コンテナ用冷凍装置
【課題】蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えたコンテナ用冷凍装置において、圧縮機の電源ラインに接続されるリアクタを効率よく放熱させる。
【解決手段】コンテナ用冷凍装置のケーシング(11)にリアクタ(1)を固定する。こうすることで、リアクタ(1)で発生する熱を、ケーシング(11)を介して外部へ放出させる。
【解決手段】コンテナ用冷凍装置のケーシング(11)にリアクタ(1)を固定する。こうすることで、リアクタ(1)で発生する熱を、ケーシング(11)を介して外部へ放出させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ内を冷却するコンテナ用冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた冷凍装置が知られている。そして、これらの冷凍装置の中には、特許文献1に示すように、海上輸送等に用いられるコンテナの内部を冷却するものがある。
【0003】
この特許文献1のコンテナ用冷凍装置は、一端が開放されたコンテナの開口部を閉塞するように取り付けられたケーシングを備えている。上記ケーシングの上部には、コンテナの庫内側に面する庫内側収容室が形成され、該ケーシングの下部には、コンテナの庫外側に面する庫外側収容室が形成されている。そして、上記庫内側収容室に蒸発器と庫内ファン等が収容され、上記庫外側収容室に圧縮機、凝縮器、膨張弁及び庫外ファン等が収容されている。
【0004】
ところで、上記コンテナ用冷凍装置における省エネ性の向上のため、上記圧縮機の電源ラインにインバータを接続することが考えられる。この場合において、該インバータから一次側へ逆流する等価逆相電流を抑えるため、上記インバータの一次側にリアクタを接続することがある。
【0005】
ここで、このリアクタをコンテナ用冷凍装置に収容する場合には、該リアクタが上記圧縮機の電源ラインに接続されていることを考慮すると、上記圧縮機の近傍、つまり庫外側収容室に配置するのが好ましい。しかし、上述したように、上記庫外側収容室は庫外に面している。このため、該庫外側収容室に上記リアクタを配置すると、該リアクタは上記コンテナが配置される環境下にさらされてしまう。このコンテナは、船舶に積まれることもあるため、上記リアクタが海洋上の厳しい環境下にさらされてしまう場合もある。したがって、上記リアクタを保護する密閉構造の保護カバーを設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−008304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記リアクタは、その作動時の発熱量が比較的に大きい。このため、上記密閉構造の保護カバーを設けると、リアクタの放熱がうまく行われなくなる。この結果、上記リアクタが作動不良を起こすことが考えられる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えたコンテナ用冷凍装置において、圧縮機の電源ラインに接続されるリアクタを効率よく放熱させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、一端が開放されたコンテナの開口部を閉塞するケーシング部材(11)と、該ケーシング部材(11)に収容されて該コンテナの内部を冷却するための冷媒回路(20)と、上記ケーシング部材(11)に収容されて該冷媒回路(20)に接続された圧縮機(30)の電源ライン(16)に取り付けられたリアクタ(1)とを備えたコンテナ用冷凍装置を前提としている。
【0010】
そして、上記コンテナ用冷凍装置のケーシング部材(11)には、上記リアクタ(1)が固定され、上記ケーシング部材(11)が、上記リアクタ(1)で発生する熱を放出する放熱部材を構成することを特徴としている。
【0011】
第1の発明では、上記ケーシング部材(11)を介して、上記リアクタ(1)で発生する熱を外部へ放出することができるようになる。
【0012】
ここで、上記ケーシング部材(11)は、一端が開放されたコンテナの開口部を閉塞するように取り付けられている。このため、例えば冷凍倉庫等を冷却する一般的な冷凍装置のケーシング部材に比べて、コンテナ用冷凍装置のケーシング部材(11)は比較的に大きい。つまり、コンテナ用のケーシング部材(11)は、一般用のケーシング部材よりも大きな熱容量及び広い表面積を有している。したがって、この大きな熱容量及び広い表面積を有するコンテナ用のケーシング部材(11)を介して、上記リアクタ(1)で発生する熱が外部へ効率よく放出される。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記リアクタ(1)で発生する熱を上記ケーシング部材(11)へ伝える熱伝導部材(2,3)を備えていることを特徴としている。
【0014】
第2の発明では、上記熱伝導部材(2,3)が、上記ケーシング部材(11)と上記リアクタ(1)との間に介在している。この熱伝導部材(2,3)は、比較的に熱伝導率の高いものを用いるのがよい。これにより、上記リアクタ(1)からの放熱が促進される。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、上記熱伝導部材(2,3)は、上記リアクタ(1)及び上記ケーシング部材(11)の両方に接触するゲル状のグリース(2)であることを特徴としている。
【0016】
第3の発明では、上記ゲル状のグリース(2)を用いることにより、上記グリース(2)と上記リアクタ(1)との間、及び上記グリース(2)と上記ケーシング部材(11)との間の接触熱抵抗が、上記グリース(2)を用いない場合に比べて小さくなる。
【0017】
第4の発明は、第2の発明において、上記熱伝導部材(2,3)は、上記ケーシング部材(11)に固定されるとともに上記リアクタ(1)に当接しながら該リアクタ(1)を覆うカバー部材(3)であることを特徴としている。
【0018】
第4の発明では、上記カバー部材(3)が、上記ケーシング部材(11)及び上記リアクタ(1)の両方に接している。これにより、上記リアクタ(1)で発生する熱を上記カバー部材(3)を介して上記ケーシング部材(11)へ伝えることができるようになる。
【0019】
