説明

コンバインの変速制御装置

【課題】走行装置が走行しているのにも拘わらず故障等により実走行速度検出手段が零を出力することがあっても、走行連係変速処理によって刈取処理装置を駆動することが可能なコンバインの変速制御装置を提供する点にある。
【解決手段】走行装置と一体回転する回転体に検出作用して前記走行装置の走行速度を検出する実走行速度検出手段26の検出情報に基づいて、刈取処理装置の駆動速度を走行装置の走行速度が高速となるほど高速にする関係にて定めた設定関係速度にするように変速手段を変速操作する走行連係変速処理を実行する変速制御手段Hが、実走行速度検出手段26にて検出される走行速度が零のときには、走行変速操作具24にて指令されて目標速度検出手段25にて検出される目標走行速度を走行速度として、走行連係変速処理を実行するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行装置の走行速度及び穀稈を引き起こし刈取り処理して脱穀装置に供給する刈取処理装置の駆動速度を変速する変速手段と、
前記走行装置の走行速度を変速すべく前記変速手段を操作する走行変速操作具と、
前記走行装置と一体回転する回転体に検出作用して前記走行装置の走行速度を検出する実走行速度検出手段と、
前記変速手段を操作する変速制御手段とが設けられ、
前記変速制御手段が、
前記実走行速度検出手段の検出情報に基づいて、前記走行装置が停止及び後進するときには前記刈取処理装置を停止し且つ前記走行装置が前進するときには前記刈取処理装置の駆動速度を前記走行装置の走行速度が高速となるほど高速にする関係にて定めた設定関係速度にするように前記変速手段を変速操作する走行連係変速処理を実行するように構成されたコンバインの変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、走行に伴って圃場に植えられている穀稈を刈取処理して、脱穀装置にて脱穀処理するものであり、上記コンバインの変速制御装置においては、変速制御手段が走行連係変速処理を実行することにより、走行停止状態において刈取処理装置を停止することを自動的に行なえ、また、走行に伴って刈取処理装置を駆動することを自動的に行なえるものとなる。
そして、刈取処理装置の駆動速度を走行装置の走行速度が高速となるほど高速とする関係として定めた設定関係速度にするものであるから、走行速度の高低に拘わらず穀稈を適正な立ち姿勢に引き起こしながら刈り取り処理することを良好に行なえるものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−250326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記コンバインの変速制御装置においては、実走行速度検出手段が故障して、走行装置が走行しているにも拘わらず実走行速度検出手段が零を出力する虞があり、このような場合には、走行連係変速処理によって刈取処理装置を駆動することができないものとなって、刈取収穫作業を行えないものとなる。
【0005】
説明を加えると、一般に、前記実走行速度検出手段は、走行装置と一体回転する回転体に、外周部に凹凸を設けた検出体を取り付け、そして、検出体の外周部に対応して固定設置されて、検出体の凹凸を検出する凹凸検出センサ、及び、その凹凸検出センサが単位時間当たりに凸を検出する回数を検出体の回転速度として求める演算部を設けて構成されることが多いが、このような構成の場合において、凹凸検出センサが凹を検出しても、凸を検出しても同じ信号を出力するように故障すると、演算部から零が出力されるようになるものであり、また、凹凸検出センサが適正に検出作用しても、その検出信号が演算部に適正に入力されない結果として、演算部から零が出力されるようになる等、実走行速度検出手段が故障して零を出力する虞がある。
【0006】
そして、実走行速度検出手段が故障して零を出力する状態になると、変速制御制御手段が走行連係変速処理を実行する結果、走行装置が前進しても刈取処理装置が駆動されないものとなり、刈取収穫作業を行えないものとなる。
しかしながら、刈取収穫作業は、刈取に適した時期に集中して行うことが望まれるものであり、このような刈取に適した時期にコンバインを使用して刈取収穫作業が行えなくなる事態は、的確に回避する必要がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、走行装置が走行しているのにも拘わらず故障等により実走行速度検出手段が零を出力することがあっても、走行連係変速処理によって刈取処理装置を駆動することが可能なコンバインの変速制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の作業車の変速制御装置は、走行装置の走行速度及び穀稈を引き起こし刈取り処理して脱穀装置に供給する刈取処理装置の駆動速度を変速する変速手段と、
前記走行装置の走行速度を変速すべく前記変速手段を操作する走行変速操作具と、
前記走行装置と一体回転する回転体に検出作用して前記走行装置の走行速度を検出する実走行速度検出手段と、
前記変速手段を操作する変速制御手段とが設けられ、
前記変速制御手段が、
前記実走行速度検出手段の検出情報に基づいて、前記走行装置が停止及び後進するときには前記刈取処理装置を停止し且つ前記走行装置が前進するときには前記刈取処理装置の駆動速度を前記走行装置の走行速度が高速となるほど高速にする関係にて定めた設定関係速度にするように前記変速手段を変速操作する走行連係変速処理を実行するように構成されたものであって、その第1特徴構成は、
前記走行変速操作具にて指令されている目標走行速度を検出する目標走行速度検出手段が設けられ、
前記変速制御手段が、前記実走行速度検出手段にて検出される走行速度が零のときには、前記目標走行速度検出手段の検出情報に基づいて、前記走行変速操作具にて指令されている目標走行速度を走行速度として、前記走行連係変速処理を実行するように構成されている点にある。
【0009】
すなわち、変速制御手段が、実走行速度検出手段にて検出される走行速度が零のときには、走行変速操作具にて指令されている目標走行速度を走行速度として走行連係変速処理を行うことになる。
このように実走行速度検出手段にて検出される走行速度が零のときにも、走行連係処理を行うことができるものであるから、故障等により実走行速度検出手段が零を出力することがあっても、走行連係変速処理によって刈取処理装置を駆動することが可能なるのであり、実走行速度検出手段の故障等により、刈取に適した時期にコンバインを使用できなくなるトラブルを回避できるものとなる。
【0010】
ちなみに、走行連係変速処理を、常時、走行変速操作具にて指令されている目標走行速度を走行速度として行うことが考えられるが、走行変速操作具にて指令されている目標走行速度と実走行速度検出手段にて検出される走行速度とは、変速手段の個体差等の諸々の要因によって、必ずしも一致するものではないものであり、刈取処理装置の駆動速度を走行速度との関係に定めた設定関係速度となるようにするには、実走行速度検出手段にて検出される走行速度に基づいて走行連係変速処理を行うことが好ましいものである。
【0011】
したがって、走行装置が走行しているのにも拘わらず故障等により実走行速度検出手段が零を出力することがあっても、走行連係変速処理によって刈取処理装置を駆動することが可能なコンバインの変速制御装置を提供するに至った。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記変速手段から前記走行装置に伝達される出力を高低に変速する変速状態及び中立状態に切換操作自在な副変速手段が設けられ、
