説明

コンタクトレンズ用ポリマー

本発明は(a)少なくとも1種のポリエチレングリコール、(b)少なくとも1種のジイソシアネート、及び、(c)少なくとも1種の式(I)のジオール(式中、nは1〜25の整数である)を含む混合物から調製され、前記ポリエチレングリコール、ジイソシアネート及びジオールは実質的に無水条件下に反応したものである、熱可塑性ポリウレタンコンタクトレンズに関する。本発明のさらなる態様はコンタクトレンズの調製方法に関する。本発明は、また、成形品の形態でのポリウレタンキセロゲルの調製方法であって、(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート及び少なくとも1種の上記のとおりの式Iのジオールを含む反応混合物を調製すること、(ii)工程(i)にて形成された反応混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、(iii)前記ポリウレタンキセロゲルを射出成形して、成形品を形成すること、(iv)該キセロゲル成形品を水和して、コンタクトレンズを形成することの工程を含む、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンタクトレンズ技術の分野に用途を有するPEGをベースとする熱可塑性ポリウレタンポリマーに関する。本発明は、また、このような材料の調製方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ソフトコンタクトレンズは、近視、遠視及び乱視などの視覚的欠陥の補正のための眼鏡に代わる実行可能な代替品となる。初期のレンズは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)に基づくポリマーから製造されていた。これらのレンズは幾分かの快適さを提供したが、角膜低酸素症に関連する問題を防ぐために十分な酸素透過性を提供しなかった。この問題に対処しようとする試みには、メタクリル酸及びN−ビニルピロリドンなどの親水性モノマーとHEMAを共重合させることが含まれた。これらのポリマーは酸素透過性レベルを増加したが、これらのコモノマーの導入により、タンパク質及び脂質の付着、角膜乾燥、汚染及びレンズ脱水などの問題をももたらす。
【0003】
より最近では、新世代のポリマーが酸素レベルをさらに上げるために開発されている。これらの材料は、親水性コモノマーとシリコーンメタクリレートの共重合に基づく。これらの材料から作られるレンズは当初、長期間装着のために設計された。それでも1日装着用製品は現在も存在している。DKのさらなる増加に成功しているが、これらの新しい材料は、なおも脂質結合及び乾燥などの制約に苦しんでおり、そのすべてがレンズの目に対する装着の際の快適性を低減している。
【0004】
それゆえ、1日装着の間の正常な角膜代謝のために十分な酸素レベルを提供しかつ一日をとおした高レベルの快適性を提供する新たなコンタクトレンズ用ポリマーの必要性がなおも存在する。
【0005】
新規コンタクトレンズ材料にかなりの有望性がある1つのクラスのポリマーはPEGをベースとするポリウレタンである。ウレタン化学は、バイオメディカルデバイスの分野で広く研究されてきた。たとえば、米国特許第3,786,034号明細書は多官能イソシアネートと特定のポリオールを反応させることにより形成された硬質親水性ポリウレタン材料を開示している。米国特許第3,821,186号明細書は同様のこのような材料を教示している。同様に、米国特許第4,136,250号明細書は、2モル当量のイソホロンジイソシアネートと高分子量ポリジメチルシロキサンジオールを反応させ、その後、過剰量のヒドロキシル含有モノマーと反応させることにより形成されるポリマーを教示している。さらに、ウレタンコポリマーは米国特許第4,454,309号明細書及び米国特許第4,359,553号明細書に開示されている。
【0006】
米国特許第6,930,196号明細書は(a)少なくとも1種の多官能化合物、(b)少なくとも1種のジイソシアナート、及び、(c)少なくとも1種のジオールを反応させることにより製造されるプレポリマーから調製されたポリウレタンヒドロゲルコンタクトレンズを開示している。そのように形成されたプレポリマーを、その後、過剰量の水と反応させ、コンタクトレンズとしての使用に適したヒドロゲルポリマーを形成する。
【0007】
米国特許第4,644,033号明細書は、非水性溶剤中でのポリオキシエチレンと多官能イソシアネートとの反応から形成されたポリウレタンヒドロゲルを開示している。その材料はコンタクトレンズへと成形されうる。
【0008】
米国特許第5,932,200号明細書はジオール成分及び有機ジイソシアネートを、反応混合物及びジオール成分中の水の量を厳格に選択して反応させることから形成されたポリウレタンを開示している。ポリウレタンは、火傷/創傷ケアドレッシングにおける、また、外科インプラントとしての用途を有するゲルの形態である。
【0009】
米国特許4,885,966号及び米国特許第5,175,229号明細書は、本質的にすべてのOH基がポリイソシアネートによりキャップされている、約7000〜約30,000の分子量を有するイソシアネートキャップされたオキシエチレンをベースとするジオール又はポリオールであるプレポリマーから調製した親水性ポリマーソフトコンタクトレンズを開示している。プレポリマーを水和し、非特異的タンパク質吸着に耐性のある非イオン性表面を有することを特徴とするポリ尿素−ポリウレタンポリマーを形成する。
【0010】
米国特許第4,989,710号明細書は、ポリプロピレングリコールの単位を組み合わせたポリウレタン/尿素ポリエチレングリコールを含有する線状ポリマーを開示している。ポリプロピレングリコールの存在により、より高い弾性率及び引張強度がもたらされる。
【0011】
米国特許第5,563,233号明細書はポリオキシアルキレングリコール、グリコール及び有機ジイソシアナートの反応生成物である親水性ポリエーテルポリウレタンポリマーを開示している。同様に、米国特許第5,932,200号及び同第5,120,816号明細書はポリエチレングリコール及びジイソシアナートの反応生成物から誘導されるヒドロゲルから作られたコンタクトレンズを開示している。反応混合物に定性的に測定した量の水を入れることにより、主鎖中に尿素基を導入する。各場合に、水の存在下により主鎖中に尿素基の生成がもたらされ、それにより、コンタクトレンズ業界では望ましくない弾性率値に増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、コンタクトレンズ業界での使用に適している新たなポリウレタン系材料を提供しようとするものである。本発明のポリウレタン系材料は弾性率、酸素透過性、光透過性、表面濡れ性及び長期間にわたる装着者快適性などの面で模範的な物理的特性を示す熱可塑性コポリマーである。有利には、本明細書に記載された熱可塑性樹脂材料は従来の射出成形装置での使用に適しており、それにより、コンタクトレンズの高スループット生産を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の記載
本発明の第一の態様は、
(a)少なくとも1種のポリエチレングリコール、
(b)少なくとも1種のジイソシアネート、及び、
(c)少なくとも1種の式Iのジオール、
【0014】
【化1】

