説明

コンセント

【課題】水の浸入を抑制することが可能なコンセントを提供する。
【解決手段】コンセント10は、本体11、コンセントユニット12、蓋体13を具備する。本体11は、被設置部Xに設置される。コンセントユニット12は、プラグPの栓刃P1が挿入される挿入口12aと、挿入されたプラグの栓刃に接続される刃受け金具12bを有し、挿入口が一面側に臨んで本体内に配設される。蓋体13は、コンセントユニットの挿入口を覆う閉位置と開放する開位置との間で本体に対して回動可能となるように設けられ、閉位置において少なくとも挿入口の上部を覆うように設けられた突条部13gを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、屋外等に設置されるコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、電気自動車用の充電スタンドが設置されるようになってきている。また、一般家庭においても電動式の自転車が普及し、商用電源から電動式の自転車に充電できるようになっている。これら充電スタンドや一般家庭での充電にはプラグが接続可能なコンセントが屋外に設けられることから、プラグの栓刃を挿入する挿入口から水や塵埃等が浸入しないように、挿入口に蓋体(扉体)を設けたコンセントが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−257918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種コンセントの蓋体は、プラグを差し込まない不使用時には挿入口を覆って閉状態となし、使用時には挿入口から離間させて開状態になるように構成されている。しかし、コンセントの取り付け状態やコンセント近辺での洗車等による使用状態によって蓋体と本体との隙間から水が浸入する恐れがある。特に、蓋体の内面が平面体である場合、水は平坦な蓋体内面あるいはコンセント本体を伝わって侵入する可能性が高い。このため、この種の蓋体付のコンセントにおいては、隙間から伝わってくる水の勢いを如何に緩和し、水の浸入を防ぐかが重要な課題になる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたもので、水の勢いを緩和し、水の浸入を抑制することが可能なコンセントを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態におけるコンセントは、本体、コンセントユニット、蓋体を具備する。本体は、被設置部に設置される。コンセントユニットは、プラグの栓刃が挿入される挿入口と、挿入されたプラグの栓刃に接続される刃受け金具を有し、挿入口が一面側に臨んで本体内に配設される。蓋体は、コンセントユニットの挿入口を覆う閉位置と開放する開位置との間で本体に対して回動可能となるように設けられ、閉位置において少なくとも挿入口の上部を覆うように設けられた突条部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、閉位置において少なくとも挿入口の上部を覆うように設けられた突条部を有する蓋体によって、水の勢いを緩和し、水の浸入を抑制することが可能なコンセントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態であるコンセントを建物の外壁面に設置した状態を示す縦断面図。
【図2】同じくコンセントを、蓋体を閉じた状態で示す斜視図。
【図3】同じくコンセントを、蓋体を開いた状態で示す斜視図。
【図4】同じくコンセントを、プラグを差し込んだ状態で示す縦断面図。
【図5】同じくコンセントの係止手段を示し、(a)は一部を切り欠いて示す斜視図、(b)は係止手段の一部を背面から見たカバー部材の斜視図。
【図6】同じくコンセントを本体とカバー部材に分離して示す斜視図。
【図7】同じくコンセントの変形例を示し、(a)は第1の変形例の要部を示す断面図、(b)は第2の変形例の要部を示す断面図、(c)は第3の変形例の要部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図に従い説明する。
【0010】
本実施形態は、主として電気自動車を充電するために屋外に設置される200V仕様の屋外設置用のコンセント10を構成するもので、図1に示すように、建物外壁面等の被設置部Xに設置される本体11、プラグPの栓刃P1が挿入される挿入口12aと挿入されたプラグPの栓刃P1に接続され、挿入口に面して設けられる刃受け金具12bを有するコンセントユニット12、コンセントユニットの挿入口12aを覆う閉位置と開放する開位置との間で本体11に対して回動可能となるように設けられる蓋体13、本体11を上下左右方向から略覆うように設けられるカバー部材14等で構成する。