第5の発明は、第4の発明において、上記カバー部材(3)には、該カバー部材(3)の熱を外部へ放出する放熱フィン(4)が取り付けられていることを特徴としている。
【0020】
第5の発明では、上記リアクタ(1)からカバー部材(3)へ伝わった熱を上記放熱フィン(4)を介して外部へ放出することができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上述したように、コンテナ用冷凍装置のケーシング部材(11)は、一般的な冷凍装置のケーシング部材(11)よりも大きな熱容量及び広い表面積を有している。そして、この大きな熱容量及び広い表面積を有するケーシング部材(11)を介して、上記リアクタ(1)で発生する熱を効率よく外部へ放出することができる。
【0022】
また、上記第2の発明によれば、上記熱伝導部材(2,3)を上記ケーシング部材(11)と上記リアクタ(1)との間に介在させることにより、上記リアクタ(1)からの放熱を促進させることができる。
【0023】
また、上記第3の発明によれば、上記ゲル状のグリース(2)を用いることにより、上記グリース(2)と上記リアクタ(1)との間、及び上記グリース(2)と上記ケーシング部材(11)との間の接触熱抵抗を、上記グリース(2)を用いない場合に比べて小さくすることができる。これにより、上記リアクタ(1)からの放熱を促進することができる。
【0024】
また、上記第4の発明によれば、上記リアクタ(1)で発生する熱を、直接的に上記ケーシング部材(11)へ伝えるだけでなく、該リアクタ(1)で発生する熱を上記カバー部材(3)を介して間接的に上記ケーシング部材(11)へ伝えることができる。これにより、上記リアクタ(1)を上記保護カバー(3)で覆った場合でも、上記リアクタ(1)からの放熱を確実に行うことができる。
【0025】
また、上記第5の発明によれば、上記リアクタ(1)で発生する熱を、直接的に上記ケーシング部材(11)へ伝えたり、上記カバー部材(3)を介して間接的に上記ケーシング部材(11)に伝えるだけでなく、上記放熱フィン(4)を介して上記カバー部材(3)の外部へ放出することができる。これにより、上記リアクタ(1)からの放熱をより一層促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係るコンテナ用冷凍装置の正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るコンテナ用冷凍装置の冷媒回路図である。
【図3】本発明の実施形態に係るコンテナ用冷凍装置の簡略した縦断面図である。
【図4】コンテナ用冷凍装置におけるリアクタ近傍の斜視図である。
【図5】ケーシングに取り付けられたリアクタと保護カバーの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
本実施形態に係るコンテナ用冷凍装置は、海上輸送等に用いられるコンテナ内の冷蔵又は冷凍を行うものである。まず、上記コンテナ用冷凍装置を構成する構成機器について説明し、次に上記構成機器に含まれて本発明の特徴であるリアクタの放熱について説明する。
【0029】
〈構成機器〉
図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、図示しないコンテナの庫内を冷却するものであり、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備えている。
【0030】
上記冷媒回路(20)は、主回路(21)とデフロスト用のホットガスバイパス回路(22)と冷媒過冷却用の過冷却バイパス回路(23)とを備えている。
【0031】
上記主回路(21)は、圧縮機(30)と凝縮器(31)と膨張機構である電動式の主膨張弁(32)と蒸発器(33)とが順に冷媒配管(34)によって直列に接続されて構成されている。そして、上記圧縮機(30)と該圧縮機(30)に電力を供給する電源部(15)とを電気的に接続する電源ライン(16)には、インバータ(5)と本発明の特徴部分を構成するリアクタ(1)が設けられている。
【0032】
上記インバータ(5)によって上記圧縮機(30)の回転数が多段階に制御されて、該圧縮機(30)の運転容量が可変に構成されている。一方、上記リアクタ(1)は、上記インバータ(5)の一次側に接続されている。具体的には、上記電源ライン(16)の各相ごとに2こづづ、合計6個接続されている。これらのリアクタ(1)により、上記インバータ(5)から一次側へ逆流する等価逆相電流を抑えたり、上記インバータ(5)の力率を改善することが可能である。
【0033】
上記凝縮器(31)及び上記蒸発器(33)は、共に空気熱交換器で構成されている。この空気熱交換器は冷媒流路及び空気流路を備え、該冷媒流路が上記主回路(21)の冷媒配管に接続されている。そして、上記冷媒流路を流れる冷媒と上記空気流路を流れる空気とを熱交換するように構成されている。上記凝縮器(31)では、冷媒が空気に放熱して凝縮し、空気は冷媒から吸熱して加熱される。一方、上記蒸発器(33)では、冷媒が空気から吸熱して蒸発し、空気は冷媒に放熱して冷却される。
【0034】
上記凝縮器(31)は、直方体形状であり、該凝縮器(31)の一端面に上記空気流路(31b)の流出側に連通する流出開口部(31c)が形成され、他端面に上記空気流路(31b)の流入側に連通する流入開口部(31d)が形成されている。
【0035】
上記凝縮器(31)の近傍には庫外ファン(35)が設けられ、上記蒸発器(33)の近傍には庫内ファン(36)が設けられている。上記庫外ファン(35)は、上記凝縮器(31)の空気流路(31b)を通過する空気流を発生させるように構成されている。一方、上記庫内ファン(36)は、上記蒸発器(33)の空気流路を通過する空気流を発生させるように構成されている。
【0036】
上記圧縮機(30)の吐出側には、油分離器(40)が設けられ、上記凝縮器(31)と主膨張弁(32)との間には、レシーバ(41)と電気機器用の冷却器(42)とドライヤ(43)とプレート熱交換器(44)とが順に設けられている。
【0037】
上記油分離器(40)の油戻し管(42a)は、過冷却バイパス回路(23)に接続されている。上記冷却器(42)は、インバータ(5)のパワー素子などの電気機器を冷却するように構成され、例えば、プリント基板の背面等に設けられ、凝縮器(31)を流れた高圧液冷媒によって電気機器を冷却している。
