説明

コンテンツ流通方法提供システム、コンテンツ流通方法、サーバ装置及びプログラム

【課題】一定の通信範囲内に位置する携帯端末装置間で行う近距離通信におけるコンテンツの流通方法を提供する。
【解決手段】一定の通信範囲内に位置する携帯端末装置間で行う近距離通信において、コンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素の一部が不可視化された不可視化コンテンツをやりとりし、コンテンツを受け取った側に、不可視化されていない要素をもとにそのコンテンツが自らに必要かどうかを判断させる。コンテンツの全部を閲覧したいという要求を受け付けてはじめて、コンテンツの全部を表示させ、そのコンテンツを利用することに対する代価を徴収するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置間でのコンテンツ流通方法を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、モバイル通信端末や携帯ゲーム端末の分野において、ユーザが所有する端末同士が所定の範囲内に進入したときに、一方から他方に(あるいは相互に)データを自動的に受け渡すようにした携帯端末装置間通信の手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような通信の手法によれば、同じ場所にいる者同士でのみ情報のやりとりが成立するので、現実世界でのユーザの行動に密着したコミュニケーションツールを提供することができる。
【0003】
このような端末間通信の手法を実現する技術の1つとして、基地局や通信網といった通信インフラストラクチャを利用することなく、端末機器同士が直接行う通信手法、いわゆるアドホック通信に関する技術が知られている。例えば、赤外線通信やIEEE802.11方式等による無線通信、ETC(Electronic Toll Collection system:自動料金収受システム)で利用されているDSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−142613号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような通信手法では、携帯端末装置同士が所定の範囲内に進入したことを条件に自動的かつ直ちに通信が発生し、データのやりとりが行われることになるため、データを受信する側からすれば、受け取る前に中身を確認することができず、自分にとって不要なデータであったとしても半ば強制的に受け取ることになってしまう。また、このような通信手法によるデータのやりとりにおいて、データを受け取った際に相手方への代価を発生させるデータ売買の仕組みを取り入れようとした場合、不要なデータを受け取ったことに対しても代価を支払わなければならないことになり、健全な取引を実現することが難しいという課題がある。
【0006】
そこで、上記の課題に対して、本発明の目的とするところは、一定の通信範囲内に位置する携帯端末装置間で行う近距離通信においてコンテンツを流通させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的をふまえ、本発明の一態様(1)は、複数の携帯端末装置とサーバ装置とが通信ネットワークを介して接続され、携帯端末装置間でのコンテンツ流通方法を提供するシステムであって、前記携帯端末装置は、コンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素の一部が不可視化された不可視化コンテンツを、コンテンツIDに紐づけて記憶する手段と、所定の通信範囲内に位置する他の携帯端末装置との間で前記不可視化コンテンツを送信または受信する手段と、他の携帯端末装置から受信した前記不可視化コンテンツを表示する手段と、ユーザによりコンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素の全部の閲覧を要求する入力を受け付ける手段と、前記入力に応じて、前記不可視化コンテンツに紐づけられたコンテンツIDを含むコンテンツ閲覧要求をサーバ装置に対して送信する手段と、を備え、前記サーバ装置は、不可視化されていない前記コンテンツと代価ポイントとを、前記コンテンツIDに紐づけて記憶するコンテンツデータベースと、ユーザが所有する所有ポイントを、ユーザを識別するユーザIDに紐づけて記憶するポイント管理データベースと、を有し、前記コンテンツ閲覧要求を受信すると、前記コンテンツデータベースから前記コンテンツ閲覧要求に含まれるコンテンツIDに紐づけられた代価ポイントを取得し、前記ポイント管理データベースを参照して、前記コンテンツ閲覧要求を送信した携帯端末装置のユーザのユーザIDに紐づけられた所有ポイントと、前記不可視化コンテンツを送信した前記他の携帯端末装置のユーザのユーザIDに紐