説明

コンテンツ受信システムにおける仮想化コンテンツの提供方法

【課題】視聴者が所定のコンテンツを選択した要求が提出したときに、待ち時間がなく、直ちに選択したコンテンツを見られる仮想化コンテンツの提供方法を提供する。
【解決手段】双方向テレビジョンの視聴者の利用統計データに基づいて、選択される可能性の高い放送コンテンツ及び支援プログラムを、該放送コンテンツ及び支援プログラムを利用できる許可を視聴者に与える前に、セットトップボックスに内蔵されている記憶装置に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の選択に応じて放送コンテンツを放送することができる双方向テレビジョンシステム(コンテンツ受信システムの一例)やコンピュータネットワーク通信システム(コンテンツ受信システムの一例)における仮想化コンテンツの提供方法関し、特に、利用者が選択してから所定のコンテンツがテレビスクリーン又はコンピュータの画面に表示されるまでの待ち時間を短縮できる仮想化コンテンツの提供方法に関するものである。ここで、コンテンツとは、放送コンテンツ、支援プログラム、ドキュメント等を含む概念である。
【背景技術】
【0002】
双方向テレビジョンシステムとは、様々な通信手段を使用したデータ送信機能と、受像機に内蔵された情報入力・通信機能を使って、視聴者がテレビ放送に対して何らかの働きかけを行うことができるサービスのことである。双方向テレビジョンシステムの通信手段として、デジタル加入者線通信(xDigital Subscriber Line xDSL、例えば、非対称デジタル加入者線(ADSL)、超高速デジタル加入者線(VDSL)、イーサネット(登録商標)受動光ファイバー網(EPON等を含む))が挙げられる。
【0003】
双方向テレビジョンシステムの特徴の1つは、視聴者の好み、要求に応じて自由自在に放送コンテンツを選択し、選択した放送コンテンツを即座に放送できることにある。しかし、従来の双方向テレビジョンシステムでは、視聴者の選択情報が放送コンテンツサプライヤー(放送コンテンツ提供側)に送信され、放送コンテンツサプライヤーが選択されたコンテンツを視聴者に配信し、放送コンテンツが全部視聴者側に送信し終わってからスクリーンに映像出力し始まるようにしている。また、双方向テレビジョンシステムの放送コンテンツがますます複雑になり、放送コンテンツの整理時間が必要となる。そして、所望の放送コンテンツのダウンロードが完全に終わらないと、視聴者が放送コンテンツを見られないので、待ち時間の無駄遣いという問題がある。
【0004】
また、現在、人件費の高騰、放送コンテンツの複雑化等の要因で放送コンテンツの製作コストが高まっているので、放送コンテンツの価格は視聴者が受け入れられる価格より高くなり、どうすれば低価格で視聴者に放送コンテンツを提供することができるかが、各放送コンテンツサプライヤー会社が直面している問題である。
【0005】
更に、VCD、DVD等の記録媒体で映画又はドラマを鑑賞するときに、映画の前半部分が面白くないので中後半部分にスキップし、仮に中後半部分が面白いと感じたら、最初に戻ってあらためて映画を鑑賞する視聴者も珍しくない。しかし、従来の双方向テレビジョンシステムでは、視聴者の選択で自由に放送コンテンツの一部分のみを受信することができなかった。この結果、視聴者は前半の面白くない部分の放送コンテンツだけを見て他のチャネルにスキップしてしまうことになる。これでは、放送コンテンツの提供側にとって、儲かるチャンスがなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述のような事情からなされたものであり、本発明の目的は、コンテンツが受信装置(テレビやコンピュータ)に出力されるまでの待ち時間を短縮でき、かつコンテンツの低価格化に役立つコンテンツ受信システムにおける仮想化コンテンツの提供方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、コンテンツ受信システムにおける仮想化コンテンツの提供方法に関し、本発明の上記目的は、受信装置が信号変換装置を介してデジタル加入者線ネットワークに接続され、加入者回線作業センターのサーバ(以下、「サーバ」という。)が前記デジタル加入者線を介して複数の前記信号変換装置と接続されているコンテンツ受信システムにおいて、
