コンセント
【課題】ピン挿入孔の周囲では耐熱性が高く且つ外郭部では割れ難いカバーを有するコンセントを提供する。
【解決手段】コンセントは、周壁が挿入される周壁挿入溝14と、周壁挿入溝14に囲まれる表面部15とが設けられるカバー12を有している。表面部15には、プラグピンが挿入される電源挿入孔16が設けられている。そしてカバー12には、表面部15を形成する第1部材20と、周壁挿入溝14より外部の部位である外郭部31を形成する第2部材30とが各別に設けられるとともに、第1部材20は熱硬化性樹脂にて成形され、第2部材30は熱可塑性樹脂にて成形されている。
【解決手段】コンセントは、周壁が挿入される周壁挿入溝14と、周壁挿入溝14に囲まれる表面部15とが設けられるカバー12を有している。表面部15には、プラグピンが挿入される電源挿入孔16が設けられている。そしてカバー12には、表面部15を形成する第1部材20と、周壁挿入溝14より外部の部位である外郭部31を形成する第2部材30とが各別に設けられるとともに、第1部材20は熱硬化性樹脂にて成形され、第2部材30は熱可塑性樹脂にて成形されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグピンとこのプラグピンの周りを囲む周壁とを具備したプラグが着脱自在に接続され、このプラグに電力を供給するコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
上記コンセントとして、AC/DCコンバータによる交流電源から直流電源への変換による電力損失を防ぐために、電気機器に直流電力を供給する直流コンセントが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような直流コンセントでは、通電中において直流コンセントからプラグを引き抜くときに、交流電力をプラグに供給する交流コンセントと比較して直流コンセントとプラグとの間において発生するアークが持続しやすい傾向がある。そこで、プラグに周壁を設け、直流コンセントのカバーに周壁を挿入する周壁挿入溝を設けている。これにより、直流コンセントからプラグを引き抜くときに、周壁によりアークが見え難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−15835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなカバーは、周壁挿入溝に周壁が挿入される際に周壁挿入溝よりも外側の部位である外郭部に衝突することが多い。一方で、カバーはプラグピン及びこのプラグピンが挿入されるピン挿入孔の周囲が高温となるため、耐熱性に優れた熱硬化性樹脂にて成形されることが一般的である。しかしながら、熱硬化性樹脂は割れやすい性質を有しており、外郭部を熱硬化性樹脂にて成形した場合には上記周壁と周壁挿入溝との衝突に起因して外郭部が破損してしまう可能性がある。なお、このような問題は、直流コンセントのみではなく、周壁挿入溝が設けられた交流コンセントについても同様である。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ピン挿入孔の周囲では耐熱性が高く且つ外郭部では割れ難いカバーを有するコンセントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、プラグピンとこのプラグピンの周りを囲む周壁とを具備したプラグが着脱自在に接続され、このプラグに電力を供給するコンセントであって、当該コンセントは、前記周壁が挿入される周壁挿入溝と、前記周壁挿入溝に囲まれる表面部とが設けられるカバーを有し、前記表面部には、前記プラグピンが挿入されるピン挿入孔が設けられ、前記カバーには、前記表面部を形成する第1部材と、前記周壁挿入溝より外部の部位である外郭部を形成する第2部材とが各別に設けられ、前記第1部材は熱硬化性樹脂にて成形され、前記第2部材は熱可塑性樹脂にて成形されることを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、第1部材を熱硬化性樹脂にて成形されるため、表面部の耐熱性を確保することができる。また第2部材を熱可塑性樹脂にて成形されるため、外郭部を割れ難くすることができる。したがって、プラグの周壁が周壁挿入溝に挿入されるときに外郭部が破損することを抑制することができる。
【0009】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンセントにおいて、前記第1部材には、平板状の基台と、この基台からピン挿入方向に突出するとともにその端面が前記表面部を形成する突出部とが設けられ、前記第2部材には、前記突出部を収納する筒部と、前記基台の移動を規制する規制部とが設けられ、前記周壁挿入溝は、前記第1部材に前記基台が規制された状態において前記突出部の側面と前記筒部の内面とにより形成されることを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、周壁挿入溝が突起部の側面と筒部の側面とにより構成されるため、カバーに周壁挿入溝の専用の形状を別途設ける必要がなくなる。したがって、カバーの形状を簡単化することができる。また、規制部により基台が第1部材に対する移動が規制されるため、第1部材を第2部材に取り付けることにより、周壁挿入溝の幅を一定に維持することができる。
【0011】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のコンセントにおいて、前記周壁挿入溝及び前記表面部は、前記プラグの挿入方向から見た平面視において略四角形状にそれぞれ形成され、前記ピン挿入孔は円形状に形成されるとともに前記表面部の外周縁の一辺に沿った方向に複数配列されるように設けられ、前記ピン挿入孔は、前記ピン挿入孔が配列される配列方向に沿った一辺を基準辺として、この基準辺に対して垂直な方向を規定する垂直方向において、前記基準辺に対向する辺よりも前記基準辺に近づくように偏った位置に設けられることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、丸形のプラグピンが複数本有するプラグが接続されるコンセントにおいて、周壁挿入溝が略四角形状であるため、周壁挿入溝が円筒形状の場合と比較して、プラグの周壁が挿入する方向が限定されるようになる。したがって、作業者がプラグを挿入する向きを容易に理解することができるため、使い勝手が良くなる。そして、ピン挿入孔が、表面部におけるピン挿入孔の配列方向に沿った一辺を基準辺として、この基準辺に対して垂直な方向において、この基準辺に対向する辺よりも同基準辺に近づくように偏った位置に設けられるため、周壁挿入溝やプラグの周壁に別途逆差しのための構造を形成することなく、コンセントにプラグの逆差しを抑制することができるようになる。したがって、コンセントに別途逆差しのための構造を形成した場合と比較して、コンセントの大型化を抑制することができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ピン挿入孔の周囲では耐熱性が高く且つ外郭部では割れ難いカバーを有するコンセントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】同実施形態のコンセントについて、(a)コンセントの斜視構造を示す斜視図、(b)コンセントを前方から見た平面構造を示す平面図、(c)コンセントを後方から見た平面構造を示す平面図。
【図2】同実施形態のコンセントの分解斜視構造を示す斜視図。
【図3】同実施形態の端子について、(a)カバーの分解斜視構造を示す斜視図、(b)カバーの断面構造を示す断面図、(c)(b)の一点鎖線円の拡大構造を示す拡大図。
【図4】同実施形態のコンセントに挿入されるプラグについて、(a)プラグの斜視構造を示す斜視図、(b)プラグの正面構造を示す平面図。
【図5】同実施形態のコンセントとプラグについて、(a)コンセントにプラグが挿入される様子の斜視構造を示す斜視図、(b)コンセントにプラグを逆差しした場合の電源挿入孔とプラグピンとの位置関係を示すコンセントの平面構造を示す平面図。
【図6】同実施形態のコンセントとプラグについて、(a)コンセントにプラグが挿入される前の状態の断面構造を示す断面図、(b)コンセントにプラグが挿入された後の状態の断面構造を示す断面図。
【図7】同実施形態のコンセントについて、(a)〜(d)供給電圧の違いに伴う周壁挿入溝の形状を示すカバーの正面図。
【図8】同実施形態のコンセントについて、(a),(b)壁面に取り付けられた状態の正面構造を示す平面図。
【図9】本発明のコンセントを具体化したその他の実施形態について、(a)2個モジュール寸法のコンセントの斜視構造を示す斜視図、(b)3個モジュール寸法のコンセントの斜視構造を示す斜視図。
【図10】本発明のコンセントを具体化したその他の実施形態について、コンセントの斜視構造を示す斜視図。
【図11】本発明のコンセントを具体化したその他の実施形態について、コンセントをテーブルタップとして適用した場合の斜視構造を示す斜視図。
【図12】比較例としてのコンセントについて、(a)〜(d)コンセントの平面構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図8を参照して、本発明のコンセントを壁埋め込み式の直流コンセントとして具体化した一実施形態について説明する。
図1〜図3を参照して、コンセント10の構成について説明する。以降では、コンセント10の長手方向を「左右方向Y」とし、コンセント10の短手方向を「上下方向Z」とする。そして左右方向及び上下方向の両方に直交する方向を「前後方向X」とする。本実施形態では、前後方向Xが、プラグピン44(図4参照)がコンセント10に挿入される方向であるピン挿入方向に対応するようになる。
【0016】
図1(a)に示すように、コンセント10は、樹脂材料を射出成形することによりそれぞれ成形されたボディ11及びカバー12が金属製の一対の組立枠13により互いに固定されることにより略直方体の器体を構成している。
【0017】
