掛シーリング133には、家屋Hの内装施工時に施工業者が照明器具を取り付けるか、または家人自身が照明器具を取り付ける。
【0029】
照明システムK102を構成する直流機器102である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流給電線Wdcに接続されたスイッチ141から通信信号を用いて与えることができる。すなわち、スイッチ141は直流機器102とともに通信の機能を有している。また、スイッチ141の操作によらず、宅内網の別の直流機器102あるいは情報ブレーカ116から通信信号により制御の指示がなされることもある。照明器具への指示には、点灯、消灯、調光、点滅点灯などがある。
【0030】
上述した直流コンセント1、直流テーブルタップ、引掛シーリング133には、任意の直流機器102を接続することができ、接続された直流機器102に直流電力を出力するから、以下では直流コンセント1、直流テーブルタップ、引掛シーリング133を区別する必要がない場合には「直流アウトレット」と呼ぶ。
【0031】
これらの直流アウトレットは、直流機器102に直接設けた接触子(図示せず)または接続線を介して設けた接触子(図示せず)が差し込まれる差込式の接続口が器体に開口し、接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受けが器体に保持された構造を有している。すなわち、直流アウトレットは接触式で給電を行う。直流アウトレットに接続された直流機器102が通信機能を有する場合には、直流給電線Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。直流機器102だけではなく直流アウトレットにも通信機能が設けられている。
【0032】
情報ブレーカ116は、宅内網に接続されるだけではなく、インターネットを構築する広域網NTに接続される接続口を有している。図示していないが、広域網NTに情報ブレーカ116を接続するには、情報ブレーカ116と広域網NTとの間にDHCPサーバの機能を有したルータを設ける。情報ブレーカ116が広域網NTに接続されている場合には、広域網NTに接続されたコンピュータサーバであるセンタサーバ200によるサービスを享受することができる。
【0033】
センタサーバ200が提供するサービスには、広域網NTを通して宅内網に接続された機器(主として直流機器102であるが通信機能を有した他の機器も含む)の監視や制御を可能にするサービスがある。このサービスにより、パーソナルコンピュータ、インターネットTV、移動体電話機などのブラウザ機能を備える通信端末(図示せず)を用いて宅内網に接続された機器の監視や制御が可能になる。
【0034】
情報ブレーカ116は、広域網NTに接続されるから、センタサーバ200との通信のための通信ミドルウェアとしての機能と、広域網NTと接続するネットワークセキュリティとしての機能とを備える。通信ミドルウェアとしては、広域網NTに接続されたセンタサーバ200との間の通信と、宅内網に接続された機器との間の通信との両方の機能を備える必要があり、また時刻合わせの機能、宅内網の機器に関する識別情報(ここでは、IPアドレスを用いるものとする)の取得の機能も備えている。
【0035】
まず、情報ブレーカ116が備える通信ミドルウェアの機能のうちセンタサーバ200との通信機能を簡単に説明する。宅内の機器は、センタサーバ200に対して定期的に片方向のポーリング通信を行い、センタサーバ200におけるコンテンツの有無を確認する。一方、広域網NTに接続された情報端末から監視や制御の要求があると、センタサーバ200ではコンテンツが生成され記憶される。宅内の機器からセンタサーバ200へのポーリング時にコンテンツが記憶されていると、機器への制御ないし監視の要求がなされる。この要求に対する応答をセンタサーバが受信すると、センタサーバは情報端末に応答内容を送信する。したがって、宅内の機器に関する制御ないし監視を情報端末により行うことが可能になる。
【0036】
宅内の機器において火災検知など情報端末に通知すべきイベントが生じたときには、宅内の機器からセンタサーバ200に通知し、センタサーバ200から情報端末に対して電子メールによる通知を行う。なお、センタサーバ200へのアクセスは、SSL(Secure Sockets Layer protocol)による暗号化がなされている。また、センタサーバ200は多重化されており、いずれかのセンタサーバ200で通信エラーが生じると、他のセンタサーバ200が機能を代替する。
