説明

コンテンツ再生装置

【課題】複数のコンテンツ再生装置でコンテンツを再生する場合に便宜を図ることが容易なコンテンツ再生装置を提供する。
【解決手段】再生部でのコンテンツデータの再生結果に対応して、再生履歴情報を更新し、これを入出力することができる。装置間で再生履歴情報のやり取りが可能であることから、複数のコンテンツ再生装置でコンテンツを再生する場合に便宜を図ることが容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画、音声等のコンテンツを再生するコンテンツ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動画、音声等のコンテンツを再生するコンテンツ再生装置(例えば、HDDレコーダ、DVDレコーダ)が用いられている。
ここで、2チャンネルの動画像信号を1枚のディスクから同時に再生できるものにおいて、複数のリジューム点を管理し、所望のリジューム点での再生を実現する技術が公開されている(特許文献1参照)。また、コンテンツ情報の再生が中断された場合、再生済と未再生との領域を区別して以降を再生し、同時に管理情報の改竄を防止する技術が公開されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−146327号公報
【特許文献2】特開2003−272289公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1,2には、複数のコンテンツ再生装置でコンテンツを再生する場合に便宜を図ることは示されていない。
上記に鑑み、本発明は複数のコンテンツ再生装置でコンテンツを再生する場合に便宜を図ることが容易なコンテンツ再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明に係るコンテンツ再生装置は、コンテンツデータを記憶するコンテンツデータ記憶部と、コンテンツデータの再生履歴情報を記憶する再生履歴情報記憶部と、前記再生履歴情報記憶部に記憶された再生履歴情報に基づき、前記コンテンツデータ記憶部に記憶されたコンテンツデータを再生する再生部と、前記再生部でのコンテンツデータの再生結果に対応して、前記再生履歴情報記憶部に記憶された再生履歴情報を更新する再生履歴情報更新部と、を具備することを特徴とする。
【0005】
再生部でのコンテンツデータの再生結果に対応して、再生履歴情報を更新し、これを入出力することができる。装置間で再生履歴情報のやり取りが可能であることから、複数のコンテンツ再生装置でコンテンツを再生する場合に便宜を図ることが容易となる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば複数のコンテンツ再生装置でコンテンツを再生する場合に便宜を図ることが容易なコンテンツ再生装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は,本発明の一実施形態に係るコンテンツデータ再生システム10を表すブロック図である。
コンテンツデータ再生システム10は、録画再生装置11および携帯型再生装置12により構成され、同一のコンテンツを録画再生装置11および携帯型再生装置12の双方で視聴することを可能とする。
【0008】
録画再生装置11は、例えば、HDDレコーダ、DVDレコーダ、パーソナルコンピュータであり、動画の記録、再生、記録された動画のフォーマット変換等が可能である。一方、携帯型再生装置12は、例えば、PDA、携帯電話等の携帯端末であり、動画の再生が可能である。即ち、本実施形態では、録画再生装置11は設置場所に固定され、動画の記録、再生の双方が可能であるのに対して、携帯型再生装置12はユーザが携帯して用い動画の再生のみが可能としている。このように、録画再生装置11と、携帯型再生装置12とを組み合わせることで、動画の記録と、適宜な場所での再生の双方を容易に行うことができる。
【0009】
録画再生装置11はチューナ21によりテレビ番組を受信し,符号化部22により動画データを符号化(例えばMPEG2への変換)してストレージ24(例えば内蔵HDD)に保存する。
ストレージ24に保存された動画データは、復号化部23により復号化した後に録画再生装置11に直接接続されたモニタで視聴することが可能である。これに替えて,符号化部22により携帯型再生装置12で再生可能なフォーマット(例えばMPEG4)に動画データを変換して,通信部26,またはメモリカード27を介して携帯型再生装置12に転送し、携帯型再生装置12で視聴することも可能である。
携帯型再生装置12は,通信部36またはメモリカード37により動画データを受け取り,復号化部31で復号化し、モニタ32,およびスピーカ33から再生する。