づけられた所有ポイントとの間で決済処理を行う手段と、前記コンテンツデータベースから前記コンテンツ閲覧要求に含まれるコンテンツIDに紐づけられたコンテンツを取得し、前記コンテンツ閲覧要求を送信した携帯端末装置に対して送信する手段と、を備え、前記携帯端末装置は、前記サーバ装置から送信された前記コンテンツを受信する手段と、受信した前記コンテンツを表示する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様(4)は、上記態様を方法のカテゴリで捉えたもので、前記携帯端末装置が、コンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素の一部が不可視化された不可視化コンテンツを、コンテンツIDに紐づけて記憶するステップと、所定の通信範囲内に位置する他の携帯端末装置との間で前記不可視化コンテンツを送信または受信するステップと、他の携帯端末装置から受信した前記不可視化コンテンツを表示するステップと、ユーザによりコンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素の全部の閲覧を要求する入力を受け付けるステップと、前記入力を検出すると、前記不可視化コンテンツに紐づけられたコンテンツIDを含むコンテンツ閲覧要求をサーバ装置に対して送信するステップと、実行し、前記サーバ装置が、前記コンテンツ閲覧要求を受信すると、不可視化されていない前記コンテンツと代価ポイントとを前記コンテンツIDに紐づけて記憶するコンテンツデータベースから、前記コンテンツ閲覧要求に含まれるコンテンツIDに紐づけられた代価ポイントを取得し、ユーザが所有する所有ポイントをユーザを識別するユーザIDに紐づけて記憶するポイント管理データベースを参照して、前記コンテンツ閲覧要求を送信した携帯端末装置のユーザのユーザIDに紐づけられた所有ポイントと、前記不可視化コンテンツを送信した前記他の携帯端末装置のユーザのユーザIDに紐づけられた所有ポイントとの間で決済処理を行うステップと、前記コンテンツデータベースから前記コンテンツ閲覧要求に含まれるコンテンツIDに紐づけられたコンテンツを取得し、前記コンテンツ閲覧要求を送信した携帯端末装置に対して送信するステップと、を実行し、前記携帯端末装置が、前記サーバ装置から送信されたコンテンツを受信するステップと、受信した前記コンテンツを表示するステップと、を実行することを特徴とする。
【0009】
(1)および(4)の態様によれば、一定の通信範囲内に位置する携帯端末装置間で行う近距離通信において、各携帯端末装置のユーザは、コンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素の一部が不可視化された不可視化コンテンツをやりとりする。そして、コンテンツを受け取った側に、不可視化されていない要素をもとにそのコンテンツが自らに必要かどうかを判断させ、コンテンツの全部を閲覧したいという意思があってはじめて、そのコンテンツを利用することに対する代価が支払われるようにした。これにより、一定の通信範囲内に位置する携帯端末装置間で行う近距離通信の手法において、コンテンツ売買の仕組みを取り入れようとした場合に、健全性や信頼性を高めた取引を実現することができるようになる。
【0010】
本発明の他の態様(2)は、上記何れかの態様において、前記携帯端末装置は、ユーザによりコンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素、当該コンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素のうち不可視化対象とする要素の指定及び代価ポイントの入力を受け付ける手段と、前記入力に応じて、前記コンテンツ及び前記代価ポイントをサーバ装置に対して送信する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
(2)の態様によれば、ユーザに対して、他のユーザに発信したい情報とその情報に対して得たい代価を任意に作成させることができるとともに、他のユーザに隠しつつ購買を誘引する見せ方といった工夫を凝らす余地を与えることができ、コンテンツ売買の活性化を図るのに好適である。
【0012】
本発明の他の態様(3)は、上記何れかの態様において、前記携帯端末装置は、前記入力に応じて、前記不可視化対象とする要素の指定をサーバ装置に対して送信し、前記サーバ装置は、前記携帯端末装置から送信された前記コンテンツと前記不可視化対象とする要素の指定とに基づいて前記不可視化コンテンツを作成し、前記携帯端末装置に送信する手段を備えたことを特徴とするコンテンツ流通方法提供システム。
【0013】
(3)の態様によれば、コンテンツの不可視化処理をサーバ装置側で行うようにしたので、携帯端末装置側の負荷を軽減することができる。
【0014】
