説明

コンテンツ転送システム、コンテンツ蓄積装置及びコンテンツ転送方法

【課題】コンテンツ蓄積装置から再生装置へのコンテンツ転送時間を所望の時間内に設定可能とするとともに、未転送のコンテンツについても後で転送可能にすること。
【解決手段】コンテンツ蓄積装置1は、再生装置3へ予め設定された転送制限時間以内で要求されたコンテンツを転送する。転送後にコンテンツの残部分があれば、コンテンツ蓄積サーバ2へ該残部分を転送する。そのとき、残部分を転送したコンテンツ蓄積サーバ2のURLを再生装置3へ通知する。再生装置3は該URLを用いてコンテンツ蓄積サーバ2からコンテンツの残部分を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツデータが蓄積されているコンテンツ蓄積装置から、コンテンツ再生装置に対してコンテンツデータを転送するコンテンツ転送システム及びコンテンツ転送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、DVDレコーダやBDレコーダ、またはNAS(Network Attached Storage)のようなコンテンツ蓄積装置に蓄積された映像・音声・静止画コンテンツデータを、SDカードやMemory Stickなどのメモリカードに転送し、オーディオプレーヤや携帯電話などのモバイル再生装置で再生することができる。また、無線LANを搭載したモバイル再生装置が数多く市場に登場しており、インターネット経由でコンテンツサーバからコンテンツデータをダウンロードすることが可能である。このようなコンテンツ転送システムの普及により、宅内および宅外でさまざまなコンテンツを再生視聴することができる。
【0003】
コンテンツ転送システムにおいては、コンテンツデータを効率良く転送することが望まれる。例えば特許文献1に開示される技術では、ユーザの使用時間に合わせてより多くのコンテンツをユーザに提供することを目的に、ユーザによる外部機器の使用時間を予め設定しておき、その設定された時間に基づいてコンテンツデータの一部分または全部分を外部機器に転送する。これにより、使用時間を越える無駄な部分を転送することがなく、外部機器に対してより多くのコンテンツデータを転送することができると述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−104577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンテンツ転送システムでは、コンテンツの再生時間が長くなるとコンテンツのファイルサイズが大きくなるため、当然ながら、コンテンツ蓄積装置からコンテンツ再生装置への転送時間も長くなる。例えば、前日にDVDレコーダなどに録画した放送コンテンツを、翌日の朝モバイル再生装置に転送し、出勤時に電車内で視聴しようというユーザにとっては、朝の出勤前の短時間に転送を終了しなければならず、長時間のコンテンツについては転送できた一部のコンテンツしか視聴できないという不便さがある。
【0006】
特許文献1の技術によれば、モバイル再生装置の使用時間に合わせたデータ量のコンテンツを無駄なく転送することはできるが、設定された使用時間が長ければこれに対応する転送時間も長くなり、転送時間そのものを短縮することはできない。さらに、コンテンツ転送時間は再生装置の使用時間から一義的に決まるものではない。フルHD(High Definition)などの高解像度コンテンツや低圧縮の動画コンテンツの場合には、時間当たりのデータ量が増大するので、再生装置の使用時間を短く設定しても転送時間は予想以上に長くなってしまい、ユーザにとって使い勝手が悪い。
【0007】
