説明

コンバインの姿勢制御装置

【課題】本発明は、機体の水平制御に用いられる油圧シリンダを含む機構を機体に対してコンパクトに配置するコンバインの姿勢制御装置を提供する。
【解決手段】機体フレーム2において機体左右方向に配置される軸部17,22に、当該軸部17,22周りに回動しトラックフレーム10を昇降操作する昇降アーム19,24,26と、軸部17,22を回動させて昇降アーム19,24,26を操作する操作アーム18,23とを機体前後のうちの同方向に取り付け、軸部17,22から同方向への操作アーム18,23の長さF1,R1を軸部17,22から同方向への昇降アーム19,24,26の長さF2,R2以下に設定するとともに、操作アーム18,23と機体フレーム2に亘ってピストンロッド28a,29aを下方に出退させて操作アーム18,23を軸部17,22周りに回動させる油圧シリンダ28,29を鉛直方向に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの姿勢を制御する姿勢制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クローラ式走行装置を備えたコンバインにおいては、機体に搭載される脱穀装置、グレンタンク、刈取装置等が機体左右方向乃至は機体前後方向に対して水平な姿勢に制御される。特許文献1に示されるクローラ式走行装置では、クローラ駆動用の左右一対の駆動輪を機体フレーム側に設け、クローラ接地部用転輪を取付けた左右一対のトラックフレームを機体フレームに対して昇降可能にリンク機構を介して機体フレームに取付けている。左右一対のトラックフレームは、リンク機構を作動するローリング用シリンダと、ローリング兼ピッチング用シリンダによって、機体左右及び機体前後に独立してローリング、ピッチング動作を可能にし、コンバインの姿勢制御がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−39855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のクローラ式走行装置における姿勢制御では、ローリング用シリンダが水平方向に配置されてピストンロッドが水平方向に出退動作されるため、平面視の機体フレームにおけるローリング用シリンダの占める領域は大きくなる。また、ローリング用シリンダのピストンロッドによって操作されるアームについても、クローラ式走行装置をローリング制御又はピッチング制御するためには、上下方向に大きく回動させる必要があり、姿勢制御機構は大きな領域を占める。しかし、コンバインにおいてはレイアウト上、機体フレームの上方にこうした姿勢制御機構を配置するスペースが確保できない場合があり、その場合は機体フレームの下方に姿勢制御機構を配置することとなり、コンバインの機体高さが高くなる傾向にある。
【0005】
本発明は、機体フレームの近傍にコンパクトに配置できるコンバインの姿勢制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンバインの姿勢制御装置の第1特徴構成は、クローラ式走行装置において転輪を支持するトラックフレームと、前記トラックフレームの上方に配置される機体フレームと、を備え、前記機体フレームにおいて機体左右方向に配置される軸部に、当該軸部周りに回動し前記トラックフレームを昇降操作する昇降アームと、前記軸部を回動させて前記昇降アームを操作する操作アームとを機体前後のうちの同方向に取り付け、前記軸部から前記同方向への前記操作アームの長さを前記軸部から前記同方向への前記昇降アームの長さ以下に設定するとともに、前記操作アームと前記機体フレームに亘ってピストンロッドを下方に出退させて前記操作アームを前記軸部周りに回動させる油圧シリンダを鉛直方向に配置した点にある。
【0007】
〔作用効果〕鉛直方向に配置された油圧シリンダのピストンロッドを下方側に出退させると、ピストンロッドに連結された操作アームが軸部周りに回動し、軸部に取付けられた昇降アームが軸部周りに回動する。この昇降アームの回動動作により、昇降アームの端部に連結されたトラックフレームが昇降操作される。
