説明

コンバインの引起装置

【課題】
穀稈を刈取り移送する刈取機の刈取り巾を増加させて、作業性能を向上させようとするものである。
【解決手段】
走行車台前方部に穀稈を刈取り移送する刈取機を設け、該刈取機の一部を形成する前部には、穀稈を引起しする複数の引起し装置と、該各引起装置を伝動する伝動機構を内装した左右両側の左・右下刈取ギヤーケースと中央部の中下刈取ギヤーケース等とを接続して設けたコンバインの刈取機において、前記中下刈取ギヤーケースの一方側の分割部には、継手用下刈取ギヤーケースを設けて、左・右・中下刈取ギヤーケース及び継手用下刈取ギヤーケースで形成される全巾を延長して、引起装置を一個追加して設けた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
走行車台の前方部に穀稈を刈取り移送する刈取機を設け、この刈取機の前部に設けた引起装置の個数を簡単に増加して、例えば、三条刈取りの刈取機を、四条刈取りの刈取機に変更するために、複数の引起装置を伝動する伝動機構を内装した左・右・中下刈取ギヤーケースを接続して設けた、該中下刈取ギヤーケースの分割部へ継手用下刈取ギヤーケースを設け、これらで形成される全巾を延長させて、引起装置を一個追加する技術であり、コンバインの引起装置として利用できる。
【背景技術】
【0002】
コンバインで立毛穀稈の収穫作業は、このコンバインの走行車台の前方へ設けて、穀稈を刈取り移送する刈取機の前方部側へ複数個設けた、各引起装置で穀稈は引起しされながら刈取りされ、刈取り穀稈は上部へ移送される。
【0003】
前記各引起装置は、例えば、四条刈取り方式であると、特開平9−74867号公報で示す如く左右両外側へ各1個と、中央部の左右両側へ近接させて各1個を設けると共に、これら中央部の各引起装置の前側には、前方下部から後方上部へ所定角度で傾斜させて、左右両側へ補助引起装置を各1個設けて、これら左右両外側と、中央部の左右両側との各引起装置と、中央部の左右両側の補助引起装置とにより、穀稈を分離しながら引起しされ、引起中に穀稈は刈取りされる。
【特許文献1】特開平9−74867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
穀稈を刈取り移送する刈取機は、例えば、三条列を刈取り用の刈取機であると、穀稈を引起しする引起装置は、三個設けた構成であるが、これを四条列を刈取り用の刈取機に変更するときには、引起装置を四個に増加する必要があり、又、これら一個増加して四個になった各引起装置を伝動駆動する下刈取ギヤーケース等も変更する必要があり、これら引起装置の増加、及び下刈取ギヤーケースの変更等が容易に、又、簡単に行うことができない構成であったが、この発明により、容易に、又、簡単に行うことができるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このために、この発明は、請求項1に記載の発明においては、走行車台2前方部に穀稈を刈取り移送する刈取機3を設け、該刈取機3の一部を形成する前部には、穀稈を引起しする複数の引起し装置9と、該各引起装置9を伝動する伝動機構10dを内装した左右両側の左・右下刈取ギヤーケース10a、10bと中央部の中下刈取ギヤーケース10c等とを接続して設けたコンバインの刈取機3において、前記中下刈取ギヤーケース10cの一方側の分割部(イ)には、継手用下刈取ギヤーケース11を設けて、左・右・中下刈取ギヤーケース10a、10b、10c及び継手用下刈取ギヤーケース11で形成される全巾(L)を延長して、引起装置9を一個追加して設けたことを特徴とするコンバインの引起装置としたものである。
【0006】
コンバインで立毛穀稈の収穫作業は、このコンバインの走行車台2の前方部へ設けて、穀稈を刈取り移送する刈取機3の前部側へ複数個設けた、各引起装置で穀稈は引起しされながら刈取りされ、刈取り穀稈は上部へ移送される。
【0007】
前記刈取機3は、例えば、三条列を刈取り移送する刈取機3であり、この三条刈り用の刈取機3を、四条列を刈取り移送する刈取機3へ組換え操作を行う時には、各引起装置9を伝動する伝動機構10dを内装した、左右両側の左・右下刈取ギヤーケース10a、10bと、中央部の中下刈取ギヤーケース10c等とを接続して設けた。この中下刈取ギヤーケース10cの左側の分割部(イ)へ継手用下刈取ギヤーケース11を組付けし、これら左・右・中下刈取ギヤーケース10a、10b、10c、及び継手用下刈取ギヤーケース11で形成される全巾(L)を延長して設ける。