前記信号変換装置に記憶装置を設け、前記受信装置から入力された需要情報又は過去のコンテンツ利用履歴から抽出した需要予測情報に基づいて、予め所望のコンテンツを前記記憶装置に仮想在庫として格納し、前記サーバの制御により、前記予め格納されている前記コンテンツを前記受信装置に提供することによって達成される。
【0008】
また、本発明の上記目的は、前記受信装置が双方向テレビジョン又はネットワークコンピュータであり、前記信号変換装置が前記双方向テレビジョン用のセットトップボックス又は前記ネットワークコンピュータ用の通信コントロールボックスであり、前記コンテンツ受信システムが双方向テレビジョンシステム又はコンピュータネットワーク通信システムである、前記仮想化コンテンツの提供方法によって効果的に達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、デジタル加入者線が使われていない期間を利用して、所定の双方向テレビジョンユーザに放送する可能性のある放送コンテンツ又は支援プログラムを、セットトップボックスに予め格納しておくことにより、放送までのユーザの待ち時間を短縮することができる。
【0010】
更に、一部の放送コンテンツを暗号化して格納することにより、放送コンテンツサプライヤーの知的財産権を保護しながら、該放送コンテンツが視聴者に見られるチャンスを高め、放送コンテンツの低価格化に役立つ双方向テレビジョンシステムのユーザにより良いサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ハードウェア仮想化の構成を示す模式図である
【図2】コンテンツ(放送コンテンツ、支援プログラム、ドキュメント等を含む)容量とハードウェア容量とのアンバランスを示す模式図である。
【図3】自動車組立工場のゼロ在庫の仕組みを示す模式図である。
【図4】自動車組立工場のゼロ在庫の仕組みと、本発明に係るコンテンツのサプライ方法との対比を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る双方向テレビジョンシステムの一例の構成を示す模式図である。
【図6】双方向テレビジョンをオフにしているときの、本発明の一実施形態に係る双方向テレビジョンシステムの動作の一例を示す模式図である。
【図7】双方向テレビジョンの視聴者が大容量記憶装置に格納されている仮想化コンテンツを利用するときの動作の一例を示す模式図である。
【図8】本発明に係る双方向テレビジョンシステムの一例の具体的な動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
周知のコンピュータハードウェア仮想化技術とは、コンピュータのハードウェアが高価であるため、第一のユーザがハードウェアリソースを使っていないときに、第一のユーザの作業を留保すると共に、ハードウェアリソースを第二のユーザに割り当てることである。
【0013】
図1に示すように、ホストコンピュータ11はユーザ13、15及び17にサービスを提供している。ユーザ13の作業123がホストコンピュータ11にて行われ、ユーザ13がホストコンピュータ11のハードウェアリソースを使っていないときに、ユーザ13の作業123を留保すると共に、ハードウェアリソースの使用権をユーザ15に割り当てて、ユーザ15の作業125が行われる。コンピュータハードウェアの高効率化(高スピード化)に伴い、この仕組みでは、ユーザ15の作業125が終わる時点から、ユーザ13がハードウェアを利用する時点までの時間的な余裕が生じる。そして、ハードウェアリソースをユーザ17に割り当て、作業127を行うことが可能となり、複数のユーザが同時にホストコンピュータ11を使うことができる。このようにすると、ユーザ13、15、17に対して、それぞれに独占的に使用している仮想コンピュータ14、16、18が存在しているかのように見える。
【0014】
