説明

コンテンツ配信システム、ネットワーク装置、コンテンツ配信サーバ及びユーザ端末

【課題】ユーザに適した広告コンテンツを配信すると共に広告コンテンツ配信側の不平等をなくし、ネットワーク全体の通信帯域の効率化を図る。
【解決手段】ネットワーク装置は、各第2のコンテンツの種別から、ユーザ特性に適する第2のコンテンツ配信サーバを選択し、第1のマルチキャストアドレスと各第2の識別情報とをユーザ端末に通知する。ユーザ端末は、第1のマルチキャストアドレスのパケット受信ができるように所定の処理を行う。第1のコンテンツ配信サーバは、挿入位置を検出すると送信を中断し中断位置を記憶し、全ての第2のコンテンツ配信サーバに送信要求を送信する。第2のコンテンツ配信サーバは、送信要求を受信すると、ストリームデータを送信し、送信が終了すると、送信終了通知を返信する。第1のストリーム配信手段が、全ての第2のコンテンツ配信サーバから送信終了通知を受信すると中断位置から再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ配信システム、ネットワーク装置、コンテンツ配信サーバ及びユーザ端末に関し、例えば、主たる第1のコンテンツに、従たる第2のコンテンツを挿入して配信するコンテンツ配信システム及び方法、当該コンテンツ配信システムを構成するネットワーク装置、サーバに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク技術の急激な進展に伴い、ネットワークを通じてコンテンツを配信するコンテンツ配信システムが普及している。例えば、マルチキャストを用いて放送コンテンツを複数のユーザ端末に配信するマルチキャスト放送がある。
【0003】
この種のコンテンツ配信においても、従来の放送と同様に広告メディアが重要な位置づけをなしている。また、新たな広告メディアのマーケティングも開発されており、よりユーザの趣向に合わせた広告手法も提案されている。
【0004】
特許文献1には、ユーザの要望に柔軟に対応した広告を配信する技術が記載されている。例えば、端末装置、ホームサーバ、エッジルータ等に適用されるコンテンツ挿入装置が、放送コンテンツと挿入コンテンツを受信する。通常は、放送コンテンツだけをユーザ端末に送信する。このときコンテンツ挿入装置は挿入コンテンツを蓄積しておく。挿入コンテンツのタイミングになると、放送コンテンツの送信を一時的に停止し、挿入コンテンツのみをユーザ端末に送信する。この間、放送コンテンツを内部で蓄積しておき、挿入コンテンツの読み出しが終了すると、タイムシフトして放送コンテンツの読み出しを再開するというものである。また、挿入コンテンツを挿入するための挿入条件が、放送コンテンツに含まれており、ユーザもその条件の優先度などを決定することができる(特許文献1の段落0028−0037等参照)。
【0005】
特許文献2には、1又は複数の加入者の特性(例えば地理的区分等)に応じてサブグループを形成し、サブグループ毎に異なる広告を配信する技術が記載されている。このサブグループは、マルチキャストアドレスを利用して形成しており、ルータに接続する1又は複数の受信側が当該サブグループに所属するというものである(特許文献2の段落0025−0033参照)。また、広告を挿入するプロセスは中央挿入点が行う。中央挿入点は、多くの異なった広告サーバからターゲット広告を受け取り、番組ストリームをデコードして、各番組のタイミングモジュールを参照して広告挿入位置に、それぞれのターゲット広告を多重化して、各ルータに送信する(特許文献2の図5及び図6、段落0045、0046)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−236913号公報
【特許文献2】特表2002−544609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1及び特許文献2による配信方法はいずれも、放送コンテンツと広告コンテンツとが同時に受信端末(ルータ)に向けて送信されるため、ネットワーク全体の通信帯域を考慮すると、必ずしも効率的ではない。なぜなら、従来の場合、放送コンテンツ用帯域×ユーザ数×広告用帯域だけ帯域が必要になるため、ユーザ数の増加に伴い利用する帯域が増加するからである。そのため、ネットワーク全体の通信帯域の効率化が求められている。
【0008】
また、ユーザに対して適した広告を配信することが望まれる。またユーザの要望に応えるあまり、例えば同じ広告が繰り返し配信されたりすることも生じ得、異なる広告主間の不平等を解消する等、広告主側にも配慮することが望まれる。このことを解消するために、事前にユーザ端末に広告を受信させるという方法も考えられる。しかし、例えばマルチキャスト放送の場合、広告コンテンツをどのタイミングで配信するかが困難であり、例えばそのときにユーザ端末側の電源が切られている場合等では、必ずしも広告受信が保証されないという問題もある。
【0009】
そのため、第1のコンテンツに第2のコンテンツを挿入したコンテンツを配信するシステムにおいて、ユーザに適した第2のコンテンツを配信すると共に第2のコンテンツ配信側の不平等をなくすことができ、ネットワーク全体の通信帯域の効率化を図ることができるコンテンツ配信システム、ネットワーク装置、コンテンツ配信サーバ及びユーザ端末が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するために、第1の本発明のコンテンツ配信システムは、第1のコンテンツを配信する第1のコンテンツ配信サーバと、第1のコンテンツに挿入するそれぞれ異なる第2のコンテンツを配信する複数の第2のコンテンツ配信サーバと、ユーザ端末から配信要求された上記第1のコンテンツの配信を許容するネットワーク装置とを備え、(A)ネットワーク装置は、(A−1)第1のコンテンツの配信を受けるための第1のマルチキャストアドレス及び第1のコンテンツ配信サーバの第1の識別情報を格納する第1の格納手段と、(A−2)少なくとも各第2のコンテンツの種別と、各第2のコンテンツ配信サーバの第2の識別情報とを格納する第2の格納手段と、(A−3)第2の格納手段の各第2のコンテンツの種別から、配信要求をしてきたユーザのユーザ特性情報に適する複数の第2のコンテンツを配信する第2のコンテンツ配信サーバを選択する第2のコンテンツ配信サーバ選択手段と、(A−4)第1のマルチキャストアドレスと、第2のコンテンツ選択手段により選択された複数の第2のコンテンツ配信サーバの第2の識別情報とを、ユーザ端末に通知する通知手段とを備え、(B)ユーザ端末は、(B−1)第1のマルチキャストアドレス、第1の識別情報及び複数の第2の識別情報を用いて、所定のマルチキャスト通信処理を行うマルチキャスト通信処理手段と、(B−2)第1のマルチキャストアドレスを有するストリームデータのパケットを受信し、コンテンツを再生する再生手段とを備え、(C)第1のコンテンツ配信サーバは、(C−1)第1のコンテンツのストリームデータを配信する第1のストリーム配信手段と、(C−2)第1のコンテンツのうち第2のコンテンツを挿入する挿入位置又は挿入時刻を検出する挿入検出手段と、(C−3)挿入検出手段により挿入位置又は挿入時刻が検出されると、第1のコンテンツのストリームデータの送信を中断し、その中断位置を記憶する管理手段と、(C−4)挿入検出手段により挿入位置又は挿入時刻が検出されると、全ての第2のコンテンツ配信サーバに対して、第2のコンテンツの送信要求を送信する送信要求送信手段とを備え、(D)第2のコンテンツ配信サーバは、(D−1)第1のコンテンツ配信サーバから第2のコンテンツの送信要求を受信すると、第1のマルチキャストアドレスを用いて、第2のコンテンツのストリームデータを送信する第2のストリーム配信手段と、(D−2)第2のストリーム配信手段による送信が終了すると、第1のコンテンツ配信サーバに対して、第2のコンテンツの送信終了通知を送信する送信終了送信手段とを備え、第1のコンテンツ配信サーバの第1のストリーム配信手段が、全ての上記第2のコンテンツ配信サーバから第2のコンテンツの送信終了通知を受信すると、管理手段により記憶されている中断位置から、第1のコンテンツのストリームデータを送信することを特徴とする。
【0011】
第2の本発明のネットワーク装置は、第1のコンテンツを配信する第1のコンテンツ配信サーバと、第1のコンテンツに挿入するそれぞれ異なる第2のコンテンツを配信する複数の第2のコンテンツ配信サーバとを備えるコンテンツ配信システムで、ユーザ端末から配信要求された第1のコンテンツの配信を許容するネットワーク装置において、(1)第1のコンテンツの配信を受けるための第1のマルチキャストアドレス及び第1のコンテンツ配信サーバの第1の識別情報を格納する第1の格納手段と、(2)少なくとも各第2のコンテンツの種別と、各第2のコンテンツ配信サーバの第2の識別情報とを格納する第2の格納手段と、(3)第2の格納手段の各第2のコンテンツの種別から、配信要求をしてきたユーザのユーザ特性情報に適する複数の第2のコンテンツを配信する第2のコンテンツ配信サーバを選択する第2のコンテンツ配信サーバ選択手段と、(3)第1のマルチキャストアドレスと、第2のコンテンツ選択手段により選択された複数の第2のコンテンツ配信サーバの第2の識別情報とを、ユーザ端末に通知する通知手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
第3の本発明のコンテンツ配信サーバは、第1のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバであり、(1)第1のコンテンツのストリームデータを配信する第1のストリーム配信手段と、(2)第1のコンテンツのうち第2のコンテンツを挿入する挿入位置又は挿入時刻を検出する挿入検出手段と、(3)挿入検出手段により挿入位置又は挿入時刻が検出されると、第1のコンテンツのストリームデータの送信を中断し、その中断位置を記憶する管理手段と、(4)挿入検出手段により挿入位置又は挿入時刻が検出されると、第2のコンテンツを配信する全ての第2のコンテンツ配信サーバに対して、第2のコンテンツの送信要求を送信する送信要求送信手段とを備え、第1のストリーム配信手段が、全ての第2のコンテンツ配信サーバから第2のコンテンツの送信終了通知を受信すると、管理手段により記憶されている中断位置から、第1のコンテンツのストリームデータを送信することを特徴とする。
【0013】
第4の本発明のコンテンツ配信サーバは、第2のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバであり、(1)第1のコンテンツを配信する第1のコンテンツ配信サーバから第2のコンテンツの送信要求を受信すると、第1のマルチキャストアドレスを用いて、第2のコンテンツのストリームデータを送信する第2のストリーム配信手段と、(2)第2のストリーム配信手段による送信が終了すると、第1のコンテンツ配信サーバに対して、第2のコンテンツの送信終了通知を送信する送信終了送信手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第5の本発明のユーザ端末は、(1)第1のコンテンツの配信を受けるための第1のマルチキャストアドレスと、第1のコンテンツを配信する第1のコンテンツ配信サーバの第1の識別情報と、配信要求したネットワーク装置により選択された第2のコンテンツを配信する複数の第2のコンテンツ配信サーバの第2の識別情報を用いて、所定のマルチキャスト通信処理を行うマルチキャスト通信処理手段と、(2)第1のマルチキャストアドレスを有するストリームデータのパケットを受信し、コンテンツを再生する再生手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1のコンテンツに第2のコンテンツを挿入したコンテンツを配信するシステムにおいて、ユーザに適した第2のコンテンツを配信すると共に第2のコンテンツ配信側の不平等をなくすことができ、ネットワーク全体の通信帯域の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態のコンテンツ配信システムの全体構成を示す全体構成図である。
【図2】実施形態のポータルゲートウェイの制御部の機能を説明するブロック図である。
【図3】実施形態の端末装置及びルータの接続関係と、端末装置及びルータの内部構成を示す内部構成図である。
【図4】実施形態のコンテンツ配信方法を示すシーケンス図である。
【図5】実施形態のコンテンツ配信方法を示すシーケンス図である。
【図6】実施形態のユーザ特性情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明のコンテンツ配信システム、ネットワーク装置、コンテンツ配信サーバ及びユーザ端末の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
この実施形態では、例えばマルチキャストによりコンテンツを配信するコンテンツ配信システム及びこれを構成する構成要素に本発明を適用する実施形態を例示する。
