説明

コンテンツ処理装置、方法及びプログラム

【課題】CD−DA11の楽曲のリッピングにおいて、CDDBを参照できない場合、ユーザによる煩雑な手入力を回避して、有用な処理を実行できるようにする。
【解決手段】CD−DA11ごとにフォルダを作成し、フォルダ名は他のフォルダに対して識別できる名称として"ALBUM001"を付ける。CD−DA11の各楽曲のオーディオファイルは、該CD−DA11に対応する"ALBUM001"のフォルダ内に格納するとともに、タグ情報におけるアルバム名を該フォルダの名称と同一の"ALBUM001"とする。後の楽曲検索時にアルバム名の分類を選択すると、ID3タグのアルバム名が"ALBUM001"である楽曲のみをリスト表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ID3タグのようなコンテンツ関連データ付きコンテンツファイルを作成するコンテンツ処理装置、方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、CD−DAの楽曲をハードディスク装置にリッピングする時に、CDDB(CD DataBase)へアクセスして、リッピング対象に係る楽曲の関連情報をCDDBから入手して、それをMP3(MPEG Audio Layer-3)のオーディオファイルのタグ情報にすることを開示する(特許文献1の図2及び図3)。特許文献1は、また、CD−DAの楽曲をハードディスク装置にリッピングする時に、CDDBへアクセスできない場合、又はアクセスできても、リッピング対象の楽曲に係るデータが存在しない場合には、ユーザに関連情報を手入力させて、それをオーディオファイルのタグ情報にすることを開示する(特許文献1の図4のステップ430,432,434)。
【0003】
図7は従来のオーディオ装置においてリッピング処理に伴う記憶装置内のフォルダ生成状態の変化を示した図である。図7(a)はリッピング前のフォルダ生成状態、図7(b)は1枚目のCD−DAに対してリッピングを行った後のフォルダ生成状態、図7(c)は2枚目のCD−DAに対してリッピングを行った後のフォルダ生成状態である。説明の便宜上、1枚目のCD−DAには楽曲が5個、2枚目のCD−DAには楽曲が3個、存在すると仮定する。
【0004】
リッピング対象のCD−DAが変わるごとに、ルートの1つ下にフォルダが新たに1つ作られる。説明の便宜上、1枚目及び2枚目のCD−DAのリッピングに対して作成されるフォルダの名前をそれぞれ"ALBUM001"、"ALBUM002"としている。
【0005】
また、各CD−DAに含まれている楽曲に対応するオーディオファイルは、該CD−DAに対応するフォルダ内に格納され、そのファイル名は相互に識別可能なもの、例えば追い番(001,002,・・・)付きのファイル名(TR001,TR002,・・・)が自動付与されるようになっている。したがって、フォルダ"ALBUM001"のオーディオファイル"TR001"とフォルダ"ALBUM002"のオーディオファイル"TR001"とのように、フォルダが異なれば、ファイル名が同一のオーディオファイルが存在する。
【0006】
"TR001","TR002",・・・のオーディオファイルは、例えばMP3規格のものであり、オーディオデータと共にアルバム名やアーティスト名等のタグ情報に係るデータを含むものとなっている。DAP100では、システムコンポ(図示せず)やPC(パーソナルコンピュータ)等よりUSBケーブルにより接続され、システムコンポ等からオーディオファイルを自機のフラッシュメモリ等の記憶装置内に記録するようになっている。
【0007】
従来のシステムコンポ等のオーディオ装置では、CDDBを参照できない場合、及びCDDBへアクセスできても、新譜等のために該当するタグ情報を入手できない場合では、いずれの場合も、オーディオファイルはそのID3タグをブランクにされたまま作成されることになる。
【0008】
図8はID3タグがブランクとなっているオーディオファイルに対して検索を実施した場合のDAP(Digital Audio Player:デジタルオーディオ再生装置)100における楽曲検索画面例を示している。ユーザは、DAP100の記憶装置内の楽曲から再生希望のものを探す場合等には、操作キー部102におけるキーを操作して。検索画面を表示部101に呼び出す。
【0009】
図8(a)はユーザが検索分類を選択する検索画面である。該検索画面では、アーティスト、アルバム、及びトラック等の検索分類が表示される。ユーザは、例えばアルバムを選択する場合、操作キー部102における上又は下のキーを操作して、該検索画面から項目"アルバム"を選択し、操作キー部102における右のキー(破線円で囲われているキー)を押下する。
【0010】
図8(b)は図8(a)の検索画面で"アルバム"を選択した場合に次に表示される検索画面である。図7で説明したように、各オーディオファイルは、アルバム名の項目を含めてタグ情報が登録されていないので、DAP100は、アルバム名の分類で検索しようとしても、オーディオファイルを検索することができず、結局、図8(b)では、オーディオファイルはタグ情報以外のファイル名でリスト表示されることになる。ファイル名は、フォルダが相違すれば、同一ファイル名のファイルが作られるので、図8(c)の検索画面では、同一ファイル名の楽曲が複数連続して表示されることになる(例:第1行のTR001と第2行のTR001)。
【特許文献1】特開2004−246937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図8(b)の検索画面では、同一ファイル名の楽曲が表示リスト内に複数存在するので、ユーザには、所望の楽曲が同一ファイル名の複数の楽曲のいずれであるかを判別することができない。これを回避するために、特許文献1のように、ユーザがアルバム名等のタグ情報を手入力することは、ユーザにとって大きな手間となってしまう。
【0012】
本発明の目的は、リッピング等による新規コンテンツファイルの記録に際し、該コンテンツ関連データに係る文字入力をユーザが手作業で行う煩雑さを排除しつつ、コンテンツ検索時等では、ユーザに適度の便宜を供することができるコンテンツ処理装置、方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、記録対象のコンテンツについて所定のグループ分けを行い、該コンテンツのコンテンツファイルのコンテンツ関連データには、グループに対応するテータを書き込む。グループ分けでは、例えば、1つのグループを1つのソース媒体や同一種のソース媒体に割り当てる。一例として、各CD−DAごとに1つのグループを割り当てたり、チューナやAUX(Auxiliary)端子からの入力コンテンツについては、それぞれソース媒体が異なる種類に属するものとして、チューナごとに及びAUX端子ごとに1つのグループに割り当てたりする。
【0014】
本発明のコンテンツ処理装置は、記録対象の各コンテンツに対してコンテンツデータとコンテンツ関連データとを含むコンテンツファイルを作成する。本発明のコンテンツ処理装置は次のものを備えている。
記録対象の各コンテンツについてグループ分けするグループ分け手段、及び
該グループ分け手段によりグループ分けされたコンテンツから作成されるコンテンツファイルにおけるコンテンツ関連データの所定の項目が、前記グループに対応する内容となるように、該コンテンツファイルを作成するコンテンツファイル作成手段。
【0015】
本発明のコンテンツ処理方法は、記録対象の各コンテンツに対してコンテンツデータとコンテンツ関連データとを含むコンテンツファイルを作成する。本発明のコンテンツ処理方法は次のステップを備えている。
記録対象の各コンテンツについてグループ分けするグループ分けステップ、及び
該グループ分けステップにおいてグループ分けされたコンテンツから作成されるコンテンツファイルにおけるコンテンツ関連データの所定の項目が、前記グループに対応する内容となるように、該コンテンツファイルを作成するコンテンツファイル作成ステップ。
【0016】