【0008】
又、左右両外側の前記各引起装置9、9と、中央部のこの引起装置9の一方側である、左側へ所定の少隙間を設けて、一個の引起装置9を追加して組付けして、四条列を刈取りする四条列用の刈取機3で、四条列の穀稈を、四個の各引起装置9で引起しながら刈取りする。
【0009】
請求項2に記載の発明においては、前記中下刈取ギヤーケース10cの左右方向の巾を広巾(La1)にして設けて左・右・中下刈取ギヤーケース10a、10b、10cで形成される全巾(L)を延長して、引起装置9を一個追加して設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの引起装置としたものである。
【0010】
三条列を刈取り移送する前記刈取機3を、四条列を刈取り移送する刈取機3へ組換え操作を行う時は、各引起装置9を伝動する伝動機構10dを内装した、左右両外側の左・右下刈取ギヤーケース10a、10bと、中央部の中下刈取ギヤーケース10c等とを接続して設けた。この中下刈取ギヤーケース10cを取り外して、左右方向の巾を広巾(La1)にして設けた中下刈取ギヤーケース10cと交換して、左・右・中下刈取ギヤーケース10a、10b、10cで形成される全巾(L)を延長して設ける。
【0011】
又、左右両外側の前記各引起装置9、9と、中央部のこの引起装置9の一方側である左側へ所定の少隙間を設けて、一個の引起装置9を追加して組付けして、四条列を刈取りする四条列用の刈取機3で、四条列の穀稈を、四個の各引起装置9で引起しながら刈取りする。
【0012】
請求項3に記載の発明においては、前記走行車台2一方側の前部へ設けた操縦席27の反対側へ位置する各引起装置9を接続する上フレーム21を設け、該上フレーム21には、後方へ向けて防塵用カバー22aを設けると共に、該防塵用カバー22aは操縦席27から開閉自在な位置へ設けたことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のコンバインの引起装置としたものである。
【0013】
前記走行車台2の一方側(右側)の前部には、操縦席27を設け、四条列を刈取りする刈取機3は、走行車台2の前部へ設け、刈取機3の前方部へ設けた、各引起装置9の操縦席27の反対側へ設けた二個の引起装置9、9を接続する上フレーム21を設け、この上フレーム21には、後方へ向けて防塵カバー22aを設けると共に、この防塵カバー22aは、操縦席27へ着座して、運転操作する作業者が、開閉自在に操作できる位置へ設けて、刈取機3の穀稈移送部をカバーして、防塵させている。
【0014】
請求項4に記載の発明においては、前記上フレーム21には、各引起装置9内へ注油する注油ホース23を内装して設けたことを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3に記載のコンバインの引起装置としたものである。
【0015】
左側部へ設けた2個の引起装置9、9を接続して設けた上フレーム21には、各引起装置9内へ注油する注油ホース23を設け、この注油ホース23から各引起装置9の引起チェン等へ注油させている。
【0016】
請求項5に記載の発明においては、前記操縦席27前部へ位置する各引起装置9の全高(H)を短縮し、低い該引起装置9にして設けたことを特徴とするコンバインの引起装置としたものである。
【0017】
前記操縦席27の前部へ位置する刈取機3の二個の引起装置9、9の全高(H)を所定寸法短縮して、低い該引起装置9、9にして設け、穀稈を引起し中に脱粒されて、操縦席27へ着座して運転操作する作業者へ向けて飛散する穀粒を防止させている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明においては、穀稈を刈取り移送する刈取機3の複数の穀稈を引起す引起装置9と、この各引起装置9を伝動する伝動機構10dを内装した左右両側の左・右下刈取ギヤーケース10a、10bと、中央部の中下刈取ギヤーケース10c等とを接続して設けた、この中下刈取ギヤーケース10cの一方側の分割部(イ)には、継手用刈取ギヤーケース11を設けて、全巾(L)を延長して、引起装置9を一個追加した構成としたことにより、刈取りする穀稈の条列数の増加が容易である。各引起装置9の振動、及び破損の防止ができる。又、組立が容易である。左側と、中央部の二個の各引起装置9、9を近接させて接続させたことにより、運転作業者に干渉することがない。更に運転視界が良好になる。
