説明

コンデンサ容量測定方法及び測定装置

【課題】インピーダンス素子の両側に2つのコンデンサがデルタ型又はπ型に接続されてなり、基板に内蔵されるコンデンサ回路内の各コンデンサの容量を、コンデンサを回路に接続したままの状態で、簡易な装置構成により、正確かつ容易に測定できるコンデンサ容量測定方法を提供する。
【解決手段】第1の測定段階では、両コンデンサC1,C2を並列接続したときの両コンデンサC1,C2の合成容量を測定する。第2の測定段階では、両コンデンサC1,C2の容量比を測定する。算出段階では、第1の測定段階で測定された合成容量と、第2の測定段階で測定された容量比とに基づいて、両コンデンサC1,C2の容量をそれぞれ算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インピーダンス素子の両側に2つのコンデンサがデルタ型又はπ型に接続されてなるコンデンサ回路におけるコンデンサンの容量を測定するコンデンサ容量測定方法及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インピーダンス素子の両側に2つのコンデンサがデルタ型又はπ型に接続されてなるコンデンサ回路内の各コンデンサの容量を測定しようとした場合、インピーダンス素子の影響や、2つのコンデンサ同士の影響を排除して測定を行う必要がある。しかし、各コンデンサを回路内に接続したままの状態では、インピーダンス素子の影響等を排除するのは容易ではなかった。
【0003】
特に、近年の基板製造技術の発達に伴い、多層化された基板にコンデンサやコイルが内臓される内蔵型基板(エンベデット基板)の開発が進んでいる。このような微細化且つ複雑化された基板において、外部装置との電気的な接続を行うことができるのは、基板上に形成されるパッドしかないため、内蔵されるコンデンサが所望する容量を有して内蔵されているかどうか検査することは極めて難しかった。
【0004】
なお、先行技術文献としては、例えば特許文献1、2が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−211113号公報
【特許文献2】特開2006−250743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の解決すべき課題は、インピーダンス素子の両側に2つのコンデンサがデルタ型又はπ型に接続されてなり、基板に内蔵されるコンデンサ回路内の各コンデンサの容量を、コンデンサを回路に接続したままの状態で、簡易な装置構成により、正確かつ容易に測定できるコンデンサ容量測定方法及び測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のコンデンサ容量測定方法の第1の局面では、第1及び第2接続部を有するインピーダンス素子と、第3及び第4接続部を有し、前記第3の接続部が前記インピーダンス素子の前記第1接続部と接続された第1コンデンサと、第5及び第6接続部を有し、前記第5接続部が前記インピーダンス素子の前記第2接続部と接続された第2コンデンサとを有するコンデンサ回路における、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を測定するコンデンサ容量測定方法であって、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを並列接続したときの前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの合成容量を測定する第1の測定段階と、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの容量比を測定する第2の測定段階と、前記第1の測定段階で測定された前記合成容量と、前記第2の測定段階で測定された前記容量比とに基づいて、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量とを算出する算出段階とを備え、前記第1の測定段階では、前記第1コンデンサの前記第3接続部及び前記第2コンデンサの前記第5接続部と、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部との間に、出力電圧が周期的に変動する第1の出力信号を与えることにより、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記合成容量を測定し、前記第2の測定段階は、前記第1コンデンサの前記第3接続部に対して、交流信号である第2の出力信号を与え、かつ前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部に対して、前記第2の出力信号と同じ周波数の交流信号である第3の出力信号を与えるとともに、前記第2コンデンサの前記第5接続部の電圧がゼロボルトになるように、前記第2の出力信号を調整した状態で、前記第1コンデンサの前記第3接続部の電圧を第1電圧測定値として測定する第1の電圧測定段階と、前記第2コンデンサの前記第3接続部に対して、前記第2の出力信号を与え、かつ前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部に対して、前記第3の出力信号を与えるとともに、前記第1コンデンサの前記第3接続部の電圧がゼロボルトになるように、前記第2の出力信号を調整した状態で、前記第2コンデンサの前記第5接続部の電圧を第2電圧測定値として測定する第2の電圧測定段階と、前記第1の電圧測定段階及び前記第2の電圧測定段階で測定された前記第1の電圧測定値及び前記第2の電圧測定値に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記容量比を算出する容量比算出段階とを備える。
【0008】
また、本発明のコンデンサ容量測定方法の第2の局面では、第1及び第2接続部を有するインピーダンス素子と、第3及び第4接続部を有し、前記第3の接続部が前記インピーダンス素子の前記第1接続部と接続された第1コンデンサと、第5及び第6接続部を有し、前記第5接続部が前記インピーダンス素子の前記第2接続部と接続された第2コンデンサとを有するコンデンサ回路における、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を測定するコンデンサ容量測定方法であって、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを並列接続したときの前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの合成容量を測定する第1の測定段階と、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの容量比を測定する第2の測定段階と、前記第1の測定段階で測定された前記合成容量と、前記第2の測定段階で測定された前記容量比とに基づいて、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量とを算出する算出段階とを備え、前記第1の測定段階では、前記第1コンデンサの前記第3接続部及び前記第2コンデンサの前記第5接続部と、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部との間に、出力電圧が周期的に変動する第1の出力信号を与えることにより、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記合成容量を測定し、前記第2の測定段階は、前記第1コンデンサの前記第4接続部と前記第2コンデンサの前記第6接続部とが接続されていない場合は前記第4接続部と前記第6接続部とを接続する一方、前記第4接続部と前記第6接続部とが接続されている場合はそのままとし、前記第1コンデンサの前記第3接続部に対して、交流信号である第2の出力信号を与え、かつ前記第2コンデンサの前記第5接続部に対して、前記第2の出力信号と同じ周波数の交流信号である第3の出力信号を与えるとともに、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部の電圧がゼロボルトになるように、前記第2の出力信号又は前記第3の出力信号を調整した状態で、前記第2の出力信号と前記第3の出力電圧との位相差を測定する電圧信号測定段階と、前記電圧信号測定段階で測定された前記位相差に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記容量比を算出する容量比算出段階とを備える。
【0009】
また、本発明のコンデンサ容量測定方法の第3の局面では、第1及び第2接続部を有するインピーダンス素子と、第3及び第4接続部を有し、前記第3の接続部が前記インピーダンス素子の前記第1接続部と接続された第1コンデンサと、第5及び第6接続部を有し、前記第5接続部が前記インピーダンス素子の前記第2接続部と接続された第2コンデンサとを有するコンデンサ回路における、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を測定するコンデンサ容量測定方法であって、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを並列接続したときの前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの合成容量を測定する第1の測定段階と、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの容量比を測定する第2の測定段階と、前記第1の測定段階で測定された前記合成容量と、前記第2の測定段階で測定された前記容量比とに基づいて、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量とを算出する算出段階とを備え、前記第1の測定段階では、前記第1コンデンサの前記第3接続部及び前記第2コンデンサの前記第5接続部と、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部との間に、出力電圧が周期的に変動する第1の出力信号を与えることにより、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記合成容量を測定し、前記第2の測定段階は、前記第1コンデンサの前記第4接続部と前記第2コンデンサの前記第6接続部とが接続されていない場合は前記第4接続部と前記第6接続部とを接続する一方、前記第4接続部と前記第6接続部とが接続されている場合はそのままとし、前記第1コンデンサの前記第3接続部と前記第2コンデンサの前記第5接続部とに対して、周波数と振幅が同じで、位相が互いに180度ずれた交流信号である第2及び第3の出力信号をそれぞれ与えつつ、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部の電圧信号の位相を測定する電圧信号測定段階と、前記電圧信号測定段階で測定された前記電圧信号の位相に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記容量比を算出する容量比算出段階とを備える。
【0010】