【0019】
なお、マルチキャストルーティングプロトコルは特に限定されるものではないが、この実施形態では、例えば、PIM−SM(Protocol Independent Multicast−Sparse-Mode)のSSM(Source-Specific-Multicast)を採用し(IETF RFC4601)、ホスト−ルータ間のプロトコルはMLDv2(Multicast Listener Discovery Protocol Version2)を採用(IETF RFC3810)する場合を例示する。
【0020】
(A−1)実施形態の構成
図1は、この実施形態のコンテンツ配信システムの全体構成を示す全体構成図である。図1において、実施形態のコンテンツ配信システム9は、ネットワーク6に接続する、ポータルゲートウェイ1、一般コンテンツ用放送配信サーバ2、広告用放送配信サーバ3−1〜3−N(Nは正の整数)、端末装置4−1〜4−M(Mは正の整数)、ルータ5−1〜5−K(Kは正の整数)を少なくとも有する構成される。
【0021】
ポータルゲートウェイ1は、端末装置4−m(1≦m≦M)から視聴要求を受けると、当該端末装置4−mの認証を行い、認証が正当である場合に、視聴要求された放送コンテンツの配信を許可するものである。なお、認証結果が不当である場合には、配信を許可しないようにしても良い。
【0022】
ポータルゲートウェイ1は、図1に示すように、制御部11、通信部12、ユーザ情報格納部13、サーバ情報格納部14を少なくとも有する。
【0023】
通信部12は、ネットワーク6との間でパケットの送受信を行うものである。
【0024】
ユーザ情報格納部13は、コンテンツ配信を要求するユーザに関する情報を格納するものである。ユーザ情報格納部13が格納するユーザ情報は、ユーザの特性を示す情報である。例えば、ユーザ情報は、ユーザの住所(国名も含む概念)、ユーザの氏名、年齢、性別、国籍、ユーザID、パスワード、嗜好情報などがある。なお、嗜好情報は、ユーザの趣味、特技、好みなどをユーザに入力させて取得した情報としても良いし、又過去に配信した放送コンテンツのジャンルなど履歴情報から伺える情報も含むようにしても良い。
【0025】
サーバ情報格納部14は、一般コンテンツ用放送配信サーバ2から放送コンテンツの配信を受けるためのマルチキャストアドレス(以下、一般放送用マルチキャストアドレス)と、一般コンテンツ用放送配信サーバ2の識別情報であるユニキャストアドレスとを格納するものである。なお、一般コンテンツ用放送配信サーバ2が複数ある場合には、一般コンテンツ用放送配信サーバ2毎に格納する。
【0026】
また、サーバ情報格納部14は、広告用放送配信サーバ3−n(1≦n≦N)が格納する広告コンテンツの広告の種別を格納する。この広告の種別とは、例えば広告主の業種、広告製品・サービスの種類、需要者の年齢層や性別、需要者の地域(例えば広告対象地域、国等)等がある。また、広告の種別は、複数の観点から、その広告コンテンツの種類を区別できるようにしても良い。そして、サーバ情報格納部14は、例えば、それぞれの広告コンテンツの種別を広告コンテンツ毎に格納している。
【0027】
さらに、サーバ情報格納部14は、広告用放送配信サーバ3−nから各広告コンテンツの配信を受けるための広告用放送配信サーバ3−nのユニキャストアドレスとを、広告コンテンツ毎に格納するものである。サーバ情報格納部14は、例えば、上記のように各広告コンテンツについて広告の種別を示して格納すると共に、各広告コンテンツの広告用放送配信サーバ3−nのユニキャストアドレスを各広告コンテンツ毎に格納するようにしても良い。
【0028】
制御部11は、ポータルゲートウェイ1の機能処理を行うものである。図2は、ポータルゲートウェイ1の制御部11の機能構成を示すブロック図である。図2において、制御部11は、実行する機能部として、ユーザ認証部111、ユーザ情報格納処理部112、サーバ情報格納処理部113、広告用放送配信サーバ選択部114、通知情報作成部115を少なくとも有する。
【0029】
ユーザ認証部111は、視聴要求してきたユーザの認証を行うものである。ユーザ認証部111によるユーザ認証方式は、特に限定されることなく種々の方式を広く適用することができる。ここでは、その一例として、次のような方式を適用する。例えば、ユーザ認証部111は、登録ユーザに対してユーザIDの発行を行い、ユーザ情報格納部13にユーザIDを格納する。このとき、ユーザ指定のパスワードもユーザ情報格納部13に格納する。そして、ユーザ認証部111は、視聴要求を受信した際に、端末装置4−mから受信したユーザID及びパスワードと、ユーザ情報格納部13に格納されるユーザID及びパスワードとが一致すると認証が正当であることを判断し、不一致のとき不当であると判断する。
【0030】
ユーザ情報格納処理部112は、ユーザ情報を取得してユーザ情報格納部13に格納するものである。ユーザ情報格納処理部112は、例えば、端末装置4−mに対してユーザ情報の項目を提示して、その項目に入力されたユーザ情報を取得してユーザ情報格納部13に格納するようにしても良い。また、他のサーバと連携して、ユーザの嗜好を示す情報を取得し、ユーザ情報格納部13に格納するようにしても良い。
【0031】
サーバ情報格納処理部113は、一般コンテンツ用放送配信サーバ2から、一般放送用マルチキャストアドレス及び当該一般コンテンツ用放送配信サーバ2のユニキャストアドレスを取得し、これらをサーバ情報格納部14に格納するものである。
【0032】
また、サーバ情報格納処理部113は、広告用放送配信サーバ3−nから、格納する広告コンテンツの広告種別情報と、広告用放送配信サーバ3−nのユニキャストアドレスとを取得し、これらをサーバ情報格納部14に格納するものである。例えば、広告は逐次新しくなったり、放送コンテンツをタイアップする広告が変わったりするので、広告コンテンツが新設されたり変更されたりするたびに、サーバ情報格納処理部113は、広告種別情報、広告用放送配信サーバ3−nのユニキャストアドレスの取得・格納を行う。
【0033】
広告用放送配信サーバ選択部114は、視聴要求してきたユーザの認証が正当の場合、ユーザ情報格納部13及びサーバ情報格納部14を参照して、当該ユーザの特性に適した広告コンテンツを配信する複数の広告用放送配信サーバ3−nを選択するものである。
【0034】