【0019】
請求項2に記載の発明においては、前記中下刈取ギヤーケース10cの左右方向の巾を広巾(La1)にして、左・右・中下刈取ギヤーケース10a、10b、10cで形成する全巾(L)を延長し、引起装置9を一個追加したことにより、共用できる部品の増加により、コストダウンになる。
【0020】
請求項3に記載の発明においては、操縦席27の反対側へ設けた刈取機3の二個の引起装置9、9を接続する上フレーム21を設けると共に、この上フレーム21には、防塵カバー22aを設け、この防塵カバー22aは操縦席27から開閉自在に設けたことにより、上フレーム21を利用して防塵カバー22aを設けたことにより、コスト低減になる。刈取機3を上昇させても、干渉物がない。操縦席27への防塵ができる。
【0021】
請求項4に記載の発明においては、前記上フレーム21へ注油ホース23を内装して設けたことにより、注油ホース23の保護ができる。又、注油ホース23の短縮化を図ることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明においては、前記操縦席27の前部へ位置する刈取機3の二個の引起装置9、9の全高(H)を短縮し、低い該引起装置9、9にしたことにより、刈取機3を上昇操作時に、運転作業者に当接することがなく安全である。前方視界が良好になる。又、刈取り作業中に発生する飛散粒が運転作業者へ飛んで当ることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行車台2前方部に、穀稈を刈取り移送する刈取機3を設けると共に、走行車台2の上側の一方側には、刈取機3から刈取り穀稈の供給を受けて、脱穀する脱穀機5と、この脱穀機5の横側の他方側には、脱穀済み穀粒を受けて貯留する穀粒貯留タンク7とを載置した構成である。刈取機3の前部には、刈取りする穀稈を分離すると共に、引起しする複数個の引起装置9を設けた構成である。この各引起装置9を伝動する伝動機構10dを内装する左右両外側の左・右下刈取ギヤーケース10a、10bと、中央部の中下刈取ギヤーケース10cとを接続して設け、この中下刈取ギヤーケース10cの一方側の分割部(イ)には、継手用下刈取ギヤーケース11を設け、これら左・右・中下刈取ギヤーケース10a、10b、10c、及び継手用下刈取ギヤーケース11で、一体に形成される全巾(L)を延長させる構成として、例えば、引起装置9を一個追加可能な構成である。三条列を刈取り用の刈取機3を、四条列を刈取り用の刈取機3に容易に簡単に変更できる構成である。該刈取機3の引起装置9の増加構成、及び左・右・中下刈取ギヤーケース10a、10b、10c部の全巾(L)の増加構成等を主に図示して説明する。
【0024】
前記コンバイン1の走行車台2の下側には、図12で示す如く土壌面を走行する左右一対の走行クローラ4aを張設した走行装置4を配設し、走行車台2の上側には、脱穀機5を載置した構成である。走行車台2の前方部の刈取機3で立毛穀稈を刈取りし、この刈取り穀稈は、この刈取機3で後方上部へ移送され、脱穀機5のフィードチェン6aと、挟持杆6bとで引継ぎされて、挟持移送されながら脱穀される。脱穀済みで選別済み穀粒は、脱穀機5の右横側に配設した穀粒貯留タンク7内へ一時貯留される。
【0025】
前記走行車台2の前方部には、図12で示す如く前端位置から立毛穀稈を分離するナローガイド8a、及び各分草体8bと、立毛穀稈を引起す引起ケース9a内へ引起ラグ9bを所定間隔に装着した引起チェン9cを回転自在に軸支内装した各引起装置9と、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置12の各掻込装置12aと、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置8cと、刈取りされた穀稈を挟持移送して、脱穀機5のフィードチェン6aと、挟持杆6bとへ受渡しする穀稈掻込移送装置12の根元・穂先移送装置13a・13bと、扱深さを調節する扱深調節移送装置34等とからなる刈取機3を設けている。該刈取機3は、油圧駆動による伸縮シリンダ14により、土壌面に対して、昇降自在に移動する構成である。