【0037】
一方、情報ブレーカ116が備える通信ミドルウェアの機能のうち宅内網との通信機能のうち重要な機能は、宅内網を構成する機器の検出と管理である。情報ブレーカ116では、UPnP(Universal Plug and Play)を応用して宅内網に接続された機器を自動的に検出する。情報ブレーカ116はブラウザ機能を有する表示器117を備えており、検出した機器の一覧を表示器117に表示する。この表示器117はタッチパネル式もしくは操作部が付設されており、表示器117の画面に表示された選択肢から所望の内容を選択する操作が可能になっている。したがって、情報ブレーカ116の利用者(施工業者あるいは家人)は、表示器117の画面上で機器の監視ないし制御が可能になる。
【0038】
宅内網に接続される各機器は宅内網への参加時(宅内網への接続時あるいは接続後の最初の電源投入時)に参加パケットを送信するように構成され、情報ブレーカ116は機器からの参加パケットを受信すると宅内網に参加している機器の種類や機能を知ることができる。機器のアドレス(IPアドレスを用いる)は機器が自動的に設定する(DHCPサーバが存在するときには、機器はDHCPサーバからアドレスを取得する)。
【0039】
また、各機器は生存確認応答パケットを返送する機能を有し、情報ブレーカ116から生存確認パケットを受信した機器においてアドレスの変更などの機器構成の変更がなされているときには、生存確認応答パケットに状態変化通知フラグを含めて生存確認パケットに応答する。
【0040】
情報ブレーカ116では、機器の接続に関する情報を管理しており、参加パケットおよび生存確認応答パケットの受信により宅内網に接続された機器の種類や機能とアドレスとを把握する。宅内網に接続された機器において何らかのイベントが発生し、情報ブレーカ116にイベントの発生が通知されると、情報ブレーカ116は管理下の機器に対して、アプリケーション層で生成されるイベントパケットを機器の種類や機能に応じてユニキャストで機器に送信する。
【0041】
機器では、情報ブレーカ116から送信されたイベントパケットの内容を判断し、必要なイベントパケットであれば、その内容に従って動作し、不要なイベントパケットであれば機器側で破棄する。したがって、宅内網の機器を連動動作させることができる。たとえば、機器であるスイッチの操作により、機器である照明器具の点灯あるいは消灯の動作を行うことが可能になる。
【0042】
また、機器を連動動作させるにあたって、情報ブレーカ116にパーソナルコンピュータのような情報端末を接続し、情報端末のブラウザ機能を利用してアドレスにより機器の関係付けを行ってもよい。機器の連動動作の関係は各機器がそれぞれ保持する。したがって、機器は情報ブレーカ116を通すことなく連動動作することができる。連動動作の関係付けはサブシステム内で行うことが多いが、サブシステムを超える関係付けも可能であり、たとえば、住警器システムK104により火災が検知されると、照明システムK102,K107を点滅点灯させて警報報知を行ったり、避難経路に相当する照明システムK102,K107を点灯させて避難経路の誘導を行ったりすることが可能になる。
【0043】
次に、情報ブレーカ116におけるネットワークセキュリティの機能について簡単に説明する。宅内の機器とセンタサーバ200との間では、情報ブレーカ116を経由して通信を行っており、情報ブレーカ116ではSPI(Stateful Packet Inspection)に対応したファイアウォール機能により、宅内の機器とセンタサーバ200との間の通信におけるセッションを管理する。したがって、情報ブレーカ116は、広域網NTからの不正なアクセスを検出し、不正なパケットを廃棄する。また、情報ブレーカ116では、MACアドレスを用いてアクセス制限を行っており、登録されていない情報端末からのアクセスを防止する。
【0044】
以上説明したように、情報ブレーカ116は、宅内網に接続された機器間の連動動作のための管理を行うサービスと、ブラウザ機能を備える通信端末による機器の監視および制御を可能にするサービスとを行う。したがって、情報ブレーカ116は、宅内網に対して宅内サーバとしての機能を有すると言える。