【0010】
ここで、録画再生装置11,および携帯型再生装置12において再生される動画データには,再生履歴情報が付随しており,それぞれの装置での動画データの再生に伴って変更される。また、再生履歴情報は、必要に応じて、録画再生装置11および携帯型再生装置12間で相互に受渡され、統合される。
【0011】
以下、録画再生装置11をより詳細に説明する。
録画再生装置11では,テレビ放送の信号をチューナ21で受け,必要に応じて符号化部22において録画再生装置11で再生可能なフォーマット(例えばMPEG2等)に変換し,録画再生装置11に備え付けられ、コンテンツデータ記憶部および再生履歴情報記憶部たるストレージ24(例えば内蔵HDD,DVD−RAM等)に記録する。
【0012】
ストレージ24に記録された動画データは再生部たる復号化部23にて復号化され、録画再生装置11に接続されたモニタで視聴することが可能である。また,ストレージ24に蓄えられた動画データは,符号化部22において、携帯型再生装置12で再生可能なフォーマット(例えばMPEG4等)に変換される。変換された動画データは,通信部26(例えばUSB,有線/無線LAN等),または着脱可能なメモリカード27(例えばSDメモリカード等)を介して,携帯型再生装置12へと受渡され、携帯型再生装置12上で視聴することが可能である。
【0013】
録画再生装置11上で行った再生の履歴は、再生履歴情報更新部および再生履歴情報統合部たる再生情報管理部25により再生履歴情報として管理される。再生履歴情報は、動画データに付随する情報であり,動画データのフォーマットが変更され携帯型再生装置12へと伝送された場合に動画データと共に伝送される。
但し、再生履歴情報を動画データとは別途に受け渡すことが可能である。再生履歴情報の受け渡しを容易にするためである。
【0014】
以下、携帯型再生装置12をより詳細に説明する。
携帯型再生装置12では,通信部36(例えばUSB,有線/無線LAN等)を介してメモリ34上に,または着脱可能なメモリカード37(例えばSDメモリカード等)上に蓄えられた携帯型再生装置12で再生可能な動画データを,再生部たる復号化部31で復号化した後に,モニタ32,およびスピーカ33で再生、視聴できる。メモリ34、メモリカード37は、コンテンツデータ記憶部および再生履歴情報記憶部として機能する。
また,動画データに付随する再生履歴情報は、再生履歴情報更新部および再生履歴情報統合部たる再生情報管理部35にて管理され,再生地点の制御などに用いられる。再生情報管理部35は,携帯型再生装置12における動画データの再生に伴い再生履歴情報を更新し,必要に応じて再生履歴情報を録画再生装置11に対して受渡しを行う。
【0015】
図2は,図1中に示した再生履歴情報の詳細を示す模式図である。
再生履歴情報は、コンテンツID、最終更新日時、再生完了フラグ、再生履歴の情報を含む。
コンテンツIDはコンテンツに固有のIDであり,このIDを用いて、再生履歴情報が対応する動画データを見つけることが可能である。コンテンツIDは、動画データのフォーマットが変換された場合(例えばMPEG2からMPEG4への変換等)においても不変である。
【0016】
コンテンツIDは、コンテンツに対応して自動的に生成される。例えば、コンテンツデータが録画再生装置11に録画される毎にコンテンツIDが付与される。コンテンツIDは、コンテンツを識別できれば、例えば、数字、文字等いずれでも差し支えない。コンテンツIDが数字で表される場合には、連番、ランダムな数字、録画した日時に対応する数字、のいずれでも差し支えない。
なお、コンテンツIDをユーザが決定することも可能である。
【0017】
最終更新日時は再生履歴の更新が最後に行われた日時を記録するものである。
再生完了フラグは,再生履歴情報が対応する動画データの再生がデータすべてにわたって完了したかどうかを示すフラグである。このフラグは、例えば、再生が未完了のときに0、再生が完了したときに1とすることができる。
再生履歴は再生箇所と,再生日時とから構成される再生履歴のリストである。再生箇所は過去の再生における再生開始箇所と再生終了箇所を記録し,再生日時はその再生が行われた日時が記録される。
【0018】
録画再生装置11で録画した動画データを録画再生装置11および携帯型再生装置12で交互に再生する場合につき説明する。
図3は、録画再生装置11および携帯型再生装置12で動画データを交互に再生する場合の再生の手順の一例を表す模式図である。
図4,5は、図3に表す手順で動画データが再生された場合の再生履歴情報の一例を表す模式図である。
【0019】
