説明

コンテンツ制作・検証システム

【課題】
映像コンテンツのフォーマット更新の際にも当該コンテンツの真正性検証情報が残るような、長期保存に適した映像コンテンツの簡便な真正性検証手段を提供する。
【解決手段】
ネットワークに接続された、依頼者、管理会社、管理ID付与会社、制作会社、および登録保管組織の端末から構成される。管理会社端末は、依頼者端末から送信された映像作成依頼情報を受けて、制作会社端末に制作依頼情報を送信する。制作会社端末は、作成したコンテンツのリンク情報を管理会社端末に送信し、管理会社端末は、リンク情報からコンテンツを入手し、コンテンツに透かしを挿入したコンテンツのリンク情報を依頼者端末に送信するとともに、登録保管組織端末にも送信し、登録保管組織端末は、リンク情報からコンテンツを入手し、保管する。検証時には、依頼者端末から入手したコンテンツから透かしを検出し、コンテンツの改ざんを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期保存に適した画像コンテンツの制作・検証手段に関する。特に映像コンテンツに証拠性に関する情報を電子透かしにより埋め込むことで、当該コンテンツの真性性検証を実現する手段に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個人の遺言書を預かり、死後に遺言に沿って財産などを分配・処理する遺言信託業務が注目されており、信託銀行や弁護士事務所などが関連サービスを立ち上げるなど、ビジネスチャンスの拡大が期待されている。一方、上記業務で扱う遺言書は文字ベースであり、かつ、書式も法律によって定められているため、故人の思いを伝えにくいという問題があった。
【0003】
この問題の対策として、遺言作成者の考え・思いをデジタル映像で記録・蓄積することで、遺言書だけでは表現できなかった家族や親族への思いを伝えることが考えれるが、デジタル映像は編集・蓄積・視聴が容易な反面、容易に複製・改ざんできるという特性を有するため、蓄積されている映像が本当に遺言作成者が残したものなのか、当該映像のみから真正性が出来ることが重要である。
【0004】
画像、映像コンテンツを用いた真正性を検証する従来技術として、下記特許文献1、2に示す手法がある。
【0005】
特許文献1は、画像および映像コンテンツの真正性を検証する手法であり、対象となる画像コンテンツからハッシュ値などの特徴値を抽出し、当該コンテンツのヘッダ部分に当該特徴値を付加することを特徴とする。検証時には、ヘッダから取得した特徴値と画像の特徴値を比較することで、当該コンテンツに改ざんがあったかどうかを判定する。特許文献1は、Webコンテンツの真正性を検証する技術であり、WebページなどのTEXTデータから特徴値を抽出し、当該特徴値をWeb上のマーク画像などに電子透かしを用いて埋め込むことで、Webページの改ざん検知を行なうことを特徴とする。
【0006】
【特許文献1】特開2003-122726号公報
【特許文献2】特開2000-078125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1では、画像コンテンツの真正性を検証するためにヘッダ等に特徴値を付加するため、コンテンツのフォーマットを更新の際にヘッダ情報が削除される可能性がある。従って更新毎に特徴値算出、およびヘッダ領域付加を行なう必要があり利便性に乏しかった。また、前記特許文献2では、Webコンテンツを対象とした真正性検証技術であり、Web上の画像が更新されない場合でもWeb情報が更新された場合には、再埋込みを行なう必要があり、画像コンテンツの証拠性検証には有効な手段ではなかった。
【0008】
MPEGなどの映像コンテンツのフォーマットは、頻繁にフォーマット変更や改良が行なわれており、長期保存の際には、コンテンツのフォーマット更新やそれにともなう再圧縮(以下、マイグレーションという)が必須となる。従来技術では、改ざんにより変化しやすい特徴量をあらかじめ計算しておき、検証時に、同じ特徴量が検出できなければ、コンテンツに改ざんがあったとみなす。1bitの改ざんでも検知可能な一方で、正規の処理であるマイグレーションも改ざんとみなしてしまうため、長期保存に使えないという問題があった。この問題を防止するには、マイグレーション毎に特徴量を再計算し、コンテンツに特徴量を再埋込み・再付加する必要があり、利便性が乏しい。
【0009】
上述の問題は、デジタル映像を用いた遺言に限らず、長期に保存する画像コンテンツ全般に当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、長期保存に適した画像コンテンツの真正性検証手段を提供する。