【0045】
ところで、直流電力供給部101は、基本的には、商用電源のように宅外から供給される交流電源ACの電力変換により直流電力を生成する。図7に示す構成では、交流電源ACは、分電盤110に内器として取り付けられた主幹ブレーカ111を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ112に入力される。AC/DCコンバータ112から出力される直流電力は、協調制御部113を通して各直流ブレーカ114に接続される。
【0046】
直流電力供給部101には、交流電源ACから電力が供給されない期間(たとえば、商用電源ACの停電期間)に備えて二次電池162が設けられている。また、直流電力を生成する太陽電池161や燃料電池163を併用することも可能になっている。交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ112を備える主電源に対して、太陽電池161や二次電池162や燃料電池163は分散電源になる。なお、図7に示す例において、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163は出力電圧を制御する回路部を含み、二次電池162は放電だけではなく充電を制御する回路部も含んでいる。
【0047】
分散電源のうち太陽電池161や燃料電池163は必ずしも設けなくてもよいが、二次電池162は設けるのが望ましい。二次電池162は主電源や他の分散電源により適時充電され、二次電池162の放電は、交流電源ACから電力が供給されない期間だけではなく必要に応じて適時に行われる。二次電池162の充放電や主電源と分散電源との協調は、協調制御部113により行われる。すなわち、協調制御部113は、直流電力供給部101を構成する主電源および分散電源から直流機器102への電力の配分を制御する直流電力制御部として機能する。
【0048】
直流機器102の駆動電圧は機器に応じて5V、12V、24V、48Vなどから選択されるから、協調制御部113に直流コンバータを設け、主電源および分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換するのが望ましい。通常は、1系統のサブシステム(もしくは1台の直流ブレーカ114に接続された直流機器102)に対して1種類の電圧が供給されるが、1系統のサブシステムに対して3線以上を用いて複数種類の電圧を供給するように構成してもよい。あるいはまた、直流給電線Wdcを2線式とし、線間に印加する電圧を時間経過に伴って変化させる構成を採用することも可能である。直流コンバータは、直流ブレーカと同様に複数に分散して設けてもよい。
【0049】
上述したように直流給電線Wdcを通して供給される直流電圧は、商用電源のような交流電源ACに比較すると低電圧であり、1系統の直流給電線Wdcに流すことができる電流には制限があるから、住宅内で使用する電気機器のうち消費電力が比較的大きい電気機器K110への電力供給を直流電力で賄うことは難しい。とくに、洗濯機のような動力系の電気機器や炊飯器や電子レンジのような熱系の電気機器、あるいは大画面テレビジョン受像機などへの電力供給には交流電力が必要である。
【0050】
この種の電気機器K110に対しては、主幹ブレーカ111とともに分電盤110内に設けた分岐ブレーカ115に接続した交流供給線Wacを通して交流電力を供給する。交流供給線Wacは、壁コンセントや床コンセントや引掛シーリングの形態で先行配置されるアウトレット151に接続される。電気機器K110は、電気機器K110に接続された電源コードの一端部に設けた電源プラグ(図示せず)をアウトレット151に差し込むことにより交流電力が供給される。なお、交流供給線Wacを通して直流ブレーカ114と、電気機器K101あるいはアウトレット151との通信を可能にする機能を設けてもよく、この機能を設けると交流電源により駆動される電気機器K110にまで宅内網を拡張することができる。
【0051】
上述の構成例では、AC/DCコンバータ112を1個だけ図示しているが、複数個のAC/DCコンバータ112を並設することが可能であり、複数個のAC/DCコンバータ112を設けるときには、電気機器の大きさに応じて運転するAC/DCコンバータ112の台数を増減させるのが望ましい。