【0011】
本体11は、図1および図6に示すように、電気絶縁性を有する合成樹脂で構成された箱状をなし、上面板11a、下面板11bおよび両側面板11c、11c、前面板11dで構成され、背面が開放された断面が矩形状をなす箱状に形成される。そして、上部の外周部および下部の外周部に、本体11を被設置部Xに取り付けるための取付部11eが形成されている。
【0012】
取付部11eは、上面板11a、下面板11bの背面側を鍔状に一体に外方に向けて突出させて形成され、貫通する取付孔11fが形成されている。取付孔11fは、後述するように、本体11を設置するサポート21に対しネジS1によって取り付けるための孔で、上面側および下面側にそれぞれ1個ずつ、上下で計2個が形成されている。
【0013】
また、本体11の前面板11dは、板面が斜め下方に向くように傾斜して形成され、後述するコンセントユニット12の突堤部12dが密封して挿通される円形の開口11d1が形成されている。また、本体11の上面板11aは、後述する係止手段17の係止受部材17bが一体に形成され、係止手段の入口に連続する部分を傾斜することによりガイド面11a1を一体に形成している。
【0014】
なお、本体11は、背面全体が開放された箱状をなして構成したが、背面は電線を通すための挿通孔程度が形成され閉塞されたものでもよい。また、上面板11a、下面板11bおよび両側面板11c、11cは、閉塞された板面に構成したが、板面の一部が開口されたものであってもよい。
【0015】
コンセントユニット12は、図4に示すように、電気絶縁性を有する合成樹脂で箱状をなすように構成され、前面にプラグPの栓刃P1が挿入される挿入口12aが一体に形成され、内部に刃受け金具12bが、その栓刃挿入部12b1が挿入口12aに面するようにして内蔵され、挿入口12aから挿入されたプラグPの栓刃P1が、刃受け金具12bの栓刃挿入部12b1から挿入されて電気的に接続される。
【0016】
コンセントユニット12の挿入口12aは、特に、図3に示すように、コンセントユニット12の前面、すなわち、挿入面12a1から一段下がった凹嵌部12c内に設けられ、挿入口12aに挿入されたプラグPの栓刃P1が使用者の指等に容易に接触しないように構成している。そして、凹嵌部12cを構成するための一段上がった挿入面12a1がアーチ状をなす突堤部12dを構成し、この突堤部12dの頂面に対して、後述する蓋体13の突条部13gが当接するように構成される。
【0017】
なお、刃受け金具12bは、コンセントユニット12に対し、電源接続用の一対の刃受け金具12bと、アース接続用の1個の刃受け金具12b´との計3個の刃受け金具が内蔵され、各刃受け金具には、コンセントの設置時にコンセントユニット12の後面から電源線およびアース線が接続される(図示省略)。
【0018】
そして、コンセントユニット12の突堤部12dが本体11の前面板11dに形成された開口11d1に挿通され、挿入口12aが開口11d1に臨むようにして本体11内に配設される。この際、コンセントユニット12は、その凹嵌部12cを構成する突堤部12dが、本体11の開口部11d1から寸法aだけ若干突出させて配設される(図3)。本実施形態において、この突出寸法aは、約3mmに構成した。
【0019】
また、コンセントユニット12は、傾斜した前面板11dに取り付けられることによって、挿入口12aが斜め下方に向くように位置されて、各刃受け金具12bの栓刃挿入部12b1が斜め下方に向くようにして本体11内に配設される。なお、本実施形態において、各刃受け金具12bは、約30°の角度で斜め下方に向くようにコンセントユニット12に内蔵され本体11内に配設されている。
【0020】
蓋体13は、本体11に配設されたコンセントユニット12の挿入口12a、すなわち、刃受け金具12bの栓刃挿入部12b1を閉塞するための扉をなすもので、電気絶縁性を有する合成樹脂で矩形状をなす板状に一体に形成される。矩形状をなす蓋体13の大きさは、図2、図3に示すように、各挿入口12aを覆うことができ、かつ、後述するカバー部材14の開口部14dよりも小さいが、開口部14dを略覆い開口部の蓋としての機能を有する寸法に形成し、その下辺部13aが本体11の前面板11dの下辺部11gに対して回動可能となるように軸支される。