通知情報作成部115は、視聴要求してきた端末装置4−mに通知する情報を作成するものである。通知情報作成部115は、視聴要求された放送コンテンツを視聴するための一般放送用マルチキャストアドレス及び当該一般コンテンツ用放送配信サーバ2のユニキャストアドレスと、広告用放送配信サーバ選択部114により選択された複数の広告コンテンツを視聴するための複数の広告用放送配信サーバ3−nのユニキャストアドレスとを含む通知情報を作成する。この通知情報は、通信部12に与えられ、端末装置4−mに送信される。
【0035】
一般コンテンツ用放送配信サーバ2は、放送コンテンツを配信するサーバである。一般コンテンツ用放送配信サーバ2は、図1に示すように、一般コンテンツ用放送配信サーバ2の処理を行う制御部21、ストリーム格納部23に格納されるストリームデータを配信するストリームデータ配信部22、放送コンテンツのストリームデータを格納するストリームデータ格納部23、広告用放送配信サーバ3−nとの間で制御データを送受信する制御データ送受信部24を少なくとも有する。
【0036】
ストリーム配信部22は、一般放送用マルチキャストアドレスを付した放送コンテンツのストリームデータを配信する。制御部21は、放送コンテンツの広告挿入位置又は広告挿入時刻(例えば挿入開始時刻)を管理しており、広告挿入位置又は時刻になると、ストリーム配信部22及び制御データ送受信部24にその旨を通知する。このとき、ストリーム配信部22は、ストリームデータの配信を一時的に停止する。
【0037】
制御データ送受信部24は、制御部21からの指示の下、広告用放送配信サーバ3−nに対して広告放送要求を送信する。また、制御データ送受信部24は、広告用放送配信サーバ3−nから広告放送終了通知を受けると、その旨を制御部21及びストリーム配信部22に通知する。これにより、ストリーム配信部22は、一時停止していたストリームデータの配信を再開する。
【0038】
広告用放送配信サーバ3−nは、広告コンテンツを配信するサーバである。広告用放送配信サーバ3−nは、図1に示すように、広告用放送配信3−nの処理を行う制御部31、ストリームデータ格納部33に格納されるストリームデータを配信するストリーム配信部32、広告コンテンツのストリームデータを格納するストリームデータ格納部33、一般コンテンツ用放送配信サーバ2との間で制御データを送受信する制御データ送受信部34を少なくとも有する。
【0039】
ここで、広告用放送配信サーバ3−1〜3−Nには、それぞれ広告の種別が異なる広告コンテンツのストリームデータが格納される。例えば、広告用放送配信サーバ3−1のストリームデータ格納部33には、「広告種別:1」のものだけが格納され、広告用放送配信サーバ3−2のストリームデータ格納部33には、「広告種別2」のものだけが格納されるなどである。
【0040】
制御データ送受信部34は、一般コンテンツ用放送配信サーバ2から広告放送要求を受け取ると、その旨を制御部31及びストリーム配信部32に通知する。これを受けて、ストリーム配信部32は、一般放送用マルチキャストアドレスを付した広告コンテンツのストリームデータを配信する。また、ストリーム配信部32による配信が配信すると、制御データ送受信部34は、一般コンテンツ用放送配信サーバ2に広告放送終了通知を送信する。
【0041】
ここで、一般コンテンツ用放送配信サーバ2及び広告用放送配信サーバ3−nは、マルチキャストプロトコルによって、ストリームデータを端末装置4−mに送信する。マルチキャストルーティングプロトコルとしては、例えば、PIM−SM(SSM)を採用するものとする。
【0042】
端末装置4−mは、ユーザがコンテンツを視聴するための端末装置である。図3は、端末装置4−m及びルータ5−kの間の接続関係と端末装置4−m及びルータ5−kの内部構成を示す図である。図3において、端末装置4−mは、視聴要求部41、ホスト−ルータ間処理部42、広告用放送配信サーバ選出部43、コンテンツ再生部44を少なくとも有する。
【0043】
視聴要求部41は、ユーザ操作を受けて、ポータルゲートウェイ1に視聴要求を送信する。また、端末装置4−mは、ポータルゲートウェイ1から通知情報を受信し、この通知情報に含まれている、一般放送用マルチキャストアドレス及び当該一般コンテンツ用放送配信サーバ2のユニキャストアドレスと、複数の広告用放送配信サーバ3−nのユニキャストアドレスとを保持するものである。
【0044】
ホスト−ルータ間処理部42は、マルチキャストプロトコルによる処理を行うものである。この実施形態では、ホストールータ間のプロトコルとしてMDLv2を採用する。ホスト−ルータ間処理部42は、マルチキャストグループに参加している間、最寄りのルータ5−kに対して、マルチキャストリスナーレポート(MDLv2 report)を送信する。このMDLv2 reportの作成については、動作の項で詳細に説明する。
【0045】
広告用放送配信サーバ選出部43は、ポータブルゲートウェイ1から受信した通知情報に含まれている複数の広告用放送配信サーバ3−nのユニキャストアドレスから、任意の広告用放送配信サーバ3−nのユニキャストアドレスを選択するものである。
【0046】
コンテンツ再生部44は、ルータ5−kから受信した放送コンテンツ及び広告コンテンツのストリームデータを復号して、画像及び音声の再生を行うものである。このコンテンツ再生部44は、既存する技術を広く適用することができる。
【0047】
ルータ5−kは、マルチキャストを実現するルータである。この実施形態では、PIM−SM(SSM)対応のルータを想定する。図3において、ルータ5−kは、転送処理部51、ホスト−ルータ間処理部52、ルータ−ルータ間処理部53、経路表54を少なくとも有する。
【0048】
転送処理部51は、ストリームデータの転送処理を行うものである。転送処理部51は、端末装置4−mからMDLv2 reportで通知されたマルチキャストアドレスのストリームデータを受信すると、当該ストリームデータを端末装置4−mに転送するものである。例えば、
ホスト−ルータ間処理部52は、マルチキャストグループに参加する端末装置4−mとの間で、マルチキャストプロトコル(MDLv2)による処理を行うものである。ルータ−ルータ間処理部53は、上位のルータや隣接するルータとの間で、マルチキャストプロトコルによる処理を行うものである。これにより、端末装置4−mからのMDLv2 reportに基づいて、マルチキャストグループに参加する端末装置4−mの存在、及び経路表54の作成を行うことができる。
【0049】
(A−2)実施形態の動作
次に、実施形態のコンテンツ配信システム9における放送コンテンツ及び広告コンテンツの配信処理を図面を参照しながら説明する。
【0050】