コンセント10は、日本工業規格(JIS C 8303参照)に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠(JIS C 8375参照)に3個まで並べて取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさ(以下、「1個モジュール寸法」)に形成されている。またカバー12の前面12aの左右方向Yの幅H1は、取付枠の矩形状の窓枠の左右方向Yの幅と略等しくなるように形成されている。
【0018】
図1(b)に示すように、カバー12の前面12aには、前面12aから後方に向かい凹む周壁挿入溝14と、周壁挿入溝14によって囲まれた部位にて形成される表面部15とが設けられている。周壁挿入溝14の形状は、前方から見た平面視において、略四角形状からこの略四角形状の4隅のうちの下方の2つを切り取った形状となっている。また表面部15の前面15eは、カバー12の前面12aと前後方向Xにおいて面一となるように設けられている。
【0019】
周壁挿入溝14は、上下方向Zに沿って延びる一対の第1挿入溝14aと、左右方向Yに沿って延びる一対の第2挿入溝14bと、各第1挿入溝14aと下方の第2挿入溝14bとを接続する傾斜溝14cとにより形成されている。傾斜溝14cは、表面部15の上下方向Zの中央位置L1(即ち、表面部15の上下方向Zの長さの半分の位置)より下方に設けられている。また下方の第2挿入溝14bの左右方向Yの中央位置には、この第2挿入溝14bから連続して上方に向かい延びる延長溝14dが設けられている。
【0020】
表面部15の外形は、第1挿入溝14aに対応する第1辺15aと、第2挿入溝14bに対応する第2辺15bと、傾斜溝14cに対応する傾斜辺15cと、延長溝14dに対応する凹辺15dとにより形成されている。傾斜辺15cは傾斜溝14cの一部を構成するとともに傾斜辺15cと対向する対向辺14eと平行となるように設けられている。
【0021】
表面部15の中央位置L1より上方には、前方から見た平面視において円形状の1対の電源挿入孔16が表面部15を上下方向Zに貫通するように設けられている。即ち上方の第2辺15bを基準辺KLとして、電源挿入孔16は下方の第2辺15bよりも基準辺KL側となるように設けられている。
【0022】
ところで、周壁挿入溝14の形状は、電力供給元である電源回路(不図示)の種類の違いに応じて形成されている。この電源回路は、直流電力を供給する直流電力供給部とコンセント10との間に設けられ、例えば分電盤内に設けられている。
【0023】
上記電源回路としては、少なくとも超低電圧回路(ELV:Extra−Low Voltage)と安全超低電圧回路(SELV:Safty Extra−Low Voltage)との2種類がある。これらELV及びSELVについては、IEC規格におけるIEC60950−1及びIEC60335−1にそれぞれ規定されている。
【0024】
情報機器や照明機器等の電気機器は、これらELV及びSELVに応じて内部の絶縁構造が異なっている。即ち、ELVに応じた電気機器では、絶縁構造が二重絶縁構造や強化絶縁構造を採用することにより、この絶縁構造が厳重なものとなっている。一方、SELVに応じた電気機器では、絶縁構造が二重絶縁構造や強化絶縁構造を採用されない場合があり、ELVに応じた電気機器より絶縁構造が簡略化されている。
【0025】
ところで、SELV用のコンセント10にELVに応じた電気機器を接続した場合には、この電気機器の絶縁構造が厳重であるため問題が発生することはない。一方で、ELV用のコンセントにSELVに応じた電気機器を接続した場合には、この電気機器の絶縁構造が簡略化されているため、危険電圧が供給されたときに電気機器が故障してしまう場合がある。そのため、コンセント10及びプラグ40には、ELV用及びSELV用と識別する必要がある。特に、ELV用のコンセントにSELV用に応じた電気機器を誤って接続してしまうことを抑制する必要がある。
【0026】
そこで、本実施形態では、SELV用のカバー12として周壁挿入溝14に延長溝14dが設けられている。一方、ELV用のカバーの周壁挿入溝には延長溝14dが省略して形成されるようにしている。またSELV用の電気機器のプラグ40として周壁45にリブ45aが設けられている。一方、ELV用の電気機器のプラグには、周壁45にリブ45aが省略して形成されるようになる。これにより、ELV用のプラグは、SELV用の周壁挿入溝14に挿入可能であるが、SELV用のプラグは、ELV用の周壁挿入溝に挿入することができなくなる。これにより、ELV用のコンセントにSELV用に応じた電気機器を誤って接続してしまうことを抑制することができるようになる。
【0027】
図1(c)に示すように、ボディ11の底壁11aには、電線が挿通される4個の電線挿通孔11bと、2個の操作孔11cとが設けられている。これら電線挿通孔11b及び操作孔11cのそれぞれは、底壁11aを上下方向Zに貫通する貫通孔である。
【0028】
図2に示すように、ボディ11及びカバー12によって形成された内部空間には、2個の端子17、4個の錠ばね18及び2個の解除釦19がそれぞれ収納されている。各端子17には、2個の錠ばね18が収納されるとともに、この錠ばね18の上下方向Zの間に1個の解除釦19が配置されている。
【0029】
ここでコンセント10への電線の接続及び解除について説明する。
コンセント10に電線を接続する際には、ボディ11の電線挿通孔11b(図1(c)参照)に電線を挿通する。そして電線は錠ばね18に接触するとともに、錠ばね18によって端子17の錠ばね18と左右方向Yに対向する部位に向かい押圧される。これにより端子17と電線との接続が完了する。
【0030】
コンセント10から電線を解除する際には、マイナスドライバー等の工具を操作孔11c(図1(c)参照)に挿入し、解除釦19を前方に移動させる。これにより解除釦19が錠ばね18を押圧して、錠ばね18の電線を押圧する力が低減するようになる。この状態において、電線を後方に向かい引き抜くことによりコンセント10から電線が解除される。
【0031】
図3(a)に示すように、カバー12は、表面部15(図2参照)を構成する第1部材20と、周壁挿入溝14(図1(a)参照)より外側の部位である外郭部31を構成する第2部材30とが互いに固定されることにより形成されている。第1部材20は熱硬化性樹脂にて成形され、第2部材30は熱可塑性樹脂を射出成形することにより成形されている。本実施形態では、第1部材20はユリア樹脂を用いて成形され、第2部材30はポリカーボネートを用いて成形されている。なお第1部材20及び第2部材30の樹脂材料は上記実施形態の樹脂に限定されず、第1部材20が熱硬化性樹脂であり、第2部材30が熱可塑性樹脂であれば、他の樹脂材料を用いることもできる。
【0032】
第1部材20には、前後方向Xに延びるとともに前方の端面が表面部15を形成する突出部21と、突出部21の後方の端部の全周に亘り左右方向Y及び上下方向Zに向かい延びる平板状の基台22とが設けられている。即ち、突出部21は、基台22から前方に突出するように設けられている。この突出部21の形状は、前方から見た平面視において表面部15と同一形状に形成されている(図2参照)。また電源挿入孔16は突出部21及び基台22を前後方向Xにそれぞれ貫通するように設けられている。
【0033】
基台22は、後方からの平面視において略四角形状に形成されている。この基台22の左右方向Yの両端において上下方向Zに沿った辺22aにおける上下方向Zの中央位置には、第1係合部23が設けられている。この第1係合部23は、上記辺22aに設けられた凹部22b内に設けられている。
【0034】
第2部材30には、前方からの平面視において略四角形状の枠体にて構成される外郭部31と、この外郭部31の左右方向Yの両側に突出して設けられる固定部32とが設けられている。固定部32には、組立枠13(図1(a)参照)が固定されるようになる。
【0035】
外郭部31には、突出部21を収納する第1収納部33が外郭部31を前後方向Xに貫通する貫通孔として形成されている。外郭部31の後方の端部には、第1収納部33と連通するとともに、基台22を収納する第2収納部34が設けられている。第2収納部34の左右方向Yの両側において上下方向Zに沿った辺34aにおける上下方向Zの中央位置には、第2係合部35が設けられている。この第2係合部35は、上記辺34aから左右方向Yの内部に向かい突出するように設けられている。また第2収納部34は、外郭部31の後方の端面から前方に基台22の前後方向Xの厚さ分だけ凹む凹形状にて形成されている。
【0036】
図3(b)に示すように、第1係合部23と第2係合部35とが互いに係合することにより、第1部材20及び第2部材30が互いに固定されている。また周壁挿入溝14は、第1収納部33を構成する外郭部31の内面33a、突出部21の側面21a及び基台22の前面22cから囲まれた空間によって構成されている。
【0037】
各電源挿入孔16は、前方の空間を構成する第1挿入孔16aと、後方の空間を構成する第2挿入孔16bとにより構成されている。第1挿入孔16aは、プラグピン44の外径と略同一の内径にて形成され、第2挿入孔16bは第1挿入孔16aより大きい内径にて形成されている。
【0038】
図3(c)に示すように、第1係合部23には、凹部22bの底面から左右方向Yの外部に突出する係合爪23aが設けられている。この係合爪23aの前方の端部且つ左右方向Yの外端部には、傾斜面23bが設けられている。第2係合部35には、前方に向かうにつれて左右方向Yの内部に向かい傾斜する形状の係合爪35aが設けられている。この係合爪35aは、第1収納部33の内面33aより左右方向Yの内部に突出するように設けられている。
【0039】
第2部材30に第1部材20を取り付ける際には、係合爪35aに傾斜面23bが当接する。この状態において係合爪35aに対して傾斜面23bを前方に移動させて、係合爪23aが係合爪35aより前方となるようにする。これにより第1部材20と第2部材30との固定が完了する。
【0040】
次に図4〜図6を参照して、プラグ40の構成及びコンセント10へのプラグ40の挿入構造及び抜去構造について説明する。