また、本発明のコンデンサ容量測定装置の第1の局面では、第1及び第2接続部を有するインピーダンス素子と、第3及び第4接続部を有し、前記第3の接続部が前記インピーダンス素子の前記第1接続部と接続された第1コンデンサと、第5及び第6接続部を有し、前記第5接続部が前記インピーダンス素子の前記第2接続部と接続され、前記第6接続部が前記第1コンデンサの前記第4接続部と接続された第2コンデンサとを有するコンデンサ回路における、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を測定するコンデンサ容量測定装置であって、前記インピーダンス素子の前記第1接続部と前記第1コンデンサの第3接続部との間の導電路、前記インピーダンス素子の前記第2接続部と前記第2コンデンサの第5接続部との間の導電路、前記第1コンデンサの第4接続部と前記第2コンデンサの第6接続部との間の導電路に、それぞれ少なくとも1つずつ接触された複数の接触ピンと、測定のための出力信号を出力する電源手段と、電気特性に関する測定を行う測定手段と、前記複数の接触ピンと、前記電源手段及び前記測定手段との間の電気的な接続関係を切り替える接続切替手段と、前記接続切替部の制御を行うとともに、前記測定手段の測定結果に基づいて前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を算出する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを並列接続したときの前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの合成容量を測定する第1測定処理部と、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの容量比を測定する第2測定処理部と、前記第1の測定段階で測定された前記合成容量と、前記第2の測定段階で測定された前記容量比とに基づいて、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量とを算出する算出処理部とを備え、前記第1測定処理部は、前記接続切替手段を制御して、前記第1コンデンサの前記第3接続部及び前記第2コンデンサの前記第5接続部と、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部との間に、出力電圧が周期的に変動する第1の出力信号を前記電源手段に与えさせ、前記測定手段に並列接続された前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに関する電気的特性を測定させ、その測定結果に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記合成容量を算出し、前記第2測定処理部は、前記接続切替手段を制御して、前記第1コンデンサの前記第3接続部に対して、交流信号である第2の出力信号を前記電源手段に与えさせ、かつ前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部に対して、前記第2の出力信号と同じ周波数の交流信号である第3の出力信号を前記電源手段に与えさせるとともに、前記第2コンデンサの前記第5接続部の電圧を前記測定手段に測定させ、その第5接続部の電圧がゼロボルトになるように、前記第2の出力信号を前記電源手段に調整させた状態で、前記第1コンデンサの前記第3接続部の電圧を第1電圧測定値として前記測定手段に測定させ、前記接続切替手段を制御して、前記第2コンデンサの前記第3接続部に対して、前記第2の出力信号を前記電源手段に与えさせ、かつ前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部に対して、前記第3の出力信号を前記電源手段に与えさせるとともに、前記第1コンデンサの前記第3接続部の電圧を前記測定手段に測定させ、その第3接続部の電圧がゼロボルトになるように、前記第2の出力信号を前記電源手段に調整させた状態で、前記第2コンデンサの前記第5接続部の電圧を第2電圧測定値として前記測定手段に測定させ、得られた前記第1の電圧測定値及び前記第2の電圧測定値に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記容量比を算出する。
【0011】
また、本発明のコンデンサ容量測定装置の第2の局面では、第1及び第2接続部を有するインピーダンス素子と、第3及び第4接続部を有し、前記第3の接続部が前記インピーダンス素子の前記第1接続部と接続された第1コンデンサと、第5及び第6接続部を有し、前記第5接続部が前記インピーダンス素子の前記第2接続部と接続され、前記第6接続部が前記第1コンデンサの前記第4接続部と接続された第2コンデンサとを有するコンデンサ回路における、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を測定するコンデンサ容量測定装置であって、前記インピーダンス素子の前記第1接続部と前記第1コンデンサの第3接続部との間の導電路、前記インピーダンス素子の前記第2接続部と前記第2コンデンサの第5接続部との間の導電路、前記第1コンデンサの第4接続部と前記第2コンデンサの第6接続部との間の導電路に、それぞれ少なくとも1つずつ接触された複数の接触ピンと、測定のための出力信号を出力する電源手段と、電気特性に関する測定を行う測定手段と、前記複数の接触ピンと、前記電源手段及び前記測定手段との間の電気的な接続関係を切り替える接続切替手段と、前記接続切替部の制御を行うとともに、前記測定手段の測定結果に基づいて前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を算出する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを並列接続したときの前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの合成容量を測定する第1測定処理部と、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの容量比を測定する第2測定処理部と、前記第1の測定段階で測定された前記合成容量と、前記第2の測定段階で測定された前記容量比とに基づいて、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量とを算出する算出処理部とを備え、前記第1測定処理部は、前記接続切替手段を制御して、前記第1コンデンサの前記第3接続部及び前記第2コンデンサの前記第5接続部と、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部との間に、出力電圧が周期的に変動する第1の出力信号を前記電源手段に与えさせ、前記測定手段に並列接続された前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに関する電気的特性を測定させ、その測定結果に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記合成容量を算出し、前記第2測定処理部は、前記接続切替手段を制御して、前記第1コンデンサの前記第3接続部に対して、交流信号である第2の出力信号を前記電源手段に与えさせ、かつ前記第2コンデンサの前記第5接続部に対して、前記第2の出力信号と同じ周波数の交流信号である第3の出力信号を前記電源手段に与えさせるとともに、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部の電圧を前記測定手段に測定させ、その第4接続部及び第6接続部の電圧がゼロボルトになるように、前記第2の出力信号又は前記第3の出力信号を前記電源手段に調整させた状態で、前記第2の出力信号と前記第3の出力電圧との位相差を前記測定手段に測定させ、得られた前記位相差に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記容量比を算出する。
【0012】
また、本発明のコンデンサ容量測定装置の第3の局面では、第1及び第2接続部を有するインピーダンス素子と、第3及び第4接続部を有し、前記第3の接続部が前記インピーダンス素子の前記第1接続部と接続された第1コンデンサと、第5及び第6接続部を有し、前記第5接続部が前記インピーダンス素子の前記第2接続部と接続され、前記第6接続部が前記第1コンデンサの前記第4接続部と接続された第2コンデンサとを有するコンデンサ回路における、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を測定するコンデンサ容量測定装置であって、前記インピーダンス素子の前記第1接続部と前記第1コンデンサの第3接続部との間の導電路、前記インピーダンス素子の前記第2接続部と前記第2コンデンサの第5接続部との間の導電路、前記第1コンデンサの第4接続部と前記第2コンデンサの第6接続部との間の導電路に、それぞれ少なくとも1つずつ接触された複数の接触ピンと、測定のための出力信号を出力する電源手段と、電気特性に関する測定を行う測定手段と、前記複数の接触ピンと、前記電源手段及び前記測定手段との間の電気的な接続関係を切り替える接続切替手段と、前記接続切替部の制御を行うとともに、前記測定手段の測定結果に基づいて前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を算出する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを並列接続したときの前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの合成容量を測定する第1測定処理部と、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの容量比を測定する第2測定処理部と、前記第1の測定段階で測定された前記合成容量と、前記第2の測定段階で測定された前記容量比とに基づいて、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量とを算出する算出処理部とを備え、前記第1測定処理部は、前記接続切替手段を制御して、前記第1コンデンサの前記第3接続部及び前記第2コンデンサの前記第5接続部と、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部との間に、出力電圧が周期的に変動する第1の出力信号を前記電源手段に与えさせ、前記測定手段に並列接続された前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに関する電気的特性を測定させ、その測定結果に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記合成容量を算出し、前記第2測定処理部は、前記接続切替手段を制御して、前記第1コンデンサの前記第3接続部と前記第2コンデンサの前記第5接続部とに対して、周波数と振幅が同じで、位相が互いに180度ずれた交流信号である第2及び第3の出力信号を前記電源手段にそれぞれ与えさせつつ、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部の電圧信号の位相を前記測定手段に測定させ、得られた前記電圧信号の位相に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記容量比を算出する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るコンデンサ容量測定方法における上記第1ないし第3の局面によれば、インピーダンス素子の両側に2つのコンデンサがデルタ型又はπ型に接続されてなり、基板に内蔵されるコンデンサ回路内の各コンデンサの容量を、コンデンサを回路に接続したままの状態で、簡易な装置構成により、正確かつ容易に測定できる。