図4及び図5は、コンテンツ配信処理を示すシーケンス図である。ここでは、3台の端末装置4−1〜4−3が、一般コンテンツ用放送配信サーバ2から配信される放送コンテンツを受信する場合を例示する。
【0051】
また、広告用放送配信サーバについては、便宜上、広告用放送配信サーバp、広告用放送配信サーバqのように表示する。
【0052】
図4において、端末装置4−1〜4−3は、ポータルゲートウェイ1に視聴要求を行う(ステップS201a〜S201c)。このとき、例えば、ユーザ登録する際にポータルゲートウェイ1に登録したユーザ認証情報(例えば、ユーザID及びパスワード等)を、端末装置4−1〜4−3はポータルゲートウェイ1に送信する。
【0053】
ポータルゲートウェイ1の通信部12が端末装置4−1〜4−3から視聴要求を受信すると、制御部11は、受信したユーザ認証情報(例えば、ユーザID及びパスワード等)と、ユーザ情報格納部13に格納されるユーザID及びパスワード等とが一致するか否かを判断して、ユーザ認証を行う(ステップS202a〜S202c)。
【0054】
そして、制御部11によるユーザ認証が成功すると、制御部11は、サーバ情報格納部14から放送用マルチキャストアドレス及び一般放送用配信サーバ2のユニキャストアドレスを取り出す。
【0055】
また、制御部11は、ユーザ情報格納部13に格納されるユーザ情報を抽出し、ユーザ特性に適した広告用放送配信サーバp、qを、サーバ情報格納部14に格納される広告種別から判断して選択する。ユーザ特性情報の種類は複数あるので、それぞれのユーザ特性情報に合う複数の広告用放送配信サーバp、qを選択できるようにしても良い。
【0056】
図6は、ユーザ情報格納部13に格納されるユーザ特性情報の一例を示す。図6において、例えば、「ユーザ1」は、性別が「男性」であり、年齢層が「20代」であり、住所等の地域が「東(東日本)」であるとする。この場合、制御部11は、サーバ情報格納部14に格納される広告の種別から、「性別:男性」、「年齢層:20代」、「地域:東(東日本)」に区別される広告コンテンツを配信する広告用放送配信サーバ3−nを選択する。なお、選択の仕方については、例えば、「性別」、「年齢層」、「地域」のいずれか1つ以上の種別を含む広告コンテンツ(すなわち「OR」で選択される広告コンテンツ)の配信する広告放送配信サーバp、qを選択するようにしても良いし、又は、全ての種別を含む広告コンテンツ(すなわち「AND」で選択される広告コンテンツ)の配信する広告放送配信サーバp、qを選択するようにしても良い。
【0057】
制御部11は、視聴要求応答として、一般放送用マルチキャストアドレス、一般コンテンツ用放送配信サーバ2のユニキャストアドレス、選択した複数の広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスを含む通知情報を生成し、通信部12は、この視聴要求応答を端末装置4−1〜4−3に送信する(ステップS203a〜s203c)。
【0058】
ここで、例えば、端末装置4−1には広告用放送配信サーバ(p1、p2、p3、p4)が選択されたものとする。同様に、端末装置2及び端末装置には広告用放送配信サーバ(q1、q2、q3、q4)が選択されたものとする。
【0059】
ポータルゲートウェイ1から視聴要求応答を受信した端末装置4−1〜4−3は、受信した視聴要求応答に含まれている、一般放送用マルチキャストアドレス、一般コンテンツ用放送配信サーバ1のユニキャストアドレス、広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスを用いてMLDv2 reportメッセージを生成し、最寄りのルータ5−kへ送信する(ステップS204a〜S204c)。
【0060】
ここで、MLDv2 reportメッセージは、Multicast Address RecordのMulticast Addressフィールドには放送用マルチキャストアドレスをセットし、Source Addressのフィールドには一般コンテンツ用放送配信サーバ2のユニキャストアドレスと広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスをセットする。
【0061】
例えば、端末装置1では、一般放送用マルチキャストアドレスをMulticast Addressフィールドにセットし、一般コンテンツ用放送配信サーバ2のユニキャストアドレス及び広告放送用配信サーバpのユニキャストアドレスをSource Addressのフィールドにセットする。同様に、端末装置4−2及び4−3は、広告用放送配信サーバqのユニキャストアドレスをセットする。
【0062】
このように、広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスもセットするのは、端末装置4−mが意図しないサーバからコンテンツを受信しないようにするため、例えば「なりすまし」による配信されるコンテンツの受信を回避するためである。
【0063】
つまり、ルータ5−kは、一般放送用マルチキャストアドレスと、一般コンテンツ用放送配信サーバ2のユニキャストアドレス又は広告放送用配信サーバp、qのユニキャストアドレスとを用いて、ストリームデータのパケットを端末装置4−mに転送するか否かを判断する。従って、端末装置4−1〜4−3は、それぞれの受信すべきコンテンツ(放送コンテンツ、広告コンテンツ)の送信元をルータ5−kに報告しておくことで、その送信元以外からのパケット受信を回避できるので、セキュリティを高めることができる。
【0064】
ルータ5−kは、マルチキャストルーティングプロトコルとしてPIM−SM(SSM)を用いて、上位のマルチキャスト対応ルータにPIM−Joinメッセージを送る。
【0065】
ここで、ルータ5−kは、PIM−JoinメッセージのMulticast group addressには放送用マルチキャストアドレスをセットし、Joined Source Addressフィールドには一般コンテンツ用放送配信サーバ2のユニキャストアドレスと広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスをセットする。いずれもルータが受信したMLDv2 reportメッセージに含まれるアドレスを用いる。
【0066】
一般コンテンツ用放送配信サーバ2から各端末装置4−1〜4−3までのマルチキャスト対応ルータ5−kの全てが、PIM−Joinメッセージを受け取ると、各ルータ5−kは、一般コンテンツ放送配信サーバ2がマルチキャストにより送信している放送コンテンツのストリームデータのパケットを各端末装置4−1〜4−3に向かって配送できるようになる。
