コンテンツ再生装置
【課題】ライブ映像等のリアルタイムに発生するビデオ信号に対応づけて歌詞テロップ等の映像を同期再生することができるコンテンツ再生装置を提供する。
【解決手段】本人出演の背景映像を有するカラオケ楽曲データを記憶し、ビデオ入力部24から入力されたライブ映像と背景映像とを対比して同期をとり(同期制御部3)、この同期に基づいてクロック信号を生成する(クロック生成部4)。このクロック信号で歌詞データトラックをシーケンスする(映像シーケンス部10)ことにより、外部から入力されたライブ映像に同期して歌詞を表示することができる。
【解決手段】本人出演の背景映像を有するカラオケ楽曲データを記憶し、ビデオ入力部24から入力されたライブ映像と背景映像とを対比して同期をとり(同期制御部3)、この同期に基づいてクロック信号を生成する(クロック生成部4)。このクロック信号で歌詞データトラックをシーケンスする(映像シーケンス部10)ことにより、外部から入力されたライブ映像に同期して歌詞を表示することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部から入力されるビデオ信号に同期した映像を表示するコンテンツ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置による演奏では、楽曲の演奏およびその背景映像と同期して歌詞テロップが表示される(たとえば特許文献1)。これは予め曲データ中に演奏用の演奏トラックと歌詞テロップを表示するための歌詞トラックとを並列に記憶しているからである。
【0003】
【特許文献1】特開2000−99044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、カラオケ装置だけでなく、テレビ放送等でも歌手の歌唱に合わせて歌詞を表示することがよく行われている。また、テレビ放送では、歌詞に限定されず、ニュース番組等で人物の発言を文字に記述したものをテロップとして画面にスーパーインポーズ表示(テロップ化)したり、語学学習番組では講師の発言をテロップ化して表示することが広く行われている。
【0005】
これらは、いずれも事前に映像にテロップを合成したものを再生表示するものであり、たとえば演奏の生中継(いわゆるライブ中継)などのリアルタイムに行われ、ストリーミングで到来する演奏や発言等の動作に同期してテロップを生成しているものではなかった。
【0006】
この発明は、ストリーミングで入力されるビデオ信号に同期させて歌詞テロップ等の映像を再生することができるコンテンツ再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、参照用映像時系列データと再生用映像時系列データとを時系列に対応づけて記録したコンテンツデータを記憶するコンテンツデータ記憶部と、外部からビデオ信号を入力するビデオ信号入力部と、外部から補助情報を入力する補助情報入力部と、前記ビデオ信号と前記参照用映像時系列データとを対比する対比処理を実行するとともに、前記補助情報に基づいて前記対比処理を修正することにより、前記ビデオ信号に同期した再生クロックを生成するクロック生成部と、前記クロック生成部が生成した再生クロックに基づいて前記再生用映像時系列データを再生する映像再生部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ビデオ信号入力部が入力したビデオ信号と前記映像再生部が再生した映像信号とを合成して出力する映像合成部をさらに備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記ビデオ信号を、前記クロック生成部による再生クロックの生成に要する時間だけ遅延させたのち前記映像合成部に入力するビデオ遅延部を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、外部から前記ビデオ信号に同期したオーディオ信号を入力するオーディオ信号入力部と、前記オーディオ信号入力部から入力されたオーディオ信号を、前記クロック生成部による再生クロックの生成に要する時間だけ遅延させて再出力するオーディオ信号遅延部と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4の発明において、前記コンテンツデータ記憶部が記憶しているコンテンツデータは、前記参照用映像時系列データに時系列に対応づけられた音声時系列データをさらに含み、前記クロック生成部が生成した再生クロックに基づいて前記音声時系列データを再生する音声再生部を、さらに備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5の発明において、前記コンテンツデータ記憶部が記憶する前記映像時系列データは、表示すべき映像データとその表示タイミングを示すタイミングデータを含むシーケンスデータであり、前記映像再生部は、前記シーケンスデータを再生するシーケンス処理部を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1〜5の発明において、前記コンテンツデータ記憶部が記憶する前記映像時系列データは、動画映像を含むビデオデータであり、前記映像再生部は、前記ビデオデータを再生するビデオ再生部を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1〜7の発明において、前記コンテンツデータ記憶部は、さらに、外部機器を時系列に制御する機器制御時系列データを記憶し、前記クロック生成部が生成した再生クロックに基づいて前記機器制御時系列データを読み出して制御信号を出力する外部機器制御部をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
[作用]
この発明では、ビデオ信号および各種の補助情報に基づいてビデオ信号に同期した再生クロックを生成し、この再生クロックに基づいて再生用映像時系列データを再生することにより、ビデオ信号に同期した映像(および音声)を再生することができる。なお、ビデオ信号は、この装置を経由して再生用に出力されるようにしてもよく、この装置をバイパスする別の経路で再生されるようにしてもよい。
【0016】
また、精度よく同期した再生クロックを生成する処理は、複雑で重い処理であるため、ビデオ信号が入力されたのち、その信号に同期したクロックが生成されるまである程度の時間が必要である。入力されたビデオ信号やオーディオ信号をこの時間分遅延させて出力することにより、再生された映像と遅延されたビデオ信号との同期をより精度よくすることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、入力されたビデオ信号に同期して再生用映像時系列データを再生することができる。たとえば、カラオケ装置に、本人出演の背景映像が組み合わされたカラオケ楽曲データが記憶されている場合、ライブ演奏の映像を入力し、この映像に同期して歌詞テロップを再生表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。