本発明の目的は、コンテンツ蓄積装置からコンテンツ再生装置へのコンテンツ転送時間を所望の時間内に設定可能とするとともに、未転送のコンテンツについても後で転送可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積装置と、該コンテンツ蓄積装置から転送されたコンテンツを保存するコンテンツ蓄積サーバと、該コンテンツ蓄積装置及び該コンテンツ蓄積サーバからコンテンツを取得し再生する再生装置とをネットワークを介して接続してなるコンテンツ転送システムであって、前記コンテンツ蓄積装置は、コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積部と、前記コンテンツ蓄積サーバ及び前記再生装置と通信するための通信部と、前記コンテンツ蓄積サーバ及び前記再生装置へコンテンツを転送する制御部とを備え、前記コンテンツ蓄積サーバは、前記コンテンツ蓄積装置及び前記再生装置と通信するための通信部と、前記コンテンツ蓄積装置からコンテンツを取得するとともに前記再生装置へコンテンツを転送する制御部と、取得したコンテンツを保存するコンテンツ蓄積部とを備え、前記再生装置は、前記コンテンツ蓄積装置及び前記コンテンツ蓄積サーバと通信するための通信部と、前記コンテンツ蓄積装置及び前記コンテンツ蓄積サーバからコンテンツを取得する制御部と、取得したコンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積部と、蓄積したコンテンツを再生する再生部とを備える。そして、前記コンテンツ蓄積装置は前記再生装置へ予め設定された転送制限時間以内で要求されたコンテンツを転送し、該コンテンツの残部分があれば前記コンテンツ蓄積サーバへ該残部分を転送し、前記再生装置は前記コンテンツ蓄積サーバから前記コンテンツの残部分を取得する。
【0009】
本発明は、コンテンツを蓄積し、ネットワークを介して接続されたコンテンツ蓄積サーバと再生装置へコンテンツを転送するコンテンツ蓄積装置であって、コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積部と、前記コンテンツ蓄積サーバ及び前記再生装置と通信するための通信部と、前記再生装置へコンテンツを転送する際の転送制限時間を記憶する不揮発性メモリと、前記コンテンツ蓄積サーバ及び前記再生装置へ前記コンテンツを転送する制御部とを備え、該制御部は、前記不揮発性メモリに記憶された転送制限時間以内で前記再生装置へコンテンツを転送し、該コンテンツの残部分があれば前記コンテンツ蓄積サーバへ該残部分を転送する。さらに前記制御部は、前記コンテンツの残部分を前記コンテンツ蓄積サーバへ転送した場合、該コンテンツ蓄積サーバのURLを前記再生装置へ通知する。
【0010】
本発明は、コンテンツ蓄積装置に蓄積されているコンテンツを、ネットワークを介してコンテンツ蓄積サーバ及び再生装置へ転送するコンテンツ転送方法であって、前記コンテンツ蓄積装置は前記再生装置へ予め設定された転送制限時間以内で要求されたコンテンツを転送し、要求されたコンテンツが全て転送されたかどうかを判定し、要求されたコンテンツが全て転送されなかった場合、前記コンテンツ蓄積サーバへコンテンツの残部分を転送し、該コンテンツの残部分を転送する前記コンテンツ蓄積サーバのURLを前記再生装置へ通知し、前記再生装置は該URLを用いて前記コンテンツ蓄積サーバから前記コンテンツの残部分を取得する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コンテンツ転送に伴うユーザの待ち時間を最小に抑えることができる。また、長時間のコンテンツであっても、未転送の部分をコンテンツ蓄積サーバからダウンロードして視聴することができ、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るコンテンツ転送システムの一実施例を示すシステム構成図である。
【図2】コンテンツ蓄積装置1の構成図である。
【図3】コンテンツ蓄積サーバ2の構成図である。
【図4】再生装置3の構成図である。
【図5】コンテンツ転送処理の全体のフローチャートを示す図である。
【図6】図5のコンテンツ転送処理(S102)の詳細を示す図である。