【0011】
本発明では、電子透かしによりコンテンツのデータ内に証拠性に関する情報を直接埋め込み、検証時に電子透かしにより埋め込んだ情報が検出できれば、映像に致命的な改ざんがなされていないと判断する。これにより、マイグレーションを経ても証拠性に関する情報が残るため、従来方式と比べて長期保存コンテンツを対象とした真性性検証の利便性を向上できる。
【0012】
本発明の望ましい実施形態は、ネットワークに接続された、依頼者、管理会社、管理ID付与会社、制作会社、および登録保管組織の端末から構成されるコンテンツ制作・検証システムである。ここで、依頼者、制作会社、および登録会社の端末は、メッセージ入出力手段、画像入出力手段を具備する。また、管理会社の端末は、メッセージ入出力手段、画像入出力手段、透かし埋め込み/検出手段、ID生成・記録手段、およびデータベースを具備する。また、管理ID付与会社の端末は、メッセージ入出力手段、ID生成・記録手段、およびデータベースを具備する。該管理会社端末は、該依頼者端末から送信された映像作成依頼情報を受けて、該制作会社端末に制作依頼情報を送信し、該制作会社端末は、作成したコンテンツのリンク情報を該管理会社端末に送信し、該管理会社端末は、該リンク情報から該コンテンツを入手し、該コンテンツに透かしを挿入したコンテンツのリンク情報を該依頼者端末に送信するとともに、該登録保管組織端末にも送信し、該登録保管組織端末は、該リンク情報から該コンテンツを入手し、保管する機能を具備することを特徴とする。また、検証時には、依頼者端末から入手したコンテンツから透かしを検出し、検出情報から当該コンテンツの改ざんを判定する。
【0013】
また、ID付与会社端末は、管理会社端末に対してライセンスIDを1つまたは複数付与する手段、および、ライセンスIDの照会があった場合に、どの管理会社端末に対して該ライセンスIDを付与したかを出力する手段を具備し、
該管理会社端末は、依頼者毎に固有な依頼者IDを生成するステップと、該依頼者IDおよび映像作成日時を記録するステップと、映像を入力するステップと、映像コンテンツに、付与された該ライセンスIDおよび該依頼者IDを電子透かしにより挿入するステップと、透かし入り映像コンテンツをディスクに出力するステップと、透かし入り映像コンテンツを媒体に格納するステップと、を実行し、さらに、映像を入力するステップと、電子透かしを検出するステップと、登録されたライセンスIDおよび依頼者IDと検出結果を照合するステップと、検出されたライセンスIDおよび依頼者IDを出力するステップと、登録された映像作成日時を出力するステップとを実行する。
【0014】
また、該管理会社端末は、依頼者IDの発行数を累積するステップと、該発行数と、ライセンスIDにあらかじめ定められた限界発行数を比較するステップと、該発行数が該限界発行数に達した時に、新しいライセンスIDの付与を求める出力をするステップとを、実行する。
【0015】
より具体的には、ネットワークに接続された、依頼者、管理会社、制作会社、および登録保管組織の端末から構成されるコンテンツ制作システムは、依頼者端末、制作会社端末、および登録会社端末は、メッセージ入出力手段、画像入出力手段を具備し、管理会社端末は、メッセージ入出力手段、画像入出力手段、透かし埋め込み/検出手段、ID生成・記録手段、およびデータベースを具備し、該管理会社端末は、該依頼者端末から送信された映像作成依頼情報を受けて、依頼者端末毎に固有なIDを発行した後、該制作会社端末に制作依頼情報を送信し、該制作会社端末は、作成したコンテンツのリンク情報を該管理会社端末に送信し、該管理会社端末は、該リンク情報から該コンテンツを入手し、該コンテンツに当該IDや時刻情報を電子透かしにより挿入し、該管理会社端末は、透かしを挿入したコンテンツのリンク情報を該依頼者端末に送信するとともに、該登録保管組織端末に送信し、該登録保管組織端末は、該リンク情報から該コンテンツを入手し、保管する機能を具備することを特徴とする。
【0016】
さらに、1つまたは複数の制作システムは、ID付与端末とネットワークを介して接続し、当該ID付与端末は、ID生成・記録手段、メッセージ入出力手段、画像入出力手段、およびデータベースを具備し、当該ID付与端末は、各制作システム内の各管理会社の端末に対して、異なるIDを発行し、各ID発行に対して、一定数の依頼者識別IDをライセンスとして、各IDに対応する管理会社に付与する機能を具備してもよい。
【0017】
さらに、当該依頼者端末は、依頼者の映像コンテンツ関連情報や、映像コンテンツのリンク情報や、依頼者の個人情報などの関連情報の通知先として1つ以上の端末を通知指定端末として指定する手段を具備してもよい。