<<第1実施形態>>
図1はこの発明の第1実施形態であるコンテンツ再生装置の構成図である。このコンテンツ再生装置は、ビデオ入力部(Video In)24から入力されたビデオ信号に同期させて映像シーケンスデータ(Display Sequence Data)9を再生出力する装置である。以下の説明では、カラオケ曲の演奏に用いられる曲データおよび背景映像を用いて、ライブ演奏の映像・音声に同期した歌詞を表示する場合を例に挙げて説明する。
【0019】
コンテンツ再生装置は、外部からビデオ信号が入力されるビデオ入力部(Video
In)24、外部からオーディオ信号が入力されるオーディオ入力部1、補助情報が入力される補助情報入力部(Aux Info)2、オーディオ信号が出力されるオーディオ出力部(Audio Out)11、映像が出力される映像出力部(Video Out)12、参照用ビデオデータ(Video Data for reference)8および前記映像シーケンスデータ9を含むカラオケ曲の曲データが記憶される記憶部(Song Data)7、入力されたビデオ信号と映像とを同期させるための信号処理部6、前記映像シーケンスデータ9を再生する映像シーケンサ(Graphic Sequencer)10、および、映像シーケンサ10が再生した映像と入力されたビデオ信号とを合成する映像ミキサ(SuperImpose)26を備えている。
【0020】
本人出演の背景映像を有するカラオケ楽曲データを用いてライブ演奏の歌詞を表示する場合、ビデオ入力部24から入力されるビデオ信号は、ライブ演奏の演奏者のライブ映像である。ライブ映像は、公共放送網、インターネット等を経由して配信されてくる。また、参照用ビデオデータ8は、そのカラオケ曲のオリジナル歌手が歌唱する姿を撮影したビデオ映像である。また、映像シーケンスデータ9は、歌詞を表示するための歌詞トラックである。シーケンスデータは、楽音の発音動作や消音動作を実行するための情報であるイベントデータとこのイベントデータの読み出しタイミングを指示するタイミングデータからなっている。
【0021】
信号処理部6は、同期制御部(Time Alignment)3、クロック生成部(Clock Generator)4、ビデオ遅延部25、および、オーディオ遅延部(Delay)5を有している。同期制御部3は、ビデオ入力部24から入力されたビデオ信号と参照用ビデオデータ8のビデオ映像とを対比し、且つ、補助情報入力部2から入力された補助情報に基づいて対比位置や速度を修正しつつ、入力されたビデオ信号と同期した再生位置情報(タイミング情報)およびテンポ情報を生成する。クロック生成部4は、同期制御部3が生成した再生位置情報(タイミング情報)およびテンポ情報に基づいて再生クロックを生成する。ビデオ遅延部25は、ビデオ入力部24から入力されたビデオ信号を所定間遅延させてビデオ出力部12に入力する。オーディオ遅延部5は、オーディオ入力部1から入力されたオーディオ信号1を所定時間遅延させてオーディオ出力部11に入力する。
【0022】
同期制御部3は、ビデオ入力部24から入力されたビデオ信号のフレーム毎の映像を解析し、撮影されているライブ出演者の動作や口の動きを分析するとともに、記憶部7に記憶されている参照用ビデオデータ8のフレーム毎の映像を解析し、撮影されているオリジナル歌手の動作や口の動きを分析する。特開2003−196655公報や特開2000−222576公報等に記載された手法で顔や身体を検出し、検出された顔や身体の動きを対比すればよい。そして、この対比結果に基づいて入力ビデオ信号と参照用ビデオデータとをフレーム毎に対比し、動作や口の動き等が最も近似する時間軸上の対応位置を検出し、その対応位置における曲データの時間情報を曲の演奏位置情報とする。すなわち、ライブ演奏の演奏音が曲データのどの位置を演奏しているかを検出する。
【0023】
この演奏位置の検出すなわち同期検出により、現在入力されているビデオ信号が参照用ビデオデータのビデオ映像において時間軸上のどの位置であるかを割り出すとともに、そのビデオ信号の進行速度すなわちテンポを割り出す。そして、この時間軸上の位置、すなわち演奏位置情報およびタイミング情報(いつ拍タイミングを通過するかの情報)とテンポ情報をクロック生成部4に出力する。なお、テンポおよび拍タイミングの決定は、たとえば特開平9−16171号公報に記載された技術等を用いればよい。
【0024】
このクロック信号は、映像シーケンサ10に入力される。映像シーケンサ10は、歌詞テロップである映像シーケンスデータ9を、クロック信号にしたがって読み出し、歌詞テロップの映像を再生する。上記のようにクロック信号が、外部から入力されたビデオ信号すなわちライブ演奏者の映像に同期したものであるため、この映像シーケンサ10によって再生され、映像出力部12から出力される歌詞テロップは、ライブ演奏に同期したものとなる。
【0025】
なお、同期制御部3による同期検出およびクロック生成部4によるクロック信号の生成には若干の処理時間が必要であるため、ビデオ入力部24から入力されたビデオ信号、および、オーディオ入力部1から入力されたオーディオ信号を、それぞれビデオ遅延部25、オーディオ遅延部5で、上記処理時間分遅延させて出力する。これにより、映像シーケンサ10が再生する歌詞テロップと、入力されたビデオ信号,オーディオ信号との同期をより精度よくすることができる。なお、ビデオ遅延部25,オーディオ遅延部1は必須ではなく、同期にそれほど高い精度が不要な場合やクロック信号生成処理に要する処理時間が微小な場合等には、入力された信号をそのまま出力するようにしてもよい。
【0026】
ここで、図2,図3を参照して、カラオケ曲の曲データと歌詞テロップの表示方式について説明する。
図2において、曲データは、同図(A)に示すように、ヘッダ、カラオケ曲を演奏するための楽音トラック、ガイドメロディを発生するためのガイドメロディトラック、歌詞テロップを表示するための歌詞トラック、曲の区切り位置を示すジャンプマークが書き込まれたマークトラック等からなっている。マークトラックには、たとえば、1番、2番、サビ、クライマックス、イントロ、間奏、エンディング等を示すジャンプマークが書き込まれる。
【0027】