前記実走行検出手段が、前記走行装置と一体回転する回転体として、前記副変速手段よりも動力伝達方向下手側に位置する回転体に検出作用して前記走行装置の走行速度を検出するように構成されている点にある。
【0013】
すなわち、コンバインは、圃場内において刈取収穫作業を行うときの走行速度よりも、圃場内において枕地を走行するときや路上を走行するときの方が高速で走行させることが望まれるものであるが、変速手段から走行装置に伝達される出力を高低に変速する変速状態及び中立状態に切換操作自在な副変速手段が設けられているから、副変速手段を適宜切換操作することにより、走行状況に応じた走行速度で走行させることを適切に行えるものとなる。
【0014】
そして、実走行検出手段が、走行装置と一体回転する回転体として、副変速手段よりも動力伝達方向下手側に位置する回転体に検出作用して走行装置の走行速度を検出するように構成されているから、副変速手段を中立状態にして、走行変速操作具にて変速手段を操作するようにすれば、実走行速度検出手段が零を検出する状態で、走行変速操作具にて指令されている目標走行速度を走行速度として走行連係変速処理が行なわれることになる。
このように、コンバインの走行を停止した状態で、刈取処理装置を走行変速操作具の操作により駆動速度を変化させながら駆動できるものとなるから、刈取処理装置を点検保守作業のために駆動することを良好に行えるものとなる。
【0015】
ちなみに、一般に、走行変速操作具は変速のために位置変更操作されると、その操作位置に保持されるように構成されるものであるから、刈取処理装置の駆動速度が点検保守を行うのに好適な速度になる状態に走行変速操作具を操作すれば、走行変速操作具から手を離すことができるものとなり、刈取処理装置の点検保守作業を行い易いものである。
【0016】
したがって、第1特徴構成による作用効果に加えて、走行状況に応じた走行速度で走行させることを適切に行え、しかも、刈取処理装置を点検保守作業のために駆動することを良好に行えるコンバインの変速制御装置を提供するに至った。
【0017】
本発明の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記刈取処理装置を駆動する駆動指令を指令する駆動指令状態と前記刈取処理装置の駆動指令を解除する解除指令を指令する指令解除状態とに切り換え自在な手動操作式の刈取駆動指令手段が設けられ、
前記変速制御手段が、
前記刈取駆動指令手段にて前記解除指令が指令されている場合には、前記走行連係変速処理を実行し、且つ、前記刈取駆動指令手段にて前記駆動指令が指令されている場合には、前記刈取処理装置を設定目標駆動速度で駆動するように前記変速手段を変速操作する非連係変速処理を実行するように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、刈取駆動指令手段にて駆動指令を指令することにより、変速制御手段が、刈取処理装置を予め設定された設定目標駆動速度にて駆動するように変速操作手段を変速操作する非連係変速処理を実行するものであるから、走行装置が停止又は後進しているときにも、刈取処理装置を駆動できるものとなる。
【0019】
説明を加えると、コンバインは、例えば枕刈り作業の際に、畦に向かって前進走行しながら刈取収穫作業を行なっているときに、畦際で走行を停止し、引き続き後進するとき等においては、刈取処理装置の駆動が停止されることになるが、刈取処理装置における刈取穀稈を脱穀装置に搬送する穀稈搬送経路中に刈取穀稈が残っている場合には、その刈取穀稈を脱穀装置に供給するために、刈取処理装置を一時的に駆動したいことがある。
このようなときに、刈取駆動指令手段にて駆動指令を指令することにより、刈取処理装置を駆動することができるものとなる。
ちなみに、走行装置が停止しているときに、刈取駆動指令手段にて駆動指令を指令することにより、保守点検作業のために刈取処理装置を駆動することもできるものである。
【0020】
したがって、本発明の第3特徴構成によれば、上記第1又は第2特徴構成による作用効果に加えて、刈取処理装置に残っている穀稈を脱穀装置に供給することを良好に行なうことができるコンバインの変速制御装置を提供するに至った。
【0021】
本発明の第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、
前記刈取駆動指令手段が、前記駆動指令状態において、前記刈取処理装置の駆動速度の高低を示す速度指標を指令するように構成され、
前記変速制御手段が、前記非連係変速処理における前記設定目標駆動速度を、前記刈取駆動指令手段にて指令される前記速度指標が高速であるほど高速とする状態で定めるように構成されている点を特徴とする。
【0022】
すなわち、刈取駆動指令手段にて、駆動指令を指令する駆動指令状態において、刈取処理装置の駆動速度の高低を示す速度指標を指令することにより、設定目標駆動速度を高低に変更させることができるものであるから、刈取処理装置の穀稈搬送経路中に残っている刈取穀稈を脱穀装置に供給する場合における刈取処理装置の駆動速度や、圃場の穀稈群に進入してする場合における刈取処理装置の駆動速度を、穀稈の状況等に応じて、適切な速度に調整できるものとなるのであり、しかも、走行しながら刈取収穫作業を行なっているときに、圃場の穀稈が部分的に倒伏しているような場合において、その穀稈を引き起こし刈り取り処理するために、走行連係変速処理にて駆動される速度よりも高速の駆動速度にて刈取処理装置を駆動して、倒伏している穀稈をも適正に引き起こして刈取処理することができるものとなるのであり、作業性の向上を図ることができるものとなる。
【0023】
ちなみに、走行装置が停止しているときに、刈取駆動指令手段にて駆動指令を指令することにより、保守点検作業のために刈取処理装置を駆動する際に、刈取処理装置の駆動速度の高低を示す速度指標を指令することにより、設定目標駆動速度を高低に変更させることができるものであるから、刈取処理装置の駆動速度を高低に変化させながら、保守点検作業を行うこともできるものである。
【0024】
したがって、第3特徴構成による作用効果に加えて、作業性の向上を図ることができるコンバインの変速制御装置を提供するに至った。
【0025】
本発明の第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、
前記刈取駆動指令手段が、復帰付勢された中立位置とその中立位置から離れる側に移動操作自在な指令操作具と、その指令操作具の位置を検出する位置検出センサと、指令制御手段とから構成され、
前記指令制御手段が、前記位置検出センサの検出情報に基づいて、前記指令操作具が前記中立位置側の中立操作域に位置すると、前記解除指令を指令し、かつ、前記指令操作具が前記中立操作域よりも前記中立位置から離れる側の指令操作域に位置すると、前記駆動指令を指令し、加えて、前記指令操作具が前記指令操作域内において前記中立位置から離れる側に位置するほど高速の前記速度指標を指令するように構成されている点にある。
【0026】
すなわち、指令操作具を復帰付勢力に抗して中立位置から離れる側に操作して、指令操作域に操作すると、駆動指令を指令することができ、また、指令操作具に対する操作を解除すると、指令操作具が復帰付勢力にて中立操作域に復帰して、解除指令が指令されることになる。そして、指令操作域内において、指令操作具を中立位置から離れる側に操作するほど高速の速度指標を指令できることになる。