本発明の他の態様(5)は、上記態様をサーバ装置として捉えたもので、複数の携帯端末装置と通信ネットワークを介して接続され、携帯端末装置間でのコンテンツ流通方法を提供するサーバ装置であって、第1の携帯端末装置から送信された、テキスト又は画像を含む要素からなるコンテンツと、当該コンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素のうち不可視化対象とする要素の指定と、代価ポイントと、を受信する手段と、前記不可視化対象とする要素の指定に基づいて不可視化コンテンツを作成し、前記第1の携帯端末装置に送信する手段と、前記コンテンツと前記代価ポイントとを、コンテンツIDに紐づけてコンテンツデータベースに格納する手段と、前記第1の携帯端末装置から前記不可視化コンテンツを受信した第2の携帯端末装置からコンテンツ閲覧要求を受信すると、前記前記コンテンツデータベースから前記コンテンツ閲覧要求に含まれるコンテンツIDに紐づけられた代価ポイントを取得し、ユーザが所有する所有ポイントをユーザIDに紐づけて記憶するポイント管理データベースを参照して、前記第2の携帯端末装置のユーザのユーザIDに紐づけられた所有ポイントと、前記第1の携帯端末装置のユーザのユーザIDに紐づけられた所有ポイントとの間で決済処理を行う手段と、前記コンテンツデータベースから前記コンテンツ閲覧要求に含まれるコンテンツIDに紐づけられたコンテンツを取得し、前記第2の携帯端末装置に対して送信する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の他の態様(6)は、上記態様をプログラムのカテゴリとして捉えたもので、コンピュータを、上記態様に記載のコンテンツ流通方法提供システムにおける前記携帯端末装置が備える各手段として機能させるプログラムであることを特徴する。
【0016】
本発明の他の態様(7)は、上記態様をプログラムのカテゴリとして捉えたもので、コンピュータを、上記態様に記載のコンテンツ流通方法提供システムにおける前記サーバ装置が備える各手段として機能させるプログラムであることを特徴とする。
【0017】
なお、上記の各態様とは異なるカテゴリ(装置に対し方法、方法に対しプログラムなど)や、以下に説明するさらに具体的な態様も本発明に含まれる。異なるカテゴリについては、「手段」を「処理」又は「ステップ」のように適宜読み替えるものとする。また、処理やステップの実行順序は上記のものに限定されず、適宜変更可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、一定の通信範囲内に位置する携帯端末装置間で行う近距離通信におけるコンテンツの流通方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態のシステム1の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態で用いる情報(データ)を示す図。
【図3】本発明の実施形態で用いる情報(データ)を示す図。
【図4】本発明の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施形態の作用を表す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図に沿って説明する。なお、背景技術や課題などで述べた内容と共通の前提事項については適宜省略する。
【0021】
[システムの構成]
本実施形態は、図1に示すように、コンテンツ流通方法提供システム1(以下、システム1)に関するものである。システム1は、携帯端末装置2(以下、携帯端末2)と、サーバ装置3(以下、サーバ3)と、を通信ネットワークN(インターネット、携帯電話網、LANなど)で接続することにより構成する。
【0022】
携帯端末2とサーバ3は、一般的なコンピュータの構成として少なくとも、CPU等の演算制御部21,31、メモリやHDD等の記憶部22,32、通信I/F等の通信部23,33といったハードウェア資源を有する。
【0023】
携帯端末2は、ユーザが使用する携帯可能なPC(Personal Computer)や携帯通信端末装置(スマートフォン、タブレットPC、携帯電話端末装置)や携帯ゲーム装置等であり、上記ハードウェア資源に加えて、タッチパネル機能やキースイッチなどの入力部24と、液晶表示パネルや有機EL(エレクトロ・ルミネセンス)表示パネルなどの表示部25、一般的なブラウザやビューアを備える。
【0024】
携帯端末2は、記憶部22に予め記憶(インストール)した所定のコンピュータプログラムを演算制御部21が実行し、記憶部22、通信部23、入力部24及び表示部25等のハードウェアと協働して動作する(後述の図4を参照)ことで、携帯端末2が備える各手段を実現する。
【0025】