各トラックは、MIDIフォーマットに従って記述されている。たとえば、楽音トラックやガイドメロディトラックは、同図(B)に示すように、ノートオンイベントデータ、ノートオフイベントデータなどのイベントデータと各イベントデータの読み出しタイミングを示すタイミングデータからなっている。ノートオンイベントデータは音高データを含み、このノートオンによって発生する楽音の音高や音量を指定する。この楽音は、対応するノートオフイベントデータが読み出されるまで継続する。
タイミングデータは、各イベントデータ間の時間的間隔を示すデュレーションデータや曲のスタート時刻からの絶対時間を示す絶対時間データなどで構成することができる。
【0028】
楽音トラック、ガイドメロディトラックのイベントデータは、上記のように楽音の音高、音量、オン/オフなどを示すノートイベントデータなどで構成され、このノートイベントデータを音源に入力することにより楽音が発音/消音される。楽音トラックは、多数の楽器の楽音を発生するために複数トラック(パート)で構成されており、ガイドメロディトラックは、歌唱旋律をガイドするための単旋律のMIDIデータで構成されている。
【0029】
歌詞トラックは、カラオケ曲の曲名や歌詞を表示するための各種データをインプリメントしたシーケンスデータであり、図3(A)に示すように、タイミングデータに基づいて読み出される歌詞表示データから構成されている。
【0030】
歌詞表示データは1行分の歌詞表示に関する全てのデータを内包しており、表示オンタイミング、表示オフタイミング、文字列データ(表示ポイント数、表示座標、文字間データなどを含む)、色1データ、色2データ、歌詞の色変えデータなどからなっている。
【0031】
同図(B)を参照して、歌詞表示データによる歌詞テロップの表示態様について説明する。この図のグラフは、縦軸が時間、横軸が歌詞テロップ(モニタ画面)のx座標を表している。曲の演奏がこの歌詞の箇所に到達するton前に、1行分の歌詞を色1で先出し表示する。そして、曲の演奏がこの歌詞の箇所まで進行してくるまでの間色1で表示し続ける。曲の演奏がこの歌詞の箇所に到達すると、曲の進行に合わせて表示色を左から順に色1から色2に色変え(ワイプ)してゆく。ワイプが終了したのちも暫くの間(te)色2で残表示したのちこの歌詞テロップを消去する。
【0032】
歌詞の色変えデータは同図(B)に示すようにワイプの(時間−x座標)曲線の主要な点を示す複数のプロッティングデータで構成されている。映像シーケンス部10はこのプロッティングデータを2次曲線で補間して色変え(ワイプ)を行う。
【0033】
ここで、再び図1において、同期制御部3は、ビデオ入力部24から入力されるビデオ信号のみでは演奏位置の割り出しや正確な同期確定が困難である。そこで、補助情報入力部2から入力された補助情報を用いて確実な演奏位置の決定や同期の確定を行う。
【0034】
補助情報は、例えばライブ会場にいる係員によって入力される情報や、ライブ映像等から検出される情報である。ライブ会場には、ライブ中継のためにカメラマンや音声担当を含む複数人のスタッフが従事しており、そのうちの一人がカラオケ装置での同期再生のための補助情報を入力する。補助情報としては、曲がスタートしたことを示すスタート情報、曲が一時停止したことを示すストップ情報、曲が終了したことを示すエンド情報、曲の演奏位置が通常の進行からジャンプすることを示すジャンプ情報等である。ライブ演奏の場合、時間の制約で3コーラス目を省略したり、聴衆の反応に合わせてサビを繰り返したりするなど、レコーディングされた通常の演奏と異なる進行で演奏される場合がある。このような場合に、会場の係員がどこにジャンプしたか(またはどこにジャンプしそうかという予測)をジャンプ情報として入力する。ジャンプ位置は、曲データ中のジャンプマークで指定すればよいが、曲データにおける時刻軸の値で指定してもよい。ジャンプマークとしては、上述したように、1番、2番、サビ、クライマックス、イントロ、間奏、エンディングを示すマークがあり、それぞれの曲に応じて曲データにおける時刻軸の値に対応づけて付される。このジャンプマークは、図2に示したように元々曲データに付加されていることが好ましいが、ジャンプマークを持たない曲データについては、ライブ会場の係員が、曲のスタート時に補助情報としてジャンプマークトラックのデータを配信するようにしてもよい。
【0035】
また、ライブ会場の係員が入力する補助情報として、曲スタート時やテンポ変化時に手動(タッピング)で入力されるビート信号も送られてくる。このビート信号は精度が高いものではなく、また、曲の開始から終了まで継続的に送られてくるものではないため、これをそのままテンポクロック信号として用いることはできないが、テンポ決定や拍タイミングを割り出すための情報として用いることができる。
【0036】
同期制御部3は、補助情報入力部2から入力される上記のような補助情報を参照して、現在の演奏位置がどのあたりであるかを割り出し、その周辺の参照用ビデオデータを読み出して、入力されるビデオ信号と対比する。また、間欠的に入力されるビート信号を参照して概ねの拍タイミングとテンポを把握し、この概ねの拍タイミングとテンポ(時間軸のスケーリング)で入力されたビデオ信号と参照用ビデオデータとを対比することで同期を容易にする。
【0037】
なお、この実施形態のコンテンツ再生装置では、再生用映像時系列データとして、歌詞テロップ等の映像シーケンスデータ9を記憶しているが、これにビデオデータ(Video Data)を記憶し、このビデオデータを再生クロック信号に同期して再生するようにしてもよい。この場合、このビデオデータを再生する機能部として、映像シーケンサ10に代えてビデオ再生部(Video Player)を備える。ビデオ再生部は、可変フレームレートの再生装置(再生ソフトウェア)を用いることが好ましい。
【0038】
<<第2実施形態>>
図4はこの発明の第2実施形態であるコンテンツ再生装置の構成図である。図4において、図1に示した第1の実施形態と同一構成の部分は、同一番号を付して説明を省略する。
【0039】
この実施形態のコンテンツ再生装置では、記憶部7は、映像シーケンスデータ9に加えて外部機器を制御するための外部シーケンスデータ(Aux Sequence Data)17を記憶している。そしてこの外部シーケンスデータ17をシーケンスする機能部として、外部シーケンサ18を備えている。外部シーケンサ18がシーケンスした制御データは制御信号出力部19から外部機器に対して出力される。
【0040】
制御信号出力部19には、たとえば、自動演奏ピアノ、照明機器や花火,噴水等の演出装置が接続される。このような機器を、ビデオ入力部24から入力されるビデオ信号に同期して制御することにより、ライブ演奏に同期して生ピアノが演奏されたり、照明が変化したり花火が点火されたりするような演出を加えることができる。
