説明

コンテナ用冷凍装置

【課題】コンテナ内を冷却するための冷媒回路を備えたコンテナ用冷凍装置において、冷媒回路に接続されるドライヤにおける錆の発生を抑制する。
【解決手段】コンテナ用冷凍装置のケーシング部材(11)には、凝縮器(31)とドライヤ(1)とを収容する庫外側収容室(S1,S2)が形成されている。この庫外側収容室(S1,S2)は、凝縮器(31)の空気流路(31b)における流入側の第1空間部(S1)と該空気流路(31b)における流出側の第2空間部(S2)とを有している。そして、この第2空間部(S2)の側にドライヤ(1)を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ内を冷却するコンテナ用冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた冷凍装置が知られている。そして、これらの冷凍装置の中には、特許文献1に示すように、海上輸送等に用いられるコンテナの内部を冷却するものがある。
【0003】
この特許文献1のコンテナ用冷凍装置は、一端が開放されたコンテナの開口部を閉塞するように取り付けられたケーシングを備えている。上記ケーシングの上部には、コンテナの庫内側に面する庫内側収容室が形成され、該ケーシングの下部には、コンテナの庫外側に面する庫外側収容室が形成されている。そして、上記庫内側収容室に蒸発器と庫内ファン等が収容され、上記庫外側収容室に圧縮機、凝縮器、膨張弁及び庫外ファン等が収容されている。
【0004】
ところで、上記冷媒回路には、該冷媒回路の冷媒に混入した水分を取り除くためにドライヤが設けられることがある。通常、このドライヤは、上記冷媒回路における凝縮器と膨張弁との間に接続される。このため、上記ドライヤは、上記凝縮器又は膨張弁の近傍、つまり庫外側収容室に配置するのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−008304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したように、上記庫外側収容室は庫外に面している。このため、該庫外側収容室に上記ドライヤを配置すると、該ドライヤは上記コンテナが配置される環境下にさらされてしまう。
【0007】
例えば、上記コンテナが船舶に積まれた場合には、上記ドライヤに海水がかかることもある。仮に、上記ドライヤに海水がかかった場合には、該ドライヤの表面に錆が発生することもある。そして、その錆が進行してしまうと、場合によってはドライヤに穴が空いてしまうことも考えられる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンテナ内を冷却するための冷媒回路を備えたコンテナ用冷凍装置において、該冷媒回路に接続されるドライヤにおける錆の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、コンテナに取り付けられたケーシング部材(11)と、該コンテナの内部を冷却するための冷媒回路(20)と、該冷媒回路(20)に接続された冷媒流路(31a)及び該冷媒流路(31a)の冷媒を冷却する空気が流れる空気流路(31b)を有する空気熱交換器(31)と、上記冷媒回路(20)に接続されて該冷媒回路(20)を循環する冷媒に含まれる水分を除去するドライヤ(1)とを備えたコンテナ用冷凍装置を前提としている。
【0010】
そして、上記コンテナ用冷凍装置のケーシング部材(11)には、上記空気熱交換器(31)及び上記ドライヤ(1)を収容する収容室(S1,S2)が形成され、上記収容室(S1,S2)は、上記空気熱交換器(31)の空気流路(31b)における流入側の第1空間部(S1)と該空気流路(31b)における流出側の第2空間部(S2)とを有し、上記ドライヤ(1)は、上記収容室(S1,S2)の第2空間部(S2)内に配置されていることを特徴としている。
【0011】
第1の発明では、上記空気熱交換器(31)を通過した空気が流入する第2空間部(S2)に上記ドライヤ(1)を配置している。この空気熱交換器(31)の空気流路(31b)を通過した空気は、上記空気熱交換器(31)の冷媒流路(31a)を流れる冷媒により加熱される。このため、上記第2空間部(S2)の温度は、上記第1空間部(S1)の温度よりも高くなっている。このことから、上記ドライヤ(1)に海水がかかった場合において、該ドライヤ(1)を第1空間部(S1)よりも第2空間部(S2)に配置した方が、該ドライヤ(1)の外面が乾きやすくなる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記ケーシング部材(11)は、上記第2空間部(S2)に連通して該ケーシング部材(11)の外側へ開口するとともに上記空気熱交換器(31)の空気流路(31b)からの空気を排出可能な排気口部(5)と、上記排気口部(5)のうち上記ドライヤ(1)に対向する部分を塞ぐカバー部材(3)とを備えていることを特徴としている。