【0021】
すなわち、本体11の下辺部11gに樹脂からなる別体の軸受15がネジS2によって固定され(図1)、この軸受15の両側に蓋体13の下辺部13aに設けられた一対の軸部13a1、13a1を介在させ、両者にわたって軸15aを挿通して、蓋体13を本体11の前面板11dに軸支する。なお、軸受15と蓋体13の下辺部13aには、コイルスプリング(図示省略)を介在させて、蓋体13が常時コンセントユニット12の挿入口12aおよびカバー部材14の開口部14dを塞ぐ方向に付勢させる。
【0022】
そして、蓋体13の上辺部13dには、外方に向けて突出させた操作用の取っ手13eが一体に形成される。この取っ手13eは、上辺部13dから所定の間隔b寸法だけ離間させて形成する(図2)。これにより、取っ手13eと上辺部13dとの間に土手状の閉塞部13fが形成される。これにより、蓋体13の下辺部13a、すなわち、回動軸部側と反対側に操作用の取っ手13eを設ける場合に、蓋体13の端部、すなわち、上辺部13dから間隔b寸法だけ離間した位置に操作用の取っ手13eを設けることができ、離間した壁、すなわち、閉塞部13fが水や塵埃等の浸入に対する障壁面となり、コンセントの本体11内への水の浸入を防止、若しくは抑制することが可能になる。なお、本実施形態において、間隔寸法bは、約3mmに構成した。図2中、13e1は、取っ手13eにおける長手方向の略中間部分の上面から、閉塞部13fの壁面にわたって形成した凹部で、後述するカバー部材14と本体11との係合手段18を解除するための、ドライバー等の工具を挿入するための凹みである。
【0023】
また、蓋体13の内面には、図3に示すように、突条部13gが一体に形成される。突条部13gは、蓋体13の閉位置において、上述したコンセントユニット12の挿入口12aに対し、水や塵埃等の浸入を防止、若しくは抑制する作用をなすもので、挿入口12aが形成された凹嵌部12cの突堤部12dの頂面に対し、突条部13gの頂面が当接するように、アーチ状突堤部12dの外周部分に、略合致するアーチ状をなす形状に形成される。
【0024】
これにより、万一、蓋体13とカバー部材14との隙間、特に上方および側方の隙間から水が浸入したとしても、突堤部12dと突条部13gの頂面同士が当接することによって、一種の土手が形成され、隙間から伝わってきた水の勢いを緩和して挿入口12a内への水の浸入を防止、若しくは抑制することが可能になる。因みに、突条部13g若しくは突堤部12dが存在しない場合には、隙間から伝わってきた水は、勢いよく平坦な蓋体内面を伝わって凹嵌部12cから挿入口12a内に侵入する恐れがある。
【0025】
また、アーチ状の突条部13gは、蓋体13を合成樹脂によって成形する際には補強用のリブの作用をなし、蓋体を薄く構成することが可能になる。このため、肉厚の蓋体を構成する必要がなくなり、肉引け防止のための設計が不要となり、設計の自由度が向上するとともに、材料費の削減が可能になりコスト的にも有利になる。
【0026】
また、蓋体13は、補強用のリブをなす突条部13gを有することから肉引けの生じ難い、薄い樹脂成形が可能になり、蓋体が変形し難くなることから、突条部13gと突堤部12dとの当接状態を隙間なく保持することができ、隙間から伝わってきた水の勢いを緩和して確実に凹嵌部12c内への水の侵入を防止、若しくは抑制することが可能になる。
【0027】
なお、本実施形態において、突条部13gをアーチ状に形成して、凹嵌部12cの上方および両側方部分さらには下方部分に対して、突条部13gが位置するように構成したが、多くの場合は、上方の隙間から浸入した水が上部の突堤部12dを伝わってくるため、円形をなす凹嵌部12cの上部半円形部分に対応して突条部13gを形成すれば十分で、突条部13gは、少なくとも挿入口12aの上部を覆うように設けられていればよい。
【0028】
さらに、蓋体13内面の略中央部分には、ロック部16が一体に形成される。ロック部16は、刃受け金具12bに接続されたプラグPを本体11側に係合し、抜け止めの作用をなす鉤状の係合爪で構成される。
【0029】
そして、蓋体13は、上記のように構成されることによって、プラグPを接続しない不使用時には、図2に示すように、コンセントユニット12の挿入口12aおよびカバー部材14の開口部14dを塞ぎ、防水および防塵等の作用を果たす。同時に使用時には、カバー部材14の開口部14dから、取っ手13eを指で摘んで、図2中、矢印Cで示す方向に開くことによって、図3のように、挿入口12aが外面に露出し、プラグPを挿入口12aから刃受け金具12bに対して差し込むことが可能になる。