【0041】
<<第3実施形態>>
図5はこの発明の第3実施形態であるコンテンツ再生装置の構成図である。図5において、図1に示した第1の実施形態と同一構成の部分は、同一番号を付して説明を省略する。
【0042】
この実施形態のコンテンツ再生装置では、音声データ14を再生する機能部として、音声再生部21を備えている。音声データ14は、MIDIデータ等のシーケンスデータであってもよく、PCM,MP3等のオーディオ波形データであってもよい。再生用の音声データ14がMIDI等のシーケンスデータの場合、音声再生部21は、シーケンサおよび音源の機能を備える。また、再生用の音声データ14がオーディオ波形データの場合、音声再生部21は、デコーダを備える。
【0043】
音声再生部21が再生した音声データ14の音声信号は、ミキサ22に入力される。ミキサ22には、オーディオ入力部1から入力され遅延部5で遅延されたオーディオ信号も入力される。ミキサ22は、この入力されたオーディオ信号および再生された音声信号をミキシングしてオーディオ出力部11から出力する。
【0044】
これにより、入力されたライブ映像に同期して、歌詞テロップ等の映像を再生することができるとともに、入力されたライブ音声に同期してさらに音声信号を再生してミキシング出力することができる。
【0045】
<<尚書き>>
上記第2実施形態は、第1実施形態に外部シーケンスデータ17,外部シーケンサ18等による外部機器制御機能を付加した例を示したが、この外部機器制御機能を第3実施形態に設けてもよく、いずれの形態も本発明の技術的範囲内のものである。
【0046】
また、上記実施形態では、主としてライブ演奏の中継を例にあげて説明したが、本発明は、ライブ演奏に限定されることなく、ビデオ信号に同期して映像を再生する場面であれば、どのような場面にも適用することができる。たとえば、テレビのキャプション表示装置、映画等のマルチリンガル字幕表示装置、語学学習装置等に適用することが可能である。
【0047】
また、上記実施形態では、ネットワークや放送を通じてオーディオ信号やビデオ信号が送られてくる例を示したが、ビデオ信号,オーディオ信号および補助情報がDVDやHDD等のメディア,ストレージに記憶されており、これを再生したものをビデオ信号,オーディオ信号,補助情報として入力する形態で、本コンテンツ再生装置を用いることも可能である。
【0048】
また、上記実施形態では、コンテンツ再生装置をローカル(カラオケボックス)側に設置する構成で説明したが、このコンテンツ再生装置を配信側(たとえばライブ会場)に設置し、ビデオ信号に同期した映像を合成して配信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の第1の実施形態であるコンテンツ再生装置のブロック図
【図2】コンテンツ再生装置に記憶されている曲データの構成を示す図
【図3】歌詞テロップの表示方式を説明する図
【図4】この発明の第2の実施形態であるコンテンツ再生装置のブロック図
【図5】この発明の第3の実施形態であるコンテンツ再生装置のブロック図
【符号の説明】
【0050】
1 オーディオ入力部
2 補助情報入力部
3 同期制御部
4 クロック生成部
5 遅延部
6 信号処理部
7 記憶部
8 参照用ビデオデータ
9 映像シーケンスデータ
10 映像シーケンサ
11 オーディオ出力部
12 映像出力部
14 音声データ
17 外部シーケンスデータ
18 外部シーケンサ
19 制御信号出力部
21 音声再生部
22 ミキサ
24 ビデオ入力部
25 映像遅延部
26 映像ミキサ
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部から入力されるビデオ信号に同期した映像を表示するコンテンツ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置による演奏では、楽曲の演奏およびその背景映像と同期して歌詞テロップが表示される(たとえば特許文献1)。これは予め曲データ中に演奏用の演奏トラックと歌詞テロップを表示するための歌詞トラックとを並列に記憶しているからである。
【0003】
【特許文献1】特開2000−99044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、カラオケ装置だけでなく、テレビ放送等でも歌手の歌唱に合わせて歌詞を表示することがよく行われている。また、テレビ放送では、歌詞に限定されず、ニュース番組等で人物の発言を文字に記述したものをテロップとして画面にスーパーインポーズ表示(テロップ化)したり、語学学習番組では講師の発言をテロップ化して表示することが広く行われている。
【0005】
これらは、いずれも事前に映像にテロップを合成したものを再生表示するものであり、たとえば演奏の生中継(いわゆるライブ中継)などのリアルタイムに行われ、ストリーミングで到来する演奏や発言等の動作に同期してテロップを生成しているものではなかった。
【0006】
この発明は、ストリーミングで入力されるビデオ信号に同期させて歌詞テロップ等の映像を再生することができるコンテンツ再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、参照用映像時系列データと再生用映像時系列データとを時系列に対応づけて記録したコンテンツデータを記憶するコンテンツデータ記憶部と、外部からビデオ信号を入力するビデオ信号入力部と、外部から補助情報を入力する補助情報入力部と、前記ビデオ信号と前記参照用映像時系列データとを対比する対比処理を実行するとともに、前記補助情報に基づいて前記対比処理を修正することにより、前記ビデオ信号に同期した再生クロックを生成するクロック生成部と、前記クロック生成部が生成した再生クロックに基づいて前記再生用映像時系列データを再生する映像再生部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ビデオ信号入力部が入力したビデオ信号と前記映像再生部が再生した映像信号とを合成して出力する映像合成部をさらに備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記ビデオ信号を、前記クロック生成部による再生クロックの生成に要する時間だけ遅延させたのち前記映像合成部に入力するビデオ遅延部を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、外部から前記ビデオ信号に同期したオーディオ信号を入力するオーディオ信号入力部と、前記オーディオ信号入力部から入力されたオーディオ信号を、前記クロック生成部による再生クロックの生成に要する時間