【0013】
第2の発明では、上記ケーシング部材(11)に、上記第2空間部(S2)に連通して該ケーシング部材(11)の外側へ開口する排気口部(5)が形成されている。この排気口部(5)は、上記ドライヤ(1)に対向する部分が上記カバー部材(3)で塞がれている。このため、上記空気熱交換器(31)の空気流路(31b)からの空気は、上記排気口部(5)における上記カバー部材(3)で塞がれていない部分から上記ケーシング部材(11)の外側へ排出される。
【0014】
又、上記カバー部材(3)により、上記ドライヤ(1)が上記排気口部(5)を通じてケーシング部材(11)の外側へ露出することがない。これにより、上記ドライヤ(1)に海水が直接かかるのを防ぐことができるようになる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、上記空気熱交換器(31)は、上記空気流路(31b)の流出側に連通して上記第2空間部(S2)に開口する流出開口部(31c)を有し、上記流出開口部(31c)の開口方向から見て、上記流出開口部(31c)及び上記ドライヤ(1)の位置は互いにずれていることを特徴としている。
【0016】
第3の発明では、上記空気熱交換器(31)の流出開口部(31c)から流出した空気は、上記排気口部(5)における上記カバー部材(3)で塞がれていない開口部分から上記ケーシング部材(11)の外部へ排出される。ここで、上記空気熱交換器(31)の流出開口部(31c)が、上記ドライヤ(1)からずれた位置に開口し、上記カバー部材(3)で塞がれていない上記排気口部(5)の開口部分も、上記ドライヤ(1)からずれた位置に開口している。これにより、上記空気熱交換器(31)から流出した空気が、直接的にドライヤ(1)に当たらなくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記ドライヤ(1)に海水がかかった場合において、該ドライヤ(1)を第1空間部(S1)よりも第2空間部(S2)に配置することにより、該ドライヤ(1)の外面を乾かすことができる。これにより、上記ドライヤ(1)において、海水により生じる錆の発生を抑えることができる。
【0018】
また、上記第2の発明によれば、上記カバー部材(3)により、上記排気口部(5)を通じて上記ドライヤ(1)に海水がかかるのを防ぐことができる。又、上記排気口部(5)における上記カバー部材(3)で塞がれていない部分から、上記空気熱交換器(31)の空気流路(31b)からの空気を外側へ排出することができる。
【0019】
また、上記第3の発明によれば、上記空気熱交換器(31)の流出開口部(31c)から上記第2空間部(S2)へ流入した空気を、上記ドライヤ(1)に直接的に当てることなく、上記排気口部(5)の開口部分から流出させることができる。つまり、この空気流の外側に上記ドライヤ(1)が配置されている。これにより、上記空気流で直接的に上記ドライヤ(1)の外面を乾かすのではなく、上記ドライヤ(1)の近傍にある空気を上記空気流で温めることにより、間接的に上記ドライヤ(1)の外面を乾かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るコンテナ用冷凍装置の正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るコンテナ用冷凍装置の冷媒回路図である。
【図3】本発明の実施形態に係るコンテナ用冷凍装置の簡略した縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るコンテナ用冷凍装置の簡略した横断面図である。
【図5】コンテナ用冷凍装置における圧縮機近傍の正面図である。
【図6】コンテナ用冷凍装置におけるドライヤ近傍の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
本実施形態に係るコンテナ用冷凍装置は、海上輸送等に用いられるコンテナ内の冷蔵又は冷凍を行うものである。まず、上記コンテナ用冷凍装置を構成する構成機器について説明し、次にコンテナ用該構成機器の配置について説明する。
【0023】
なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0024】
〈構成機器〉