【0067】
このとき、各ルータ5−kは、一般放送用マルチキャストアドレスと、送信元である一般コンテンツ用放送配信サーバ2のユニキャストアドレスと、広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスとをインタフェース毎(端末装置4−1〜4−3毎)に認識している。
【0068】
そのため、ルータ5−kは、ストリームデータを受信すると、ストリームデータのパケットのマルチキャストアドレス及び送信元アドレスを判断し、ストリームデータのパケットのマルチキャストアドレス及び送信元アドレスが、一般放送用マルチキャストアドレス及び一般コンテンツ用放送配信サーバ2のユニキャストアドレスであれば、このストリームデータのパケットを端末装置4−1〜4−3に送信する。これにより、各端末装置4−1〜4−3は、ルータ5−kを介して一般コンテンツ用放送配信サーバ2からの放送コンテンツのストリームデータのパケットを受信し、復号してコンテンツを再生する。(ステップS205)。
【0069】
また、ルータ5−kは、定期的に、MLDv2 queryを端末装置4−1〜4−3に送信する。端末装置4−1〜4−3は、視聴を続ける間、ルータ5−kに同じMLDv2 reportメッセージを返信する。
【0070】
ここで、MLDv2 reportメッセージのMulticast Address RecordのMulticast Addressフィールドには一般放送用マルチキャストアドレスをセットし、Source Addressのフィールドには一般コンテンツ用放送配信サーバ2のユニキャストアドレスと広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスをセットする。
【0071】
例えば、端末装置4−1は広告用放送配信サーバpのユニキャストアドレスを、端末装置4−2、4−3は広告用放送配信サーバqのユニキャストアドレスをSource Addressのフィールドにセットする。
【0072】
なお、図4では、視聴要求後に一般コンテンツ用放送配信サーバ2がストリームデータを送信しているように描かれているが、実際は、視聴要求前から、ストリームデータは送信され続けている。ただし、端末装置4−mがまだMLDv2 Reportを送信していないので、ルータ5−kはストリームデータの配送を行わず、端末装置4−mがパケットを受信することはない。
【0073】
端末装置4−1〜4−3は、ポータルゲートウェイ1から受信した複数の広告用放送配信サーバを任意にひとつ選ぶ。そして、端末装置4−1〜4−3は、選んだ広告用放送配信サーバのユニキャストアドレスと一般放送用マルチキャストアドレスを用いてMLDv2 reportメッセージを生成し、最寄りのルータ5−kへ送信する(ステップS206a〜s206c)。
【0074】
例えば、端末装置4−1の場合、広告用放送配信サーバp1、p2、p3、p4がポータルゲートウェイ1により選択され、ここでは、例えば、広告用放送配信サーバp1、p2、p3、p4のうち広告用放送配信サーバp1を端末装置4−1が選択したとする。ここで、端末装置4−1による選択方法は、特に限定されず種々の方法を広く適用することができる。例えば、複数の広告用放送配信サーバp1、p2、p3、p4の中からランダムに1つ選択するようにしても良いし、予めユーザにより広告の種別に応じて視聴順序を受け付け、その順序に基づく広告を優先的に選択するなどの方法を取っても良い。
【0075】
そして、端末装置4−1は、MLDv2 reportメッセージのMulticast Address RecordのMulticast Addressフィールドには一般放送用マルチキャストアドレスをセットし、Source Addressのフィールドには選んだ広告用放送配信サーバp1のユニキャストアドレスをセットする。
【0076】
ルータ5−kは、マルチキャストルーティングプロトコルとしてPIM−SM(SSM)を用いて、上位のマルチキャスト対応ルータにPIM−Joinメッセージを送る。ここで、ルータ5−kは、PIM−JoinメッセージのMulticast group addressには一般放送用マルチキャストアドレスをセットし、Joined Source Addressフィールドには広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスをセットする。いずれもルータが受信したMLDv2 reportメッセージに含まれるアドレスを用いる。これにより、それぞれの広告コンテンツについて広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスを送信元とする経路を作成することができる。
【0077】
一般コンテンツ用放送配信サーバ2の制御部21は、広告挿入時刻または送信中のストリームデータ上で広告挿入位置に来たことを検出すると、自己の放送コンテンツ送信は一時停止し、全ての広告用配信サーバp、qに広告放送要求を送信する(ステップS207a、S207b)。このとき、一般コンテンツ用放送配信サーバ2の制御部21はストリーム上での中断位置を記憶しておく。
【0078】
一方、広告用放送配信サーバp、qでは、制御データ送受信部34が一般コンテンツ用放送配信サーバ2から広告放送要求を受信すると、制御部31はストリーム配信部32を介して広告コンテンツのストリームデータをマルチキャストにより送信する(ステップS208)。
【0079】
ここで、広告用放送配信サーバp、qは、あらかじめ一般放送用マルチキャストアドレスを認識している。そして、広告コンテンツのストリームデータをマルチキャスト送信する際、広告用放送配信サーバp、qは、マルチキャストアドレスとして、一般コンテンツ用放送配信サーバが使用する同じマルチキャストアドレス(一般放送用マルチキャスト)を使用して、ストリームデータを送信する。
【0080】
各ルータ5−kは、広告用放送配信サーバp、qが送信する広告ストリームデータのパケットを受信すると、パケットに用いられている、一般放送用マルチキャストアドレスと広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスとに基づいて、各端末装置4−1〜4−3に配送するものか否かを判断する。
【0081】