図4(a)に示すように、プラグ40は、ケーブル部42と、このケーブル部42と接続するプラグ本体部41とにより構成されている。このプラグ本体部41において、表面部15(図5参照)と前後方向Xに対向する対向面43には、この対向面43から後方に延びる2つの丸型のプラグピン44と、これらプラグピン44を外側から覆う周壁45が設けられている。この周壁45は、周壁挿入溝14(図5参照)と同一形状である。またプラグピン44の後方の端部は、周壁45より若干前方となるように設けられている。
【0041】
図4(b)に示すように、プラグピン44は、周壁45の上下方向Zの中央位置L2に対して上方にそれぞれ設けられている。そしてプラグピン44は、左右方向Yに沿って配列されている。このプラグピン44は、正極のプラグピン(図中の左側)及び負極のプラグピン(図中の右側)により構成されている。
【0042】
図4(a)に示すように、コンセント10にプラグ40が挿入されるときには、周壁挿入溝14に周壁45が挿入される。そして、電源挿入孔16にプラグピン44が挿入される。また電源挿入孔16は、正極のプラグピン44が挿通するための正極側の電源挿入孔及び負極のプラグピン44が挿通するための負極側の電源挿入孔により構成されている。
【0043】
図5(b)に示すように、コンセント10に対してプラグ40を逆差ししようとする場合には、プラグピン44が表面部15の中央位置L1よりも下方に位置するようになる。したがって、表面部15の前面15eにプラグピン44が当接することとなり、コンセント10に対してプラグ40が挿入できないようになっている。
【0044】
なお、「逆差し」とは、正極のプラグピンが、負極側の電源挿入孔に挿入され、負極のプラグピンが、正極側の電源挿入孔に挿入されることをいう。この逆差しをしてしまうと、プラグピン44が適合電圧値に合わなくなるため、プラグピン44に接続された電気機器が故障してしまう場合がある。
【0045】
また、プラグピン44を電源挿入孔16に対して逆差ししようとしても電源挿入孔16とプラグピン44とが上下方向Zにおいて互いに離間するようになるため、上記逆差しを確実に抑制するようになる。
【0046】
図6を参照して、コンセント10のプラグ40が挿入される様子について説明する。
図6(a)に示すように、端子17には、プラグピン44を保持する円筒形状の刃受部17aが設けられている。刃受部17aは各電源挿入孔16の第2挿入孔16bにそれぞれ配置されている。この刃受部17aには、プラグピン44が挿入された状態において、このプラグピン44と当接しつつ保持するピン保持部17bが設けられている。
【0047】
図6(b)に示すように、コンセント10にプラグ40が挿入された状態において、プラグピン44は、刃受部17aによって挟まれた状態にて保持されるようになる。このとき刃受部17aは互いに離間するように弾性変形し、その復元力によってプラグピン44を保持している。これにより、コンセント10とプラグ40とが電気的に導通するようになる。
【0048】
ところで電気機器としては、供給電圧が6V、12V、24V、48Vの複数種類のものが存在している。このような供給電圧が異なる電気機器において、この電気機器が接続されるコンセントの供給電圧が電気機器の供給電圧よりも大きい場合には、電気機器のプラグの絶縁の破損やプラグの発熱の増大を招く場合がある。一方、コンセントの供給電圧が電気機器の供給電圧より低い場合には、電気機器の性能の低下を招く場合がある。そこで本実施形態では、前方から見た平面視において、周壁挿入溝14及び表面部15の四隅のうちの少なくとも1箇所を切り取った形状に形成することにより、コンセント10が供給電圧に応じて識別可能となっている。これにより、供給電圧の互いに異なるコンセント及び電気機器の接続を防止するようにしている。具体的には、供給電圧が24Vの場合を基準として、6V、12V、48Vの周壁挿入溝14の四隅には傾斜溝14cが設けられている。そして表面部15において傾斜溝14cと対応する部分も傾斜辺15cに形成されている。
【0049】
詳細には、図7(a)に示すように、供給電圧が6Vの場合には、周壁挿入溝14の四隅のうちの下方且つ右方の部位に傾斜溝14cが設けられている。図7(b)に示すように、供給電圧が12Vの場合には、周壁挿入溝14の四隅のうちの下方且つ左方の部位に傾斜溝14cが設けられている。図7(c)に示すように、供給電圧が48Vの場合には、周壁挿入溝14の四隅のうちの下方且つ左右方向Yの両方の2箇所の部位に傾斜溝14cがそれぞれ設けられている。なお、図7(d)に示すように、供給電圧が24Vの場合には、周壁挿入溝14の四隅には、傾斜溝14cが形成されていない。
【0050】
また、プラグ40の周壁45の形状も上述の周壁挿入溝14の形状に応じて傾斜部が形成されている。これにより、プラグ40が供給電圧に応じて識別可能となっている。以上により、周壁45の形状と周壁挿入溝14の形状とが適合しない限り、プラグ40はコンセント10に挿入することができなくなる。これにより、供給電圧が互いに異なるコンセント10及びプラグ40を接続することが抑制されるようになる。
【0051】
次に図8を参照して、コンセント10の配置のバリエーションについて説明する。
図8(a)に示すように、コンセント10は取付枠に1個取り付けられた状態において、取付枠の前方から化粧プレート50が取り付けられている。この化粧プレート50には、1個モジュール寸法の開口穴51が設けられており、カバー12の前面12aが露出している。
【0052】
図8(b)に示すように、コンセント10は1個モジュール寸法にて設定されるため、取付枠に対して、同様のコンセント10や1個モジュール寸法または2個モジュール寸法の上記日本工業規格にて規定された他の配線器具(例えば、同軸ケーブル用のコンセント53及び電話線用のモジュラジャック54)がともに取り付けられるようになる。即ち、共通の取付枠にコンセント10と上記配線器具とが取り付けられるようになる。なお化粧プレート50には、3個モジュール寸法の開口穴52が設けられている。なお、上記他の配線器具は、コンセント53やモジュラジャック54に限定されず、例えば交流コンセントやLANケーブル用のモジュラジャック等の他の配線器具も適用することができる。
【0053】
本実施形態のコンセント10によれば、以下に示す効果を奏することができる。
(1)本実施形態によれば、カバー12には、熱硬化性樹脂から成形される第1部材20と、熱可塑性樹脂から成形される第2部材30とが設けられる構成である。したがって、電源挿入孔16の周囲の部位の耐熱性を確保するとともに外郭部31が割れ難くすることができる。したがって、周壁45が周壁挿入溝14に挿入されるときに外郭部31が破損することを抑制することができる。
【0054】
(2)本実施形態によれば、周壁挿入溝14が突出部21、基台22及び第1収納部33により構成されるものである。したがって、カバー12に周壁挿入溝14の専用の形状を別途設ける必要がないため、カバー12の形状を簡単化することができる。
【0055】
また、第1係合部23及び第2係合部35の係合により基台22が第2部材30に対する移動が規制されるため、第1部材20を第2部材30に取り付けることにより、周壁挿入溝14の幅を一定に維持することができる。
【0056】
(3)本実施形態によれば、第1係合部23及び第2係合部35が互いに係合することにより、第1部材20と第2部材30とが互いに固定される構成である。したがって、第1部材20及び第2部材30を固定するためのねじ等の専用の部材を省略することができるため、カバー12の部品点数を低減することができる。さらに第1係合部23及び第2係合部35の係合のみにて第1部材20と第2部材30とが固定されるため、上記専用の部材を用いた構成と比較して、第1部材20と第2部材30との固定作業を容易に行うことができる。
【0057】
(4)本実施形態によれば、周壁挿入溝14が略四角形状の4隅のうちの下方の2隅を切り取った形状に形成された構成である。したがって、図12(a),(b)に示すコンセント100の周壁挿入溝111が円環形状であるIEC規格に準拠するコンセントの場合と比較して、プラグ40の周壁45が挿入する方向が限定されるようになる。これにより、作業者がプラグ40をコンセント10に挿入する向きを容易に理解することができるため、使い勝手がよくなる。その結果、作業者がコンセント10にプラグ40を容易に逆差しを抑制しつつ挿入することができるようになる。
【0058】
そして、電源挿入孔16が表面部15の外周縁のうちの中央位置L1よりも上方に設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝14や周壁45に別途逆差しのための構造を形成することなく、コンセント10にプラグ40の逆差しを抑制することができるようになる。したがって、コンセントに別途逆差しのための構造を形成した場合と比較して、コンセント10の大型化を抑制することができるようになる。
【0059】
ところで、図12(b)に示すように、周壁挿入溝111が円環形状である場合、上述のように電源挿入孔112を上方に移動すると、電源挿入孔112間の距離が小さくなり、絶縁耐力が低下してしまう問題がある。また図12(c)に示すように、コンセント100の周壁挿入溝111を四角形状とし、電源挿入孔112を上下方向Zに長手の長方形状に形成した場合、逆差し構造のため電源挿入孔112を上方に移動すると図12(d)に示すように、コンセント100の外形を大きくする必要があった。
【0060】
その点、本実施形態では周壁挿入溝14が上述の形状に形成されるとともに電源挿入孔16が円形状に形成されるため、中央位置L1より上方に電源挿入孔16を設けても電源挿入孔16間の距離が小さくならない。したがって、図12(b)のコンセント100と比較して、絶縁耐力が向上するようになる。また、図12(d)のコンセント100のように大型化する必要がないため、コンセント10の大型化を防止することができる。これにより、コンセント10は1個モジュール寸法に納まるようになる。
【0061】