図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、図示しないコンテナの庫内を冷却するものであり、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備えている。
【0025】
上記冷媒回路(20)は、主回路(21)とデフロスト用のホットガスバイパス回路(22)と冷媒過冷却用の過冷却バイパス回路(23)とを備えている。
【0026】
上記主回路(21)は、圧縮機(30)と凝縮器(31)と膨張機構である電動式の主膨張弁(32)と蒸発器(33)とが順に冷媒配管(34)によって直列に接続されて構成されている。そして、上記圧縮機(30)と該圧縮機(30)に電力を供給する電源部(15)とを電気的に接続する電源ライン(16)には、インバータ(13)とリアクタ(14)が設けられている。
【0027】
上記インバータ(13)によって上記圧縮機(30)の回転数が多段階に制御されて、該圧縮機(30)の運転容量が可変に構成されている。一方、上記リアクタ(14)は、上記インバータ(13)の一次側に接続されて、上記インバータ(13)から一次側へ逆流する等価逆相電流を抑えることが可能である。
【0028】
上記凝縮器(31)及び上記蒸発器(33)は、共に空気熱交換器で構成されている。この空気熱交換器は冷媒流路及び空気流路を備え、該冷媒流路が上記主回路(21)の冷媒配管に接続されている。そして、上記冷媒流路を流れる冷媒と上記空気流路を流れる空気とを熱交換するように構成されている。上記凝縮器(31)では、冷媒が空気に放熱して凝縮し、空気は冷媒から吸熱して加熱される。一方、上記蒸発器(33)では、冷媒が空気から吸熱して蒸発し、空気は冷媒に放熱して冷却される。
【0029】
上記凝縮器(31)は、直方体形状であり、該凝縮器(31)の一端面に上記空気流路(31b)の流出側に連通する流出開口部(31c)が形成され、他端面に上記空気流路(31b)の流入側に連通する流入開口部(31d)が形成されている。
【0030】
上記凝縮器(31)の近傍には庫外ファン(35)が設けられ、上記蒸発器(33)の近傍には庫内ファン(36)が設けられている。上記庫外ファン(35)は、上記凝縮器(31)の空気流路(31b)を通過する空気流を発生させるように構成されている。一方、上記庫内ファン(36)は、上記蒸発器(33)の空気流路を通過する空気流を発生させるように構成されている。
【0031】
上記圧縮機(30)の吐出側には、油分離器(40)が設けられ、上記凝縮器(31)と主膨張弁(32)との間には、レシーバ(41)と電気機器用の冷却器(42)と本発明の特徴であるドライヤ(1)とプレート熱交換器(44)とが順に設けられている。
【0032】
上記油分離器(40)の油戻し管(42a)は、過冷却バイパス回路(23)に接続されている。上記冷却器(42)は、インバータ(13)のパワー素子などの電気機器を冷却するように構成され、例えば、プリント基板の背面等に設けられ、凝縮器(31)を流れた高圧液冷媒によって電気機器を冷却している。
【0033】
上記ドライヤ(1)は、上記凝縮器(31)を流れた液冷媒から水分を除去するように構成されている。
【0034】
上記プレート熱交換器(44)は、上記凝縮器(31)を流れた液冷媒を過冷却するものであり、1次側通路(45)と2次側通路(46)とを備えている。そして、上記1次側通路(45)が主回路(21)に接続され、上記2次側通路(46)が過冷却バイパス回路(23)に接続されている。該過冷却バイパス回路(23)の流入端は、冷却器(42)とドライヤ(1)との間の冷媒配管(34)に接続され、上記過冷却バイパス回路(23)の流出端は、圧縮機(30)における中間圧力状態の圧縮室に接続されている。
【0035】
さらに、上記過冷却バイパス回路(23)の流入側には、第1開閉弁(47)と膨張機構である電動式の過冷却膨張弁(48)が設けられている。上記第1開閉弁(47)に対応して、主回路(21)には、過冷却バイパス回路(23)の分岐部とドライヤ(1)との間に第2開閉弁(49)が設けられている。
【0036】
そして、上記プレート熱交換器(44)は、主回路(21)から過冷却バイパス回路(23)に分岐され且つ過冷却膨張弁(48)で減圧された冷媒と主回路(21)を流れる冷媒とが熱交換して主回路(21)を流れる冷媒を過冷却するように構成されている。
【0037】