このように、指令操作具を中立位置から復帰付勢力に抗して指令操作域に操作するだけの簡単な操作にて、駆動指令を指令することができ、また、指令操作具に対する操作を解除するだけで、的確に解除指令を指令することができる。
そして、指令操作域内において、指令操作具の位置を変更操作するだけの簡単な操作にて速度指標を変更操作できるものであり、加えて、指令操作具を中立位置から離れる側に操作するほど高速の速度指標を指令するものであるから、刈取処理装置の駆動状態を監視しながら漸次高速側に操作できるものとなり、不必要に高速で駆動させて穀稈を損傷させることが無いようにしながら、刈取処理装置を適正な駆動速度で駆動することが行い易いものとなる。
【0027】
ちなみに、上述の第4特徴構成の欄にて説明した如く、走行装置が停止しているときに、刈取駆動指令手段にて駆動指令を指令し、且つ、刈取処理装置の駆動速度の高低を示す速度指標を指令することにより、刈取処理装置の駆動速度を高低に変化させながら、保守点検作業を行うこともできるものであるが、指令操作具が中立位置に復帰付勢されているため、指令操作具を復帰付勢力に抗して保持する必要があり、刈取処理装置の保守点検作業を行う際には、上述の第2特徴構成を採用して行うことが望ましいものである。
【0028】
従って、第4特徴構成による作用効果に加えて、駆動指令や解除指令を指令することを簡単な操作にて行なうことができ、しかも、不必要な高速にて駆動させることを回避しながら刈取処理装置を適正な駆動速度で駆動することが行い易いものとなるコンバインの変速制御装置を提供するに至った。
【0029】
第6特徴構成は、上記第5特徴構成に加えて、
前記指令操作具が、運転席の足元部に、前記中立位置としての踏込みを解除された位置に復帰付勢した状態で設けた踏込み操作式の踏込みペダルである点にある。
【0030】
すなわち、指令操作具が、運転席の足元部に、中立位置としての踏込みを解除された位置に復帰付勢した状態で設けた踏込み操作式の踏込みペダルであるから、運転席に着座した作業者は、踏込みペダルを踏込み、そして、その踏込み量を調整することにより、駆動指令を指令し、かつ、速度指標を指令できることになり、そして、踏込みを解除することにより、解除指令を指令できることになる。
このように、踏込みペダルの操作により、駆動指令や解除指令を指令でき、しかも、速度指標を指令することができるものであるから、運転席に着座した作業者は、手指にて操向操作や走行速度の変速操作等の操縦を行いながら、足にて、駆動指令や解除指令を指令でき、しかも、速度指標を指令することができるものとなる。
【0031】
従って、第5特徴構成による作用効果に加えて、操向操作や走行速度の変速操作等の操縦を行いながら、駆動指令や解除指令の指令並びに速度指標の指令を良好に行なうことができるコンバインの変速制御装置を提供するに至った。
【0032】
第7特徴構成は、上記第5又は第6特徴構成に加えて、
前記指令制御手段が、前記指令操作域内における前記中立位置側となる前側範囲に前記指令操作具が位置するときには、前記速度指標として、設定低速度の速度指標を指令し、前記指令操作域内における前記前側範囲よりも前記中立位置から離れる側の後側範囲に前記指令操作具が位置するときには、前記速度指標として、前記指令操作具が前記中立位置から離れる側に位置するほど、前記設定低速度の速度指標から漸次高速となる速度指標を指令するように構成されている点にある。
【0033】
すなわち、指令操作具を指令操作域における中立位置側の前側範囲に操作すると、指令操作具が前側範囲のどの位置にあっても、設定目標駆動速度が設定低速度に定められることになり、指令操作域における前側範囲よりも中立位置から離れる側となる後側範囲において、指令操作具を中立位置から離れる側に向かって操作すると、その操作に伴って、設定目標駆動速度が、設定低速度から漸次高速となるように定められることになる。
つまり、枕刈り作業の際に、刈取処理装置に刈取後の穀稈が残っている場合において、刈取駆動指令手段にて駆動指令を指令して刈取処理装置を駆動するときの目標速度は、走行が停止しているあるいは低速で走行していることを考えると、一定で且つ低速が好ましいものであり、そのような目標速度が、指令操作域における前側範囲に指令操作具を位置させると設定されるようにすることにより、指令操作具を前側範囲に操作すると、刈取処理装置に残っている穀稈を脱穀装置に供給するのに好都合な速度で刈取処理装置を駆動することができるのである。しかも、そのような速度で刈取処理装置を駆動するようにすることを、範囲として定められている前側範囲に指令操作具を操作することで行なえるから、刈取処理装置に残っている穀稈を脱穀装置に供給するように脱穀装置を駆動する操作が行い易いものである。
【0034】
また、指令操作具を、指令操作域の後側範囲において中立位置から離れる側に向かって操作すると、漸次高速の設定目標駆動速度を設定できるものであるから、走行しながら刈取収穫作業を行なっているときに、圃場の穀稈が部分的に倒伏しているような場合において、刈取処理装置を高速で駆動することを、指令操作具を後側範囲において変更操作することにより設定目標駆動速度を適切に設定しながら行なえるものとなる。
【0035】
従って、上記第5又は第6特徴構成の作用効果に加えて、刈取処理装置に残っている穀稈を脱穀装置に供給するように脱穀装置を駆動する操作が行い易く、しかも、刈取処理装置を高速で駆動するように操作することも適切に行なえるコンバインの変速制御装置を提供するに至った。
【0036】
第8特徴構成は、上記第3〜第7特徴構成のいずれかに加えて、
前記変速制御手段が、前記非連係変速処理において、前記刈取駆動指令手段の指令に基づいて定めた前記設定目標駆動速度が前記走行連係変速処理を実行すると仮定したときの前記刈取処理装置の駆動速度よりも低いときには、前記走行連係変速処理を実行すると仮定したときの前記刈取処理装置の駆動速度にて前記刈取処理装置を駆動し、且つ、前記刈取駆動指令手段の指令に基づいて定めた前記設定目標駆動速度が前記走行連係変速処理を実行すると仮定したときの前記刈取処理装置の駆動速度と同じ及びその駆動速度よりも高速のときには、前記設定目標駆動速度にて前記刈取処理装置を駆動すべく、前記変速手段を変速操作するように構成されている点にある。
【0037】
すなわち、刈取駆動指令手段にて、駆動指令を指令し且つ速度指標を指令したときに、その刈取駆動指令手段の指令に基づいて定めた設定目標駆動速度が走行連係変速処理を実行すると仮定したときの刈取処理装置の駆動速度よりも低いときには、走行連係変速処理を実行すると仮定したときの刈取処理装置の駆動速度にて刈取処理装置が駆動されることになり、そして、刈取駆動指令手段にて、駆動指令を指令し且つ速度指標を指令したときに、その刈取駆動指令手段の指令に基づいて定めた設定目標駆動速度が走行連係変速処理を実行すると仮定したときの刈取処理装置の駆動速度と同じ及びその駆動速度よりも高速のときには、設定目標駆動速度で刈取処理装置が駆動されることになる。
つまり、走行装置が前進しているとき、換言すれば、走行連係変速処理が行われているときに、刈取駆動指令手段にて駆動指令を指令するのは、刈取収穫作業を行っているときに圃場の穀稈が部分的に倒伏しているような場合や、圃場の穀稈群内に進入して刈取作業を開始する場合等であり、このような場合においては、走行連係変速処理にて駆動されている刈取処理装置をその駆動速度よりも高速で駆動することを目的とするものである。そして、このような場合において、刈取処理装置の駆動速度が走行連係変速処理にて駆動されている刈取処理装置の駆動速度よりも低速になると、穀稈の引き起こし刈取り処理を一層適切に行い難くなるものとなる。