昨今、集積回路技術の発展に伴い、ハードウェアの価格が下がっている。しかし、ソフトウェアの複雑化によりソフトウェアの開発コストは相対的に高騰しているため、より多くの人が一のソフトウェアの費用を分担することが考えられている。映画、ドラマ制作の場合もソフトウェア開発と同様であり、コストが高まっている。図2に示すように、ハードウェア21、例えばテレビ、パソコン等は、有料コンテンツ23を記憶装置22に格納している。現在、記憶装置22の容量は非常に大きくなっており、しかも記憶装置22の容量は増加し続けている。そして、記憶装置22に格納している有料コンテンツ23のサイズに対して、記憶装置22の容量が大きすぎるとも言える。つまり、記憶装置22の空き容量が空いたままで無駄が生じている。
【0015】
一方、有料コンテンツ23の場合には、高価格のために消費者が利用率の高いコンテンツしか買わないのが普通である。この結果、利用率の高いコンテンツは消費者側の記憶装置22の容量のごく一部しか占めていない。消費者は低価格で有料コンテンツ23を利用できることを望んでいる。しかしながら、有料コンテンツ23の提供側が、販売しようとするコンテンツ24のコストを回収し、一定の利益を確保するために、高価格に設定せざるを得ない。従って、消費者の希望価格と開発会社の希望価格との差26が大きい。
【0016】
この差26を縮めるために、上記のコンピュータハードウェア仮想化と同様のやり方が考えられる。しかし、コンテンツ(放送コンテンツ、支援プログラム)仮想化の目的はハードウェア仮想化とは相違している。ハードウェア仮想化のポイントは、使っていない期間にリソースを他のユーザに割り当てることにより費用を抑えることである。コンテンツの仮想化は、コンテンツの利用費用を抑えることであり、つまり、ユーザが所定のコンテンツを利用しようとするときに、最小の費用で該コンテンツを入手でき、或いはコンテンツの提供側がユーザにサービスを提供する最大の機会を確保することである。
【0017】
言い換えれば、本発明に係るコンテンツ仮想化は自動車組立工場のゼロ在庫の仕組みとある程度似ている。
【0018】
図3に示すように、自動車組立工場のゼロ在庫とは、自動車組立工場が部品の在庫を持たず、必要なときに、必要なものを必要な量だけを部品サプライヤーから配送してもらうことである。すなわち、自動車組立工場は在庫を持たず、自動車組立工場の各々の作業部門312、313、314、315、316にて所定の部品が必要であるときに、部品サプライヤーに発注し、対応している各々の部品サプライヤーの倉庫321、331、341、351、361から、様々な物流手段322、332、342、352、362により必要な部品を調達する。更に、自動車組立工場は、所有している倉庫を部品サプライヤーに貸出し、部品サプライヤーの納品効率を向上させるために部品サプライヤーの在庫管理に協力することもある。このようにすると、自動車組立工場は、在庫のコストを負担せずに順調に生産することができ、この一方で、部品サプライヤーが在庫のコスト及びリスクを負担している。
【0019】
1回しか使わないコンテンツの場合は、上述した自動車組立工場と類似し、仮想化コンテンツのサプライも、ユーザが使用前に一切コストを負担せず、必要なときに必要なコンテンツを即座に使える状態を保つことである。従って、コンテンツのサプライに自動車部品のサプライ方法を適用することが考えられる。
【0020】
図4(A)に示すように、自動車部品のサプライは中心収斂型であり、自動車組立工場の在庫41はゼロであり、所望の部品在庫は各々の部品サプライヤーの在庫42である。つまり、自動車組立工場にとって、部品サプライヤーの在庫42は、自分の仮想的な在庫である。部品サプライヤーから自動車組立工場までの物流効率43については、自動車組立工場は気にせず、ゼロ在庫の「利便性」、「低コスト」のみ求めている。
【0021】
双方向テレビジョンシステムでは、視聴者が24時間連続でテレビを見るわけではないので、視聴者がテレビを使っていない期間、及び視聴者側の記憶装置の空き容量を利用して、視聴者の「仮想在庫」を構成することが考えられる。
【0022】