だけ遅延させて再出力するオーディオ信号遅延部と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4の発明において、前記コンテンツデータ記憶部が記憶しているコンテンツデータは、前記参照用映像時系列データに時系列に対応づけられた音声時系列データをさらに含み、前記クロック生成部が生成した再生クロックに基づいて前記音声時系列データを再生する音声再生部を、さらに備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5の発明において、前記コンテンツデータ記憶部が記憶する前記映像時系列データは、表示すべき映像データとその表示タイミングを示すタイミングデータを含むシーケンスデータであり、前記映像再生部は、前記シーケンスデータを再生するシーケンス処理部を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1〜5の発明において、前記コンテンツデータ記憶部が記憶する前記映像時系列データは、動画映像を含むビデオデータであり、前記映像再生部は、前記ビデオデータを再生するビデオ再生部を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1〜7の発明において、前記コンテンツデータ記憶部は、さらに、外部機器を時系列に制御する機器制御時系列データを記憶し、前記クロック生成部が生成した再生クロックに基づいて前記機器制御時系列データを読み出して制御信号を出力する外部機器制御部をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
[作用]
この発明では、ビデオ信号および各種の補助情報に基づいてビデオ信号に同期した再生クロックを生成し、この再生クロックに基づいて再生用映像時系列データを再生することにより、ビデオ信号に同期した映像(および音声)を再生することができる。なお、ビデオ信号は、この装置を経由して再生用に出力されるようにしてもよく、この装置をバイパスする別の経路で再生されるようにしてもよい。
【0016】
また、精度よく同期した再生クロックを生成する処理は、複雑で重い処理であるため、ビデオ信号が入力されたのち、その信号に同期したクロックが生成されるまである程度の時間が必要である。入力されたビデオ信号やオーディオ信号をこの時間分遅延させて出力することにより、再生された映像と遅延されたビデオ信号との同期をより精度よくすることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、入力されたビデオ信号に同期して再生用映像時系列データを再生することができる。たとえば、カラオケ装置に、本人出演の背景映像が組み合わされたカラオケ楽曲データが記憶されている場合、ライブ演奏の映像を入力し、この映像に同期して歌詞テロップを再生表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。
<<第1実施形態>>
図1はこの発明の第1実施形態であるコンテンツ再生装置の構成図である。このコンテンツ再生装置は、ビデオ入力部(Video In)24から入力されたビデオ信号に同期させて映像シーケンスデータ(Display Sequence Data)9を再生出力する装置である。以下の説明では、カラオケ曲の演奏に用いられる曲データおよび背景映像を用いて、ライブ演奏の映像・音声に同期した歌詞を表示する場合を例に挙げて説明する。
【0019】
コンテンツ再生装置は、外部からビデオ信号が入力されるビデオ入力部(Video
In)24、外部からオーディオ信号が入力されるオーディオ入力部1、補助情報が入力される補助情報入力部(Aux Info)2、オーディオ信号が出力されるオーディオ出力部(Audio Out)11、映像が出力される映像出力部(Video Out)12、参照用ビデオデータ(Video Data for reference)8および前記映像シーケンスデータ9を含むカラオケ曲の曲データが記憶される記憶部(Song Data)7、入力されたビデオ信号と映像とを同期させるための信号処理部6、前記映像シーケンスデータ9を再生する映像シーケンサ(Graphic Sequencer)10、および、映像シーケンサ10が再生した映像と入力されたビデオ信号とを合成する映像ミキサ(SuperImpose)26を備えている。
【0020】
本人出演の背景映像を有するカラオケ楽曲データを用いてライブ演奏の歌詞を表示する場合、ビデオ入力部24から入力されるビデオ信号は、ライブ演奏の演奏者のライブ映像である。ライブ映像は、公共放送網、インターネット等を経由して配信されてくる。また、参照用ビデオデータ8は、そのカラオケ曲のオリジナル歌手が歌唱する姿を撮影したビデオ映像である。また、映像シーケンスデータ9は、歌詞を表示するための歌詞トラックである。シーケンスデータは、楽音の発音動作や消音動作を実行するための情報であるイベントデータとこのイベントデータの読み出しタイミングを指示するタイミングデータからなっている。
【0021】
信号処理部6は、同期制御部(Time Alignment)3、クロック生成部(Clock Generator)4、ビデオ遅延部25、および、オーディオ遅延部(Delay)5を有している。同期制御部3は、ビデオ入力部24から入力されたビデオ信号と参照用ビデオデータ8のビデオ映像とを対比し、且つ、補助情報入力部2から入力された補助情報に基づいて対比位置や速度を修正しつつ、入力されたビデオ信号と同期した再生位置情報(タイミング情報)およびテンポ情報を生成する。クロック生成部4は、同期制御部3が生成した再生位置情報(タイミング情報)およびテンポ情報に基づいて再生クロックを生成する。ビデオ遅延部25は、ビデオ入力部24から入力されたビデオ信号を所定間遅延させてビデオ出力部12に入力する。オーディオ遅延部5は、オーディオ入力部1から入力されたオーディオ信号1を所定時間遅延させてオーディオ出力部11に入力する。
【0022】
同期制御部3は、ビデオ入力部24から入力されたビデオ信号のフレーム毎の映像を解析し、撮影されているライブ出演者の動作や口の動きを分析するとともに、記憶部7に記憶されている参照用ビデオデータ8のフレーム毎の映像を解析し、撮影されているオリジナル歌手の動作や口の動きを分析する。特開2003−196655公報や特開2000−222576公報等に記載された手法で顔や身体を検出し、検出された顔や身体の動きを対比すればよい。そして、この対比結果に基づいて入力ビデオ信号と参照用ビデオデータとをフレーム毎に対比し、動作や口の動き等が最も近似する時間軸上の対応位置を検出し、その対応位置における曲データの時間情報を曲の演奏位置情報とする。すなわち、ライブ演奏の演奏音が曲データのどの位置を演奏しているかを検出する。