【0038】
本第8特徴構成では、刈取駆動指令手段の指令に基づいて定めた設定目標駆動速度が走行連係変速処理を実行すると仮定したときの刈取処理装置の駆動速度よりも高速のときには、刈取駆動指令手段の指令に基づいて定めた設定目標駆動速度にて刈取処理装置が駆動されるものの、刈取駆動指令手段の指令に基づいて定めた設定目標駆動速度が走行連係変速処理を実行すると仮定したときの刈取処理装置の駆動速度よりも低速のときには、走行連係変速処理を実行すると仮定したときの刈取処理装置の駆動速度にて刈取処理装置が駆動されるものであるから、刈取処理装置の駆動速度を不必要に低速にしてしまうことを回避しながら、高速に操作することができるものとなる。
従って、第3〜第7特徴構成のいずれかの作用効果に加えて、刈取処理装置の駆動速度を不必要に低速にしてしまうことを回避しながら、高速に操作することを的確に行なうことができるコンバインの変速制御装置を提供するに至った。
【0039】
第9特徴構成は、第3〜第8特徴構成のいずれかに加えて、
前記変速制御手段が、前記走行連係変速処理を実行すると仮定したときにおける前記刈取処理装置の駆動速度のうちで最大となる速度よりも低い速度を最大速度として、前記設定目標駆動速度を定めるように構成されている点にある。
【0040】
すなわち、走行連係変速処理を実行すると仮定したときにおける刈取処理装置の駆動速度のうちで最大となる速度よりも低い速度を最大速度として、刈取駆動指令手段にて刈取処理装置の設定目標駆動速度が変更されることになる。
つまり、走行しながら刈取収穫作業を行なっているときに、圃場の穀稈が部分的に倒伏しているような場合においは、走行速度をその変速可能な最大速度よりも低速にして行なうことになるものであり、刈取駆動指令手段にて変更設定操作できる刈取処理装置の設定目標駆動速度が、走行連係変速処理を実行すると仮定したときにおける刈取処理装置の駆動速度のうちで最大となる速度と同じ速度であるとすると、誤操作により、刈取処理装置の目標駆動速度を不必要に高速に変更設定して、穀稈を損傷させてしまう等のトラブルを発生する虞がある。
【0041】
本第9特徴構成によれば、刈取駆動指令手段にて刈取処理装置の設定目標駆動速度を不必要な高速に設定することが無いようにして、穀稈を損傷させてしまう等のトラブルを発生することを抑制することができるものとなる。
従って、上記第3〜第8特徴構成のいずれかの作用効果に加えて、刈取処理装置の設定目標駆動速度を不必要な高速に設定することを回避できるコンバインの変速制御装置を提供するに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1、及び、運転席2を備える操縦部Aを装備した走行車体Bと、この走行車体Bの機体フレーム3の前部に昇降操作自在に連結された刈取処理装置4と、前記機体フレーム3の後部側箇所に走行車体Bの横方向に並べて設けた脱穀装置5と穀粒タンク6とを備えて、圃場を走行しながら、稲、麦などの穀稈を刈り取り、その刈取穀稈を脱穀処理するように構成されている。
説明を加えると、前記刈取処理装置4は、刈取り部フレーム4aが油圧シリンダ7によって機体フレーム3に対して上下に揺動操作されることにより、刈取処理装置4の前端部に刈取り部横方向に並んで位置する複数の分草具4bが地面付近に下降した下降作業状態と、前記分草具4bが地面から上昇した上昇非作業状態とに昇降するように構成されている。
そして、刈取処理装置4を下降作業状態にして走行車体Bを走行させると、刈取処理装置4が、刈り取り対象の複数の植付け条に位置する植立穀稈を対応する前記分草具4bによって隣接する植付け条の植立穀稈と分草し、各分草具4bからの植立穀稈を対応した引起し装置4cによって引起し処理するとともに一つのバリカン形の刈取り装置4dによって刈取り処理し、刈取穀稈を前搬送装置(図示せず)によって車体横幅方向の合流箇所に搬送したのち、合流された刈取穀稈を縦搬送装置4eによって走行車体Bの後方向に搬送して脱穀装置5の脱穀フィードチェーン5aの始端部に供給するように構成されている。
前記縦搬送装置4eの始端側箇所における穀稈の存否、つまり、刈取処理装置4における刈取穀稈を脱穀装置5に搬送する穀稈搬送経路の始端側箇所における穀稈の存否を検出する穀稈存否検出手段として、刈取穀稈の株元に接触作用して穀稈の存否を検出する株元センサ50が設けられている。
【0043】
前記脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈取り穀稈の株元側を挟持して走行車体Bの後方向に搬送しながら穂先側を扱室(図示せず)に供給し、刈取り穀稈を回動する扱胴(図示せず)によって脱穀処理するように構成されている。
穀粒タンク6は、脱穀装置5から搬送された脱穀粒を回収して貯留することになり、また、貯留した脱穀粒を排出するオーガ形の排出装置8を備えている。
【0044】
図3に示すように、前記走行車体Bにおける運転席2の下方に設けたエンジン10の出力軸10aの回転力が、ベルトテンション式の脱穀クラッチ14を介して脱穀装置5の入力軸5bに伝達され、また、エンジン10の出力軸10aからの回転力が、ベルトテンション式の伝動装置11を介して走行ミッションケース12の入力側に接続した走行変速装置Sの入力軸13に伝達され、さらに、エンジン10の出力軸10aからの出力が、ベルトテンション式の刈取クラッチ15を介して刈取変速装置Kの入力軸16に伝達されている。
つまり、エンジン10に並列的に接続される走行変速装置Sと刈取変速装置Kとから、走行装置1の走行速度及び刈取処置装置4の駆動速度を変速する変速手段Zが構成されている。
【0045】
前記走行ミッションケース12の内部には、走行変速装置Sから走行装置1に伝達される出力を高低に変速する変速状態及び中立状態に切換操作自在な副変速手段Sbが設けられ、例示はしないが、運転席2の横側部には、この副変速手段Sbを変速操作する副変速操作具が設けられている。この副変速手段Sbは、走行ミッションケース12の入力側に位置する高速駆動用の大径ギヤ22aと低速駆動用の小径ギヤ22bとを駆動側のギヤとして備え、それらギヤ22a、22bに選択的に咬合されるギヤ部を備えたシフトギヤ22cを受動側ギヤとして備えるギヤ咬合式に構成されるものであって、シフトギヤ22cを高速駆動用の大径ギヤ22aに咬合させると高速変速状態となり、シフトギヤ22cを低速駆動用の小径ギヤ22bに咬合させると低速変速状態となり、シフトギヤ22cを高速駆動用の大径ギヤ22a及び低速駆動用の小径ギヤ22bに咬合させないと中立状態となる。
ちなみに、詳述はしないが、シフトギヤ22cを一体回転自在に且つスライド自在に支持する回転軸23の動力が、ギヤ伝動機構を用いて、左右の走行装置1に伝達されることになる。また、例示はしないが、副変速操作具が、その揺動操作によりシフトギヤ22cをシフト操作するように、リンク機構等の機械式連係機構により、シフトギヤ22cを係止してスライドするシフターと連動連結されている。
【0046】
前記走行変速装置Sは、可変容量型の油圧ポンプ17と油圧モータ18とからなる静油圧式の無段変速装置として構成されるものであって、前進走行速度及び後進走行速度を無段階に変速するようになっている。そして、運転席2の横側方に、走行中立位置Nから前進域F及び後進域R側に操作自在な走行変速操作具としての変速操作レバー24(図4参照)が配設されており、この変速操作レバー24によって、走行変速装置Sが変速操作されるように構成されている。ちなみに、例示はしないが、変速操作レバー24を位置保持する摩擦式等の位置保持手段が設けられており、変速レバー24は位置変更操作されるとその位置に保持されるように構成されている。