【0018】
また、ネットワークに接続された、依頼者、管理会社、制作会社、および登録保管組織の端末から構成されるコンテンツ検証システムは、依頼者端末、制作会社端末、および登録会社端末は、メッセージ入出力手段、画像入出力手段を具備し、管理会社端末は、メッセージ入出力手段、画像入出力手段、透かし埋め込み/検出手段、ID生成・記録手段、およびデータベースを具備し、該管理会社端末は、該依頼者端末から送信された映像検証依頼情報と当該映像を入手するための関連情報を受けて、当該映像を入手し、該管理会社端末は、当該映像から透かし検出を行い、検出した情報と該管理会社端末のデータベースに格納された情報との整合性を確認することで、当該映像の改ざん検知を判定し、当該映像の判定結果を該依頼者端末に送信する機能を具備することを特徴とする。
【0019】
さらに、1つまたは複数の検証システムは、ID付与端末とネットワークを介して接続し、該管理会社端末は、当該映像から透かし検出を行い、検出した情報と該管理会社端末のデータベースに格納された情報が一致しなかった際に、該ID付与端末に検証依頼情報を送信する機能を具備し、該ID付与端末は、該端末内のデータベースに格納された情報を当該情報の整合性を確認する機能を具備してもよい。
【0020】
さらに、該管理会社端末は、当該映像から透かし検出を行い、検出した情報が得られなかった際に、該登録保管組織端末に検証依頼情報を送信する機能を具備し、該登録保管組織端末は、依頼者端末の有する情報に基づいて、コンテンツを検索し、該登録保管組織端末に送信する機能を具備してもよい。
【0021】
また、入出力装置およびディスクを備えた計算機システムであって、1つまたは複数の管理会社端末、ID付与会社端末から構成される映像コンテンツ真正性検証システムは、ID付与会社端末は、管理会社端末に対してライセンスIDを1つまたは複数付与する手段、および、ライセンスIDの照会があった場合に、どの管理会社端末に対して該ライセンスIDを付与したかを出力する手段を具備し、該管理会社端末は、依頼者毎に固有な依頼者IDを生成するステップと、該依頼者IDおよび映像作成日時を記録するステップと、映像を入力するステップと、映像コンテンツに、付与された該ライセンスIDおよび該依頼者IDを電子透かしにより挿入するステップと、透かし入り映像コンテンツをディスクに出力するステップと、透かし入り映像コンテンツを媒体に格納するステップと、を実行し、さらに、映像を入力するステップと、電子透かしを検出するステップと、登録されたライセンスIDおよび依頼者IDと検出結果を照合するステップと、検出されたライセンスIDおよび依頼者IDを出力するステップと、登録された映像作成日時を出力するステップと、を実行し、映像に対して真正性の付与および該真正性の検証を行うことを特徴とする。
【0022】
さらに、管理会社端末は、依頼者IDの発行数を累積するステップと、該発行数と、ライセンスIDにあらかじめ定められた限界発行数を比較するステップと、該発行数が該限界発行数に達した時に、新しいライセンスIDの付与を求める出力をするステップと、を実行してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、長期に保存する映像コンテンツの簡便な真正性検証が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
はじめに、本発明を実現するための前提技術である電子透かしについてその現状を説明する。
【0025】
電子透かしとは、情報をコンテンツのヘッダーなどの外部データに記述するのではなく、コンテンツに直接埋め込む技術である。そのため、コンテンツ自体の特徴が変わらない限り、埋め込んだ情報は生き残り、後で検出することができる。従って、マイグレーションを経ても、挿入した情報を検出することができる。
【0026】
例えば、次の文献により、画像処理耐性のある電子透かしについて、具体的な方法が開示されている。
【0027】
W.Bender、 D.Gruhl、 N.Morimoto : Techniques for data hiding、 Proc. SPIE、 Vol.2020、 pp.2420-2440(1995)
この方法によると、画像の中から抽出した2点の輝度を繰返し人為的に変更することにより、統計量として電子透かし情報を埋め込むことができる。画像圧縮、平滑化フィルターや解像度変換のような、画像全体に対して均質にかかる画像処理において、この統計量は原理上普遍的である。
【0028】
本発明においては、このような技術を用いてマイグレーション耐性を備えた電子透かしを用いる。
【0029】