そして、パケットの一般放送用マルチキャストアドレス及び広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスが、各端末装置4−1〜4−3について登録されている一般放送用マルチキャストアドレス及び広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスであれば、このストリームデータのパケットを端末装置4−1〜4−3に送信する。これにより、各端末装置4−1〜4−3は、ルータ5−kを介して、各広告用放送配信サーバp、qからの広告コンテンツのストリームデータのパケットを受信し、復号して広告コンテンツを再生する。(ステップS208:S208a、S208b)。
【0082】
広告用放送サーバp、qにおいて、広告ストリームデータの放送が終了すると、各広告用放送配信サーバp、qの制御部31は、制御データ送受信部34を介して一般コンテンツ用配信サーバ2に広告放送終了通知を送信する(ステップS209a、S209b)。
【0083】
一般コンテンツ用配信サーバ2の制御データ送受信部24が、全ての広告用放送配信サーバp、qから広告放送終了通知を受信すると、制御部21はストリーム配信部22を介して、記憶していた放送コンテンツのストリームの中断位置から再びストリームデータをマルチキャストで送信開始する(ステップS210)。これにより、各端末装置4−1〜4−3は、再び放送コンテンツのストリームデータを受信し、放送コンテンツを再生する(ステップS210)。
【0084】
その後、端末装置4−1〜4−3では、再びポータルゲートウェイ1から受信した複数の広告用放送配信サーバp、qの中から1つを選出する。ただし、端末装置4−1〜4−3は、既に選んだ広告の広告主とは異なる広告の広告用放送配信サーバp、qを選び、その広告用放送配信サーバp、qのユニキャストアドレスと一般放送用マルチキャストアドレスとを用いて、MLDv2 reportメッセージを生成し、最寄りのルータ5−kへ送信する(ステップS211a〜S211c)。
【0085】
例えば、端末装置4−1の場合、ポータルゲートウェイ1から受信した複数の広告用放送配信サーバp1、p2、p3、p4のうち、最初に広告用放送配信サーバp1にフラグをつけておき、この広告用放送配信サーバp1を除いた広告用放送配信サーバp2、p3、p4の中から、次の広告用放送配信サーバを選択するようにしても良い。
【0086】
これ以降の処理は、ステップS206a〜S206c以降のステップを繰り返し行う。
【0087】
なお、上記の例では、端末装置4−1〜4−3は、ほぼ同時刻に視聴要求を行っているが、視聴要求のタイミングはいつでもよい。
【0088】
また、図4及び図5では、説明便宜上、端末装置4−1〜4−3は、同じルータ5−kに対して、MLDv2 reportメッセージを送信しているが、端末装置が異なったセグメントにある場合はそれぞれのセグメントにあるルータに対して送信する。
【0089】
(A−3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、視聴者は視聴者に適した広告を視聴でき、広告効果が高い。またユニキャストに比べネットワーク効率がよく、しかも広告主の重複は最小限であるので、広告主に不平等にならずに広告を配信できる。
【0090】
(B)他の実施形態
上述した実施形態では、マルチキャストルーティングプロトコルとして、PIM−SMのSSMを採用し、ホスト−ルータ間のプロトコルはMLDv2を採用する場合を例示したが、PIM−SMでMLDv1を採用する場合にも適用することができる。この場合、ポータルゲートウェイ1は、一般放送用マルチキャストアドレスと、複数の広告用マルチキャストアドレスとを格納しておき、選択した広告用マルチキャストアドレスを視聴要求応答の際に通知することで実現できる。
【0091】
上述した実施形態では、広告用放送配信サーバ3−nが、予め一般放送用マルチキャストアドレスを認識している場合を想定して説明した。しかし、広告用放送配信サーバ3−nは予め一般放送用マルチキャストアドレスを認識していない場合、例えば、広告放送要求に一般放送用マルチキャストアドレスを含めるようにして、一般放送用マルチキャストアドレスを認識させるようにしても良い。
【0092】
上述した実施形態のコンテンツ配信システム9を構成する各構成要素の機能は、いわゆるソフトウェア処理により実現することができる。例えば、ポータルゲートウェイ1は、ハードウェア構成として、CPU、ROM、RAM、EEPROM等からなり、CPUが、ポータルゲートウェイ1の機能を実現する処理プログラムをROMから読み出し、必要なデータを用いて処理プログラムを実行することにより処理機能を実現することができる。なお、一般コンテンツ用放送配信サーバ2、広告用放送配信サーバ3−n、端末装置4−m、ルータ5−kについても同様である。
【符号の説明】
【0093】
1…ポータルゲートウェイ、
11…制御部、12…通信部、13…ユーザ情報格納部、14…サーバ情報格納部、
111…ユーザ認証部、112…ユーザ縦横方格納処理部、
113…サーバ情報格納処理部、114…広告用放送配信サーバ選択部、
115…通知情報作成部、
2…一般コンテンツ用放送配信サーバ、
21…制御部、22…ストリーム配信部、23…ストリームデータ格納部、
24…制御データ送受信部、
3−1〜3−N…広告用放送配信サーバ、
31…制御部、32…ストリーム配信部、33…ストリームデータ格納部、
34…制御データ送受信部、
4−1〜4−M…端末装置、5−1〜5−K…ルータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコンテンツを配信する第1のコンテンツ配信サーバと、上記第1のコンテンツに挿入するそれぞれ異なる第2のコンテンツを配信する複数の第2のコンテンツ配信サーバと、ユーザ端末から配信要求された上記第1のコンテンツの配信を許容するネットワーク装置とを備え、
上記ネットワーク装置は、
上記第1のコンテンツの配信を受けるための第1のマルチキャストアドレス及び上記第1のコンテンツ配信サーバの第1の識別情報を格納する第1の格納手段と、
少なくとも上記各第2のコンテンツの種別と、上記各第2のコンテンツ配信サーバの第2の識別情報とを格納する第2の格納手段と、
上記第2の格納手段の上記各第2のコンテンツの種別から、上記配信要求をしてきたユーザのユーザ特性情報に適する複数の上記第2のコンテンツを配信する上記第2のコンテンツ配信サーバを選択する第2のコンテンツ配信サーバ選択手段と、
上記第1のマルチキャストアドレスと、上記第2のコンテンツ選択手段により選択された複数の上記第2のコンテンツ配信サーバの第2の識別情報とを、上記ユーザ端末に通知する通知手段と
