説明

コンテナの下部構造

【課題】積荷領域の低床化によって積載可能な積荷の高さを増大させることが可能なコンテナの下部構造の提供。
【解決手段】トンネルリセスパネル部材40は、トレーラの前部の上方で2本のインナサイドフレーム33の間を覆うように配置され、インナサイドフレーム33に接合される車幅方向の両側縁と、トンネルリセス部21を形成する下面と、床面37を形成する上面とを有し、トレーラのメインビーム4の前部に載置される。複数のトンネルリセス外クロスメンバ41は、トンネルリセス部21の車幅方向両側で車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延び、各トンネルリセス外クロスメンバ41は、インナサイドフレーム33の外側面に接合される内端部と、アウタサイドフレーム34の内側面に接合される外端部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーラに積載されるコンテナの下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トレーラのコンテナシャシの前部に、トラクタとの連結高さに合わせて嵩上げするための段差が形成されている場合、積載されるコンテナの前方の床面下部には、コンテナシャシの段差を収納するためのトンネルリセス部(凹所)が形成される。
【0003】
例えば、コンテナの床面下部に、床面の両側で前後に延びる2本のアウタフレームと、アウタフレームの車幅方向内側で前後に延びる2本のインナフレームと、前後方向に複数配置されて車幅方向に延びる横根太(クロスメンバ)と、床面前方で横根太と平行に延びる横梁とが設けられ、インナフレームの前端は、横梁の後面に当接し、横梁の前方にトンネルリセス部が形成され、横梁の前方(トンネルリセス部)の各横根太の両端は、アウタフレームの内側に溶接され、横根太がコンテナシャシに載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−292189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、上方が開放されたコンテナをトレーラに積載する場合、コンテナに積載された積荷は、地上からの高さ制限を受ける。また、天井を有する箱型のコンテナの場合、トレーラに積載されたコンテナは、地上からの高さ制限を受ける。
【0006】
しかし、上記従来の構造では、トンネルリセス部においてトレーラに載置されるクロスメンバは、トンネルリセス部の上方で左右のアウタフレームを連結するため、強度上の理由からある程度の上下幅が必要である。このため、クロスメンバの上下幅だけ床面が嵩上げされて、積載可能な積荷高さの減少を招く。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑み、積荷領域の低床化によって積載可能な積荷の高さを増大させることが可能なコンテナの下部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、トレーラの1対のメインビームに積載されるコンテナの下部構造であって、1対のインナサイドフレームと、1対のアウタサイドフレームと、トンネルリセスパネル部材と、複数のトンネルリセス外クロスメンバとを備える。トレーラの2本のメインビームは、トレーラの前部を嵩上げする段差をそれぞれ有し、前後方向に相対向して延びる。コンテナは、段差を吸収するトンネルリセス部を床面の前方下部に有する。
【0009】
コンテナの2本のインナサイドフレームは、トレーラの2本のメインビームの車幅方向外側に配置されて前後方向に延びる。コンテナの2本のアウタサイドフレームは、2本のインナサイドフレームの車幅方向外側で前後方向に延びる。
【0010】
トンネルリセスパネル部材は、トレーラの前部の上方で2本のインナサイドフレームの間を覆うように配置され、インナサイドフレームに接合される車幅方向の両側縁と、トンネルリセス部を形成する下面と、床面を形成する上面とを有し、メインビームの前部に載置される。
【0011】
複数のトンネルリセス外クロスメンバは、トンネルリセス部の車幅方向両側で車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延び、各トンネルリセス外クロスメンバは、インナサイドフレームの外側面に接合される内端部と、アウタサイドフレームの内側面に接合される外端部とを有する。