本発明のプログラムは、本発明のコンテンツ処理装置の各手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、所定のコンテンツ関連データに当該コンテンツが対応するグループの情報が対応付けられるため、ユーザは、コンテンツ関連データに係る情報を一々手入力しなくても、後のコンテンツ検索等において所定の便宜を受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1はCD−DA11の楽曲をDAP20の記憶装置へリッピングする時の状況図である。システムコンポ10はCD−DA11を挿入するスロット12を前面に備える。DAP20はUSBケーブル13を介してシステムコンポ10へ接続される。リッピング時では、システムコンポ10からDAP20へUSBケーブル13を介して必要データが送られて、DAP20の記憶装置内にMP3等の圧縮ファイル形式のオーディオファイルが作成される。なお、DAP20の記憶装置は、フラッシュメモリ又はハードディスク装置から成る。
【0019】
図2はDAP(Digital Audio Player:デジタルオーディオ再生装置)20においてリッピング処理に伴う記憶装置内のフォルダ生成状態の変化を示した図である。図2(a)はリッピング前のフォルダ生成状態、図2(b)は1枚目のCD−DA11に対してリッピングを行った後のフォルダ生成状態、図2(c)は2枚目のCD−DA11に対してリッピングを行った後のフォルダ生成状態である。説明の便宜上、1枚目のCD−DA11には楽曲が5個、2枚目のCD−DA11には楽曲が3個、存在すると、仮定する。
【0020】
CD−DA11のリッピングでは、CD−DA11ごとに、ルートの1つ下にフォルダが1つ作られる。システムコンポ10は、同一にならないようなフォルダ名を各フォルダに付与する。例えば、フォルダ名は、フォルダの作成順の追い番(例:"001","002",・・・)を含むものにされる。図2では、フォルダ名は、説明の便宜上、所定語句(例:"ALBUM")+追い番にして、"ALBUM001","ALBUM002",・・・になっている。
【0021】
同一のCD−DA11からのリッピングにより作成されたオーディオファイルは、すべて、該CD−DA11に対応付けられて作成されたフォルダ内に格納される。同一のフォルダ内でのオーディオファイルの名前は、相互に識別可能なもの、例えば追い番付きのファイル名("TR001","TR002",・・・)になっている。"TR001","TR002",・・・のオーディオファイルは、例えばMP3規格のものであり、オーディオデータと共にアルバム名やアーティスト名等のタグ情報に係るデータを含むものとなっている。
【0022】
システムコンポ10は、内蔵のハードディスクにCDDB(CD DataBase)を保有している場合には、該CDDBに、また、インターネット接続環境にある場合には、インターネットを介して所定のサーバのCDDBへアクセスし、該CDDBから今回のリッピング対象のCD−DA11に含まれる各楽曲の各種タグ情報を入手する。そして、入手した各種タグ情報を、今回作成中の該当のオーディオファイルの対応項目データ領域に記録する。
【0023】
MP3のID3タグには、項目として、楽曲名(Title)、アーティスト名(Artist)、アルバム名(Album)、リリース年(Year)、ジャンル(Genre)、注釈(Comment)、及びトラック番号(Track)が用意されている。
【0024】
システムコンポ10がCDDBへアクセスできない場合や、CDDBへアクセスできても、今回のリッピング対象が新譜等のために、CDDBにタグ情報が存在しないことがある。従来のオーディオ装置では、このような場合、タグ情報をブランクのままにしてオーディオファイルを作成したり、ユーザに手入力させたりしていたが、システムコンポ10は、このような場合、タグ情報の各項目に所定のデータを自動書き込みするようにしている。図2では、図示の簡略上、アルバム名とトラック番号のみ記載しているが、タグ情報のその他の全部又は所定の項目にも対応のデータを書き込むようにしている。
【0025】
システムコンポ10は、各オーディオファイルを格納するフォルダの名前を各オーディオファイルのID3タグ項目のアルバム名として記録する。図2では、フォルダ名"ALBUM001"のフォルダ内の各オーディオファイルのタグ情報におけるアルバム名は"ALBUM001"になっており、また、フォルダ名"ALBUM002"のフォルダ内の各オーディオファイルのタグ情報におけるアルバム名は"ALBUM002"になっている。
【0026】