【0026】
前記刈取機3の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆15aの上端部には、左右方向に支持パイプ杆15bを設け、これら支持杆15aには、伝動機構15dを軸支内装し、支持パイプ杆15bには、伝動機構15eを軸支内装して設け、エンジン28の回転動力は、支持パイプ杆15bの伝動機構15eへ入力され、刈取機3の各部が回転駆動される構成である。この支持パイプ杆15bを走行車台2の上側面に設けた支持装置15cで回動自在に支持させて、伸縮シリンダ14の作動により、刈取機3は支持パイプ杆15bを回動中心として、上下に回動する構成である。
【0027】
前記刈取機3の穀稈掻込移送装置12によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送される穀稈に接触作用することにより、脱穀機5へ穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ3aを設けた構成である。
【0028】
例えば、三条列を刈取り用の刈取機3を、四条列を刈取り用の刈取機4へ組換えを行う時の四条列の刈取機3について、図1〜図4で示す如く図示して説明する。
図1で示す三条列を刈取りする刈取機3の三個の前記引起装置9を、図1で示す四条列を刈取りする刈取機3の四個の引起装置9へ組換えするときは、この刈取機3の支持杆15aの下端部へ一体に形成して設けた左右両外側の左・右下刈取ギヤーケース10a、10bと、これら左・右下刈取ギヤーケース10a、10b間へ設けた中央部の中下刈取ギヤーケース10cとを接続して一体形成し、これらには、伝動機構10dを軸支内装した構成である。又、中下刈取ギヤーケース10cと右側の右下刈取ギヤーケース10bとの間の分割部(イ)部には、継手伝動機構11aを軸支内装した継手用下刈取ギヤーケース11を挿入して設けて、左・右・中下刈取ギヤーケース10a、10b、10c、及び継手用下刈取ギヤーケース11で形成される全巾(L)を延長して、広巾に形成して設けた構成である。
【0029】
又、前記下部の各ギヤーケース10a、10b、10c、11等で形成される全巾(L)を延長して広巾にしたことにより、図1で示す如く中央部の引起装置9の左横側には、所定の狭い隙間を設けて、引起装置9を一個追加した構成である。これにより、三条列を刈取りする刈取機3を、四条列を刈取りする刈取機3に組換えした構成である。
【0030】
左右両外側の各引起装置9は、図1、及び図12で示す如く、左・右下刈取ギヤーケース10a、10bの上側部へ略く字形状で上方へ突出させ設けた、各伝動機構18aを軸支内装した各左右引起パイプ18から各伝動機構20aを軸支内装した引起ギヤーケース20を介して、左右両外側の各引起装置9の上部を個別に装着すると共に、個別に各引起装置9の各引起チェン9cを回転駆動して、この引起チェン9cへ設けた多数個の引起ラグ9bにより、穀稈は引起される構成である。
【0031】
中央部の二個の各引起装置3は、図3、及び図4で示す如く中下刈取ギヤーケース10cの前側部へ前方へ突出させて、伝動機構16aを軸支内装した前フレーム16を設け、この前フレーム16の前端部には、伝動機構17aを軸支内装した前ギヤーケース17を設け、この前ギヤーケース17の上側には、伝動機構19aを軸支内装した略十字形状で上方へ突出させて中引起パイプ19を設け、この中引起パイプ19から各伝動機構20aを軸支内装した引起ギヤーケース20を介して、左右両側の伝動機構35aを軸支内装した各左右ギヤーケース35、35を中央部の左右両側の各引起装置9の上部へ個別に装着すると共に、個別に各引起装置9の各引起チェン9cを回転駆動して、この各引起チェン9cへ設けた多数個の引起ラグ9bにより、穀稈は引起される構成である。
【0032】