【0012】
上記構成では、インナサイドフレームに接合される車幅方向の両側縁と、トンネルリセス部を形成する下面と、床面を形成する上面とを有するトンネルリセスパネル部材を、トレーラの前部の上方で2本のインナサイドフレームの間を覆うように配置し、このトンネルリセスパネル部材をトレーラのメインビームの前部に載置しているので、トンネルリセス部における床面の嵩上げがトンネルリセスパネル部材の上下幅に抑えられる。従って、積荷領域を低床化させることができ、床面上に積載可能な積荷高さを増大させることができる。
【0013】
また、車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延びる複数のトンネルリセス外クロスメンバをトンネルリセス部の車幅方向両側に設け、各トンネルリセス外クロスメンバの内端部と外端部とをインナサイドフレームの外側面とアウタサイドフレームの内側面とにそれぞれ接合しているので、これらのトンネルリセス外クロスメンバによってトンネルリセス部の車幅方向外側の剛性が増大する。すなわち、トンネルリセス部の剛性は、トンネルリセスパネル部材によって確保され、トンネルリセス部の車幅方向外側の剛性は、トンネルリセス外クロスメンバによって確保される。従って、コンテナの前部の床面下部を十分な剛性を有する構造とすることができる。
【0014】
また、上記トンネルリセスパネル部材は、トンネルリセス部床パネルと、補強メンバと、複数の板状のインサイドフレームと、複数の補強リブとを有してもよい。トンネルリセス部床パネルは、トレーラの前部の上方で1対のインナサイドフレームに接合されて、これら2本のインナサイドフレームの間を覆う。補強メンバは、トンネルリセス部床パネルの下面側に接合されてトンネルリセス部床パネルを補強する。インサイドフレームは、トンネルリセス部床パネルの下面側の車幅方向両側でトンネルリセス部床パネルとインナサイドフレームとに接合されて閉断面を形成する。補強リブは、上記閉断面内で車幅方向に沿って配置されトンネルリセス部床パネルとインサイドフレームとに接合される。トンネルリセス部床パネルの上面は、床面を形成し、メインビームの前部には、補強メンバが載置される。
【0015】
また、トンネルリセス部床パネルの車幅方向の両側縁は、インナサイドフレームの内側上部に接合されてもよい。補強メンバは、トンネルリセス部床パネルの下面側で車両前後方向に所定間隔をおいて複数配置されて車幅方向に延びるトンネルリセス内クロスメンバであってもよい。インサイドフレームの上端縁部と下端縁部とは、トンネルリセス部床パネルの下面とインナサイドフレームの内側下部とにそれぞれ接合されてもよい。補強リブは、トンネルリセス部床パネルの下面側の車幅方向両側で車両前後方向に所定間隔をおいて複数配置されてもよい。各補強リブの外縁は、トンネルリセス部床パネルの下面とインサイドフレームの外側面とに接合されてもよい。トンネルリセス外クロスメンバと補強リブとトンネルリセス内クロスメンバとは、車幅方向に沿って略直線状に並んでもよい。
【0016】
上記構成では、トンネルリセス部床パネルがトンネルリセス内クロスメンバによって補強され、またトンネルリセス部床パネルとインナサイドフレームとの接合強度がインサイドフレームと補強リブとによって増大するので、トンネルリセス部の剛性が増大する。
【0017】
また、上記コンテナの下部構造は、複数のクロスメンバと、複数の床部材とを備えてもよい。複数のクロスメンバは、トンネルリセス部の後方で車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延びる。各クロスメンバは、インナサイドフレームを貫通した状態でインナサイドフレームに接合される中間部と、インナサイドフレームから車幅方向外側へ突出して延びてアウタサイドフレームの内側面に接合される両端部と有する。複数の床部材は、トンネルリセス外クロスメンバの上面及びクロスメンバの上面にそれぞれ固定される。床面は、床部材とアウタサイドフレームとインナサイドフレームとトンネルリセスパネル部材の各上面によって、前後方向及び車幅方向に亘って平面状に形成される。