(5)本実施形態によれば、コンセント10が、日本工業規格に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠に3個まで取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさに形成されるため、同様に規格化された他の配線器具の取付枠にコンセント10を取り付けることができるようになる。したがって、コンセント10専用の取付枠を別途作製する必要がなくなり、取付枠の共通化を図ることができる。これにより、1個モジュール寸法または2個モジュール寸法の大きさに形成された他の配線器具とともに取付枠に取り付けることが可能となるため、コンセント10の使い勝手が良くなる。
【0062】
(6)本実施形態によれば、係合爪23aには傾斜面23bが設けられ、係合爪35aは前方に向かうにつれて左右方向Yの内部に向かい傾斜する形状となる構成である。したがって、傾斜面23bが係合爪35aと当接することにより、係合爪23a及び係合爪35aの互いを案内することとなるため、係合爪35aに対して係合爪23aを容易に係合することができるようになる。
【0063】
(7)本実施形態によれば、係合爪35aは、第1収納部33の内面33aより左右方向Yの内部に突出する構成である。したがって、第2部材30を射出成形するための金型を上下型の2分割した金型構成とすることができる。その結果、金型の簡単化を図ることができる。
【0064】
(8)本実施形態によれば、カバー12の前面12aと表面部15の前面15eとが前後方向Xにおいて面一となる構成である。また、プラグピン44は周壁45よりも若干前方まで延びる構成である。これらの構成によれば、コンセント10にプラグ40を逆差ししたときに、周壁45が周壁挿入溝14に大きく挿入される前に表面部15にプラグピン44が当接するようになる。したがって、作業者が上記逆差ししたことをより明確に認識することができるとともに、逆差ししたときにプラグ40がコンセント10に取り付けられた状態が維持できないようになっている。これにより、逆差しされた状態が維持されることを抑制することができるようになる。
【0065】
(その他の実施形態)
本実施形態のコンセント10は、上記実施形態に限定されることなく、例えば以下の変更が可能である。また、以下の変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものでなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0066】
上記実施形態では、プラグ40のプラグピン44を丸形に形成したが、プラグピン44の形状はこれに限定されることはない。例えば、プラグピン44は、後方から見た平面視において略長方形状の平刃として形成することもできる。また、プラグピン44が2つ形成されたが、プラグピン44は1つであってもよい。これらによっても本実施形態の効果(1)〜(3)に準じた効果を奏することができる。
【0067】
上記実施形態では、コンセント10を直流コンセントとして適用したが、コンセント10を交流コンセントに適用することもできる。
上記実施形態では、電源挿入孔16が中央位置L1より上方に位置するように設けられたが、電源挿入孔16は中央位置L1と同位置もしくは中央位置L1より下方に位置するように設けることもできる。
【0068】
上記実施形態では、コンセント10は1個モジュール寸法として形成されたが、図9(a)に示すように、コンセント10を2個モジュール寸法として形成すること、及び図9(b)に示すように、コンセント10を3個モジュール寸法として形成することもできる。詳細には、2個モジュール寸法の場合、第2部材30には、上下方向Zに配列した状態にて設けられた2個の第1収納部33(図9(a)では不図示)が設けられ、各第1収納部33に第1部材20の基台22(図9(a)では不図示)が収納されている。また3個モジュール寸法の場合、第2部材30には、上下方向Zに配列した状態にて設けられた3個の第1収納部33(図9(b)では不図示)が設けられ、各第1収納部33に基台22(図9(b)では不図示)が収納されている。これら第1部材20及び第2部材30の固定方法は、上記実施形態の固定方法と同様である。
【0069】
上記実施形態では、端子17と電線との接続構造が、錠ばね18及び解除釦19を用いたいわゆる速結端子構造であったが、端子17と電線の接続構造はこれに限定されることはない。例えば、端子17の一部に電線を半田接合により接合することもできる。また端子17に電線と接触する電線接触部及びねじ部材を取り付け、ねじ部材の締め付けによりねじ部材と電線接触部との間に電線を保持する、いわゆるねじ端子とすることもできる。また端子17に電線を挿通する空間を有する周壁を設け、この周壁にねじ部材を螺合した構成において、ねじ部材の締め付けにより、ねじ部材の端部と周壁との間に電線を挟み込む、いわゆるピラー端子とすることもできる。
【0070】
上記実施形態では、表面部15に電源挿入孔16のみが設けられる構成であったが、図10に示すように、電源挿入孔16Aと接地挿入孔16Bとにより構成することもできる。この場合、接地挿入孔16Bは、中央位置L1よりも下方且つ左右方向Yの中央位置に設けられる。この構成では、端子17は、電源挿入孔16Aに対応した2個と接地挿入孔16Bに対応した1個との合計3個となる。
【0071】
上記実施形態では、基台22の移動を規制する規制部として、第2部材30に第2係合部35を設けたが、上記規制部はこれに限定されることはない。基台22の移動を規制すればよいため、第2収納部34を規制部とすることもできる。この場合、基台22と第2収納部34とは例えば軽圧入により固定されることが望ましい。これにより本実施形態の効果(2)に準じた効果を奏することができる。
【0072】
上記実施形態では、コンセント10を壁埋め込み式コンセントに適用したが、コンセント10の適用例はこれに限定されることはない。例えば図11に示すようにテーブルタップ60にコンセント10を適用することもできる。詳細には、テーブルタップ60の外枠を構成するケース61には、3個の収納部62が設けられている。そして各収納部62に第1部材20が収納されている。ケース61と第1部材20との固定方法は上記実施形態の固定方法と同様である。この場合、ケース61が第2部材30に相当するようになる。
【0073】
上記実施形態では、周壁挿入溝14の形状を左右方向Yが長手且つ上下方向Zが短手の略長方形状として形成されたが、周壁挿入溝14の形状はこれに限定されることはない。周壁挿入溝14は、左右方向Y及び上下方向Zの長さが同一の正方形状として設けることもできる。
【0074】
また、周壁挿入溝14及び表面部15の形状は、略四角形状に限定されることなく、周壁挿入溝14が円環形状に形成され、表面部15が円形状に形成することもできる。この構成によっても本実施形態の効果(1)〜(3)に準じた効果を奏することができる。
【0075】
(実施形態の技術事項を上位概念化した付記項)
上記実施形態に示される技術事項を上位概念化したものについて、これを以下に示す。
(付記項1)請求項2に記載のコンセントにおいて、前記基台には、前記第2部材と係合する係合爪が設けられ、前記規制部は、前記第1係合爪と係合する第2係合爪を有することを特徴とするコンセント。
【0076】
(付記項2)付記項1に記載のコンセントにおいて、前記第1係合爪には、前記第2係合爪と係合するときにこの第1係合爪を前記第2係合爪との係合後の位置に案内する傾斜面が設けられることを特徴とするコンセント。
【0077】
(付記項3)付記項2に記載のコンセントにおいて、前記第2係合爪には、ピン挿入方向に向かうにつれて前記第1部材に向かい傾斜する傾斜面が設けられることを特徴とするコンセント。
【符号の説明】
【0078】
KL…基準辺、10…コンセント、11…ボディ、11a…底壁、11b…電線挿通孔、11c…操作孔、11d…端子収納部、12…カバー、12a…前面、13…組立枠、14…周壁挿入溝、14a…第1挿入溝、14b…第2挿入溝、14c…傾斜溝、14d…延長溝、14e…対向辺、15…表面部、15a…第1辺、15b…第2辺、15c…傾斜辺、15d…凹辺、15e…前面、16,16A…電源挿通孔(ピン挿入孔)、16B…接地挿入孔、16a…第1挿入孔、16b…第2挿入孔、17…端子、17a…刃受部、17b…ピン保持部、18…錠ばね、19…解除釦、20…第1部材、21…突出部、21a…側面、22…基台、22a…辺、22b…凹部、22c…前面、23…第1係合部、23a…係合爪、23b…傾斜面、30…第2部材、31…外郭部、32…固定部、33…第1収納部(筒部)、33a…内面(筒部の内面)、34…第2収納部(規制部)、34a…辺、35…第2係合部(規制部)、35a…係合爪、40…プラグ、41…プラグ本体部、42…ケーブル、43…対向面、44…プラグピン、45…周壁、50…化粧プレート、51…開口穴、52…開口穴、53…同軸ケーブル用のコンセント、54…電話線用のモジュラジャック、60…テーブルタップ、61…ケース、62…収納部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグピンとこのプラグピンの周りを囲む周壁とを具備したプラグが着脱自在に接続され、このプラグに電力を供給するコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