システムコンポ10は、また、各フォルダ内の各オーディオファイルのタグ情報におけるトラック番号について、その番号順=リッピング順の番号を付与する。リッピング順はCD−DA11におけるトラック番号順であるので、各オーディオファイルのタグ情報におけるトラック番号はCD−DA11におけるトラック番号に一致することになる。図2では、各フォルダ内のオーディオファイルのタグ情報におけるトラック番号は、そのソース媒体のCD−DA11におけるトラック番号と一致する番号"01","02","03",・・・となっている。
【0027】
図3は図2のオーディオファイルのID3タグ作成状態でDAP20において楽曲の検索を実行した場合のDAP20における楽曲検索画面を例示している。DAP20は、その前面の上半部及び下半部にそれぞれ表示部21及び操作キー部22を配備している。ユーザは、DAP20内の楽曲から再生希望のものを探す場合等には、検索画面をDAP20の表示部21に呼び出す。
【0028】
図3(a)はユーザが検索分類を選択する検索画面である。該検索画面では、アーティスト、アルバム、及びトラック等の検索分類を表示する。ユーザは例えばアルバムを選択する場合、操作キー部22における上又は下のキーを操作して、該検索画面から項目"アルバム"を選択し、操作キー部22における右のキー(破線円で囲われているキー)を押下する。
【0029】
図3(b)は図3(a)の検索画面で"アルバム"を選択した場合に次に表示される検索画面である。DAP20の記憶装置内では、フォルダは"ALBUM001"と"ALBUM002"との2個であるので、図3(b)の検索画面では、それらが例えば昇順で表示されることになる。ユーザは、例えば"ALBUM001"を選択する場合、操作キー部22における上又は下のキーを操作して、該検索画面から"ALBUM001"を選択し、操作キー部22における右のキー(破線円で囲われているキー)を押下する。
【0030】
図3(c)は図3(b)の検索画面でアルバム名"ALBUM001"のアルバムを選択した場合に次に表示される検索画面である。図2に示すように、タグ情報のアルバム名が"ALBUM001"となっているオーディオファイルは、ファイル名が"TR001","TR002",・・・,"TR005"となっているので、図3(c)の検索画面では、ファイル名としての"TR001","TR002",・・・,"TR005"が昇順にリスト表示される。
【0031】
図3(c)の検索画面では、ファイル名としての"TR001","TR002",・・・,"TR005"を昇順にリスト表示する。なお、DAP20のオーディオファイルでは、オーディオファイルのタグ情報におけるトラック番号=該オーディオファイルのリッピング元のCD−DA11における楽曲のトラック番号となっているので、また、タグ情報における楽曲名="TR"+追い番となっているので、オーディオファイルをタグ情報のトラック番号の昇順にリスト表示しても、図3(c)と同じく"TR001","TR002",・・・,"TR005"の順番になる。
【0032】
なお、ユーザは、システムコンポ10のスクロールキーを操作して、画面を上下にスクロールすることができ、これにより、1つの検索画面に入り切れなかったオーディオファイルの楽曲名も、画面をスクロールして、見ることができる。図3(c)では、"TR002"が選択されている状態になっている、この選択状態でユーザがスロット12の右キーを押下すると、アルバム名"ALBUM001"でかつ楽曲名"TR002"の楽曲がDAP20において再生される。
【0033】
ユーザは、再生される楽曲が、その選択に当たり、アルバム名"ALBUM001"のものであることを認識できるので、"ALBUM001"は実際のアルバム名とは異なっているものの、選択しようとする楽曲についておおよその見当をつけることができる。
【0034】
図3の例では、オーディオファイルのタグ情報におけるアルバム名に整理番号のような無機質的なテキスト"ALBUM001","ALBUM002",・・・を付与している。これに代えて、ユーザに馴染み易い語句や勉強や知識習得に役立つ語句を採用することができる。例として、"山の名前"、"魚の名前"、"川の名前"、"国の名前"、"歴史上の人物(日本史、世界史、戦国時代、近代ヨーロッパ、物理学者、哲学者)"、"数学の公式"、"日本国憲法条文見出し"等を挙げることができる。