【0014】
本発明に係るコンデンサ容量測定装置における上記第1ないし第3の局面によれば、インピーダンス素子の両側に2つのコンデンサがデルタ型に接続されてなり、基板に内蔵されるコンデンサ回路内の各コンデンサの容量を、コンデンサを回路に接続したままの状態で、簡易な装置構成により、正確かつ容易に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコンデンサ容量測定方法における第1の測定段階の説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るコンデンサ容量測定方法の第2の測定段階における第1の電圧測定段階の説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るコンデンサ容量測定方法の第2の測定段階における第2の電圧測定段階の説明図である。
【図4】図2に示す測定回路の等価回路を示す図である。
【図5】図3に示す測定回路の等価回路を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るコンデンサ容量測定方法に用いられるコンデンサ容量測定装置の電気的構成を示すブロック図であって、第1の測定段階の動作を説明するための図である。
【図7】図6のコンデンサ容量測定装置における第2の測定段階の第1の電圧測定段階の動作を説明するための図である。
【図8】図6のコンデンサ容量測定装置における第2の測定段階の第2の電圧測定段階の動作を説明するための図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るコンデンサ容量測定方法の第2の測定段階の説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るコンデンサ容量測定方法に用いられるコンデンサ容量測定装置の電気的構成を示すブロック図であって、第1の測定段階の動作を説明するための図である。
【図11】図10のコンデンサ容量測定装置における第2の測定段階の動作を説明するための図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るコンデンサ容量測定方法の第2の測定段階の説明図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るコンデンサ容量測定方法に用いられるコンデンサ容量測定装置の電気的構成を示すブロック図であって、第1の測定段階の動作を説明するための図である。
【図14】図13のコンデンサ容量測定装置における第2の測定段階の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
まず図1ないし図3を参照して、本発明の第1実施形態に係るコンデンサ容量測定方法について説明する。なお、第1ないし3実施形態の説明では、説明の都合上、デルタ型の所定の位置のみに接触ピンを当接させているが、実際の接触ピンは基板上に予め設定される所定の位置に接触ピンが配置され当接されている。
【0017】
このコンデンサ容量測定方法は、図1に示すように、インピーダンス素子としてのインダクタLの両側に2つのコンデンサC1,C2がデルタ型又はπ型に接続されてなるコンデンサ回路1の各コンデンサC1,C2の容量(静電容量)を測定するためのものである。より詳細には、この図1に示すコンデンサ回路1は、デルタ型の接続構成を有し、インダクタLの両側の第1及び第2接続部P1,P2のうちの第1接続部P1に第1コンデンサC1の第3接続部P3が接続され、第2接続部P2に第2コンデンサC2の第5接続部P5が接続され、第1コンデンサC1の第4接続部P4と第2コンデンサC2の第6接続部P6とが接続されている。本実施形態では、コンデンサ回路1は基板に内蔵されているものとする。以下、第1ないし第6接続部P1〜P6は単に接続部P1〜P6と呼ぶこととする。
【0018】
なお、本実施形態では、インピーダンス素子の一例としてインダクタLを挙げたが、インピーダンスを有している素子であれば他の素子でもよい。また、本実施形態では、コンデンサ回路1が、第1コンデンサC1の第4接続部P4と第2コンデンサC2の第6接続部P6とが接続されたデルタ型の構成を有しているが、第4接続部P4と第6接続部P6とが接続されていないπ型の構成を有していてもよい。
【0019】
このコンデンサ容量測定方法は、図1に示す第1の測定段階と、図2及び図3に示す第2の測定段階と、算出段階とを備えている。第1の測定段階では、両コンデンサC1,C2を並列接続したときの両コンデンサC1,C2の合成容量を測定する。第2の測定段階は、後述する第1の電圧測定段階と、第2の電圧測定段階と、容量比算出段階とを有し、この第2の測定段階では、両コンデンサC1,C2の容量比を測定する。算出段階では、第1の測定段階で測定された合成容量と、第2の測定段階で測定された容量比とに基づいて、両コンデンサC1,C2の容量をそれぞれ算出する。
【0020】
より具体的には、第1の測定段階では、図1に示すように、コンデンサ容量測定装置2により、第1コンデンサC1の接続部P3及び第2コンデンサC2の接続部P5と、第1コンデンサC1の接続部P4及び第2コンデンサC2の接続部P6との間に、出力電圧が周期的に変動する出力信号(本実施形態では、交流電圧)を与えることにより、両コンデンサC1,C2の合成容量を測定する。この合成容量の測定手法としては、種々の手法が採用可能であるが、その一例として、例えば、接続部P3,P5と接続部P4,P6との間に出力信号を与えたときに、接続部P3,P5と接続部P4,P6との間の電圧、及び接続部P3,P5と接続部P4,P6との間に流れる電流を測定し、その電圧測定値及び電流測定値に基づいて合成容量を算出する手法が挙げられる。
【0021】
第2の測定段階の第1の電圧測定段階では、図2に示すように、第1及び第2電源部11,12、第1及び第2電圧測定部13,14及び電流測定部15を用いて測定が行われる。第1及び第2の電源部11,12は、同じ周波数の交流信号(交流電圧)である出力信号をそれぞれ出力する。但し、第1の電源部11は、第2電圧測定部14からその測定電圧に応じて出力される制御信号に基づき、第2電圧測定部14が測定した電圧がゼロボルトになるように、その出力信号の位相及び振幅を調整する機能を有している。この第1及び第2の電源部11,12が出力する出力信号は、本発明に係る第2及び第3の出力信号にそれぞれ相当している。なお、電流測定部15は、第1電源部11から出力される出力信号の電流値を測定するものであるが、必須のものではなく、省略可能である。
【0022】
具体的な測定方法としては、第1電源部11の出力信号を第1コンデンサC1の接続部P3に対して与え、かつ第2電源部12の出力信号を第1コンデンサC1の接続部P4及び第2コンデンサC2の接続部P6に対して与える。このとき、第1及び第2電源部11,12の正負2つの出力端子のうちの一方側はグランドに接続されており、第1及び第2電源部11,12の他方側の出力端子からの出力が出力信号としてコンデンサ回路1中の所定位置に供給される。
【0023】
これと同時に、第2電圧測定部14によって第2コンデンサC2の接続部P5の電圧を測定し、その測定電圧がゼロボルトになるように、第1電源部11にその出力信号の位相及び振幅を調整させる。そして、そのように接続部P2の電圧をゼロボルトに調整しつつ、第1電圧測定部13によって、第1コンデンサC1の接続部P3の電圧を第1電圧測定値として測定する。なお、より詳細には第1電圧測定部13は接続部P3とグランドとの間の電圧を測定し、第2電圧測定部14は接続部P5とグランドとの間の電圧を測定する。
【0024】
第2の測定段階の第2の電圧測定段階でも、図3に示すように、第1の電圧測定段階と同じ設備構成を用いて測定が行われる。但し、第1の電圧測定段階とは、コンデンサ回路1に接続される第1の電源部11、第1及び第2電圧測定部13,14及び電流測定部15の位置が変更されている。第2の電源部12の接続位置には変更がない。
【0025】
その具体的な測定方法としては、第1電源部11の出力信号を第2コンデンサC2の接続部P5に対して与え、かつ第2電源部12の出力信号を第1コンデンサC1の接続部P4及び第2コンデンサC2の接続部P6に対して与える。このとき、第2電源部12の出力信号の出力電圧は上記の第2の電圧測定段階のときと同じ値に設定される(後述する図8に示す測定動作でも同様である)。また、第1及び第2電源部11,12の正負2つの出力端子のうちの一方側はグランドに接続されており、第1及び第2電源部11,12の他方側の出力端子からの出力が出力信号としてコンデンサ回路1中の所定位置に供給される。
【0026】
これと同時に、第2電圧測定部14によって第1コンデンサC1の接続部P3の電圧を測定し、その測定電圧がゼロボルトになるように、第1電源部11にその出力信号の位相及び振幅を調整させる。そして、そのように接続部P2の電圧をゼロボルトに調整しつつ、第1電圧測定部13によって、第2コンデンサC2の接続部P5の電圧を第2電圧測定値として測定する。なお、より詳細には第1電圧測定部13は接続部P5とグランドとの間の電圧を測定し、第2電圧測定部14は接続部P3とグランドとの間の電圧を測定する。
【0027】
そして、容量比算出段階にて、第1及び第2の電圧測定段階で測定された第1及び第2の電圧測定値に基づいて、両コンデンサC1,C2の容量比を算出する。この容量比の算出の原理について、図2及び図3の回路に対する図4及び図5に示す等価回路を参照して説明する(図4は図2に対応、図5は図3に対応)。
【0028】
図4及び図5の等価回路において、第2電源部12の出力電圧は図4及び図5ともにvとすると、第2電圧測定部14の測定電圧がゼロボルトになるように第1電源部11の出力信号の位相及び振幅が調整されているため、回路中の各素子の両端の電圧は、図中にv,vL1,v+vL1,vL2,v+vL2で表された関係を有する。
【0029】
また、図4中の第2コンデンサC2とリアクタLに流れる電流は同じであり、図5中の第1コンデンサC1とリアクタLに流れる電流は同じである。
【0030】
このため、コンデンサC1,C2のリアクタンスをXC1,XC2とし、リアクタLのリアクタンスをXのとすると、図4より、
/XC2 = vL2/X
の関係が得られ、これより
=(XC2/X)・vL2 (式1)
の関係が得られる。
【0031】
また、図5より、
/XC1 = vL1/X
の関係が得られ、これより
=(XC1/X)・vL1 (式2)
の関係が得られる。
【0032】
そして、(式1),(式2)より、
(XC2/X)・vL2 =(XC1/X)・vL1 (式3)
の関係が得られる。
【0033】
L2,vL1は、第1電圧測定部13の測定電圧vm2,vm1の絶対値とそれぞれ等しいため、
L2 = vm2 ,vL1 = vm1
であり、これを(式3)に代入して式変形すると、
C2:XC1 = vm1:vm2 (式4)
なる関係が得られる。これより、図4、図5の電圧vm1,vm2を測定することにより、電圧vm1,vm2の比でコンデンサC1,C2の容量比が算出できる。