【0047】
前記刈取変速装置Kは、可変容量型の油圧ポンプ19と油圧モータ20とからなる静油圧式の無段変速装置として構成されるものであって、刈取処理装置4の駆動速度を無段階に変速操作するように構成されている。
【0048】
変速操作レバー24による走行変速装置Sの操作について説明すると、図4に示すように、この変速操作レバー24にて指令される前進及び後進での目標走行速度Qを検出する目標走行速度検出手段として、この変速操作レバー24の操作位置を目標走行速度Qとして検出する目標速度検出センサ25、走行変速装置Sの変速状態として、油圧モータ18の回転速度を検出する変速状態検出センサ25A、及び、走行変速装置Sの油圧ポンプ17の吐出量を変更操作する走行変速用の走行電動モータ27が設けられ、そして、目標速度検出センサ25及び変速状態検出センサ25Aの検出情報に基づいて、走行変速レバー24の操作位置に対応する変速状態(目標走行速度Q)に走行変速装置Sを操作するように走行電動モータ27の作動を制御する制御手段Hが設けられている。つまり、走行変速レバー24が、走行中立位置Nに操作されると走行変速装置Sを変速中立状態に操作し、走行変速レバー24が前進域Fにおいて走行中立位置Nから離れる側に操作されるほど、高速前進状態となるように走行変速装置Sを操作し、さらに、走行変速レバー24が後進域Rにおいて走行中立位置Nから離れる側に操作されるほど、高速後進状態となるように走行変速装置Sを操作すべく、制御手段Hが走行電動モータ27の作動を制御するように構成されている。
【0049】
図4に示すように、クラッチ切り位置n、脱穀クラッチ14の入りを指令する脱穀クラッチ入り指令位置D、及び、脱穀クラッチ14及び刈取クラッチ15の入りを指令するクラッチ入り指令位置Yに揺動操作自在なクラッチ操作レバー44が、運転席2の横側箇所に設けられ、そのクラッチ操作レバー44の操作位置を検出する位置検出センサ45の検出情報が制御手段Hに入力されている。そして、制御手段Hが、位置検出センサ45の情報に基づいて、脱穀クラッチ操作電動モータ46及び刈取クラッチ操作電動モータ47を操作して、脱穀クラッチ14及び刈取クラッチ15を入り切り操作するように構成されている。
【0050】
また、刈取クラッチ15の自動操作を実行する実行指令状態と自動操作を実行しない解除状態とを選択的に指令する刈取オート指令スイッチ48及び刈取処理装置4の走行車体Bに対する昇降位置を検出する昇降位置センサ49が設けられている。
そして、制御手段Hが、刈取オート指令スイッチ48にて実行指令状態が指令され且つクラッチ操作レバー44がクラッチ入り指令位置Yに操作されている状態において、昇降位置センサ49の検出情報に基づいて刈取処理装置4が走行車体Bに対して設定高さ以上上昇されていることが検出されると、刈取クラッチ15を切り操作し、かつ、昇降位置センサ49の検出情報に基づいて刈取処理装置4が走行車体Bに対して前記設定高さよりも低い位置に下降されていることが検出されると、刈取クラッチ15を入り操作するように構成されている。
【0051】
また、図4に示すように、運転席2の前方箇所には、前後方向並び左右方向に揺動自在な操縦レバー42が設けられており、その操縦レバー42が中立位置から前方に操作されると前記下降指令を、且つ、操縦レバー42が中立位置から後方に操作されると前記上昇指令を指令する昇降指令スイッチ41が操作されるように構成されている。そして、その昇降指令スイッチ41の指令情報が、前記制御手段Hに入力され、制御手段Hは、その上昇指令及び下降指令に基づいて、刈取処理装置4を昇降操作する油圧シリンダ7の制御弁7Aを作動させて、刈取処理装置4を昇降させるように構成されている。
尚、詳述はしないが、前記操縦レバー42が中立位置から左方向に操作されると左旋回を指令し、且つ、操縦レバー42が中立位置から右方向に操作されると右旋回を指令する旋回指令スイッチ40が設けられている。そして、その旋回指令スイッチ40の指令情報が、前記制御手段Hに入力され、制御手段Hは、その左旋回指令及び右旋回指令に基づいて、左右一対の走行装置1を旋回駆動状態に切り換える駆動手段(図示せず)を作動させて、旋回を行なうように構成されている。
【0052】
前記刈取変速装置Kの操作について説明すると、図4に示すように、刈取処理装置4の駆動速度を検出する刈取駆動速度検出手段として、油圧モータ20の回転速度を検出する刈取速度検出センサ28、走行装置1の走行速度を検出する実走行速度検出手段としての走行速度検出センサ26、及び、刈取変速装置Kの油圧ポンプ19の吐出量を変更操作する刈取変速用の刈取電動モータ29が設けられている。
【0053】
走行速度検出センサ26は、図3に示すように、走行装置1と一体回転し且つ副変速手段Sbよりも伝動下手側に位置する回転体として、副変速手段Sbにおけるシフトギヤ22cを一体回転自在に且つスライド自在に支持する回転軸23に検出作用して、走行装置1の走行速度を検出するように構成されている。
つまり、詳述はしないが、回転軸23に、外周部に凹凸を設けた検出体を取り付け、その検出体の外周部に対応して固定設置されて、検出体の凹凸を検出する凹凸検出センサを設け、そして、その凹凸検出センサが単位時間当たりに凸を検出する回数を検出体の回転速度として求める演算部を設けて構成されている。
【0054】
そして、走行速度検出センサ26及び刈取速度検出センサ28の検出情報に基づいて、変速制御手段としての前記制御手段Hが、次に述べる如く、刈取変速用の刈取電動モータ29の作動を制御するように構成さている。
すなわち、刈取処理装置4を設定目標駆動速度Mで駆動する駆動指令を指令する駆動指令状態と刈取処理装置4の駆動指令を解除する解除指令を指令する指令解除状態とに切り換え自在で且つ駆動指令状態において、刈取処理装置4の駆動速度の高低を示す速度指標Pを指令する手動操作式の刈取駆動指令手段Jが設けられている。
【0055】
そして、制御手段Hが、刈取駆動指令手段Jにて解除指令が指令されているときには、走行連係変速処理を実行し、且つ、刈取駆動指令手段Jにて駆動指令が指令されているときには、非連係変速処理を実行するように構成されている。
【0056】
制御手段Hは、走行連係変速処理においては、走行装置1が停止及び後進するときには刈取処理装置4を停止し、かつ、走行装置1が前進するときには刈取処理装置4の駆動速度Wを走行装置1の走行速度Vが高速になるほど高速にする関係に定めた設定関係速度(図5参照)になるように刈取変速装置Kを変速すべく、刈取電動モータ29を作動させることになる。
尚、本実施形態においては、走行速度検出センサ26が、回転軸23の回転速度のみを検出し、回転方向を検出できない形態のものを使用しているため、制御手段Hは、変速操作レバー24の操作位置を目標走行速度Qとして検出する目標速度検出センサ25の検出情報を用いて、前進及び後進の判別を行うことになる。ちなみに、走行速度検出センサ26として、回転軸23の回転方向をも検出する形態のものを使用して、その走行速度検出センサ26の検出情報にて、前進及び後進の判別を行うように構成しても良いことは勿論である。
【0057】
また、制御手段Hは、走行速度検出手段26にて検出される走行速度Vが零のときには、前記目標速度検出センサ25の検出情報に基づいて、変速操作レバー24にて指令されている目標走行速度を走行速度として、走行連係変速処理を実行するように構成されている。つまり、目標速度検出センサ25にて検出される変速操作レバー24の操作位置に応じた目標速度Qが前進に対応するときには、刈取処理装置4の駆動速度Wを目標速度Qが高速になるほど高速にする関係に定めた設定関係速度(図6参照)になるように刈取変速装置Kを変速すべく、刈取電動モータ29を作動させることになる。