前記刈取機3の複数の引起装置9と、この各引起装置9を伝動する伝動機構10dを内装した左右両側の左・右下刈取ギヤーケース10a、10bと、中央部の中下刈取ギヤーケース10c等とを接続して設けた、この中下刈取ギヤーケース10cの一方側の分割部(イ)には、伝動機構11aを軸支内装した継手用下刈取ギヤーケース11を設けて、全巾(L)を延長して設けると共に、この延長と共に、引起装置9を一個追加した構成としたことにより、刈取りする穀稈の一条列の増加が容易である。各引起装置9の振動、及び破損の防止を図ることができる。又、組立が容易である。中央部の二個の各引起装置9、9を近接させて接続したことにより、運転者へ干渉を防止できる。更に、運転視界を良好にすることができる。
【0033】
三条列を刈取りする前記刈取機3を、四条列を刈取りする刈取機3へ組換えするときは、図5、及び図6で示す如く左右両外側の左・右下刈取ギヤーケース10a、10a間に設けた中下刈取ギヤーケース10cの左右方向の巾を広巾(La1)に形成して設け、この広巾(La1)の中下刈取ギヤーケース10cを、左・右下刈取ギヤーケース10a、10a間へ組換えを行う構成であり、これにより、左・右・中下刈取ギヤーケース10a、10b、10cで組換えて形成される全巾(L)を延長して、広巾に形成した構成である。
【0034】
又、前記下部の各ギヤーケース10a、10b、10c等で形成される全巾(L)を延長して、広巾にしたことにより、図5で示す如く中央部の引起装置9の左横側には、所定の狭い隙間を設けて、引起装置9を一個追加した構成である。これにより、三条列を刈取りする刈取機3を、四条列を刈取りする刈取機3へ組換えされた構成である。
【0035】
前記中下刈取ギャーケース10cの左右方向の巾を広巾(La1)にして、左・右・中下刈取ギヤーケース10a、10b、10cで形成する全巾(L)を延長して設けると共に、引起装置9を一個追加した構成としたことにより、共用できる部品の増加により、コストダウンになる。部品点数の減少を図ることができる。刈取機3の強度アップになる。
【0036】
前記走行車台2の一方側(左側)の前部へ設けた、操縦席27の反対側(左側へ位置する左外側の引起装置9と、中央部の左側の引起装置9との各引起ケース9a、9aの上部には、図7、及び図8で示す如くこれら各引起装置9、9を接続する略コ字形状の接続用の上フレーム21を、各引起装置9、9より、上部へ突出させて設けた構成である。又、上フレーム21には、刈取機3の左側上部をカバーする防塵カバー22aを開閉自在に設けると共に、この防塵カバー22aの右側下部には、回動用ハンドル22bを設け、この回動用ハンドル22bは、操縦席27へ着座して、運転操作する運転作業者が、回動用ハンドル22bの操作により、防塵カバー22aを開閉操作可能な構成である。
【0037】
前記操縦席27の反対側(左側)へ設けた刈取機3の左外側の引起装置9と、中央部の左側の引起装置9との上側には、上フレーム21を設けて、これら引起装置9、9を接続すると共に、上フレーム21には、防塵カバー22aを開閉自在に設け、この防塵カバー22aは、操縦席27から開閉自在に設けたことにより、更に上フレーム21を利用して防塵カバー22aを設けたことにより、コスト低減になる。刈取機3を上昇させても、干渉物がない。又、操縦席27へ塵埃の防止ができる。
【0038】
前記上フレーム21内には、図9で示す如く中央部の左右両側の各引起装置9、及び刈刃装置8c等へ注油する注油ホース23の一方側を油タンク(図示せず)へ接続させて、左側のく字形状の左右引起パイプ18に沿って、左外側の引起装置9の裏側面を上昇させて、上フレーム21へ内装し、中央部の左右両側の各引起装置9、9間を下降させて、中央部の左右両側の引起装置9、9の各引起チェン9c、9cと、刈刃装置8cとへ注油ホース23の先端部を分岐させて、各分岐ホース23aを設けて、注油する構成である。
【0039】
前記中央部の左右両側の各引起装置9、9の各引起チェン9c、9cへ注油する注油ホース23は、上フレーム21へ内装して設けたことにより、この注油ホース23の保護ができる。又、注油ホース23の短縮化を図ることができる。更に清掃が容易であり、清掃時に破損させることがない。
【0040】
右外側へ配設した前記引起装置9、及び中央右側部へ配設した引起装置9は、操縦席27の前部へ位置させて設けた構成である。これら各引起装置9、9は、図10、及び図11で示す如く全高(H)を短縮して、全高の低い該各引起装置9、9として設けた構成であり、収穫作業で穀稈を引起中に、飛散する飛散穀粒、及び塵埃等が運転作業者へ飛ばない構成である。
【0041】