【0035】
このような語句の具体的使用方法の第1例として、フォルダに対応するアルバム名として、"ALBUM001","ALBUM002","ALBUM003",・・・に代えて、日本の山の高さ順に"富士山","北岳","間ノ岳",・・・にする。あるいは、第2例として、フォルダに対応するアルバム名として、"ALBUM001","ALBUM002",・・・に代えて、"魚の名前","川の名前",・・・とし、さらに、アルバム名が"魚の名前"になっている各オーディオファイルのタグ情報における楽曲名(=トラック番号)は、それぞれ"まぐろ","さんま",・・・とし、アルバム名が"川の名前"になっている各オーディオファイルのタグ情報における楽曲名は"信濃川","利根川",・・・とする。
【0036】
図4はコンテンツ処理装置40のブロック図である。コンテンツ処理装置40の一例は図1のシステムコンポ10である。システムコンポ10は、DAP20に対して、オーディオファイルやその格納場所のフォルダの作成を決めるためにデータや指示を送って、DAP20は、システムコンポ10からのデータ及び指示を受けて、自機の記憶装置内にオーディオファイルを格納している。システムコンポ10とDAP20とが、コンテンツ処理装置40の機能を分担するようになっていてもよい。この場合には、システムコンポ10及びDAP20を組合せたものがコンテンツ処理装置40の具体例となる。また、コンテンツ処理装置はシステムコンポ10のみで構成され、システムコンポ10に内蔵されたHDDやフラッシュメモリにオーディオファイルを格納しても良い。
【0037】
コンテンツ処理装置40は、記録対象の各コンテンツに対してコンテンツデータとコンテンツ関連データとを含むコンテンツファイル53を作成する。コンテンツ処理装置40が記録対象とするコンテンツは、オーディオに限定されず、ビデオも含む。コンテンツ処理装置40は、グループ分け手段41及びコンテンツファイル作成手段42を備える。コンテンツ処理装置40は、さらに、記録手段46及びフォルダ作成手段47を備えることができる。
【0038】
コンテンツファイル53は、例えばMP3やWMA等の圧縮形式のオーディオファイルである。コンテンツファイル53の作成はリッピングによる作成に限定されない。アナログ又はデジタル放送やAUX端子からのオーディオやビデオについての録音や録画による作成も含まれる。
【0039】
グループ分け手段41は、記録対象のコンテンツをグループ分けする。コンテンツファイル作成手段42は、該コンテンツに係るコンテンツファイル53におけるコンテンツ関連データの所定の項目が該コンテンツについてのグループ分け手段41のグループ分けによるグループに対応付けた内容となるように、該コンテンツファイル53を作成する。
【0040】
コンテンツ関連データは、例えば、MP3やWMAのオーディオファイルにおけるタグ情報である。好ましくは、コンテンツ関連データの所定の項目は、タグ情報におけるアルバム名又はアーティスト名である。前述の図1及び図2では、各CD−DA11に対して1個のグループを割り当て、各グループに対応するフォルダ"ALBUM001"や"ALBUM002"を作成し、同一グループのオーディオファイルのタグ情報におけるアルバム名は、各オーディオファイルが格納されているフォルダの名前"ALBUM001"や"ALBUM002"となっている。
【0041】
こうして、コンテンツ処理装置40では、ユーザが一々タグ情報を入力しなくても、コンテンツファイル53のコンテンツ関連データの所定項目には、コンテンツのグループに係る情報が記録され、ユーザが後にコンテンツ検索等を行った場合には、該所定項目の情報に基づき有用な検索処理等を実施することができる(例:図2(b)→図2(c))。
【0042】
好ましくは、記録手段46は、コンテンツファイル作成手段42により作成されたコンテンツファイル53を記録する。フォルダ作成手段47は、グループ分け手段41によるグループ分けに対応してグループ分けされたコンテンツから作成されるコンテンツファイル53を格納するフォルダ55を記録手段46内に作成する。フォルダ作成手段47は、また、各フォルダ55に対してフォルダ同士を識別できるフォルダ名を付与する。これに対して、コンテンツファイル作成手段42は、フォルダ作成手段47により作成されたフォルダ55の名前を、フォルダ55に格納されているコンテンツファイル53のコンテンツ関連データの所定の項目の内容にする。