【0038】
上記ドライヤ(43)は、上記凝縮器(31)を流れた液冷媒から水分を除去するように構成されている。
【0039】
上記プレート熱交換器(44)は、上記凝縮器(31)を流れた液冷媒を過冷却するものであり、1次側通路(45)と2次側通路(46)とを備えている。そして、上記1次側通路(45)が主回路(21)に接続され、上記2次側通路(46)が過冷却バイパス回路(23)に接続されている。該過冷却バイパス回路(23)の流入端は、冷却器(42)とドライヤ(43)との間の冷媒配管(34)に接続され、上記過冷却バイパス回路(23)の流出端は、圧縮機(30)における中間圧力状態の圧縮室に接続されている。
【0040】
さらに、上記過冷却バイパス回路(23)の流入側には、第1開閉弁(47)と膨張機構である電動式の過冷却膨張弁(48)が設けられている。上記第1開閉弁(47)に対応して、主回路(21)には、過冷却バイパス回路(23)の分岐部とドライヤ(43)との間に第2開閉弁(49)が設けられている。
【0041】
そして、上記プレート熱交換器(44)は、主回路(21)から過冷却バイパス回路(23)に分岐され且つ過冷却膨張弁(48)で減圧された冷媒と主回路(21)を流れる冷媒とが熱交換して主回路(21)を流れる冷媒を過冷却するように構成されている。
【0042】
上記ホットガスバイパス回路(22)は、共通路(50)と、該共通路(50)から分岐された第1バイパス路(51)及び第2バイパス路(52)とを備えている。上記共通路(50)は、流入端が油分離器(40)と凝縮器(31)との間に接続され、第3開閉弁(53)が設けられている。上記第1バイパス路(51)と第2バイパス路(52)の流出端は、主膨張弁(32)と蒸発器(33)との間に接続され、上記第2バイパス路(52)には、蒸発器(33)の下部に配置されたドレンパンを加熱するためのドレンパンヒータ(54)が設けられている。
【0043】
上記ホットガスバイパス回路(22)は、上記蒸発器(33)がフロストした際のデフロスト運転時に、圧縮機(30)から吐出された高温高圧のガス冷媒を蒸発に供給するように構成されている。上記第2バイパス路(52)には、デフロスト運転時にドレンパンを加熱するように構成されている。
【0044】
また、上記コンテナ用冷凍装置(10)には、冷媒回路(20)を制御して冷却運転を制御するコントローラ(80)が設けられている。該コントローラ(80)には、上記冷却運転を制御するための制御基板が設けられている。
【0045】
〈構成機器の配置〉
−ケーシング−
図1に示すように、上記コンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成機器を収容するケーシング(11)を備えている。このケーシング(11)は、図示しないコンテナ本体の側方の開口面を閉塞する蓋体を兼ねている。このため、例えば冷凍倉庫等を冷却する一般的な冷凍装置のケーシング部材に比べて、コンテナ用冷凍装置のケーシング(11)は比較的に大きい。つまり、コンテナ用のケーシング(11)は、一般用のケーシングよりも大きな熱容量及び広い表面積を有している。
【0046】
そして、図3に示すように、上記ケーシング(11)の下部には、上記コンテナの内側である庫内側に膨出して上記コンテナの外側である庫外に面する第1膨出部が形成されている。この第1膨出部により形成された凹状の空間が庫外側収容室(S1,S2)を構成する。一方、上記ケーシング(11)の上部には、庫外側に膨出して庫内側に面する第2膨出部が形成されている。この第2膨出部により形成された凹状の空間が庫内側収容室(S3)を構成する。
【0047】
尚、上記ケーシング(11)は、庫内側がアルミニウムで形成されて庫外側がFRPで形成されている。そして、上記アルミニウムと上記FRPとの間には、発泡材よりなる断熱層が形成されている。
【0048】
上記庫内側収容室(S3)には、蒸発器(33)及び庫内ファン(36)等が収容されている。一方、上記庫外側収容室(S1,S2)には、圧縮機(30)、凝縮器(31)、膨張弁(32)、庫外ファン(35)、及びコントローラ(80)等が収容さている。
【0049】
具体的に、上記庫外側収容室(S1,S2)は、図3に示すように、上記凝縮器(31)より下側の第1空間部(S1)と該凝縮器(31)より上側の第2空間部(S2)を有している。そして、上記凝縮器(31)、膨張弁(32)、庫外ファン(35)、及びコントローラ(80)は、上記第2空間部(S2)の側に収容されている。又、上記圧縮機(30)は、上記第1空間部(S1)の側に収容されている。ここで、上記リアクタ(1)は、上記第1空間部(S1)の側に収容されている。
【0050】
−リアクタと保護カバー−
図4に示すように、上記リアクタ(1)は、略直方体状に形成されている。このリアクタ(1)の背面には、ゲル状のグリース(2)が塗られている。このグリースは、比較的に高い熱伝導率を有するものである。上記リアクタ(1)は、上記グリース(2)を介して、上記第1空間部(S1)の背面側に面する上記ケーシング(11)の壁体に固定されている。そして、上記ケーシング(11)の壁体に固定されたリアクタ(1)を覆うように保護カバー(3)が設けられている。
【0051】
上記保護カバー(3)は、一方が開口した箱状に形成されている。そして、図3,図5に示すように、上記保護カバー(3)の開口端部が、上記リアクタ(1)と同じように、上記第1空間部(S1)の背面側に面する上記ケーシング(11)の壁体に当接している。又、上記箱状の保護カバー(3)の下面が、上記第1空間部(S1)の下側に面する上記ケーシング(11)の壁体に当接している。又、上記箱状の保護カバー(3)の内面が、上記リアクタ(1)の前面に当接している。
【0052】
又、上記保護カバー(3)は、その前部にフィン基端板(3a)を有している、そして、このフィン基端板(3a)の前面に放熱フィン(4)が取り付けられている。
【0053】
−運転動作−
次に、これらの構成機器を備えたコンテナ用冷凍装置(10)の冷却動作について説明する。
【0054】
先ず、通常の冷却運転時には、第1開閉弁(47)及び第3開閉弁(53)が閉じられ、第2開閉弁(49)が開いている。この状態において、圧縮機(30)から吐出された冷媒は、凝縮器(31)で凝縮した後、主膨張弁(32)で減圧し、蒸発器(33)で蒸発した後、圧縮機(30)に戻る。この冷媒循環を繰り返す。そして、上記蒸発器(33)で庫内空気を冷却し、庫内ファン(36)によって冷却空気が庫内に供給される。