以下、本発明の実施例について、デジタル映像を用いた遺言システムを一例として、詳細に説明する。
【0030】
図1は、本実施例で述べるコンテンツ制作・検証システムの構成例を示した図である。図に示すように本システムは、(遺言)依頼者端末101、管理会社端末102、管理ID付与会社端末103(親管理端末)、制作会社端末104、登録保管組織端末105、および通知指定端末106から構成され、各端末はネットワークに接続されている。ここで、依頼者端末101、制作会社端末104、登録保管組織端末105、通知指定端末106はそれぞれ、表示および出力部11、41、51、61、入力部12、42、52、62を具備する。また、管理会社端末102は、表示および出力部21、入力部22に加えて、データベース23、および透かし処理部24を具備する。また、管理ID付与会社端末103は、表示および出力部31、入力部32に加えて、データベース33を具備する。
【0031】
まず、管理ID付与会社端末103は、管理会社端末102の表示および出力部21から送信されたID付与ライセンス購入依頼情報を受けて、一定数のIDを付与できるライセンス情報を送信する。これにより、管理会社端末102は、一定数の映像コンテンツに対して、透かし装置により固有なIDを付与することが可能になる。
【0032】
次に、管理会社端末102は、依頼者端末101の表示および出力部11から送信された映像作成依頼情報を受けて、制作会社端末104に制作依頼情報を送信する。制作会社端末104は、作成したコンテンツのリンク情報を管理会社端末102に送信し、管理会社端末102は、該リンク情報から該コンテンツを入手し、透かし処理部24により、該コンテンツに透かしを挿入したコンテンツのリンク情報を依頼者端末101に送信するとともに、登録保管組織端末105にも送信する。登録保管組織端末105は、該リンク情報から該コンテンツを入手し、該コンテンツを保管する。通知指定端末106は、依頼者端末101により、依頼者の映像コンテンツ関連情報や、映像コンテンツのリンク情報や、依頼者の個人情報などの関連情報の通知先として指定された端末であり、複数の端末が指定される場合もある。
【0033】
図2は、管理ID付与会社端末103のデータベース33の構成例を示した図である。図が示すように、本データベース33は、一定数のライセンスを付与した各管理会社端末102を識別するためのライセンスID331、ライセンスした管理会社の名称を示すライセンス先332、ライセンス発行日333、ライセンス期間334、ライセンス条件335、管理会社の契約解除やその他理由により各管理会社端末102に割り当てられた一定数のIDがリボケーションされたかどうかを識別するリボケーション有無に関する情報336、およびその他備考337から構成される。この図では、各管理会社端末102を識別するためのライセンスIDとして10ビットが割り当てられており、1024通りの管理会社を識別することができる。また、管理ID付与会社端末103は各管理会社端末102に対して、依頼者を識別する一定数の依頼者IDを付与する。例えば、管理ID付与会社端末103が各管理会社端末102に対して、依頼者IDとして7ビットを付与すれば、各管理会社端末102は、128通りの依頼者を識別することができる。前記のライセンスIDと依頼者IDは、各管理会社端末102の透かし処理部24により、依頼者の映像コンテンツに透かし埋込み処理される。上述した例では、ライセンスID(10ビット)+依頼者ID(7ビット)=17ビットの情報が各映像コンテンツに埋め込まれる。また、本処理において、依頼者IDのみ埋め込まれる場合も考えられる。
【0034】
図3は、管理会社端末102のデータベース23の構成例を示した図である。図が示すように、本データベース23は、前出した依頼者ID21、依頼元22、依頼日23、映像コンテンツの作成状況24、映像コンテンツの制作会社名25、登録保管組織名26、当該遺言コンテンツの視聴が実施された遺言執行日27から構成される。前述した情報以外にも当該データベース23には、遺言書本文の写しの有無や、遺言執行の際の条件や、依頼者の資産総額や、依頼者の資産・財産の明細や、対価分配の際の契約条項や、関連する弁護士事務所などの情報が追加されることがある。
【0035】
図1に示す各端末は、図示していないが、CPUがハードディスクなどの記憶装置に格納されたプログラムを実行することにより、以下の処理を実現するものである。各プログラムは、あらかじめ、記憶装置に格納されていても良いし、必要なときに、入出力インタフェースと上記端末が利用可能な媒体を介して、他の装置から上記記憶部に導入されてもよい。媒体とは、たとえば、入出力インタフェースに着脱可能な記憶媒体、または通信媒体(すなわちネットワークまたはネットワークを伝搬する搬送波やディジタル信号)を指す。