上記コンセントとして、AC/DCコンバータによる交流電源から直流電源への変換による電力損失を防ぐために、電気機器に直流電力を供給する直流コンセントが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような直流コンセントでは、通電中において直流コンセントからプラグを引き抜くときに、交流電力をプラグに供給する交流コンセントと比較して直流コンセントとプラグとの間において発生するアークが持続しやすい傾向がある。そこで、プラグに周壁を設け、直流コンセントのカバーに周壁を挿入する周壁挿入溝を設けている。これにより、直流コンセントからプラグを引き抜くときに、周壁によりアークが見え難くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−15835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなカバーは、周壁挿入溝に周壁が挿入される際に周壁挿入溝よりも外側の部位である外郭部に衝突することが多い。一方で、カバーはプラグピン及びこのプラグピンが挿入されるピン挿入孔の周囲が高温となるため、耐熱性に優れた熱硬化性樹脂にて成形されることが一般的である。しかしながら、熱硬化性樹脂は割れやすい性質を有しており、外郭部を熱硬化性樹脂にて成形した場合には上記周壁と周壁挿入溝との衝突に起因して外郭部が破損してしまう可能性がある。なお、このような問題は、直流コンセントのみではなく、周壁挿入溝が設けられた交流コンセントについても同様である。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ピン挿入孔の周囲では耐熱性が高く且つ外郭部では割れ難いカバーを有するコンセントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、プラグピンとこのプラグピンの周りを囲む周壁とを具備したプラグが着脱自在に接続され、このプラグに電力を供給するコンセントであって、当該コンセントは、前記周壁が挿入される周壁挿入溝と、前記周壁挿入溝に囲まれる表面部とが設けられるカバーを有し、前記表面部には、前記プラグピンが挿入されるピン挿入孔が設けられ、前記カバーには、前記表面部を形成する第1部材と、前記周壁挿入溝より外部の部位である外郭部を形成する第2部材とが各別に設けられ、前記第1部材は熱硬化性樹脂にて成形され、前記第2部材は熱可塑性樹脂にて成形されることを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、第1部材を熱硬化性樹脂にて成形されるため、表面部の耐熱性を確保することができる。また第2部材を熱可塑性樹脂にて成形されるため、外郭部を割れ難くすることができる。したがって、プラグの周壁が周壁挿入溝に挿入されるときに外郭部が破損することを抑制することができる。
【0009】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンセントにおいて、前記第1部材には、平板状の基台と、この基台からピン挿入方向に突出するとともにその端面が前記表面部を形成する突出部とが設けられ、前記第2部材には、前記突出部を収納する筒部と、前記基台の移動を規制する規制部とが設けられ、前記周壁挿入溝は、前記第1部材に前記基台が規制された状態において前記突出部の側面と前記筒部の内面とにより形成されることを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、周壁挿入溝が突起部の側面と筒部の側面とにより構成されるため、カバーに周壁挿入溝の専用の形状を別途設ける必要がなくなる。したがって、カバーの形状を簡単化することができる。また、規制部により基台が第1部材に対する移動が規制されるため、第1部材を第2部材に取り付けることにより、周壁挿入溝の幅を一定に維持することができる。
【0011】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のコンセントにおいて、前記周壁挿入溝及び前記表面部は、前記プラグの挿入方向から見た平面視において略四角形状にそれぞれ形成され、前記ピン挿入孔は円形状に形成されるとともに前記表面部の外周縁の一辺に沿った方向に複数配列されるように設けられ、前記ピン挿入孔は、前記ピン挿入孔が配列される配列方向に沿った一辺を基準辺として、この基準辺に対して垂直な方向を規定する垂直方向において、前記基準辺に対向する辺よりも前記基準辺に近づくように偏った位置に設けられることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、丸形のプラグピンが複数本有するプラグが接続されるコンセントにおいて、周壁挿入溝が略四角形状であるため、周壁挿入溝が円筒形状の場合と比較して、プラグの周壁が挿入する方向が限定されるようになる。したがって、作業者がプラグを挿入する向きを容易に理解することができるため、使い勝手が良くなる。そして、ピン挿入孔が、表面部におけるピン挿入孔の配列方向に沿った一辺を基準辺として、この基準辺に対して垂直な方向において、この基準辺に対向する辺よりも同基準辺に近づくように偏った位置に設けられるため、周壁挿入溝やプラグの周壁に別途逆差しのための構造を形成することなく、コンセントにプラグの逆差しを抑制することができるようになる。したがって、コンセントに別途逆差しのための構造を形成した場合と比較して、コンセントの大型化を抑制することができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ピン挿入孔の周囲では耐熱性が高く且つ外郭部では割れ難いカバーを有するコンセントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】同実施形態のコンセントについて、(a)コンセントの斜視構造を示す斜視図、(b)コンセントを前方から見た平面構造を示す平面図、(c)コンセントを後方から見た平面構造を示す平面図。
【図2】同実施形態のコンセントの分解斜視構造を示す斜視図。
【図3】同実施形態の端子について、(a)カバーの分解斜視構造を示す斜視図、(b)カバーの断面構造を示す断面図、(c)(b)の一点鎖線円の拡大構造を示す拡大図。
【図4】同実施形態のコンセントに挿入されるプラグについて、(a)プラグの斜視構造を示す斜視図、(b)プラグの正面構造を示す平面図。
【図5】同実施形態のコンセントとプラグについて、(a)コンセントにプラグが挿入される様子の斜視構造を示す斜視図、(b)コンセントにプラグを逆差しした場合の電源挿入孔とプラグピンとの位置関係を示すコンセントの平面構造を示す平面図。
【図6】同実施形態のコンセントとプラグについて、(a)コンセントにプラグが挿入される前の状態の断面構造を示す断面図、(b)コンセントにプラグが挿入された後の状態の断面構造を示す断面図。
【図7】同実施形態のコンセントについて、(a)〜(d)供給電圧の違いに伴う周壁挿入溝の形状を示すカバーの正面図。
【図8】同実施形態のコンセントについて、(a),(b)壁面に取り付けられた状態の正面構造を示す平面図。
【図9】本発明のコンセントを具体化したその他の実施形態について、(a)2個モジュール寸法のコンセントの斜視構造を示す斜視図、(b)3個モジュール寸法のコンセントの斜視構造を示す斜視図。
【図10】本発明のコンセントを具体化したその他の実施形態について、コンセントの斜視構造を示す斜視図。
【図11】本発明のコンセントを具体化したその他の実施形態について、コンセントをテーブルタップとして適用した場合の斜視構造を示す斜視図。
【図12】比較例としてのコンセントについて、(a)〜(d)コンセントの平面構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図8を参照して、本発明のコンセントを壁埋め込み式の直流コンセントとして具体化した一実施形態について説明する。
図1〜図3を参照して、コンセント10の構成について説明する。以降では、コンセント10の長手方向を「左右方向Y」とし、コンセント10の短手方向を「上下方向Z」とする。そして左右方向及び上下方向の両方に直交する方向を「前後方向X」とする。本実施形態では、前後方向Xが、プラグピン44(図4参照)がコンセント10に挿入される方向であるピン挿入方向に対応するようになる。
【0016】
図1(a)に示すように、コンセント10は、樹脂材料を射出成形することによりそれぞれ成形されたボディ11及びカバー12が金属製の一対の組立枠13により互いに固定されることにより略直方体の器体を構成している。
【0017】
コンセント10は、日本工業規格(JIS C 8303参照)に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠(JIS C 8375参照)に3個まで並べて取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさ(以下、「1個モジュール寸法」)に形成されている。またカバー12の前面12aの左右方向Yの幅H1は、取付枠の矩形状の窓枠の左右方向Yの幅と略等しくなるように形成されている。
【0018】
図1(b)に示すように、カバー12の前面12aには、前面12aから後方に向かい凹む周壁挿入溝14と、周壁挿入溝14によって囲まれた部位にて形成される表面部15とが設けられている。周壁挿入溝14の形状は、前方から見た平面視において、略四角形状からこの略四角形状の4隅のうちの下方の2つを切り取った形状となっている。また表面部15の前面15eは、カバー12の前面12aと前後方向Xにおいて面一となるように設けられている。
【0019】
周壁挿入溝14は、上下方向Zに沿って延びる一対の第1挿入溝14aと、左右方向Yに沿って延びる一対の第2挿入溝14bと、各第1挿入溝14aと下方の第2挿入溝14bとを接続する傾斜溝14cとにより形成されている。傾斜溝14cは、表面部15の上下方向Zの中央位置L1(即ち、表面部15の上下方向Zの長さの半分の位置)より下方に設けられている。また下方の第2挿入溝14bの左右方向Yの中央位置には、この第2挿入溝14bから連続して上方に向かい延びる延長溝14dが設けられている。
【0020】
表面部15の外形は、第1挿入溝14aに対応する第1辺15aと、第2挿入溝14bに対応する第2辺15bと、傾斜溝14cに対応する傾斜辺15cと、延長溝14dに対応する凹辺15dとにより形成されている。傾斜辺15cは傾斜溝14cの一部を構成するとともに傾斜辺15cと対向する対向辺14eと平行となるように設けられている。
【0021】
表面部15の中央位置L1より上方には、前方から見た平面視において円形状の1対の電源挿入孔16が表面部15を上下方向Zに貫通するように設けられている。即ち上方の第2辺15bを基準辺KLとして、電源挿入孔16は下方の第2辺15bよりも基準辺KL側となるように設けられている。
【0022】
ところで、周壁挿入溝14の形状は、電力供給元である電源回路(不図示)の種類の違いに応じて形成されている。この電源回路は、直流電力を供給する直流電力供給部とコンセント10との間に設けられ、例えば分電盤内に設けられている。
【0023】