【0052】
上述したAC/DCコンバータ112、協調制御部113、直流ブレーカ114、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163には通信機能が設けられており、主電源および分散電源や直流機器102を含む電気機器の状態に対処する連携動作を行うことを可能にしている。この通信に用いる通信信号は、直流機器102に用いる通信信号と同様に直流電圧に重畳する形式で伝送する。
【0053】
上述の例では主幹ブレーカ111から出力された交流電力をAC/DCコンバータ112により直流電力に変換するために、AC/DCコンバータ112を分電盤110内に配置しているが、主幹ブレーカ111の出力側において分電盤110内に設けた分岐ブレーカ115で交流供給線Wacを複数系統に分岐し、各系統の交流供給線WacにAC/DCコンバータを設けて系統ごとに直流電力に変換する構成を採用してもよい。
【0054】
この場合、家屋Hの各階や各部屋を単位として直流供給部を設けることができるから、直流供給部を系統別に管理することができ、直流電力を利用する直流機器102との間の直流給電線Wdcの距離が小さくなるから、直流給電線Wdcでの電圧降下による電力損失を低減させることができる。あるいはまた、主幹ブレーカ111および分岐ブレーカ115を分電盤110に収納し、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114と情報ブレーカ116とを分電盤110とは別の盤に収納してもよい。
【0055】
次に本発明の実施形態を説明する。
【0056】
直流コンセント1(以下「コンセント1」と略す)は、図1に示すように、コンセントプラグ10の2極の栓刃11,12が接続される2極の栓刃受部2,3を備えると共に、この2極の栓刃受部2,3に対して2本の直流給電線Wdc1,Wdc2をそれぞれ結線して、直流機器102に接続されるコンセントプラグ10に対して所定電圧の直流電源を供給するものである。なお栓刃受部2,3はコンセント1のプラグ受け面1aに設けた2つの栓刃挿入口(図示せず)の奥側にそれぞれ臨んで配置されている。
【0057】
ここで、本発明のコンセント1においては、コンセント1の2極の栓刃受部2,3に対して2本の直流給電線Wdc1,Wdc2が適切な極性で結線されているか否かを検知するための結線検知手段4を備えている。
【0058】
図1は、請求項1、2にそれぞれ対応する実施形態であり、本例では結線検知手段4と報知手段5とを兼ねる誤結線表示部5aをコンセント1のプラグ受け面1aの一部に露出して設けている。図1(b)の例では誤結線表示部5aがLEDからなり、2本の直流給電線Wdc1,Wdc2と2極の栓刃受部2,3とが正確な極性で接続されている状態(プラス極の栓刃受部2とプラス極の直流給電線Wdc1、マイナス極の栓刃受部3とマイナス極の直流給電線Wdc2との接続状態)ではLEDには通電されずに消灯状態にあり、一方、誤まった極性で結線されている状態(プラス極の栓刃受部2とマイナス極の直流給電線Wdc2、マイナス極の栓刃受部3とプラス極の直流給電線Wdc1との接続状態)では、矢印イ方向に電流が流れてLEDが点灯して誤結線が報知される。なお図1(b)中の60はLEDに電流が流れすぎないようにするための抵抗である。
【0059】
なお、上記LEDに代えて、図2に示すブザー(誤結線表示部5b)を用いてもよい。この場合、2本の直流給電線Wdc1,Wdc2と2極の栓刃受部2,3とが正確な極性で接続されている場合はブザーには通電されないが、誤まった極性で結線されている場合は、矢印イ方向に電流が流れてブザーが鳴り、誤結線が報知される。なお図2(b)中の61は電流を矢印イ方向のみに流すためのダイオードである。
【0060】
しかして、上記図1又は図2の構成によれば、コンセント1の極性を持つ栓刃受部2,3に対して直流給電線Wdc1,Wdc2が誤って逆極性で誤結線された場合は、上記LEDを点灯させたり、或いはブザーを鳴らすことにより、誤結線の確認が容易となり、結果、誤結線が原因で直流機器102に悪影響が及ぶことを確実に防止できるものである。
【0061】
また、報知手段5であるLED、或いはブザーが結線検知手段4を兼ねることで、結線検知手段4の回路構成を簡素化できる利点もある。
【0062】