【0036】
図4は、遺言映像コンテンツ作成の際の処理フロー例を表した図である。
【0037】
ステップS411で、依頼者端末101は、管理会社端末102に対し、映像コンテンツ作成の依頼操作、および個人情報入力操作を行なう。管理会社端末102は、ステップS421で、当該操作を受け付けたのち、制作会社端末103に対し、ステップS422で、映像コンテンツの制作依頼操作を行なう。制作会社端末103は、管理会社端末102の依頼操作に対して、ステップS431で、作業受諾の処理操作と作業期間の入力操作を行い、管理会社端末102に通知する。通知を受けた管理会社端末102は、ステップS423で、管理データベース23に担当制作会社および作業期間を入力し、同時に依頼者端末101に通知する。通知を受けた依頼者端末101は、ステップS412で、作業期間の確認操作を行い、管理会社端末102に対し、確認した旨を通知する。管理会社端末102は、依頼者端末101からの通知を受けて、ステップS424で、制作会社端末103に対し、制作作業の依頼操作を行い、管理データベース23の制作状況を更新する。制作会社端末103は、ステップS432管理会社端末102からの作業依頼の受付処理を行い、依頼者の撮影・編集を経て、映像コンテンツを完成させた後に、ステップS433で、管理会社端末102に対し、作業完了処理を行い、当該映像コンテンツを管理会社端末102の管理データベース23にアップロードする。管理会社端末102は、制作会社端末103からの通知を受けて、ステップS425で、管理データベース23の制作状況を更新し、依頼者端末101に対し、映像コンテンツ確認の依頼操作を行い、当該映像コンテンツのリンク情報を依頼者端末101に通知する。通知を受けた依頼者端末101は、ステップS413で、当該映像コンテンツのリンク情報から映像コンテンツの確認操作を行い、当該映像コンテンツの内容を確認した後、内容に問題がなければ、管理会社端末102に対し、問題ない旨を通知する。もし、内容に修正すべき箇所があった場合には、その旨を管理会社端末102に通知し、管理会社端末102は、制作会社端末103に対し、再度作業依頼を通知する。依頼者端末101から映像コンテンツに問題ない旨の通知を受けた管理会社端末102は、制作会社端末103に対し、ステップS426で、当該映像コンテンツが確定したこと、および、コンテンツ作成作業が完了したことを通知するとともに、管理データベースの状況を更新する。コンテンツの制作完了通知を受けた制作会社端末103は、ステップS434で、制作作業の終了処理を行なう。
【0038】
管理会社端末102は、ステップS427で、確定した映像コンテンツに対し、管理ID付与会社端末103から割り当てられたライセンスIDと、管理会社端末102が割り当てた依頼者IDと、埋込み時刻情報(タイムスタンプ)を電子透かしにより埋め込み、埋込み時刻情報については管理データベース23に登録する。
【0039】
次に、管理会社端末102は、登録保管組織端末105に対し、ステップS428で、映像コンテンツの登録作業依頼操作を行い、依頼者の個人情報、映像コンテンツのリンク情報を、登録保管組織端末105に送信する。通知を受けた登録保管組織端末105は、ステップS51で、当該映像コンテンツの登録・保管手続き処理を行い、管理会社端末102に対し、作業完了通知処理を行なう。通知を受けた管理会社端末102は、ステップS429で、依頼者端末101に対し、登録作業完了の通知を行なうともに、登録映像のリンク情報を通知し、管理データベース23の制作状況を更新する。当該ステップにおいて、依頼者端末101より、依頼者端末以外にも複数の端末が通知先に指定されていた場合、すなわち、複数の通知指定端末106がある場合には、管理会社端末102は、当該津位置指定端末106に対しても、前記情報を通知する。
【0040】
図5は、遺言映像コンテンツ検証の際の処理フロー例を表した図である。
【0041】