【図7】図5のURL通知(S104)とコンテンツ残部分の転送(S105)の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明に係るコンテンツ転送システムの一実施例を示すシステム構成図である。コンテンツ転送システム10は、映像・音声・静止画などのコンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積装置1と、コンテンツ蓄積装置1から転送されたコンテンツを保存するコンテンツ蓄積サーバ2と、コンテンツ蓄積装置1及びコンテンツ蓄積サーバ2からコンテンツを取得して再生する携帯電話や携帯音楽プレーヤーなどのモバイル機器である再生装置3とを、ネットワークを介して接続して構成される。図では、同一の再生装置3が宅内で使用される場合と、宅外で使用される場合とを合わせて示している。
【0014】
コンテンツ蓄積装置1と宅内の再生装置3はLAN環境4で接続可能であり、コンテンツ蓄積装置1から再生装置3へコンテンツが転送される。また、コンテンツ蓄積装置1とコンテンツ蓄積サーバ2はインターネット5を介して接続され、コンテンツ蓄積装置1からコンテンツ蓄積サーバ2へコンテンツが転送される。さらに、コンテンツ蓄積サーバ2と宅外の再生装置3はインターネット5を介して接続可能であり、コンテンツ蓄積サーバ2から再生装置3へコンテンツが転送される。このように再生装置3は、宅内ではコンテンツ蓄積装置1から、宅外ではコンテンツ蓄積サーバ2からコンテンツを取得することが可能である。なお、LAN環境4及びインターネット5の通信方式は、無線LANでも有線LANでもよい。
【0015】
以下、本システムを構成する各装置の内部構成と動作を説明する。
図2は、コンテンツ蓄積装置1の構成図である。コンテンツ蓄積装置1は、コンテンツ蓄積部11、通信部12、制御部13、メモリ(RAM)14、プログラム格納部15、不揮発性メモリ16、ユーザ操作部17、表示部18を含む。
【0016】
コンテンツ蓄積部11には、映像・音声・静止画コンテンツが蓄積される。記録媒体としては、HDD、BD(Blu-ray Disc)やDVDなどの光ディスク、フラッシュメモリ、SDカード、Memory Stickなどの不揮発性フラッシュメモリカード、SSD(Solid State Drive)などが使用可能で、蓄積部11には記録媒体を制御する制御回路を含んでいる。通信部12は、無線LANや有線LANなどのコントローラであり、LAN4やインターネット5を介してコンテンツ蓄積サーバ2や再生装置3と通信可能であり、コンテンツの送受信を行う。
【0017】
制御部13はCPUであり、プログラム格納部15から読み出した制御プログラムを順次実行することによって全体の動作を制御する。メモリ(RAM)14は、制御部13が制御プログラムを実行する際に使用するワークエリアである。プログラム格納部15には、制御部13が実行する後述の制御プログラムP1,P2,P3が格納されている。不揮発性メモリ16は、後述の再生装置3への転送制限時間を記憶しておくメモリであり、フラッシュメモリ等を使用する。
【0018】
ユーザ操作部17は、ユーザがコンテンツ蓄積装置1を操作するための入力部であり、電源釦、情報表示釦、カーソル釦などである。表示部18は、ユーザへコンテンツ蓄積装置1の状態を表示するための表示ディスプレイである。また、本装置の電源部として、図示しないバッテリや交流電源などを有する。
【0019】
コンテンツ蓄積装置1の動作を説明する。コンテンツ蓄積装置1は、再生装置3の要求に応じてコンテンツを再生装置3へ提供する。すなわち制御部13は、通信部12を介してLAN環境4に接続された宅内の再生装置3からコンテンツ転送要求を示すネットワークパケットを受信した場合、コンテンツ蓄積部11から該当するコンテンツを読み出し、通信部12を介して再生装置3へ転送する。
【0020】
またコンテンツ蓄積装置1は、コンテンツ蓄積サーバ2へコンテンツアップロード要求を行い、アップロード可否に応じて、コンテンツをコンテンツ蓄積サーバ2へ転送(アップロード)する。すなわち制御部13は、通信部12を介してインターネット5に接続されたコンテンツ蓄積サーバ2に対して、コンテンツアップロード要求を示すネットワークパケットを送信する。そして、通信部12を介してコンテンツ蓄積サーバ2からアップロード許可を示すネットワークパケットを受信した場合、コンテンツ蓄積部11からコンテンツを読み出し、通信部12を介してコンテンツ蓄積サーバ2へ転送する。