図4(B)に示すように、コンテンツサプライは発散型である。ユーザは利用しようとするコンテンツを備える必要がなく、コンテンツサプライヤー44は、ユーザの身近のデジタル加入者線の記憶装置45にコンテンツを格納することにより、ユーザは所定のコンテンツを利用する希望があるときに、直ちに該コンテンツを使用でき、ユーザに所定のコンテンツを提供する機会を保つことができる。このようにすると、デジタル加入者線の記憶装置45のコンテンツはユーザの仮想的な在庫になる。ユーザはコンテンツがコンテンツサプライヤー44からユーザまでの伝送効率46に関心を持たず、一方、コンテンツサプライヤー44は利益を追求するために、該効率46を向上させ、より多くのユーザにサービスを提供する。また、ユーザに1回の利用権を与えるものの、該コンテンツの所有権を譲渡していないため、より低い価格でコンテンツを提供することができ、ユーザの希望価格とコンテンツサプライヤーの希望価格との差を縮めることができる。
【0023】
本発明は、双方向テレビジョンとデジタル加入者線とを接続するセットトップボックスに、大容量記憶装置を設け、予めコンテンツを大容量記憶装置に格納し、セットトップボックスに格納されているコンテンツのインデックスを作成して保存すると共に、各セットトップボックスと接続されている加入者回線作業センターであるサーバ(以下、「加入者回線作業センター」という。)にて、各セットトップボックスのインデックスに基づいて中央セットトップボックス仮想化コンテンツ管理システムを作成し、作成した仮想化コンテンツ管理システムに基づいて、各双方向テレビジョンに予め格納されている放送コンテンツ及びまだ格納されていない放送コンテンツを提供するようにしている。なお、「セットトップボックス」とは、テレビに直接つないでデジタル放送などを見るための受信端末装置のことを言い、ホームターミナルと呼ばれることもある。双方向テレビジョンシステムにおいて、そのままでは視聴不能な信号を視聴可能に変換する役割を果たす。視聴したデータを蓄えたり、見た分だけ払うペイ・パー・ビューの課金を自動で行ったりする機能も持っている。
【0024】
また、双方向テレビジョンのスイッチがオンしているときに、双方向テレビジョンに双方向用画面を表示し、視聴者はリモコンで入力することができるので、視聴者の入力から該視聴者の潜在的な需要情報、すなわち、視聴者の好むコンテンツの情報(映画、音楽、ゲーム等のジャンルや、アーティスト名、コンテンツのタイトル名、支援プログラム名等)を収集する。このための手段の一例として、後述のアンケートツールを利用することができる。
【0025】
更に、双方向テレビジョンをオフにしているとき、又はセットトップボックスに格納されている放送コンテンツが放送されているときに、加入者回線作業センターは、収集された該視聴者の潜在的な需要情報に基づいて、セットトップボックスに格納されている放送コンテンツを整理(削除、並べ替え等)する整理作業、大容量記憶装置の記憶スペースをクリアするスペースクリア作業、並びに新しいコンテンツをダウンロードして記憶するコンテンツ記憶作業を行う。なお、加入者回線作業センターは、視聴者の過去のコンテンツ利用の履歴から視聴者の潜在的な需要情報を分析し、その結果に基づいて仮想化コンテンツの更新作業(加入者回線作業センターからセットトップボックスの記憶装置にダウンロードすること)を行うようにしてもよい。
【0026】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、受信装置が双方向テレビジョンであり、信号変換装置が双方向テレビジョン用のセットトップボックスである双方向テレビジョンシステムにおける、仮想化コンテンツの提供方法について説明する。
【0027】
図5は本発明に係る双方向テレビジョンシステムの一例の構成を示す模式図である。双方向テレビジョンシステムは、加入者回線作業センター51と、デジタル加入者線52と、セットトップボックス53と、大容量記憶装置54と、ケーブル58と、双方向テレビジョン59と、リモコン(操作入力手段の一形態)57とを備えている。
【0028】
加入者回線作業センター51は、デジタル加入者線52を介して、大容量記憶装置54を内蔵した複数のセットトップボックス53と接続されているサーバである。加入者回線作業センター51は、接続されているセットトップボックス53の大容量記憶装置54の作業を制御している。