上記ホットガスバイパス回路(22)は、共通路(50)と、該共通路(50)から分岐された第1バイパス路(51)及び第2バイパス路(52)とを備えている。上記共通路(50)は、流入端が油分離器(40)と凝縮器(31)との間に接続され、第3開閉弁(53)が設けられている。上記第1バイパス路(51)と第2バイパス路(52)の流出端は、主膨張弁(32)と蒸発器(33)との間に接続され、上記第2バイパス路(52)には、蒸発器(33)の下部に配置されたドレンパンを加熱するためのドレンパンヒータ(54)が設けられている。
【0038】
上記ホットガスバイパス回路(22)は、上記蒸発器(33)がフロストした際のデフロスト運転時に、圧縮機(30)から吐出された高温高圧のガス冷媒を蒸発に供給するように構成されている。上記第2バイパス路(52)には、デフロスト運転時にドレンパンを加熱するように構成されている。
【0039】
また、上記コンテナ用冷凍装置(10)には、冷媒回路(20)を制御して冷却運転を制御するコントローラ(80)が設けられている。該コントローラ(80)には、上記冷却運転を制御するための制御基板が設けられている。
【0040】
〈構成機器の配置〉
−ケーシング−
図1に示すように、上記コンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成機器を収容するケーシング(11)を備えている。このケーシング(11)は、図示しないコンテナ本体の側方の開口面を閉塞する蓋体を兼ねている。尚、図1は、上記ドライヤ(1)を保護する図4の保護カバー(3)が取り外された状態におけるコンテナ用冷凍装置(10)の正面図である。
【0041】
図3に示すように、上記ケーシング(11)の下部には、上記コンテナの内側である庫内側に膨出して上記コンテナの外側である庫外に面する第1膨出部が形成されている。この第1膨出部により形成された凹状の空間が庫外側収容室(S1,S2)を構成する。一方、上記ケーシング(11)の上部には、庫外側に膨出して庫内側に面する第2膨出部が形成されている。この第2膨出部により形成された凹状の空間が庫内側収容室(S3)を構成する。
【0042】
尚、上記ケーシング(11)は、庫内側がアルミニウムで形成されて庫外側がFRPで形成されている。そして、上記アルミニウムと上記FRPとの間には、発泡材よりなる断熱層が形成されている。
【0043】
そして、上記庫外側収容室(S1,S2)には、圧縮機(30)、凝縮器(31)、膨張弁(32)、庫外ファン(35)、及びコントローラ(80)等が収容され、上記庫内側収容室(S3)には、蒸発器(33)及び庫内ファン(36)等が収容されている。本発明の特徴であるドライヤ(1)は、後述する上記庫外側収容室(S1,S2)の第2空間部(S2)に収容されている。
【0044】
−庫外側収容室−
次に、上記庫外側収容室(S1,S2)における構成機器の配置について、詳しく説明する。
【0045】
図1、図3に示すように、上記庫外側収容室(S1,S2)の中央付近には、直方体形状の凝縮器(31)が略水平な状態で配置されている。上記凝縮器(31)は、その幅が上記庫外側収容室(S1,S2)よりも短く、その奥行きが上記庫外側収容室(S1,S2)と略同じ長さに形成されている。
【0046】
上記庫外側収容室(S1,S2)において、この凝縮器(31)の下側の空間が第1空間部(S1)となり、該凝縮器(31)の上側の空間が第2空間部(S2)となる。ここで、上述した上記凝縮器(31)における空気側の流入開口部(31d)は上記第1空間部(S1)の側に開口し、空気側の流出開口部(31c)は上記第2空間部(S2)の側に開口している。
【0047】
又、上記庫外側収容室(S1,S2)において、上記凝縮器(31)の側方には、上記第1空間部(S1)及び上記第2空間部(S2)を連通する連通空間が形成される。そして、図4に示すように、この連通空間を上記第1空間部(S1)の側及び上記第2空間部(S2)の側に仕切る仕切板(2)がケーシング(11)に取り付けられている。
【0048】
−第1空間部−
上記第1空間部(S1)には、図1に示すように、該第1空間部(S1)の右寄りに上記圧縮機(30)が配置されている。そして、上記圧縮機(30)の左側にインバータ(13)及びリアクタ(14)が配置されている。又、上記圧縮機(30)と上記インバータ(13)との間に、上記油分離器(40)が配置されている。又、図5に示すように、上記圧縮機(30)の右側に、レシーバ(41)及びプレート熱交換器(44)が配置されている。
【0049】
又、上記第1空間部(S1)は、前方に開口している。この開口部分が、ケーシング部材(11)の外側の外気を上記第1空間部(S1)を取り込む吸気口部(6)を構成する。上記庫外ファン(35)が起動すると、上記外気が、この吸気口部(6)を通じて上記凝縮器(31)の空気流路(31b)へ送られる。
【0050】
−第2空間部−