【0043】
記録手段46の具体例としては、DAP20内のフラッシュメモリ等の記録媒体の他に、システムコンポ10に着脱自在に装着されるUSBメモリやSDカード等の記録媒体を挙げることができる。前述の図1及び図2では、同一のCD−DA11内の楽曲に係るオーディオファイルについては、同一のフォルダに格納され、かつそれらオーディオファイルのタグ情報におけるアルバム名は、それらオーディオファイルの格納フォルダの名称と同一の"ALBUM001"や"ALBUM002"とされている。
【0044】
典型的には、コンテンツ関連データがジャンルの項目を含む場合には、フォルダ作成手段47は、各グループが属するジャンルをユーザ指示に基づき判別するとともに、ジャンルに対応するフォルダ55を記録手段46内に作成する。また、この作成において、グループ対応のフォルダ55はジャンル対応のフォルダ55の下位になるようにする。これに対し、コンテンツファイル作成手段42は、各コンテンツファイル53のコンテンツ関連データにおけるジャンルを、ジャンル対応のフォルダ55の名前にして、各コンテンツファイル53を作成する。
【0045】
図5はコンテンツ処理装置40がジャンル対応フォルダを作成する場合のフォルダ階層状態及び各コンテンツファイル53におけるタグ情報を例示している。ユーザは、リッピング等の記録開始に先立ち、今回のコンテンツのジャンルをリスト等から選択する。ユーザは、ジャンルを各コンテンツごと選択してもよいし、CD−DA等のソース媒体ごとに選択することもできる。この選択は、例えば、ユーザがジャンルリスト表示から所定のジャンルを選択することにより行う。
【0046】
これにより、記録手段46において、各グループ対応フォルダはジャンル対応フォルダの下の階層に作成され、今回の記録対象のコンテンツに係るコンテンツファイル53は、ユーザ指示のジャンルに対応するフォルダ内で、かつ該コンテンツに係るグループに対応するフォルダ内に格納される。これに対し、コンテンツファイル53のタグ情報におけるジャンルはジャンル対応フォルダの名前とされるとともに、タグ情報におけるアルバム名はグループ対応フォルダの名前とされる。
【0047】
こうして、コンテンツファイル53には、ジャンルのタグ情報が含まれることになるので、後に、ユーザがジャンルでコンテンツ検索等を行った場合にも、適切なジャンル別コンテンツ検索等をユーザに提供することができる。
【0048】
図4のコンテンツ処理装置40に戻って、好ましくは、コンテンツ関連データがトラック番号の項目を含む場合には、コンテンツファイル作成手段42は、各コンテンツファイル53のコンテンツ関連データにおけるトラック番号を、記録順を番号順とする番号にして、各コンテンツファイル53を作成する。この具体例は、前述の図2におけるフォルダ"ALBUM001","ALBUM002"内の各オーディオファイルのID3タグにおけるトラック番号"01","02",・・・である。
【0049】
好ましくは、グループ分け手段41によるグループ分けは、記録対象のコンテンツについてのソース媒体ごとに及び/又はソース媒体の種類ごとに1つのグループを割り当てるものである。
【0050】
ソース媒体とは例えばCD−DAである。前述のシステムコンポ10では、CD−DA11ごとに、すなわちソース媒体ごとに1つのグループを割り当てていた。グループ分け手段41は、グループをソース媒体ごとかソース媒体の種類ごとかのどちらの基準で割り当てるかを、ソース媒体の種類に応じて決めるようにしてもよい。
【0051】
ソース媒体の種類がラジオ放送やAUX端子へ接続される外部機器である場合には、ソース媒体の種類ごとに、グループを割り当てるのが有利である。その場合、ソース媒体は、1つのラジオ番組、1つの楽曲、及びAUX端子からの1区切りの入力信号等、1つの録音単位や録画単位に対応させることが好ましい。録音単位や録画単位は、ユーザがマニュアルで録音開始及び録音終了を指示したり、放送開始に先立ち、録音開始時刻及び録音終了時刻を設定することにより、決まる。
【0052】