上記電源回路としては、少なくとも超低電圧回路(ELV:Extra−Low Voltage)と安全超低電圧回路(SELV:Safty Extra−Low Voltage)との2種類がある。これらELV及びSELVについては、IEC規格におけるIEC60950−1及びIEC60335−1にそれぞれ規定されている。
【0024】
情報機器や照明機器等の電気機器は、これらELV及びSELVに応じて内部の絶縁構造が異なっている。即ち、ELVに応じた電気機器では、絶縁構造が二重絶縁構造や強化絶縁構造を採用することにより、この絶縁構造が厳重なものとなっている。一方、SELVに応じた電気機器では、絶縁構造が二重絶縁構造や強化絶縁構造を採用されない場合があり、ELVに応じた電気機器より絶縁構造が簡略化されている。
【0025】
ところで、SELV用のコンセント10にELVに応じた電気機器を接続した場合には、この電気機器の絶縁構造が厳重であるため問題が発生することはない。一方で、ELV用のコンセントにSELVに応じた電気機器を接続した場合には、この電気機器の絶縁構造が簡略化されているため、危険電圧が供給されたときに電気機器が故障してしまう場合がある。そのため、コンセント10及びプラグ40には、ELV用及びSELV用と識別する必要がある。特に、ELV用のコンセントにSELV用に応じた電気機器を誤って接続してしまうことを抑制する必要がある。
【0026】
そこで、本実施形態では、SELV用のカバー12として周壁挿入溝14に延長溝14dが設けられている。一方、ELV用のカバーの周壁挿入溝には延長溝14dが省略して形成されるようにしている。またSELV用の電気機器のプラグ40として周壁45にリブ45aが設けられている。一方、ELV用の電気機器のプラグには、周壁45にリブ45aが省略して形成されるようになる。これにより、ELV用のプラグは、SELV用の周壁挿入溝14に挿入可能であるが、SELV用のプラグは、ELV用の周壁挿入溝に挿入することができなくなる。これにより、ELV用のコンセントにSELV用に応じた電気機器を誤って接続してしまうことを抑制することができるようになる。
【0027】
図1(c)に示すように、ボディ11の底壁11aには、電線が挿通される4個の電線挿通孔11bと、2個の操作孔11cとが設けられている。これら電線挿通孔11b及び操作孔11cのそれぞれは、底壁11aを上下方向Zに貫通する貫通孔である。
【0028】
図2に示すように、ボディ11及びカバー12によって形成された内部空間には、2個の端子17、4個の錠ばね18及び2個の解除釦19がそれぞれ収納されている。各端子17には、2個の錠ばね18が収納されるとともに、この錠ばね18の上下方向Zの間に1個の解除釦19が配置されている。
【0029】
ここでコンセント10への電線の接続及び解除について説明する。
コンセント10に電線を接続する際には、ボディ11の電線挿通孔11b(図1(c)参照)に電線を挿通する。そして電線は錠ばね18に接触するとともに、錠ばね18によって端子17の錠ばね18と左右方向Yに対向する部位に向かい押圧される。これにより端子17と電線との接続が完了する。
【0030】
コンセント10から電線を解除する際には、マイナスドライバー等の工具を操作孔11c(図1(c)参照)に挿入し、解除釦19を前方に移動させる。これにより解除釦19が錠ばね18を押圧して、錠ばね18の電線を押圧する力が低減するようになる。この状態において、電線を後方に向かい引き抜くことによりコンセント10から電線が解除される。
【0031】
図3(a)に示すように、カバー12は、表面部15(図2参照)を構成する第1部材20と、周壁挿入溝14(図1(a)参照)より外側の部位である外郭部31を構成する第2部材30とが互いに固定されることにより形成されている。第1部材20は熱硬化性樹脂にて成形され、第2部材30は熱可塑性樹脂を射出成形することにより成形されている。本実施形態では、第1部材20はユリア樹脂を用いて成形され、第2部材30はポリカーボネートを用いて成形されている。なお第1部材20及び第2部材30の樹脂材料は上記実施形態の樹脂に限定されず、第1部材20が熱硬化性樹脂であり、第2部材30が熱可塑性樹脂であれば、他の樹脂材料を用いることもできる。
【0032】
第1部材20には、前後方向Xに延びるとともに前方の端面が表面部15を形成する突出部21と、突出部21の後方の端部の全周に亘り左右方向Y及び上下方向Zに向かい延びる平板状の基台22とが設けられている。即ち、突出部21は、基台22から前方に突出するように設けられている。この突出部21の形状は、前方から見た平面視において表面部15と同一形状に形成されている(図2参照)。また電源挿入孔16は突出部21及び基台22を前後方向Xにそれぞれ貫通するように設けられている。
【0033】
基台22は、後方からの平面視において略四角形状に形成されている。この基台22の左右方向Yの両端において上下方向Zに沿った辺22aにおける上下方向Zの中央位置には、第1係合部23が設けられている。この第1係合部23は、上記辺22aに設けられた凹部22b内に設けられている。
【0034】
第2部材30には、前方からの平面視において略四角形状の枠体にて構成される外郭部31と、この外郭部31の左右方向Yの両側に突出して設けられる固定部32とが設けられている。固定部32には、組立枠13(図1(a)参照)が固定されるようになる。
【0035】
外郭部31には、突出部21を収納する第1収納部33が外郭部31を前後方向Xに貫通する貫通孔として形成されている。外郭部31の後方の端部には、第1収納部33と連通するとともに、基台22を収納する第2収納部34が設けられている。第2収納部34の左右方向Yの両側において上下方向Zに沿った辺34aにおける上下方向Zの中央位置には、第2係合部35が設けられている。この第2係合部35は、上記辺34aから左右方向Yの内部に向かい突出するように設けられている。また第2収納部34は、外郭部31の後方の端面から前方に基台22の前後方向Xの厚さ分だけ凹む凹形状にて形成されている。
【0036】
図3(b)に示すように、第1係合部23と第2係合部35とが互いに係合することにより、第1部材20及び第2部材30が互いに固定されている。また周壁挿入溝14は、第1収納部33を構成する外郭部31の内面33a、突出部21の側面21a及び基台22の前面22cから囲まれた空間によって構成されている。
【0037】
各電源挿入孔16は、前方の空間を構成する第1挿入孔16aと、後方の空間を構成する第2挿入孔16bとにより構成されている。第1挿入孔16aは、プラグピン44の外径と略同一の内径にて形成され、第2挿入孔16bは第1挿入孔16aより大きい内径にて形成されている。
【0038】
図3(c)に示すように、第1係合部23には、凹部22bの底面から左右方向Yの外部に突出する係合爪23aが設けられている。この係合爪23aの前方の端部且つ左右方向Yの外端部には、傾斜面23bが設けられている。第2係合部35には、前方に向かうにつれて左右方向Yの内部に向かい傾斜する形状の係合爪35aが設けられている。この係合爪35aは、第1収納部33の内面33aより左右方向Yの内部に突出するように設けられている。
【0039】
第2部材30に第1部材20を取り付ける際には、係合爪35aに傾斜面23bが当接する。この状態において係合爪35aに対して傾斜面23bを前方に移動させて、係合爪23aが係合爪35aより前方となるようにする。これにより第1部材20と第2部材30との固定が完了する。
【0040】
次に図4〜図6を参照して、プラグ40の構成及びコンセント10へのプラグ40の挿入構造及び抜去構造について説明する。
図4(a)に示すように、プラグ40は、ケーブル部42と、このケーブル部42と接続するプラグ本体部41とにより構成されている。このプラグ本体部41において、表面部15(図5参照)と前後方向Xに対向する対向面43には、この対向面43から後方に延びる2つの丸型のプラグピン44と、これらプラグピン44を外側から覆う周壁45が設けられている。この周壁45は、周壁挿入溝14(図5参照)と同一形状である。またプラグピン44の後方の端部は、周壁45より若干前方となるように設けられている。
【0041】
図4(b)に示すように、プラグピン44は、周壁45の上下方向Zの中央位置L2に対して上方にそれぞれ設けられている。そしてプラグピン44は、左右方向Yに沿って配列されている。このプラグピン44は、正極のプラグピン(図中の左側)及び負極のプラグピン(図中の右側)により構成されている。
【0042】
図4(a)に示すように、コンセント10にプラグ40が挿入されるときには、周壁挿入溝14に周壁45が挿入される。そして、電源挿入孔16にプラグピン44が挿入される。また電源挿入孔16は、正極のプラグピン44が挿通するための正極側の電源挿入孔及び負極のプラグピン44が挿通するための負極側の電源挿入孔により構成されている。
【0043】
図5(b)に示すように、コンセント10に対してプラグ40を逆差ししようとする場合には、プラグピン44が表面部15の中央位置L1よりも下方に位置するようになる。したがって、表面部15の前面15eにプラグピン44が当接することとなり、コンセント10に対してプラグ40が挿入できないようになっている。
【0044】
なお、「逆差し」とは、正極のプラグピンが、負極側の電源挿入孔に挿入され、負極のプラグピンが、正極側の電源挿入孔に挿入されることをいう。この逆差しをしてしまうと、プラグピン44が適合電圧値に合わなくなるため、プラグピン44に接続された電気機器が故障してしまう場合がある。
【0045】
また、プラグピン44を電源挿入孔16に対して逆差ししようとしても電源挿入孔16とプラグピン44とが上下方向Zにおいて互いに離間するようになるため、上記逆差しを確実に抑制するようになる。
【0046】
図6を参照して、コンセント10のプラグ40が挿入される様子について説明する。
図6(a)に示すように、端子17には、プラグピン44を保持する円筒形状の刃受部17aが設けられている。刃受部17aは各電源挿入孔16の第2挿入孔16bにそれぞれ配置されている。この刃受部17aには、プラグピン44が挿入された状態において、このプラグピン44と当接しつつ保持するピン保持部17bが設けられている。
【0047】