【0030】
また、プラグPを刃受け金具12bに差し込むと、図4に示すように、プラグPの図4中、矢印D方向の移動により、プラグPの外面(図4中、下面)に形成されたロック用の段部P2に対して、ロック部16の係合爪が係合し、プラグの抜け止めがなされる。この抜け止めは、蓋体13に設けられたスプリングの弾力により、常時閉方向に付勢されている蓋体に対してプラグPを、矢印D方向に向けてスライドさせることによって、ロック部16の係合爪がプラグPの段部P2に対し自動的に係合し、係合した状態から蓋体13を開く操作(矢印C方向の操作)によって自動的に解除される。
【0031】
カバー部材14は、図6に示すように、電気絶縁性を有する合成樹脂で構成された箱状をなし、同様に箱状をなす本体11を、上下左右方向から略覆うように、上面板14a、下面板14bおよび両側面板14c、14cで構成され、前面および背面が開放された断面が矩形の箱状をなすように形成されている。カバー部材14の内側形状および寸法は、本体11の外側形状および寸法より若干大きく形成し、カバー部材14内に本体11が挿入され多少の隙間を有して嵌合されるように構成する。
【0032】
カバー部材14の前面には、その略中間にプラグPの栓刃P1が挿通される開口部14dを有し、この開口部14dの上下に対向し、開口部14dに向かって鍔状に一体に形成された一対の縁部14e、14eが形成される。これにより、カバー部材14の全体形状は、開口部14dと上下の縁部14eさらに左右の側面板14c、14cによって、深さのある略額縁状をなすように構成される。
【0033】
そして、略額縁状をなすカバー部材14は、本体11に対して、本体11の全体を略覆うようにして被せられる。すなわち、カバー部材14の開放された背面側を、本体11の前面側に対向させて挿入し嵌合する。この挿入方向は、本体11が被設置部Xに設置された際の、被設置部Xと略直交する方向(図1中、矢印A方向)であって、カバー部材14を本体11に対し被せるようにして挿入する。
【0034】
これにより、本体11の上面板11a、下面板11bおよび両側面板11c、11cが、カバー部材14の上面板14a、下面板14bおよび両側面板14c、14cによって覆われ、同時に、開口部14dが、本体の前面板11dに設けられたコンセントユニット12の挿入口12a、すなわち、突堤部12dを有する凹嵌部12cが外面に露出するように対向させて装着される。さらに、カバー部材14は、本体11の取付部11e、11eを含む外周部を覆うように略額縁状に形成され、取付部11e、特に上下の各取付孔11fにおける防水・防塵が図れる。
【0035】
そして、上記のように装着された本体11とカバー部材14は、係止手段17によって着脱可能に係止され、また着脱が可能な係合手段18によって、さらに係合されて装着される。
【0036】
先ず、係止手段17について説明する。係止手段17は、図5に示すように、本体11の上面板11aとカバー部材14における上面板14aの内面との間に形成された係止部材17aと、この係止部材が挿入される係止受部材17bを有して構成される。
【0037】
係止部材17aは、本実施形態では、断面が略逆T字形をなし、所定の幅を有する幅広の係止板17a1からなり、T字の根元部分がカバー部材14の上面板14aの内面に一体に形成される(図5(b))。
【0038】
係止受部材17bは、本実施形態では、ガイド溝17b1からなり、係止板17a1におけるT字の両端部が挿入される一対の対向する凹溝を有して、本体11の上面板11aの外面に一体に形成される(図6)。また、ガイド溝17b1の入口は、上面板11aに形成されたガイド面11a1に連続するように形成し、係止板17a1の先端部がガイド面11a1によってガイドされガイド溝17b1内に挿入され嵌合される。
【0039】
なお、幅広の係止板17a1の幅寸法cは、対向するガイド溝17b1間の寸法dと略等しいか若干小さく形成する(c≦d)。また係止板17a1の厚さ寸法t1は、凹溝の溝幅寸法t2と略等しいか若干小さく形成し(t1≦t2)、ガイド溝17b1には、係止板17a1が挿入され嵌合される空間部sが形成される。また、係止板17a1およびガイド溝17b1の長手方向は、被設置部Xに対して直交する方向、すなわち、本体11が被設置部Xに設置された際の、被設置部Xと略直交する方向(図1矢印A方向)に沿って形成される。
【0040】