【0029】
セットトップボックス53は、デジタル加入者線52及びケーブル58を介して加入者回線作業センター51及び双方向テレビジョン59とを接続している。加入者回線作業センター51から受信したコンテンツは、セットトップボックス53を経由して双方向テレビジョン59に出力される。
【0030】
大容量記憶装置54は、セットトップボックス53に内蔵され、オンラインバッファ記憶デバイス541と、非暗号化オフライン記憶デバイス542と、暗号化オフライン記憶デバイス543とを備えている。オンラインバッファ記憶デバイス541、非暗号化オフライン記憶デバイス542、暗号化オフライン記憶デバイス543は、それぞれにオンラインバッファ記憶機能、非暗号化オフライン記憶機能、暗号化オフライン記憶機能を実行する。
【0031】
オンラインバッファ記憶機能とは、従来の双方向テレビジョン放送方式であり、受信したコンテンツを直ちに映像出力することである。受信されたコンテンツに不備がなければ直ちに映像を出力し、不備があると破棄するようにしている。オンラインバッファ記憶デバイス541は、従来のオンラインバッファ記憶機能を実行し、加入者回線作業センター51から放送コンテンツを受信して直ちに映像出力するための伝送バッファ記憶デバイスである。コンテンツデータをバッファ記憶デバイスに一時的に保持しておくことで、データの途切れが生じない高速転送を実現できる。
【0032】
非暗号化オフライン記憶機能とは、双方向テレビジョンがスイッチオフにしているとき、及び双方向テレビジョン59からのコンテンツ伝送要求がないときに、加入者回線作業センター51の制御により、加入者回線作業センター51から双方向テレビジョン59に映像出力する可能性のある暗号化されていないコンテンツを受信して、大容量記憶装置54に格納することである。また、非暗号化オフライン記憶機能は、双方向テレビジョン59のリモコン57の制御により、暗号化されていないコンテンツを記憶し、記憶されたコンテンツを双方向テレビジョン59にダウンロードすることも可能である。非暗号化オフライン記憶デバイス542は、非暗号化オフライン記憶機能を実行し、加入者回線作業センター51から伝送された暗号化されていないコンテンツ、或いは暗号化オフライン記憶デバイス543にて復号化され、かつ合法的に格納できるコンテンツを格納する。
【0033】
暗号化オフライン記憶機能とは、双方向テレビジョン59がスイッチオフされたとき、及び双方向テレビジョン59からのコンテンツ伝送要求がないときに、加入者回線作業センター51の制御により、双方向テレビジョン59に映像出力する可能性のある暗号化コンテンツを受信して、大容量記憶装置54に格納することである。暗号化オフライン記憶デバイス543は、暗号化オフライン記憶機能を実行し、双方向テレビジョン59に出力する可能性のあるコンテンツための記憶デバイスであり、加入者回線作業センター51からの暗号化されたコンテンツ、或いは再暗号化されたコンテンツを格納する。
【0034】
図6は、双方向テレビジョン59をオフにしているときに、コンテンツを大容量記憶装置54に記憶することを示す模式図である。双方向テレビジョン59をオフにしているときに、加入者回線作業センター51が暗号化コンテンツをセットトップボックス53に伝送して記憶する作業551を行い、つまり加入者回線作業センター51の制御により、加入者回線作業センター51で暗号化されたコンテンツ552がデジタル加入者線52を介してセットトップボックス53に送信され、セットトップボックス53に到達したコンテンツ553は大容量記憶装置54に格納され、それぞれに仮想化放送コンテンツ555、仮想化支援プログラム554に、総称して仮想化コンテンツを形成すると共に、該仮想化コンテンツのインデックスを作成し、作成したインデックスをセットトップボックス53に保存すると同時に加入者回線作業センター51に送信する。加入者回線作業センター51は、各仮想化コンテンツに対応する復号化鍵を、送信してきたインデックスと対応付けて仮想化コンテンツのインデックス56を作成する。更に、各セットトップボックス53のインデックス56に基づいて中央セットトップボックス仮想化コンテンツ管理システムを構成する。