【0058】
ちなみに、図5に示すように、前記設定関係速度は、走行速度Vが零から設定低速度に増速される間は、刈取駆動速度Wを零にし、走行速度Vが設定低速度になると刈取駆動速度Wを設定低速度に増大させる形態にて定めるようにし、そして、図6に示すように、目標走行速度Qと刈取駆動速度Wとの関係も同様の形態で定めるようにしているが、設定関係速度は、種々変更できるものであり、また、目標走行速度Qと刈取駆動速度Wとの関係も種々変更できるものである。
【0059】
また、制御手段Hは、非連係変速処理においては、刈取処理装置4を設定目標駆動速度Mで駆動するように刈取変速装置Kを変速すべく、刈取電動モータ29を作動させることになり、そして、その設定目標駆動速度Mとして、図7に示すように、株元センサ50にて穀稈が検出されているときの穀稈存在用目標速度M1と株元センサ50にて穀稈が検出されていないときの穀稈非存在用目標速度M0とを、穀稈存在用目標速度M1を穀稈非存在用目標速度M0よりも低速とする状態で定めるように構成され、さらには、穀稈存在用目標速度M1及び穀稈非存在用目標速度M0を、刈取駆動指令手段Jにて指令される速度指標Pが高速であるほど高速にし、且つ、速度指標Pが同じ速度のときの速度を穀稈存在用目標速度M1の方が穀稈非存在用目標速度M0よりも低速となる状態で定めるように構成されている。
【0060】
説明を加えると、前記刈取駆動指令手段Jが、図4に示すように、復帰付勢された中立位置Tとその中立位置Tから離れる側に移動操作自在な指令操作具30と、その指令操作具30の位置Pを検出する位置検出センサ31と、指令制御手段32とから構成されている。
指令操作具30は、運転席2の足元部に相当する箇所に、中立位置Tとしての上昇位置に復帰付勢されて設けられた踏込み操作式の踏込みペダル(図4参照)にて構成され、運転席2に着座した操縦者の足にて踏込み操作可能に構成されている。具体的には、運転席2に着座した操縦者の右足の前方に相当する箇所、つまり、運転席2の前方で且つ右側に寄った箇所に設けられている。
【0061】
指令制御手段32は、位置検出センサ31の検出情報に基づいて、指令操作具30が中立位置側の中立操作域Uに位置すると、解除指令を指令し、かつ、指令操作具30が中立操作域Uよりも中立位置Tから離れる側の指令操作域Gに位置すると、駆動指令を指令し、加えて、指令操作具30が指令操作域G内において中立位置Tから離れる側に位置するほど高速の速度指標Pを指令するように構成されている。
【0062】
そして、制御手段Hが、図7に示すように、指令操作域G内における中立位置側となる前側範囲G1に指令操作具30が位置するときに指令制御手段32にて指令される速度指標Pに基づいて、刈取処理装置4の設定目標駆動速度Mとしての穀稈存在用目標速度M1及び穀稈非存在用目標速度M0を、設定低速度に定め、且つ、指令操作域G内における前側範囲G1よりも中立位置Tから離れる側の後側範囲G2に指令操作具30が位置するときに前記指令制御手段32にて指令される速度指標Pに基づいて、刈取処理装置4の設定目標駆動速度Mとしての穀稈存在用目標速度M1及び穀稈非存在用目標速度M0を、指令操作具30が中立位置Tから離れる側に位置するほど、設定低速度から漸次高速となるように定める形態で、かつ、指令制御手段32にて指令される速度指標Pが同じであるときに、穀稈存在用目標速度M1が穀稈非存在用目標速度M0の半分の速度になるようにする形態で、さらには、指令制御手段32にて指令される速度指標Pが最大のときの穀稈非存在用目標速度M0が、走行連係変速処理を実行すると仮定したときにおける刈取処理装置4の駆動速度Wのうちで最大となる速度W1よりも低い速度、具体的には最大速度W1の1/2にする形態で定めるように構成されている。
【0063】
尚、指令制御手段32は、制御手段Hの記憶機能及び判別機能を利用して、制御手段Hを用いて構成されることになる。つまり、制御手段Hが、位置検出センサ31の検出情報に基づいて、解除指令を指令されているか、駆動指令を指令されているかを判別し、加えて、速度指標Pを判別することになる。
【0064】
ちなみに、非連係変速処理において、設定目標駆動速度Mとして、穀稈存在用目標速度M1と穀稈非存在用目標速度M0とを、穀稈存在用目標速度M1を穀稈非存在用目標速度M0よりも低速とする状態で定めることにより、刈取処理装置4の穀稈搬送経路中に残っている刈取穀稈を脱穀装置5に供給する場合、及び、走行停止状態や微低速にて圃場に進入する場合の夫々において、刈取処理装置4を良好に駆動することが可能となるものである。
【0065】
すなわち、コンバインは、走行装置1の停止状態で、斜面を滑り落ちるようにしながら、圃場に進入するときや、微低速にて走行しながら、圃場に進入するとき等、走行停止状態や微低速にて圃場に進入する場合において、走行連係変速処理にては駆動されないあるいは極めて低速で駆動される刈取処理装置4を、穀稈の引き起こしを適正に行なえるように駆動するために、刈取駆動指令手段Jにて駆動指令を指令することがある。
そして、刈取処理装置4に残っている刈取穀稈を脱穀装置5に供給する場合には、刈取処理装置4が地面近くの刈取高さから大きく上昇されると、刈取処理装置4から脱穀装置5への穀稈の受け渡しにトラブルを生じ易いものとなるから、刈取処理装置4が地面近くの刈取高さから大きく上昇されるまでの短時間の間に、つまり、刈取処理装置4が地面近くの刈取高さに位置する間に、穀稈を脱穀装置5に供給することを完了させるために、かなりの高速にて刈取処理装置4を駆動させることが望まれるものである。これに対して、走行停止状態や微低速にて圃場に進入する場合においては、刈取処理装置4を高速で駆動させると、高速の引き起こし作用で脱粒を生じる不都合や、刈り取った穀稈が穂先先行状態で脱穀装置5に向けて搬送される結果、搬送詰まり等の搬送トラブルを生じる不都合が生じるため、刈取処理装置4を低速にて駆動することが望まれるものとなる。
【0066】
そして、走行装置1が停止又は後進しているときに、刈取処理装置4の穀稈搬送経路中に残っている刈取穀稈を脱穀装置5に供給する場合において、刈取駆動指令手段Jにて駆動指令を指令したときには、株元センサ50にては穀稈が検出されない、あるいは、検出されていても穀稈の搬送によりその後直ぐに穀稈が検出されない状態となるから、穀稈存在用目標速度M1よりも高速の穀稈非存在用目標速度M0にて刈取処理装置4が駆動されることになり、刈取処理装置4に残っている刈取穀稈を迅速に脱穀装置5に供給できるものとなる。
【0067】
また、走行装置1の停止状態で、斜面を滑り落ちるようにしながら、圃場に進入するときや、かなりの低速にて走行しながら、圃場に進入するとき等、走行停止状態や微低速にて圃場に進入する場合において、刈取駆動指令手段Jにて駆動指令を指令したときには、駆動指令を指令した直後においては、株元センサ50にて穀稈が検出されないため、一時的には、高速の穀稈非存在用目標速度M0にて刈取処理装置4が駆動されるものの、穀稈が刈取処理されて、その後直ぐに株元センサ50にて穀稈が検出されるものとなって、穀稈非存在用目標速度M0よりも低速の穀稈存在用目標速度M1にて刈取処理装置4が駆動されるため、高速の引き起こし作用で脱粒を生じる不都合や、刈り取った穀稈が穂先先行状態で脱穀装置5に向けて搬送されて、搬送詰まり等の搬送トラブルを生じる不都合を抑制して、穀稈を良好に刈取処理できるものとなる。