【0034】
続く算出段階では、第1の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の合成容量(XC1+XC2)と、第2の測定段階で測定された(式4)の容量比とに基づいて、両コンデンサC1,C2の容量がそれぞれ算出される。
【0035】
次に、図6ないし図8を参照して、本実施形態に係るコンデンサ容量測定方法に用いられるコンデンサ容量測定装置(以下、単に「測定装置」という)について説明する。この測定装置2は、図6に示すように、複数(図6の図示例では6つ)の接触ピンCP1〜CP6と、電源手段3と、測定手段4と、接続切替手段5と、制御手段6と、表示手段7とを備えている。
【0036】
接触ピンCP1〜CP6は、測定装置2とコンデンサ回路1の各部との電気接続を得るためのものであり、コンデンサ回路1の所定部位に電気的に接触される。具体的には、接触ピンCP1,CP6は、インダクタLと第2コンデンサC2との間を接続する導電路に電気的に接触され、接触ピンCP2,CP3はインダクタLと第1コンデンサC1との間を接続する導電路に電気的に接触され、接触ピンCP4,CP5は第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との間を接続する導電路に電気的に接触される。
【0037】
電源手段3は、測定のための出力信号を供給するためものものであり、第1及び第2電源部11,12を有している。この電源手段3に含まれる第1及び第2電源部11,12、後述する測定手段4に含まれる第1及び第2電圧測定部13,14、及び第1電流測定部15は、上述の図4、図5に示すものと実質的に同じ機能を有する同一のものであり、ここではこれらの機能に関する説明を省略する。
【0038】
測定手段4は、コンデンサC1,C2の容量を測定するために必要な電気特性の測定を行うものであり、第1及び第2電圧測定部13,14、及び第1及び第2電流測定部15,16を有している。第2電流測定部16は、第2電源部12から出力される第2出力信号の電流値を測定する。各測定部13〜16の測定値である測定結果は、制御手段6に与えられる。また、第2電圧測定部14からはその測定電圧に応じた信号を制御信号として第1電源部11に与えられる。
【0039】
接続切替手段5は、制御手段6の制御によりオン、オフ等の切り替え動作を行う複数のスイッチング素子(例えば、半導体スイッチング素子)を有して構成され、複数の接触ピンCP1〜CP6と、電源手段3の電源部11,12、及び測定手段4の測定部13〜16との間の電気的な接続関係等を切り替える。具体的には、接続切替手段5には、6つのスイッチ群SG1〜SG6と、スイッチング素子SW11,SW12とが備えられている。スイッチ群SG1〜SG6に含まれる後述する各スイッチング素子SW1〜SW4、及びスイッチング素子SW11,SW12は、制御手段6によってオン、オフ等の切り替えが制御される。
【0040】
6つのスイッチ群SG1〜SG6は、6つの接触ピンCP1〜CP6に1つずつ対応して設けられており、各スイッチング群SG1〜SG6には、例えば4つのスイッチング素子SW1〜SW4がそれぞれ備えられている。各スイッチ群SG1〜SG6のスイッチング素子SW1は、対応する接触ピンCP1〜CP6と第2電源部12との間の導電路をオン、オフするためのものである。スイッチング素子SW2は、対応する接触ピンCP1〜CP6と第1電圧測定部13との間の導電路をオン、オフするためのものである。スイッチング素子SW3は、対応する接触ピンCP1〜CP6と、第2電圧測定部14の接触ピンCP1〜CP6側に配置されたスイッチング素子SW12との間の導電路をオン、オフするためのものである。スイッチング素子SW4は、対応する接触ピンCP1〜CP6と第1電源部11との間の導電路をオン、オフするためのものである。
【0041】
スイッチング素子SW11は、第1電源測定部13により第2電源部12が出力する出力信号の電圧を測定可能とするために、第1電源測定部13と第2電源部12の出力信号が伝搬する導電路との間をオン、オフするためのものである。スイッチング素子SW12は、各スイッチ群SG1〜SG6のスイッチング素子SW3がオンのときに、接触ピンCP1〜CP6を第2電圧測定部14に接続するか、グランドに接続するかを切り替えるためのものである。
【0042】
表示手段7は、測定結果(各コンデンサC1,C2の容量)及び操作に必要な情報等の表示が行われる。
【0043】
制御手段6は、接続切替手段5内の各スイッチング素子の制御を含むこの測定装置2全体の制御、及びコンデンサC1,C2の容量を測定するために必要な情報処理等を行う。制御手段6の機能要素としては、上述の第1の測定段階における両コンデンサC1,C2の合成容量の測定のための動作を司る第1測定処理部21と、第2の測定段階における両コンデンサC1,C2の容量比の測定のための動作を司る第2測定処理部22と、算出段階における第1及び第2の測定段階により得られた測定結果に基づいた両コンデンサC1,C2の容量の算出処理を司る算出処理部23とを備えている。
【0044】
以下では、制御手段6の各処理部21〜23の制御動作について説明しながら、この測定装置2の測定動作を説明していく。
【0045】
第1の測定段階における第1測定処理部21による制御動作では、まず図6に示すように、接続切替手段5のスイッチ群SG1〜SG6のスイッチング素子SW1〜SW4のうち、スイッチ群SG1のスイッチング素子SW1、スイッチ群SG2のスイッチング素子SW1、及びスイッチ群SG5のスイッチング素子SW3のみがオンされ、他のスイッチング素子SW1〜SW4は全てオフされる。また、スイッチング素子SW11がオンされるとともに、スイッチング素子SW12がグランド側に接続される。
【0046】
これにより、第2電源部12の出力信号(出力電圧)が、スイッチ群SG1,SG2のスイッチング素子SW1、スイッチ群SG5のスイッチング素子SW3、及び接触ピンCP1,CP2,CP5を介して、コンデンサC1,C2の接続部P3,P5と接続部P4,P6との間に供給可能となる。また、第1電圧測定部13による第2電源部12の出力信号の電圧測定が可能となる。
【0047】
そして、第2電源部12の交流信号である出力信号(出力電圧)をコンデンサC1,C2の接続部P3,P5と接続部P4,P6との間に与えつつ、第2電源部12の出力信号に対する第1電圧測定部13による電圧測定、及び第2電流測定部16による電流測定が行われ、その測定電圧及び測定電流に基づいて並列接続されたときの両コンデンサC1,C2の合成容量が算出される。
【0048】
続く第2の測定段階の第1の電圧測定段階における第2測定処理部22による制御動作では、まず図7に示すように、接続切替手段5のスイッチ群SG1〜SG6のスイッチング素子SW1〜SW4のうち、スイッチ群SG2のスイッチング素子SW4、スイッチ群SG3のスイッチング素子SW2、スイッチ群SG4のスイッチング素子SW1、及びスイッチ群SG6のスイッチング素子SW3のみがオンされ、他のスイッチング素子SW1〜SW4は全てオフされる。また、スイッチング素子SW11がオフされるとともに、スイッチング素子SW12が第2電圧測定部14側に接続される。
【0049】
これにより、上述の図2及び図4に示す回路に対応する接続関係が得られ、第1電源部11の出力信号が、スイッチ群SG2のスイッチング素子SW4及び接触ピンCP2を介して、コンデンサC1の接続部P3に供給可能となり、第2電源部12の出力信号が、スイッチ群SG4のスイッチング素子SW1及び接触ピンCP4を介して、コンデンサC1,C2の接続部P4,P6に供給可能となる。また、第1電圧測定部13によるコンデンサC1の接続部P3の電圧測定が、スイッチ群SG3のスイッチング素子SW2及び接触ピンCP2を介して可能となるとともに、第2電圧測定部14によるコンデンサC2の接続部P5の電圧測定が、スイッチング素子SW12、スイッチ群SG6のスイッチング素子SW3及び接触ピンCP6を介して可能となる。
【0050】
そして、第1電源部11の出力信号を第1コンデンサC1の接続部P3に対して与え、かつ第2電源部12の出力信号を第1コンデンサC1の接続部P4及び第2コンデンサC2の接続部P6に対して与える。これと同時に、第2電圧測定部14によって第2コンデンサC2の接続部P5の電圧を測定し、その測定電圧がゼロボルトになるように、第1電源部11にその出力信号の位相及び振幅を調整させる。そして、そのように接続部P2の電圧をゼロボルトに調整しつつ、第1電圧測定部13によって、第1コンデンサC1の接続部P3の電圧を第1電圧測定値として測定する。
【0051】
続く第2の測定段階の第2の電圧測定段階における第2測定処理部22による制御動作では、まず図8に示すように、接続切替手段5のスイッチ群SG1〜SG6のスイッチング素子SW1〜SW4のうち、スイッチ群SG1のスイッチング素子SW4、スイッチ群SG2のスイッチング素子SW3、スイッチ群SG4のスイッチング素子SW1、及びスイッチ群SG6のスイッチング素子SW2のみがオンされ、他のスイッチング素子SW1〜SW4は全てオフされる。また、スイッチング素子SW11がオフされるとともに、スイッチング素子SW12が第2電圧測定部14側に接続される。
【0052】
これにより、上述の図3及び図5に示す回路に対応する接続関係が得られ、第1電源部11の出力信号が、スイッチ群SG1のスイッチング素子SW4及び接触ピンCP1を介して、コンデンサC2の接続部P5に供給可能となり、第2電源部12の出力信号が、スイッチ群SG4のスイッチング素子SW1及び接触ピンCP4を介して、コンデンサC1,C2の接続部P4,P6に供給可能となる。また、第1電圧測定部13によるコンデンサC2の接続部P5の電圧測定が、スイッチ群SG6のスイッチング素子SW2及び接触ピンCP6を介して可能となるとともに、第2電圧測定部14によるコンデンサC1の接続部P3の電圧測定が、スイッチング素子SW12、スイッチ群SG2のスイッチング素子SW3及び接触ピンCP2を介して可能となる。
【0053】
そして、第1電源部11の出力信号を第2コンデンサC2の接続部P5に対して与え、かつ第2電源部12の出力信号を第1コンデンサC1の接続部P4及び第2コンデンサC2の接続部P6に対して与える。これと同時に、第2電圧測定部14によって第1コンデンサC1の接続部P3の電圧を測定し、その測定電圧がゼロボルトになるように、第1電源部11にその出力信号の位相及び振幅を調整させる。そして、そのように接続部P2の電圧をゼロボルトに調整しつつ、第1電圧測定部13によって、第2コンデンサC2の接続部P5の電圧を第2電圧測定値として測定する。
【0054】
続く第2の測定段階の容量比算出段階における第2測定処理部22による処理動作では、第1及び第2の電圧測定段階で測定された第1及び第2の電圧測定値に基づいて、両コンデンサC1,C2の容量比を算出する。より具体的には、第1及び第2の電圧測定値の比に基づいて、両コンデンサC1,C2の容量比が算出される。
【0055】