【0021】
プログラム格納部15の格納するプログラムは次の機能を有する。
「転送時間設定」プログラムP1は、コンテンツ蓄積装置1から再生装置3へコンテンツを転送する際の「転送制限時間」を設定するものである。転送制限時間の設定は、例えばWebサーバプログラムで実現される。すなわち、転送制限時間の設定フォームが記載されたWebコンテンツを再生装置3で動作するWebブラウザで表示し、設定フォームから入力された転送制限時間をコンテンツ蓄積装置1の不揮発性メモリ16に記憶する。
【0022】
「転送完了判定」プログラムP2は、コンテンツ蓄積装置1が再生装置3へコンテンツを転送する際に、要求されたコンテンツを全部転送したか否かを判定するものである。判定では、転送済のデータサイズと、転送すべきコンテンツの全体サイズとを比較する。
【0023】
「URL通知」プログラムP3は、上記転送完了判定でコンテンツの未転送部分があり、該コンテンツの残部分をコンテンツ蓄積サーバ2へ転送した場合に、転送先URL(Uniform Resource Locator)を再生装置3へ通知するものである。
【0024】
図3は、コンテンツ蓄積サーバ2の構成図である。コンテンツ蓄積サーバ2は、コンテンツ蓄積部21、通信部22、制御部23、メモリ(RAM)24、プログラム格納部25、表示部26、ユーザ操作部27を含む。
【0025】
コンテンツ蓄積部21には、映像・音声・静止画コンテンツが蓄積(一時保存)されている。記録媒体としては、コンテンツ蓄積装置1のコンテンツ蓄積部11と同様にHDD、BDやDVDなどの光ディスクなどが使用可能であり、記録媒体を制御する制御回路を含んでいる。通信部22は、無線LANや有線LANなどのコントローラであり、インターネット5を介してコンテンツ蓄積装置1や再生装置3と通信可能であり、コンテンツの送受信を行う。
【0026】
制御部23はCPUであり、プログラム格納部25から読み出した制御プログラムを順次実行することによって全体の動作を制御する。メモリ(RAM)24は、制御部23が制御プログラムを実行する際に使用するワークエリアである。プログラム格納部25には、制御部23が実行する制御プログラムが格納されている。
【0027】
表示部26は、ユーザへコンテンツ蓄積サーバ2の状態を表示するための表示ディスプレイである。ユーザ操作部27は、ユーザがコンテンツ蓄積サーバ2を操作するための入力部であり、電源釦、情報表示釦、カーソル釦などである。
【0028】
コンテンツ蓄積サーバ2の動作を説明する。コンテンツ蓄積サーバ2は、コンテンツ蓄積装置1からのコンテンツアップロード要求を受け、コンテンツ蓄積装置1から転送(アップロード)されるコンテンツをコンテンツ蓄積部21に蓄積(一時保存)する。すなわち制御部23は、通信部22を介してインターネット5に接続されたコンテンツ蓄積装置1から、コンテンツアップロード要求を示すネットワークパケットを受信する。すると、通信部22を介してコンテンツ蓄積装置1に対して、アップロード許可を示すネットワークパケットを送信する。その後、通信部22を介してコンテンツ蓄積装置1から転送されるコンテンツを取得し、コンテンツ蓄積部21へ記録する。
【0029】
またコンテンツ蓄積サーバ2は、再生装置3の要求に応じて、一時保存するコンテンツを再生装置3へ提供する。すなわち制御部23は、通信部22を介してインターネット5に接続された再生装置3から、コンテンツ転送要求を示すネットワークパケットを受信すると、コンテンツ蓄積部21から当該コンテンツを読み出し、通信部22を介して再生装置3へ送信(ダウンロード)する。
【0030】
図4は、再生装置3の構成図である。再生装置3は、コンテンツ蓄積部31、通信部32、制御部33、メモリ(RAM)34、プログラム格納部35、再生部36、ユーザ操作部37、表示部38、音声出力部39を含む。
【0031】