を備え、
上記ユーザ端末は、
上記第1のマルチキャストアドレス、上記第1の識別情報及び複数の上記第2の識別情報を用いて、所定のマルチキャスト通信処理を行うマルチキャスト通信処理手段と、
上記第1のマルチキャストアドレスを有するストリームデータのパケットを受信し、コンテンツを再生する再生手段と
を備え、
上記第1のコンテンツ配信サーバは、
上記第1のコンテンツのストリームデータを配信する第1のストリーム配信手段と、
上記第1のコンテンツのうち上記第2のコンテンツを挿入する挿入位置又は挿入時刻を検出する挿入検出手段と、
上記挿入検出手段により挿入位置又は挿入時刻が検出されると、上記第1のコンテンツのストリームデータの送信を中断し、その中断位置を記憶する管理手段と、
上記挿入検出手段により挿入位置又は挿入時刻が検出されると、全ての上記第2のコンテンツ配信サーバに対して、第2のコンテンツの送信要求を送信する送信要求送信手段と
を備え、
上記第2のコンテンツ配信サーバは、
上記第1のコンテンツ配信サーバから上記第2のコンテンツの送信要求を受信すると、上記第1のマルチキャストアドレスを用いて、上記第2のコンテンツのストリームデータを送信する第2のストリーム配信手段と、
上記第2のストリーム配信手段による送信が終了すると、上記第1のコンテンツ配信サーバに対して、第2のコンテンツの送信終了通知を送信する送信終了送信手段と
を備え、
上記第1のコンテンツ配信サーバの第1のストリーム配信手段が、全ての上記第2のコンテンツ配信サーバから上記第2のコンテンツの送信終了通知を受信すると、上記管理手段により記憶されている中断位置から、上記第1のコンテンツのストリームデータを送信することを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
上記ユーザ端末が、上記ネットワーク装置により選択された複数の上記第2のコンテンツ配信サーバのうち、既に受信した上記第2のコンテンツとは異なる1つの上記第2のコンテンツ配信サーバを決定する第2のコンテンツ配信サーバ決定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
第1のコンテンツを配信する第1のコンテンツ配信サーバと、上記第1のコンテンツに挿入するそれぞれ異なる第2のコンテンツを配信する複数の第2のコンテンツ配信サーバとを備えるコンテンツ配信システムで、ユーザ端末から配信要求された上記第1のコンテンツの配信を許容するネットワーク装置において、
上記第1のコンテンツの配信を受けるための第1のマルチキャストアドレス及び上記第1のコンテンツ配信サーバの第1の識別情報を格納する第1の格納手段と、
少なくとも上記各第2のコンテンツの種別と、上記各第2のコンテンツ配信サーバの第2の識別情報とを格納する第2の格納手段と、
上記第2の格納手段の上記各第2のコンテンツの種別から、上記配信要求をしてきたユーザのユーザ特性情報に適する複数の上記第2のコンテンツを配信する上記第2のコンテンツ配信サーバを選択する第2のコンテンツ配信サーバ選択手段と、
上記第1のマルチキャストアドレスと、上記第2のコンテンツ選択手段により選択された複数の上記第2のコンテンツ配信サーバの第2の識別情報とを、上記ユーザ端末に通知する通知手段と
を備えることを特徴とするネットワーク装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のコンテンツ配信システムを構成する第1のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバにおいて、
上記第1のコンテンツのストリームデータを配信する第1のストリーム配信手段と、
上記第1のコンテンツのうち上記第2のコンテンツを挿入する挿入位置又は挿入時刻を検出する挿入検出手段と、
上記挿入検出手段により挿入位置又は挿入時刻が検出されると、上記第1のコンテンツのストリームデータの送信を中断し、その中断位置を記憶する管理手段と、
上記挿入検出手段により挿入位置又は挿入時刻が検出されると、第2のコンテンツを配信する全ての上記第2のコンテンツ配信サーバに対して、第2のコンテンツの送信要求を送信する送信要求送信手段と
を備え、
上記第1のストリーム配信手段が、上記全ての第2のコンテンツ配信サーバから上記第2のコンテンツの送信終了通知を受信すると、上記管理手段により記憶されている中断位置から、上記第1のコンテンツのストリームデータを送信することを特徴とするコンテンツ配信サーバ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のコンテンツ配信システムを構成する第2のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバにおいて、
第1のコンテンツを配信する第1のコンテンツ配信サーバから上記第2のコンテンツの送信要求を受信すると、上記第1のマルチキャストアドレスを用いて、上記第2のコンテンツのストリームデータを送信する第2のストリーム配信手段と、
上記第2のストリーム配信手段による送信が終了すると、上記第1のコンテンツ配信サーバに対して、第2のコンテンツの送信終了通知を送信する送信終了送信手段と
を備えることを特徴とするコンテンツ配信サーバ。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のコンテンツ配信システムを構成するユーザ端末において、
第1のコンテンツの配信を受けるための第1のマルチキャストアドレスと、上記第1のコンテンツを配信する第1のコンテンツ配信サーバの第1の識別情報と、配信要求したネットワーク装置により選択された第2のコンテンツを配信する複数の第2のコンテンツ配信サーバの上記第2の識別情報を用いて、所定のマルチキャスト通信処理を行うマルチキャスト通信処理手段と、
上記第1のマルチキャストアドレスを有するストリームデータのパケットを受信し、コンテンツを再生する再生手段と
を備えることを特徴とするユーザ端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−176601(P2011−176601A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38963(P2010−38963)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(308033722)株式会社OKIネットワークス (165)
【Fターム(参考)】