【0015】
(上式中、nは1〜25の整数であり、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜4である)
を含む混合物から調製され、前記ポリエチレングリコール、ジイソシアネート及びジオールは実質的に無水条件下に反応したものである、ポリウレタンキセロゲルに関する。
【0016】
典型的には、ポリウレタンキセロゲルはコンタクトレンズの形態である。
【0017】
有利には、本発明は、反応体として水を意図的に導入する当該技術分野に知られている方法とは対照的に、実質的に無水条件下に反応体を反応させ、すなわち、反応体として水を添加することなく反応させて、ポリウレタンキセロゲルを形成することを含む。尿素基の導入(反応混合物中における水の存在により生じる)は、材料の弾性率値を増加させ、そのことはコンタクトレンズ業界での使用のための材料では望ましくない。有利なことには、本発明は反応混合物から実質的に水を排除し、それにより、ポリマー主鎖中での尿素基の生成を最少限にし、より低い、より望ましい弾性率値を有する材料を生じるようにする。今回請求している材料は射出成形及び圧縮成形に適する熱可塑性ポリマーである。その材料は、コンタクトレンズを製造するために従来の非熱可塑性材料がキャスト成形されるのと同様にキャスト成形にも適する。
【0018】
本発明の第二の態様は水和状態の上記のとおりのポリウレタンキセロゲルを含むポリウレタンヒドロゲルに関する。典型的に、そのポリウレタンヒドロゲルはコンタクトレンズの形態である。
【0019】
本発明の第三の態様は、
(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート及び少なくとも1種の式Iのジオール、
【0020】
【化2】

【0021】
(上式中、nは1〜25の整数であり、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜4である)を含む混合物を調製すること、
(ii)工程(i)にて形成された混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、及び、
(iii)前記キセロゲルを処理して、コンタクトレンズを形成すること、
を含む、ポリウレタンキセロゲルコンタクトレンズの調製方法に関する。
【0022】
本発明の第四の態様は上記の方法により得ることができるポリウレタンキセロゲルコンタクトレンズに関する。
【0023】
本発明の第五の態様は、上記のとおりのポリウレタンキセロゲルコンタクトレンズを調製すること、及び、前記ポリウレタンキセロゲルコンタクトレンズを水性媒体により水和し、ポリウレタンヒドロゲルコンタクトレンズを形成することを含む、ポリウレタンヒドロゲルコンタクトレンズの調製方法に関する。
【0024】
本発明の第六の態様は、上記の方法により得ることができるポリウレタンヒドロゲルコンタクトレンズに関する。
【0025】
本発明の第七の態様は、
(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート及び少なくとも1種の式Iのジオール、
【0026】
【化3】

【0027】
(上式中、nは1〜25の整数であり、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜4である)を含む反応混合物を調製すること、
(ii)工程(i)にて形成された反応混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、及び、
(iii)前記ポリウレタンキセロゲルを射出成形して、成形品を形成すること、
の工程を含む、成形品の形態でのポリウレタンキセロゲルの調製方法に関する。
【0028】
本発明の第八の態様は、上記のとおりの成形品の形態でポリウレタンキセロゲルを調製すること、及び、前記成形品を水性媒体により水和し、ポリウレタンヒドロゲルを形成することをを含む、成形品の形態でのポリウレタンヒドロゲルの調製方法に関する。
【0029】
本発明の第九の態様は上記のとおりのポリウレタンキセロゲル又はポリウレタンヒドロゲルの製造品に関する。
【0030】
本発明の第十の態様は上記のとおりのポリウレタンキセロゲル又はポリウレタンヒドロゲルのコンタクトレンズの調製における使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
定義
化合物の「官能価」は反応混合物中で反応することができる官能基の数を示すために用いる。そのため、用語ジオールは反応混合物中で反応することができる2個のヒドロキシル基を有する化合物を示すために用いる。用語ジイソシアネートは反応混合物中で反応することができる2個のNCO基を有する化合物を示すために用いる。
【0032】
Dkはバーラー単位で提供される材料の酸素透過係数の測定値であり、ここで、1バーラー=10−11cm.mL.mmHgである。
【0033】
用語「ヒドロゲル」は10wt%以上の水を含むポリマーを示すために本明細書中に用いる。水性媒体中のヒドロゲルは、一般に、水を吸収し、そして元の乾燥形状を保持しているが、拡大されるであろう。ヒドロゲルは、一般に、有意に分解されなければ、水中に溶解して流体溶液を形成することはないであろう。
【0034】
用語「キセロゲル」は十分な水と接触したときにヒドロゲルを形成することができるポリマー材料を示すために用いる。一般に、キセロゲルは乾燥しており、5wt%未満の水を含む。
【0035】
用語「実質的に無水及び/又は脱水」は水の量が実質的に尿素基を有しないポリウレタン主鎖を生じるために十分に低い条件を示すために本明細書中に用いる。好ましくは、反応混合物中の水の量は約0.3wt%未満であり、より好ましくは約0.1wt%未満であり、さらにより好ましくは約0.05wt%未満である。
【0036】
ポリマー材料
本発明はポリマー材料に関し、より詳細には、コンタクトレンズの調製に有用なポリマー材料に関する。ポリマー材料は、一般に、コンタクトレンズとしての使用に適するポリウレタンキセロゲル又はヒドロゲルの形態である。ポリマー材料は、上記の条件下にポリエチレングリコール、式Iのジオール及び少なくとも1種のジイソシアネートを反応させることにより調製される。その後、そのポリマー材料は射出成形、圧縮成形、キャスト成形、スピンキャスト成形又は旋盤加工によりレンズの形状に加工される。
【0037】
好ましくは、本発明のポリマー材料は熱可塑性であり、すなわち、ポリマーは熱及び/又は圧力に暴露されたときに軟化しそして流動化することができる。本明細書中に記載される熱可塑性ポリマーは反応キャスト成形に頼る方法と比較して大規模でレンズのコスト効率的な製造を行うことが可能であるから、コンタクトレンズ業界での使用に理想的である。
【0038】
さらに、水の不在(実際上達成されるかぎり)はポリマー主鎖中に尿素基の生成を最少限にし、それにより、より低い、コンタクトレンズ業界にとってより望ましい弾性率値を有する材料を提供する。
【0039】
有利には、組成物は第二級OH基を全く含まない。それゆえ、得られるポリマーは、高い熱安定性及び耐酸化分解性を示す。好ましくは、組成物は水不溶性である。
【0040】
ポリエチレングリコール
本発明は少なくとも1種のポリエチレングリコール(PEG)の使用を伴う。
好ましくは、ポリエチレングリコールは分子量が約500〜約100,000であり、より好ましくは約1000〜約50,000であり、さらにより好ましくは約3000〜約10,000であり、なおもより好ましくは約5000〜約8000である。
【0041】
1つの非常に好ましい実施形態において、ポリエチレングリコールはPEG6000である。別の非常に好ましい実施形態において、PEGはPEG6088、PEG3350及びPEG1000から選択される。
【0042】
種々の分子量のポリエチレングリコールは市販されており、そして本発明のポリマー材料を提供するために使用されうる。2種以上の異なる分子量のポリエチレングリコールのブレンドも使用できる。
【0043】
好ましくは、ポリエチレングリコールは反応体の約20〜約80wt%の量、より好ましくは約30〜約70wt%、より好ましくは約35〜約60wt%、なおもより好ましくは反応体の約40〜約60wt%の量で使用される。
【0044】
ジオール
本発明のポリマー組成物は式Iのジオールである少なくとも1種の連鎖延長剤を用いて調製される。
【0045】
【化4】