コンテンツ蓄積部31には、映像・音声・静止画コンテンツが蓄積される。記録媒体としては、コンテンツ蓄積装置1のコンテンツ蓄積部11やコンテンツ蓄積サーバ2の蓄積部21と同様に、HDD、BDやDVDなどの光ディスクなどが使用可能であり、記録媒体を制御する制御回路を含んでいる。通信部32は、無線LANや有線LANなどのコントローラであり、LAN4やインターネット5を介してコンテンツ蓄積装置1やコンテンツ蓄積サーバ2と通信可能であり、コンテンツの受信を行う。
【0032】
制御部33はCPUであり、プログラム格納部35から読み出した制御プログラムを順次実行することによって全体の動作を制御する。メモリ(RAM)34は、制御部33が制御プログラムを実行する際に使用するワークエリアである。プログラム格納部35には、制御部33が実行する制御プログラムが格納され、これには後述するWebブラウザP4が含まれる。再生部36は、コンテンツ蓄積部31に蓄積されているコンテンツを再生するための回路である。
【0033】
ユーザ操作部37は、ユーザが再生装置3を操作するための入力部であり、電源釦、情報表示釦、カーソル釦などである。表示部38は、ユーザへ再生装置3の状態の表示や、Webブラウザの描画、再生部36で再生された映像・静止画コンテンツを表示するための表示ディスプレイである。音声出力部39は、再生部36で再生された音声コンテンツを出力するためのデバイスである。
【0034】
再生装置3の動作を説明する。再生装置3は、コンテンツ蓄積装置1へコンテンツ転送要求を送信し、コンテンツ蓄積装置1から転送されるコンテンツを受信し、コンテンツ蓄積部31へ蓄積する。すなわち制御部33は、通信部32を介してLAN環境4に接続されたコンテンツ蓄積装置1に対して、コンテンツ転送要求を示すネットワークパケットを送信する。そして、通信部32を介してコンテンツ蓄積装置1から転送されるコンテンツを受信し、受信したコンテンツをコンテンツ蓄積部31へ記録する。なお、コンテンツ蓄積装置1からコンテンツを受信するときの転送制限時間を設定することが可能であり、WebブラウザP4を用いて転送時間設定フォームを表示して設定時間を入力する。
【0035】
また再生装置3は、コンテンツ蓄積サーバ2へコンテンツ転送要求を送信し、コンテンツ蓄積サーバ2から送信されるコンテンツを受信(ダウンロード)し、コンテンツ蓄積部31へ蓄積する。すなわち制御部33は、通信部32を介してインターネット5に接続されたコンテンツ蓄積サーバ2に対して、コンテンツ転送要求を示すネットワークパケットを送信する。そして、通信部32を介してコンテンツ蓄積サーバ2から送信されるコンテンツを受信し、受信したコンテンツをコンテンツ蓄積部31へ記録する。
【0036】
このように再生装置3は、コンテンツ蓄積装置1から受信したコンテンツ及びコンテンツ蓄積サーバ2から受信したコンテンツを再生部36により再生して、表示部38や音声出力部39に出力し、ユーザはこれを視聴することができる。
【0037】
次に、本実施例のコンテンツ転送システムにおける処理の流れを、図5〜図7を用いて説明する。
図5は、コンテンツ転送処理の全体のフローチャートを示す。
【0038】
ステップS100において、コンテンツ蓄積装置1は、転送時間設定プログラムP1を用いて、再生装置3にコンテンツを転送する際の転送制限時間(以下、Tsとする)を設定する。転送制限時間Tsの設定は、例えば、Webサーバプログラムが転送時間設定フォームの記述されたWebコンテンツを読み込むことで実現する。すなわち、再生装置3の制御部33はWebブラウザP4を起動し、表示部38に転送時間設定フォームの記述されたWebコンテンツを表示する。ユーザは、ユーザ操作部37を介して転送時間設定フォームに所望の転送制限時間Tsを入力すると、コンテンツ蓄積装置1へ伝えられ不揮発性メモリ16に記憶される。なお、転送制限時間Tsの設定は、一度設定すれば次回からは同一の制限時間Tsで動作することができるので、転送制限時間Tsを変更するときに再設定すればよい。
ステップS101において、再生装置3はコンテンツ蓄積装置1に対してコンテンツ転送要求を行う。コンテンツ転送要求では、コンテンツ転送要求を示すネットワークパケットをコンテンツ蓄積装置1へ送信する。
【0039】