【0068】
また、非連係変速処理の実行を許可する許可指令と実行を停止する停止指令とを選択的に指令する実行指令手段としての指令スイッチ35が設けられている。
そして、制御手段Hが、指令スイッチ35にて許可指令が指令されているときには、非連係変速処理を実行し、かつ、指令スイッチ35にて停止指令が指令されているときには、非連係変速処理を実行しないように構成されている。
【0069】
次に、前記制御手段Hによる刈取変速装置Kを変速操作する刈取変速処理について、図8のフローチャートに基づいて詳述する。
先ず、刈取クラッチ15が入り操作されている状態である否か、つまり、クラッチ操作レバー44がクラッチ入り指令位置Yに操作されているか否かを判別し(#1)、クラッチ入り指令位置Yに操作されているときには、刈取オート指令スイッチ48にて実行指令状態が指令されているか否か、つまり、刈取オート指令スイッチ48が入りであるか否かを判別する(#2)。
刈取オート指令スイッチ48が入りで無いとき、及び、刈取オート指令スイッチ48が入りであっても、刈取処理装置4が設定高さ以下であるとき、つまり、刈取処理装置4が駆動されているとき(#3)には、指令スイッチ35にて許可指令が指令されているか否かを判別し(#4)、許可指令が指令されているときには、刈取駆動指令手段Jにて駆動指令が指令されているか否かを判別する(#5)。
【0070】
そして、指令スイッチ35にて許可指令が指令され、かつ、刈取駆動指令手段Jにて駆動指令が指令されているときには、刈取処理装置4を刈取駆動指令手段Jにて設定された目標駆動速度Mで駆動するように刈取変速装置Kを変速操作する非連係変速処理を実行することになり(#7)、指令スイッチ35にて許可指令が指令されていないときや、刈取駆動指令手段Jにて駆動指令が指令されていないときには、走行連係変速処理を実行することになる(#6)。
この走行連係変速処理としては、基本的には、刈取処理装置4の駆動速度Wを、走行速度検出センサ26にて検出される走行装置1の走行速度Vが高速となるほど高速にする関係にて定めた設定関係速度にするように刈取変速装置Kを変速操作するものであるが、走行速度検出手段26にて検出される走行速度Vが零のときには、目標速度検出センサ25にて検出される変速操作レバー24の操作位置に応じた目標速度Qが前進に対応するときには、刈取処理装置4の駆動速度Wを目標速度Qが高速になるほど高速にする関係に定めた設定関係速度になるように刈取変速装置Kを変速することになる。
【0071】
また、クラッチ操作レバー44がクラッチ入り指令位置Yに操作されていないことを判別したとき(#1)、及び、刈取オート指令スイッチ48が入り(#2)で、かつ、刈取処理装置4が設定高さよりも高いとき(#3)を判別したときは、刈取電動モータ29の作動を停止させる停止処理(#8)を実行することになる。
【0072】
〔別実施形態〕
次に別実施形態について説明する。
【0073】
(1)上記実施形態では、制御手段Hが、走行変速操作具24にて指令されている目標走行速度を検出する目標速度検出手段25の検出情報に基づいて、走行電動モータ27の作動を制御することにより、走行変速を行う形態を例示したが、走行変速操作具24と変速手段Zをリンク機構等の機械式連系機構を用いて連動連結する構成にて実施しても良い。
【0074】
(2)前記指令制御手段32にて指令される速度指標Pに基づいて、刈取処理装置4の設定目標駆動速度Mとしての穀稈存在用目標速度M1及び穀稈非存在用目標速度M0を定める形態は、上記実施形態に述べた形態に代えて各種変更できるものである。
例えば、図9に示すように、上記実施形態と同様に、指令操作域G内における中立位置側となる前側範囲G1に指令操作具30が位置するときに指令制御手段32にて指令される速度指標Pに基づいて、刈取処理装置4の設定目標駆動速度Mとしての穀稈存在用目標速度M1及び穀稈非存在用目標速度M0を、設定低速度に定め、且つ、指令操作域G内における前側範囲G1よりも中立位置Tから離れる側の後側範囲G2に指令操作具30が位置するときに指令制御手段32にて指令される速度指標Pに基づいて、指令操作具30が中立位置Tから離れる側に位置するほど、設定低速度から漸次高速となるように定める形態で、かつ、指令制御手段32にて指令される速度指標Pが同じであるときに、穀稈存在用目標速度M1が穀稈非存在用目標速度M0の半分の速度になるようにする形態で定めるようにし、そして、上記の実施形態では、指令制御手段32にて指令される速度指標Pが最大のときの穀稈非存在用目標速度M0が、走行連係変速処理を実行すると仮定したときにおける刈取処理装置4の駆動速度Wのうちで最大となる速度W1よりも低い速度、具体的には最大速度W1の1/2にする形態で定める場合を例示したが、これに代えて、指令制御手段32にて指令される速度指標Pが最大のときの穀稈非存在用目標速度M0が、走行連係変速処理を実行すると仮定したときにおける刈取処理装置4の駆動速度Wのうちで最大となる速度W1と同じ速度とする形態で定めるようにしてもよい。
(3)上記実施形態、及び、上述の(2)の別の実施形態においては、指令制御手段32にて指令される速度指標Pがおなじであるときに、穀稈存在用目標速度M1が穀稈非存在用目標速度M0の半分の速度になるようにする場合を例示したが、穀稈存在用目標速度M1が穀稈非存在用目標速度M0の3/4になるようにし、あるいは、1/3にする等、穀稈存在用目標速度M1を稈非存在用目標速度M0よりもどの程度低下させるかは各種変更できるものである。
【0075】
(4)上記実施形態、及び、上述の(2)の別の実施形態においては、指令制御手段32にて指令される速度指標Pの全範囲において、一律に、穀稈存在用目標速度M1が穀稈非存在用目標速度M0の半分の速度になるようにする場合を例示したが、例えば、速度指標Pの低速側の範囲に比べて高速側の範囲においては、穀稈存在用目標速度M1を穀稈非存在用目標速度M0から低下させる比率を少なくする等、穀稈存在用目標速度M1が穀稈非存在用目標速度M0よりも低速にする形態は各種変更できる。
【0076】
(5)上記実施形態では、指令操作具30として、踏込みペダルを例示したが、運転席2の前部や横部に配備されて、前後方向や横幅方向に移動操作自在な操作レバーにて、指令操作具30を構成しても良いが、踏込みペダルにて指令操作具30を構成した方が、操作面において好都合である。
【0077】
(6)上記実施形態では、エンジン10に並列的に接続される走行変速装置Sと刈取変速装置Kとから、走行装置1の走行速度及び刈取処置装置4の駆動速度を変速する変速手段Zを構成する場合を例示したが、例えば、エンジン10に接続される走行変速装置Sの出力を分岐させて刈取処理装置4を駆動し、且つ、刈取処理装置4を走行変速装置Sからの動力にて駆動される速度よりも高速で駆動するときには、走行変速装置Sから分離した状態おいて刈取処理装置4を電動モータ駆動するように構成する等、変速手段Zの構成は種々の構成を用いることができる。
【0078】
(7)上記実施形態では、走行連係変速処理における設定関係速度として、走行速度Vの単位変化量に対する刈取処理装置4の駆動速度Wの変化量や目標走行速度Qの単位変化量に対する刈取処理装置4の駆動速度Wの変化量が、走行速度の変更範囲の全範囲において同じになるようにする場合を、図5や図6において例示したが、走行速度Vや目標走行速度Qの単位変化量に対する刈取処理装置4の駆動速度Wの変化量を、走行速度Vや目標走行速度Qが高速になるほど大きくしてもよく、また、小さくしてもよく、走行速度Vや目標走行速度Qと刈取処理装置4の駆動速度Wとの設定関係速度は種々変更できる。