上記第2空間部(S2)には、図1に示すように、上記凝縮器(31)の右側上方に本発明の特徴であるドライヤ(1)が配置されている。ここで、上記凝縮器(31)における空気側の流出開口部(31c)と上記ドライヤ(1)との位置は、上記流出開口部(31c)の開口方向から見て、つまり流出開口部(31c)を平面的に見たときに互いにずれている。
【0051】
又、図6に示すように、このドライヤ(1)の近傍には、上記主膨張弁(32)と上記冷媒回路(20)に接続された電磁弁が配置されている。又、上記ドライヤ(1)の下側には、上述した上記仕切板(2)が配置されている。
【0052】
上記第2空間部(S2)は、前方に開口している。この開口部分が、該第2空間部(S2)の空気を上記ケーシング部材(11)の外側へ排出する排気口部(5)を構成する。この排気口部(5)の開口面において、この開口面の右端であって上記ドライヤ(1)が対向する部分には保護カバー(カバー部材)(3)が取り付けられている。この保護カバー(3)により、上記排気口部(5)における開口面の一部が閉塞される。又、上記保護カバー(3)の左側には上記コントローラ(80)が配置されている。このコントローラ(17)により、上記排気口部(5)における開口面の一部が閉塞される。
【0053】
上記コントローラ(17)の左側には、上記庫外ファン(35)が配置されている。この庫外ファン(35)は、その吸込面が上記第2空間部(S2)に面して、その吹出面が上記ケーシング部材(11)の外側に面するように取り付けられている。そして、この庫外ファン(35)の前方に吹出グリル(35a)が位置し、この吹出グリル(35a)は、上記排気口部(5)に取り付けられている。
【0054】
−運転動作−
次に、これらの構成機器を備えたコンテナ用冷凍装置(10)の冷却動作について説明する。
【0055】
先ず、通常の冷却運転時には、第1開閉弁(47)及び第3開閉弁(53)が閉じられ、第2開閉弁(49)が開いている。この状態において、圧縮機(30)から吐出された冷媒は、凝縮器(31)で凝縮した後、主膨張弁(32)で減圧し、蒸発器(33)で蒸発した後、圧縮機(30)に戻る。この冷媒循環を繰り返す。そして、上記蒸発器(33)で庫内空気を冷却し、庫内ファン(36)によって冷却空気が庫内に供給される。
【0056】
一方、上記過冷却バイパス回路(23)は、第1開閉弁(47)を開くと、凝縮器(31)で凝縮された高圧液冷媒の一部が2次側通路(46)に分岐され、過冷却膨張弁(48)で減圧された後、1次側通路(45)を流れる液冷媒を過冷却する。そして、該1次側通路(45)で過冷却された液冷媒は、蒸発器(33)に流れる一方、2次側通路(46)を流れる冷媒は、圧縮機(30)の中間圧力状態の圧縮室に流れる。この過冷却バイパス回路(23)により、液冷媒が過冷却状態となって蒸発器(33)における冷却能力が向上すると共に、2次側通路(46)の冷媒が圧縮機(30)の中間圧力状態の圧縮室に流れることにより、冷媒循環量が向上する。
【0057】
また、上記蒸発器(33)がフロストすると、デフロスト運転を行い、第3開閉弁(53)を開くと共に、主膨張弁(32)を閉じる。そして、このデフロスト運転時には、圧縮機(30)から吐出された高温の冷媒ガスを蒸発器(33)に供給し、蒸発器(33)のフロストを除去する。
【0058】
−庫外側収容室における空気の流れ−
上記庫外ファン(35)が起動すると、第1空間部(S1)の吸気口部(6)から外気が上記第1空間部(S1)に流入する。上記第1空間部(S1)に流入した外気は、上記凝縮器(31)の空気側の流入開口部(31d)から上記空気流路(31b)へ流入する。ここで、上記ケーシング(11)には、仕切板(2)が設けられているので、上記第1空間部(S1)の外気が上記第2空間部(S2)側へ流出することはない。
【0059】
上記凝縮器(31)の空気流路(31b)に流入した空気は、該凝縮器(31)の冷媒流路(31a)を流れる冷媒と熱交換して加熱される。上記凝縮器(31)で加熱された空気は、上記凝縮器(31)の空気側の流出開口部(31c)から流出して、上記第2空間部(S2)に流入する。そして、上記ドライヤ(1)に直接的に接触することなく、上記第2空間部(S2)の排気口部(5)に取り付けられた吹出グリル(35a)から吹き出される。
【0060】
−実施形態の効果−
本実施形態では、上記凝縮器(31)で熱交換した後の空気が流入する第2空間部(S2)に上記ドライヤ(1)を配置している。この凝縮器(31)の空気流路(31b)を通過した空気は、上記凝縮器(31)の冷媒流路(31a)を流れる冷媒により加熱される。このため、上記第2空間部(S2)の温度は、上記第1空間部(S1)の温度よりも高くなっている。