また、携帯端末2の通信部23は、無線LAN(Local Area Network)通信機能を有する。そして、無線LAN通信機能の1つとして、一定の通信範囲内に位置する近隣の携帯端末2間で直接通信(いわゆるアドホック通信)を行う機能を有する。つまり、携帯端末2は、自機と無線通信が可能な範囲内に他の携帯端末2が存在するか否かの判断を行い、存在すると判断した場合に他の携帯端末2との間で通信を行う。また、無線LAN通信機能は、アドホック通信に限らず、アクセスポイントとの無線通信を行う機能をも有する。なお、本実施形態では、アドホック通信として、無線LANを利用する通信方式を適用するが、例えばBluetooth(商標)方式による無線通信等、他の方式を適用することもできる。
【0026】
サーバ3は、CPU等の制御部31、メモリやHDD等の記憶部32、通信I/F等の通信部33を有するコンピュータ(単数あるいは複数)により構成され、とくに本実施形態では、マスク処理部34及びポイント処理部35を有する。
【0027】
サーバ3は、記憶部32に予め記憶(インストール)した所定のコンピュータプログラムを演算制御部31が実行し、記憶部32、通信部33及び不可視化処理部34及びポイント処理部35等のハードウェアと協働して動作する(後述の図4を参照)ことで、サーバ3が備える各手段を実現する。
【0028】
不可視化処理部34は、テキストや画像等の要素を含んで構成されるコンテンツの一部をユーザに視認不可能とする不可視化処理を行う機能を有する。ポイント処理部35は、携帯端末2の間でコンテンツの送受信が行われ、かつ売買が成立したときに、携帯端末2のユーザが所有する所有ポイントを用いてユーザ間でポイント決済処理を行う機能を有する。
【0029】
[データ構成]
図2及び図3に示すように、システム1は、コンテンツデータベース4(以下、コンテンツDB4)及びポイント管理データベース5(以下、ポイント管理DB5)を備える。
【0030】
コンテンツDB4は、携帯端末2を用いて本システム1を利用するユーザを識別するユーザIDごとに、ユーザにより作成されたコンテンツと代価ポイントと不可視化コンテンツとをコンテンツIDに紐づけて記憶している。
【0031】
コンテンツは、携帯端末2においてユーザによりテキストや画像等の各種要素が入力され、作成される。コンテンツとしては、ユーザが他のユーザに対して発信したい情報であればよく、任意のものを適用することができる。例えば、近距離通信を行う周辺地域の店舗等に関する評価情報や特典情報、ユーザにより作成された写真や動画、ゲーム上のアイテムやキャラクタ画像、特定のウェブサイトにアクセスするためのURLやシリアルナンバー等を採用することができる。
【0032】
また、コンテンツには、代価ポイントが設定されている。ユーザによりテキストや画像等の各種要素が入力されて作成されたコンテンツはサーバ3に送信され、サーバ3の不可視化処理部34において、コンテンツの内容の一部がユーザにより視認できないように不可視化処理が施される。不可視化コンテンツは、不可視化処理が施されたコンテンツである。
【0033】
ポイント管理DB5は、ユーザIDごとに、ユーザが所有する所有ポイントを記憶している。ポイントは、ユーザ間で流通するコンテンツを利用する際の決済に用いられる。前述したように、コンテンツには、代価ポイントが設定されており、代価ポイントに相当する値が、コンテンツを利用するユーザからコンテンツを作成したユーザに移行する。
【0034】
なお、ポイントは、例えば、企業等の特定の組織により発行され、地理的に実在する施設(イベント会場、アミューズメント施設、ショッピングモール等の店舗)やインターネット上の仮想的な施設で利用可能(商品やサービスとの交換等が可能)な性質のものであってもよいし、金銭との引き換えや金銭の代わりに商取引に用いることが可能な、金銭と等価値の性質のものであってもよい。いずれにしても、ユーザに対してはコンテンツの作成と流通を促進させるインセンティブとしての役割を果たし、システム提供側にとっては例えば後者の場合、コンテンツの流通を介したポイントの普及により施設利用の活性化を図ることができる。
【0035】
[作用]
上記のように構成したシステム1において携帯端末2間でコンテンツが流通する処理手順を図4のフローチャートに示す。また、この処理手順に対応する具体的な表示等の例を図5の概念図に示す。
【0036】
<携帯端末2aの処理手順>
携帯端末2aの処理手順を説明する。なお、以下で説明する携帯端末2a,2bの処理手順は、携帯端末2a,2bの演算制御部21が記憶部22に記憶されているアプリケーションやスクリプトといったプログラムを実行することにより行われる。このプログラムは、システム1の提供者がサーバ3からネットワークを介して送信することなどにより携帯端末2に提供するものである。
【0037】