右外側の前記引起装置9と、中央右側部の引起装置9とは、全高(H)を短縮して、低い該引起装置9、9にして設けたことにより、刈取り作業時の前方視界が良好になる。
又、飛散粒、及び塵埃等が運転作業者へ飛んで当ることを防止できる。更に小型軽量化、及び左右バランスの向上を図ることができる。
【0042】
前記刈取機3の根元移送装置13aのチェンプレート13cの先端部と、穀稈掻込移送装置12の中央右側へ配設した掻込装置12aの掻込スターホイル12bの外周部とは、図13で示す如くこの掻込スターホイル12bの所定外周間は、所定寸法(L2)を重合させて設けた構成である。
【0043】
これにより、前記刈取機3を短く構成することができる。これにより、コンバイン1の前後バランスを変更せずに、刈取り条列を一列増加させる刈取機3に変更が容易である。
前記刈取機3の中央右側部の掻込装置12aの小径の掻込スターホイル12bの下側には、根元掻込装置13のチェンのガイドと、穀稈の巻付き防止との両者を行う円形状のチェンガイド12cを、図14、及び図15で示す如く設けた構成である。このチェンガイド12cは、掻込スターホイル12bとは関係なく、遊動回転する構成である。
【0044】
前記掻込装置12aは、掻込軸24aの上部に小径の掻込スターホイル12bを設けると共に、下部に掻込プーリ24bを設け、これら掻込スターホイル12bと、掻込ラグ付ベルト24eを巻き付けする掻込プーリ24bとの間には、上側より、順次上巻付パイプ24cと、チェンガイド12cと、下巻付パイプ24dとを、遊動回転自在に設けて、穀稈の巻付きを防止した構成である。
【0045】
これにより、前記チェンガイド12cが遊動回転することにより、小径の掻込スターホイル12bの回転駆動とは関係なく、根元移送装置13aのチェンスピードのみで穀稈の移送ができる。
【0046】
前記刈取機3の中央右側部の掻込装置12aの掻込スターホイル12bの外周部と、根元移送装置13aのチェンプレート13cの先端部とが、所定距離重合状態にすべく、断面形状が略コ字形状の案内ガイド25を、根元移送装置13aを支持するチェン摺し25aへ設けた支持ピン25bで回動自在に軸支すると共に、案内ガイド25をチェン摺し25aへ設けた板バネ25cにより、スターホイル12b側へ押圧して、チェンプレート13cと、スターホイル12bの外周部とを、所定距離重合状態に支持させた構成である。
【0047】
これにより、前記根元移送装置13aの脱線を防止することができる。又、各チェンプレート13cで穀稈を確実に移送することができる。
右側の前記根元移送装置13aの移送始端部側は、図17〜図19で示す如く湾曲させて、穀稈を掻込装置12aにより、引継ぎ移送をスムーズにした構成である。
【0048】
右側の前記根元移送装置13aの移送始端部側の湾曲部(ロ)には、図19で示す如く湾曲した磁石材で形成した湾曲チェン摺し25dと、直線形状のチェン摺し25aとにより、根元移送装置13aを支持させた構成である。
【0049】
これにより、右側二条の入口部の拡大により、穀稈の移送がスムーズである。構成部品の減少により、コスト低減になる。チェン摺しの小型になる。
右側の前記根元移送装置13aの移送始端部側の湾曲部(ロ)には、図20〜図22で示す如く挟持装置32を設けた構成である。この挟持装置32は、挟持プレート32aへ各挟持軸32bを設け、この各挟持軸32bには、各スプリング32cを軸支して設け、この各スプリング32cで挟持プレート32aを、根元移送装置13aのチェンプレート13c側へ押圧した構成である。
【0050】
これにより、右側入口の穀稈移送経路の拡大を図ることができる。又、穀稈の流れがスムーズである。更に前記挟持装置32により、穀稈のこぼれ防止を図った構成である。
前記刈取機3の掻込装置12aは、図14で示す如く中央部の右側の掻込スターホイル12bの外径形状により、中央部の左側の掻込スターホイル12bの外径形状を大きくして設けた構成である。
【0051】
これにより、中央右側部の掻込スターホイル12bを小外径形状としたことにより、根元移送装置13aのラインがより直線になり、移送の確実化を図ることができる。
前記刈取機3の中央部の右側へ設けた掻込装置12aの掻込スターホイル12bの上側へ設けた、円形状のチェンガイド12cは掻込スターホイル12bと同時に回転駆動する構成である。
【0052】
前記チェンガイド12cの周速と、根元移送装置13aのチェンプレート13cの周速とは、略同じ周速にして設けた構成である。