【0046】
上式中、nは1〜25、好ましくは2〜25、適切には2〜10、より適切には2〜4の整数である。nが2以上である場合には、ジオールは1個以上のエーテル基を含む。このようなエーテル基の存在により、得られる組成物の疎水性が増加する。
1つの実施形態において、ジオールはエチレングリコール(EG)であり、すなわち、nは1である。
1つの非常に好ましい実施形態において、ジオールはジエチレングリコール(DEG)であり、すなわち、nは2である。
1つの非常に好ましい実施形態において、ジオールはトリエチレングリコール(TEG)であり、すなわち、nは3である。有利なことには、TEGから得られる組成物は熱加工性ポリマーを製造し、それは完全に水で膨潤した状態で高い光透過率を示す。
1つの非常に好ましい実施形態において、ジオールはテトラエチレングリコール(TTEG)であり、すなわち、nは4である。
【0047】
好ましくは、ジオールは反応体の5〜約45wt%の量で使用され、より好ましくは反応体の約10〜約25wt%の量で使用される。
ジオールがEGである場合には、好ましくは、それは反応体の約2〜約10wt%の量で使用され、より好ましくは反応体の約2〜約6wt%の量で使用される。
ジオールがDEGである場合には、好ましくは、それは反応体の約5〜約20wt%の量で使用され、より好ましくは反応体の約10〜約16wt%の量で使用される。
ジオールがTEGである場合には、好ましくは、それは反応体の約8〜約45wt%の量で使用され、より好ましくは反応体の約14〜約30wt%の量で使用され、さらにより好ましくは反応体の約15〜約25wt%で使用される。
ジオールがTTEGである場合には、好ましくは、それは反応体の約20〜約30wt%の量で使用される。
【0048】
所与の組成物の範囲内のジオールの割合は材料の特性に影響を及ぼすことがある。ジオールはNCO基(たとえば、Desmodur W)と反応して、得られるポリマーマトリックス内に「ハード」ブロックを形成し、このハードブロックは材料に強度(引張特性)を与える。当業者は、このように、所与のジオールの割合が得られる材料の引張特性及びその他の特性を微調整するように調節されうるものと評価するであろう。
【0049】
好ましくは、式Iのジオールは、所与の組成物中において、PEGの量に対して約2〜約60モル当量の量で使用され、好ましくはPEGに対して約5〜約30当量、さらにより好ましくは約15〜約22モル当量の量で使用される。
【0050】
ジイソシアネート
本発明のポリマー組成物は少なくとも1種のジイソシアネートを用いて調製される。好ましくは、ジイソシアネートは有機ジイソシアネートである。ジイソシアネートは幾つかの異なる機能を発揮する。第一に、それはソフトセグメントを生じるポリエチレングリコール成分のカップリング剤として作用する。第二に、それはウレタンリッチのハードセグメントを生じるジオール成分のカップリング剤として作用する。第三に、それは得られるポリマーの分子量の増加のためのソフトセグメントとハードセグメントとのカップング剤として作用する。
【0051】
ジイソシアネートは好ましくは脂肪族ジイソシアネートである。周囲温度で流体である脂肪族ジイソシアネートは特に好ましい。
【0052】
好ましくは、ジイソシアネートは式OCN−R−NCO(式中、Rは直鎖もしくは枝分かれC−C18−アルキレン、未置換もしくはC−C−アルキル置換もしくはC−C−アルコキシ置換C−C10−アリーレン、C−C18−アラルキレン、C−C10−アリーレン−C−C−アルキレン−C−C10−アリーレン、C−C−シクロアルキレン、C−C−シクロアルキレン−C−C−アルキレン、C−C−シクロアルキレン−C−C−アルキレン−C−C−シクロアルキレン又はC−C−アルキレン−C−C−シクロアルキレン−C−C−アルキレンである)を有する。
【0053】
特に好ましいジイソシアネートの例としては、メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネートとトルエン−2,6−ジイソシアネートとの混合物、エチレンジイソシアネート、エチリデンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、4,4”−ビフェニレンジイソシアネート、3,3”−ジクロロ−4,4”−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、クメン−2,4−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、2,5−フルオレンジイソシアネート、ポリマー4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0054】
1つの非常に好ましい実施形態において、ジイソシアナート、デスモジュールW(Desmodur W)(メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、MW=262.5)である。
【0055】
好ましくは、ジイソシアネートは反応体の約0.05〜約55、より好ましくは約10〜約40、より好ましくは約20〜約40wt%の量で使用される。任意の所与の組成物中のジイソシアネートの量は関連するコンタクトレンズ特性/属性を変更させるように調節されうる。
【0056】
反応混合物の化学量論比(OH/NCO比)は得られるポリマーの特性を決定するのに重要な役割を果たし、たとえば、材料の分子量/弾性率は1:1のNCO:OH化学量論比では比較的により高いことが期待され、そしてこのような材料は、また、非化学量論比(たとえば、OH基>NCO基)を有する組成物により与えられるポリマーよりも比較的に低い水和時含水率を与えることが期待される。このように、当業者は所望の弾性率を有しそしてある程度の含水率を有する材料を得るようにNCO:OH化学量論比を調節することができるものと評価するであろう。
【0057】
1つの特に好ましい実施形態において、ポリエチレングリコール、ジオール及びジイソシアネートを、全体としてのNCO/OH比が1.2未満、好ましくは0.8〜約1.1、より好ましくは約0.85〜約0.99、より好ましくは約0.95〜約0.98となるような割合で用いる。
【0058】
好ましくは、触媒の存在下に反応を行う。触媒は重合反応を加速するために使用でき、そして当業者によって通常に使用されるいかなる触媒も使用できる。たとえば、適切な触媒としては、ジブチルスズジラウレート、FeCl、オクタン酸第一スズ、トリエチルアミンなどの第三級アミンなどが挙げられる。1つの非常に好ましい実施形態において、触媒はジブチルスズジラウレート(DBTDL)である。
【0059】
好ましくは、触媒は反応体の約0.01wt%〜約2.0wt%又は約0.01wt%〜約1.0wt%、より好ましくは約0.03〜約0.8wt%、さらにより好ましくは約0.05wt%〜約0.5wt%、なおもより好ましくは約0.05wt%〜約0.2wt%、より好ましくは約0.05wt%〜約0.1wt%の量で使用される。1つの非常に好ましい実施形態において、触媒は反応体の約0.05wt%の量で使用される。
【0060】
好ましくは、反応混合物は乾燥混合物の形態であり、すなわち、混合物は実質的に無水であり、そして実質的に水を排除している。好ましくは、反応混合物の成分は周囲温度で液体である。
【0061】
本発明の反応はジイソシアネートがランダムにPEG及びジオールと反応して進行し、最終的に熱可塑性ポリマーマトリックス/材料を形成する。有利なことには、得られたポリマーマトリックスにより、高い酸素流束が可能となり、高Dkレンズとなる。
【0062】
追加成分
1つの好ましい実施形態において、組成物は1種以上の酸化防止剤をさらに含む。適切な酸化防止剤としてはBHA(ブチル化ヒドロキシルアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)及びアスコルビン酸が挙げられる。好ましくは、酸化防止剤はBHAである。
【0063】
好ましくは、酸化防止剤は任意の所与の組成物中の反応体の約0.01wt%〜約10wt%、より好ましくは反応体の約0.1〜約5wt%、さらにより好ましくは約0.2〜約1wt%の量で使用される。
【0064】
本発明の1つの実施形態によると、酸化防止剤は反応体の約1.0〜約3.0wt%の量で存在する。
【0065】
本発明の1つの好ましい実施形態において、組成物は、1種以上の追加成分、たとえば、弾性率変性剤、可塑剤、保湿剤、潤滑剤、加工助剤、粘度低下剤、相容性改良剤及び/又はポリマーマトリックス構造変性剤をさらに含む。好ましくは、追加成分は、反応体の0〜約20wt%、より好ましくは約2.5〜約10wt%、なおもより好ましくは約4〜約6wt%の量で存在する。
【0066】
適切な弾性率変性剤としては、ポリウレタンの弾性率特性を変更し、酸素透過特性をも変更しうる成分が挙げられる。1つの特に好ましい実施形態において、追加成分はポリエチレングリコール)ジメチルエーテル(PEG DME)であり、それは弾性率変性剤、可塑剤、保湿剤/潤滑剤、加工助剤、粘度低下剤、相容性改良剤及びポリマーマトリックス構造変性剤として作用することができる。様々な分子量(たとえば、250、500、1000、2000)のPEG DMEは市販されており、本発明での使用に適している。好ましくは、本発明の目的のために、PEG DMEは1000の分子量を有する(たとえば、PEG DME−1000)。代わりとして、ポリエチレングリコールジブチルエーテルを使用することもできる。
【0067】
有利なことに、本発明のポリマー組成物にPEG DMEを導入することにより、低減された弾性率のレンズがもたらされる。好ましくは、本発明のポリマー組成物から調製されたレンズの弾性率は約0.1〜約1.2 MPa、より好ましくは約0.3〜約0.8MPa、さらにより好ましくは約0.4〜約0.5 MPaである。
【0068】
1つの好ましい実施形態において、本発明の組成物は1種以上の着色剤をさらに含む。例として、コンタクトレンズ業界で一般に使用される適切な着色剤として下記のものが挙げられる:ベンゼンスルホン酸、4−(4,5−ジヒドロ−4−((2−メトキシ−5−メチル−4−((2−(スルホオキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アゾ−3−メチル−5−オキソ−1H−ピラゾール−1−イル)、[2−ナフタレンスルホン酸、7−(アセチルアミノ)−4−ヒドロキシル−3−((4−((スルホオキシエチル)スルホニル)フェニル)アゾ)−]、[5−((4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ−4−ヒドロキシ−3−((1−スルホ−2−ナフタレニル)アゾ−2,7−ナフタレンジスルホン酸三ナトリウム塩]、[銅、29H,31H−フタロシアニナト(2−)-N29,N30,N31,N32)−スルホ((4−((2−スルホオキシ)エチル)スルホニル)−フェニル)アミノ)スルホニル誘導体]及び[2,7−ナフタレンスルホン酸、4−アミノ−5−ヒドロキシ−3,6−ビス((4−((2−(スルホオキシ)エチル)スルホニル)フェニル)アゾ)-四ナトリウム塩]。
【0069】
本発明における使用のための特に好ましい着色剤は、フタロシアニンブルー及びふタロシアニングリーンなどのフタロシアニン顔料、クロム−アルミナ−コバルト酸化物、酸化クロム、及び、赤、黄色、褐色及び黒色のための種々の酸化鉄、クロモフタールバイオレット及びクロモフタール酸化物グリーンである。有機顔料の使用、特にフタロシアニン顔料、特に、銅フタロシアニン顔料、さらにより具体的には銅フタロシアニンブルー顔料(たとえば、カラーインデックスピグメントブルー15、構成番号74160)の使用が好ましい。二酸化チタンなどの不透明化剤も含まれてよい。特定の用途では、着色剤の混合物は自然の虹彩の外観のより優れたシミュレーションに用いることができる。
1つの好ましい実施形態において、着色剤はリアクティブブルー4などのハンドリング着色剤である。
【0070】
好ましくは、着色剤の質量百分率は約0.0001%〜約0.08%、より好ましくは、0.0001%〜約0.05%である。1つの好ましい実施形態において、着色剤は、約0.005〜約0.08wt%の量で存在する。1つの好ましい実施形態において、着色剤の質量百分率は反応体の約0.0001%〜約0.04wt%、より好ましくは約0.0001%〜約0.03%である。
【0071】
1つの好ましい実施形態において、本発明の組成物は1種以上のUV遮蔽剤又はUV吸収剤をさらに含む。UV吸収剤は、たとえば、約320〜380ナノメートルの範囲のUV−A範囲において比較的高い吸収値を示す強力なUV吸収剤であってよいが、約380nmより上では比較的透明である。好ましくは、UV遮蔽剤はAEHB(アクリルオキシエトキシヒドロキシベンゾフェノンC1816)など市販のUV遮蔽剤である。
【0072】
一般的に言えば、UV吸収剤は、存在する場合は、反応体の約0.5wt%〜約1.5wt%の量で提供される。特に好ましいのは約0.6wt%〜約1.0wt%のUV吸収剤を含み、より好ましくは反応体の約1.0wt%を構成する組成物である。
【0073】
着色剤及び/又はUV遮蔽剤は射出/圧縮成形によるレンズの形成後に、重合後のレンズ水和段階でレンズ中に装填されうる。又は、添加剤(たとえば、着色剤、UV遮蔽剤など)は溶融ポリマーと混合され、ペレット化の前に押出成形されうる。
【0074】
方法
本発明の別の態様は、
(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート及び少なくとも1種の式Iのジオール、
【0075】
【化5】