【0018】
上記構成では、トンネルリセス部の後方の剛性は、クロスメンバによって確保される。従って、コンテナの床面下部を十分な剛性を有する構造とすることができる。
【0019】
また、上記コンテナは、積荷の積載領域のうち少なくとも前後方向の中央領域の側方下部が開放状態となり得るコンテナであって、中央領域を区画する床面上に着脱自在に固定されて車幅方向に延びるフォークポケットを備えてもよい。積載領域の前後方向の中央領域の側方下部が開放状態になり得るコンテナには、中央領域の側方下部が常時開放されているコンテナの他、積載領域のうち少なくとも前後方向の中央領域の側方下部を開放可能に積載領域の側方を区画する側面形成部材を備えたコンテナなどが含まれる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、積荷領域の低床化によって既存のプラットホームの高さに容易に合わせることができ、また、積載可能な積荷の高さを増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態のウイング型荷箱が積載されたトレーラを斜め後方から視た斜視図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図2のトレーラの拡大図である。
【図4】ウイング側荷箱が積載される前の図1のトレーラの平面図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】図2のウイング型荷箱をトレーラから下ろして一時保管用脚に載置した状態を示す側面図である。
【図7】図6のウイング型荷箱のコンテナ下部フレームの平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII矢視断面図である。
【図9】図6のウイング型荷箱を前方から視た正面図である。
【図10】図9のX−X矢視断面図である。
【図11】図10の要部拡大図である。
【図12】図11のXII−XII矢視断面図である。
【図13】図11のXIII−XIII矢視断面図である。
【図14】フォークリフトによる積み替えを行う前のウイング型荷箱を示す図3のXIV−XIV矢視断面図である。
【図15】図6のXV−XV矢視断面図である。
【図16】図3の要部拡大図である。
【図17】図16のXVII−XVII矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、トレーラのコンテナシャーシ上に着脱自在に積載される大型のウイング型荷箱(コンテナ)について説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0023】
図1及び図2に示すように、トラクタ1が牽引するトレーラ2の車体は、トレーラシャシフレーム3によって構成される。
【0024】
図3〜図5に示すように、トレーラシャシフレーム3は、車両前後方向に沿って略平行に延びる左右1対のメインビーム4と、車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延びる複数のクロスフレーム5とを有する。メインビーム4は、上下のフランジ部4a,4bがウェブ材4cによって連結されたI状断面を有する(図8参照)。各クロスフレーム5の両端は、メインビーム4の側面に結合され、トレーラシャシフレーム3は、メインビーム4とクロスフレーム5とによって梯子状に形成されている。トレーラシャシフレーム3には、懸架装置7を介して車輪(タイヤ)6が装着される。
【0025】
左右のメインビーム4の前端部には、車幅方向に延びる前側のボルスター10が固着されている。ボルスター10の左右両端は、各メインビーム4から車幅方向外側へ突出して延び、この左右両端の中空内部には、スレッドピンを有する緊締装置13が装着される。ウイング型荷箱20の前下端隅部には、隅金具63(図9参照)が設けられ、緊締装置13は、トレーラシャシフレーム3に載置されたウイング型荷箱20の隅金具63の直ぐ前方に位置する。緊締装置13のスレッドピンの頭部14は、ボルスター10の後面から後方に突出し、ウイング型荷箱20をトレーラシャシフレーム3に載置した際、前下端隅部の隅金具63の孔64(図9参照)に進入して係合し、ウイング型荷箱20の前縁をトレーラシャシフレーム3に着脱自在に固定する。