【0055】
一方、上記過冷却バイパス回路(23)は、第1開閉弁(47)を開くと、凝縮器(31)で凝縮された高圧液冷媒の一部が2次側通路(46)に分岐され、過冷却膨張弁(48)で減圧された後、1次側通路(45)を流れる液冷媒を過冷却する。そして、該1次側通路(45)で過冷却された液冷媒は、蒸発器(33)に流れる一方、2次側通路(46)を流れる冷媒は、圧縮機(30)の中間圧力状態の圧縮室に流れる。この過冷却バイパス回路(23)により、液冷媒が過冷却状態となって蒸発器(33)における冷却能力が向上すると共に、2次側通路(46)の冷媒が圧縮機(30)の中間圧力状態の圧縮室に流れることにより、冷媒循環量が向上する。
【0056】
また、上記蒸発器(33)がフロストすると、デフロスト運転を行い、第3開閉弁(53)を開くと共に、主膨張弁(32)を閉じる。そして、このデフロスト運転時には、圧縮機(30)から吐出された高温の冷媒ガスを蒸発器(33)に供給し、蒸発器(33)のフロストを除去する。
【0057】
−リアクタから発生する熱の流れ−
上記リアクタ(1)の作動時、該リアクタ(1)は発熱する。この発熱量は、上記インバータ(5)よりも大きい。本実施形態では、このリアクタ(1)から発生した熱のうち、一部は該リアクタ(1)の背面側から上記グリース(2)を通じて上記ケーシングへ伝えられる。又、このリアクタ(1)から発生した熱のうち、一部は該リアクタ(1)の前面側から上記保護カバー(3)を介して上記ケーシングへ伝えられる。
【0058】
又、上記リアクタ(1)の前面側から上記保護カバー(3)へ伝わった熱の一部は、上記放熱フィン(4)により、上記保護カバー(3)の外側へ放出される。
【0059】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、上述したように、コンテナ用冷凍装置のケーシング(11)は、一般的な冷凍装置のケーシング(11)よりも大きな熱容量及び広い表面積を有している。そして、この大きな熱容量及び広い表面積を有するケーシング(11)を介して、上記リアクタ(1)で発生する熱を効率よく外部へ放出することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、上記ゲル状のグリース(2)を用いることにより、上記グリース(2)と上記リアクタ(1)との間、及び上記グリース(2)と上記ケーシング(11)との間の接触熱抵抗を、上記グリース(2)を用いない場合に比べて小さくすることができる。これにより、上記リアクタ(1)からの放熱を促進することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、上記リアクタ(1)で発生する熱を、直接的に上記ケーシング(11)へ伝えるだけでなく、上記保護カバー(3)を介して間接的に上記ケーシング(11)へ伝えることができる。これにより、上記リアクタ(1)を上記保護カバー(3)で覆った場合でも、上記リアクタ(1)からの放熱を確実に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、上記リアクタ(1)で発生する熱を、直接的に上記ケーシング(11)へ伝えたり、上記保護カバー(3)を介して間接的に上記ケーシング(11)に伝えるだけでなく、上記放熱フィン(4)を介して上記保護カバー(3)の外部へ放出することができる。これにより、上記リアクタ(1)からの放熱をより一層促進することができる。
【0063】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0064】
本実施形態では、上記リアクタ(1)を保護する保護カバー(3)が、該リアクタ(1)の前面に当接しているが、これに限定されず、上記保護カバー(3)が、上記リアクタ(1)の前面以外の面に当接するようにしてもよい。この場合であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本発明は、コンテナ内を冷却するコンテナ用冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 リアクタ
2 グリース
3 保護カバー(カバー部材)
4 放熱フィン
10 コンテナ用冷凍装置
11 ケーシング(ケーシング部材)
20 冷媒回路
30 圧縮機
31 凝縮器
31a 冷媒流路
31b 空気流路
31c 流出開口部
31d 流入開口部
32 膨張弁
33 蒸発器
S1 第1空間部
S2 第2空間部
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ内を冷却するコンテナ用冷凍装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた冷凍装置が知られている。そして、これらの冷凍装置の中には、特許文献1に示すように、海上輸送等に用いられるコンテナの内部を冷却するものがある。
【0003】
この特許文献1のコンテナ用冷凍装置は、一端が開放されたコンテナの開口部を閉塞するように取り付けられたケーシングを備えている。上記ケーシングの上部には、コンテナの庫内側に面する庫内側収容室が形成され、該ケーシングの下部には、コンテナの庫外側に面する庫外側収容室が形成されている。そして、上記庫内側収容室に蒸発器と庫内ファン等が収容され、上記庫外側収容室に圧縮機、凝縮器、膨張弁及び庫外ファン等が収容されている。
【0004】
ところで、上記コンテナ用冷凍装置における省エネ性の向上のため、上記圧縮機の電源ラインにインバータを接続することが考えられる。この場合において、該インバータから一次側へ逆流する等価逆相電流を抑えるため、上記インバータの一次側にリアクタを接続することがある。
【0005】