【0076】
(上式中、nは1〜25の整数であり、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜4の整数である)を含む混合物を調製すること、
(ii)工程(i)にて形成された混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、及び、
(iii)前記ポリウレタンキセロゲルを処理し、コンタクトレンズを形成すること、
を含む、ポリウレタンキセロゲルコンタクトレンズの調製方法に関する。
【0077】
有利には、本発明の方法は、反応体として水を添加せずに、実質的に無水条件下で反応体を反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成することを含む。これにより、当該技術分野において知られた方法とは対照的に、尿素基を実質的に含まないポリウレタン主鎖となる。水の不在(実施可能な限り)は膨潤水弾性率をコンタクトレンズのために望ましくない程度にまで増加しうる尿素基の有意な生成を抑制する。
【0078】
本明細書中で使用されるときに、「実質的に無水」という用語は、水の量が尿素基を実質的に含まないポリウレタン主鎖を生成するように十分に低い条件を指す。
【0079】
好ましくは、反応は実施上達成可能なかぎり少量の水を含んで行われる。より好ましくは、反応混合物中の水の量は、反応体の約0.3質量%未満であり、より好ましくは約0.1質量%未満、さらにより好ましくは、約0.05質量%未満である。
【0080】
加工工程(iii)は、通常、材料をレンズの形状に射出成形又は圧縮成形することを含む。他の適切な加工技術は、キャスト成形、スピンキャスト成形及び旋盤加工が挙げられる。さらに、ポリマー材料のシートを製造し、そしてデバイスを打ち抜くことができる。材料のシートは2枚のプレート(たとえば、テフロンプレート)の間に熱可塑性樹脂材料を圧縮することにより、また、有機溶剤中の材料の溶液から製造されうる。後者の場合には、溶剤を蒸発させる必要がある。
【0081】
本発明のさらなる態様は、上述の方法により得ることができるポリウレタンキセロゲルに関する。
【0082】
本発明の別の態様は、上記のとおりのポリウレタンキセロゲルを調製すること、及び、該ポリウレタンキセロゲルを水性媒体により水和し、ポリウレタンヒドロゲルを形成することを含む、ポリウレタンヒドロゲルを調製する方法に関する。
【0083】
本発明のなおも別の態様は、上記の方法により得ることができるポリウレタンヒドロゲルに関する。
【0084】
1つの好ましい態様において、触媒は反応混合物に添加される。適切な触媒(適切な量に関する指針とともに)は上記のとおりである。1つの非常に好ましい実施形態において、触媒は、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)である。
【0085】
追加の成分、たとえば、上記のとおりの弾性率変性剤、可塑剤、保湿剤、潤滑剤、加工助剤、粘度低下剤、着色剤、相容性改良剤及び/又はポリマーマトリックス構造変性剤も反応混合物中に存在してよい。
【0086】
上述のとおり、重合反応は実質的に無水条件下で行われる。好ましくは、反応体は可能な限り水含有分を減らすために真空下で脱水される。好ましくは、反応体(たとえば、ジオール成分及びPEG成分など)を、ロータリーエバポレータを用いて高温で真空下に脱水される。より好ましくは、反応体は少なくとも80℃、より好ましくは少なくとも95℃での温度で、真空下で脱水される。好ましくは、反応体は少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間、さらにより好ましくは少なくとも4時間以上、高温にて真空下で脱水される。この脱水工程の後に、カールフィッシャーによって測定される反応体の水含有分は好ましくは<0.050%、より好ましくは、<0.035%である。脱水プロセスに関わるタイミング及び条件は使用される機器及び脱水される材料の質量に依存するであろう。一般的に、より多量の材料は脱水により長い時間がかかる。場合により、他の方法は、たとえば、凍結乾燥などを脱水するために使用することもできる。
【0087】
1つの好ましい実施形態において、脱水されたジオール(及び、場合により、酸化防止剤及び/又は可塑剤)を炉内のビーカー中に入れ、そしてそれに、脱水された溶融状態のPEGを添加する。好ましくは、その後、必要量の触媒(たとえば、ジブチルスズジラウレート)を混合物に添加し、カールフィッシャー滴定を用いて湿分を決定する。通常、温度は約73℃±2℃に到達される。ビーカーを、その後、ヒュームフードに移し、内容物を徹底的に攪拌し、均質混合物を与える。必要量のジイソシアナート(たとえば、デスモジュールW(Desmodur W))を、その後、混合物に添加し、そして透明になるまで攪拌する。次いで、通常、この混合物を、蓋で密封した予熱済みポリプロピレンタブ中に分配し、通風室にある炉内で反応させる。
【0088】
1つの好ましい態様において、反応は約70℃〜約120℃、より好ましくは約80℃〜約110℃の温度で行う。1つの非常に好ましい実施形態において、反応は約90℃〜約100℃で行う。
【0089】
好ましくは、混合物を約0.5〜約24時間、より好ましくは約3〜約12時間反応させる。さらにより好ましくは、混合物を少なくとも約5〜約12時間、より好ましくは約8時間反応させる。得られる生成物のFTIRスペクトルにおける2260cm−1のNCO吸収帯の消失は反応が完了していることを示す。
製品を周囲温度に冷却し、そして、必要に応じて低温に冷却した後に、離型する。
好ましくは、製品を炉から取り出し、そして周囲温度に冷却させる。
1つの好ましい実施形態において、製品を成形型から取り出す前に、製品を約−30℃〜約−120℃に冷却する。
好ましくは、製品をフリーザ中で冷却する。なおもより好ましくは、製品を約−50℃〜約90℃、さらにより好ましくは約−60℃〜約−90℃の温度に冷却する。なおもさらに好ましくは、製品を約−80℃の温度に冷却する。好ましくは、製品を少なくとも20分、より好ましくは少なくとも60分間冷却する。
【0090】
有利には、冷却プロセスは、ポリマーマトリックス/材料を収縮させそして界面での相互作用を低減して、製品の離型性を向上させるガラス転移未満の温度をポリマー鎖に達成させることができる。また、冷却プロセスは、次いで行う材料の粒状化を促進/容易にし、粒状化では射出成形機に供給するのに適した顆粒を生成する。
【0091】
さらに別の態様は、コンタクトレンズの製造における、本発明に係るポリウレタンキセロゲル又はポリウレタンヒドロゲルの使用にも関する。
【0092】
成形品の調製方法
本発明の別の態様は、
(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート及び少なくとも1種の式Iのジオール、
【0093】
【化6】