まず、携帯端末2aは、コンテンツ作成処理を行う(ステップS11)。コンテンツ作成処理において、携帯端末2aは、表示部25に作成フォーム(図示略)を表示し、ユーザによりコンテンツを構成するテキストや画像等の各種要素の入力を受け付ける。そして、入力部24を介してユーザにより入力が行われると、入力が行われた各種要素からなるコンテンツデータを作成する。
【0038】
また、コンテンツ作成処理において、携帯端末2aは、ユーザにより不可視化対象とするコンテンツ内の要素の指定入力を受け付ける。例えば、表示部25にポインタ等を表示し、入力部24を介してユーザにその範囲や領域を指定させることで指定入力を受け付けるようにしてもよい。つまり、不可視化対象は、テキスト領域や画像といった1つの要素ごと、テキストの一部や画像の一部といった要素の部分ごと、複数の要素の組み合わせ、あるいは、例えば矩形や楕円で指定される任意の範囲に含まれる要素あるいは要素の一部といった具合に、任意に指定が可能である。また、表示部25の作成フォームとして不可視化対象としない入力欄(例えばタイトル欄等)と不可視化対象とする入力欄(例えば本文入力欄)を表示し、不可視化対象とする入力欄に対する各種要素の入力をもって指定入力を受け付けるようにしてもよい。携帯端末2aは、入力部24を介したユーザによる指定入力に基づいて不可視化対象とする要素を指定する不可視化対象データを作成する。
【0039】
また、コンテンツ作成処理において、携帯端末2aは、入力部24を介してユーザにより代価ポイントの入力を受け付ける。
【0040】
次に、携帯端末2aは、コンテンツ作成処理において作成したコンテンツデータ、不可視化対象データ及び代価ポイントをサーバ3に対して送信する(ステップS12)。なお、本処理手順では、既に携帯端末2aのユーザが入力部24を介してユーザIDや専用に取得した認証ID等の認証キーを入力してサーバ3に送信することにより、サーバ側でログイン認証が行われたものとする。
【0041】
<サーバ3の処理手順>
続いて、サーバ3の処理手順を説明する。なお、以下で説明するサーバ3の処理手順は、サーバ3の演算制御部31が記憶部32に記憶されているプログラムを実行することにより行われる。
【0042】
まず、サーバ3は、携帯端末2aから送信されたコンテンツデータ、不可視化対象データ及び代価ポイントを受信する(ステップS21)。
【0043】
次に、サーバ3は、不可視化処理を行い、コンテンツデータを加工して、不可視化コンテンツデータを作成する(ステップS22)。不可視化処理は、不可視化対象データにより指定されたコンテンツデータのテキストや画像等の要素について、異なる他のテキストや画像等の置換要素への書き換えやマスキング、コンテンツデータからの削除、暗号化等を行うことで、他の情報に加工して不可視にする処理である。例えば、置換要素は、不可視化処理部34が不可視化対象の要素に対してモザイク処理や黒塗り処理などの画像処理を行うことで動的に生成してもよいし、記憶部32に予め記憶されていてもよい。不可視化処理を行うことにより、コンテンツを、その内容の一部がユーザにより視認できない状態にしたまま流通させることができる。
【0044】
サーバ3は、不可視化処理が終了すると、コンテンツDB4(図2)において携帯端末2aのユーザのユーザIDに割り当てられたデータ領域に、コンテンツデータ、不可視化コンテンツデータ及び代価ポイントを、発行したコンテンツIDに紐づけて格納する。
【0045】
次に、サーバ3は、不可視化コンテンツデータを携帯端末2aに対して送信する(ステップS23)。不可視化コンテンツデータには、コンテンツIDが紐づけられている。
【0046】
<携帯端末2aの処理手順>
続いて、携帯端末2aの処理手順を説明する。携帯端末2aは、サーバ3から不可視化コンテンツデータを受信し、記憶部22に格納する(ステップS13)。次に、携帯端末2aは、アドホック通信を行う相手となる他の携帯端末を探索し、相手となる他の携帯端末2bが特定できると、その携帯端末2bに対して不可視化コンテンツデータを送信する(ステップS14)。送信対象とする不可視化コンテンツデータは、記憶部22に記憶されている不可視化コンテンツデータの中から、入力部24を介してユーザによる入力を受け付けることで予め決定しておくことができる。
【0047】
<携帯端末2bの処理手順>
続いて、携帯端末2bの処理手順を説明する。携帯端末2bは、アドホック通信を行う相手として特定した携帯端末2aから不可視化コンテンツデータを受信し、記憶部22に格納する(ステップS31)。
【0048】
次に、携帯端末2bは、不可視化コンテンツ表示処理を行う(ステップS32)。携帯端末2bは、不可視化コンテンツデータに基づいて表示部25に不可視化コンテンツを表示する。表示部25には、不可視化対象であるテキストや画像等の要素が一部開示されないコンテンツが表示されることになる。携帯端末2bのユーザに対して、不可視化対象となっていないテキストや画像等の要素や代価ポイントを確認させることで、コンテンツの全部を閲覧するかどうかを判断させる。