ここで、このリアクタをコンテナ用冷凍装置に収容する場合には、該リアクタが上記圧縮機の電源ラインに接続されていることを考慮すると、上記圧縮機の近傍、つまり庫外側収容室に配置するのが好ましい。しかし、上述したように、上記庫外側収容室は庫外に面している。このため、該庫外側収容室に上記リアクタを配置すると、該リアクタは上記コンテナが配置される環境下にさらされてしまう。このコンテナは、船舶に積まれることもあるため、上記リアクタが海洋上の厳しい環境下にさらされてしまう場合もある。したがって、上記リアクタを保護する密閉構造の保護カバーを設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−008304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記リアクタは、その作動時の発熱量が比較的に大きい。このため、上記密閉構造の保護カバーを設けると、リアクタの放熱がうまく行われなくなる。この結果、上記リアクタが作動不良を起こすことが考えられる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えたコンテナ用冷凍装置において、圧縮機の電源ラインに接続されるリアクタを効率よく放熱させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、一端が開放されたコンテナの開口部を閉塞するケーシング部材(11)と、該ケーシング部材(11)に収容されて該コンテナの内部を冷却するための冷媒回路(20)と、上記ケーシング部材(11)に収容されて該冷媒回路(20)に接続された圧縮機(30)の電源ライン(16)に取り付けられたリアクタ(1)とを備えたコンテナ用冷凍装置を前提としている。
【0010】
そして、上記コンテナ用冷凍装置のケーシング部材(11)には、上記リアクタ(1)が固定され、上記ケーシング部材(11)が、上記リアクタ(1)で発生する熱を放出する放熱部材を構成することを特徴としている。
【0011】
第1の発明では、上記ケーシング部材(11)を介して、上記リアクタ(1)で発生する熱を外部へ放出することができるようになる。
【0012】
ここで、上記ケーシング部材(11)は、一端が開放されたコンテナの開口部を閉塞するように取り付けられている。このため、例えば冷凍倉庫等を冷却する一般的な冷凍装置のケーシング部材に比べて、コンテナ用冷凍装置のケーシング部材(11)は比較的に大きい。つまり、コンテナ用のケーシング部材(11)は、一般用のケーシング部材よりも大きな熱容量及び広い表面積を有している。したがって、この大きな熱容量及び広い表面積を有するコンテナ用のケーシング部材(11)を介して、上記リアクタ(1)で発生する熱が外部へ効率よく放出される。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記リアクタ(1)で発生する熱を上記ケーシング部材(11)へ伝える熱伝導部材(2,3)を備えていることを特徴としている。
【0014】
第2の発明では、上記熱伝導部材(2,3)が、上記ケーシング部材(11)と上記リアクタ(1)との間に介在している。この熱伝導部材(2,3)は、比較的に熱伝導率の高いものを用いるのがよい。これにより、上記リアクタ(1)からの放熱が促進される。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、上記熱伝導部材(2,3)は、上記リアクタ(1)及び上記ケーシング部材(11)の両方に接触するゲル状のグリース(2)であることを特徴としている。
【0016】
第3の発明では、上記ゲル状のグリース(2)を用いることにより、上記グリース(2)と上記リアクタ(1)との間、及び上記グリース(2)と上記ケーシング部材(11)との間の接触熱抵抗が、上記グリース(2)を用いない場合に比べて小さくなる。
【0017】
第4の発明は、第2の発明において、上記熱伝導部材(2,3)は、上記ケーシング部材(11)に固定されるとともに上記リアクタ(1)に当接しながら該リアクタ(1)を覆うカバー部材(3)であることを特徴としている。
【0018】
第4の発明では、上記カバー部材(3)が、上記ケーシング部材(11)及び上記リアクタ(1)の両方に接している。これにより、上記リアクタ(1)で発生する熱を上記カバー部材(3)を介して上記ケーシング部材(11)へ伝えることができるようになる。
【0019】
第5の発明は、第4の発明において、上記カバー部材(3)には、該カバー部材(3)の熱を外部へ放出する放熱フィン(4)が取り付けられていることを特徴としている。
【0020】
第5の発明では、上記リアクタ(1)からカバー部材(3)へ伝わった熱を上記放熱フィン(4)を介して外部へ放出することができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上述したように、コンテナ用冷凍装置のケーシング部材(11)は、一般的な冷凍装置のケーシング部材(11)よりも大きな熱容量及び広い表面積を有している。そして、この大きな熱容量及び広い表面積を有するケーシング部材(11)を介して、上記リアクタ(1)で発生する熱を効率よく外部へ放出することができる。
【0022】
また、上記第2の発明によれば、上記熱伝導部材(2,3)を上記ケーシング部材(11)と上記リアクタ(1)との間に介在させることにより、上記リアクタ(1)からの放熱を促進させることができる。
【0023】
また、上記第3の発明によれば、上記ゲル状のグリース(2)を用いることにより、上記グリース(2)と上記リアクタ(1)との間、及び上記グリース(2)と上記ケーシング部材(11)との間の接触熱抵抗を、上記グリース(2)を用いない場合に比べて小さくすることができる。これにより、上記リアクタ(1)からの放熱を促進することができる。
【0024】
また、上記第4の発明によれば、上記リアクタ(1)で発生する熱を、直接的に上記ケーシング部材(11)へ伝えるだけでなく、該リアクタ(1)で発生する熱を上記カバー部材(3)を介して間接的に上記ケーシング部材(11)へ伝えることができる。これにより、上記リアクタ(1)を上記保護カバー(3)で覆った場合でも、上記リアクタ(1)からの放熱を確実に行うことができる。
【0025】
また、上記第5の発明によれば、上記リアクタ(1)で発生する熱を、直接的に上記ケーシング部材(11)へ伝えたり、上記カバー部材(3)を介して間接的に上記ケーシング部材(11)に伝えるだけでなく、上記放熱フィン(4)を介して上記カバー部材(3)の外部へ放出することができる。これにより、上記リアクタ(1)からの放熱をより一層促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係るコンテナ用冷凍装置の正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るコンテナ用冷凍装置の冷媒回路図である。