【0094】
(上式中、nは1〜25、より好ましくは2〜10、より好ましくは2〜4の整数である)を含む反応混合物を調製すること、
(ii)工程(i)にて形成された反応混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、及び、
(iii)前記ポリウレタンキセロゲルを射出成形して、成形品を形成すること、
の工程を含む、成形品の形態でのポリウレタンキセロゲルの調製方法に関する。
【0095】
1つの好ましい実施形態において、工程(ii)において形成されたポリウレタンキセロゲルを、射出成形の前に、粒状化し又はペレット化し(通常、射出成形に適したペレットを形成するように押出しそしてチョッピングすることによる)、そして場合により真空下で乾燥させる。射出成形は、好ましくは、当業者に知られている従来の射出成形装置(たとえば、BOY 50M)を使用して行う。
【0096】
本発明のさらなる態様は、上記のとおりの成形品の形態でのポリウレタンキセロゲルを調製すること、及び、該成形品を水性媒体により水和し、ポリウレタンヒドロゲルを形成することを含む、成形品の形態でのポリウレタンヒドロゲルの調製方法に関する。
【0097】
製造品
本発明の別の態様は、上記のとおりのポリマーを含む製造品に関する。
好ましくは、製造品はコンタクトレンズの形態である。
【0098】
コンタクトレンズは、レンズが通常の角膜の代謝を促進するために酸素透過性でなければならない。好ましくは、本発明のポリマー組成物を用いて調製したコンタクトレンズは、少なくとも10バーラー、より好ましくは少なくとも20バーラー、さらにより好ましくは少なくとも30バーラーのDK値を示す。なおもより好ましくは、レンズは約40バーラー以上のDKを有する。
1つの好ましい実施形態において、レンズは約15〜約40バーラー、より好ましくは約25〜約40バーラーのDKを有する。
【0099】
コンタクトレンズは視覚的な欠陥を補正するには有効に機能するために、可視領域の光を透過させることができなければならない。好ましくは、本発明のポリマー組成物を用いて調製したコンタクトレンズは、光透過率が少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%又は97%である。好ましくは、光透過率は、約90〜約100%、より好ましくは約95〜約100%であり、なおもより好ましくは100%である。
【0100】
好ましくは、本発明のポリマー組成物を用いて調製したコンタクトレンズは、弾性率が約0.1〜約1.25MPaであり、より好ましくは約0.25〜約0.75MPaである。
【0101】
コンタクトレンズの弾性率は、ソフトコンタクトレンズの機械特性を制御するのに重要な役割を果たす。さらに、眼上での性能は弾性率により直接的に影響を受ける。1.25MPaを超える値は角膜汚染を生じさせる可能性があり、一方、0.1MPaを下回る弾性率は低い取り扱い特性を有するレンズをもたらす可能性がある。
【0102】
好ましくは、本発明のポリマー組成物を用いて調製したコンタクトレンズは、水含有分が10〜約90質量%、より好ましくは約20〜約80質量%、より好ましくは約25〜約75質量%、さらにより好ましくは約30〜約70質量%、なおもより好ましくは約40〜約70質量%である。
【0103】
レンズの平衡含水率は材料特性の関数であり、レンズのバルク、機械及び物理特性を決定する上で重要な役割を果たす。水は酸素を通過させるための媒体を提供し、弾性率はレンズの眼上での特性/性能を支配する。
【実施例】
【0104】
本発明は下記の非限定的な実施例を参照してさらに説明される。