以下、図3〜5を用いて,録画再生装置11で録画した動画データを録画再生装置11と携帯型再生装置12とで交互に再生する場合を例に詳細に説明する。
図3では録画再生装置11で録画した動画データV0を録画再生装置11で視聴する際に,部分的に携帯型再生装置12において視聴する場合を想定している。
図3中の(1)において,録画済みの動画データ(総再生時間を60分とする)の再生を開始する。図3 中の(2)において,動画データの先頭から20分の箇所で視聴を中断したとする(日時2004/03/10 08:20:00)。この際に、録画再生装置11において動画データV0に付随する再生履歴情報が更新される。
【0020】
図4は、更新された再生履歴更新情報を表す模式図である。図4において,コンテンツIDは0001,最終更新日時は更新された日時となる。コンテンツ長60分のうち20分しか再生していないので、再生完了フラグは0を示している。再生履歴は,再生箇所と再生日時が記録される。図4には、先頭から20分視聴したことに対応する情報が記録されている。
【0021】
その後,携帯型再生装置12で再生可能なフォーマットに変換された動画データV1を録画再生装置11から携帯型再生装置に転送する。フォーマット変換された動画データV1はオリジナル動画データV0からフォーマットのみが変化したものであり,コンテンツ長も同じである。動画データV1の転送時には付随する再生履歴情報も共に転送される。
【0022】
図3中の(3)で,携帯型再生装置12において動画データV1の再生が開始される。このとき携帯型再生装置12では,図4に示した再生履歴情報を確認し,最後に再生を中断した箇所から再生を開始する。この場合には,動画データV1に付随する再生履歴情報から既に先頭20分間のデータは再生済みであると判るので,先頭20分間はスキップしてメディア時刻にして20分の地点から再生が開始される。
【0023】
図3中の(4)で,動画データV1のメディア時刻にして20分の地点から再生を開始し、40分のところで再生を中断したとする(日時2004/03/10 10:00:00)。この中断の際に,動画データV1に付随する再生履歴情報が更新される。
図5は、更新された再生履歴更新情報を表す模式図である。図5において,再生履歴として再生箇所(20:00:00〜40:00:00),再生日時(2004/03/10 10:00:00)が新たに記録される。また,記録の変更にともなって最終更新日時も最新の状態(2004/03/10 10:00:00)に更新される。
【0024】
図3中の(5)で,録画再生装置11においてオリジナルの動画データV0の再生を開始する。再生を開始する前に再生履歴情報のチェックが行われる。携帯型再生装置12で更新された再生履歴情報が録画再生装置11に移動され,再生履歴情報が最新の状態に更新される(録画再生装置11と携帯型再生装置12の再生履歴情報の統合)。なお、この詳細は後述する。
更新された再生履歴情報より,最後に再生を中断した地点はメディア時刻にして40分の地点であるため,先頭から40分までの動画データはスキップされ40分の地点から再生が開始され、最後まで動画データが再生される(図3中の(6))。
【0025】
図6は、図3の(5)で行われる再生履歴情報の統合の手順を表すフローチャートである。
再生履歴情報の更新が開始される(STEP1)。
次に、携帯型再生装置12上で管理されている再生履歴情報と,録画再生装置11上で管理されている再生履歴情報の最終更新日時が比較される(STEP2)。即ち、最終更新日時の異同が判断される。
ここで、録画再生装置11と携帯型再生装置12とでクロックが示す時刻が相違すると、STEP2での判断に誤りが生じる可能性がある。これに対応するには、最終更新日時が同一であるか否かの判断にある程度の幅を持たせることが考えられる。例えば、録画再生装置11と携帯型再生装置12との再生履歴情報の最終更新日時が所定範囲(例えば、10分間程度)で一致したときに、最終更新日時が同一であると判断する。
【0026】
最終更新日時が異なっている場合には,未統合の情報があると判断して2つの再生履歴情報の統合を行う(STEP3)。
図3中の(5)の例では,それぞれの装置で管理している再生履歴情報(図4,図5)の最終更新日時が異なっているので,再生履歴情報が統合される。この場合、統合後の再生履歴情報は携帯型再生装置12で管理されていた状態(図6)と同一になる。即ち、更新された再生履歴情報において,最後に再生を中断した地点はメディア時刻にして40分の地点である。
【0027】
図3の例では、録画再生装置11と携帯型再生装置12とで、再生履歴情報を常に交換していることから、更新された再生履歴情報は常に前回の再生履歴情報に再生履歴を追加したものとなる。