【0023】
この演奏位置の検出すなわち同期検出により、現在入力されているビデオ信号が参照用ビデオデータのビデオ映像において時間軸上のどの位置であるかを割り出すとともに、そのビデオ信号の進行速度すなわちテンポを割り出す。そして、この時間軸上の位置、すなわち演奏位置情報およびタイミング情報(いつ拍タイミングを通過するかの情報)とテンポ情報をクロック生成部4に出力する。なお、テンポおよび拍タイミングの決定は、たとえば特開平9−16171号公報に記載された技術等を用いればよい。
【0024】
このクロック信号は、映像シーケンサ10に入力される。映像シーケンサ10は、歌詞テロップである映像シーケンスデータ9を、クロック信号にしたがって読み出し、歌詞テロップの映像を再生する。上記のようにクロック信号が、外部から入力されたビデオ信号すなわちライブ演奏者の映像に同期したものであるため、この映像シーケンサ10によって再生され、映像出力部12から出力される歌詞テロップは、ライブ演奏に同期したものとなる。
【0025】
なお、同期制御部3による同期検出およびクロック生成部4によるクロック信号の生成には若干の処理時間が必要であるため、ビデオ入力部24から入力されたビデオ信号、および、オーディオ入力部1から入力されたオーディオ信号を、それぞれビデオ遅延部25、オーディオ遅延部5で、上記処理時間分遅延させて出力する。これにより、映像シーケンサ10が再生する歌詞テロップと、入力されたビデオ信号,オーディオ信号との同期をより精度よくすることができる。なお、ビデオ遅延部25,オーディオ遅延部1は必須ではなく、同期にそれほど高い精度が不要な場合やクロック信号生成処理に要する処理時間が微小な場合等には、入力された信号をそのまま出力するようにしてもよい。
【0026】
ここで、図2,図3を参照して、カラオケ曲の曲データと歌詞テロップの表示方式について説明する。
図2において、曲データは、同図(A)に示すように、ヘッダ、カラオケ曲を演奏するための楽音トラック、ガイドメロディを発生するためのガイドメロディトラック、歌詞テロップを表示するための歌詞トラック、曲の区切り位置を示すジャンプマークが書き込まれたマークトラック等からなっている。マークトラックには、たとえば、1番、2番、サビ、クライマックス、イントロ、間奏、エンディング等を示すジャンプマークが書き込まれる。
【0027】
各トラックは、MIDIフォーマットに従って記述されている。たとえば、楽音トラックやガイドメロディトラックは、同図(B)に示すように、ノートオンイベントデータ、ノートオフイベントデータなどのイベントデータと各イベントデータの読み出しタイミングを示すタイミングデータからなっている。ノートオンイベントデータは音高データを含み、このノートオンによって発生する楽音の音高や音量を指定する。この楽音は、対応するノートオフイベントデータが読み出されるまで継続する。
タイミングデータは、各イベントデータ間の時間的間隔を示すデュレーションデータや曲のスタート時刻からの絶対時間を示す絶対時間データなどで構成することができる。
【0028】
楽音トラック、ガイドメロディトラックのイベントデータは、上記のように楽音の音高、音量、オン/オフなどを示すノートイベントデータなどで構成され、このノートイベントデータを音源に入力することにより楽音が発音/消音される。楽音トラックは、多数の楽器の楽音を発生するために複数トラック(パート)で構成されており、ガイドメロディトラックは、歌唱旋律をガイドするための単旋律のMIDIデータで構成されている。
【0029】
歌詞トラックは、カラオケ曲の曲名や歌詞を表示するための各種データをインプリメントしたシーケンスデータであり、図3(A)に示すように、タイミングデータに基づいて読み出される歌詞表示データから構成されている。
【0030】
歌詞表示データは1行分の歌詞表示に関する全てのデータを内包しており、表示オンタイミング、表示オフタイミング、文字列データ(表示ポイント数、表示座標、文字間データなどを含む)、色1データ、色2データ、歌詞の色変えデータなどからなっている。
【0031】
同図(B)を参照して、歌詞表示データによる歌詞テロップの表示態様について説明する。この図のグラフは、縦軸が時間、横軸が歌詞テロップ(モニタ画面)のx座標を表している。曲の演奏がこの歌詞の箇所に到達するton前に、1行分の歌詞を色1で先出し表示する。そして、曲の演奏がこの歌詞の箇所まで進行してくるまでの間色1で表示し続ける。曲の演奏がこの歌詞の箇所に到達すると、曲の進行に合わせて表示色を左から順に色1から色2に色変え(ワイプ)してゆく。ワイプが終了したのちも暫くの間(te)色2で残表示したのちこの歌詞テロップを消去する。
【0032】
歌詞の色変えデータは同図(B)に示すようにワイプの(時間−x座標)曲線の主要な点を示す複数のプロッティングデータで構成されている。映像シーケンス部10はこのプロッティングデータを2次曲線で補間して色変え(ワイプ)を行う。
【0033】
ここで、再び図1において、同期制御部3は、ビデオ入力部24から入力されるビデオ信号のみでは演奏位置の割り出しや正確な同期確定が困難である。そこで、補助情報入力部2から入力された補助情報を用いて確実な演奏位置の決定や同期の確定を行う。
【0034】
補助情報は、例えばライブ会場にいる係員によって入力される情報や、ライブ映像等から検出される情報である。ライブ会場には、ライブ中継のためにカメラマンや音声担当を含む複数人のスタッフが従事しており、そのうちの一人がカラオケ装置での同期再生のための補助情報を入力する。補助情報としては、曲がスタートしたことを示すスタート情報、曲が一時停止したことを示すストップ情報、曲が終了したことを示すエンド情報、曲の演奏位置が通常の進行からジャンプすることを示すジャンプ情報等である。ライブ演奏の場合、時間の制約で3コーラス目を省略したり、聴衆の反応に合わせてサビを繰り返したりするなど、レコーディングされた通常の演奏と異なる進行で演奏される場合がある。このような場合に、会場の係員がどこにジャンプしたか(またはどこにジャンプしそうかという予測)をジャンプ情報として入力する。ジャンプ位置は、曲データ中のジャンプマークで指定すればよいが、曲データにおける時刻軸の値で指定してもよい。ジャンプマークとしては、上述したように、1番、2番、サビ、クライマックス、イントロ、間奏、エンディングを示すマークがあり、それぞれの曲に応じて曲データにおける時刻軸の値に対応づけて付される。このジャンプマークは、図2に示したように元々曲データに付加されていることが好ましいが、ジャンプマークを持たない曲データについては、ライブ会場の係員が、曲のスタート時に補助情報としてジャンプマークトラックのデータを配信するようにしてもよい。