続く算出段階における算出処理部23による処理動作では、第1の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の合成容量と、第2の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の容量比とに基づいて、両コンデンサC1,C2の容量がそれぞれ算出され、その算出結果が表示手段7に表示される。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、インピーダンス素子であるインダクタLの両側に2つのコンデンサC1,C2がデルタ型に接続されてなり、基板に内蔵されるコンデンサ回路1内の各コンデンサC1,C2の容量を、コンデンサC1,C2を回路1に接続したままの状態で、簡易な装置構成により、正確かつ容易に測定できる。
【0057】
<第2実施形態>
次に図9を参照して、本発明の第2実施形態に係るコンデンサ容量測定方法について説明する。本実施形態に係るコンデンサ容量測定方法も、上述の第1実施形態に係るコンデンサ容量測定方法と同様な図9に示すコンデンサ回路1内の各コンデンサC1,C2の容量の措定を行うためのものである。
【0058】
このコンデンサ容量測定方法は、第1の測定段階と、図9に示す第2の測定段階と、算出段階とを備えている。第1の測定段階は、両コンデンサC1,C2を並列接続したときの両コンデンサC1,C2の合成容量を測定するためのものであり、上述の第1実施形態に係る第1の測定段階と同様な測定手法が用いられるため、詳細な説明は省略する。
【0059】
第2の測定段階では、両コンデンサC1,C2の容量比が測定される。続く算出段階で、第1の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の合成容量と、第2の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の容量比とに基づいて、両コンデンサC1,C2の容量が算出される。
【0060】
より詳細には、第2の測定段階は、後述する電圧信号測定段階と、容量比算出段階とを備えている。電圧信号測定段階では、図9に示す測定設備を用いて測定が行われる。なお、図9において、測定のための設備(第1及び第2電源部11,12、第1及び第2電圧測定部13,14及び電流測定部15)自体は、上述の図2の設備とほぼ同一であるため、同一の参照符号を用いて説明を省略する。なお、電流測定部15は必須のものではなく、省略可能である。
【0061】
ここで、仮にコンデンサ回路1の構成がコンデンサC1の接続部P4とコンデンサC2の接続部P6とが接続されていないπ型である場合には、この第2の測定段階では、接続部P4と接続部P6との間を接続回路により接続する必要がある。それは、例えば、配線により互いに接続された2つの接触ピンを接続部P4,P6に導通させることにより行われる。
【0062】
具体的には、第1電源部11の交流信号である出力信号をコンデンサC2の接続部P5に与えるとともに、第1電源部11の出力信号と同じ周波数を有する交流信号である第2電源部12の出力信号をコンデンサC1の接続部P3に与える。これと同時に、第2電圧測定部14によりコンデンサC1,C2の接続部P4,P6の電圧を測定し、その測定電圧がゼロボルトになるように、第1電源部11にその出力信号の位相及び振幅を調整させる。そして、第1電源部11にその出力信号を接続部P4,P6の電圧がゼロボルトになるように調整させつつ、第1電圧測定部13に、第1電源部11が出力する出力信号の出力電圧と、第2電源部12が出力する出力信号の出力電圧との位相差を測定させる。
【0063】
このとき、第1及び第2電源部11,12の正負2つの出力端子のうちの一方側はグランドに接続されており、第1及び第2電源部11,12の他方側の出力端子からの出力が出力信号としてコンデンサ回路1中の所定位置に供給される。また、より具体的には、第2電圧測定部14は、接続部P4,P6とグランドとの間の電圧を測定するようになっている。
【0064】
なお、変形例として、第1電圧測定部13に、両電源部11,12が出力する出力信号の位相差とともに、振幅差を測定させてもよい。そして、その測定された振幅差に基づいて、第1電源部11の出力信号を接続部P5に供給するための接触ピンCP1(図11参照)のコンデンサ回路1との接触部の接触抵抗と、第2電源部12の出力信号を接続部P3に供給するための接触ピンCP2(図11参照)のコンデンサ回路1との接触部の接触抵抗との差を検出するようにしてもよい。
【0065】
続く第2の測定段階の容量比算出段階では、上述の電圧信号測定段階で測定された両電源部11,12の出力信号の位相差に基づいて、両コンデンサC1,C2の容量比を算出する。
【0066】
続く算出段階では、第1の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の合成容量と、第2の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の容量比とに基づいて、各コンデンサC1,C2の容量を算出する。
【0067】
次に、図10及び図11を参照して、本実施形態に係るコンデンサ容量測定方法に用いられる測定装置2aについて説明する。この測定装置2aは、図10に示すように、複数(図10の図示例では3つ)の接触ピンCP1〜CP3と、電源手段3と、測定手段4と、接続切替手段5と、制御手段6と、表示手段7とを備えている。なお、この図10に示す構成と上述の図6に示す構成とが実質的に異なっている点は、接触ピンCP1〜CP3の数、接続切替手段5の構成、第1電圧測定部13の接続形態、及び制御手段6の制御動作のみであり、互いに対応する部分には同一の参照符号を付して説明の重複を回避する。
【0068】
この測定装置2aでは、接触ピンCP1〜CP3が、インダクタLと第2コンデンサC2との間を接続する導電路、インダクタLと第1コンデンサC1との間を接続する導電路、及び第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との間を接続する導電路にそれぞれ1つずつ電気的に接触される。
【0069】
また、第1電圧測定部13の2つの測定端子のうちの一方側は、第2電源部12から接触ピンCP1〜CP3側に向かう出力信号の出力ラインに接続されており、その他方側は、後述する接続切替手段5のスイッチング素子SW13により、グランド、又は第1電源部11から接触ピンCP1〜CP3側に向かう出力信号の出力ラインに選択的に接続される。このため、スイッチング素子SW13がグランド側に接続されているときは、第1電圧測定部13によって、第1電源部11から出力される出力信号のグランド電位に対する電圧が測定可能となる。また、スイッチング素子SW13が第1電源部11の出力ライン側に接続されているときは、第1電圧測定部13によって、第1電源部11から出力される出力信号と第2電源部12から出力される出力信号との位相差(あるいは、位相差及び振幅差)が測定可能となる。
【0070】
接続切替手段5には、3つのスイッチ群SG1〜SG3と、スイッチング素子SW12,SW13とが備えられている。スイッチ群SG1〜SG3に含まれる後述する各スイッチング素子SW1〜SW3、及びスイッチング素子SW12,SW13は、制御手段6によってオン、オフ等の切り替えが制御される。
【0071】
3つのスイッチ群SG1〜SG3は、3つの接触ピンCP1〜CP3に1つずつ対応して設けられており、各スイッチング群SG1〜SG3には、例えば3つのスイッチング素子SW1〜SW3がそれぞれ備えられている。各スイッチ群SG1〜SG3のスイッチング素子SW1は、対応する接触ピンCP1〜CP3と第2電源部12との間の導電路をオン、オフするためのものである。スイッチング素子SW2は、対応する接触ピンCP1〜CP3と、第2電圧測定部14の接触ピンCP1〜CP3側に配置されたスイッチング素子SW12との間の導電路をオン、オフするためのものである。スイッチング素子SW3は、対応する接触ピンCP1〜CP3と第1電源部11との間の導電路をオン、オフするためのものである。
【0072】
スイッチング素子SW12は、各スイッチ群SG1〜SG3のスイッチング素子SW2がオンのときに、接触ピンCP1〜CP3を第2電圧測定部14に接続するか、グランドに接続するかを切り替えるためのものである。スイッチング素子SW13は、第1電圧測定部13との関係で既に説明した通りである。
【0073】
制御手段6は、機能要素として、上述の第1の測定段階における両コンデンサC1,C2の合成容量の測定のための動作を司る第1測定処理部21aと、第2の測定段階における両コンデンサC1,C2の容量比の測定のための動作を司る第2測定処理部22aと、算出段階における第1及び第2の測定段階により得られた測定結果に基づいた両コンデンサC1,C2の容量の算出処理を司る算出処理部23aとを備えている。
【0074】
以下では、制御手段6の各処理部21a〜23aの制御動作について説明しながら、この測定装置2aの測定動作を説明していく。
【0075】
第1の測定段階における第1測定処理部21aによる制御動作では、まず図10に示すように、接続切替手段5のスイッチ群SG1〜SG3のスイッチング素子SW1〜SW3うち、スイッチ群SG1のスイッチング素子SW1、スイッチ群SG2のスイッチング素子SW1、及びスイッチ群SG3のスイッチング素子SW2のみがオンされ、他のスイッチング素子SW1〜SW3は全てオフされる。また、スイッチング素子SW12,SW13がグランド側に接続される。
【0076】
これにより、第2電源部12の出力信号(出力電圧)が、スイッチ群SG1,SG2のスイッチング素子SW1、スイッチ群SG3のスイッチング素子SW2、及び接触ピンCP1,CP2,CP3を介して、コンデンサC1,C2の接続部P3,P5と接続部P4,P6との間に供給可能となる。また、第1電圧測定部13による第2電源部12の出力信号の電圧測定が可能となる。
【0077】
そして、第2電源部12の交流信号である出力信号(出力電圧)をコンデンサC1,C2の接続部P3,P5と接続部P4,P6との間に与えつつ、第2電源部12の出力信号に対する第1電圧測定部13による電圧測定、及び第2電流測定部16による電流測定が行われ、その測定電圧及び測定電流に基づいて並列接続されたときの両コンデンサC1,C2の合成容量が算出される。
【0078】
続く第2の測定段階の電圧信号測定段階における第2測定処理部22aによる制御動作では、まず図11に示すように、接続切替手段5のスイッチ群SG1〜SG3のスイッチング素子SW1〜SW3のうち、スイッチ群SG1のスイッチング素子SW3、スイッチ群SG2のスイッチング素子SW1、及びスイッチ群SG3のスイッチング素子SW2のみがオンされ、他のスイッチング素子SW1〜SW3は全てオフされる。また、スイッチング素子SW12が第2電圧測定部14側に接続されるとともに、スイッチング素子S13が第1電源部11の出力ライン側に接続される。
【0079】
これにより、上述の図9に示す回路に対応する接続関係が得られ、第1電源部11の出力信号が、スイッチ群SG1のスイッチング素子SW3及び接触ピンCP1を介して、コンデンサC2の接続部P5に供給可能となり、第2電源部12の出力信号が、スイッチ群SG2のスイッチング素子SW1及び接触ピンCP2を介して、コンデンサC1の接続部P3に供給可能となる。また、第1電圧測定部13による両電源部11,12の出力ライン間の電圧測定が、スイッチング素子SW13を介して可能となるとともに、第2電圧測定部14による両コンデンサC1,C2の接続部P4,P6の電圧測定が、スイッチング素子SW12、スイッチ群SG3のスイッチング素子SW2及び接触ピンCP3を介して可能となる。
【0080】