【0061】
以上より、上記ドライヤ(1)に海水がかかった場合において、該ドライヤ(1)を第1空間部(S1)よりも第2空間部(S2)に配置した方が、該ドライヤ(1)の外面が乾きやすくなる。これにより、上記ドライヤ(1)において、海水により生じる錆の発生を抑えることができる。
【0062】
又、コンテナを船舶に積載した場合において、上記ドライヤ(1)を、上記庫外側収容室(S1,S2)の上部に配置されているので、該庫外側収容室(S1,S2)の下部に配置する場合に比べて、海水がかかるにくくすることができる。
【0063】
又、本実施形態によれば、上記ケーシング(11)は、上記第2空間部(S2)に連通して上記ケーシング(11)の外側に開口する排気口部(5)を有している。そして、この排気口部(5)のうち上記ドライヤ(1)に対向する部分を保護カバー(3)で塞いでいる。この保護カバー(3)により、上記排気口部(5)を通じて上記ドライヤ(1)に海水がかかるのを防ぐことができる。又、上記排気口部(5)における上記保護カバー(3)とコントローラ(80)で塞がれていない排気口部(5)の開口部分から、上記空気熱交換器(31)の空気流路(31b)からの空気を外側へ排出することができる。
【0064】
又、本実施形態によれば、上記凝縮器(31)の流出開口部(31c)から上記第2空間部(S2)へ流入した空気が、上記ドライヤ(1)に直接的に当たることなく、上記吹出グリル(35a)から吹き出される。ここで、この空気流の外側に上記ドライヤ(1)が配置されている。これにより、この空気流で、直接的に上記ドライヤ(1)の外面を乾かすのではなく、上記ドライヤ(1)の近傍にある空気を上記空気流で温めることにより、間接的に上記ドライヤ(1)の外面を乾かすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明は、コンテナ内を冷却するコンテナ用冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 ドライヤ
10 コンテナ用冷凍装置
11 ケーシング(ケーシング部材)
20 冷媒回路
30 圧縮機
31 凝縮器(空気熱交換器)
31a 冷媒流路
31b 空気流路
31c 流出開口部
31d 流入開口部
32 膨張弁
33 蒸発器
S1 第1空間部
S2 第2空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナに取り付けられたケーシング部材(11)と、該コンテナの内部を冷却するための冷媒回路(20)と、該冷媒回路(20)に接続された冷媒流路(31a)及び該冷媒流路(31a)の冷媒を冷却する空気が流れる空気流路(31b)を有する空気熱交換器(31)と、上記冷媒回路(20)に接続されて該冷媒回路(20)を循環する冷媒に含まれる水分を除去するドライヤ(1)とを備えたコンテナ用冷凍装置であって、
上記ケーシング部材(11)には、上記空気熱交換器(31)及び上記ドライヤ(1)を収容する収容室(S1,S2)が形成され、
上記収容室(S1,S2)は、上記空気熱交換器(31)の空気流路(31b)における流入側の第1空間部(S1)と該空気流路(31b)における流出側の第2空間部(S2)とを有し、
上記ドライヤ(1)は、上記収容室(S1,S2)の第2空間部(S2)内に配置されていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記ケーシング部材(11)は、上記第2空間部(S2)に連通して該ケーシング部材(11)の外側へ開口するとともに上記空気熱交換器(31)の空気流路(31b)からの空気を排出可能な排気口部(5)と、
上記排気口部(5)のうち上記ドライヤ(1)に対向する部分を塞ぐカバー部材(3)とを備えていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記空気熱交換器(31)は、上記空気流路(31b)の流出側に連通して上記第2空間部(S2)に開口する流出開口部(31c)を有し、
上記流出開口部(31c)の開口方向から見て、上記流出開口部(31c)及び上記ドライヤ(1)の位置は互いにずれていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−112269(P2011−112269A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268029(P2009−268029)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】