【0035】
図7は双方向テレビジョン59の視聴者が大容量記憶装置54に格納されている仮想化コンテンツを利用するときの動作を示す模式図である。視聴者はリモコン57で選択した放送コンテンツの情報を加入者回線作業センター51に送信し、加入者回線作業センター51は、仮想化コンテンツのインデックス56を検索し、選択した放送コンテンツが大容量記憶装置54に格納されている仮想化放送コンテンツ555であるか否かを判定するときに、該仮想化放送コンテンツに対応している復号化鍵67を、放送の進行に応じてデジタル加入者線52を介してセットトップボックス53に送信し、セットトップボックス53は、送信された復号化鍵67により放送しようとする仮想化放送コンテンツ68を復号化し、復号された放送コンテンツ69を双方向テレビジョン59に映像出力する。また、1つの仮想化放送コンテンツ555が双方向テレビジョン59で放送し終わったとき、又は放送途中で双方向テレビジョン59がオフされたときに、それに対応する利用記録をインデックス56にて作成する。このようにすると、大容量記憶装置54に記憶されている仮想化放送コンテンツ555を双方向テレビジョン59に映像出力するときには、デジタル加入者線52では復号化鍵67の伝送作業しか行う必要がないので、従来の双方向テレビジョンシステムよりも視聴者の待ち時間を短縮することができる。
【0036】
リモコンで選択した放送コンテンツが、大容量記憶装置54に格納されている仮想化放送コンテンツ555ではないと判定すると、従来の放送作業を行う。つまり加入者回線作業センター51から放送コンテンツを受信しながら、オンラインバッファ記憶デバイス541を経由して双方向テレビジョン59に映像出力する。
【0037】
図8は本発明に係る双方向テレビジョンシステムの一例の具体的な動作を示す模式図である。オンラインバッファ記憶デバイス541、非暗号化オフライン記憶デバイス542及び暗号化オフライン記憶デバイス543は、それぞれに複数の記憶ユニット71、72、73を備えている。すなわち、記憶ユニット71は受信された後に直ちに映像出力するコンテンツを格納している。記憶ユニット72は暗号化されていないコンテンツを格納しており、加入者回線作業センター51の制御により、例えば、無料放送コンテンツ、広告コンテンツ、広報(地震警報、津波警報等の不特定多数の者に知らせるものを指す。)、双方向用ツール、放送コンテンツのサンプル等を格納する。
【0038】
また、一部の記憶ユニット72を非暗号化専用記憶ユニット752として、リモコン57の制御によりコンテンツを記憶する。記憶ユニット73は、仮想化コンテンツための記憶ユニットであり、暗号化されたコンテンツを格納している。また、一部の記憶ユニット73を暗号化専用記憶ユニット753として視聴者の個人資料を格納する。加入者回線作業センター51は、暗号化専用記憶ユニット753に格納しようとするコンテンツを暗号化して暗号化専用記憶ユニット753に伝送して格納するが、格納されている内容を支配する権利を有していない。このように、非暗号化専用記憶ユニット752及び暗号化専用記憶ユニット753が専用記憶ユニット75を構成する。
【0039】
加入者回線作業センター51とセットトップボックス53の間で行われる作業は、加入者回線作業センター51から仮想化コンテンツを大容量記憶装置54にダウンロードする作業771、セットトップボックス53に放送コンテンツの放送指令を伝送する作業772、及び映像出力の進行に応じて復号化鍵67を伝送する作業773を含む。
【0040】
加入者回線作業センター51から仮想化コンテンツを大容量記憶装置54にダウンロードする作業771を行うときに、大容量記憶装置54の暗号化オフライン記憶デバイス543の各々の記憶ユニット73に放送コンテンツ及び支援プログラムを仮想化コンテンツとして格納する前に、加入者回線作業センター51は所定の暗号化鍵を選択してコンテンツを暗号化し、暗号化されたコンテンツをセットトップボックス53に伝送すると共に、選択した暗号化鍵に対応する復号化鍵を加入者回線作業センター51に保存する。
【0041】