ステップS102において、コンテンツ蓄積装置1は再生装置3からのコンテンツ転送要求を受信すると、該当するコンテンツをコンテンツ蓄積部11から読み出して再生装置3へ転送する。このとき、再生装置3への転送時間が上記設定された転送制限時間Tsを超えないように制御する。また、コンテンツ蓄積装置1の制御部13は、転送完了判定プログラムP2を用いて、制限時間Ts以内に所定のコンテンツ全体を転送完了したかどうかを判定し、転送済フラグに判定結果を記述する。ステップS102が終了した時点で、再生装置3では転送されたコンテンツの視聴が可能となる。なお、ステップS102の詳細は図6で説明する。
【0040】
ステップS103において、コンテンツ蓄積装置1は、転送済フラグはON(転送完了)かOFF(転送未完了)かを判定する。転送済フラグがONの場合は、要求されたコンテンツが全て再生装置3へ転送されたことを意味するため、コンテンツ転送処理を終了する。転送済フラグがOFFの場合は、要求されたコンテンツの未転送部分(残部分)が存在することを意味するため、ステップS104へ進み、コンテンツ残部分の転送処理を実行する。
【0041】
ステップS104においては、コンテンツ蓄積装置1の制御部13はURL通知プログラムP3を用いて、上記のコンテンツ残部分を一時保存するコンテンツ蓄積サーバ2のURLを決定し、再生装置3へ通知する。
ステップS105において、コンテンツ蓄積装置1はコンテンツ蓄積サーバ2に対しコンテンツ残部分を転送する要求を送信する。転送可能である場合には、当該コンテンツ残部分をコンテンツ蓄積サーバ2へ転送(アップロード)する。なお、ステップS104とS105の詳細は図7で説明する。
【0042】
ステップS106において、再生装置3は上記URLで指定されたコンテンツ蓄積サーバ2へアクセスし、コンテンツ残部分を転送する要求を表すネットワークパケットを送信する。
ステップS107において、コンテンツ蓄積サーバ2は、再生装置3からコンテンツ転送要求を受信すると、該当するコンテンツをコンテンツ蓄積部21から読み出し、要求元の再生装置3へ転送(ダウンロード)する。
【0043】
これにより再生装置3は、ステップS102でコンテンツの一部分しか転送されなかった場合でも、宅外でインターネット5に接続することで、コンテンツ蓄積サーバ2からコンテンツ残部分をダウンロードして視聴することが可能となる。
【0044】
図6は、図5のコンテンツ転送処理(ステップS102)の詳細を示すフローチャートである。ここでは、コンテンツ蓄積装置1は再生装置3から要求されたコンテンツを転送する。
【0045】
ステップS200において、コンテンツ蓄積装置1は、コンテンツ転送の開始に合わせて、転送処理の経過時間(以下、Taとする)の測定を開始する。
ステップS201において、コンテンツ蓄積装置1から再生装置3へコンテンツを転送する。具体的には、コンテンツを一定サイズ(数バイト〜数メガバイト)単位で転送するが、そのサイズは実装するプログラムに依存する。ただし、ステップS100で設定した転送制限時間Ts以内に送れるサイズとする。
【0046】
ステップS202において、コンテンツ蓄積装置1は転送完了判定プログラムP2を用いて、要求されたコンテンツを全て転送したかどうかを判定する。具体的には、再生装置3へ転送したコンテンツの転送済サイズVaを求め、転送すべきコンテンツの全体サイズVtを比較する。転送済サイズVaが全体サイズVtに到達すれば、全コンテンツを転送したと判定する。
ステップS202で転送完了であればステップS203へ進み、転送済フラグをON(転送完了)に設定し、転送処理を終了する。ステップS202で転送未完了であればステップS204へ進む。
【0047】
ステップS204において、転送経過時間Taと不揮発性メモリ16に格納している転送制限時間Tsを比較し、経過時間Taが制限時間Tsを越えたかどうか判定する。経過時間Taが制限時間Tsを越えていれば、ステップS205へ進む。経過時間Taが制限時間Tsを越えていなければ、ステップS201へ戻り、コンテンツ転送を継続する。
ステップS205において、コンテンツ蓄積装置1はコンテンツ転送処理を途中で停止し、ステップS206において、転送済フラグをOFF(転送未完了)に設定する。さらにステップS207において、再生装置3にコンテンツ転送が未完了である旨を通知し、表示部38に表示させ、転送処理を終了する。