そして、第1電源部11の交流信号である出力信号をコンデンサC2の接続部P5に与えるとともに、第1電源部11の出力信号と同じ周波数を有する交流信号である第2電源部12の出力信号をコンデンサC1の接続部P3に与える。これと同時に、第2電圧測定部14によりコンデンサC1,C2の接続部P4,P6の電圧を測定し、その測定電圧がゼロボルトになるように、第1電源部11にその出力信号の位相及び振幅を調整させる。そして、第1電源部11にその出力信号を接続部P4,P6の電圧がゼロボルトになるように調整させつつ、第1電圧測定部13に、第1電源部11が出力する出力信号の出力電圧と、第2電源部12が出力する出力信号の出力電圧との位相差を測定させる。
【0081】
続く第2の測定段階の容量比算出段階における第2測定処理部22aによる処理動作では、上述の電圧信号測定段階で測定された両電源部11,12の出力信号の位相差に基づいて、両コンデンサC1,C2の容量比を算出する。
【0082】
続く算出段階における算出処理部23aによる処理動作では、第1の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の合成容量と、第2の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の容量比とに基づいて、各コンデンサC1,C2の容量を算出し、その算出結果を表示手段7に表示する。
【0083】
以上のように、本実施形態によれば、インピーダンス素子であるインダクタLの両側に2つのコンデンサC1,C2がデルタ型に接続されてなり、基板に内蔵されるコンデンサ回路1内の各コンデンサC1,C2の容量を、コンデンサC1,C2を回路1に接続したままの状態で、簡易な装置構成により、正確かつ容易に測定できる。
【0084】
<第3実施形態>
次に図12を参照して、本発明の第3実施形態に係るコンデンサ容量測定方法について説明する。本実施形態に係るコンデンサ容量測定方法も、上述の第1実施形態に係るコンデンサ容量測定方法と同様な図12に示すコンデンサ回路1内の各コンデンサC1,C2の容量の措定を行うためのものである。
【0085】
このコンデンサ容量測定方法は、第1の測定段階と、図12に示す第2の測定段階と、算出段階とを備えている。第1の測定段階は、両コンデンサC1,C2を並列接続したときの両コンデンサC1,C2の合成容量を測定するためのものであり、上述の第1実施形態に係る第1の測定段階と同様な測定手法が用いられるため、詳細な説明は省略する。
【0086】
第2の測定段階では、両コンデンサC1,C2の容量比が測定される。続く算出段階で、第1の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の合成容量と、第2の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の容量比とに基づいて、両コンデンサC1,C2の容量が算出される。
【0087】
より詳細には、第2の測定段階は、後述する電圧信号測定段階と、容量比算出段階とを備えている。電圧信号測定段階では、図12に示す測定設備を用いて測定が行われる。なお、図12において、測定のための設備(第1及び第2電源部11,12、及び電圧測定部14)自体は、上述の図9の設備とほぼ同一であるため、同一の参照符号を用いて説明を省略する。なお、電流測定部15は必須のものではなく、省略可能である。
【0088】
ここで、仮にコンデンサ回路1の構成がコンデンサC1の接続部P4とコンデンサC2の接続部P6とが接続されていないπ型である場合には、この第2の測定段階では、接続部P4と接続部P6との間を接続回路により接続する必要がある。それは、例えば、配線により互いに接続された2つの接触ピンを接続部P4,P6に導通させることにより行われる。
【0089】
具体的には、第1及び第2電源部11,12に周波数及び振幅が同じで位相が互いに180度ずれた交流信号である出力信号をそれぞれ出力させ、その両出力信号を、コンデンサC1の接続部P3とコンデンサC2の接続部P5とに与える。そして、そのように両出力信号を与えつつ、電圧測定部14により、両コンデンサC1,C2の接続部P4,P6の電圧信号の位相を測定する。
【0090】
このとき、第1及び第2電源部11,12の正負2つの出力端子のうちの一方側はグランドに接続されており、第1及び第2電源部11,12の他方側の出力端子からの出力が出力信号としてコンデンサ回路1中の所定位置に供給される。また、より具体的には、電圧測定部14は、グランド電位を基準として接続部P4,P6の電圧信号及びその位相を測定するようになっている。
【0091】
なお、変形例として、電圧測定部14に、接続部P4,P6の電圧信号の位相とともに、電圧信号の振幅を測定させてもよい。そして、その測定された振幅に基づいて、第1電源部11の出力信号を接続部P3に供給するための接触ピンCP2(図14参照)のコンデンサ回路1との接触部の接触抵抗と、第2電源部12の出力信号を接続部P3に供給するための接触ピンCP1(図14参照)のコンデンサ回路1との接触部の接触抵抗との差を検出するようにしてもよい。
【0092】
続く第2の測定段階の容量比算出段階では、上述の電圧信号測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の接続部P4,P6の電圧信号の位相に基づいて、両コンデンサC1,C2の容量比を算出する。両電源部11,12からは同一周波数かつ同一振幅の交流信号の出力信号が逆位相で出力されるため、両コンデンサC1,C2の容量の相違(容量比)が接続部P4,P6での電圧信号の位相に反映される。
【0093】
続く算出段階では、第1の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の合成容量と、第2の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の容量比とに基づいて、各コンデンサC1,C2の容量を算出する。
【0094】
次に、図13及び図14を参照して、本実施形態に係るコンデンサ容量測定方法に用いられる測定装置2bについて説明する。この測定装置2bは、図13に示すように、複数(図13の図示例では3つ)の接触ピンCP1〜CP3と、電源手段3と、測定手段4と、接続切替手段5と、制御手段6と、表示手段7とを備えている。なお、この図13に示す構成と上述の図10に示す構成とが実質的に異なっている点は、接続切替手段5の構成、第1電圧測定部13の接続形態、及び制御手段6の制御動作のみであり、互いに対応する部分には同一の参照符号を付して説明の重複を回避する。
【0095】
この測定装置2bにおいても、接触ピンCP1〜CP3が、インダクタLと第2コンデンサC2との間を接続する導電路、インダクタLと第1コンデンサC1との間を接続する導電路、及び第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との間を接続する導電路にそれぞれ1つずつ電気的に接触される。
【0096】
接続切替手段5には、3つのスイッチ群SG1〜SG3と、スイッチング素子SW12とが備えられている。スイッチ群SG1〜SG3に含まれる後述する各スイッチング素子SW1〜SW3、及びスイッチング素子SW14は、制御手段6によってオン、オフ等の切り替えが制御される。
【0097】
3つのスイッチ群SG1〜SG3は、3つの接触ピンCP1〜CP3に1つずつ対応して設けられており、各スイッチング群SG1〜SG3には、例えば3つのスイッチング素子SW1〜SW3がそれぞれ備えられている。各スイッチ群SG1〜SG3のスイッチング素子SW1は、対応する接触ピンCP1〜CP3と第2電源部12との間の導電路をオン、オフするためのものである。スイッチング素子SW2は、対応する接触ピンCP1〜CP3と、電圧測定部13の接触ピンCP1〜CP3側に配置されたスイッチング素子SW14との間の導電路をオン、オフするためのものである。スイッチング素子SW3は、対応する接触ピンCP1〜CP3と第1電源部11との間の導電路をオン、オフするためのものである。スイッチング素子SW12は、上述の図10のスイッチング素子SW12と同様な役割を担っている。
【0098】
また、図13に示す構成では、第1電圧測定部13が、第2電源部12の出力信号の出力ラインに常時接続され、出力信号の電圧を常時測定可能となっている。
【0099】
制御手段6は、機能要素として、上述の第1の測定段階における両コンデンサC1,C2の合成容量の測定のための動作を司る第1測定処理部21bと、第2の測定段階における両コンデンサC1,C2の容量比の測定のための動作を司る第2測定処理部22bと、算出段階における第1及び第2の測定段階により得られた測定結果に基づいた両コンデンサC1,C2の容量の算出処理を司る算出処理部23bとを備えている。
【0100】
以下では、制御手段6の各処理部21b〜23bの制御動作について説明しながら、この測定装置2bの測定動作を説明していく。
【0101】
第1の測定段階における第1測定処理部21bによる制御動作では、まず図13に示すように、接続切替手段5のスイッチ群SG1〜SG3のスイッチング素子SW1〜SW3うち、スイッチ群SG1のスイッチング素子SW1、スイッチ群SG2のスイッチング素子SW1、及びスイッチ群SG3のスイッチング素子SW2のみがオンされ、他のスイッチング素子SW1〜SW3は全てオフされる。また、スイッチング素子SW14がグランド側に接続される。
【0102】
これにより、第2電源部12の出力信号(出力電圧)が、スイッチ群SG1,SG2のスイッチング素子SW1、スイッチ群SG3のスイッチング素子SW2、及び接触ピンCP1,CP2,CP3を介して、コンデンサC1,C2の接続部P3,P5と接続部P4,P6との間に供給可能となる。
【0103】
そして、第2電源部12の交流信号である出力信号(出力電圧)をコンデンサC1,C2の接続部P3,P5と接続部P4,P6との間に与えつつ、第2電源部12の出力信号に対する第1電圧測定部13による電圧測定、及び第2電流測定部16による電流測定が行われ、その測定電圧及び測定電流に基づいて並列接続されたときの両コンデンサC1,C2の合成容量が算出される。
【0104】
続く第2の測定段階の電圧信号測定段階における第2測定処理部22bによる制御動作では、まず図14に示すように、接続切替手段5のスイッチ群SG1〜SG3のスイッチング素子SW1〜SW3のうち、スイッチ群SG1のスイッチング素子SW1、スイッチ群SG2のスイッチング素子SW3、及びスイッチ群SG3のスイッチング素子SW2のみがオンされ、他のスイッチング素子SW1〜SW3は全てオフされる。また、スイッチング素子SW12が第2電圧測定部14側に接続される。
【0105】
これにより、上述の図12に示す回路に対応する接続関係が得られ、第1電源部11の出力信号が、スイッチ群SG2のスイッチング素子SW3及び接触ピンCP2を介して、コンデンサC1の接続部P3に供給可能となり、第2電源部12の出力信号が、スイッチ群SG1のスイッチング素子SW1及び接触ピンCP1を介して、コンデンサC2の接続部P5に供給可能となる。また、第2電圧測定部14による両コンデンサC1,C2の接続部P4,P6の電圧測定が、スイッチング素子SW12、スイッチ群SG3のスイッチング素子SW2及び接触ピンCP3を介して可能となる。
【0106】