コンテンツファイル作成手段42は、コンテンツ関連データの項目データとして所定分野の各用語の名前データを採用する。所定分野とは、社会、経済、人文、自然科学、生活のあらゆる分野を含むものとする。コンテンツ処理装置40の具体例としてのシステムコンポ10では、所定分野として"山の名前"、"魚の名前"、"川の名前"、"国の名前"等を挙げている。
【0053】
図6はコンテンツ処理方法80のフローチャートである。コンテンツ処理方法80はコンテンツ処理装置40に適用される。コンテンツ処理方法80は、記録対象の各コンテンツに対してコンテンツデータとコンテンツ関連データとを含むコンテンツファイル53を作成するものである。
【0054】
S81では、記録対象の各コンテンツについてグループ分けする。S82では、該S81においてグループ分けされたコンテンツから作成されるコンテンツファイル53におけるコンテンツ関連データの所定の項目が、グループに対応する内容となるように、該コンテンツファイル53を作成する。
【0055】
S81,S82の処理は、コンテンツ処理装置40(図4)のグループ分け手段41及びコンテンツファイル作成手段42の機能にそれぞれ対応している。したがって、グループ分け手段41及びコンテンツファイル作成手段42の機能について述べた具体的態様はS81,S82の処理についての具体的態様としても適用可能である。コンテンツ処理方法80では、また、コンテンツ処理装置40の記録手段46及びフォルダ作成手段47の機能に対応する処理を実行するステップを適宜、追加可能である。記録手段46に対応するステップは、コンテンツ処理方法80において、S82の後に追加する。フォルダ作成手段47に対応するステップは、記録手段46に対応するステップより前に追加する。記録手段46及びフォルダ作成手段47の機能について前述した具体的態様は、それら追加ステップの処理についての具体的態様としても適用可能である。
【0056】
本発明を適用したプログラムは、コンピュータをコンテンツ処理装置40の各手段として機能させる。本発明を適用した別のプログラムは、コンテンツ処理方法80の各ステップをコンピュータに実行させる。
【0057】
本明細書は様々な発明を開示している。それら発明には、発明の最良の形態の項で説明した各装置及び各方法だけでなく、各装置及び各方法から独立の作用、効果を奏する1つ又は複数の要素を抽出したものや、1つ又は複数の要素を自明の範囲で変更したものや、さらに、各装置間及び各方法間で1つ又は複数の要素の組合せを入れ換えたものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】CD−DAの楽曲をDAPの記憶装置へリッピングする時の状況図である。
【図2】DAPにおいてリッピング処理に伴う記憶装置内のフォルダ生成状態の変化を示した図である。
【図3】図2のオーディオファイルのタグ作成状態でDAPにおいて楽曲の検索を実行した場合のDAPにおける楽曲検索画面の一例を示す図である。
【図4】コンテンツ処理装置のブロック図である。
【図5】コンテンツ処理装置がジャンル対応フォルダを作成する場合のフォルダ階層状態及び各コンテンツファイルにおけるタグ情報の一例を示す図である。
【図6】コンテンツ処理方法のフローチャートである。
【図7】従来のコンテンツ処理装置においてリッピング処理に伴う記憶装置内のフォルダ生成状態の変化を示した図である。
【図8】タグがブランクとなっているオーディオファイルに対して検索を実施した場合のDAPにおける楽曲検索画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
40:コンテンツ処理装置、41:グループ分け手段、42:コンテンツファイル作成手段、46:記録手段、47:フォルダ作成手段、53:コンテンツファイル、55:フォルダ、80:コンテンツ処理方法。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録対象の各コンテンツに対してコンテンツデータとコンテンツ関連データとを含むコンテンツファイルを作成するコンテンツ処理装置であって、
記録対象の各コンテンツについてグループ分けするグループ分け手段、及び