しかしながら、録画再生装置11と携帯型再生装置12間で、再生の前に再生履歴情報を常に交換するとは限らない。
【0028】
この場合には、互いの再生履歴情報中の再生履歴の途中で不一致が生じうる。このような場合に対応すべく、再生履歴の統合時に、録画再生装置11と携帯型再生装置12の再生履歴情報を比較し、整理することが考えられる。例えば、互いの再生履歴中から重複しないものを抽出し、再生日時順にソートしたものを統合された再生履歴情報の再生履歴とすることが考えられる。
なお、再生履歴の重複は、再生日時に基づいて判断することができる。このとき、再生日時の異同に誤差範囲を考慮し、所定範囲内での再生日時の相違は再生日時が一致していると判断することができる。
【0029】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張、変更可能であり、拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、動画データのみならず、音声データ(例えば、音楽、講演)もコンテンツデータに含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテンツデータ再生システムを表すブロック図である。
【図2】図1中に示した再生履歴情報の詳細を示す模式図である。
【図3】録画再生装置および携帯型再生装置で動画データを交互に再生する場合の再生の手順の一例を表す模式図である。
【図4】図3に表す手順で動画データが再生された場合の再生履歴情報の一例を表す模式図である。
【図5】図3に表す手順で動画データが再生された場合の再生履歴情報の一例を表す模式図である。
【図6】再生履歴情報の統合の手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
10…コンテンツデータ再生システム、11…録画再生装置、12…携帯型再生装置、21…チューナ、22…符号化部、23…復号化部、24…ストレージ、25…再生情報管理部、26…通信部、27…メモリカード、31…復号化部、32…モニタ、33…スピーカ、34…メモリ、35…再生情報管理部、36…通信部、37…メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを記憶するコンテンツデータ記憶部と、
コンテンツデータの再生履歴情報を記憶する再生履歴情報記憶部と、
前記再生履歴情報記憶部に記憶された再生履歴情報に基づき、前記コンテンツデータ記憶部に記憶されたコンテンツデータを再生する再生部と、
前記再生部でのコンテンツデータの再生結果に対応して、前記再生履歴情報記憶部に記憶された再生履歴情報を更新する再生履歴情報更新部と、
前記再生履歴情報記憶部に記憶された再生履歴情報を出力する再生履歴情報出力部と、
再生履歴情報を入力する再生履歴情報入力部と、
を具備することを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項2】
再生履歴情報が、コンテンツデータ記憶部に記憶されたコンテンツデータの再生箇所を表す再生箇所情報を有し、
前記再生部が、前記再生箇所情報で表される再生箇所から前記コンテンツデータの再生を開始する
ことを特徴とする請求項1記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
再生履歴情報が、コンテンツデータ記憶部に記憶されたコンテンツデータを識別するコンテンツ識別情報を有する
ことを特徴とする請求項1記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
前記再生履歴情報入力部から入力された再生履歴情報と、前記再生履歴情報記憶部に記憶された再生履歴情報とを統合する再生履歴情報統合部
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
前記再生履歴情報が、前記再生履歴情報が最後に更新された日時を特定する最終更新日時情報を含み、
前記再生履歴情報統合部が、前記再生履歴情報入力部から入力された再生履歴情報、および前記再生履歴情報記憶部に記憶された再生履歴情報、に含まれる最終更新日時情報に基づき、再生履歴情報を統合する
ことを特徴とする請求項4記載のコンテンツ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−18913(P2006−18913A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195019(P2004−195019)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】