これにより、機体フレームに対してクローラ走行装置のトラックフレームが上下し、機体フレームの姿勢が制御される。ここで、軸部に昇降アームと操作アームとが機体前後のうちの同方向に取り付けられており、軸部から同方向への操作アームの長さが軸部から同方向への昇降アームの長さ以下に設定されており、油圧シリンダが鉛直方向に配置されている。操作アームは昇降アームの長さ以下であるので、操作アームは昇降アームの長さ以内の領域に収まる。また、油圧シリンダが鉛直方向に配置されているので、ピストンロッドが油圧シリンダの幅から側方にはみ出ることもない。すなわち、昇降アーム、操作アーム、軸部、及び油圧シリンダは、機体前後方向においては昇降アームの長さ程度にほぼ収めることができ、姿勢制御装置をコンパクトに構成することができる。また、鉛直方向に配置された油圧シリンダにおいてピストンロッドが上下に出退移動するので、水平方向に配置された油圧シリンダに比べてピストンロッドに対して圃場からの泥の付着を抑制することができる。これにより、姿勢制御装置の耐久性やメンテナンス性が向上する。
【0008】
本発明に係るコンバインの姿勢制御装置の第2特徴構成は、前記操作アーム、前記昇降アーム及び前記油圧シリンダを左右の前記トラックフレームに対して機体の前後に夫々2つ配置してある点にある。
【0009】
〔作用効果〕本構成の如く、トラックフレームを昇降操作する操作アーム、昇降アーム及び油圧シリンダを左右のトラックフレームに対して機体の前後方向に夫々2つ配置してあると、ピッチング制御とローリング制御が可能となり、前側の油圧シリンダと後側の油圧シリンダのピストンロッドは共に下方に出退動作する。すなわち、前後の油圧シリンダは、ピストンロッドにより受圧面積が減らされる状態ではないため、比較的小径の油圧シリンダであっても大きな力を得ることができる。これにより、コンバインの姿勢制御装置のコストダウンを図ることができる。
また、4つの油圧シリンダを同径のものに構成することが可能となり、4つの油圧シリンダの作動特性を同じものとすることができる。その結果、例えば、ローリング制御をする際に、前側の油圧シリンダと後側の油圧シリンダとの同期させる制御が安定的に行うことができ、メンテナンス性も向上する。
【0010】
本発明に係るコンバインの姿勢制御装置の第3特徴構成は、前記油圧シリンダと前記機体フレームとを弾性体を介して接続してある点にある。
【0011】
〔作用効果〕本構成の如く、油圧シリンダと機体フレームとを弾性体を介して接続することで、直立された状態の油圧シリンダの上端側と機体フレームとの間に弾性体が存在することになる。これにより、クローラ走行装置のトラックフレームから油圧シリンダの上端側にかかる振動を弾性体によって吸収することができ、走行機体の高さに係わり無くサスペンション効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】クローラ式走行装置とフレーム構造を示す側面図
【図3】クローラ式走行装置とフレーム構造を示す平面図
【図4】クローラ式走行装置の要部を示す側面図
【図5】ローリング作動状態を示す作用図
【図6】ピッチング作動状態を示す作用図
【図7】油圧シリンダの支持構造を示す部分正面図
【図8】第2実施形態のクローラ式走行装置の要部を示す側面図
【図9】別実施形態の動力伝達経路図
【図10】別実施形態のクローラ式走行装置の要部を示す側面図
【図11】別実施形態のクローラ式走行装置の要部を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、コンバインは、左右のクローラ式走行装置1,1の上方に機体フレーム2が配置されている。機体フレーム2の前部に昇降自在に刈取前処理部3を取り付けるとともに、機体フレーム2の上部には脱穀装置4、走行操縦部5、穀粒貯留部6が設けられている。
【0015】
図2及び図3に示すように、機体フレーム2は、平面視において直交するように配置した主フレーム7を備える。主フレーム7は、機体前後方向の縦フレーム7A,7Aと機体左右方向の横フレーム7B,7Bとで構成されている。前側の横フレーム7Bの中間位置に走行用のミッションケース8を取り付けるとともに、その左右両端にクローラ式走行装置1用の駆動スプロケット9を取り付けてある。
【0016】
縦フレーム7A,7Aの左右外側には昇降自在なトラックフレーム10,10を配置し、トラックフレーム10,10にクローラベルト11を案内する複数個の転輪12を設ける。転輪12の上方のクローラベルト11を支持する上部転輪13が縦フレーム7A,7Aに取り付けてある。左右のトラックフレーム10,10の夫々の後端には、後方に向けて出退自在なスライドフレーム10A,10Aを設けてある。スライドフレーム10A,10Aにクローラベルト11に対して緊張力を与える後方緊張輪14,14が取り付けてある。後方緊張輪14,14をネジ軸15によってスライド調節することで、クローラベルト11に対する緊張力を変更調節可能に構成してある。
【0017】
主フレーム7とトラックフレーム10との間には、左右のトラックフレーム10のいずれかを上下させて機体の左右傾斜に対して機体フレーム2を水平にさせるローリング機構と、トラックフレーム10の前後いずれかを上下させて機体の前後傾斜に対して機体フレーム2を水平にさせるピッチング機構とを設ける。
【0018】
主フレーム7の前側下方に支持メタル16を設け、支持メタル16に機体左右方向の軸部17を回転自在に設ける。軸部17の内側の端部に前方操作アーム18の基部を固定し、前方操作アーム18の基部とは反対側の端部は機体後方側に位置させる。軸部17の外側の端部には前方昇降アーム19の基部を固定し、前方昇降アーム19の他端は軸20を介してトラックフレーム10に固着する。
【0019】
主フレーム7の後側下方に支持メタル21を設け、支持メタル21に機体左右方向の軸部22を回転自在に設ける。軸部22の内側の端部に後方操作アーム23の基部を固定し、後方操作アーム23の基部とは反対側の端部は機体後方側に位置させる。軸部22の外側の端部に後方昇降第1アーム24の一端を固定し、後方昇降第1アーム24の他端は軸25に取付けられている。軸25には後方昇降第2アーム26の基部が揺動自在に取り付けられており、後方昇降第2アーム26の他端は軸27を介してトラックフレーム10に固着する。
【0020】
前方操作アーム18の端部にローリング用の単動型の油圧シリンダ28のピストンロッド28aを軸着する。前方操作アーム18と主フレーム7に亘り油圧シリンダ28が鉛直方向に配置してある。また、後方操作アーム23の端部にローリング兼ピッチング用の単動型の油圧シリンダ29のピストンロッド29aを軸着する。後方操作アーム23と主フレーム7に亘り油圧シリンダ29が鉛直方向に配置してある。
【0021】
図2〜図4に示すように、左右のトラックフレーム10,10に対して夫々前後に、油圧シリンダ28,29が夫々2つ配置してある。各油圧シリンダ28,29を独立して作動させ、作動量を制御することによって、機体をピッチング作動及びローリング作動するよう構成してある。ローリング用の油圧シリンダ28とローリング兼ピッチング用の油圧シリンダ29の断面積を同一構成とし、機体をローリング作動させるときは右又は左の油圧シリンダ28,29を同量伸縮させ、機体をピッチング作動させるときは左右の油圧シリンダ29のみを伸縮させる。
【0022】
図4に示すように、前方操作アーム18と前方昇降アーム19とは、いずれも軸部17に対し機体の後方に向けて延設されており、前方操作アーム18の軸部17から機体後方向の長さF1は、前方昇降アーム19の軸部17から機体後方向の長さF2と同じ又はその長さより短くなるように設定されている(図4ではF1はF2より短い)。こうした前方操作アーム18の端部に下方に出退するピストンロッド28aを有する油圧シリンダ28が鉛直方向に配置されている。
【0023】
また、後方操作アーム23と後方昇降第1アーム24及び後方昇降第2アーム26とは軸部22に対して、いずれも機体の後方に向けて延設されており、後方操作アーム23の軸部22から機体後方向の長さR1は、後方昇降第1アーム24及び後方昇降第2アーム26の軸部22から機体後方向の長さR2と同じ又はその長さより短くなるように設定されている(図4ではR1はR2より短い)。こうした後方操作アーム23の端部に下方に出退するピストンロッド29aを有する油圧シリンダ29が鉛直方向に配置されている。
【0024】
上述のように、前方操作アーム18の機体後方向の長さF1は前方昇降アーム19の長さF2以下であるので、前方操作アーム18は前方昇降アーム19の長さF2以内の領域に収まる。同様に、後方操作アーム23の機体後方向の長さR1は後方昇降アーム(後方昇降第1アーム24及び後方昇降第2アーム26)の長さR2以下であるので、後方操作アーム23は後方昇降アーム(後方昇降第1アーム24及び後方昇降第2アーム26)の長さR2以内の領域に収まる。また、主フレーム7の前後の油圧シリンダ28,29が鉛直方向に配置されているので、ピストンロッド28a,29aが油圧シリンダ28,29の幅から側方にはみ出ることもない。すなわち、前方操作アーム18(後方操作アーム23)、軸部17(軸部22)、及び油圧シリンダ28(後方の油圧シリンダ29)を、機体前後方向において前方昇降アーム19(後方昇降第1アーム24及び後方昇降第2アーム26)と同程度の長さの領域に収めることができる。
【0025】
これにより、コンバインの姿勢制御装置をコンパクトに構成することができる。また、鉛直方向に配置された油圧シリンダ28,29においてピストンロッド28a,29aが下方に出退移動するので、水平方向に配置された油圧シリンダに比べてピストンロッドに対する圃場からの泥の付着を抑制することができる。その結果、姿勢制御機構の耐久性及びメンテナンス性が向上する。