図3は、請求項3に対応する実施形態であり、端子部26a,26bと結線検知手段4との間に、誤結線が検知された場合はコンセントプラグ10に対して電力供給は行なわず、誤結線が検知されない場合のみコンセントプラグ10に対して電力供給を行なうように制御する電力供給制御部6を設けている。電力供給制御部6は例えば直流電源から栓刃受部2,3に至る回路を開閉するリレー(図示せず)で構成される。なお、コンセント1の結線検知手段4、栓刃受部2,3及び端子部26a,26bについては前記実施形態と同様である。本例の電力供給制御部6は誤結線があったときには電力供給を停止させるためのものであり、例えば2本の直流給電線Wdc1,Wdc2とコンセント1の2極の栓刃受部2,3の各端子部26a,26bとが正しい極性で結線されている場合は、リレーの接点がオンとなって電力供給を可能にするが、誤結線によりLEDに通電されたときは、リレーの接点がオフに切り替わり、電力供給が停止される。これにより、誤結線のときは電力供給が行なわれないので、誤結線に気づかずにコンセントプラグ10を接続した場合でも、直流機器102に悪影響を及ぼすことを未然に防止できる。
【0063】
ところで、コンセント1に対してコンセントプラグ10が誤まった極性で誤接続される場合がある。図4はこれを防止するための一例であり、コンセント1の栓刃受部2,3の形状を図4(a)のようにハの字形に形成したり、或いは、図4(b)のように長さ違いに形成する。或いは、図4(c)のように異なる大きさのピン孔状に形成する。さらに、栓刃受部2,3の形状を変えずに、例えば図4(d)のようにコンセント1のプラグ受け面1aの一部に凹部51を設け、コンセントプラグ10側に上記凹部51と嵌まり合う凸部(図示せず)を設けることでコンセントプラグ10の誤接続を防止するようにしてもよい。
【0064】
しかし仮にコンセント1の栓刃受部2,3の極性の区別ができない形状(同じ形状、大きさ)の場合は、コンセントプラグ10が誤った極性で接続されてしまう可能性がある。
【0065】
図5は、請求項4、5に対応する実施形態であり、コンセントプラグ10がコンセント1の極性を持つ2極の栓刃受部2,3に対して適切な極性で接続されているか否か、つまりユーザー使用時において誤って逆に接続されていないかどうかを検知するための接続検知手段7を備えた一例を示している。この接続検知手段7は、図5(b)に示すように、コンセントプラグ10のプラグ本体10aとコンセント1のプラグ受け面1aとの対向する面に、それぞれ、N極、S極の磁石8a,8bを対向配置して、コンセントプラグ10の栓刃11,12がコンセント1の栓刃受部2,3に対して適切な極性で接続された場合のみ対向する各々の磁石8a,8bが互いに引き合うように配置された磁石装置8と、上記各々の磁石8a,8bが互いに引き合った場合のみコンセントプラグ10に対して電力供給を行なうように制御する電力供給制御部9とで構成されている。ここでは電力供給制御部9は、例えば図5(c)(d)に示すように、コンセント1側の磁石8a,8bによって開閉されるリレー9aからなる。先ず、コンセントプラグ10が正しい極性で接続された場合はコンセント1側のN極とS極の各磁石8a,8bがコンセントプラグ10側のS極、N極の各磁石8b,8aからそれぞれ吸引力を受けて図5(c)のように前方Aに引き寄せられることでスライド片62が前進してリレー9aの接点をオン状態とする。しかし、接続の極性が逆の場合にはコンセント1側の磁石8a,8bは引き寄せられず、スライド片62が前進しないためリレー9aの接点はオフ状態(図5(d)の状態)に保たれたままとなる。しかして、正しい極性では電源が供給されるが、誤接続の場合は電力供給が停止されるので、誤接続の確認が容易となり、そのうえ磁石8a,8bとリレー9aとを備えた簡単な構造で、誤接続の確認を容易に行なうことができ、結果、直流機器102への悪影響を確実に防止できるものである。
【0066】