【0026】
左右のメインビーム4の後端部には、車幅方向に延びる後側のボルスター11が固着されている。ボルスター11の左右両端は、各メインビーム4から車幅方向外側へ突出して延び、この左右両端の中空内部には、ツイストロックを有する緊締装置15が装着される。ウイング型荷箱20の後下端隅部には、隅金具(図示省略)が設けられ、緊締装置15は、トレーラシャシフレーム3に載置されたウイング型荷箱20の隅金具の直ぐ下方に位置する。緊締装置15のツイストロックの頭部16は、ボルスター10の上面から上方に突出し、ウイング型荷箱20をトレーラシャシフレーム3に載置した際、後下端隅部の隅金具の孔に進入して係合し、ウイング型荷箱20の後縁をトレーラシャシフレーム3に着脱自在に固定する。
【0027】
トレーラシャシフレーム3の前端部には、トラクタ1に連結されるキングピン17が設けられる。キングピン17を、トラクタ1の連結部に対応した高さに合わせて配置するため、メインビーム4の前端部は、通称グースネックと称する段差12によって嵩上げされている。この嵩上げに際し、左右のトレーラシャシフレーム3の車幅方向の距離が前方に向かって僅かに狭くなるように、各トレーラシャシフレーム3の段差12は、前方に向かって車幅方向内側斜め上方に延びる(図9参照)。ウイング型荷箱20の前方領域の床面下部には、段差12による高さの変化を吸収して荷室(積載領域)38の床面37を前後の全域に亘って平坦面状とするためトンネルリセス部21(図7参照)と称する領域が形成される。
【0028】
図1に示すように、ウイング型荷箱20は、コンテナ下部フレーム22、複数の床部材23(図8参照)、前後の枠部材24,25、センタービーム26、前パネル部材27、開閉扉28、左右のウイング29、及び左右の煽り(側面形成部材)30,31,32を有する。
【0029】
枠部材24,25は、荷室38の前後でコンテナ下部フレーム22からそれぞれ立設されている。前側の枠部材24には、荷室38の前方を閉止する前パネル部材27が固定され、後側の枠部材25には、荷室38の後方を開閉する開閉扉28が回転自在に連結されている。煽り30,31,32は、ウイング型荷箱20の左右にそれぞれに3枚ずつ(前と中央と後の3箇所に)配置される。各煽り30,31,32は、ヒンジ部材39によってサイドレール36に回転自在に連結され(図17参照)、荷室38の側方下部を開閉する。起立状態の煽り30,31,32は、前後の枠部材24,25に支持されて荷室38の内側面の下部を区画する。
【0030】
前後の枠部材24,25は天井側の上フレーム24a,25aをそれぞれ有し、前後の上フレーム15間にセンタービーム26が架設されている。
【0031】
左右のウイング29は、天井面体29aと側壁部29bとを有する断面L字状であり、左右の天井面体29aの車幅方向の内端縁部は、センタービーム26にヒンジ(図示省略)を介してそれぞれ回転自在に連結されている。天井面体29aは、駆動機構(例えば油圧シリンダ機構、図示省略)によって回転移動し、天井面体29aの回転移動によってウイング29が開閉移動する。全閉状態において、天井面体29aは荷室38の天井を、側壁部29bは荷室38の側面の上部をそれぞれ区画する。
【0032】
図7〜図10に示すように、コンテナ下部フレーム22は、左右1対のインナサイドフレーム33と、左右1対のアウタサイドフレーム34と、複数のクロスメンバ35と、左右1対のサイドレール36と、トンネルリセスパネル部材40と、複数のトンネルリセス外クロスメンバ41とを有し、ウイング型荷箱20の床面下部を形成する。
【0033】
左右のインナサイドフレーム33は、メインビーム4の車幅方向外側で、車幅方向に離間して前後方向に延びる。左右のアウタサイドフレーム34は、左右のインナサイドフレーム33の車幅方向外側で前後方向に延びる。複数のクロスメンバ35は、トンネルリセス部21の後方で、車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延びる。左右のサイドレール36は、左右のアウタサイドフレーム34の車幅方向外側で前後方向に延びる。
【0034】