また、加入者回線作業センター51は、各セットトップボックス53に格納されている仮想化コンテンツのインデックスを作成して各セットトップボックス53に保存すると共に、作成されたインデックスを各仮想化コンテンツに対応している復号化鍵67に合わせて仮想化コンテンツのインデックス56をセットトップボックス53ごとに構築する。
【0042】
仮想化コンテンツの管理作業76は加入者回線作業センター51により行われている。加入者回線作業センター51は、各々のセットトップボックス53に格納されているコンテンツに対して、インデックス記録の完備性チェック、及びインデックスと格納されているコンテンツとの整合性のチェックを行う。前記チェック作業により検出された整合しないコンテンツに対してコンテンツの整合性管理を行う。該整合性管理は、追跡と、コンテンツ履歴チェックと、異なるセットトップボックスの間の不整合状況の比較並びに分析とを含んでいる。
【0043】
従来の放送作業を行わないとき、及び双方向テレビジョン59がオフになっているときに、加入者回線作業センター51は、セットトップボックス53に格納されているコンテンツに対して整理作業を行う。整理作業は、インデックスの完備性のチェックと、インデックスと格納されているコンテンツとの整合性のチェックと、一部分のコンテンツを削除して空きスペースを作るスペースクリア作業と、新しいコンテンツの追加とを含んでいる。
【0044】
また、図8に示すように、支援プログラム及び視聴者が視聴しきれない放送コンテンツを新しい暗号化鍵で再暗号化して格納する作業761を行う。
【0045】
視聴者の潜在的な需要情報を収集するために、双方向用アンケートツールを設けている。双方向用アンケートツールの1つとして双方向用画面が挙げられる。加入者回線作業センター51は、双方向用アンケートツールを作成し、各セットトップボックス53に提供する。該双方向用アンケートツールは、リモコン57の操作によって、新しい放送コンテンツの割り込み、放送コンテンツの選択、所望のサービスに関する情報の提出等の機能を実現できる。加入者回線作業センター51は、視聴者が提出した所望のサービスに関する情報に基づいて、予め格納されているコンテンツを編集する。該アンケートツールはアンケート、プロダクト・プレイスメント広告等を含む。
【0046】
また、上述した実施形態では、セットトップボックス53は、双方向テレビジョン59の外部に置かれているが、双方向テレビジョン59に内蔵されることも可能である。
【0047】
また、コンピュータネットワークの場合には、上記した作業をコンピュータネットワークのデジタル加入者線通信設備に適用し、デジタル加入者線のコントロールボックスに、予めプログラム等のコンテンツを記憶する設備を設け、コンピュータネットワークの仮想化コンテンツ提供サービス提供することができる。
【符号の説明】
【0048】
11 ホストコンピュータ
13、15、17 ユーザ
14、16、18 仮想化コンピュータ
21 ハードウェア
22 記憶装置
23 有料コンテンツ
24 コンテンツ
312、313、314、315、316 自動車組立工場の作業部門
321、331、341、351、361 部品サプライヤーの倉庫
322、332、342、352、362 物流手段
41 自動車組立工場の在庫
42 部品サプライヤーの在庫
43 物流効率
44 コンテンツサプライヤー
45 デジタル加入者線の記憶装置
46 コンテンツの伝送効率
51 加入者回線作業センター
52 デジタル加入者線
53 セットトップボックス
54 大容量記憶装置
541 オンラインバッファ記憶デバイス
542 非暗号化オフライン記憶デバイス
543 暗号化オフライン記憶デバイス
554 仮想化支援プログラム
555 仮想化放送コンテンツ
56 インデックス
57 リモコン(操作入力手段の一形態)
58 ケーブル
59 双方向テレビジョン
67 復号化鍵
71、72、73 記憶ユニット
74 暗号化
75 専用記憶ユニット
752 非暗号化専用記憶ユニット