ステップS561で、依頼者端末106は、管理会社端末102に対し、依頼者が保有する映像コンテンツの改ざん検知の依頼情報を送信するとともに、対象となる遺言映像コンテンツを管理データベース23にアップロードする。依頼情報を受信した管理会社端末102は、ステップS521で、依頼受付処理を行い、当該映像コンテンツを取得する。次に、管理会社端末102は、ステップS522で、当該映像コンテンツに対し、透かし検出処理を行い、ステップS523により、検出された情報から当該映像コンテンツの改ざんを検知を判定する。本ステップにおける具体的な改ざん検知の判定方法として下記が考えられる。(1)検出情報が全く得られなかった場合には、改ざんされたコンテンツか、管理対象外の(もともと透かし埋込みを行なっていない)コンテンツと判定する。この場合、管理会社端末102は、依頼者端末101にその旨を通知して処理を終了する。(2)検出情報が得られたが、当該管理会社端末102のライセンスIDと検出したライセンスIDが異なっている場合には、管理会社端末102は、管理ID付与会社端末103に当該検出情報を通知し、改ざん検知の有無を判定してもらう。この場合、管理ID付与会社端末103は、管理データベース33に当該ライセンスIDに対応する管理会社が登録されていれば、この管理会社端末に改ざん検知処理を依頼する。管理データベース33に当該ライセンスIDに対応する管理会社が登録されていない場合、管理ID付与会社端末103は、その旨を管理会社端末102に通知し、当該管理会社端末は、依頼者端末101にその旨通知して処理を終了する。(3)検出情報は得られ、かつ、当該管理会社端末102のライセンスIDと検出したライセンスIDが一致した場合、管理会社端末102は、検出情報内の依頼者IDと作成時刻情報が管理データベース内に記録されている情報と一致するか確認する。一致する場合、当該コンテンツの改ざんはないと判断し、一致しない場合は、改ざんありと判定する。
【0042】
ステップS523により当該コンテンツの改ざんがあると判定された場合、管理会社端末102は、ステップS524で、登録保管組織端末105に対し、登録コンテンツの確認依頼操作を行なう。本処理は、依頼者端末101から各種個人情報(遺言者個人情報、コンテンツ作成年月日、遺言者が死亡したことを証明する除籍謄本、依頼者の個人情報など)の送付を受けた後、登録保管組織端末105に対し、依頼操作を行なう。依頼操作通知を受けた登録保管組織端末105は、ステップS551で依頼受付操作を行い、前記個人情報に該当する登録コンテンツを管理会社端末102の管理データベース23にアップロードし、依頼完了通知情報を管理会社端末102に対し、通知する。通知を受けた管理会社端末102は、ステップS525で、依頼者端末101に対し、依頼完了通知をするとともに、該当コンテンツのリンク情報を通知し、処理を終了する。通知を受けた依頼者端末101は、該当コンテンツのリンク情報から登録保管組織で登録されていた遺言映像を入手する。
【0043】
ステップS523により当該コンテンツの改ざんがないと判定された場合、管理会社端末102は、ステップ526で、依頼者端末101に対し、その旨通知して処理を終了する。通知を受けた依頼者端末101は、ステップS513で通知を確認して処理を終了する。
【0044】
図6は、管理会社端末、ID付与会社端末の間のIDの取り交わし、映像の証拠化プロセスを書いた図である。管理会社端末は1つまたは複数あってよい。また、ID付与会社端末が1つまたは複数あった場合、さらに上位のID付与組織があればよい。
【0045】
ステップ601において、ID付与会社端末は、管理会社端末に対してライセンスIDを1つまたは複数付与する。1つのライセンスIDで付与できる依頼者IDの数の上限が定められているため、管理会社は、自身の事業遂行に必要な数だけライセンスIDをID付与会社から購入する。例えばライセンス1個で100個の依頼者IDを発行できるなどの限界発行数を定める。あるいは、ライセンスID番号に加えて、下3桁を自由に使えるようにして依頼者IDを表現するなどしてもよい。
【0046】
次に、管理会社端末102における映像証拠化プロセスについて説明する。
【0047】
ステップ602において、依頼者毎に固有な依頼者IDを生成する。このとき、依頼者IDの発行数の累計を記録する。発行数があらかじめライセンスとして付与された限界発行数に達した時に、新しいライセンスIDの付与を求める出力をする。ステップ603において、依頼者IDおよび映像作成日時を記録する。ほかに、依頼者の属性、映像の属性、証拠として提供する必要のある情報なども合わせて記録してよい。ステップ604において、映像を入力する。ステップ605において、映像コンテンツに、付与されたライセンスIDおよび依頼者IDを電子透かしにより挿入する。複数の管理会社があった場合、依頼者IDは各会社が独立に付与するため、衝突する可能性があるが、ライセンスIDと依頼者IDを組み合わせれば、世界唯一のIDとなる。ステップ606において、透かし入り映像コンテンツをディスクに出力する。あるいは、ネットワーク経由の別の保管用のサーバに転送してもよい。ステップ607において、透かし入り映像コンテンツを媒体に格納する。媒体は抄本と謄本の2枚作ってもよい。
【0048】