PEG−IMポリマーの製造方法
PEG 6000(Clariant)であるポリ(エチレングリコール)を95℃で真空下に4時間脱水した。その数平均分子量(Mn)は末端基分析によって測定した。分析により数平均分子量Mn=6088を得た。
同様に、数平均分子量は使用した他のポリエチレングリコールについても測定し、表1−3及び5で表示された例で参照した。
ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、テトラエチレングリコール(TTEG)及びエチレングリコール(Aldrich)をカールフィッシャーにより、湿分含量につきチェックし、湿分含量が<0.035%であるならば、これらの材料は実質的に無水状態であると考え、さらなる脱水を行わずに使用し、さもなければ、必要な低レベルの湿分が達成されるまで、通常、ロータリーエバポレータを用いて95℃で最低で2時間、これらを真空下で脱水した。ClariantからのPEG3350(Mn=3350)を、95℃で4時間、又は、通常、<0.050%である低レベルの湿分含量が達成されるまで脱水を行った。
【0105】
より大きなバッチの製造手順
組成物5、9(表1)、組成物11〜15、17〜23(表2)のために下記の製造手順を用いた。組成物12及び13(表2)は、2つの異なる分子量のPEG材料の混合物の使用をさらに例示する。以下の製造手順を表3の組成物1について使用した。
【0106】
1.所与の組成物に適切であり、表1〜3に示されているとおりの実質的に無水の又は脱水されたホットDEG、TEG、TTEGの必要量を、5kgの2−配置の天秤(Mettler Toledo)を使用して、炉内で95℃で予熱された5リットルガラスビーカー又はテフロンビーカー中に秤量する。
2.同じビーカーにBHAの必要量(表1〜3に示されている)添加する。BHA(ブチルヒドロキシルアニソール、Sigma Aldrich)を、4−配置の分析用天秤(AG 285 Mettler Toledo)を使用して小さなビーカー中に秤量し、そして異なる重量でもって5リットルビーカーに添加する。
3.BHAが溶解するまで、95℃の炉内にビーカーを入れる。
4.表1〜3に示すように、5リットルビーカーに、脱水された溶融状態のPEG6088及び/又はPEG3350を秤量し、慎重に旋回して内容物を混合させる。95℃の炉内にビーカーを再び入れる。
5.シリンジ及び針を用いて、必要量のジブチルスズジラウレート(DBTDL; Sigma Aldrich)をビーカー中に添加する(正確な重量は添加前後の質量差によって取る)。
6.内容物を慎重に混合し、カールフィッシャー滴定装置を使用して混合物の湿分含量を決定する。
7.検量したK型の先端溶接した熱電対(RS Componentsより)を使用して混合物の温度をチェックして、温度を73℃±2℃に到達させる。
8.ヒュームフードにビーカーを移し、オーバーヘッドスターラを用いて内容物を徹底的に混合して、均質混合物とする。
9.Suresafeにより供給されるA2P3フィルタを装備した人工呼吸器(Drager 3500 X plore)を装着する。
10.内容物を攪拌しながら、必要量のデスモジュールW(Desmodur W)(Bayer)をビーカー中に慎重かつゆっくりと添加する。
11.混合物がほぼ透明になるまで内容物を攪拌し続ける。
12.可能な限り迅速に、予熱されたポリプロピレンタブに混合物を分配する。タブを蓋で密封し、95℃で8時間、好ましくは窒素流下に、通風室に入れた炉内で反応させる。
13.製品を室温まで冷却させ、そして必要ならば低温に冷却した後に離型する。
14.このプロセスはポリウレタンの製造業で一般に使用される自動化標準機械(ある程度の最適化を含む)を使用して容易にスケールアップすることができる。
15.得られる製品のFTIRスペクトルにおける2260cm−1でのNCO吸収帯の消失は完全な反応を保証する。
16.製品を、次いで、SG造粒機モデルSG−2427H(Shini Plastic Technologies, Inc.)を用いて、ペレット化/粒状化する。又は、溶融押出し、そして材料を切断することによりペレットを製造できる。これらのペレットを、射出成形(たとえば、標準的なレンズ成形型ツールを使用して雌型部品を射出成形するのに市販射出成形機(BOY 50M)を用いる)の前に、場合により真空下に乾燥する。
【0107】
より小さいバッチの製造手順
以下の方法を用いて、組成物1〜4、6〜8(表1)及び組成物1〜10(表2)などのポリマーのより小さいバッチを製造した。これらの合成は、通風室にて、適切な防護服、手袋、Suresafeによって供給されるA2P3フィルタを装備した半覆面呼吸器(Drager 3500 X plore)を装着して行った。
【0108】
分析用天秤を用いて、所与の組成物に関して表1〜2に示したとおりのBHA及び脱水された溶融状態のPEGの必要量を正確に100mlポリプロピレンカップに秤量し、そしてネジ留め可能な蓋で密封する。BHAが溶解するまでカップを95℃の炉内に数分間入れる。シリンジ及び微細針を使用して、必要量の触媒(DBTDL)をカップに添加し、そして内容物を攪拌して混合する。攪拌は、オーバーヘッドスターラ又はカップにある加熱されたガラス棒の援助によって行うことができる。最後に、必要量のデスモジュールW(Desmodur W)をシリンジを通してカップに添加する。内容物は徹底的に混合し、蓋で密閉する。その後、カップを95℃の炉内に8時間入れて、反応を完了させる。得られる製品のFTIRスペクトルにおける2260cm−1でのNCO吸収帯の消失は完全な反応を確認した。
【0109】
理解を明確にするために、組成物19(表2)に関する以下の説明を提供する。
PEG 6088:1000.1g=1000.1/6088=0.1643モル;
TEG:542.73g=542.73/150.17=3.6141モル、(それゆえ、TEG含有分はPEGのモルの22倍である);
デスモジュールW:970.30g=970.30/262.5=3.6964モル;
NCO/OH=0.9783、この組成物中に存在する、軽微であろうBHAのOH基を無視する。
【0110】
モル比に関して
PEG 6088(0.1643モル)、TEG(3.6141モル)及びデスモジュールW(Desmodur W)(3.6964モル)を、酸化防止剤BHA(5.0264g)及び触媒DBTDL(1.2218g)の存在下で、オーバーヘッドスターラを用いて混合し、ワンショットランダムステップ成長重合法により共反応させ、95℃の炉内で8時間反応させた。PEG及びTEGを、反応に使用する前に湿分を除去するためにロータリーエバポレータを用いて真空下で脱水した。製造工程の個々の手順はより大きなバッチを調製するための方法で上述したのと同一である。
【0111】
特定の組成物中でPEG6088と組み合わせてDEGを使用することで、上記のように「チンダル効果」(すなわち、水和ポリマーフィルムの厚さをとおして垂直に観察したときに若干の曇り)を示すポリマーを生成する。しかしながら、組成物中のDEGの量が低下されると(たとえば、例10)、得られるポリマーは水和状態で透明である。同様に、DEGをPEG 3350と組み合わせて使用するならば(たとえば、例11)、コンタクトレンズ用途のために有用なポリマーを製造することができる。同じことがEGにも当てはまる(例12、13を参照されたい)。
【0112】