【0035】
また、ライブ会場の係員が入力する補助情報として、曲スタート時やテンポ変化時に手動(タッピング)で入力されるビート信号も送られてくる。このビート信号は精度が高いものではなく、また、曲の開始から終了まで継続的に送られてくるものではないため、これをそのままテンポクロック信号として用いることはできないが、テンポ決定や拍タイミングを割り出すための情報として用いることができる。
【0036】
同期制御部3は、補助情報入力部2から入力される上記のような補助情報を参照して、現在の演奏位置がどのあたりであるかを割り出し、その周辺の参照用ビデオデータを読み出して、入力されるビデオ信号と対比する。また、間欠的に入力されるビート信号を参照して概ねの拍タイミングとテンポを把握し、この概ねの拍タイミングとテンポ(時間軸のスケーリング)で入力されたビデオ信号と参照用ビデオデータとを対比することで同期を容易にする。
【0037】
なお、この実施形態のコンテンツ再生装置では、再生用映像時系列データとして、歌詞テロップ等の映像シーケンスデータ9を記憶しているが、これにビデオデータ(Video Data)を記憶し、このビデオデータを再生クロック信号に同期して再生するようにしてもよい。この場合、このビデオデータを再生する機能部として、映像シーケンサ10に代えてビデオ再生部(Video Player)を備える。ビデオ再生部は、可変フレームレートの再生装置(再生ソフトウェア)を用いることが好ましい。
【0038】
<<第2実施形態>>
図4はこの発明の第2実施形態であるコンテンツ再生装置の構成図である。図4において、図1に示した第1の実施形態と同一構成の部分は、同一番号を付して説明を省略する。
【0039】
この実施形態のコンテンツ再生装置では、記憶部7は、映像シーケンスデータ9に加えて外部機器を制御するための外部シーケンスデータ(Aux Sequence Data)17を記憶している。そしてこの外部シーケンスデータ17をシーケンスする機能部として、外部シーケンサ18を備えている。外部シーケンサ18がシーケンスした制御データは制御信号出力部19から外部機器に対して出力される。
【0040】
制御信号出力部19には、たとえば、自動演奏ピアノ、照明機器や花火,噴水等の演出装置が接続される。このような機器を、ビデオ入力部24から入力されるビデオ信号に同期して制御することにより、ライブ演奏に同期して生ピアノが演奏されたり、照明が変化したり花火が点火されたりするような演出を加えることができる。
【0041】
<<第3実施形態>>
図5はこの発明の第3実施形態であるコンテンツ再生装置の構成図である。図5において、図1に示した第1の実施形態と同一構成の部分は、同一番号を付して説明を省略する。
【0042】
この実施形態のコンテンツ再生装置では、音声データ14を再生する機能部として、音声再生部21を備えている。音声データ14は、MIDIデータ等のシーケンスデータであってもよく、PCM,MP3等のオーディオ波形データであってもよい。再生用の音声データ14がMIDI等のシーケンスデータの場合、音声再生部21は、シーケンサおよび音源の機能を備える。また、再生用の音声データ14がオーディオ波形データの場合、音声再生部21は、デコーダを備える。
【0043】
音声再生部21が再生した音声データ14の音声信号は、ミキサ22に入力される。ミキサ22には、オーディオ入力部1から入力され遅延部5で遅延されたオーディオ信号も入力される。ミキサ22は、この入力されたオーディオ信号および再生された音声信号をミキシングしてオーディオ出力部11から出力する。
【0044】
これにより、入力されたライブ映像に同期して、歌詞テロップ等の映像を再生することができるとともに、入力されたライブ音声に同期してさらに音声信号を再生してミキシング出力することができる。
【0045】
<<尚書き>>
上記第2実施形態は、第1実施形態に外部シーケンスデータ17,外部シーケンサ18等による外部機器制御機能を付加した例を示したが、この外部機器制御機能を第3実施形態に設けてもよく、いずれの形態も本発明の技術的範囲内のものである。
【0046】
また、上記実施形態では、主としてライブ演奏の中継を例にあげて説明したが、本発明は、ライブ演奏に限定されることなく、ビデオ信号に同期して映像を再生する場面であれば、どのような場面にも適用することができる。たとえば、テレビのキャプション表示装置、映画等のマルチリンガル字幕表示装置、語学学習装置等に適用することが可能である。
【0047】
また、上記実施形態では、ネットワークや放送を通じてオーディオ信号やビデオ信号が送られてくる例を示したが、ビデオ信号,オーディオ信号および補助情報がDVDやHDD等のメディア,ストレージに記憶されており、これを再生したものをビデオ信号,オーディオ信号,補助情報として入力する形態で、本コンテンツ再生装置を用いることも可能である。
【0048】
また、上記実施形態では、コンテンツ再生装置をローカル(カラオケボックス)側に設置する構成で説明したが、このコンテンツ再生装置を配信側(たとえばライブ会場)に設置し、ビデオ信号に同期した映像を合成して配信するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の第1の実施形態であるコンテンツ再生装置のブロック図
【図2】コンテンツ再生装置に記憶されている曲データの構成を示す図
【図3】歌詞テロップの表示方式を説明する図
【図4】この発明の第2の実施形態であるコンテンツ再生装置のブロック図
【図5】この発明の第3の実施形態であるコンテンツ再生装置のブロック図
【符号の説明】
【0050】
1 オーディオ入力部
2 補助情報入力部
3 同期制御部
4 クロック生成部
5 遅延部
6 信号処理部
7 記憶部
8 参照用ビデオデータ
9 映像シーケンスデータ
10 映像シーケンサ
11 オーディオ出力部
12 映像出力部
14 音声データ
17 外部シーケンスデータ
18 外部シーケンサ
19 制御信号出力部
21 音声再生部
22 ミキサ
24 ビデオ入力部
25 映像遅延部
26 映像ミキサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
参照用映像時系列データと再生用映像時系列データとを時系列に対応づけて記録したコンテンツデータを記憶するコンテンツデータ記憶部と、
外部からビデオ信号を入力するビデオ信号入力部と、
外部から補助情報を入力する補助情報入力部と、
前記ビデオ信号と前記参照用映像時系列データとを対比する対比処理を実行するとともに、前記補助情報に基づいて前記対比処理を修正することにより、前記ビデオ信号に同期した再生クロックを生成するクロック生成部と、