これにより、図5に示すように、係止板17a1の両端部をガイド溝17b1の凹溝に対して、図中矢印A方向にスライドさせることによって、係止板17a1とガイド溝17b1が嵌合し両者が係止される。その結果、ガイド溝17b1を形成した本体11と、係止板17a1を形成したカバー部材14とが係止される。しかも、Aと逆方向にスライドさせることによって両者の係止状態を簡単に解除させることができる。
【0041】
なお、スライドさせる矢印A方向は、本体11が被設置部Xに設置された際の、被設置部Xと略直交する方向(図1矢印A方向)と同様の方向であり、係止手段17における係止板17a1とガイド溝17b1は、カバー部材14を本体11に対し被せるようにして挿入する操作によって、自動的に嵌合して係止され、しかも、カバー部材14を逆方向にスライドさせることにより係止手段の係止状態が自動的に解除され、カバー部材14を本体11から取り外すことができる。
【0042】
この際、カバー部材14は、被設置部Xと略直交する方向(図1矢印A方向)にスライドさせて本体11に対し挿入するので、設置部分の上側の被設置部Xが突出していたり、他の造営物が設けられていた場合などでも、これら突出や造営物によって邪魔されることなく、カバー部材14を本体11に確実に装着することができ、設置場所の制限を受け難くすることが可能になる。
【0043】
さらに、カバー部材14と本体11の装着状態は、幅広の係止板17a1がガイド溝17b1の凹溝に対して嵌合し係止されるので、両者が互いに係止される部分の面積が広くなり、カバー部材14が本体11に対して左右および上下方向にガタツクことなく確実に係止して取り付けることが可能になる。
【0044】
次に、係合手段18について説明する。係合手段18は、図1に示すように、本体11の上面板11aとカバー部材14における上面板14aの内面との間に形成され、樹脂の弾性によって着脱が可能な手段によって構成される。すなわち、係合手段18は、本体11の上面板11aの前面側に一体に形成された係合受爪18aと、樹脂製カバー部材14の上側の縁部14eに一体に形成され、先端に鉤状の係合爪18bを有する係合腕部18cで構成される。本実施形態において、係合爪18bは、縁部14eの幅方向の全体に亘って形成されている。
【0045】
これにより、T字の係止板17a1をガイド溝17b1にスライドさせる操作と同時に、カバー部材14における係合腕部18cの係合爪18bが矢印A方向に移動し、本体11の係合受爪18aと係合される。これにより、係合受爪18aを形成した本体11と、係合腕部18cを形成したカバー部材14とが係合される。しかも、蓋体13の取っ手13eと閉塞部13fにわたって形成された凹部13e1からドライバー等の工具を挿入し、係合腕部18cを上方(図1中矢印B方向)に湾曲させることによって、両者の係合状態を簡単に解除させることができる。
【0046】
上記構成から明らかなように、本体11とカバー部材14は、係止手段17によりガタツクことなく確実に係止されるとともに、係合手段18によって簡単に外れることなく、さらに確実に係合される。しかも、簡単に着脱が可能になるように装着される。
【0047】
上記により、蓋体13およびカバー部材14を有する防水型のコンセント10が構成される。なお、上記に構成されたコンセント10は、パッキングを有する裏面枠20およびサポート21によって、被設置部Xに設置される。
【0048】
次に、上記に構成されたコンセント10の設置手順および作動につき説明する。なお、上記に構成されたコンセント10は、図6に示すように、本体11とカバー部材14を分離した状態にしておく。そして、図1に示すように、被設置部、例えば、一般家庭の建物における外壁面Xに対し、本体11の背面側が外壁面Xと略平行に、すなわち、略鉛直方向になるように設置する。設置は、先ず、サポート21を外壁面Xに予め形成された設置孔X1の外周に木ネジ等によって取り付け、さらにサポート21に対してパッキングを有する裏面枠20をネジによって取り付ける。
【0049】
次に、本体11の各刃受け金具12bに対して、200Vの電源線およびアース線を接続する電気配線を行う。次に、裏面枠20に対し、本体11外周部の取付部11e、11eを合せ、ネジS1、S1を取付孔11f、11fに挿通し、サポート21のネジ孔20aに対してねじ込み固定する。
【0050】
次に、カバー部材14を用意し、カバー部材14の開放された背面を、本体11の前面板11dを被せるように位置合せをし、カバー部材14を、被設置部Xと略直交する方向(図1矢印A方向)に移動させ、本体11をカバー部材14内に挿入する。