【図3】本発明の実施形態に係るコンテナ用冷凍装置の簡略した縦断面図である。
【図4】コンテナ用冷凍装置におけるリアクタ近傍の斜視図である。
【図5】ケーシングに取り付けられたリアクタと保護カバーの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
本実施形態に係るコンテナ用冷凍装置は、海上輸送等に用いられるコンテナ内の冷蔵又は冷凍を行うものである。まず、上記コンテナ用冷凍装置を構成する構成機器について説明し、次に上記構成機器に含まれて本発明の特徴であるリアクタの放熱について説明する。
【0029】
〈構成機器〉
図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、図示しないコンテナの庫内を冷却するものであり、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備えている。
【0030】
上記冷媒回路(20)は、主回路(21)とデフロスト用のホットガスバイパス回路(22)と冷媒過冷却用の過冷却バイパス回路(23)とを備えている。
【0031】
上記主回路(21)は、圧縮機(30)と凝縮器(31)と膨張機構である電動式の主膨張弁(32)と蒸発器(33)とが順に冷媒配管(34)によって直列に接続されて構成されている。そして、上記圧縮機(30)と該圧縮機(30)に電力を供給する電源部(15)とを電気的に接続する電源ライン(16)には、インバータ(5)と本発明の特徴部分を構成するリアクタ(1)が設けられている。
【0032】
上記インバータ(5)によって上記圧縮機(30)の回転数が多段階に制御されて、該圧縮機(30)の運転容量が可変に構成されている。一方、上記リアクタ(1)は、上記インバータ(5)の一次側に接続されている。具体的には、上記電源ライン(16)の各相ごとに2こづづ、合計6個接続されている。これらのリアクタ(1)により、上記インバータ(5)から一次側へ逆流する等価逆相電流を抑えたり、上記インバータ(5)の力率を改善することが可能である。
【0033】
上記凝縮器(31)及び上記蒸発器(33)は、共に空気熱交換器で構成されている。この空気熱交換器は冷媒流路及び空気流路を備え、該冷媒流路が上記主回路(21)の冷媒配管に接続されている。そして、上記冷媒流路を流れる冷媒と上記空気流路を流れる空気とを熱交換するように構成されている。上記凝縮器(31)では、冷媒が空気に放熱して凝縮し、空気は冷媒から吸熱して加熱される。一方、上記蒸発器(33)では、冷媒が空気から吸熱して蒸発し、空気は冷媒に放熱して冷却される。
【0034】
上記凝縮器(31)は、直方体形状であり、該凝縮器(31)の一端面に上記空気流路(31b)の流出側に連通する流出開口部(31c)が形成され、他端面に上記空気流路(31b)の流入側に連通する流入開口部(31d)が形成されている。
【0035】
上記凝縮器(31)の近傍には庫外ファン(35)が設けられ、上記蒸発器(33)の近傍には庫内ファン(36)が設けられている。上記庫外ファン(35)は、上記凝縮器(31)の空気流路(31b)を通過する空気流を発生させるように構成されている。一方、上記庫内ファン(36)は、上記蒸発器(33)の空気流路を通過する空気流を発生させるように構成されている。
【0036】
上記圧縮機(30)の吐出側には、油分離器(40)が設けられ、上記凝縮器(31)と主膨張弁(32)との間には、レシーバ(41)と電気機器用の冷却器(42)とドライヤ(43)とプレート熱交換器(44)とが順に設けられている。
【0037】
上記油分離器(40)の油戻し管(42a)は、過冷却バイパス回路(23)に接続されている。上記冷却器(42)は、インバータ(5)のパワー素子などの電気機器を冷却するように構成され、例えば、プリント基板の背面等に設けられ、凝縮器(31)を流れた高圧液冷媒によって電気機器を冷却している。
【0038】
上記ドライヤ(43)は、上記凝縮器(31)を流れた液冷媒から水分を除去するように構成されている。
【0039】
上記プレート熱交換器(44)は、上記凝縮器(31)を流れた液冷媒を過冷却するものであり、1次側通路(45)と2次側通路(46)とを備えている。そして、上記1次側通路(45)が主回路(21)に接続され、上記2次側通路(46)が過冷却バイパス回路(23)に接続されている。該過冷却バイパス回路(23)の流入端は、冷却器(42)とドライヤ(43)との間の冷媒配管(34)に接続され、上記過冷却バイパス回路(23)の流出端は、圧縮機(30)における中間圧力状態の圧縮室に接続されている。
【0040】
さらに、上記過冷却バイパス回路(23)の流入側には、第1開閉弁(47)と膨張機構である電動式の過冷却膨張弁(48)が設けられている。上記第1開閉弁(47)に対応して、主回路(21)には、過冷却バイパス回路(23)の分岐部とドライヤ(43)との間に第2開閉弁(49)が設けられている。
【0041】
そして、上記プレート熱交換器(44)は、主回路(21)から過冷却バイパス回路(23)に分岐され且つ過冷却膨張弁(48)で減圧された冷媒と主回路(21)を流れる冷媒とが熱交換して主回路(21)を流れる冷媒を過冷却するように構成されている。
【0042】
上記ホットガスバイパス回路(22)は、共通路(50)と、該共通路(50)から分岐された第1バイパス路(51)及び第2バイパス路(52)とを備えている。上記共通路(50)は、流入端が油分離器(40)と凝縮器(31)との間に接続され、第3開閉弁(53)が設けられている。上記第1バイパス路(51)と第2バイパス路(52)の流出端は、主膨張弁(32)と蒸発器(33)との間に接続され、上記第2バイパス路(52)には、蒸発器(33)の下部に配置されたドレンパンを加熱するためのドレンパンヒータ(54)が設けられている。
【0043】
上記ホットガスバイパス回路(22)は、上記蒸発器(33)がフロストした際のデフロスト運転時に、圧縮機(30)から吐出された高温高圧のガス冷媒を蒸発に供給するように構成されている。上記第2バイパス路(52)には、デフロスト運転時にドレンパンを加熱するように構成されている。
【0044】