前記クロック生成部が生成した再生クロックに基づいて前記再生用映像時系列データを再生する映像再生部と、
を備えたコンテンツ再生装置。
【請求項2】
前記ビデオ信号入力部が入力したビデオ信号と前記映像再生部が再生した映像信号とを合成して出力する映像合成部をさらに備えた請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
前記ビデオ信号を、前記クロック生成部による再生クロックの生成に要する時間だけ遅延させたのち前記映像合成部に入力するビデオ遅延部を備えた請求項2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
外部から前記ビデオ信号に同期したオーディオ信号を入力するオーディオ信号入力部と、
前記オーディオ信号入力部から入力されたオーディオ信号を、前記クロック生成部による再生クロックの生成に要する時間だけ遅延させて再出力するオーディオ信号遅延部と、
をさらに備えた請求項1、請求項2または請求項3に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
前記コンテンツデータ記憶部が記憶しているコンテンツデータは、前記参照用映像時系列データに時系列に対応づけられた音声時系列データをさらに含み、
前記クロック生成部が生成した再生クロックに基づいて前記音声時系列データを再生する音声再生部を、さらに備えた請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコンテンツ再生装置。
【請求項6】
前記コンテンツデータ記憶部が記憶する前記映像時系列データは、表示すべき映像データとその表示タイミングを示すタイミングデータを含むシーケンスデータであり、
前記映像再生部は、前記シーケンスデータを再生するシーケンス処理部を含む請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のコンテンツ再生装置。
【請求項7】
前記コンテンツデータ記憶部が記憶する前記映像時系列データは、動画映像を含むビデオデータであり、
前記映像再生部は、前記ビデオデータを再生するビデオ再生部を含む請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のコンテンツ再生装置。
【請求項8】
前記コンテンツデータ記憶部は、さらに、外部機器を時系列に制御する機器制御時系列データを記憶し、
前記クロック生成部が生成した再生クロックに基づいて前記機器制御時系列データを読み出して制御信号を出力する外部機器制御部をさらに備えた請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のコンテンツ再生装置。
【請求項1】
参照用映像時系列データと再生用映像時系列データとを時系列に対応づけて記録したコンテンツデータを記憶するコンテンツデータ記憶部と、
外部からビデオ信号を入力するビデオ信号入力部と、
外部から補助情報を入力する補助情報入力部と、
前記ビデオ信号と前記参照用映像時系列データとを対比する対比処理を実行するとともに、前記補助情報に基づいて前記対比処理を修正することにより、前記ビデオ信号に同期した再生クロックを生成するクロック生成部と、
前記クロック生成部が生成した再生クロックに基づいて前記再生用映像時系列データを再生する映像再生部と、
を備えたコンテンツ再生装置。
【請求項2】
前記ビデオ信号入力部が入力したビデオ信号と前記映像再生部が再生した映像信号とを合成して出力する映像合成部をさらに備えた請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
前記ビデオ信号を、前記クロック生成部による再生クロックの生成に要する時間だけ遅延させたのち前記映像合成部に入力するビデオ遅延部を備えた請求項2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
外部から前記ビデオ信号に同期したオーディオ信号を入力するオーディオ信号入力部と、
前記オーディオ信号入力部から入力されたオーディオ信号を、前記クロック生成部による再生クロックの生成に要する時間だけ遅延させて再出力するオーディオ信号遅延部と、
をさらに備えた請求項1、請求項2または請求項3に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
前記コンテンツデータ記憶部が記憶しているコンテンツデータは、前記参照用映像時系列データに時系列に対応づけられた音声時系列データをさらに含み、
前記クロック生成部が生成した再生クロックに基づいて前記音声時系列データを再生する音声再生部を、さらに備えた請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコンテンツ再生装置。
【請求項6】
前記コンテンツデータ記憶部が記憶する前記映像時系列データは、表示すべき映像データとその表示タイミングを示すタイミングデータを含むシーケンスデータであり、
前記映像再生部は、前記シーケンスデータを再生するシーケンス処理部を含む請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のコンテンツ再生装置。
【請求項7】
前記コンテンツデータ記憶部が記憶する前記映像時系列データは、動画映像を含むビデオデータであり、
前記映像再生部は、前記ビデオデータを再生するビデオ再生部を含む請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のコンテンツ再生装置。
【請求項8】
前記コンテンツデータ記憶部は、さらに、外部機器を時系列に制御する機器制御時系列データを記憶し、
前記クロック生成部が生成した再生クロックに基づいて前記機器制御時系列データを読み出して制御信号を出力する外部機器制御部をさらに備えた請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のコンテンツ再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−145978(P2008−145978A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336249(P2006−336249)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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