【0049】
また、不可視化コンテンツ表示処理において、携帯端末2bは、ユーザによりコンテンツの全部の閲覧を要求する入力を受け付ける。例えば、表示部25に閲覧要求ボタン等を表示し、入力部24を介してユーザに指定させることで入力を受け付けることができる。
【0050】
携帯端末2bは、ユーザによりコンテンツの全部の閲覧を要求する入力を検出すると、コンテンツ閲覧要求をサーバ3に対して送信する(ステップS33)。コンテンツ閲覧要求には、不可視化コンテンツデータのコンテンツIDが含まれている。なお、本処理手順では、既に携帯端末2bのユーザが入力部24を介してユーザIDや専用に取得した認証ID等の認証キーを入力してサーバ3に送信することにより、サーバ側でログイン認証が行われたものとする。
【0051】
<サーバ3の処理手順>
続いて、サーバ3の処理手順を説明する。まず、サーバ3は、携帯端末2bから送信されたコンテンツ閲覧要求を受信する(ステップS24)と、ポイント決済処理を行う(ステップS25)。
【0052】
ポイント決済処理において、サーバ3は、コンテンツ閲覧要求を送信してきた携帯端末2bのユーザのユーザIDと、コンテンツDB4においてコンテンツIDに紐づけられたコンテンツデータの作成ユーザのユーザIDを取得する。そして、サーバ3は、ポイント管理DB5に対して、携帯端末2bのユーザのユーザIDに紐づけられている所有ポイントからコンテンツIDに紐づけられた代価ポイントを減算し、その一方で、作成ユーザのユーザIDに紐づけられている所有ポイントにコンテンツIDに紐づけられた代価ポイントを加算する。なお、決済が完了したコンテンツIDは、記憶部32に閲覧許可履歴として記憶しておき、以後の閲覧要求があったときに参照するようにしても良い。
【0053】
次に、サーバ3は、携帯端末2bから送信されたコンテンツIDに紐づけられたコンテンツデータをコンテンツDB4から取得し(つまり、コンテンツIDをキーにDB照合を行い)、閲覧要求のあった対象のコンテンツデータを携帯端末2bに対して送信する(ステップS26)。
【0054】
<携帯端末2bの処理手順>
続いて、携帯端末2bの処理手順を説明する。携帯端末2bは、サーバ3からコンテンツデータを受信し、記憶部22に格納する(ステップS34)。なお、このとき、携帯端末2bは、記憶部22に記憶されている不可視化コンテンツデータを削除してもよいが、第3の端末装置(端末装置2c)に対して不可視化コンテンツデータを送信し、さらに流通させる構成とすることもでき、この場合は削除しないことが好ましい。
【0055】
次に、携帯端末2bは、コンテンツ表示処理を行う(ステップS35)。携帯端末2bは、不可視化コンテンツに代えて、コンテンツデータに基づいて表示部25にコンテンツの全部を表示する。表示部25には、不可視化対象であったテキストや画像等の要素が開示されたコンテンツが表示されることになる。これにより、携帯端末2bのユーザは、コンテンツの全部を閲覧することができる。
【0056】
なお、携帯端末2aが、ステップS14におけるアドホック通信により、携帯端末2bから不可視化コンテンツデータを受信できた場合(つまり、相互に送信していた場合)、携帯端末2aにおいても前述のステップS31〜S35の処理手順が同様に行われることになる。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、一定の通信範囲内に位置する携帯端末2間で行う近距離通信において、各携帯端末2のユーザは、コンテンツを構成するテキストを含む要素の一部が不可視化された不可視化コンテンツをやりとりする。そして、不可視化コンテンツを受け取った携帯端末2は、表示部10に不可視化コンテンツを表示させ、ユーザに対して、不可視化されていない要素をもとにそのコンテンツが自らに必要かどうかを判断させる。そして、コンテンツの全部を閲覧したいという意思があってはじめて、コンテンツの全部を表示させ、そのコンテンツを利用することに対する代価が支払われるようにした。これにより、一定の通信範囲内に位置する携帯端末2間で行う近距離通信の手法において、コンテンツ売買の仕組みを取り入れる場合に、健全性や信頼性を高めた取引を実現することができるようになる。
【0058】
また、ユーザに対して、他のユーザに発信したい情報とその情報に対して得たい代価を任意に作成させるようにしたので、他のユーザから隠しつつ購買を誘引する見せ方といった工夫を凝らす余地を与えることができ、取引の活性化を図るのに好適である。
【0059】
なお、上記実施形態は例示に過ぎず、本発明は、以下に例示するものやそれ以外の他の実施態様も含むものである。例えば、本実施形態では、不可視化処理をサーバ3側で行うようにしているが、携帯端末2側で行う構成を採用することもできる。この場合は、携帯端末2に提供されるアプリケーション等のプログラムに当該処理を実現するステップを含めることとする。携帯端末2側で行う場合は、サーバ3の負荷が軽減され、サーバ3と携帯端末2との間のトラフィックを低減化も図られる。