なお、前記図5のように電力供給制御部9によって誤接続の場合に電力供給を停止するシステムに限定されるものではなく、例えば、誤接続を報知するシステムであってもよい。その一例を図6に示す。図6の例では、コンセントプラグ10をコンセント1に接続したときにコンセントプラグ10側の磁石8a,8bがコンセント1側に引き寄せられない場合にはこれを検知部7(接続検知手段)で検知して、報知部51を作動させるものである。つまり、誤接続が検知されたときは、図5のように電源停止を行なうのではなく、報知部51によってユーザに知らせるものである。なお報知部として、例えばLEDを発光させたり、ブザーを鳴らしたりしてもよいものであり、報知の種類は適宜に設計変更自在である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態の結線検知手段を備えたコンセントであり、(a)はコンセントの正面図、(b)はLEDを結線検知手段として用いた場合の回路図である。
【図2】他の実施形態であり、(a)はコンセントの正面図、(b)はブザーを結線検知手段として用いた場合の回路図である。
【図3】更に他の実施形態を説明するブロック図である。
【図4】(a)〜(d)は同上のコンセントの栓刃受部の形状を逆接続できない形状とした場合の実施形態の一例である。
【図5】更に他の実施形態であり、(a)はコンセントの正面図、(b)はコンセントと、接続検知手段と電力供給制御部とを備えたコンセントプラグとを示すブロック図、(c)(d)は接続検知手段の一例として磁石の移動によってリレー(電力供給制御部)を開閉する場合の動作説明図である。
【図6】更に他の実施形態であり、誤接続が検知されたときに報知部にて報知する場合の一例を示すブロック図である。
【図7】同上の直流電力を出力する直流電力供給部と、直流電力により駆動される電気機器としての直流機器とが設けられる戸建て住宅の家屋を想定した全体構成図である。
【符号の説明】
【0068】
1 コンセント
2,3 栓刃受部
4 結線検知手段
5 報知手段
6 電力供給制御部
7 接続検知手段
8 磁石装置
8a,8b 磁石
9 電力供給制御部
10 コンセントプラグ
11,12 栓刃
51 報知部
102 直流機器
Wdc1,Wdc2 直流給電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンセントプラグの複数極の栓刃が接続される複数極の栓刃受部に対して複数本の直流給電線をそれぞれ結線して、コンセントプラグに対して所定電圧の直流電源を供給するようにしたコンセントであって、上記複数極の栓刃受部に対して複数本の直流給電線が適切な極性で結線されているか否かを検知するための結線検知手段を設けたことを特徴とするコンセント。
【請求項2】
上記結線検知手段により誤結線が検知された場合にこれを報知するための報知手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンセント。
【請求項3】
上記結線検知手段により誤結線が検知されない場合のみ、コンセントプラグに対して電力供給を行なうように制御する電力供給制御部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のコンセント。
【請求項4】
コンセントプラグの複数極の栓刃をコンセントの複数極の栓刃受部に接続して、コンセントからコンセントプラグに対して所定電圧の直流電源を供給するようにしたコンセント及びコンセントプラグであって、コンセントプラグの複数極の栓刃がコンセントの極性を持つ栓刃受部に対して適切な極性で接続されているか否かを検知するための接続検知手段を設けたことを特徴とするコンセント及びコンセントプラグ。
【請求項5】
上記接続検知手段は、コンセントプラグとコンセントとの対向する面に、それぞれ、N極、S極の磁石を設けて、コンセントプラグの栓刃がコンセントの栓刃受部に対して適切な極性で接続された場合のみ対向する各々の磁石が互いに引き合うように配置された磁石装置であることを特徴とする請求項4記載のコンセント及びコンセントプラグ。
【請求項6】
上記接続検知手段によりコンセントプラグとコンセントとの誤接続が検知されない場合のみ、コンセントプラグに対して電力供給を行なうように制御する電力供給制御部を設けたことを特徴とする請求項4又は5記載のコンセント及びコンセントプラグ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−158303(P2009−158303A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335181(P2007−335181)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】