図6(b)に示すように、コンセント10にプラグ40が挿入された状態において、プラグピン44は、刃受部17aによって挟まれた状態にて保持されるようになる。このとき刃受部17aは互いに離間するように弾性変形し、その復元力によってプラグピン44を保持している。これにより、コンセント10とプラグ40とが電気的に導通するようになる。
【0048】
ところで電気機器としては、供給電圧が6V、12V、24V、48Vの複数種類のものが存在している。このような供給電圧が異なる電気機器において、この電気機器が接続されるコンセントの供給電圧が電気機器の供給電圧よりも大きい場合には、電気機器のプラグの絶縁の破損やプラグの発熱の増大を招く場合がある。一方、コンセントの供給電圧が電気機器の供給電圧より低い場合には、電気機器の性能の低下を招く場合がある。そこで本実施形態では、前方から見た平面視において、周壁挿入溝14及び表面部15の四隅のうちの少なくとも1箇所を切り取った形状に形成することにより、コンセント10が供給電圧に応じて識別可能となっている。これにより、供給電圧の互いに異なるコンセント及び電気機器の接続を防止するようにしている。具体的には、供給電圧が24Vの場合を基準として、6V、12V、48Vの周壁挿入溝14の四隅には傾斜溝14cが設けられている。そして表面部15において傾斜溝14cと対応する部分も傾斜辺15cに形成されている。
【0049】
詳細には、図7(a)に示すように、供給電圧が6Vの場合には、周壁挿入溝14の四隅のうちの下方且つ右方の部位に傾斜溝14cが設けられている。図7(b)に示すように、供給電圧が12Vの場合には、周壁挿入溝14の四隅のうちの下方且つ左方の部位に傾斜溝14cが設けられている。図7(c)に示すように、供給電圧が48Vの場合には、周壁挿入溝14の四隅のうちの下方且つ左右方向Yの両方の2箇所の部位に傾斜溝14cがそれぞれ設けられている。なお、図7(d)に示すように、供給電圧が24Vの場合には、周壁挿入溝14の四隅には、傾斜溝14cが形成されていない。
【0050】
また、プラグ40の周壁45の形状も上述の周壁挿入溝14の形状に応じて傾斜部が形成されている。これにより、プラグ40が供給電圧に応じて識別可能となっている。以上により、周壁45の形状と周壁挿入溝14の形状とが適合しない限り、プラグ40はコンセント10に挿入することができなくなる。これにより、供給電圧が互いに異なるコンセント10及びプラグ40を接続することが抑制されるようになる。
【0051】
次に図8を参照して、コンセント10の配置のバリエーションについて説明する。
図8(a)に示すように、コンセント10は取付枠に1個取り付けられた状態において、取付枠の前方から化粧プレート50が取り付けられている。この化粧プレート50には、1個モジュール寸法の開口穴51が設けられており、カバー12の前面12aが露出している。
【0052】
図8(b)に示すように、コンセント10は1個モジュール寸法にて設定されるため、取付枠に対して、同様のコンセント10や1個モジュール寸法または2個モジュール寸法の上記日本工業規格にて規定された他の配線器具(例えば、同軸ケーブル用のコンセント53及び電話線用のモジュラジャック54)がともに取り付けられるようになる。即ち、共通の取付枠にコンセント10と上記配線器具とが取り付けられるようになる。なお化粧プレート50には、3個モジュール寸法の開口穴52が設けられている。なお、上記他の配線器具は、コンセント53やモジュラジャック54に限定されず、例えば交流コンセントやLANケーブル用のモジュラジャック等の他の配線器具も適用することができる。
【0053】
本実施形態のコンセント10によれば、以下に示す効果を奏することができる。
(1)本実施形態によれば、カバー12には、熱硬化性樹脂から成形される第1部材20と、熱可塑性樹脂から成形される第2部材30とが設けられる構成である。したがって、電源挿入孔16の周囲の部位の耐熱性を確保するとともに外郭部31が割れ難くすることができる。したがって、周壁45が周壁挿入溝14に挿入されるときに外郭部31が破損することを抑制することができる。
【0054】
(2)本実施形態によれば、周壁挿入溝14が突出部21、基台22及び第1収納部33により構成されるものである。したがって、カバー12に周壁挿入溝14の専用の形状を別途設ける必要がないため、カバー12の形状を簡単化することができる。
【0055】
また、第1係合部23及び第2係合部35の係合により基台22が第2部材30に対する移動が規制されるため、第1部材20を第2部材30に取り付けることにより、周壁挿入溝14の幅を一定に維持することができる。
【0056】
(3)本実施形態によれば、第1係合部23及び第2係合部35が互いに係合することにより、第1部材20と第2部材30とが互いに固定される構成である。したがって、第1部材20及び第2部材30を固定するためのねじ等の専用の部材を省略することができるため、カバー12の部品点数を低減することができる。さらに第1係合部23及び第2係合部35の係合のみにて第1部材20と第2部材30とが固定されるため、上記専用の部材を用いた構成と比較して、第1部材20と第2部材30との固定作業を容易に行うことができる。
【0057】
(4)本実施形態によれば、周壁挿入溝14が略四角形状の4隅のうちの下方の2隅を切り取った形状に形成された構成である。したがって、図12(a),(b)に示すコンセント100の周壁挿入溝111が円環形状であるIEC規格に準拠するコンセントの場合と比較して、プラグ40の周壁45が挿入する方向が限定されるようになる。これにより、作業者がプラグ40をコンセント10に挿入する向きを容易に理解することができるため、使い勝手がよくなる。その結果、作業者がコンセント10にプラグ40を容易に逆差しを抑制しつつ挿入することができるようになる。
【0058】
そして、電源挿入孔16が表面部15の外周縁のうちの中央位置L1よりも上方に設けられる構成である。したがって、周壁挿入溝14や周壁45に別途逆差しのための構造を形成することなく、コンセント10にプラグ40の逆差しを抑制することができるようになる。したがって、コンセントに別途逆差しのための構造を形成した場合と比較して、コンセント10の大型化を抑制することができるようになる。
【0059】
ところで、図12(b)に示すように、周壁挿入溝111が円環形状である場合、上述のように電源挿入孔112を上方に移動すると、電源挿入孔112間の距離が小さくなり、絶縁耐力が低下してしまう問題がある。また図12(c)に示すように、コンセント100の周壁挿入溝111を四角形状とし、電源挿入孔112を上下方向Zに長手の長方形状に形成した場合、逆差し構造のため電源挿入孔112を上方に移動すると図12(d)に示すように、コンセント100の外形を大きくする必要があった。
【0060】
その点、本実施形態では周壁挿入溝14が上述の形状に形成されるとともに電源挿入孔16が円形状に形成されるため、中央位置L1より上方に電源挿入孔16を設けても電源挿入孔16間の距離が小さくならない。したがって、図12(b)のコンセント100と比較して、絶縁耐力が向上するようになる。また、図12(d)のコンセント100のように大型化する必要がないため、コンセント10の大型化を防止することができる。これにより、コンセント10は1個モジュール寸法に納まるようになる。
【0061】
(5)本実施形態によれば、コンセント10が、日本工業規格に準拠した大きさであって、大角形連用配線器具の取付枠に3個まで取着可能なモジュール寸法の1個分の大きさに形成されるため、同様に規格化された他の配線器具の取付枠にコンセント10を取り付けることができるようになる。したがって、コンセント10専用の取付枠を別途作製する必要がなくなり、取付枠の共通化を図ることができる。これにより、1個モジュール寸法または2個モジュール寸法の大きさに形成された他の配線器具とともに取付枠に取り付けることが可能となるため、コンセント10の使い勝手が良くなる。
【0062】
(6)本実施形態によれば、係合爪23aには傾斜面23bが設けられ、係合爪35aは前方に向かうにつれて左右方向Yの内部に向かい傾斜する形状となる構成である。したがって、傾斜面23bが係合爪35aと当接することにより、係合爪23a及び係合爪35aの互いを案内することとなるため、係合爪35aに対して係合爪23aを容易に係合することができるようになる。
【0063】
(7)本実施形態によれば、係合爪35aは、第1収納部33の内面33aより左右方向Yの内部に突出する構成である。したがって、第2部材30を射出成形するための金型を上下型の2分割した金型構成とすることができる。その結果、金型の簡単化を図ることができる。
【0064】
(8)本実施形態によれば、カバー12の前面12aと表面部15の前面15eとが前後方向Xにおいて面一となる構成である。また、プラグピン44は周壁45よりも若干前方まで延びる構成である。これらの構成によれば、コンセント10にプラグ40を逆差ししたときに、周壁45が周壁挿入溝14に大きく挿入される前に表面部15にプラグピン44が当接するようになる。したがって、作業者が上記逆差ししたことをより明確に認識することができるとともに、逆差ししたときにプラグ40がコンセント10に取り付けられた状態が維持できないようになっている。これにより、逆差しされた状態が維持されることを抑制することができるようになる。
【0065】
(その他の実施形態)
本実施形態のコンセント10は、上記実施形態に限定されることなく、例えば以下の変更が可能である。また、以下の変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものでなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0066】
上記実施形態では、プラグ40のプラグピン44を丸形に形成したが、プラグピン44の形状はこれに限定されることはない。例えば、プラグピン44は、後方から見た平面視において略長方形状の平刃として形成することもできる。また、プラグピン44が2つ形成されたが、プラグピン44は1つであってもよい。これらによっても本実施形態の効果(1)〜(3)に準じた効果を奏することができる。
【0067】