【0048】
以上により、コンテンツ転送処理時間はユーザが設定した制限時間Tsを越えることがない。よって、長時間のコンテンツであっても転送のための待ち時間が長くなることがなく、ユーザの使い勝手が向上する。
【0049】
図7は、図5のURL通知(ステップS104)とコンテンツ残部分の転送(ステップS105)の詳細を示すフローチャートである。ここでは、コンテンツ蓄積装置1から再生装置3へ要求されたコンテンツを全て転送できず、コンテンツ残部分をコンテンツ蓄積サーバ2へ一時保存する内容である。
【0050】
ステップS300において、コンテンツ蓄積装置1はコンテンツ蓄積サーバ2へ、コンテンツ残部分を転送(アップロード)するためのURLを問合せる。
ステップS301において、コンテンツ蓄積サーバ2からURL使用可否を示すネットワークパケットを受信する。ステップS302において、該URLが使用可能(アップロード可能)であるかどうかを判定する。
【0051】
アップロード可能であれば、ステップS303において、前記URLを再生装置3へ通知する。そして、ステップS304において、コンテンツ残部分をコンテンツ蓄積サーバ2へ転送(アップロード)する。
前記ステップS302で前記URLが使用不可である場合は、ステップS305において、アップロード不可であることを再生装置3へ通知し、処理を終了する。
【0052】
このようにして、再生装置3はコンテンツ蓄積サーバ2のURLを知り、未転送であったコンテンツ残部分を取得することができる。
【0053】
以上のように本実施例によれば、モバイル機器などの再生装置3は、宅内のコンテンツ蓄積装置1からコンテンツを制限時間内で取得した後、コンテンツ残部分については宅外のコンテンツ蓄積サーバ2から取得することができる。よって、宅内のコンテンツ蓄積装置からコンテンツを転送するための待ち時間を最小に抑えるとともに、宅外でコンテンツの続きを視聴することが可能となる。これによりユーザは、例えば出勤前の短時間に宅内でモバイル機器にコンテンツを転送し、出勤時の電車内で転送したコンテンツを視聴し、続きが見たい場合には、コンテンツ蓄積サーバからコンテンツ残部分をダウンロードしておき、退勤時の電車内でコンテンツの続きを視聴することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…コンテンツ蓄積装置、2…コンテンツ蓄積サーバ、3…再生装置、4…LAN環境、5…インターネット、10…コンテンツ転送システム、11…コンテンツ蓄積部、12…通信部、13…制御部、14…メモリ(RAM)、15…プログラム格納部、P1…転送時間設定プログラム、P2…転送完了判定プログラム、P3…URL通知プログラム、16…不揮発性メモリ、17…ユーザ操作部、18…表示部、21…コンテンツ蓄積部、22…通信部、23…制御部、24…メモリ(RAM)、25…プログラム格納部、26…表示部、27…ユーザ操作部、31…コンテンツ蓄積部、32…通信部、33…制御部、34…メモリ(RAM)、35…プログラム格納部、P4…Webブラウザ、36…再生部、37…ユーザ操作部、38…表示部、39…音声出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積装置と、該コンテンツ蓄積装置から転送されたコンテンツを保存するコンテンツ蓄積サーバと、該コンテンツ蓄積装置及び該コンテンツ蓄積サーバからコンテンツを取得し再生する再生装置とをネットワークを介して接続してなるコンテンツ転送システムであって、
前記コンテンツ蓄積装置は、コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積部と、前記コンテンツ蓄積サーバ及び前記再生装置と通信するための通信部と、前記コンテンツ蓄積サーバ及び前記再生装置へコンテンツを転送する制御部とを備え、
前記コンテンツ蓄積サーバは、前記コンテンツ蓄積装置及び前記再生装置と通信するための通信部と、前記コンテンツ蓄積装置からコンテンツを取得するとともに前記再生装置へコンテンツを転送する制御部と、取得したコンテンツを保存するコンテンツ蓄積部とを備え、