753 暗号化専用記憶ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信装置が信号変換装置を介してデジタル加入者線ネットワークに接続され、加入者回線作業センターのサーバ(以下、「サーバ」という。)が前記デジタル加入者線を介して複数の前記信号変換装置と接続されているコンテンツ受信システムにおいて、
前記信号変換装置に記憶装置を設け、前記受信装置から入力された需要情報又は過去のコンテンツ利用履歴から抽出した需要予測情報に基づいて、予め所望のコンテンツを前記記憶装置に仮想在庫として格納し、前記サーバの制御により、前記予め格納されている前記コンテンツを前記受信装置に提供することを特徴とする仮想化コンテンツの提供方法。
【請求項2】
前記受信装置が双方向テレビジョン又はネットワークコンピュータであり、前記信号変換装置が前記双方向テレビジョン用のセットトップボックス又は前記ネットワークコンピュータ用の通信コントロールボックスであり、前記コンテンツ受信システムが双方向テレビジョンシステム又はコンピュータネットワーク通信システムである、請求項1に記載の仮想化コンテンツの提供方法。
【請求項3】
前記予め格納されているコンテンツに対してインデックスを作成して前記信号変換装置に保存すると共に、各前記信号変換装置のインデックスを基にして、前記サーバにて中央信号変換装置仮想化コンテンツ管理システムを構成する請求項1又は2に記載の仮想化コンテンツの提供方法。
【請求項4】
前記サーバが前記仮想化コンテンツの暗号化鍵及び復号化鍵の管理を行う請求項1又は2に記載の仮想化コンテンツの提供方法。
【請求項5】
前記サーバが、前記信号変換装置ごとに、前記信号変換装置に格納されているコンテンツに対して、レギュラーなチェック作業及び異常状況検出作業を行う請求項1又は2に記載の仮想化コンテンツの提供方法。
【請求項6】
前記セットトップボックスに格納されている前記仮想化コンテンツを前記双方向テレビジョンに出力するときに、前記サーバが、放送の進行に応じて逐次に復号化鍵を送出し、前記セットトップボックスで復号化を行わせ、前記双方向テレビジョンに出力する請求項2に記載の仮想化コンテンツの提供方法。
【請求項7】
前記サーバが、復号化された前記コンテンツが前記記憶装置に格納され続けるべきと判定したとき、再暗号化鍵を選択して前記信号変換装置に送信し、前記信号変換装置が前記復号化されたコンテンツの再暗号化を行って記憶する請求項1又は2に記載の仮想化コンテンツの提供方法。
【請求項8】
前記デジタル加入者線が混雑していないときに、前記サーバがコンテンツの整理作業を行い、前記インデックス記録の完備性のチェックと、該インデックスと格納されている前記コンテンツとの整合性のチェックと、予め格納されているコンテンツの一部分を削除して空きスペースを作るスペースクリア作業と、新規なコンテンツの格納とを行うことを特徴とする請求項3に記載の仮想化コンテンツの提供方法。
【請求項9】
前記受信装置が、前記サーバにより提供された双方向用アンケートツールを備え、前記双方向用アンケートツールが利用者から所望のサービスに関する情報を収集することができ、収集された情報に基づいて前記サーバが前記予め格納されているコンテンツの編集を行う請求項1又は2に記載の仮想化コンテンツの提供方法。
【請求項10】
前記双方向用アンケートツールが、アンケート式コンテンツと、プロダクト・プレイスメント広告とを含む請求項9に記載の仮想化コンテンツの提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−283825(P2010−283825A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128568(P2010−128568)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(504367911)ダイナラブ(シンガポール)リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】DynaLab(Singapore)Ltd.
【住所又は居所原語表記】10 Anson Road #35−08, International Plaza, Singapore 079903
【Fターム(参考)】