インナサイドフレーム33とアウタサイドフレーム34とクロスメンバ35とは、それぞれ上側のフランジ部33a,34a,35aと下側のフランジ部33b,34b,35bとがウェブ材33c,34c,35cによって連結されたI状断面を有する(図8参照)。2本のインナサイドフレーム33と2本のアウタサイドフレーム34とは、互いに略平行に配置され、ともにウイング型荷箱20の前端から後端まで延びる。
【0035】
ウイング型荷箱20のトンネルリセス部21の後方(前後方向の中央領域及び後方領域)において、左右のインナサイドフレーム33のウェブ材33cの前後方向の所定位置には、I型に切り抜かれた複数の貫通孔(図示省略)が形成されている。各クロスメンバ35の中間部は、左右のインナサイドフレーム33の貫通孔を貫通した状態でインナサイドフレーム33に溶着等によって接合され、各クロスメンバ35の両端部は、インナサイドフレーム33から車幅方向外側へ突出して延びて左右のアウタサイドフレーム34のウェブ材34cの内側面に接合される。
【0036】
アウタサイドフレーム34のビーム高さは前後方向において均一ではなく、前端側及び後端側に比べて高い強度が要求される前後方向の中間部分では、そのビーム高さ(ウェブ材34cの上下方向の長さ)が下方に延長されている。サイドレール36は、車幅方向内側へ開口するU状断面を有し、アウタサイドフレーム34の車幅方向外側に近接して配置される。
【0037】
アウタサイドフレーム34の前側部分及び後側部分において、サイドレール36のU状断面の両端部は、アウタサイドフレーム34の上下のフランジ部34a、34bにそれぞれ接合される。また、アウタサイドフレーム34の下フランジ部34bが下方に配置される中央部分では、サイドレール36の上側の端部がアウタサイドフレーム34の上側のフランジ部34aに接合され、下側の端部はアウタサイドフレーム34に接合されない。
【0038】
図10〜図13に示すように、トンネルリセスパネル部材40は、トンネルリセス部床パネル42と、複数のトンネルリセス内クロスメンバ(補強メンバ)43と、左右1対のインサイドフレーム44と、複数の板状の補強リブ45とを有する。
【0039】
トンネルリセス部床パネル42は、要求される剛性に応じた板厚を有する金属板(例えば鋼板)からなり、2本のインナサイドフレーム33の前部(段差12の前方の略水平部分)の間を覆う。複数のトンネルリセス内クロスメンバ43は、トンネルリセス部床パネル42の下面側で車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延びる。インサイドフレーム44は、車両前後方向に延びる所定形状の板材であり、トンネルリセス部床パネル42の下面側の車幅方向両側にそれぞれ設けられる。複数の補強リブ45は、トンネルリセス部床パネル42の下面側の車幅方向両側で車両前後方向に所定間隔をおいて配置される。トンネルリセス内クロスメンバ43、インサイドフレーム44及び補強リブ45は、それぞれ金属板(例えば鋼板)を加工することによって形成される。
【0040】
トンネルリセス部床パネル42の車幅方向の両側縁は、インナサイドフレーム33の内側上部(上側のフランジ部33aの内縁部)に接合され、トンネルリセス部床パネル42の上面は、床面37を形成する。各トンネルリセス内クロスメンバ43は、上方に開口するU状断面を有する。このU状断面の両端がトンネルリセス部床パネル42の下面に接合されることにより、トンネルリセス内クロスメンバ43は、トンネルリセス部床パネル42との間に閉断面を形成してトンネルリセス部床パネル42を補強する。インサイドフレーム44は、その上端縁部と下端縁部とがトンネルリセス部床パネル42の下面とインナサイドフレーム33の内側下部(下側のフランジ部33bの内縁部)とにそれぞれ接合され、トンネルリセス部床パネル42及びインナサイドフレーム33との間に閉断面を形成する。インサイドフレーム44には、トンネルリセス内クロスメンバ43の両端部が接合され、トンネルリセス内クロスメンバ43は、インサイドフレーム44を介して左右のインナサイドフレーム33を連結する。各補強リブ45は、インサイドフレーム44が形成する閉断面内で車幅方向に沿って配置される。補強リブ45の外縁のうち上縁部分はトンネルリセス部床パネル42の下面に接合され、内側縁部分と下縁部分とはインサイドフレーム44の外側面に接合される。トンネルリセスパネル部材40の車幅方向の両端部において、トンネルリセス内クロスメンバ42の下面がメインビーム4の前部に載置される。