映像作成者、管理会社名、映像作成日時、依頼者の属性、映像の属性、証拠として提供する必要のある情報なども合わせて媒体に記録してよい。媒体のラベルにこれらを記載してもよい。
【0049】
以上のステップにより、証拠性のある映像データおよび、それを格納した媒体ができあがる。
【0050】
図7を用いて、映像の証拠性を検証するプロセスを説明する。
【0051】
ステップ701において、映像を入力する。ステップ702において、電子透かしを検出する。ステップ703において、登録されたライセンスIDおよび依頼者IDと検出結果を照合する。ステップ704において、検出されたライセンスIDおよび依頼者IDを出力する。ステップ705において、依頼者IDに関係付けられて登録された映像作成日時などを出力する。
【0052】
以上のように、電子透かしから正しいIDが検出できれば、映像に改ざんがなされていないことを証明できる。さらに、IDに関係付けられた、映像作成日時などの属性情報が正しいことも証拠づけられる。
【0053】
本実施例で述べたように、電子透かしによりコンテンツのデータ内に証拠性に関する情報を埋め込むことで、マイグレーションを経ても証拠性に関する情報が残り、マイグレーション毎に証拠情報を生成する従来方式と比べて利便性を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の実施例(シングルメッセージ)における映像コンテンツの真正性検証システムの全体説明図である。
【図2】映像コンテンツの真正性検証システムを構成するID付与会社端末103の管理データベース33の構成例を示した説明図である。
【図3】映像コンテンツの真正性検証システムを構成する管理会社端末102の管理データベース23の構成例を示した説明図である。
【図4】映像コンテンツの真正性検証システムにおける映像作成処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】映像コンテンツの真正性検証システムにおける映像検証処理の一例を示すローチャートである。
【図6】映像コンテンツの真正性検証システムにおける管理会社端末、ID付与会社端末の間のIDの取り交わし、映像の証拠化プロセスの一例を示すフローチャートである。
【図7】映像コンテンツの真正性検証システムにおける映像の証拠性を検証するプロセスの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
101:依頼者端末、102:管理会社端末、103:ID付与会社端末、104:制作会社端末、105:登録保管組織端末、106:通知指定、端末、11:依頼者端末の表示および出力部、12:依頼者端末の入力部、21:管理会社端末の表示および出力部、22:管理会社端末の入力、部、23:管理会社端末の管理データベース、24:管理会社端末の透かし処理部、31:ID付与会社端末の表示および出力部、32:ID付与会社端末の入力部、33:ID付与会社端末の管理データベース、41:制作会社端末の表示および出力部、42:制作会社端末の入力部、51:登録保管組織端末の表示および出力部、52:登録保管組織端末の入力部、61:通知指定端末の表示および出力部、62:通知指定端末の入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された、依頼者、管理会社、制作会社、および登録保管組織の端末から構成されるコンテンツ制作システムにおいて、
依頼者端末、制作会社端末、および登録会社端末は、メッセージ入出力手段、画像入出力手段を具備し、
管理会社端末は、メッセージ入出力手段、画像入出力手段、透かし埋め込み/検出手段、ID生成・記録手段、およびデータベースを具備し、
該管理会社端末は、該依頼者端末から送信された映像作成依頼情報を受けて、依頼者端末毎に固有なIDを発行した後、該制作会社端末に制作依頼情報を送信し、
該制作会社端末は、作成したコンテンツのリンク情報を該管理会社端末に送信し、
該管理会社端末は、該リンク情報から該コンテンツを入手し、該コンテンツに当該IDや時刻情報を電子透かしにより挿入し、
該管理会社端末は、透かしを挿入したコンテンツのリンク情報を該依頼者端末に送信するとともに、該登録保管組織端末に送信し、
該登録保管組織端末は、該リンク情報から該コンテンツを入手し、保管する機能を具備する
ことを特徴とした、コンテンツの制作システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツの制作システムにおいて、
1つまたは複数の制作システムは、ID付与端末とネットワークを介して接続し、
当該ID付与端末は、ID生成・記録手段、メッセージ入出力手段、画像入出力手段、およびデータベースを具備し、