これにより、前記チェンガイド12cと、根元移送装置13aとの周速は、略同じ周速としたことにより、穀稈の移送が良好であり、もたつき等を防止することができる。
【0053】
左外側の前記引起装置9と、中央部の引起装置9とを接続した上フレーム21の右側部と、中央部の左右両側の各引起装置9、9間の前側には、図23〜図25で示す如く分草ガイド33を設けた構成である。
【0054】
前記分草ガイド33の上端部は、上フレーム21の前部側へ装着すると共に、下端部は、略L字形状のフレームパイプ33aへ装着して設けた構成である。
これにより、前記フレームパイプ33aの装着、及び取り外しが容易である。中央部の左右両側の各引起装置9、9の前後方向の位置決めが容易である。軽量、及び振動低減が容易である。
【0055】
前記刈取機3を支持する支持杆15aと、前フレーム16とは、図27、及び図28で示す如く直線上に設けた構成である。
これにより、前記刈取機3の左右バランスが向上する。伝動構成が容易である。
【0056】
三条列を刈取りする前記刈取機3を、四条列を刈取りする刈取機3へ組換えするときは、左右両側の左・右下刈取ギヤーケース10a、10bは、図30〜図33で示す如く三条列を刈取りする刈取機3の左・右下刈取ギヤーケース10a、10bを共用使用する構成である。又、中下刈取ギヤーケース10cは、三条列を刈取りする刈取機3より、左側へ(A)寸法延長させると共に、右側へ(B)寸法延長した四条列を刈取りする刈取機3の専用部品と交換する構成である。
【0057】
又、中央部の左右両側の各引起装置9、9は、図32、及び図33で示す如く中引起パイプ19の伝動機構19から、引起ギヤーケース20の伝動機構20aを介して、左右両側の各引起装置9、9へ設けた左・右ギヤーケース35の伝動機構35aを介して、これら中央部の左右両側の引起装置9、9を回転駆動する構成である。
【0058】
これにより、三条列を刈取りする前記刈取機3を、四条列を刈取りする刈取機3へ容易に組換えすることができる。
前記穀粒貯留タンク7側の前部には、図12で示す如くコンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置26と、これら操作を行う作業者が搭乗する操縦席27とを設け、この操縦席27の下側で、走行車台2の上側面には、エンジン28を載置すると共に、後方部には、穀粒貯留タンク7を配設する。これら走行装置4と、刈取機3と、脱穀機5と、エンジン28等により、コンバイン1の機体1aを形成した構成である。
【0059】
前記走行車台2の前端部に装架した走行用のミッションケース29内の伝動機構29aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ29bを設けた構成である。
【0060】
前記穀粒貯留タンク7内に貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク7の後側には、縦移送螺旋30aを内装した排出支持筒30を略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒30の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋31aを伸縮自在に内装した排出オーガ31を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設した構成である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】引起装置と、下刈取ギヤーケースとの拡大正面図
【図2】引起装置部の拡大正面図
【図3】中央部の引起装置の拡大側面図
【図4】中央部の引起装置の拡大正面図
【図5】引起装置と、下刈取ギヤーケースとの拡大正面図
【図6】下刈取ギヤーケース部の拡大正面図
【図7】引起装置部と、防塵カバー部との拡大正面図
【図8】引起装置部と、防塵カバー部との拡大平面図
【図9】引起装置と、注油ホースとの拡大正面図
【図10】引起装置と、操縦席との拡大正面図
【図11】引起装置と、操縦席との拡大平面図
【図12】コンバインの左側全体側面図
【図13】他の実施例を示す図で、根元移送装置と、掻込スターホイルとの拡大平面図