前記再生装置は、前記コンテンツ蓄積装置及び前記コンテンツ蓄積サーバと通信するための通信部と、前記コンテンツ蓄積装置及び前記コンテンツ蓄積サーバからコンテンツを取得する制御部と、取得したコンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積部と、蓄積したコンテンツを再生する再生部とを備え、
前記コンテンツ蓄積装置は前記再生装置へ予め設定された転送制限時間以内で要求されたコンテンツを転送し、該コンテンツの残部分があれば前記コンテンツ蓄積サーバへ該残部分を転送し、前記再生装置は前記コンテンツ蓄積サーバから前記コンテンツの残部分を取得することを特徴とするコンテンツ転送システム。
【請求項2】
コンテンツを蓄積し、ネットワークを介して接続されたコンテンツ蓄積サーバと再生装置へコンテンツを転送するコンテンツ蓄積装置であって、
コンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積部と、
前記コンテンツ蓄積サーバ及び前記再生装置と通信するための通信部と、
前記再生装置へコンテンツを転送する際の転送制限時間を記憶する不揮発性メモリと、
前記コンテンツ蓄積サーバ及び前記再生装置へ前記コンテンツを転送する制御部とを備え、
該制御部は、前記不揮発性メモリに記憶された転送制限時間以内で前記再生装置へコンテンツを転送し、該コンテンツの残部分があれば前記コンテンツ蓄積サーバへ該残部分を転送することを特徴とするコンテンツ蓄積装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテンツ蓄積装置において、
前記制御部は、前記コンテンツの残部分を前記コンテンツ蓄積サーバへ転送した場合、該コンテンツ蓄積サーバのURLを前記再生装置へ通知することを特徴とするコンテンツ蓄積装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のコンテンツ蓄積装置において、
前記制御部は、前記再生装置の操作により設定された前記転送制限時間を前記不揮発性メモリに記憶するとともに、前記再生装置へのコンテンツの転送経過時間を測定し、該転送経過時間が前記転送制限時間を越えたら前記再生装置へのコンテンツの転送を停止することを特徴とするコンテンツ蓄積装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載のコンテンツ蓄積装置において、
前記制御部は、前記再生装置へ転送したコンテンツの転送済サイズを求め、転送すべきコンテンツの全体サイズを比較することで、前記コンテンツの残部分があるかどうかを判定することを特徴とするコンテンツ蓄積装置。
【請求項6】
コンテンツ蓄積装置に蓄積されているコンテンツを、ネットワークを介してコンテンツ蓄積サーバ及び再生装置へ転送するコンテンツ転送方法であって、
前記コンテンツ蓄積装置は前記再生装置へ予め設定された転送制限時間以内で要求されたコンテンツを転送し、
要求されたコンテンツが全て転送されたかどうかを判定し、
要求されたコンテンツが全て転送されなかった場合、前記コンテンツ蓄積サーバへコンテンツの残部分を転送し、
該コンテンツの残部分を転送する前記コンテンツ蓄積サーバのURLを前記再生装置へ通知し、
前記再生装置は該URLを用いて前記コンテンツ蓄積サーバから前記コンテンツの残部分を取得することを特徴とするコンテンツ転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−124926(P2011−124926A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282968(P2009−282968)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MEMORY STICK
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】