そして、第1及び第2電源部11,12に周波数及び振幅が同じで位相が互いに180度ずれた交流信号である出力信号をそれぞれ出力させ、その両出力信号を、コンデンサC1の接続部P3とコンデンサC2の接続部P5とに与える。そして、そのように両出力信号を与えつつ、第2電圧測定部14により、両コンデンサC1,C2の接続部P4,P6の電圧信号の位相を測定する。
【0107】
続く第2の測定段階の容量比算出段階における第2測定処理部22bによる処理動作では、上述の電圧信号測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の接続部P4,P6の電圧信号の位相に基づいて、両コンデンサC1,C2の容量比を算出する。
【0108】
続く算出段階における算出処理部23bによる処理動作では、第1の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の合成容量と、第2の測定段階で測定された両コンデンサC1,C2の容量比とに基づいて、各コンデンサC1,C2の容量を算出し、その算出結果を表示手段7に表示する。
【0109】
以上のように、本実施形態によれば、インピーダンス素子であるインダクタLの両側に2つのコンデンサC1,C2がデルタ型に接続されてなり、基板に内蔵されるコンデンサ回路1内の各コンデンサC1,C2の容量を、コンデンサC1,C2を回路1に接続したままの状態で、簡易な装置構成により、正確かつ容易に測定できる。
【符号の説明】
【0110】
1 コンデンサ回路、2,2a,2b コンデンサ容量測定装置、3 電源手段、4 測定手段、5 接続切替手段、6 制御手段、7 表示手段、11 第1電源部、12 第2電源部、13 第1電圧測定部、14 第2電圧測定部、15 第1電流測定部、16 第2電流測定部、21,21a,21b 第1測定処理部、22,22a,22b 第2測定処理部、23,23a,23b 算出処理部、C1 第1コンデンサ、C2 第2コンデンサ、CP1〜CP6 接触ピン、L リアクタ、P1 第1接続部、P2 第2接続部、P3 第3接続部、P4 第4接続部、P5 第5接続部、P6 第6接続部、SG1〜SG6 スイッチ群、SW1〜SW4,SW11〜SW13 スイッチング素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2接続部を有するインピーダンス素子と、第3及び第4接続部を有し、前記第3の接続部が前記インピーダンス素子の前記第1接続部と接続された第1コンデンサと、第5及び第6接続部を有し、前記第5接続部が前記インピーダンス素子の前記第2接続部と接続された第2コンデンサとを有するコンデンサ回路における、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を測定するコンデンサ容量測定方法であって、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを並列接続したときの前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの合成容量を測定する第1の測定段階と、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの容量比を測定する第2の測定段階と、
前記第1の測定段階で測定された前記合成容量と、前記第2の測定段階で測定された前記容量比とに基づいて、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量とを算出する算出段階と、
を備え、
前記第1の測定段階では、
前記第1コンデンサの前記第3接続部及び前記第2コンデンサの前記第5接続部と、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部との間に、出力電圧が周期的に変動する第1の出力信号を与えることにより、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記合成容量を測定し、
前記第2の測定段階は、
前記第1コンデンサの前記第3接続部に対して、交流信号である第2の出力信号を与え、かつ前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部に対して、前記第2の出力信号と同じ周波数の交流信号である第3の出力信号を与えるとともに、前記第2コンデンサの前記第5接続部の電圧がゼロボルトになるように、前記第2の出力信号を調整した状態で、前記第1コンデンサの前記第3接続部の電圧を第1電圧測定値として測定する第1の電圧測定段階と、
前記第2コンデンサの前記第3接続部に対して、前記第2の出力信号を与え、かつ前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部に対して、前記第3の出力信号を与えるとともに、前記第1コンデンサの前記第3接続部の電圧がゼロボルトになるように、前記第2の出力信号を調整した状態で、前記第2コンデンサの前記第5接続部の電圧を第2電圧測定値として測定する第2の電圧測定段階と、
前記第1の電圧測定段階及び前記第2の電圧測定段階で測定された前記第1の電圧測定値及び前記第2の電圧測定値に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記容量比を算出する容量比算出段階と、
を備えることを特徴とするコンデンサ容量測定方法。
【請求項2】
第1及び第2接続部を有するインピーダンス素子と、第3及び第4接続部を有し、前記第3の接続部が前記インピーダンス素子の前記第1接続部と接続された第1コンデンサと、第5及び第6接続部を有し、前記第5接続部が前記インピーダンス素子の前記第2接続部と接続された第2コンデンサとを有するコンデンサ回路における、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を測定するコンデンサ容量測定方法であって、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを並列接続したときの前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの合成容量を測定する第1の測定段階と、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの容量比を測定する第2の測定段階と、
前記第1の測定段階で測定された前記合成容量と、前記第2の測定段階で測定された前記容量比とに基づいて、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量とを算出する算出段階と、
を備え、
前記第1の測定段階では、
前記第1コンデンサの前記第3接続部及び前記第2コンデンサの前記第5接続部と、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部との間に、出力電圧が周期的に変動する第1の出力信号を与えることにより、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記合成容量を測定し、
前記第2の測定段階は、
前記第1コンデンサの前記第4接続部と前記第2コンデンサの前記第6接続部とが接続されていない場合は前記第4接続部と前記第6接続部とを接続する一方、前記第4接続部と前記第6接続部とが接続されている場合はそのままとし、前記第1コンデンサの前記第3接続部に対して、交流信号である第2の出力信号を与え、かつ前記第2コンデンサの前記第5接続部に対して、前記第2の出力信号と同じ周波数の交流信号である第3の出力信号を与えるとともに、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部の電圧がゼロボルトになるように、前記第2の出力信号又は前記第3の出力信号を調整した状態で、前記第2の出力信号と前記第3の出力電圧との位相差を測定する電圧信号測定段階と、
前記電圧信号測定段階で測定された前記位相差に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記容量比を算出する容量比算出段階と、
を備えることを特徴とするコンデンサ容量測定方法。
【請求項3】
第1及び第2接続部を有するインピーダンス素子と、第3及び第4接続部を有し、前記第3の接続部が前記インピーダンス素子の前記第1接続部と接続された第1コンデンサと、第5及び第6接続部を有し、前記第5接続部が前記インピーダンス素子の前記第2接続部と接続された第2コンデンサとを有するコンデンサ回路における、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を測定するコンデンサ容量測定方法であって、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを並列接続したときの前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの合成容量を測定する第1の測定段階と、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの容量比を測定する第2の測定段階と、
前記第1の測定段階で測定された前記合成容量と、前記第2の測定段階で測定された前記容量比とに基づいて、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量とを算出する算出段階と、
を備え、
前記第1の測定段階では、
前記第1コンデンサの前記第3接続部及び前記第2コンデンサの前記第5接続部と、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部との間に、出力電圧が周期的に変動する第1の出力信号を与えることにより、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記合成容量を測定し、
前記第2の測定段階は、
前記第1コンデンサの前記第4接続部と前記第2コンデンサの前記第6接続部とが接続されていない場合は前記第4接続部と前記第6接続部とを接続する一方、前記第4接続部と前記第6接続部とが接続されている場合はそのままとし、前記第1コンデンサの前記第3接続部と前記第2コンデンサの前記第5接続部とに対して、周波数と振幅が同じで、位相が互いに180度ずれた交流信号である第2及び第3の出力信号をそれぞれ与えつつ、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部の電圧信号の位相を測定する電圧信号測定段階と、
前記電圧信号測定段階で測定された前記電圧信号の位相に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記容量比を算出する容量比算出段階と、
を備えることを特徴とするコンデンサ容量測定方法。
【請求項4】
第1及び第2接続部を有するインピーダンス素子と、第3及び第4接続部を有し、前記第3の接続部が前記インピーダンス素子の前記第1接続部と接続された第1コンデンサと、第5及び第6接続部を有し、前記第5接続部が前記インピーダンス素子の前記第2接続部と接続され、前記第6接続部が前記第1コンデンサの前記第4接続部と接続された第2コンデンサとを有するコンデンサ回路における、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を測定するコンデンサ容量測定装置であって、