表1のすべてのポリマー組成物を、110〜120℃の温度範囲内でメルトフローインデックス装置をとおして押出し、ポリマーの熱可塑性の性質を示した。
表2では、110〜130℃ですべての組成物はメルトフローインデックス装置をとおして非常に小さいダイ膨潤でもって良好に押出され、これらのポリマーの熱可塑性の性質を示している。ホット押出ポリマーは、手動で延伸することによって評価したときに、非常に強かった。水和状態のこれらのポリマーも、手動で延伸することによって評価したときに、非常に強かった。
【0113】
組成物22及び23を粒状化し、そして標準レンズ成形型ツールを使用して雌型部品へ射出成形するように市販の射出成形機(BOY 50M)に別個に装填した。これらの成形品を塩類水溶液中で膨潤させた。完全に水和されたときに、これらの成形品の中心部を打ち抜き、その屈折率及び接触角を測定した。これらを表4に示す。
【0114】
水分含量
含水率は下記式を用いることでレンズの乾燥重量及び水和重量の測定後に計算される。
含水率(%)=(Whydrated lens−Wdry lens)/Whydrated lens×100
【0115】
過剰な表面水を除去した5つの水和レンズを分析用天秤で別々に秤量し、そして平均値をWhydrated lensとした。レンズを、その後、炉内で75℃にて2時間乾燥し、そして別々に再度秤量した。平均値をWdry lensとした。
【0116】
%透過率
%透過率は、ダブルビームUV分光光度計(Jasco V530)を使用してISO8599の指示の下で決定した。標準塩類溶液を含むキュベット中にレンズを入れる。キュベットをサンプルコンパートメント中に配置する。塩類溶液を含む対照用キュベットをUV分光光度計の参照コンパートメントに配置し、スペクトルを%透過率として200〜780nmで記録した。試験をさらに4回繰り返し、550nmでの平均値(%透過率)を記録した。
このように製造したコンタクトレンズを従来の方法によりスチーム滅菌し、又は、UV滅菌技術を含む他の方法により滅菌することができる。
【0117】
DK測定
以下に簡単に記載するとおりのポーラログラフ技術を用いてDK測定(すなわち、酸素透過係数)を行った。10個のレンズを35±0.5℃に設定したガレンカンプインキュベータに24時間入れた。10個の各レンズの中心厚(CT)をRehder ET-3電子厚みゲージにより測定し、そしてこれらのレンズを以下のとおりに積層した:単一レンズスタック、2つのレンズスタック、3つのレンズスタック、4つのレンズスタック。各スタックのCTを3回測定し、それぞれの平均値を計算し、その方法用に特に開発されたスプレッドシートに入れた。また、周囲圧力もスプレッドシートに記録した。レンズのスタックを、35±0.5℃及び湿度>98%に設定したインキュベータに再び入れた。
各スタックを電極上に置き(8.7 mmの電極を有するRehder Permeometer)、レンズと電極との間に閉じ込められた気泡が存在しないことを確認した。電流がその最低点に達したときに、読み取り値をスプレッドシートの該当セクションに記録した。このテストを、すべてのスタックに対して繰り返した。
酸素が電極をとおして通過できないときの測定装置の暗電流読み取り値(バックグラウンド)を記録し、すべてのテスト材料の電流値から差し引いた。酸素分圧及び使用したポーラログラフセンサの表面積を考慮してデータを分析し、そして最終的に縁効果を補正した。その後、DK/t補正値vs.厚さ(cm)のグラフをプロットし、最良適合の傾きの逆数を取って、レンズ材料の酸素透過係数(DK)を示す。
【0118】
弾性率データ
マーリンソフトウェアを含むInstron 5842引張試験システムを使用した引張試験により、本発明に従って調製されたコンタクトレンズの弾性率データを測定した。
基準/規制の相関:ISO 9001 :2008(品質基準: Par 7.6; ISO 13485:2003 メディカルデバイスディレクティブ(Medical Device Directive): Par 7.6; FDA Part 820 QS 規制サブパートG: 検査、モニタリング及び試験装置の制御(Control of inspection, monitoring and test equipment) 820.72。
【0119】
サンプル調製
各レンズに対する厚さ読み取り値をET-3厚さゲージを使用して得た。レンズを切断マット上に平らに置き、2つの長い試料片を、カミソリ刃を用いて平面レンズの中央付近から切り出した。これらの切断した片をサンプル皿中の塩水溶液中に入れた。ピンセットを慎重に用いて、最初に上部クランプに、その後に、下部クランプに接触するようにして、サンプルをクランプに装着した。クランプ間のギャップを、目盛り付きノギスを用いて10mmに設定した。一度設定したら、「ゲージ長さ」を設定するために「リセットGL」ボタンを押した。一度サンプルを装着したら、バランス荷重を0.000Nに設定し、コンソールコントロールを使用して試験した。
【0120】
接触角
計器(モデルPGX.シリアル50104、FIBRO System AB、Swedenにより製造)により液滴の接触角を測定した。
試験されるコンタクトレンズは、脱イオン水(DI水)にそれらを抽出することによって調製した。6つのレンズを、少なくとも500mlの脱イオン水(DI水)を含むジャーに入れた。その後、各ジャーを、少なくとも16時間25℃付近で保存した。その後、DI水を交換し、各ジャーを2時間ローラユニットの上に置いた。その後、レンズをジャーから取り出し、新鮮なDI水を含む標識付きバイアルに別々に入れた。
水和されそして抽出されたレンズを、シリコーンを先端に有するピンセットを用いてジャーから取り出した。リントフリーティシュー上にレンズ前面を下にして置くことによって過剰の水を除去した。その後、レンズを、凸面を上向きにして置き、試験サンプルを4mmカッターを用いて切断した。切断されたレンズセクションを、レンズワイプ上に下に向けて置き、表面の液体を吸収させた。そのセクションを顕微鏡スライド上に配置し、レンズの前面を上に向けそしてセクションを平らに横たわらせた。その後、顕微鏡スライドをカメラゾーン内のPGXの下に置いた。液滴が出現するまで、「ポンプ」をPGX上にプレスし、その後、この液滴はカットレンズストリップの表面上に落ちた。液滴が表面に触れるとすぐに、ソフトウエアで接触角を測定した。すべての6つのレンズにつき、テストを繰り返し、そして平均値を算出した。
表1〜3及び5は現在特許請求しているPEG−射出成形(PEG−IM)組成物の例を示している。
本発明の組成物IM92の射出成形レンズのデータを表6に提供する。
【0121】
本発明の記載した態様の様々な変更及び変形は本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者に明らかであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関して記載されてきたが、特許請求される本発明はそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことは理解されるべきである。実際、本発明を実施するのに記載された実施形態であって、関連分野の当業者に明らかである様々な変更は特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0122】
【表1】