【0060】
また、本実施形態では、BluetoothやWIFI等を利用したアドホック通信を行うことにより、所定の通信範囲内に位置する携帯端末間での近距離通信を実現するようにしているが、本発明はこれに限らず、携帯端末2が有するGPS(Global Positioning System)機能により測定した位置情報をサーバ3(異なるサーバであってもよい)で管理し、地理的に所定の範囲内に位置する携帯端末を特定し、その範囲内にある携帯端末間でのコンテンツのやりとりを仲介することにより、近距離通信を疑似的に実現する手法を採用することもできる。
【0061】
また、本発明に関する手段などの各要素は、コンピュータの演算制御部に限らず、ワイヤードロジック等に基づく電子回路など他の情報処理機構で実現してもよい。また、各構成図、データの図、フローチャートの図などは例示に過ぎず、各要素の有無、その配置順序や各処理の実行順序、具体的内容などは適宜変更可能である。例えば、本発明のサーバ装置は、構成要素となるサーバなどの装置を複数用いて実現してもよく、個々の手段を別個独立のサーバ装置で実現する構成も一般的である。また、機能によっては、外部のプラットフォーム等をAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)やネットワークコンピューティング(いわゆるクラウドなど)で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【符号の説明】
【0062】
1 コンテンツ流通方法提供システム
2 携帯端末
3 サーバ
4 コンテンツデータベース
5 ポイント管理データベース
21、31 演算制御部
22、32 記憶部
23、33 通信部
24 入力部
25 表示部
34 不可視化処理部
35 ポイント処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の携帯端末装置とサーバ装置とが通信ネットワークを介して接続され、携帯端末装置間でのコンテンツ流通方法を提供するシステムであって、
前記携帯端末装置は、
コンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素の一部が不可視化された不可視化コンテンツを、コンテンツIDに紐づけて記憶する手段と、
所定の通信範囲内に位置する他の携帯端末装置との間で前記不可視化コンテンツを送信または受信する手段と、
他の携帯端末装置から受信した前記不可視化コンテンツを表示する手段と、
ユーザによりコンテンツを構成するテキストを含む要素の全部の閲覧を要求する入力を受け付ける手段と、
前記入力に応じて、前記不可視化コンテンツに紐づけられたコンテンツIDを含むコンテンツ閲覧要求をサーバ装置に対して送信する手段と、を備え、
前記サーバ装置は、
不可視化されていない前記コンテンツと代価ポイントとを、前記コンテンツIDに紐づけて記憶するコンテンツデータベースと、ユーザが所有する所有ポイントを、ユーザを識別するユーザIDに紐づけて記憶するポイント管理データベースと、を有し、
前記コンテンツ閲覧要求を受信すると、前記コンテンツデータベースから前記コンテンツ閲覧要求に含まれるコンテンツIDに紐づけられた代価ポイントを取得し、前記ポイント管理データベースを参照して、前記コンテンツ閲覧要求を送信した携帯端末装置のユーザのユーザIDに紐づけられた所有ポイントと、前記不可視化コンテンツを送信した前記他の携帯端末装置のユーザのユーザIDに紐づけられた所有ポイントとの間で決済処理を行う手段と、
前記コンテンツデータベースから前記コンテンツ閲覧要求に含まれるコンテンツIDに紐づけられたコンテンツを取得し、前記コンテンツ閲覧要求を送信した携帯端末装置に対して送信する手段と、を備え、
前記携帯端末装置は、
前記サーバ装置から送信された前記コンテンツを受信する手段と、
受信した前記コンテンツを表示する手段と、を備えた
ことを特徴とするコンテンツ流通方法提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ流通方法提供システムにおいて、
前記携帯端末装置は、
ユーザによりコンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素、当該コンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素のうち不可視化対象とする要素の指定及び代価ポイントの入力を受け付ける手段と、
前記入力に応じて、前記コンテンツ及び前記代価ポイントをサーバ装置に対して送信する手段と、を備えたことを特徴とするコンテンツ流通方法提供システム。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテンツ流通方法提供システムにおいて、