また、上記コンテナ用冷凍装置(10)には、冷媒回路(20)を制御して冷却運転を制御するコントローラ(80)が設けられている。該コントローラ(80)には、上記冷却運転を制御するための制御基板が設けられている。
【0045】
〈構成機器の配置〉
−ケーシング−
図1に示すように、上記コンテナ用冷凍装置(10)は、上記構成機器を収容するケーシング(11)を備えている。このケーシング(11)は、図示しないコンテナ本体の側方の開口面を閉塞する蓋体を兼ねている。このため、例えば冷凍倉庫等を冷却する一般的な冷凍装置のケーシング部材に比べて、コンテナ用冷凍装置のケーシング(11)は比較的に大きい。つまり、コンテナ用のケーシング(11)は、一般用のケーシングよりも大きな熱容量及び広い表面積を有している。
【0046】
そして、図3に示すように、上記ケーシング(11)の下部には、上記コンテナの内側である庫内側に膨出して上記コンテナの外側である庫外に面する第1膨出部が形成されている。この第1膨出部により形成された凹状の空間が庫外側収容室(S1,S2)を構成する。一方、上記ケーシング(11)の上部には、庫外側に膨出して庫内側に面する第2膨出部が形成されている。この第2膨出部により形成された凹状の空間が庫内側収容室(S3)を構成する。
【0047】
尚、上記ケーシング(11)は、庫内側がアルミニウムで形成されて庫外側がFRPで形成されている。そして、上記アルミニウムと上記FRPとの間には、発泡材よりなる断熱層が形成されている。
【0048】
上記庫内側収容室(S3)には、蒸発器(33)及び庫内ファン(36)等が収容されている。一方、上記庫外側収容室(S1,S2)には、圧縮機(30)、凝縮器(31)、膨張弁(32)、庫外ファン(35)、及びコントローラ(80)等が収容さている。
【0049】
具体的に、上記庫外側収容室(S1,S2)は、図3に示すように、上記凝縮器(31)より下側の第1空間部(S1)と該凝縮器(31)より上側の第2空間部(S2)を有している。そして、上記凝縮器(31)、膨張弁(32)、庫外ファン(35)、及びコントローラ(80)は、上記第2空間部(S2)の側に収容されている。又、上記圧縮機(30)は、上記第1空間部(S1)の側に収容されている。ここで、上記リアクタ(1)は、上記第1空間部(S1)の側に収容されている。
【0050】
−リアクタと保護カバー−
図4に示すように、上記リアクタ(1)は、略直方体状に形成されている。このリアクタ(1)の背面には、ゲル状のグリース(2)が塗られている。このグリースは、比較的に高い熱伝導率を有するものである。上記リアクタ(1)は、上記グリース(2)を介して、上記第1空間部(S1)の背面側に面する上記ケーシング(11)の壁体に固定されている。そして、上記ケーシング(11)の壁体に固定されたリアクタ(1)を覆うように保護カバー(3)が設けられている。
【0051】
上記保護カバー(3)は、一方が開口した箱状に形成されている。そして、図3,図5に示すように、上記保護カバー(3)の開口端部が、上記リアクタ(1)と同じように、上記第1空間部(S1)の背面側に面する上記ケーシング(11)の壁体に当接している。又、上記箱状の保護カバー(3)の下面が、上記第1空間部(S1)の下側に面する上記ケーシング(11)の壁体に当接している。又、上記箱状の保護カバー(3)の内面が、上記リアクタ(1)の前面に当接している。
【0052】
又、上記保護カバー(3)は、その前部にフィン基端板(3a)を有している、そして、このフィン基端板(3a)の前面に放熱フィン(4)が取り付けられている。
【0053】
−運転動作−
次に、これらの構成機器を備えたコンテナ用冷凍装置(10)の冷却動作について説明する。
【0054】
先ず、通常の冷却運転時には、第1開閉弁(47)及び第3開閉弁(53)が閉じられ、第2開閉弁(49)が開いている。この状態において、圧縮機(30)から吐出された冷媒は、凝縮器(31)で凝縮した後、主膨張弁(32)で減圧し、蒸発器(33)で蒸発した後、圧縮機(30)に戻る。この冷媒循環を繰り返す。そして、上記蒸発器(33)で庫内空気を冷却し、庫内ファン(36)によって冷却空気が庫内に供給される。
【0055】
一方、上記過冷却バイパス回路(23)は、第1開閉弁(47)を開くと、凝縮器(31)で凝縮された高圧液冷媒の一部が2次側通路(46)に分岐され、過冷却膨張弁(48)で減圧された後、1次側通路(45)を流れる液冷媒を過冷却する。そして、該1次側通路(45)で過冷却された液冷媒は、蒸発器(33)に流れる一方、2次側通路(46)を流れる冷媒は、圧縮機(30)の中間圧力状態の圧縮室に流れる。この過冷却バイパス回路(23)により、液冷媒が過冷却状態となって蒸発器(33)における冷却能力が向上すると共に、2次側通路(46)の冷媒が圧縮機(30)の中間圧力状態の圧縮室に流れることにより、冷媒循環量が向上する。
【0056】
また、上記蒸発器(33)がフロストすると、デフロスト運転を行い、第3開閉弁(53)を開くと共に、主膨張弁(32)を閉じる。そして、このデフロスト運転時には、圧縮機(30)から吐出された高温の冷媒ガスを蒸発器(33)に供給し、蒸発器(33)のフロストを除去する。
【0057】
−リアクタから発生する熱の流れ−
上記リアクタ(1)の作動時、該リアクタ(1)は発熱する。この発熱量は、上記インバータ(5)よりも大きい。本実施形態では、このリアクタ(1)から発生した熱のうち、一部は該リアクタ(1)の背面側から上記グリース(2)を通じて上記ケーシングへ伝えられる。又、このリアクタ(1)から発生した熱のうち、一部は該リアクタ(1)の前面側から上記保護カバー(3)を介して上記ケーシングへ伝えられる。
【0058】
又、上記リアクタ(1)の前面側から上記保護カバー(3)へ伝わった熱の一部は、上記放熱フィン(4)により、上記保護カバー(3)の外側へ放出される。