【0123】
【表2】

【0124】
【表3】

【0125】
【表4】

【0126】
【表5】

【0127】
【表6】

【0128】
【表7】

【0129】
【表8】

【0130】
【表9】

【0131】
【表10】

【0132】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のポリエチレングリコール、
(b)少なくとも1種のジイソシアネート、及び、
(c)少なくとも1種の式Iのジオール、
【化1】

(上式中、nは1〜25の整数である)
を含む混合物から調製され、前記ポリエチレングリコール、ジイソシアネート及びジオールは実質的に無水条件下に反応したものである、ポリウレタンキセロゲル。
【請求項2】
前記ジイソシアネートは脂肪族ジイソシアネートである、請求項1記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項3】
前記ジイソシアネートは式OCN−R−NCO(式中、Rは直鎖もしくは枝分かれC−C18−アルキレン、C−C−シクロアルキレン、C−C−シクロアルキレン−C−C−アルキレン、C−C−シクロアルキレン−C−C−アルキレン−C−C−シクロアルキレン又はC−C−アルキレン−C−C−シクロアルキレン−C−C−アルキレンである)を有する、請求項1又は2記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項4】
前記ジイソシアネートはメチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(Desmodur W)である、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項5】
前記ジオールはトリエチレングリコール(TEG)である、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項6】
前記ジオールはジエチレングリコール(DEG)である、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項7】
前記ジオールは式Iを有し、そしてnは2〜25の整数である、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項8】
前記ジオールはテトラエチレングリコール(TTEG)である、請求項1〜4のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項9】
1種以上の酸化防止剤、より好ましくは、BHA(ブチル化ヒドロキシルアニソール)をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項10】
前記混合物は1〜3wt%の酸化防止剤を含む、請求項9記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項11】
前記混合物は触媒をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項12】
前記触媒はスズ、亜鉛、ビスマス及びジルコニウム触媒などの遷移金属触媒、アミン又はポリアミンである、請求項11記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項13】
前記触媒は、ジブチルスズジラウレート、FeCl、オクタン酸第一スズ、トリエチレンアミンから選ばれ、好ましくは、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)である、請求項12記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項14】
1種以上の着色剤、より好ましくは、リアクティブブルー4(Reactive Blue 4)をさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項15】
1種以上のUV遮蔽剤、より好ましくは、AEHB(アクリルオキシエトキシヒドロキシベンゾフェノン)をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項16】
弾性率変性剤、可塑剤、保湿剤及び/又は潤滑剤、より好ましくはPEGdme1000及び/又はPEGdme250をさらに含む、請求項1〜15のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル。
【請求項17】
(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート及び少なくとも1種の式Iのジオール、
【化2】

(上式中、nは1〜25の整数である)を含む混合物を調製すること、
(ii)工程(i)にて形成された混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、及び、
(iii)水性媒体を用いて前記キセロゲルを水和し、ポリウレタンヒドロゲルを形成すること、
を含む、ポリウレタンヒドロゲルの調製方法。
【請求項18】
前記ポリウレタンキセロゲルの形成の後に、該ポリウレタンキセロゲルを成形型中にて処理して成形品を形成し、そして該成形品の形成の後に、該成形品を該成形型から取り出す前に、該成形型を約−30℃〜約−120℃の温度に冷却する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
請求項17及び18のいずれか1項記載の方法により得ることができるポリウレタンヒドロゲル。
【請求項20】
(i)少なくとも1種のポリエチレングリコール、少なくとも1種のジイソシアネート及び少なくとも1種の式Iのジオール、
【化3】

(上式中、nは1〜25の整数である)を含む反応混合物を調製すること、
(ii)工程(i)にて形成された反応混合物を実質的に無水条件下にて反応させ、ポリウレタンキセロゲルを形成すること、及び、
(iii)前記ポリウレタンキセロゲルを射出成形して、成形品を形成すること、
の工程を含む、成形品の形態でのポリウレタンキセロゲルの調製方法。
【請求項21】
工程(ii)にて形成されたポリウレタンキセロゲルを射出成形の前に粒状化させる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
請求項20及び21のいずれか1項記載の成形品の形態でのポリウレタンキセロゲルを調製すること、及び、前記成形品を水性媒体により水和し、ポリウレタンヒドロゲルを形成することを含む、成形品の形態でのポリウレタンヒドロゲルの調製方法。
【請求項23】
前記成形品はコンタクトレンズである、請求項20〜22のいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
請求項1〜16のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル、又は、請求項19記載のポリウレタンヒドロゲルを含む、製造品。
【請求項25】
コンタクトレンズの形態である、請求項24記載の製造品。
【請求項26】
請求項1〜16のいずれか1項記載のポリウレタンキセロゲル、又は、請求項19記載のポリウレタンヒドロゲルのコンタクトレンズの調製における使用。

【公表番号】特表2013−510218(P2013−510218A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537441(P2012−537441)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/GB2010/002026
【国際公開番号】WO2011/055110
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(512115922)オキュテック リミティド (2)
【Fターム(参考)】