【0026】
また、上述のように、トラックフレーム10を昇降操作する操作アーム18,23、昇降アーム(前方昇降アーム19,後方昇降第1アーム24及び後方昇降第2アーム26)及び油圧シリンダ28,29を左右のトラックフレーム10に対して機体の前後方向に夫々2つ配置してあると、ピッチング制御とローリング制御が可能となる。その上、前方の油圧シリンダ28と後方の油圧シリンダ29のピストンロッド28a、29aが共に下方に出退動作する。すなわち、油圧シリンダ28,29はピストンロッド28a,29aにより受圧面積が減らされる状態ではないので、比較的小径な油圧シリンダであっても大きな力が得られる。これにより、コンバインの姿勢制御装置のコストダウンを図ることができる。
また、油圧シリンダ28,29を同径のものに構成することが可能となり、油圧シリンダ28,29の作動特性を同じものとすることができる。その結果、例えば、ローリング制御をする際に、前側の油圧シリンダ28と後側の油圧シリンダ29との同期させる制御が安定的に行うことができ、メンテナンス性も向上する。
【0027】
図5は、左右のトラックフレーム10の機体に対する相対高さを異なる状態に設定するローリング作動の制御形態を示す。機体をローリング作動させるときは、前方操作アーム18,前方昇降アーム19は軸部17を中心に回動し、後方操作アーム23,後方昇降第1アーム24は軸部22を中心に回動して、機体フレーム2とトラックフレーム10を相対的に上下させてローリングする。この場合、ローリング用の油圧シリンダ28とローリング兼ピッチング用の油圧シリンダ29とを同量伸縮させることで、前方操作アーム18及び前方昇降アーム19と、後方操作アーム23及び後方昇降第1アーム24とがほぼ平行するリンク部材となってトラックフレーム10の前後が同じ距離だけ変位してローリングする。
【0028】
図6は、左右のトラックフレーム10の長手方向の前後端の機体に対する高さを異なる状態に設定するピッチング作動の制御形態を示す。機体をピッチング作動させるときは、ローリング兼ピッチング用の油圧シリンダ29のみ伸縮させることで、後方操作アーム23及び後方昇降第1アーム24が軸部22を中心に回動し、さらに、後方昇降第2アーム26が横軸25を中心に回動する。そうなると、ローリング時に前方昇降アーム19と後方昇降第1アーム24とが平行リンク部材のように作用した構成は崩され、横軸25の位置が上下に移動してトラックフレーム10の後部のみを上下させる。こうして、トラックフレーム10の後部が上昇すると機体フレーム2の前部は下降し、トラックフレーム10の後部が下降すると機体フレーム2の前部は上昇する。
【0029】
また、各4個の操作アーム18,23の揺動量を異なる動作量に設定することでローリング作動と、ピッチング作動との複合制御の形態にすることができる。
【0030】
図7に示すように、機体前方の油圧シリンダ28の上端部28bは軸部30に支持させてある。軸部30の両側は弾性体(ゴムブッシュ)31を内装したブラケット32によって軸受しており、ブラケット32は主フレーム7に固着している。機体後方の油圧シリンダ29の上端部29bも同様に弾性体31及びブラケット32により主フレーム7に支持されている。
【0031】
油圧シリンダ28,29と機体フレーム2(主フレーム7)とを弾性体31を介して接続することで、鉛直方向に配置された油圧シリンダ28,29の上端側と機体フレーム2との間に弾性体31が存在することになる。これにより、圃場の変化によってクローラ式走行装置1のトラックフレーム10から油圧シリンダ28,29の上端側にかかる振動を弾性体31によって吸収することができ、走行機体の高さに係わり無くサスペンション効果を得ることができる。
【0032】
〔第2実施形態〕
本実施形態では、図8に示すように、主フレーム7とトラックフレーム10との間には、左右のトラックフレーム10のいずれかを上下させて圃場の機体の左右傾斜に対して機体フレーム2を水平にさせるローリング機構が設けてあり、ピッチング機構は設けられていない。
【0033】
前方操作アーム18及び前方昇降アーム19と、後方操作アーム23及び後方昇降アーム24とは、側面視L型形状に形成されている。前方操作アーム18の上端と後方操作アーム23の上端とはロッド33によって連結されている。後方操作アーム23の上部にはローリング用の油圧シリンダ29のピストンロッド29aの端部を取付け、ローリング用の油圧シリンダ29の端部が主フレーム7に固定支持されている。このとき、ローリング用の油圧シリンダ29及びピストンロッド29aは鉛直方向に配置されている。また、後方操作アーム23の軸部22から機体後方向の長さR1は、後方昇降アーム24の軸部22から機体後方向の長さR2と同じ又はその長さより短くなるように設定されている(図8ではR1はR2より短い)。