【0079】
(8)上記実施形態では、実走行速度検出手段50が検出作用する走行装置1と一体回転する回転体として、副変速手段Sbのシフトギヤ22cと一体回転する回転軸23を例示したが、実走行速度検出手段50が検出作用する回転体としては、走行装置1と一体回転するものであれば、適宜変更できるものである。ちなみに、走行装置1と一体回転するとは、走行装置1が前進及び後進するときに、走行装置1と同期して回転すれば良いものである。
その他、本発明を実施する上で必要となる各部の構成は各種の構成を用いることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】伝動装置の概略図
【図4】制御構成を示すブロック図
【図5】走行速度と刈取処理装置の駆動速度との関係を示す図
【図6】目標走行速度と刈取処理装置の駆動速度との関係を示す図
【図7】指令操作具の位置と設定目標駆動速度との関係を示す図
【図8】制御手段の作動を示すフローチャート
【図9】指令操作具の位置と設定目標駆動速度との別の関係を示す図
【符号の説明】
【0081】
1 走行装置
2 運転席
4 刈取処理装置
5 脱穀装置
10 エンジン
24 走行変速操作具
25 目標速度検出手段
26 実走行速度検出手段
28 刈取駆動速度検出手段
29 変速操作用のアクチュエータ
30 指令操作具
31 位置検出センサ
32 指令制御手段
35 実行指令手段
G 指令操作域
G1 前側範囲
G2 後側範囲
J 刈取駆動指令手段
K 刈取変速装置
P 速度指標
Q 目標走行速度
S 走行変速装置
Sb 副変速手段
T 中立位置
U 中立操作域
V 走行速度
W 駆動速度
Z 変速制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置の走行速度及び穀稈を引き起こし刈取り処理して脱穀装置に供給する刈取処理装置の駆動速度を変速する変速手段と、
前記走行装置の走行速度を変速すべく前記変速手段を操作する走行変速操作具と、
前記走行装置と一体回転する回転体に検出作用して前記走行装置の走行速度を検出する実走行速度検出手段と、
前記変速手段を操作する変速制御手段とが設けられ、
前記変速制御手段が、
前記実走行速度検出手段の検出情報に基づいて、前記走行装置が停止及び後進するときには前記刈取処理装置を停止し且つ前記走行装置が前進するときには前記刈取処理装置の駆動速度を前記走行装置の走行速度が高速となるほど高速にする関係にて定めた設定関係速度にするように前記変速手段を変速操作する走行連係変速処理を実行するように構成されたコンバインの変速制御装置であって、
前記走行変速操作具にて指令されている目標走行速度を検出する目標走行速度検出手段が設けられ、
前記変速制御手段が、前記実走行速度検出手段にて検出される走行速度が零のときには、前記目標走行速度検出手段の検出情報に基づいて、前記走行変速操作具にて指令されている目標走行速度を走行速度として、前記走行連係変速処理を実行するように構成されているコンバインの変速制御装置。
【請求項2】
前記走行装置に伝達される出力を高低に変速する変速状態及び中立状態に切換操作自在な副変速手段が設けられ、
前記実走行検出手段が、前記走行装置と一体回転する回転体として、前記副変速手段よりも動力伝達方向下手側に位置する回転体に検出作用して前記走行装置の走行速度を検出するように構成されている請求項1記載のコンバインの変速制御装置。
【請求項3】
前記刈取処理装置を駆動する駆動指令を指令する駆動指令状態と前記刈取処理装置の駆動指令を解除する解除指令を指令する指令解除状態とに切り換え自在な手動操作式の刈取駆動指令手段が設けられ、
前記変速制御手段が、
前記刈取駆動指令手段にて前記解除指令が指令されている場合には、前記走行連係変速処理を実行し、且つ、前記刈取駆動指令手段にて前記駆動指令が指令されている場合には、前記刈取処理装置を設定目標駆動速度で駆動するように前記変速手段を変速操作する非連係変速処理を実行するように構成されている請求項1又は2記載のコンバインの変速制御装置。
【請求項4】
前記刈取駆動指令手段が、前記駆動指令状態において、前記刈取処理装置の駆動速度の高低を示す速度指標を指令するように構成され、
前記変速制御手段が、前記非連係変速処理における前記設定目標駆動速度を、前記刈取駆動指令手段にて指令される前記速度指標が高速であるほど高速とする状態で定めるように構成されている請求項3記載のコンバインの変速制御装置。
【請求項5】
前記刈取駆動指令手段が、復帰付勢された中立位置とその中立位置から離れる側に移動操作自在な指令操作具と、その指令操作具の位置を検出する位置検出センサと、指令制御手段とから構成され、
前記指令制御手段が、前記位置検出センサの検出情報に基づいて、前記指令操作具が前記中立位置側の中立操作域に位置すると、前記解除指令を指令し、かつ、前記指令操作具が前記中立操作域よりも前記中立位置から離れる側の指令操作域に位置すると、前記駆動指令を指令し、加えて、前記指令操作具が前記指令操作域内において前記中立位置から離れる側に位置するほど高速の前記速度指標を指令するように構成されている請求項4記載のコンバインの変速制御装置。
【請求項6】
前記指令操作具が、運転席の足元部に、前記中立位置としての踏込みを解除された位置に復帰付勢した状態で設けた踏込み操作式の踏込みペダルである請求項5記載のコンバインの変速制御装置。
【請求項7】
前記指令制御手段が、前記指令操作域内における前記中立位置側となる前側範囲に前記指令操作具が位置するときには、前記速度指標として、設定低速度の速度指標を指令し、前記指令操作域内における前記前側範囲よりも前記中立位置から離れる側の後側範囲に前記指令操作具が位置するときには、前記速度指標として、前記指令操作具が前記中立位置から離れる側に位置するほど、前記設定低速度の速度指標から漸次高速となる速度指標を指令するように構成されている請求項5又は6に記載のコンバインの変速制御装置。
【請求項8】
前記変速制御手段が、前記非連係変速処理において、前記刈取駆動指令手段の指令に基づいて定めた前記設定目標駆動速度が前記走行連係変速処理を実行すると仮定したときの前記刈取処理装置の駆動速度よりも低いときには、前記走行連係変速処理を実行すると仮定したときの前記刈取処理装置の駆動速度にて前記刈取処理装置を駆動し、且つ、前記刈取駆動指令手段の指令に基づいて定めた前記設定目標駆動速度が前記走行連係変速処理を実行すると仮定したときの前記刈取処理装置の駆動速度と同じ及びその駆動速度よりも高速のときには、前記設定目標駆動速度にて前記刈取処理装置を駆動すべく、前記変速手段を変速操作するように構成されている請求項3〜7のいずれか1項に記載のコンバインの変速制御装置。
【請求項9】
前記変速制御手段が、前記走行連係変速処理を実行すると仮定したときにおける前記刈取処理装置の駆動速度のうちで最大となる速度よりも低い速度を最大速度として、前記設定目標駆動速度を定めるように構成されている請求項3〜8のいずれか1項に記載のコンバインの変速制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−75060(P2010−75060A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243950(P2008−243950)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】