【0051】
この際、カバー部材14は、被設置部Xと略直交するA方向に移動させることにより本体11に装着することができるので、設置部分の上側の外壁面X1が突出していたり、他の造営物が設けられていた場合などでも、これら突出や造営物によって邪魔されることなく、カバー部材14を本体11に確実に装着することができる。
【0052】
この移動操作に伴って、先ず、係止手段17の係止板17a1が、傾斜するガイド面11a1にガイドされ、ガイド溝17b1に自動的に嵌合して係止される。同時に、係合手段18の係合爪18bが係合受爪18aに乗り上げ、係合腕部18cが樹脂の弾性に抗して上方に撓み、さらなる移動によって係合爪18bが係合受爪18aを乗り越える。これによって、係合腕部18cが樹脂の弾性力によって下方に復帰し、係合爪18bと係合受爪18aが自動的に係合し、カバー部材14が本体11に対して容易に外れることなく確実に装着される。なお、係合手段18の係合は、係止手段17の係止状態が完了したと略同時になされる。
【0053】
この際、係止手段17および係合手段18は、ともにカバー部材14の本体11に対する装着のための移動操作によって、自動的に係止および係合がなされるので、カバー部材14と本体11との間における係止や係合のための格別な操作が不要となり施工が簡素化される。
【0054】
上記のように外壁面Xに設置されたコンセント10は、次のようにして使用される。すなわち、電気自動車を充電する場合には、図2の状態から、図3に示すように、蓋体13の取っ手13eを摘んで開放する。これにより、カバー部材14の開口部14dが開放されて、コンセントユニット12の挿入口12aが外方に露出される。
【0055】
この状態で図4に示すように、プラグPを本体11の斜め下方から挿入し、栓刃P1を挿入口12aに差し込み充電を開始する。そして、蓋体13の取っ手13eを離すことによってロック部16の係合爪が、プラグPのロック用の段部P2に対して自動的に係合され、使用中に不用意にプラグPがコンセント10から抜けないように保持される。
【0056】
これにより、プラグPを差し込んだ状態、すなわち、コンセントの使用中において、プラグPの上面および両側面側がカバー部材14によって覆われ、上方からの雨水および横方向からの雨水に対してプラグの栓刃P1が挿入された挿入口12aの近辺、すなわち、電気接続部への雨水の侵入を防ぐことが可能となる。
【0057】
次に充電が終了した状態で、蓋体13の取っ手13eを、図4中、矢印C方向に若干開放して、ロック部16の係合爪とプラPの段部P2の係合を解除し、プラグPをコンセント10の挿入口12aから引き抜く。この操作によって、図4に示すように、蓋体13がスプリングの作用によって、自動的に閉位置に向かって回動し、カバー部材14の開口部14dおよび挿入口12aを閉じる(図2)。
【0058】
この際、図1に示すように、挿入口12aが形成された凹嵌部12cの突堤部12dの頂面に対し、蓋体13の内面に形成された突条部13gの頂面が当接し、例えば、コンセント近辺での洗車等により、万一、蓋体13とカバー部材14との隙間、特に上方および側方の隙間から水が浸入したとしても、突堤部12dと突条部13gの頂面同士が当接することによって、一種の土手が形成され、隙間から伝わってきた水の勢いを緩和して挿入口12a内への水の浸入を防止、若しくは抑制することが可能になる。これにより、コンセントの不使用時において、コンセントの挿入口近辺、すなわち、電気接続部が蓋体13およびカバー14によって覆われ、上方および横方向からの水や塵埃等の侵入を防止、若しくは抑制することが可能となる。
【0059】
同時に、蓋体13がスプリングによって、何ら操作をせず自動的に確実に閉位置に向かって回動させることができ、また、プラグを抜くことによって、蓋体13がスプリングによって、何ら操作をせずに自動的に確実に閉位置に向かって回動するので、蓋体13による挿入口12aの閉止操作を忘れても確実に閉止することができる。さらに、スプリングの作用によって、例えば、台風などの風雨の強いときにおいても、不用意な蓋体13の開放、飛散等を防止することが可能になる。同時に、カバー部材14によって本体11の取付部11e、11eが覆われているので、取付部11e、11eにおける防水・防塵が図れるとともに、外観を良好にして見栄えをよくすることができ、さらに、いたずら防止を図ることが可能になる。
【0060】