該グループ分け手段によりグループ分けされたコンテンツから作成されるコンテンツファイルにおけるコンテンツ関連データの所定の項目が、前記グループに対応する内容となるように、該コンテンツファイルを作成するコンテンツファイル作成手段、
を備えることを特徴とする、コンテンツ処理装置。
【請求項2】
前記コンテンツファイル作成手段により作成されたコンテンツファイルを記録する記録手段、及び
前記グループ分け手段によるグループ分けに対応し、前記グループ分けされたコンテンツから作成されるコンテンツファイルを格納するフォルダを前記記録手段内に作成するとともに、各フォルダに対してフォルダ同士を識別できるフォルダ名称を付与するフォルダ作成手段、
をさらに備え、
前記コンテンツファイル作成手段は、前記フォルダ作成手段により作成されたフォルダの名称を、前記フォルダに格納されているコンテンツファイルのコンテンツ関連データの前記所定の項目に付与することを特徴とする、請求項1記載のコンテンツ処理装置。
【請求項3】
前記コンテンツ関連データは、前記コンテンツファイルが有するタグ情報であることを特徴とする、請求項1又は2記載のコンテンツ処理装置。
【請求項4】
前記コンテンツ関連データの所定の項目は、前記コンテンツファイルが有するタグ情報におけるアルバム又はアーティスト名に対応する項目データであることを特徴とする、請求項3記載のコンテンツ処理装置。
【請求項5】
前記コンテンツ関連データはジャンルの項目データを含むものであり、
前記フォルダ作成手段は、各グループが属するジャンルをユーザ指示に基づき判別するとともに、ジャンルに対応するフォルダを前記記録手段内に作成し、該フォルダの下位のフォルダとして、前記グループ分け手段によるグループ分けのグループに対応するフォルダを作成し、
前記コンテンツファイル作成手段は、各コンテンツファイルにおけるコンテンツ関連データのジャンルの項目データを、前記フォルダ作成手段が作成したジャンルに対応するフォルダの名称に係るデータにして、各コンテンツファイルを作成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のコンテンツ処理装置。
【請求項6】
コンテンツ関連データはトラック番号の項目データを含み、
前記コンテンツファイル作成手段は、各コンテンツファイルにおけるコンテンツ関連データのトラック番号の項目データを、記録順を番号順とする番号に係るデータにして、各コンテンツファイルを作成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のコンテンツ処理装置。
【請求項7】
前記グループ分け手段によるグループ分けは、記録対象のコンテンツについてのソース媒体ごとに及び/又はソース媒体の種類ごとに1つのグループを割り当てるものであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のコンテンツ処理装置。
【請求項8】
前記コンテンツファイル作成手段は、コンテンツ関連データの項目データとして所定分野の各用語の名前データを採用することを特徴とする、請求項1〜7いずれかに記載のコンテンツ処理装置。
【請求項9】
記録対象の各コンテンツに対してコンテンツデータとコンテンツ関連データとを含むコンテンツファイルを作成するコンテンツ処理方法であって、
記録対象の各コンテンツについてグループ分けするグループ分けステップ、及び
該グループ分けステップにおいてグループ分けされたコンテンツから作成されるコンテンツファイルにおけるコンテンツ関連データの所定の項目が、前記グループに対応する内容となるように、該コンテンツファイルを作成するコンテンツファイル作成ステップ、
を備えることを特徴とする、コンテンツ処理方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載のコンテンツ処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−87426(P2009−87426A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253749(P2007−253749)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】