前記インピーダンス素子の前記第1接続部と前記第1コンデンサの第3接続部との間の導電路、前記インピーダンス素子の前記第2接続部と前記第2コンデンサの第5接続部との間の導電路、前記第1コンデンサの第4接続部と前記第2コンデンサの第6接続部との間の導電路に、それぞれ少なくとも1つずつ接触された複数の接触ピンと、
測定のための出力信号を出力する電源手段と、
電気特性に関する測定を行う測定手段と、
前記複数の接触ピンと、前記電源手段及び前記測定手段との間の電気的な接続関係を切り替える接続切替手段と、
前記接続切替部の制御を行うとともに、前記測定手段の測定結果に基づいて前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を算出する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを並列接続したときの前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの合成容量を測定する第1測定処理部と、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの容量比を測定する第2測定処理部と、
前記第1の測定段階で測定された前記合成容量と、前記第2の測定段階で測定された前記容量比とに基づいて、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量とを算出する算出処理部と、
を備え、
前記第1測定処理部は、
前記接続切替手段を制御して、前記第1コンデンサの前記第3接続部及び前記第2コンデンサの前記第5接続部と、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部との間に、出力電圧が周期的に変動する第1の出力信号を前記電源手段に与えさせ、前記測定手段に並列接続された前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに関する電気的特性を測定させ、その測定結果に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記合成容量を算出し、
前記第2測定処理部は、
前記接続切替手段を制御して、前記第1コンデンサの前記第3接続部に対して、交流信号である第2の出力信号を前記電源手段に与えさせ、かつ前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部に対して、前記第2の出力信号と同じ周波数の交流信号である第3の出力信号を前記電源手段に与えさせるとともに、前記第2コンデンサの前記第5接続部の電圧を前記測定手段に測定させ、その第5接続部の電圧がゼロボルトになるように、前記第2の出力信号を前記電源手段に調整させた状態で、前記第1コンデンサの前記第3接続部の電圧を第1電圧測定値として前記測定手段に測定させ、
前記接続切替手段を制御して、前記第2コンデンサの前記第3接続部に対して、前記第2の出力信号を前記電源手段に与えさせ、かつ前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部に対して、前記第3の出力信号を前記電源手段に与えさせるとともに、前記第1コンデンサの前記第3接続部の電圧を前記測定手段に測定させ、その第3接続部の電圧がゼロボルトになるように、前記第2の出力信号を前記電源手段に調整させた状態で、前記第2コンデンサの前記第5接続部の電圧を第2電圧測定値として前記測定手段に測定させ、
得られた前記第1の電圧測定値及び前記第2の電圧測定値に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記容量比を算出することを特徴とするコンデンサ容量測定装置。
【請求項5】
第1及び第2接続部を有するインピーダンス素子と、第3及び第4接続部を有し、前記第3の接続部が前記インピーダンス素子の前記第1接続部と接続された第1コンデンサと、第5及び第6接続部を有し、前記第5接続部が前記インピーダンス素子の前記第2接続部と接続され、前記第6接続部が前記第1コンデンサの前記第4接続部と接続された第2コンデンサとを有するコンデンサ回路における、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を測定するコンデンサ容量測定装置であって、
前記インピーダンス素子の前記第1接続部と前記第1コンデンサの第3接続部との間の導電路、前記インピーダンス素子の前記第2接続部と前記第2コンデンサの第5接続部との間の導電路、前記第1コンデンサの第4接続部と前記第2コンデンサの第6接続部との間の導電路に、それぞれ少なくとも1つずつ接触された複数の接触ピンと、
測定のための出力信号を出力する電源手段と、
電気特性に関する測定を行う測定手段と、
前記複数の接触ピンと、前記電源手段及び前記測定手段との間の電気的な接続関係を切り替える接続切替手段と、
前記接続切替部の制御を行うとともに、前記測定手段の測定結果に基づいて前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を算出する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを並列接続したときの前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの合成容量を測定する第1測定処理部と、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの容量比を測定する第2測定処理部と、
前記第1の測定段階で測定された前記合成容量と、前記第2の測定段階で測定された前記容量比とに基づいて、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量とを算出する算出処理部と、
を備え、
前記第1測定処理部は、
前記接続切替手段を制御して、前記第1コンデンサの前記第3接続部及び前記第2コンデンサの前記第5接続部と、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部との間に、出力電圧が周期的に変動する第1の出力信号を前記電源手段に与えさせ、前記測定手段に並列接続された前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに関する電気的特性を測定させ、その測定結果に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記合成容量を算出し、
前記第2測定処理部は、
前記接続切替手段を制御して、前記第1コンデンサの前記第3接続部に対して、交流信号である第2の出力信号を前記電源手段に与えさせ、かつ前記第2コンデンサの前記第5接続部に対して、前記第2の出力信号と同じ周波数の交流信号である第3の出力信号を前記電源手段に与えさせるとともに、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部の電圧を前記測定手段に測定させ、その第4接続部及び第6接続部の電圧がゼロボルトになるように、前記第2の出力信号又は前記第3の出力信号を前記電源手段に調整させた状態で、前記第2の出力信号と前記第3の出力電圧との位相差を前記測定手段に測定させ、
得られた前記位相差に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記容量比を算出することを特徴とするコンデンサ容量測定装置。
【請求項6】
第1及び第2接続部を有するインピーダンス素子と、第3及び第4接続部を有し、前記第3の接続部が前記インピーダンス素子の前記第1接続部と接続された第1コンデンサと、第5及び第6接続部を有し、前記第5接続部が前記インピーダンス素子の前記第2接続部と接続され、前記第6接続部が前記第1コンデンサの前記第4接続部と接続された第2コンデンサとを有するコンデンサ回路における、前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を測定するコンデンサ容量測定装置であって、
前記インピーダンス素子の前記第1接続部と前記第1コンデンサの第3接続部との間の導電路、前記インピーダンス素子の前記第2接続部と前記第2コンデンサの第5接続部との間の導電路、前記第1コンデンサの第4接続部と前記第2コンデンサの第6接続部との間の導電路に、それぞれ少なくとも1つずつ接触された複数の接触ピンと、
測定のための出力信号を出力する電源手段と、
電気特性に関する測定を行う測定手段と、
前記複数の接触ピンと、前記電源手段及び前記測定手段との間の電気的な接続関係を切り替える接続切替手段と、
前記接続切替部の制御を行うとともに、前記測定手段の測定結果に基づいて前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサの容量を算出する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとを並列接続したときの前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの合成容量を測定する第1測定処理部と、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの容量比を測定する第2測定処理部と、
前記第1の測定段階で測定された前記合成容量と、前記第2の測定段階で測定された前記容量比とに基づいて、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量とを算出する算出処理部と、
を備え、
前記第1測定処理部は、
前記接続切替手段を制御して、前記第1コンデンサの前記第3接続部及び前記第2コンデンサの前記第5接続部と、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部との間に、出力電圧が周期的に変動する第1の出力信号を前記電源手段に与えさせ、前記測定手段に並列接続された前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに関する電気的特性を測定させ、その測定結果に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記合成容量を算出し、
前記第2測定処理部は、
前記接続切替手段を制御して、前記第1コンデンサの前記第3接続部と前記第2コンデンサの前記第5接続部とに対して、周波数と振幅が同じで、位相が互いに180度ずれた交流信号である第2及び第3の出力信号を前記電源手段にそれぞれ与えさせつつ、前記第1コンデンサの前記第4接続部及び前記第2コンデンサの前記第6接続部の電圧信号の位相を前記測定手段に測定させ、
得られた前記電圧信号の位相に基づいて、前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの前記容量比を算出することを特徴とするコンデンサ容量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−108903(P2013−108903A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255349(P2011−255349)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(392019709)日本電産リード株式会社 (160)
【Fターム(参考)】