【図14】他の実施例を示す図で、掻込スターホイルと、チェンガイドとの拡大平面図
【図15】他の実施例を示す図で、掻込スターホイルと、チェンガイドとの拡大側断面図
【図16】他の実施例を示す図で、掻込スターホイルと、案内ガイドとの拡大平面図
【図17】他の実施例を示す図で、根元移送装置部の平面図
【図18】他の実施例を示す図で、根元移送装置部の拡大平面図
【図19】他の実施例を示す図で、根元移送装置部の拡大平面図
【図20】他の実施例を示す図で、根元移送装置部と、掻込装置部との拡大平面図
【図21】他の実施例を示す図で、根元移送装置部と、挟持装置部との拡大平面図
【図22】他の実施例を示す図で、挟持装置部の拡大側面図
【図23】他の実施例を示す図で、分草ガイドと、中引起パイプとの拡大正面図
【図24】他の実施例を示す図で、分草ガイドと、中引起パイプとの拡大側面図
【図25】他の実施例を示す図で、分草ガイドと、中引起パイプとの拡大正面図
【図26】他の実施例を示す図で、掻込スターホイルと、チェンガイドとの拡大平面図
【図27】他の実施例を示す図で、前フレームと、支持杆との拡大正面図
【図28】他の実施例を示す図で、前フレームと、支持杆との拡大正面図
【図29】他の実施例を示す図で、引起装置と、下刈取ギヤーケース部との拡大正面図
【図30】他の実施例を示す図で、下刈取ギヤーケース部の拡大正面図
【図31】他の実施例を示す図で、引起装置部の拡大正面図
【図32】他の実施例を示す図で、中央部の引起装置の伝動機構図
【図33】他の実施例を示す図で、中央部の引起装置の伝動機構図
【符号の説明】
【0062】
2 走行車台
3 刈取機
9 引起装置
10a 左下刈取ギヤーケース
10b 右下刈取ギヤーケース
10c 中下刈取ギヤーケース
10d 伝動機構
11 継手用下刈取ギヤーケース
21 上フレーム
22a 防塵カバー
23 注油ホース
27 操縦席
イ 分割部
L 全巾
La1 広巾
H 全高

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車台2前方部に穀稈を刈取り移送する刈取機3を設け、該刈取機3の一部を形成する前部には、穀稈を引起しする複数の引起し装置9と、該各引起装置9を伝動する伝動機構10dを内装した左右両側の左・右下刈取ギヤーケース10a、10bと中央部の中下刈取ギヤーケース10c等とを接続して設けたコンバインの刈取機3において、前記中下刈取ギヤーケース10cの一方側の分割部(イ)には、継手用下刈取ギヤーケース11を設けて、左・右・中下刈取ギヤーケース10a、10b、10c及び継手用下刈取ギヤーケース11で形成される全巾(L)を延長して、引起装置9を一個追加して設けたことを特徴とするコンバインの引起装置。
【請求項2】
前記中下刈取ギヤーケース10cの左右方向の巾を広巾(?1)にして設けて左・右・中下刈取ギヤーケース10a、10b、10cで形成される全巾(L)を延長して、引起装置9を一個追加して設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの引起装置。
【請求項3】
前記走行車台2一方側の前部へ設けた操縦席27の反対側へ位置する各引起装置9を接続する上フレーム21を設け、該上フレーム21には、後方へ向けて防塵用カバー22aを設けると共に、該防塵用カバー22aは操縦席27から開閉自在な位置へ設けたことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のコンバインの引起装置。
【請求項4】
前記上フレーム21には、各引起装置9内へ注油する注油ホース23を内装して設けたことを特徴とする請求項1、又は請求項2、又は請求項3に記載のコンバインの引起装置。
【請求項5】
前記操縦席27前部へ位置する各引起装置9の全高(H)を短縮し、低い該引起装置9にして設けたことを特徴とするコンバインの引起装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−34138(P2006−34138A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216113(P2004−216113)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】