【0059】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、上述したように、コンテナ用冷凍装置のケーシング(11)は、一般的な冷凍装置のケーシング(11)よりも大きな熱容量及び広い表面積を有している。そして、この大きな熱容量及び広い表面積を有するケーシング(11)を介して、上記リアクタ(1)で発生する熱を効率よく外部へ放出することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、上記ゲル状のグリース(2)を用いることにより、上記グリース(2)と上記リアクタ(1)との間、及び上記グリース(2)と上記ケーシング(11)との間の接触熱抵抗を、上記グリース(2)を用いない場合に比べて小さくすることができる。これにより、上記リアクタ(1)からの放熱を促進することができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、上記リアクタ(1)で発生する熱を、直接的に上記ケーシング(11)へ伝えるだけでなく、上記保護カバー(3)を介して間接的に上記ケーシング(11)へ伝えることができる。これにより、上記リアクタ(1)を上記保護カバー(3)で覆った場合でも、上記リアクタ(1)からの放熱を確実に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、上記リアクタ(1)で発生する熱を、直接的に上記ケーシング(11)へ伝えたり、上記保護カバー(3)を介して間接的に上記ケーシング(11)に伝えるだけでなく、上記放熱フィン(4)を介して上記保護カバー(3)の外部へ放出することができる。これにより、上記リアクタ(1)からの放熱をより一層促進することができる。
【0063】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0064】
本実施形態では、上記リアクタ(1)を保護する保護カバー(3)が、該リアクタ(1)の前面に当接しているが、これに限定されず、上記保護カバー(3)が、上記リアクタ(1)の前面以外の面に当接するようにしてもよい。この場合であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本発明は、コンテナ内を冷却するコンテナ用冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 リアクタ
2 グリース
3 保護カバー(カバー部材)
4 放熱フィン
10 コンテナ用冷凍装置
11 ケーシング(ケーシング部材)
20 冷媒回路
30 圧縮機
31 凝縮器
31a 冷媒流路
31b 空気流路
31c 流出開口部
31d 流入開口部
32 膨張弁
33 蒸発器
S1 第1空間部
S2 第2空間部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が開放されたコンテナの開口部を閉塞するケーシング部材(11)と、該ケーシング部材(11)に収容されて該コンテナの内部を冷却するための冷媒回路(20)と、上記ケーシング部材(11)に収容されて該冷媒回路(20)に接続された圧縮機(30)の電源ライン(16)に取り付けられたリアクタ(1)とを備えたコンテナ用冷凍装置であって、
上記ケーシング部材(11)には、上記リアクタ(1)が固定され、
上記ケーシング部材(11)が、上記リアクタ(1)で発生する熱を放出する放熱部材を構成することを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記リアクタ(1)で発生する熱を上記ケーシング部材(11)へ伝える熱伝導部材(2,3)を備えていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記熱伝導部材(2,3)は、上記リアクタ(1)及び上記ケーシング部材(11)の両方に接触するゲル状のグリース(2)であることを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項4】
請求項2において、
上記熱伝導部材(2,3)は、上記ケーシング部材(11)に固定されるとともに上記リアクタ(1)に当接しながら該リアクタ(1)を覆うカバー部材(3)であることを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記カバー部材(3)には、該カバー部材(3)の熱を外部へ放出する放熱フィン(4)が取り付けられていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項1】
一端が開放されたコンテナの開口部を閉塞するケーシング部材(11)と、該ケーシング部材(11)に収容されて該コンテナの内部を冷却するための冷媒回路(20)と、上記ケーシング部材(11)に収容されて該冷媒回路(20)に接続された圧縮機(30)の電源ライン(16)に取り付けられたリアクタ(1)とを備えたコンテナ用冷凍装置であって、
上記ケーシング部材(11)には、上記リアクタ(1)が固定され、
上記ケーシング部材(11)が、上記リアクタ(1)で発生する熱を放出する放熱部材を構成することを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記リアクタ(1)で発生する熱を上記ケーシング部材(11)へ伝える熱伝導部材(2,3)を備えていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記熱伝導部材(2,3)は、上記リアクタ(1)及び上記ケーシング部材(11)の両方に接触するゲル状のグリース(2)であることを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項4】
請求項2において、
上記熱伝導部材(2,3)は、上記ケーシング部材(11)に固定されるとともに上記リアクタ(1)に当接しながら該リアクタ(1)を覆うカバー部材(3)であることを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【請求項5】
請求項4において、
上記カバー部材(3)には、該カバー部材(3)の熱を外部へ放出する放熱フィン(4)が取り付けられていることを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2011−112270(P2011−112270A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268033(P2009−268033)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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