【0041】
複数のトンネルリセス外クロスメンバ41は、トンネルリセス部21の車幅方向両側で車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延びる。各トンネルリセス外クロスメンバ41は、矩形管形状を有する。各トンネルリセス外クロスメンバ41の内端部は、インナサイドフレーム33の外側面(ウェブ材33cの外側面)に接合され、外端部は、アウタサイドフレーム34の内側面(ウェブ材34cの外側面)に接合される。トンネルリセス外クロスメンバ41と補強リブ45とトンネルリセス内クロスメンバ43とは、車幅方向に沿って略直線状に並んで配置される。
【0042】
床部材23は、木製板であり、トンネルリセス部21の後方において、左右のインナサイドフレーム33の間及び隣接するインナサイドフレーム33とアウタサイドフレーム34との間で、クロスメンバ35の上面(上側のフランジ部35aの上面)に固定される(図8参照)。また、トンネルリセス部21では、隣接するインナサイドフレーム33とアウタサイドフレーム34との間で、トンネルリセス外クロスメンバ41の上面に固定される(図10参照)。この状態で、床部材23の上面と、インナサイドフレーム33の上面(上側のフランジ部33aの上面)と、アウタサイドフレーム34の上面(上側のフランジ部34aの上面)と、トンネルリセス部床パネル42の上面とは、前後方向及び車幅方向に亘って平面状の床面37を形成する。床面37は、荷室38の下方を区画し、床面37上に荷物が積載される。
【0043】
また、中央の煽り31は、荷室38のうち前後方向の中央領域の側方下部を開放する。この中央領域を区画する床面37上には、前後1対のフォークポケット50がそれぞれ着脱自在に固定されて車幅方向に延びる。
【0044】
図16及び図17に示すように、フォークポケット50は、ハット状断面の板状部材であり、フォークリフト60の爪61(図14参照)が差し込まれる爪挿入空間51を区画するU状のポケット本体52と、ポケット本体52の前後の下端縁から曲折して相反する方向(前方及び後方)へそれぞれ延びる前後の固定フランジ部53とを一体的に有する。フォークポケット50の車幅方向の両端部には、補強ブラケット54が設けられている。補強ブラケット54は、フォークポケット50の外面形状に沿って曲折されたハット状断面の板状部材であり、フォークポケット50の外面に重ねられて固着されている。フォークポケット50の固定フランジ部53には、補強ブラケット54の補強フランジ部55が積層され、固定フランジ部53と補強フランジ部55とには、両者を貫通するボルト挿通孔56が形成されている。フォークポケット50の両端部は、床面37を形成する左右のアウタサイドフレーム34の上面(上側のフランジ部34aの上面)の前後方向の所定位置に載置される。アウタサイドフレーム34の上側のフランジ部34aには、ボルト挿通孔56に連通する雌ネジ状のボルト孔57が形成され、ボルト挿通孔56を挿通するボルト58をボルト孔57に螺合して締め付けることにより、フォークポケット50は、左右のアウタサイドフレーム34を跨った状態で床面37(左右のアウタサイドフレーム34の上面)上に締結固定される。
【0045】
本実施形態のウイング型荷箱20は、例えば国内の陸上輸送専用のコンテナとして使用可能である。
【0046】
また、本実施形態のトレーラ2を、ウイング型荷箱20が積載された状態から積載されない状態(他のタイプのコンテナ(例えば、バン型荷箱)を積載する場合を含む)に変更して使用する場合、別に保管していたフォークポケット50を床面37(左右のアウタサイドフレーム34の上面)上に締結固定し、起立状態の中央の煽り31を下方へ回転移動させ、荷室38の中央領域の側方下部を開放してフォークポケット50の側方(爪挿入空間51の端面)を露出させ、フォークリフト60の爪61(図5参照)を車幅方向外側から爪挿入空間51に差し込み、フォークリフト60によってウイング型荷箱20を降ろし、例えば一時保管用脚62(図6、図15参照)に載置する。なお、上記他のタイプのコンテナにもウイング型荷箱20と同様にフォークポケットが着脱自在に固定されてもよい。この場合、当該コンテナを、フォークポケットが固定された状態でフォークリフト60によってトレーラ2に積載すればよい。