前記携帯端末装置は、
前記入力に応じて、前記不可視化対象とする要素の指定をサーバ装置に対して送信し、
前記サーバ装置は、
前記携帯端末装置から送信された前記コンテンツと前記不可視化対象とする要素の指定とに基づいて前記不可視化コンテンツを作成し、前記携帯端末装置に送信する手段を備えたことを特徴とするコンテンツ流通方法提供システム。
【請求項4】
通信ネットワークを介して接続された複数の携帯端末装置とサーバ装置とにより行う携帯端末装置間でのコンテンツ流通方法であって、
前記携帯端末装置が、
コンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素の一部が不可視化された不可視化コンテンツを、コンテンツIDに紐づけて記憶するステップと、
所定の通信範囲内に位置する他の携帯端末装置との間で前記不可視化コンテンツを送信または受信するステップと、
他の携帯端末装置から受信した前記不可視化コンテンツを表示するステップと、
ユーザによりコンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素の全部の閲覧を要求する入力を受け付けるステップと、
前記入力を検出すると、前記不可視化コンテンツに紐づけられたコンテンツIDを含むコンテンツ閲覧要求をサーバ装置に対して送信するステップと、実行し、
前記サーバ装置が、
前記コンテンツ閲覧要求を受信すると、
不可視化されていない前記コンテンツと代価ポイントとを前記コンテンツIDに紐づけて記憶するコンテンツデータベースから、前記コンテンツ閲覧要求に含まれるコンテンツIDに紐づけられた代価ポイントを取得し、ユーザが所有する所有ポイントをユーザを識別するユーザIDに紐づけて記憶するポイント管理データベースを参照して、前記コンテンツ閲覧要求を送信した携帯端末装置のユーザのユーザIDに紐づけられた所有ポイントと、前記不可視化コンテンツを送信した前記他の携帯端末装置のユーザのユーザIDに紐づけられた所有ポイントとの間で決済処理を行うステップと、
前記コンテンツデータベースから前記コンテンツ閲覧要求に含まれるコンテンツIDに紐づけられたコンテンツを取得し、前記コンテンツ閲覧要求を送信した携帯端末装置に対して送信するステップと、を実行し、
前記携帯端末装置が、
前記サーバ装置から送信されたコンテンツを受信するステップと、
受信した前記コンテンツを表示するステップと、を実行する
ことを特徴とするコンテンツ流通方法。
【請求項5】
複数の携帯端末装置と通信ネットワークを介して接続され、携帯端末装置間でのコンテンツ流通方法を提供するサーバ装置であって、
第1の携帯端末装置から送信された、テキスト又は画像を含む要素からなるコンテンツと、当該コンテンツを構成するテキスト又は画像を含む要素のうち不可視化対象とする要素の指定と、代価ポイントと、を受信する手段と、
前記不可視化対象とする要素の指定に基づいて不可視化コンテンツを作成し、前記第1の携帯端末装置に送信する手段と、
前記コンテンツと前記代価ポイントとを、コンテンツIDに紐づけてコンテンツデータベースに格納する手段と、
前記第1の携帯端末装置から前記不可視化コンテンツを受信した第2の携帯端末装置からコンテンツ閲覧要求を受信すると、前記前記コンテンツデータベースから前記コンテンツ閲覧要求に含まれるコンテンツIDに紐づけられた代価ポイントを取得し、ユーザが所有する所有ポイントをユーザIDに紐づけて記憶するポイント管理データベースを参照して、前記第2の携帯端末装置のユーザのユーザIDに紐づけられた所有ポイントと、前記第1の携帯端末装置のユーザのユーザIDに紐づけられた所有ポイントとの間で決済処理を行う手段と、
前記コンテンツデータベースから前記コンテンツ閲覧要求に含まれるコンテンツIDに紐づけられたコンテンツを取得し、前記第2の携帯端末装置に対して送信する手段と、を備えたことを特徴とするサーバ装置。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1から3の何れかに記載のコンテンツ流通方法提供システムにおける前記携帯端末装置が備える各手段として機能させることを特徴するプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1から3の何れかに記載のコンテンツ流通方法提供システムにおける前記サーバ装置が備える各手段として機能させることを特徴するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−100089(P2012−100089A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246237(P2010−246237)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】