なお、保守・点検・修理等の際に、カバー部材14を本体11から取り外す場合には、蓋体13の取っ手13eと閉塞部13fにわたって形成された凹部13e1からドライバー等の工具を挿入し、縁部14eに設けられた係合手段18の係合腕部18cを、図1中、矢印B方向に撓ませることによって、係合爪18bと係合受爪18aとの係合を解除し、さらに、上記と逆方向にカバー部材14をスライド移動させるだけで、簡単に取り外すことができる。この場合も係止手段17や係合手段18の格別な解除操作を行うことなく、カバー部材14の取り外し操作によって自動的に解除させることができ、保守・点検・修理等が容易になる。
【0061】
以上、本実施形態において、コンセントユニット12の突堤部12d頂面に対し、蓋体13の内面に形成された突条部13gの頂面を当接するように構成したが、図7(a)に示すように、凹嵌部12cの突堤部12dの外周面側に対し、突条部13gの内周面を嵌合させるように構成してもよい。この構成によれば、突堤部12dの外周面と突条部13gの内周面との間の隙間が鉤状になって長くなり、水の浸入を一層防止、若しくは抑制することが可能になる。
【0062】
また、図7(b)に示すように、凹嵌部12cの突堤部12dの内周面側に対し、突条部13gの外周面を嵌合させるように構成してもよい。さらに、図7(c)に示すように、凹嵌部のない平坦な挿入面12a1を有するコンセントの場合には、平坦な挿入面12a1に対向して蓋体13の突条部13gを設け、その頂面を挿入面12a1に当接することによって挿入口12aを覆うように構成してもよい。さらに、これら各構成において、突堤部12dと突条部13gとの間にシリコンゴム等からなるパッキングを介在させてより確実な防水効果をもたせるように構成してもよい。
【0063】
また、蓋体13は、カバー部材14の開口部14dを塞ぐようにすることが、安全性および外観意匠的にも好ましいが、少なくとも充電部となる挿入口12a近辺を覆っていればよい。また、蓋体13は、スプリングによって常時閉止方向に付勢するように構成したが、常時閉止方向にすることは条件ではなく、手動によって蓋体を閉じ閉止状態にロックする構成であってもよい。また蓋体13は、本体11に対して着脱することができるように構成したものであってもよい。
【0064】
また、係止手段17は、係止部材17aを構成する係止板17a1をカバー部材14に設け、係止受部材17bを構成するガイド溝17b1を本体11に設けたが、逆にしてもよい。すなわち、係止板17a1を本体11に設け、ガイド溝17b1をカバー部材14に設けて構成してもよい。
【0065】
また、本実施形態のコンセントは、屋外に設置されるカバー付のコンセントに適用されることが好ましいが、屋内に設置されるコンセントでもよく、また、露出形でも埋込形でも、さらに、1口用でも2口用、3口用でもよく、その口数に限定されない。さらに、アース端子のないコンセント等であってもよく、特定のコンセントには限定されない。以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
10 コンセント
11 本体
12 コンセントユニット
12a 挿入口
12b 刃受け金具
12c 凹嵌部
12d 突堤部
13 蓋体
13g 突条部
X 被設置部
P プラグ
P1 栓刃


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被設置部に設置される本体と;
プラグの栓刃が挿入される挿入口と、挿入されたプラグの栓刃に接続される刃受け金具を有し、挿入口が一面側に臨んで本体内に配設されるコンセントユニットと;
コンセントユニットの挿入口を覆う閉位置と開放する開位置との間で本体に対して回動可能となるように設けられ、閉位置において少なくとも挿入口の上部を覆うように設けられた突条部を有する蓋体と;
を具備していることを特徴とするコンセント。
【請求項2】
前記コンセントユニットの挿入口は、凹嵌部内に設けられ、蓋体の突条部は、凹嵌部を構成する突堤部に当接するように設けられたことを特徴とする請求項1に記載のコンセント。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−45687(P2013−45687A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183534(P2011−183534)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】