【0034】
〔他の実施形態〕
(1)図9に示すように、機体右側にエンジンEを前後向きに配置し、エンジンEの出力を出力ギア50、中間ギア51を介して機体前方に延出されるドライブシャフト53に伝達してもよい。ドライブシャフト53の両端部にはユニバーサルジョイント52を備える。ドライブシャフト53からベベルギア54を介してミッションケース8に動力を伝達し、ミッションケース8には無段変速装置(HST)を備える。
【0035】
このように、エンジンEからクローラ式走行装置1への動力伝達がシャフトドライブ方式であると、動力伝達の効率が向上する。また、ベルトによる動力伝達に比べて、シャフトドライブ方式であるとメンテナンスがほとんど不要であり、耐久性も向上する。さらに、エンジンEとミッションケース8とを近接させて配置することで、動力伝達の構造を簡素にすることができる。
【0036】
(2)上記の第1実施形態では、機体前方の油圧シリンダ28と機体後方の油圧シリンダ29の両方を鉛直方向に配置する構成を示したが、機体前方の油圧シリンダ28と機体後方の油圧シリンダ29のうち、一方を鉛直方向に配置し、他方を例えば図10に示す水平方向のような鉛直方向以外の方向に配置してもよい。また、図11に示すように、鉛直方向に配置される油圧シリンダ28,29は多少傾いた状態で配置されていてもよい。
【0037】
(3)上記の実施形態では、操作アーム18,23及び昇降アーム19,24及び26を軸部17,22に対して機体後方側に延設する構成を示したが、操作アーム18,23及び昇降アーム19,24及び26は軸部17,22に対して機体前方側に延設するよう構成してもよい。
【0038】
(4)上記の第1実施形態では、機体前方にローリング用の油圧シリンダ28に配置し、機体後方にローリング兼ピッチング用の油圧シリンダ29を配置したが、反対に、機体前方にローリング兼ピッチング用の油圧シリンダ29を配置し、機体後方にローリング用の油圧シリンダ28を配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、クローラ式走行装置を備える作業機の姿勢制御装置に広く適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 クローラ式走行装置
2 機体フレーム
7 主フレーム
10 トラックフレーム
11 クローラベルト
12 転輪
17,22 軸部
18 前方操作アーム(操作アーム)
19 前方昇降アーム(昇降アーム)
23 後方操作アーム(操作アーム)
24 後方昇降第1アーム(昇降アーム)
26 後方昇降第2アーム(昇降アーム)
28 油圧シリンダ(ローリング用)
28a,29a ピストンロッド
29 油圧シリンダ(ローリング兼ピッチング用)
31 弾性体
F1,R1 軸部から機体前後方向の操作アームの長さ
F2,R2 軸部から機体前後方向の昇降アームの長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラ式走行装置において転輪を支持するトラックフレームと、前記トラックフレームの上方に配置される機体フレームと、を備え、
前記機体フレームにおいて機体左右方向に配置される軸部に、当該軸部周りに回動し前記トラックフレームを昇降操作する昇降アームと、前記軸部を回動させて前記昇降アームを操作する操作アームとを機体前後のうちの同方向に取り付け、
前記軸部から前記同方向への前記操作アームの長さを前記軸部から前記同方向への前記昇降アームの長さ以下に設定するとともに、前記操作アームと前記機体フレームに亘ってピストンロッドを下方に出退させて前記操作アームを前記軸部周りに回動させる油圧シリンダを鉛直方向に配置したコンバインの姿勢制御装置。
【請求項2】
前記操作アーム、前記昇降アーム及び前記油圧シリンダを前記トラックフレームに対して機体の前後に夫々2つ配置してある請求項1記載のコンバインの姿勢制御装置。
【請求項3】
前記油圧シリンダと前記機体フレームとを弾性体を介して接続してある請求項1又は2に記載のコンバインの姿勢制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−55897(P2013−55897A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195322(P2011−195322)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】