上記実施形態では、コンセント10を直流コンセントとして適用したが、コンセント10を交流コンセントに適用することもできる。
上記実施形態では、電源挿入孔16が中央位置L1より上方に位置するように設けられたが、電源挿入孔16は中央位置L1と同位置もしくは中央位置L1より下方に位置するように設けることもできる。
【0068】
上記実施形態では、コンセント10は1個モジュール寸法として形成されたが、図9(a)に示すように、コンセント10を2個モジュール寸法として形成すること、及び図9(b)に示すように、コンセント10を3個モジュール寸法として形成することもできる。詳細には、2個モジュール寸法の場合、第2部材30には、上下方向Zに配列した状態にて設けられた2個の第1収納部33(図9(a)では不図示)が設けられ、各第1収納部33に第1部材20の基台22(図9(a)では不図示)が収納されている。また3個モジュール寸法の場合、第2部材30には、上下方向Zに配列した状態にて設けられた3個の第1収納部33(図9(b)では不図示)が設けられ、各第1収納部33に基台22(図9(b)では不図示)が収納されている。これら第1部材20及び第2部材30の固定方法は、上記実施形態の固定方法と同様である。
【0069】
上記実施形態では、端子17と電線との接続構造が、錠ばね18及び解除釦19を用いたいわゆる速結端子構造であったが、端子17と電線の接続構造はこれに限定されることはない。例えば、端子17の一部に電線を半田接合により接合することもできる。また端子17に電線と接触する電線接触部及びねじ部材を取り付け、ねじ部材の締め付けによりねじ部材と電線接触部との間に電線を保持する、いわゆるねじ端子とすることもできる。また端子17に電線を挿通する空間を有する周壁を設け、この周壁にねじ部材を螺合した構成において、ねじ部材の締め付けにより、ねじ部材の端部と周壁との間に電線を挟み込む、いわゆるピラー端子とすることもできる。
【0070】
上記実施形態では、表面部15に電源挿入孔16のみが設けられる構成であったが、図10に示すように、電源挿入孔16Aと接地挿入孔16Bとにより構成することもできる。この場合、接地挿入孔16Bは、中央位置L1よりも下方且つ左右方向Yの中央位置に設けられる。この構成では、端子17は、電源挿入孔16Aに対応した2個と接地挿入孔16Bに対応した1個との合計3個となる。
【0071】
上記実施形態では、基台22の移動を規制する規制部として、第2部材30に第2係合部35を設けたが、上記規制部はこれに限定されることはない。基台22の移動を規制すればよいため、第2収納部34を規制部とすることもできる。この場合、基台22と第2収納部34とは例えば軽圧入により固定されることが望ましい。これにより本実施形態の効果(2)に準じた効果を奏することができる。
【0072】
上記実施形態では、コンセント10を壁埋め込み式コンセントに適用したが、コンセント10の適用例はこれに限定されることはない。例えば図11に示すようにテーブルタップ60にコンセント10を適用することもできる。詳細には、テーブルタップ60の外枠を構成するケース61には、3個の収納部62が設けられている。そして各収納部62に第1部材20が収納されている。ケース61と第1部材20との固定方法は上記実施形態の固定方法と同様である。この場合、ケース61が第2部材30に相当するようになる。
【0073】
上記実施形態では、周壁挿入溝14の形状を左右方向Yが長手且つ上下方向Zが短手の略長方形状として形成されたが、周壁挿入溝14の形状はこれに限定されることはない。周壁挿入溝14は、左右方向Y及び上下方向Zの長さが同一の正方形状として設けることもできる。
【0074】
また、周壁挿入溝14及び表面部15の形状は、略四角形状に限定されることなく、周壁挿入溝14が円環形状に形成され、表面部15が円形状に形成することもできる。この構成によっても本実施形態の効果(1)〜(3)に準じた効果を奏することができる。
【0075】
(実施形態の技術事項を上位概念化した付記項)
上記実施形態に示される技術事項を上位概念化したものについて、これを以下に示す。
(付記項1)請求項2に記載のコンセントにおいて、前記基台には、前記第2部材と係合する係合爪が設けられ、前記規制部は、前記第1係合爪と係合する第2係合爪を有することを特徴とするコンセント。
【0076】
(付記項2)付記項1に記載のコンセントにおいて、前記第1係合爪には、前記第2係合爪と係合するときにこの第1係合爪を前記第2係合爪との係合後の位置に案内する傾斜面が設けられることを特徴とするコンセント。
【0077】
(付記項3)付記項2に記載のコンセントにおいて、前記第2係合爪には、ピン挿入方向に向かうにつれて前記第1部材に向かい傾斜する傾斜面が設けられることを特徴とするコンセント。
【符号の説明】
【0078】
KL…基準辺、10…コンセント、11…ボディ、11a…底壁、11b…電線挿通孔、11c…操作孔、11d…端子収納部、12…カバー、12a…前面、13…組立枠、14…周壁挿入溝、14a…第1挿入溝、14b…第2挿入溝、14c…傾斜溝、14d…延長溝、14e…対向辺、15…表面部、15a…第1辺、15b…第2辺、15c…傾斜辺、15d…凹辺、15e…前面、16,16A…電源挿通孔(ピン挿入孔)、16B…接地挿入孔、16a…第1挿入孔、16b…第2挿入孔、17…端子、17a…刃受部、17b…ピン保持部、18…錠ばね、19…解除釦、20…第1部材、21…突出部、21a…側面、22…基台、22a…辺、22b…凹部、22c…前面、23…第1係合部、23a…係合爪、23b…傾斜面、30…第2部材、31…外郭部、32…固定部、33…第1収納部(筒部)、33a…内面(筒部の内面)、34…第2収納部(規制部)、34a…辺、35…第2係合部(規制部)、35a…係合爪、40…プラグ、41…プラグ本体部、42…ケーブル、43…対向面、44…プラグピン、45…周壁、50…化粧プレート、51…開口穴、52…開口穴、53…同軸ケーブル用のコンセント、54…電話線用のモジュラジャック、60…テーブルタップ、61…ケース、62…収納部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグピンとこのプラグピンの周りを囲む周壁とを具備したプラグが着脱自在に接続され、このプラグに電力を供給するコンセントであって、
当該コンセントは、前記周壁が挿入される周壁挿入溝と、前記周壁挿入溝に囲まれる表面部とが設けられるカバーを有し、
前記表面部には、前記プラグピンが挿入されるピン挿入孔が設けられ、
前記カバーには、前記表面部を形成する第1部材と、前記周壁挿入溝より外部の部位である外郭部を形成する第2部材とが各別に設けられ、
前記第1部材は熱硬化性樹脂にて成形され、前記第2部材は熱可塑性樹脂にて成形される
ことを特徴とするコンセント。
【請求項2】
請求項1に記載のコンセントにおいて、
前記第1部材には、平板状の基台と、この基台からピン挿入方向に突出するとともにその端面が前記表面部を形成する突出部とが設けられ、
前記第2部材には、前記突出部を収納する筒部と、前記基台の移動を規制する規制部とが設けられ、
前記周壁挿入溝は、前記第1部材に前記基台が規制された状態において前記突出部の側面と前記筒部の内面とにより形成される
ことを特徴とするコンセント。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコンセントにおいて、
前記周壁挿入溝及び前記表面部は、前記プラグの挿入方向から見た平面視において略四角形状にそれぞれ形成され、
前記ピン挿入孔は円形状に形成されるとともに前記表面部の外周縁の一辺に沿った方向に複数配列されるように設けられ、
前記ピン挿入孔は、前記ピン挿入孔が配列される配列方向に沿った一辺を基準辺として、この基準辺に対して垂直な方向を規定する垂直方向において、前記基準辺に対向する辺よりも前記基準辺に近づくように偏った位置に設けられる
ことを特徴とするコンセント。
【請求項1】
プラグピンとこのプラグピンの周りを囲む周壁とを具備したプラグが着脱自在に接続され、このプラグに電力を供給するコンセントであって、
当該コンセントは、前記周壁が挿入される周壁挿入溝と、前記周壁挿入溝に囲まれる表面部とが設けられるカバーを有し、
前記表面部には、前記プラグピンが挿入されるピン挿入孔が設けられ、
前記カバーには、前記表面部を形成する第1部材と、前記周壁挿入溝より外部の部位である外郭部を形成する第2部材とが各別に設けられ、
前記第1部材は熱硬化性樹脂にて成形され、前記第2部材は熱可塑性樹脂にて成形される
ことを特徴とするコンセント。
【請求項2】
請求項1に記載のコンセントにおいて、
前記第1部材には、平板状の基台と、この基台からピン挿入方向に突出するとともにその端面が前記表面部を形成する突出部とが設けられ、
前記第2部材には、前記突出部を収納する筒部と、前記基台の移動を規制する規制部とが設けられ、
前記周壁挿入溝は、前記第1部材に前記基台が規制された状態において前記突出部の側面と前記筒部の内面とにより形成される
ことを特徴とするコンセント。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコンセントにおいて、
前記周壁挿入溝及び前記表面部は、前記プラグの挿入方向から見た平面視において略四角形状にそれぞれ形成され、
前記ピン挿入孔は円形状に形成されるとともに前記表面部の外周縁の一辺に沿った方向に複数配列されるように設けられ、
前記ピン挿入孔は、前記ピン挿入孔が配列される配列方向に沿った一辺を基準辺として、この基準辺に対して垂直な方向を規定する垂直方向において、前記基準辺に対向する辺よりも前記基準辺に近づくように偏った位置に設けられる
ことを特徴とするコンセント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−113805(P2011−113805A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268960(P2009−268960)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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