【0047】
また、トレーラ2を、ウイング型荷箱20が積載されていない状態から積載された状態に変更して使用する場合、フォークポケット50が固定されたウイング型荷箱20を、フォークリフト60によってトレーラ2に積載した後、フォークポケット50をアウタサイドフレーム34から取り外して保管しておく。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、インナサイドフレーム33に接合される車幅方向の両側縁と、トンネルリセス部21を形成する下面と、床面31を形成する上面とを有するトンネルリセスパネル部材40を、トレーラ2の前部の上方で2本のインナサイドフレーム33の間を覆うように配置し、このトンネルリセスパネル部材40をメインビーム4の前部に載置しているので、トンネルリセス部21における床面37の嵩上げがトンネルリセスパネル部材40の上下幅(トンネルリセス部床パネル42の上面とトンネルリセス内クロスメンバ43の下面との上下方向の距離)に抑えられる。従って、床面37上に積載可能な積荷高さを増大させることができる。
【0049】
また、車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延びる複数のトンネルリセス外クロスメンバ41をトンネルリセス部21の車幅方向両側に設け、各トンネルリセス外クロスメンバ41の内端部と外端部とをインナサイドフレーム33の外側面とアウタサイドフレーム34の内側面とにそれぞれ接合しているので、これらのトンネルリセス外クロスメンバ41によってトンネルリセス部21の車幅方向外側の剛性が増大する。すなわち、トンネルリセス部21の剛性は、トンネルリセス部床パネル42がトンネルリセス内クロスメンバ43によって補強されたトンネルリセスパネル部材40によって確保され、トンネルリセス部床パネル42とインナサイドフレーム33との接合強度は、インサイドフレーム44と補強リブ45とによって増大し、トンネルリセス部21の車幅方向外側の剛性は、トンネルリセス外クロスメンバ41によって確保される。また、トンネルリセス部21の後方の剛性は、クロスメンバ35によって確保される。従って、コンテナ20の床面下部を十分な剛性を有する構造とすることができる。
【0050】
また、フォークポケット50を床面37上に着脱自在に固定するので、床面37の地上からの高さを低く設定することに起因して床面37の下方にフォークポケット50の配置スペースを設けることができない場合であっても、フォークリフト60によってウイング型荷箱20の昇降を行うことができる。
【0051】
なお、上述の実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、上記実施形態ではウイング型荷箱20について説明したが、本発明は、トレーラに着脱自在に積載される様々なコンテナ(板状のコンテナや、天井を有さない平ボディー型のコンテナや、箱型のコンテナなど)に適用可能である。また、トンネルリセスパネル部材40の構造は上記に限定されるものではなく、トンネルリセス内クロスメンバ43に代えて、例えば格子状の補強メンバを用いたり、板状の補強リブ45に代えて他の形状(例えばU状断面)のリブを用いるなど、様々な構造に設定可能である。
【符号の説明】
【0052】
1:トラクタ
2:トレーラ
3:トレーラシャシフレーム
4:メインビーム
6:車輪(タイヤ)
10,11:ボルスター
12:段差
20:ウイング型荷箱(コンテナ)
21:トンネルリセス部
22:コンテナ下部フレーム
23:床部材
24,25:前後の枠部材
27:前パネル部材
28:開閉扉
29:ウイング
30,31,32:煽り(側面形成部材)
33:インナサイドフレーム
34:アウタサイドフレーム
35:クロスメンバ
36:サイドレール
37:床面
38:荷室(積載領域)
39:ヒンジ部材
40:トンネルリセスパネル部材
41:トンネルリセス外クロスメンバ
42:トンネルリセス部床パネル
43:トンネルリセス内クロスメンバ(補強メンバ)
44:インサイドフレーム
45:補強リブ
50:フォークポケット
60:フォークリフト
61:爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーラの前部を嵩上げする段差を有し前後方向に相対向して延びる該トレーラの1対のメインビームに積載され、前記段差を吸収するトンネルリセス部を床面の前方下部に有するコンテナの下部構造であって、
前記1対のメインビームの車幅方向外側に配置されて前後方向に延びる1対のインナサイドフレームと、
前記1対のインナサイドフレームの車幅方向外側で前後方向に延びる1対のアウタサイドフレームと、
前記トレーラの前部の上方で前記1対のインナサイドフレームの間を覆うように配置され、前記インナサイドフレームに接合される車幅方向の両側縁と、前記トンネルリセス部を形成する下面と、前記床面を形成する上面とを有し、前記メインビームの前部に載置されるトンネルリセスパネル部材と、
前記トンネルリセス部の車幅方向両側で車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延び、前記インナサイドフレームの外側面に接合される内端部と前記アウタサイドフレームの内側面に接合される外端部とを有する複数のトンネルリセス外クロスメンバと、を備えた
ことを特徴とするコンテナの下部構造。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナの下部構造であって、
前記トンネルリセスパネル部材は、前記トレーラの前部の上方で前記1対のインナサイドフレームに接合されて該2本のインナサイドフレームの間を覆うトンネルリセス部床パネルと、このトンネルリセス部床パネルの下面側に接合されて該トンネルリセス部床パネルを補強する補強メンバと、前記トンネルリセス部床パネルの下面側の車幅方向両側で前記トンネルリセス部床パネルと前記インナサイドフレームとに接合されて閉断面を形成するインサイドフレームと、前記閉断面内で車幅方向に沿って配置され前記トンネルリセス部床パネルと前記インサイドフレームとに接合される補強リブとを有し、
前記トンネルリセス部床パネルの上面は、床面を形成し、
前記メインビームの前部には、前記補強メンバが載置される
ことを特徴とするコンテナの下部構造。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテナの下部構造であって、
前記トンネルリセス部床パネルの車幅方向の両側縁は、前記インナサイドフレームの内側上部に接合され、
前記補強メンバは、前記トンネルリセス部床パネルの下面側で車両前後方向に所定間隔をおいて複数配置されて車幅方向に延びるトンネルリセス内クロスメンバであり、
前記インサイドフレームの上端縁部と下端縁部とは、前記トンネルリセス部床パネルの下面と前記インナサイドフレームの内側下部とにそれぞれ接合され、
前記補強リブは、前記トンネルリセス部床パネルの下面側の車幅方向両側で車両前後方向に所定間隔をおいて複数配置され、各補強リブの外縁は、前記トンネルリセス部床パネルの下面と前記インサイドフレームの外側面とに接合され、
前記トンネルリセス外クロスメンバと前記補強リブと前記トンネルリセス内クロスメンバとは、車幅方向に沿って略直線状に並ぶ
ことを特徴とするコンテナの下部構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のコンテナの下部構造であって、
前記トンネルリセス部の後方で車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延び、前記インナサイドフレームを貫通した状態で該インナサイドフレームに接合される中間部と、前記インナサイドフレームから車幅方向外側へ突出して延びて前記アウタサイドフレームの内側面に接合される両端部と有する複数のクロスメンバと、
前記トンネルリセス外クロスメンバの上面及び前記クロスメンバの上面にそれぞれ固定される複数の床部材と、を備え、
前記床面は、前記床部材と前記アウタサイドフレームと前記インナサイドフレームと前記トンネルリセスパネル部材の各上面によって、前後方向及び車幅方向に亘って平面状に形成される
ことを特徴とするコンテナの下部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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