当該ID付与端末は、各制作システム内の各管理会社の端末に対して、異なるIDを発行し、各ID発行に対して、一定数の依頼者識別IDをライセンスとして、各IDに対応する管理会社に付与する機能を具備することを特徴としたコンテンツの制作システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンテンツの制作システムにおいて、
当該依頼者端末は、依頼者の映像コンテンツ関連情報や、映像コンテンツのリンク情報や、依頼者の個人情報などの関連情報の通知先として1つ以上の端末を通知指定端末として指定する手段を具備することを特徴としたコンテンツの制作システム。
【請求項4】
ネットワークに接続された、依頼者、管理会社、制作会社、および登録保管組織の端末から構成されるコンテンツ検証システムにおいて、
依頼者端末、制作会社端末、および登録会社端末は、メッセージ入出力手段、画像入出力手段を具備し、
管理会社端末は、メッセージ入出力手段、画像入出力手段、透かし埋め込み/検出手段、ID生成・記録手段、およびデータベースを具備し、
該管理会社端末は、該依頼者端末から送信された映像検証依頼情報と当該映像を入手するための関連情報を受けて、当該映像を入手し、
該管理会社端末は、当該映像から透かし検出を行い、検出した情報と該管理会社端末のデータベースに格納された情報との整合性を確認することで、当該映像の改ざん検知を判定し、当該映像の判定結果を該依頼者端末に送信する機能を具備することを特徴とした、コンテンツの検証システム。
【請求項5】
請求項2および請求項4に記載のコンテンツの検証システムにおいて、
1つまたは複数の検証システムは、ID付与端末とネットワークを介して接続し、
該管理会社端末は、当該映像から透かし検出を行い、検出した情報と該管理会社端末のデータベースに格納された情報が一致しなかった際に、該ID付与端末に検証依頼情報を送信する機能を具備し、
該ID付与端末は、該端末内のデータベースに格納された情報を当該情報の整合性を確認する機能を具備する
ことを特徴とした、コンテンツの検証システム。
【請求項6】
請求項4に記載のコンテンツの検証システムにおいて、
該管理会社端末は、当該映像から透かし検出を行い、検出した情報が得られなかった際に、該登録保管組織端末に検証依頼情報を送信する機能を具備し、
該登録保管組織端末は、依頼者端末の有する情報に基づいて、コンテンツを検索し、該登録保管組織端末に送信する機能を具備することを特徴とした、コンテンツの検証システム。
【請求項7】
入出力装置およびディスクを備えた計算機システムであって、
1つまたは複数の管理会社端末、ID付与会社端末から構成されるシステムにおいて、
ID付与会社端末は、管理会社端末に対してライセンスIDを1つまたは複数付与する手段、および、ライセンスIDの照会があった場合に、どの管理会社端末に対して該ライセンスIDを付与したかを出力する手段を具備し、
該管理会社端末は、依頼者毎に固有な依頼者IDを生成するステップと、
該依頼者IDおよび映像作成日時を記録するステップと、
映像を入力するステップと、
映像コンテンツに、付与された該ライセンスIDおよび該依頼者IDを電子透かしにより挿入するステップと、
透かし入り映像コンテンツをディスクに出力するステップと、
透かし入り映像コンテンツを媒体に格納するステップと、を実行し、
さらに、映像を入力するステップと、
電子透かしを検出するステップと、
登録されたライセンスIDおよび依頼者IDと検出結果を照合するステップと、
検出されたライセンスIDおよび依頼者IDを出力するステップと、
登録された映像作成日時を出力するステップと、を実行し、
映像に対して真正性の付与および該真正性の検証を行う
ことを特徴とした映像コンテンツ真正性検証システム。
【請求項8】
請求項7の映像コンテンツ真正性検証システムにおいて、
管理会社端末は、依頼者IDの発行数を累積するステップと、
該発行数と、ライセンスIDにあらかじめ定められた限界発行数を比較するステップと、
該発行数が該限界発行数に達した時に、新しいライセンスIDの付与を求める出力をするステップと、を実行する
ことを特徴とした映像コンテンツ真性性検証システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−36919(P2007−36919A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219906(P2005−219906)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】